説明

食品製造および貯蔵用容器、食品の製造法および食品

【課題】加熱処理しても容器の強度が低下せず、密封シール後の減圧変形に対しても強度があり、膨れやへこみなどの変形しない食品の製造用および貯蔵用に使用できる容器の提供、およびそれを用いた食品の製法、および無菌食品などの食品の提供する。
【解決手段】開口部2を有する貯蔵用容器1に固形状食品原料3を充填し、加熱処理した後、開口部2を密封シールする食品製造容器を兼ねた貯蔵用容器であって、容器側壁10の上下方向に沿う複数の凸リブ4と凹リブ5とが周方向に連なって構成された大型の波型形状凹凸リブ6を備えるとともに、大型の波型形状凹凸リブ6の凸リブ4および/または凹リブ5の少なくとも一部に、大型の波型形状凹凸リブ6に並行して大型の波型形状凹凸リブ6上に、少なくとも2組の小型の凸リブ4’と凹リブ5’とからなる小型の波型形状凹凸リブ6’が形成されて構成されていることを特徴とする食品製造および貯蔵用容器1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品製造および貯蔵用容器、食品の製造法および食品に関するものであり、更に詳細には、食品の製造と貯蔵用に使用可能な容器、およびその容器を使用して食品を製造する方法、およびその容器を使用して製造された食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気釜を使用して炊飯してご飯を作る際、内釜容器の内表面にご飯粒が付着せず、炊きあがったご飯を美味な状態で保存できるようにするために内釜容器の内表面に点状の多数の凹凸を形成することが提案されている(特許文献1参照)。
一方、皿に刺身や天ぷらなどを乗せると液体成分が流れ落ちるため、皿の底部に線状の凹凸を設けて、凹部に液体成分を溜めるようにして、液体成分を分離するようにする提案(特許文献2参照)、表面に凹凸模様のあるシートおよび模様のない他のシートを、型を用いて加熱密着させて成形して、表面に凹凸模様のある包装容器を製造すると、放電加工やエッチングなどの手法を用いなくてすむという提案(特許文献3参照)、プラスチック容器の側壁に鉛直方向に延びる断面三角形状の凸模様を設けた耐熱性容器の提案(特許文献4参照)、炊飯米を密封して入れた多層プラスチック容器であって、側壁に鉛直方向に延びる線状の凹凸を設けて電子レンジなどで加熱して賞味できるようにした提案(特許文献5参照)、炊飯米を入れた容器であって、食感や風味を維持するために、その容器の内側の底部に凹凸模様などの水分を保持するための保持空間を設けて炊飯米から蒸発して凝縮した水を底部の保持空間に溜める提案(特許文献6参照)、容器の側壁に鉛直方向に延びる凹凸を設け、油や汁を吸収してべとつかないように内面に吸油層を設けた食品収納容器(特許文献7参照)などが多数提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−238791号公報
【特許文献2】特開平11−216055号公報
【特許文献3】特開2010−58814号公報
【特許文献4】特開平10−218155号公報
【特許文献5】特開平10−56994号公報
【特許文献6】特開2006−304670号公報
【特許文献7】特開2000−53170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記のように、食品の貯蔵用に使用することができる容器は多数提案されているが、食品の製造用に使用できるとともに、そのまま食品の貯蔵用にも使用でき、電子レンジなどで加熱しても容器を素手で持つことができ、さらに、喫食の際には食品を容易にお皿等に移すことができる容器については提案されていない。
容器に固形状の食品原料を充填し、加熱殺菌したり、あるいは炊き水や調理液を添加し、加熱処理などを行うと、加熱によって容器の強度が低下し、内容物の重量に押されてふくらむなど変形し、正常に搬送できなくなったり、内容物が流出したりしてしまう。また、密封シール後は、容器内の食品の品温低下等による減圧で、へこみなどの変形が生じ、密封シールが剥がれたり、食品が潰れたりし、食感や風味に優れ、長期保管可能な食品を製造できなくなる問題がある。
【0005】
また、容器に固形状の食品原料を充填し、炊き水や調理液を添加して、加熱処理すると、食品中の澱粉がアルファー化し容器内壁に付着しやすくなり、加熱処理して得られた食品が容器内壁に強固に付着してしまい、容器から容易に剥がれ難くなるという問題が生じる。
【0006】
一旦炊飯器などで加熱調理したものを、十分に冷却し、プラスチック製の容器等に移し替えて、密封シールして貯蔵するようにすれば、前記のような問題は発生しないが、調理器具の管理が必要であったり、移し替えの工程が煩雑であったりするなどの問題があった。
【0007】
また、プラスチック製の容器等を電子レンジなどで加熱すると、容器が非常に熱くなり、素手で持つことが困難になり、場合によっては火傷を負う危険性もあり問題であった。
【0008】
本発明の第1の目的は、従来の諸問題を解決し、加熱処理や密封シールを行った時、容器の強度が低下して膨れやへこみなどの変形が生じることがなく、食感や風味に優れた食品を製造することができる上、電子レンジ等で加熱しても容器を素手で持つことができ、さらに加熱処理して得られた食品が容器内壁に付着せず、喫食の際には容器から剥がれ易く、食品の食感や風味をそのまま維持して保存できるので、食品の貯蔵用にも使用できる容器を提供することである。
本発明の第2の目的は、本発明の食品製造および貯蔵用容器を用いて、食感や風味や保存性に優れた無菌食品などの食品を容易に製造することができる方法を提供することである。
本発明の第3の目的は、本発明の食品の製造方法を用いて製造された食感や風味や保存性に優れた食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意研究の結果、2重構造の波型形状凹凸リブを形成した容器を用いることにより、前記課題を解決できることを見いだして、本発明を成すに至った。
【0010】
前記課題を解決するための本発明の請求項1は、開口部を有する貯蔵用容器に固形状食品原料を充填し、加熱処理した後、前記開口部を密封シールする食品製造容器を兼ねた貯蔵用容器であって、
容器側壁の上下方向に沿う複数の凹リブと凸リブとが周方向に連なって構成された大型の波型形状凹凸リブを備えるとともに、前記大型の波型形状凹凸リブの凹リブおよび/または凸リブ上の少なくとも一部に、前記大型の波型形状凹凸リブに並行して、少なくとも2組の小型の凹リブと凸リブとからなる小型の波型形状凹凸リブが形成されて構成されていることを特徴とする食品製造および貯蔵用容器である。
【0011】
本発明の請求項2は、請求項1記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記小型の波型形状凹凸リブが、前記大型の波型形状凹凸リブの容器内部から見て凹リブ部分の容器内面および外面に形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記加熱処理の方法が、蒸気加熱であることを特徴とする。
【0013】
前本発明の請求項4は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記固形状食品原料が、1種あるいは2種以上の複合された穀類を含んでいることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記小型の波型形状凹凸リブの隣り合う凸リブまたは凹リブのピッチは、前記容器に充填された全固形状食品原料を加熱処理した後における食品中の最大質量を構成する食品の個々の最短部の長さより短いことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記容器の底部に、点状および/または波状の底部凹凸が形成され、前記底部凹凸の隣り合う凸部または凹部のピッチが、前記容器に充填された全固形状食品原料を加熱処理した後における食品中の最大質量を構成する食品の個々の最短部の長さより短いことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項7は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記食品製造容器を兼ねた貯蔵用容器が電子レンジにて加熱可能な容器であることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項8は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の開口部を有する貯蔵用容器に、固形状食品原料を充填し、加熱処理した後、前記開口部を密封シールすることを特徴とする食品の製造法である。
【0018】
本発明の請求項9は、請求項8記載の製造法を用いて製造されたことを特徴とする食品である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1は、開口部を有する貯蔵用容器に固形状食品原料を充填し、加熱処理した後、前記開口部を密封シールする食品製造容器を兼ねた貯蔵用容器であって、
容器側壁の上下方向に沿う複数の凹リブと凸リブとが周方向に連なって構成された大型の波型形状凹凸リブを備えるとともに、前記大型の波型形状凹凸リブの凹リブおよび/または凸リブ上の少なくとも一部に、前記大型の波型形状凹凸リブに並行して、少なくとも2組の小型の凹リブと凸リブとからなる小型の波型形状凹凸リブが形成されて構成されていることを特徴とする食品製造および貯蔵用容器であり、
加熱処理等での加熱による容器材質強度の変化や、密封シール後の容器内部の温度変化による内圧変化などの影響に対しては、大型波型形状凹凸リブと小型波型形状凹凸リブからなる2重構造の波型形状凹凸リブが形成され構造的に容器側壁が強化されていることで、膨れやへこみなどの変形が生じることがなく、食感や風味に優れた食品を製造することができる上、小型波型形状凹凸リブの存在により加熱処理して得られた食品が容器内壁に付着せず、容器から剥がれ易くなり、しかも密封包装されているので食品の食感や風味そのまま維持して保存できるので、食品の貯蔵用にも使用できるという顕著な効果を奏する。
本発明の容器は、大型波型形状凹凸リブと小型波型形状凹凸リブからなる2重構造の波型形状凹凸リブが形成されているので、表面積が大きく、加熱処理時の熱効率がよく、加熱処理時の熱分布を均一にすることができ、短時間に均一に加熱処理して食感や風味に優れた食品を製造することができるという顕著な効果を奏する。
【0020】
本発明の請求項2は、請求項1記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記小型の波型形状凹凸リブが、前記大型の波型形状凹凸リブの容器内部から見て凹リブ部分の容器内面および外面に形成されていることを特徴とするものであり、
容器側壁の内側の前記大型の波型形状凹凸リブの凹リブには加熱処理された食品が入り込み易く、入り込んだ食品は凹リブに付着して剥がれ難くなるが、前記小形の波型形状凹凸リブが凹リブに形成されていると食品が入り込んでも、入り込んだ食品が剥がれ易くなるというさらなる顕著な効果を奏するとともに、
電子レンジなどで加熱調理した後の容器の取り扱い時、前記大型の波型形状凹凸リブの容器内部から見て凹リブに前記小型の波型形状凹凸が形性されているため、容器外面と素手との接触面積が少なくなり、熱さを感じ難く、容易に安全に取り扱えるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0021】
本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記加熱処理の方法が、蒸気加熱であることを特徴とするものであり、
本発明の容器は、蒸気加熱であると、加熱処理の際に容器内の大型波型形状凹凸リブと小型波型形状凹凸リブを経て蒸気が容器内に均一に十分に行き渡るので短時間に均一に加熱処理して優れた食感や風味を有する食品を製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0022】
本発明の請求項4は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記固形状食品原料が、1種あるいは2種以上の複合された穀類を含んでいることを特徴とするものであり、
バラエテイに富んだ各種の優れた食感や風味を有する食品を製造できるというさらなる顕著な効果を奏するとともに、
本発明の容器を使用することで、加熱処理によりアルファー化する前記穀類に含まれるでんぷんによって、加熱処理して得られた食品が容器内面に付着してしまうことを抑制し、剥がれ易くなるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0023】
本発明の請求項5は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記小型の波型形状凹凸リブの隣り合う凸リブまたは凹リブのピッチは、前記容器に充填された全固形状食品原料を加熱処理した後における食品中の最大質量を構成する食品の個々の最短部の長さより短いことを特徴とするものであり、
前記最大質量を構成する食品の個々の最短部の長さよりもピッチが短いことにより、小型の波型形状凹凸リブの凹んだ部分に加熱された食品が入り込み難く、加熱された前記最大質量を構成する食品と本発明の容器内面の接触面積が小さくなることで、大部分の食品が付着し難くなり、一層容器から剥がれ易くなるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0024】
本発明の請求項6は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記容器の底部に、点状および/または波状の底部凹凸が形成され、前記底部凹凸の隣り合う凸部または凹部のピッチが、前記容器に充填された全固形状食品原料を加熱処理した後における食品中の最大質量を構成する食品の個々の最短部の長さより短いことを特徴とするものであり、前記底部凹凸の隣り合う凸部または凹部のピッチが前記最大質量を構成する食品の個々の最短部の長さよりもピッチが短いことにより、底部凹凸の凹んだ部分に加熱された食品が入り込み難く、加熱された前記最大質量を構成する食品と本発明の容器内面の接触面積が小さくなることで、大部分の食品が付着し難くなり、一層容器から剥がれ易くなるというさらなる顕著な効果を奏するとともに、加熱調理後に発生する水分等が底部凹凸の凹んだ部分に保持されることで、底部凹凸に接触する前記最大質量を構成する食品の含水量を変化させ難くするというさらなる顕著な効果を奏する。
【0025】
本発明の請求項7は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器において、前記食品製造容器を兼ねた貯蔵用容器が電子レンジにて加熱可能な容器であることを特徴とするものであり、
電子レンジのマイクロ波により、短時間で均一に加熱された容器内部の食品の喫食を容易にすることができるというさらなる顕著な効果を奏するとともに、大型波型形状凹凸リブと小型波型形状凹凸リブからなる2重構造の波型形状凹凸リブが形成され構造的に容器側壁が強化されていることで、加熱後の取り扱いが容易にできるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0026】
本発明の請求項8は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の開口部を有する貯蔵用容器に、固形状食品原料を充填し、加熱処理した後、前記開口部を密封シールすることを特徴とする食品の製造法であり、
前記小型波型形状凹凸リブの存在により加熱処理して得られた食品が容器内壁に付着せず、容器から剥がれ易く、
加熱処理等での加熱による容器材質強度の変化や、密封シール後の容器内部の温度変化による内圧変化などの影響に対しては、大型波型形状凹凸リブと小型波型形状凹凸リブからなる2重構造の波型形状凹凸リブが形成され構造的に容器側壁が強化されていることで、膨れやへこみなどの変形が生じることがなく、容易に密封シールができることで食感や風味などの保存性に優れた食品を容易に製造できるという顕著な効果を奏する。
【0027】
本発明の請求項9は、請求項8記載の製造法を用いて製造されたことを特徴とする食品であり、
食感や風味に優れる上、容器内壁に付着せず、容器から剥がれ易くなり、しかも密封包装されているので食感や風味そのまま維持して保存できるという顕著な効果を奏するとともに、
大型波型形状凹凸リブと小型波型形状凹凸リブからなる2重構造の波型形状凹凸リブが形成され構造的に容器側壁が強化されている容器を用いることで、加熱後の取り扱いが容易な食品を容易に提供できるという更なる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】固形状食品原料を充填し、加熱処理する本発明の容器を説明する説明図である。
【図2】固形状食品原料を充填し、加熱処理した後、開口部を密封シールした本発明の容器を説明する説明図である。
【図3】(イ)〜(チ)は、大型波型形状凹凸リブと小型波型形状凹凸リブからなる2重構造の波型形状凹凸リブの他の例を説明する説明図である。
【図4】本発明の食品の製造法の一例について説明する説明図である。
【図5】実施例および比較例で使用した容器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明の実施態様につき、図1〜4を用いて詳細に説明する。
図1および図2に示したように、本発明の食品製造容器を兼ねた貯蔵用容器(以下、本発明の容器と称す)1は、開口部2を有し、開口部2から固形状食品原料3を充填し、加熱処理した後、蓋材フィルム12を用いて開口部2を密封シールする食品の、製造に使用できるとともに貯蔵用にも使用できる容器である。
本発明の容器1は、例えば、製品として販売可能な耐熱性およびバリアー性を有する容器である。
【0030】
本発明の容器1は、図1に示したように容器1の内部から見て、容器側壁10の上下方向に沿う複数の凸リブ4と凹リブ5とが所定のピッチPで周方向に交互に複数連なって構成された大型の波型形状凹凸リブ6を備えている。
図1にA−Aを断面にして説明する断面説明図を示した。
大型の波型形状凹凸リブ6は、容器側壁10の略中心高さ部の周方向におけるA−A断面を見た場合、前記容器側壁10の容器側壁の内面15と容器側壁の外面16が、全周にわたり内面15と外面16がほぼ平行に形成されており、前記容器側壁10自体で凹凸形状を構成している。
【0031】
前記凸リブ4および凹リブ5のピッチPは、本発明の容器1の大きさ、形状、固形状食品原料3や加熱処理した食品の種類や容器1に充填する量、容器1に固形状食品原料3を充填して加熱処理する際の温度や時間、貯蔵温度や時間などによって異なるが、容器1の側壁10の上下方向に沿う複数の凸リブ4と凹リブ5とが所定のピッチPで周方向に複数交互に連なって構成された大型の波型形状凹凸リブ6を設けることによって、容器1が強化されて、加熱処理しても、容器1の強度が低下せず、耐えることができ、また、密封シール後の減圧変形に対しても強度があり、それによって膨れやへこみなどの変形が生じないように設計、デザインされ、決められることが好ましい。
本発明の容器1が加熱処理により、膨れやへこみなどの変形を生じると、シール前に内容物が流出したり、適正な密封シールができなくなってしまうので、食感や風味に優れた食品や、長期保存可能な安全性に優れた食品を製造できなくなる。
また、本発明の容器1が密封シール後の容器内部の温度変化による内圧変化などの影響により、膨れやへこみなどの変形を生じると、正常に搬送ができなくなり、密封シール性が保てなくなるので、食感や風味に優れた食品や、長期保存可能な安全性に優れた食品を製造できなくなる。
ピッチPやそれぞれの凹凸形状は、周方向に規則的に連続しているものでもよいし、不規則に変化するものでもよい。
【0032】
そして、大型の波型形状凹凸リブ6は、容器1の内部から見て、その凹リブ5上の容器内面および外面に、大型の波型形状凹凸リブ6に並行して少なくとも2組の小型の凸リブ4’と凹リブ5’とからなる小型の波型形状凹凸リブ6’が形成されて構成されている。
小型の波型形状凹凸リブ6’は、大型の波型形状凹凸リブ6と同様に容器側壁10自体が凹凸形状を構成している場合もあるが、大型の波型形状凹凸リブ6と異なり、容器側壁10の内壁表面だけに凸出した状態で、小型の波型形状凹凸リブ6’構成している場合もある。
そして、小型波型形状凹凸リブ6’の存在により加熱調理して得られた食品13が容器1の内壁に付着せず、容器から剥がれ易くなるとともに、電子レンジ等で加熱しても熱く感じ難く容器を素手で持つことができるという効果がある。
特に、小型波型形状凹凸リブ6’の隣り合う凸リブ4’または凹リブ5’のピッチpを、容器1に充填された全固形状食品原料3を加熱調理した後における食品13中の最大質量を構成する食品13の個々の最短部の長さより短く設計することにより、最大質量を構成する食品13が容器1の内壁に付着し難くなり、すなわち大部分の食品13が容器1の側壁10の内壁に付着し難くなり、剥がれ易くなる効果がある。
なお、大型の波型形状凹凸リブ6と同様に、ピッチpやそれぞれの凹凸形状は、周方向に規則的に連続しているものでもよいし、不規則に変化するものでもよい。
【0033】
本発明の容器1は、大型波型形状凹凸リブ6と小型波型形状凹凸リブ6’からなる2重構造の波型形状凹凸リブが形成されているので、容器側壁部の表面積が大きく、容器1の外部から効率よく加熱されるとともに、加熱されて容器1内に発生した蒸気が2重構造の波型形状凹凸リブを経て上方に移動するとともに、容器1内に充填された固形状食品原料3内に供給されるので加熱調理時の熱効率がよく、加熱調理時の熱分布を均一にすることができ、短時間に均一に加熱調理して食感や風味に優れた食品を製造することができる。
【0034】
また、本発明の容器1の底部7には、点状および/または波状の底部凹凸8がピッチp’で形成されている。
10は容器側壁、11はフランジを示す。
本発明の容器1の底部7に、点状、波状などの底部凹凸8を形成し、この底部凹凸8のピッチp'が、容器1に充填された全固形状食品原料3を加熱処理した後における食品13中の最大質量を構成する食品13の個々の最短部の長さより短く設計することにより、最大質量を構成する食品13が容器1の底部7の内面に付着し難くなり、すなわち大部分の食品13が容器1の底部7の内面に付着し難くなり、一層剥がれ易くなる効果がある。
また、前記底部凹凸8を形成することで、前記大部分の食品13が容器1の底部7の内面との接触面積が少なくなっていることと、加熱調理により発生する蒸気が冷却され、結露した水分等が底部凹凸8の底部7の内面側に保持されることで、前記食品13に結露した水分等が接し難くなるため、前記食品13は均一の含水量を維持できる効果がある。
【0035】
前記のように、開口部2から固形状食品原料3を充填し、図4に示したように、加熱処理装置21および/または加熱処理装置21bで加熱調理した後は、図2、4に示したように、密封装置23で容器1の開口部2を例えばヒートシール機で蓋材フィルム12を用いて完全にシールして密封包装する。図2中の13は加熱調理した食品である。
【0036】
本発明の容器1を製品として販売可能な包装容器となるように、例えば耐熱性に優れるとともにバリアー性やデザインに優れる容器を用いると、本発明の容器1は製造用に使用できるとともに、密封包装されているので食品の食感や風味そのまま維持して保存できるので、食品の貯蔵用にも使用できる効果がある。
食品13を密封包装した本発明の容器1は、電子レンジなどで加熱して賞味できる上、加熱した容器を素手で持つことができる。
【0037】
図3(イ)〜(チ)に、大型波型形状凹凸リブ6と小型波型形状凹凸リブ6’からなる2重構造の波型形状凹凸リブの他の例を示す。
【0038】
図3(イ)は、容器1の内部から見て、大型の波型形状凹凸リブ6の凸リブ4と凹リブ5上のいずれの容器側壁の内面および外面にも小型の波型形状凹凸リブ6’を形成した例である。
【0039】
図3(ロ)は、容器1の内部から見て、大型の波型形状凹凸リブ6の凹リブ5上の波頭の近傍の容器側壁の内面および外面のみに、小型の波型形状凹凸リブ6’を形成した例である。
【0040】
図3(ハ)は、容器1の内部から見て、大型の波型形状凹凸リブ6の凹リブ5上の約50%以上の容器側壁の内面および外面に、小型の波型形状凹凸リブ6’を形成した例である。
【0041】
図3(ニ)は、容器1の内部から見て、大型の波型形状凹凸リブ6の凹リブ5に、大型の波型形状凹凸リブ6の外面の波型形状の表面波型状態を維持しつつ、容器側壁の内面のみに小型の波型形状凹凸リブ6’を形成した例である。
容器側壁の内面のみに小型の波型形状凹凸リブ6’を形成する方法としては、具体的には、例えば、大型の波型形状凹凸リブ6と小型の波型形状凹凸リブ6‘を同時に形成する例、あらかじめ形成しておいた小型の波型形状凹凸リブ6‘を接着して形成する例などを挙げることができる。
【0042】
図3(ホ)は、容器1の内部から見て、大型の波型形状凹凸リブ6の凹リブ5の上の容器側壁の内面および外面に、小型の波型形状凹凸リブ6’を形成した例であるが、凸リブ4がフラット形状の場合の例である。なお凸リブ4のフラット形状の長さは同じでも、あるいは異なっていてもよい。
【0043】
図3(ヘ)は、容器1の内部から見て、大型の波型形状凹凸リブ6の凹リブ5の上の容器側壁の内面および外面に、小型の波型形状凹凸リブ6’を形成した例であるが、凸リブ4の形状が前記の凸リブ4の形状と異なっており、凸リブ4、または凹リブ5の両肩にフラット部14がある形状の場合の例である。
【0044】
図3(ト)は、容器1の内部から見て、大型の波型形状凹凸リブ6の凹リブ5の上の容器側壁の内面および外面に、小型の波型形状凹凸リブ6’を形成した例であるが、凹リブ5の形状が位置により変化する場合の例である。
【0045】
図3(チ)は、容器1の内部から見て、大型の波型形状凹凸リブ6の凹リブ5の上の容器側壁の内面および外面に、小型の波型形状凹凸リブ6’を形成した例であるが、凹リブ5および凸リブ4の形状がそれぞれフラット形状を備え、凹凸リブ6が角ばった形状の場合の例である。
【0046】
本発明では、固形状食品3を容器1に充填し、加熱処理を行い、シールを行い、包装食品を製造出来ることが必要で、長期保存を可能にするためには、必要に応じて殺菌工程を設け、殺菌工程からシール工程までをクリーン環境にて実施し、無菌包装食品を製造することが好ましい。
【0047】
本発明の食品の製造法の一例について次に説明する。
図4は本発明の食品の製造法の一例について説明する説明図である。
本発明で用いる食品製造装置Aは、クリーン環境20と、クリーン環境20に設置された、殺菌装置としての加熱処理装置(殺菌装置)21b、調理装置としての加熱処理装置(炊飯装置)21と、クリーン環境20の出口22に配設された密封装置23とが順次並んで配設されて構成されている。
【0048】
次に、食品製造装置Aを用いて無菌食品を製造する場合の一例を説明する。
開口部2を備えた容器1に固形状食品原料3を充填して、好ましくは1回目の加熱処理にて、加熱殺菌した後、固形状食品原料3を充填した容器1を矢印で示した方向から、クリーン環境20内の無菌状態を維持しながら、クリーン環境20の入口24を経てクリーン環境20内に導入する。
固形状食品原料3を容器1に充填する前あるいは後、予め熱処理したり、吸水、浸漬、洗浄、洗米などの処理を行っておくことができる。
例えば、精白米を洗米した後、水に浸漬して水を含浸させ、水切り後、その米を計量して容器1に所定量を充填する。
【0049】
ついで、クリーン環境20内に設置された図示しない添加装置を用いて炊き水および/または調味液あるいは適切な具材を適切な量だけ添加し、この容器1を矢印の方向からクリーン環境20内に設置された公知の加熱処理装置21に収容して蒸気を用いて2回目の加熱処理として炊飯・調理する。
【0050】
本発明の加熱処理とは、容器に充填した固形状食品原料を加熱処理することができる加熱工程を含むことであり、具体的には、例えば、煮込み、炊飯、焼成、乾燥、殺菌などの各種加熱工程であり、さらに、各種加熱工程の1種あるいは複数種を組み合わせて、1回あるいは複数回の加熱処理することができる。
本発明の加熱処理装置の加熱方法は、固形状食品原料を容器に充填した固形状食品原料を加熱できればよく、具体的には、例えば、熱風・蒸気・各種ヒーター・マイクロ波などの公知の加熱方法であればよい。
固形状食品への熱伝導などから、前記加熱方法は、蒸気であることが好ましい。蒸気は、各種蒸気が用いられ、具体的に、例えば、飽和蒸気、過熱蒸気を用いることができる。
さらに、加熱処理装置の炊飯・調理条件は、炊飯・調理の対象となる固形状食品原料により、所定の温度、所定の圧力下で、所定の時間、適宜選択し、炊飯・調理する。
炊き水・調理水は特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、水の他にも調味液やソース類など各種液体を用いることができ、各種味付き固形状食品原料を煮炊きすることも可能である。
炊飯・調理の際は、必要に応じて蓋をしてもよい。
固形状食品原料は、単体または2種以上混合して使用できる。
【0051】
本発明で用いる水は特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、純水など公知の水を用いることができる。
【0052】
炊飯・調理した後、炊飯・調理後の無菌食品が充填された容器1をクリーン環境20の出口22に配設された密封装置23で容器1の開口部2をシールする。
例えばヒートシール機で完全にシールして密封包装する。窒素などの不活性ガスで置換したり、脱酸素剤を封入してもよい。
そして、密封包装後は、そのままあるいは所定数ダンボール箱に梱包するなどして適温に維持された貯蔵庫内で貯蔵したり、搬送・輸送に供する。
以上のようにして、クリーン環境20内の無菌状態を維持しつつ無菌食品を製造することができる。
【0053】
本発明で用いる固形状食品原料は、特に限定されることはないが、気体・液体ではなく、流動性のあるものではなく、容器内に充填することができる大きさ、形状などを有するものであって、食品として使用できる固体の食品原料であればよい。
固形状食品原料としては、穀物や穀物由来の原料を含む食品原料が、好ましい。本発明でいう穀物とは、具体的には、例えば、米や、雑穀の米以外のイネ科、例えば、大麦・はと麦・きび・たかきび・トウモロコシ・小麦・稗・粟・ホワイトソルガムなどや、マメ科、例えば、小豆、大豆、そら豆、落花生、ささげ、いんげん豆、えんどう豆、緑豆などや、その他の科の、ごま・そば・アマランサス・キヌアなどの澱粉質を含む作物などを挙げることができる。
これらの穀類は、さらに、事前に洗浄、浸漬、裁断、発芽処理、予備加熱などを行っておいてもよい。
【0054】
通常特に使用する前記米としては、うるち米、もち米、玄米、黒米などであり、これらは洗浄済浸漬米、無洗浸漬米、未浸漬米であってもよい。
通常特に使用する前記雑穀としては、麦、粟、きび、稗、大豆、小豆、黒豆、緑豆、ごま、アマランサス、トウモロコシなどを挙げることができる。
【0055】
本発明でいう穀物由来の固形状食品原料とは、穀物を粉末状にし、加水などを行ってねり合わせ、必要に応じて乾燥させたものであり、具体的には、例えば、パスタ(ロングパスタ、例えば、スパゲティ、リングイネなど、ショートパスタ、例えば、クスクス、ニョッキ、ペンネなど)・うどん・ソーメン・ビーフン・春雨・日本そばなどの麺類などを挙げることができる。
【0056】
小型波型形状凹凸リブ6’の隣り合う凸リブ4’または凹リブ5’のピッチp、あるいは、容器1の底部7に形成された底部凹凸8のピッチp'は、容器1に充填された全固形状食品原料3を加熱調理した後における食品13中の最大質量を構成する食品13の個々の最短部の長さより短く設計することにより、最大質量を構成する食品13が容器1の内壁に付着し難くなり、すなわち大部分の食品13が容器1の内壁に付着し難くなり、剥がれ易くなる効果があり、使用する固形状食品原料を加熱調理した食品の大きさを予め調べることにより容器1を適宜設計することができる。
食品の大きさにバラつきがある場合には、大きさの分布を測定し、大多数を占める大きさを基準に、ピッチpあるいはp’を決定すればよい。
例えば、精白米を主とした原料としてご飯を炊飯する場合に、炊飯したご飯の粒度分布を測定し、最短部の長さが2mm以下のものが2割、同長さが4mm以下のものが7割、同長さが6mm以下のものが1割という結果だった場合には、最大分布域の7割を占める4mmを基準に、ピッチpおよびp’を2mmとする。
また、大型波系形状凹凸リブ6の隣り合う凸リブ4または凹リブ5のピッチPは、小型波系形状凹凸リブ6’を設置するため、容器1に充填された全固形状食品原料3を加熱調理した後における食品13中の最大質量を構成する食品13の個々の最短部の長さの2倍以上の長さがあることが好ましく、また、例えば、大人の親指の第1関節の平均幅より短ければ、大人が素手で容器を持った場合でも、指表面と容器表面の接触面積が少なくなることから、熱く感じ難くなるので好ましく、具体的には、例えば35mmより短くすることが好ましい。
【0057】
食品製造装置Aを用いて無菌食品を製造する場合の一例を示したが、容器1に固形状食品原料3を充填し、前記のような、クリーン環境20を用いないで、1回の加熱処理のみで、図示しない添加装置を用いて炊き水および/または調味液あるいは適切な具材を適切な量だけ添加し、この容器1を矢印の方向から公知の加熱処理装置(炊飯装置)21に収容して蒸気を用いて炊飯・調理し、炊飯・調理した後、炊飯・調理後の食品13が充填された容器1を密封装置23で容器1の開口部2をシールして、食品を製造することもできる。
【0058】
また、穀物由来の固形状食品原料3を用いる場合、1回の加熱処理のみで殺菌した後、炊飯・調理することなく、容器1をクリーン環境20の出口22に配設された密封装置23で容器1の開口部2をシールすることにより、無菌食品を製造することもできる場合がある。
また、保存性に優れた食品を得るために、密封シール後、公知の方法で殺菌を行うことや、公知の方法で食品原料中の菌などを制御できる調整を行った炊き水や、調味液を添加することができる。
【0059】
本発明で用いる炊き込みご飯の具としては、具体的には、例えば、鶏肉・牛肉・焼豚肉などの肉由来原料、アサリ・イカ・タコ・ホタテ・エビ・鮭の身・鯛の身・ヒジキ・昆布などの魚貝・海藻由来原料、ごぼう・人参・筍・アスパラガス・いんげん豆・生姜・栗・椎茸・しめじなどの野菜・茸原料、こんにゃく・油揚げ・竹輪・焼豚などの加工食品などを挙げることができる。
【0060】
本発明で用いる蒸気の温度は、使用する固形状食品原料3で殺菌・調理の最低必要加熱処理温度より高く、使用する容器の耐熱温度以下が必須条件であり、例えば炊き水を入れた場合、炊き水が98℃以上に早く到達して炊飯・調理が効率良く良好に進むと共に、容器の変形などがないことを考慮して、具体的には、例えば、99〜120℃の飽和蒸気や、101〜160℃の過熱蒸気を好ましく使用できる。
【0061】
本発明で無菌食品を得るために、必要に応じて用いる食品製造装置のクリーン環境は、無菌食品の製造に適するものであればよく、特に限定されるものではなく、例えば、クリーンルームの様に、室内全体がクリーン状態を維持できるようなものでもよく、また殺菌から、密封包装までが、1つの装置であってもよく、また各装置をクリーンなトンネルでつなぐような形態のものであってもよい。
【0062】
本発明で用いるクリーン環境の例としては、例えば、米国航空宇宙局(NASA)の規格でクラス100〜クラス10000のクリーンルームやクリーンブース内などで無菌的に行なうなどを挙げることができる。クリーン環境で行なう際には使用する設備ならびに添加する炊き水および/または調味液などは充分に殺菌・除菌されたものを使用する。
【0063】
本発明で用いる食品製造装置には、前記のように図示しない添加装置を設置して炊き水および/または調味液あるいは適切な具材を適切な量だけ添加できるようにすることができ、また必要に応じてトッピングなどを行なうことができるような装置を配設することができる。
【0064】
本発明で用いる容器は、上部が開口し、形状は丸、多角形、楕円、トレー状形状、円筒状形状、深い形状など特に限定されず、材質はバリアー性・耐熱性および耐水性があるプラスチックを主体とするが、バリアー性向上や強度向上などのためにセラミックス、金属あるいはこれらの組合わせなどを併せ用いることもできる。
例えば、ガスバリヤー性耐熱容器包装体、耐熱性合成樹脂フィルム及び/又は金属箔のラミネート材からなるプラスチック容器などを挙げることができる。
本発明で用いる図示しない蓋材フィルムは、容器とのシール適性などを考慮し適宜選択される。
例えば、製品として販売可能な容器となる耐熱性容器は、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を中間層とし、上下層には、ポリプロピレンを積層しこれを容器に成形したもの、また、蓋材フィルムとしては、「シリカ蒸着PET/ナイロン/ポリエチレン系シーラント」などが使用できる。
【0065】
さらに食品13を電子レンジにて加熱を行う場合は、容器とする場合には、電磁波によって効率的に加熱できる材質を用いることが好ましい。
【0066】
本発明で用いる容器として、製品として販売可能な包装容器となる耐熱性容器を用いることができる。
容器として、製品として販売可能な包装容器となる耐熱性容器を用いると、容器から包装容器への移し替えが不要となり、工程が簡略化できるとともに、均一な品質を有する無菌食品を、その状態のまま密封包装して製品にできる。
【0067】
容器として、製品として販売可能な包装容器となる耐熱性容器は、上部が開口し、開口部の周縁に外向きのフランジ状ヒートシール部を備えているものであれば好ましく使用でき、形状は丸、多角形、楕円、トレー状形状、円筒状形状、深い形状など特に限定されるものではない。
【0068】
上記実施の形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0069】
例えば上記実施形態の説明においては、バッチ式で炊飯・調理した例を示したが、もちろん本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、必要に応じて加圧・減圧も行うことが可能である。
【0070】
例えば、バッチ式で炊飯・調理する以外に連続的に炊飯・調理することもでき、そして手動で行うこともできるが、制御装置により制御して自動的に行うこともでき、あるいはこれらを組み合わせて行うこともできる。
【0071】
例えば、固形状食品原料を収容した容器を炊飯・調理装置に複数収容して炊飯・調理する場合、容器を複数バラバラに前記装置内に収容することもできるが整然と並べてもよく、また整然と並べたものを2段以上間隔をあけて層状にして行うこともでき、また整然と並べたものを枠などに支持・固定して炊飯・調理することもできる、あるいはこれらを組み合わせて行うこともできる。
【実施例】
【0072】
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例において記載された%は、質量%を表す。
【0073】
(実施例1〜2)
図4に示した食品製造装置Aを用いて固形状食品原料3(精白米)を1回目の加熱処理として殺菌し、2回目の加熱処理として炊飯して無菌食品(無菌米飯)を製造する例を示す。
図5に使用した容器を示す。
実施例1では、大型波型形状凹凸リブ6を形成し、大型波型形状凹凸リブ上の全部分の内面・外面に、小型波型形状凹凸リブ6’を形成した、耐熱性プラスチック製容器1を使用した。
先ず、精白米を洗った後、常温の水に1時間浸漬して水を含浸させ、水切り後、その固形状食品原料3(精白米)(水分含量30%)を110g計量して、そのまま製品として使用できる上部が開放した耐熱性プラスチック製容器(容器開口部:130mmφ、容積:400mmリットル、材質:PP/EVOH/PP積層体)1に充填した。
【0074】
食品製造装置Aのクリーン環境20に固形状食品原料3(精白米)を充填した容器1を矢印で示した方向から、クリーン環境20内の無菌状態を維持しながら、クリーン環境20の入口24を経てクリーン環境20内に導入した。
食品製造装置Aの入口24には、1回目の加熱処理を行って殺菌するための加熱処理装置21bが設置されている。
クリーン環境20内に設置された図示しない添加装置を用いて炊き水を90g添加し、この容器1を矢印の方向からクリーン環境20の入口24に設置された加熱処理装置21b内で殺菌した後、クリーン環境20内に設置された公知の加熱処理装置(炊飯装置)21に収容して100℃の飽和蒸気を用いて20分間、炊飯した。そして、5分間放冷した。
【0075】
炊飯・放冷した後、炊飯後の無菌食品が充填された容器1をクリーン環境20の出口22に配設された密封装置23で容器1の開口部2を蓋材として透明フィルム(蒸着PETフィルム/シール材)を用いてシールした。
【0076】
そして、密封包装後は、所定数ダンボール箱に梱包して適温に維持された貯蔵庫内で貯蔵した。
【0077】
実施例2では、大型波型形状凹凸リブ6上の凹部5の、内面・外面に、小型波型形状凹凸リブ6’を形成した以外は実施例1と同様にして密封包装して、実施例1と同様にして試験し、試験結果を実施例1同様に表1に示す。
【0078】
表1に、使用した耐熱性プラスチック製容器1の大型波型形状凹凸リブ6のピッチP(表1中に大波Pと記載した)と小型波型形状凹凸リブ6’のピッチp(表1中に小波pと記載した)の大きさ(mm)、および
小型波型形状凹凸リブ6’が容器1の大型波型形状凹凸リブ6のどの部分に形成されているのかを示す小波場所、および
容器1の底部7に形成された点状凹凸(表1中に点状と記載した)あるいは波状凹凸(表1中に波状と記載した)の凹凸のピッチp’(表1中に底部p’と記載した)の大きさ(mm)、および
固形状食品原料の種類および最大質量を構成する主たる固形状食品原料(表1中に主原料と記載した)、および
加熱処理(調理)後、密封シール前、あるいは加熱処理(調理)、密封シール後、開封する前の容器1の形状、および
開封して内部の食品を逆さにして自重にて取り出した後、容器1の壁や底部に付着して残留する食品の粒の数、
および、電子レンジ加熱後状態の欄に、後述する試験方法により容器1のシール12を少し剥離して、電子レンジで加熱後に電子レンジから手で取り出す際に熱く感じたか、あるいは熱く感じなかったかを、まとめて示す。
【0079】
前記小波場所において、表1中に凹凸全体と記載されているのは、図3(イ)に記載したように容器1の大型波型形状凹凸リブ6の凸リブ4および凹リブ5上の全部分の容器内面および外面に小型波型形状凹凸リブ6’の凸リブ4’および凹リブ5’が形成されていることを示す。
全記小波場所において、表1中に凹部と記載されているのは、図3(ロ)に記載したように容器1の大型波型形状凹凸リブ6の凹リブ5上の全部分の容器内面および外面に小型波型形状凹凸リブ6’の凸リブ4’および凹リブ5’が形成されていることを示す。
前記小波場所において、表1中に「−」と記載されているのは、容器1の大型波型形状凹凸リブ6上に小型波型形状凹凸リブ6’が形成されていないことを示す。
【0080】
(比較例1〜3)
比較例1では使用した耐熱性プラスチック製容器1に大型波型形状凹凸リブ6を形成したが、小型波型形状凹凸リブ6’を形成しなかった、以外は実施例1と同様にして密封包装して、実施例1と同様にして試験し、試験結果を表1に示す。
比較例2では使用した耐熱性プラスチック製容器1に大型波型形状凹凸リブ6を形成したが、小型波型形状凹凸リブ6’を形成せず、容器1の底部7に底部凹凸を形成しなかった以外は実施例1と同様にして密封包装して、実施例1と同様にして試験し、試験結果を表1に示す。
比較例3では使用した耐熱性プラスチック製容器1に、大型波型形状凹凸リブ6を形成せず、小型波型形状凹凸リブ6’のみ形成されている以外は、実施例1と同様にして密封包装して、実施例1と同様にして試験し、試験結果を表1に示す。
【0081】
(試験方法)
(1)容器1の形状の判定法
固形状食品原料3を耐熱性プラスチック製容器1に充填し、加熱処理装置(炊飯装置)21に収容して調理・炊飯した後、密封シール前の容器1の膨らみなどの変形や、それに伴う搬送の可否や内容物の流出、あるいは、密封シール後、常温まで冷却した容器1を開封せず、目視により、へこみやつぶれなどの変形がないかどうか、密封シールが剥がれたり、食品が潰れたりしていないかどうかを判定し、結果を次のように表した。
◎:膨らみやへこみなどの変形がなく、搬送の問題や内容物の流出や、密封性や潰れなどの問題がない。
○:膨らみやへこみなどの変形が少なく、搬送の問題や内容物の流出や、密封性や潰れなどの問題がない。
×:膨らみやへこみなどの変形が多く、搬送の問題や内容物の流出や、密封性や潰れなどの問題がある。
【0082】
(2)残留した食品の粒の数の確認方法
前記(1)の試験後(密封シール後)常温で12時間以上保管した後、容器内の加熱調理された食品の中心部付近の温度を90℃まで加熱して、開封して、逆さにして15秒保持して、食品の自重にて内部の食品を取り出した後、容器1の壁や底部に付着して残留する食品の粒の数を計測する方法であって、
容器1の壁や底部に付着して残留する食品の粒の数を1つずつ数えて、結果を計測した数で表した。
なお、麺類の場合は、粒でなく、残留した本数で表した。
【0083】
(3)電子レンジでのテスト
各実施例および各比較例にて密封包装して得られた容器1を1週間室温にて保管して、シール12を少し剥離して、500ワット電子レンジに入れて、2分30秒間加熱し、加熱後に電子レンジから容器1の側壁10を素手で持って取り出す際に熱く感じたか、あるいは熱く感じなかったかを、判定し、表1の電子レンジ加熱後状態の欄に、結果を次の様に表した。
◎:熱さを感じないので、加熱後容器の取り扱いは容易にできた。
○:熱さを少し感じるが、加熱後容器の取り扱いは容易にできた。
△:熱さを感じるが、加熱後容器の取り扱いはできた。
×:熱さを強く感じるため、加熱後容器の取り扱いは注意が必要であった。
【0084】
【表1】

【0085】
表1から実施例1〜2では、膨らみやへこみなどの変形がないか、もしくは少なく、搬送の問題や内容物の流出、密封性や潰れなどの問題がなく、また容器1の壁や底部に付着して残留する食品の粒の数が非常に少なく、電子レンジでの加熱後、容器1の側壁10を素手で持っても熱く感じ難いのに対して、比較例1では、膨らみやへこみなどの変形はないが、小型波型形状凹凸リブ6’を形成しなかったので、容器1の壁や底部に付着して残留する食品の粒の数が非常に多く、比較例2では、容器1の底部に付着して残留する食品の粒の数が非常に多く、電子レンジでの加熱後、容器1の側壁10を素手で持った場合は熱く感じる他、膨らみやへこみなどの変形があることが判る。
比較例3では、容器1の壁や底部に付着して残留する食品の粒の数が非常に少ないが、電子レンジでの加熱後、容器1の側壁10を素手で持った場合は熱く感じる他、膨らみやへこみなどの変形があることが判る。
【0086】
(実施例3)
実施例3においては、表1に記載した本発明の容器1を使用し固形状食品原料3として[ボイル済みのパスタ(生めん)]を使用し、湯きりした後、1回のみ加熱処理にて殺菌・調理し、放冷し、密封包装して、実施例1と同様にして試験し、試験結果を表1に示す。
【0087】
(実施例4)
実施例4においては、表1に記載した本発明の容器1を使用し固形状食品原料3として[米70%、麦20%、粟10%]を使用し、2回目の加熱処理を140℃の過熱蒸気を用いて13分間、炊飯した、以外は実施例1と同様にして密封包装して、実施例1と同様にして試験し、試験結果を表1に示す。
【0088】
(実施例5)
実施例5においては、表1に記載した本発明の容器1を使用し固形状食品原料3として[米、にんじん、鶏肉、油揚げ、ごぼう、こんにゃく]を使用し、図示しない添加装置を用いて調理水を100g添加した、以外は実施例1と同様にして密封包装して、実施例1と同様にして試験し、試験結果を表1に示す。
【0089】
表1から実施例3〜5では、膨らみやへこみなどの変形がない、もしくは少なく、また容器1の壁や底部に付着して残留する食品の粒の数が非常に少ないかあるいは付着がない。
実施例5では、にんじん、鶏肉、油揚げ、ごぼう、こんにゃくの剥がれも良好であった。
さらに電子レンジでの加熱後、容器1の側壁10を素手で持っても熱く感じ難かった。
【0090】
(実施例6)
固形状食品原料3(精白米)を容器1充填し、1回の加熱処理(炊飯)のみして、密封シールをクリーン環境内20で行わなかった以外は実施例1と同様に、食品を得て、実施例1と同様にして試験した結果、残粒数は、7粒と少なく、剥がれが良好であった。
さらに電子レンジでの加熱後、容器1の側壁10を素手で持っても熱く感じ難かった。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の食品製造および貯蔵用容器は、大型波型形状凹凸リブと小型波型形状凹凸リブからなる2重構造の波型形状凹凸リブが形成されているので、大型波型形状凹凸リブにより容器側壁が強化されて、加熱処理しても加熱によって容器の強度が低下せず、密封シール後の減圧変形に対しても強度があり、それにより膨れやへこみなどの変形が生じることがなく、食感や風味に優れた食品を製造することができる上、小型波型形状凹凸リブの存在により、加熱処理して得られた食品が容器内壁に付着しても、接触面積が少ないために、容器から剥がれ易く、また、同様に接触面積が少ないために、電子レンジ等で加熱しても熱く感じ難く容器を素手で持つことができ、しかも密封包装されているので食品の食感や風味を、そのまま維持して保存できるので、食品の貯蔵用にも使用できるという顕著な効果を奏するという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値は甚だ大きい。
【符号の説明】
【0092】
A 本発明で用いる食品製造装置
p、p’、P ピッチ
1 容器
2 開口部
3 固形状食品原料
4、4’ 凸リブ
5、5’ 凹リブ
6 大型の波型形状凹凸リブ
6’ 小型の波型形状凹凸リブ
7 底部
8 底部凹凸
9 底凹加工
10 容器側壁
11 フランジ
12 蓋材フィルム
13 食品
14 フラット部
15 容器側壁の内面
16 容器側壁の外面
20 クリーン環境
21、21b 加熱処理装置
22 出口
23 密封装置
24 入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する貯蔵用容器に固形状食品原料を充填し、加熱処理した後、前記開口部を密封シールする食品製造容器を兼ねた貯蔵用容器であって、
容器側壁の上下方向に沿う複数の凹リブと凸リブとが周方向に連なって構成された大型の波型形状凹凸リブを備えるとともに、前記大型の波型形状凹凸リブの凹リブおよび/または凸リブ上の少なくとも一部に、前記大型の波型形状凹凸リブに並行して、少なくとも2組の小型の凹リブと凸リブとからなる小型の波型形状凹凸リブが形成されて構成されていることを特徴とする食品製造および貯蔵用容器。
【請求項2】
前記小型の波型形状凹凸リブが、前記大型の波型形状凹凸リブの容器内部から見て凹リブ部分の容器内面および外面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の食品製造および貯蔵用容器。
【請求項3】
前記加熱処理の方法が、蒸気加熱であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の食品製造および貯蔵用容器。
【請求項4】
前記固形状食品原料が、1種あるいは2種以上の複合された穀類を含んでいることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器。
【請求項5】
前記小型の波型形状凹凸リブの隣り合う凸リブまたは凹リブのピッチは、前記容器に充填された全固形状食品原料を加熱処理した後における食品中の最大質量を構成する食品の個々の最短部の長さより短いことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器。
【請求項6】
前記容器の底部に、点状および/または波状の底部凹凸が形成され、前記底部凹凸の隣り合う凸部または凹部のピッチが、前記容器に充填された全固形状食品原料を加熱処理した後における食品中の最大質量を構成する食品の個々の最短部の長さより短いことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器。
【請求項7】
前記食品製造容器を兼ねた貯蔵用容器が電子レンジにて加熱可能な容器であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の食品製造および貯蔵用容器。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の開口部を有する貯蔵用容器に、固形状食品原料を充填し、加熱処理した後、前記開口部を密封シールすることを特徴とする食品の製造法。
【請求項9】
請求項8記載の製造法を用いて製造されたことを特徴とする食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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