説明

食品製造装置

【課題】 搬送コンベアのチェーンレスの金網ベルトに付着した食品屑などの付着物を衛生的に除去できるように構成した食品製造装置を提供せんとする。
【解決手段】 食品供給手段と、乾燥、焼成、或は味付けを行う各装置との間に、金網ベルトをそのリターン側ベルトにおいて洗浄する洗浄装置を設け、この洗浄装置は前記金網ベルトのリターン側ベルトを通過させる洗浄液を入れた洗浄液槽を有すると共に、前記洗浄液内には前記金網ベルトに蒸気を噴射させる蒸気噴射手段を設け、前記洗浄液槽内には前記洗浄液から引上げられた前記金網ベルトに気体を噴射させる気体噴射手段を設けることで解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンレスの金網ベルトを搬送コンベアとして用いた、とくに煎餅などの食品製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、煎餅などの米菓を製造する際に用いられる食品製造装置の一種としての熱風乾燥装置や焼成装置及び味付け装置において、煎餅生地のような米菓生地を搬送させる搬送コンベアに、それまでの両側にチェーンを用いた金網コンベアを廃して、チェーンのないチェーンレスの金網ベルトを使用した搬送コンベアを下記特許文献1で提案した。
【0003】
このチェーンレスの金網ベルトを用いた搬送コンベアは、金網ベルトの網目に駆動ローラと従動ローラに設けた歯部を引っ掛けて循環駆動させるものであった。このチェーンレスの金網ベルトを用いた搬送コンベアは、チェーンを省略することによって、安価に製造でき、さらに、チェーンに塗布させる潤滑油等が米菓生地に付着することがないので衛生的であるといった大きな利点を有するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−131357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、とくに、チェーレスの金網ベルトを用いた搬送コンベアを、型抜きを終えた煎餅生地のような米菓生地の食品供給手段と熱風乾燥装置の熱風乾燥室内との間を循環移動させて、型抜きした米菓生地を熱風乾燥室内へ搬送して最初の乾燥をさせ、次段の搬送コンベアへ移送コンベアを介して移送させた後、再び型抜き装置の側の食品供給手段へ戻ってくるように構成したものにあっては、とくに、型抜きした後の水分を含む軟らかい米菓生地をその金網ベルトのキャリア側ベルトに載置整列させて搬送して乾燥させるため、その表面に米菓生地の屑や移送コンベアで次段の搬送コンベアへ移送され損なった米菓生地などの付着物が付着し易く、衛生上、或は煎餅製造の歩留まりをよくするため、この付着物を除去する必要性が生まれた。
【0006】
本発明の目的は、搬送コンベアの金網ベルトに付着した食品屑など付着物を衛生的に除去できるように構成した食品製造装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために本発明に係る食品製造装置は、食品供給手段より供給される食品材料を、チェーンレスの金網ベルトを用いた搬送コンベア上に載置させて移送させることにより、乾燥、焼成、或は味付けを行う食品製造装置において、前記食品供給手段と、前記乾燥、焼成、或は味付けを行う装置との間に前記金網ベルトをそのリターン側ベルトにおいて洗浄する洗浄装置を設け、この洗浄装置は前記金網ベルトのリターン側ベルトを通過させる洗浄液を入れた洗浄液槽を有すると共に、前記洗浄液内には前記リターン側ベルトに蒸気を噴射させる蒸気噴射手段を設け、前記洗浄液槽内には前記洗浄液から引き上げられた前記金網ベルトに気体を噴射させる気体噴射手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る食品製造装置において、前記洗浄装置は、前記洗浄液槽内において洗浄液から引き上げられた前記リターン側ベルトに洗浄液を噴射させる洗浄液噴射手段を、さらに備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る食品製造装置において、前記蒸気噴射手段は、前記リターン側ベルトを挟んで一組ずつ一対設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る食品製造装置において、前記乾燥装置を、複数段の搬送コンベアを内部に収装させた熱風乾燥室を備えて成る熱風乾燥装置とし、この熱風乾燥室内の最上段の金網ベルトを用いた搬送コンベアを当該熱風乾燥室内と前記食品供給手段との間を循環するものと成し、前記金網ベルトの前記熱風乾燥室と前記食品供給手段との間のリターン側ベルトを洗浄する前記洗浄装置を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明に係る食品製造装置によれば、搬送コンベアのチェーンレスの金網ベルトに付着した食品屑など付着物を洗浄装置で確実に除去できるので、食品屑などの付着してない衛生性に富んだ表面のきれいな食品を歩留まりよく製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る熱風乾燥装置の説明図である。
【図2】本発明に係る熱風乾燥装置に用いる金網ベルトの一部平面図である。
【図3】本発明に係る熱風乾燥装置に用いる金網ベルトの移送コンベアと金網ベルトの歯付きローラに対する懸架状態を説明するための説明図である。
【図4】本発明に係る熱風乾燥装置に用いる金網ベルトの拡大図である。
【図5】本発明に係る熱風乾燥装置に用いられる洗浄装置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明に係る食品製造装置を、その一例としての熱風乾燥装置に適用した場合について、添付図面に基づいて詳細に説明する。がしかし、本発明に係る食品製造装置は、熱風乾燥装置に限定されるものではなく、チェーンレスの金網コンベアを搬送コンベアとして用い、運転中に食品屑などの付着物が付着する、例えば、乾燥装置、焼成装置(オ−ブン)、或は味付け装置などの食品製造装置に広く適用できるものである。
【実施例1】
【0014】
なお、本願明細書において、食品材料とは、食品生地、或は米菓生地という場合も含めて、乾燥する前の状態のもの、乾燥後に焼成されたり、味付けされたりする前の状態のものなどを含むものとする。本発明の形態では、食品材料として米菓生地の場合について説明するが、これに限定されるものではなく、スナック菓子その他の食品生地も含まれる。
【0015】
本発明に係る食品製造装置としての熱風乾燥装置1は、図1〜図3に示すように、熱処理室である熱風乾燥室2内に、乾燥させる米菓生地aを搬送する金網ベルト3を用いた搬送コンベア4〜12を複数段設けると共に、最上段の搬送コンベア4から順次移送コンベア15〜20を介して、次段の搬送コンベア5〜12に順次搬送させて乾燥させるものにおいて、最上段の搬送コンベア4を食品供給手段23より熱風乾燥室2内に出入りするものと成し、食品供給手段23と熱風乾燥室2との間に、搬送コンベア4の金網ベルト3をそのリターン側ベルト3fにおいて洗浄する洗浄装置28を設け、この洗浄装置28を、前記金網ベルト3のリターン側ベルト3fを通過させる洗浄液30を入れた洗浄液槽29を有するものにすると共に、前記洗浄液30内には前記金網ベルト3のリターン側ベルト3fに蒸気を噴射させる蒸気噴射手段37、38を設け、前記洗浄液槽29内には前記洗浄液30から引き上げられた前記リターン側ベルト3fに気体を噴射させる気体噴射手段41、42を設けたことを特徴とする。
【0016】
熱風乾燥室2は、長い箱型で形成されている。この熱風乾燥室2の周囲は断熱材で覆われていると共に、長さが例えば80mから200mもあるという長大なものもあり、図面では大幅に長さを省略して図示してある。熱風乾燥室2の内部には、複数の加熱用ヒーター21や熱風撹拌用ファン22がほぼ等間隔に略全長に渡って設置されており、同じく内部容積のほとんどを使用して、搬送コンベア4〜12が全長に渡って複数段設けられている。
【0017】
各搬送コンベア4〜12は、チェーンレスの金網ベルト3を用いたものであり、それぞれに無端状の金網ベルト3が駆動ローラ25と従動ローラ26に掛け渡されて循環走行するものである。なお、指示記号43はガイドローラである。例えば、駆動ローラ25と従動ローラ26の表面には、複数の歯部25c…・26c…が設けられており、この歯部25c…・26c…に金網ベルト3の連結線材3cが係合して、駆動ローラ25の回転駆動力により無端状の金網ベルト3が循環走行する。なお、これらの各搬送コンベア4〜12は、それぞれ独立しており、それぞれ単独で駆動されるものである。また、はっきりと図示してないが、各歯部25cは各右巻き螺旋材3aや左巻き螺旋材3bの下側に位置し、網目3dの外側には突出して来ない構成である。駆動ローラ25と従動ローラ26は、とくに図4において駆動ローラ25について図示したように、歯付きローラ25aと歯無しローラ25bを回転シャフト25dに対し軸方向に渡って交互に取り付けたものであることが好ましい。そして、搬送コンベアの数にはとくに限定はない、図示したものより多いものもあれば、少ないものもある。
【0018】
金網ベルト3は、長さが長いものであり、例えば、熱風乾燥室2の長さが80mから200mと寸法が長い場合には、略その倍の長さがある。金網ベルト3としては、とくに限定されず、例えば、右巻き螺旋材3aと左巻き螺旋材3bとを連結線材3cで連結して構成されているもの等が挙げられる。各螺旋材3a、3b、及び連結線材3cの材質は、例えば、煎餅の製造工程に耐え得るものであればとくに限定されず、例えば、ステンレス、亜鉛引き線材等が挙げられる。
【0019】
最上段の搬送コンベア4は、他の搬送コンベア5〜12よりも長く、熱風乾燥室2の一端部に形成された入口2aより外部へ導出され、図示してない型抜き装置から食品供給手段23としての必ずしも金網ベルトである必要はない搬送コンベアの下側に設置した従動ローラ26に掛け渡されており、食品供給手段23からの米菓生地aが搬送コンベア4の金網ベルト3上に移送されるようになっている。その従動ローラ26の近傍であって、この従動ローラ26に掛け渡された金網ベルト3のリターン側ベルト3fの下方には、離型剤塗布装置24が設けられている。この離型剤塗布装置24は、金網ベルト3のリターン側ベルト3fの米菓生地aが載せられる表面側に離型剤を塗布するものである。この離型剤塗布装置24は、リターン側ベルト3fの表面に離型剤を塗布できればとくに限定されるものではない。
【0020】
駆動ローラ25の外周に巻架されている金網ベルト3(搬送コンベア4の搬出端)には、上段の搬送コンベア4から次段の搬送コンベア5に米菓生地aを順次移送する次段移送手段である移送コンベア13が設けられている。この移送コンベア13は、例えば、キャンバス製の移送エンドレスベルト13aを金網ベルト3に圧接させることによって、米菓生地aを金網ベルト3と移送エンドレスベルト13aの間に挟んで、上段の搬送コンベア4の金網ベルト3上から次段の搬送コンベア5の金網ベルト3上へ移送するように構成されている。また、図1と図2には省略してあるが、図3において図示した金網ベルト3の下側に接して設けられているものは、当該金網ベルト3が進行方向に垂れたり、或は進行方向と直交する方向へ湾曲化して水平状態にならないのを防止するためのたわみ防止部材2b、2cである。金網ベルトが進行方向へ垂れたり、進行方向と直行する方向へ湾曲したりすると、整列載置した米菓生地がくっついたり、重なったりすることにより、歩留まりが悪くなるものであり、主としてこれを防止するためのものである。このたわみ防止部材2b、2cは金網ベルト3のキャリア側ベルト3eとリターン側ベルト3fの両方の下側に接して当該金網ベルト3の進行方向に複数本間隔を空けて設けることが好ましい。
【0021】
移送コンベア13は、例えば、図3に示したように、搬送コンベア4の搬出端側の駆動ローラ25より上方に設けられている移送駆動ローラ13bと、搬送コンベア4の搬出端側に対向して設けられている移送従動ローラ13cと、次段の搬送コンベア5の金網ベルト3の上面であって上段の搬送コンベア4の搬出端側の駆動ローラ25より次段の搬送コンベア5の搬送方向前方に設けられているガイドローラ13dとで構成されている。なお、図3において、指示記号13eで示したものは、金網ベルト3に付着して移送されずに残っている米菓生地を落下させて元位置へ戻すための歯部付きの戻しローラである。この戻しローラ13eはある場合とない場合がある。
【0022】
搬送コンベア4を構成する金網ベルト3のリターン側ベルト3fに、このリターン側ベルト3fを洗浄する洗浄装置28が設置されている。この洗浄装置28は、図1に示したように、食品供給手段23と熱風乾燥室2の間に設置されており、支持台27に洗浄液槽29が取り付けられている。尚、図面では、洗浄装置28と食品供給手段23の間に、離型剤塗布装置24が設置されている。洗浄装置28はさらに、洗浄液槽29内に入れられたところの水や好ましくはお湯などの洗浄液30と、洗浄液槽29の洗浄液30内に設けた蒸気噴射手段37、38と、洗浄液30外ではあるが、洗浄液槽29内に設けた洗浄液噴射手段39、40と、同じく洗浄液槽29内の洗浄液噴射手段39、40に続いて設けられた気体噴射手段41、42と、洗浄液槽29内に金網ベルト3のリターン側ベルト3fを導入させて浸漬させる第1〜第4のガイドローラ33〜36とで構成されている。このうち第1ガイドローラ33は、熱風乾燥室2の外側に位置する搬送コンベア4の機枠4aに取り付けた第1取付機枠31に取り付けられ、第4ガイドローラ36は機枠4aに取り付けられている。第2ガイドローラ34と第3ガイドローラ35は第1取付機枠31に取り付けた第2取付機枠32へ取り付けられている。なお、熱風乾燥室2内において金網ベルト3に付着した食品屑等を除去する手段は、図示してない気体噴射手段や金網ベルトに噛み合うスプロケットなどを単独或は併用して用いる。洗浄液30は、好ましくはお湯であるが、その他のアルカリ性或は酸性等の食品屑の剥離効果を期待できるものとすることもできる。
【0023】
第2ガイドローラ34と第3ガイドローラ35は洗浄液30内に浸漬されており、洗浄液槽29の底部29aは一方向へ傾斜している。このことにより、洗浄液槽29内部に溜まったドレンをドレンパイプ29bを介して外部へ排出し易いように構成されている。指示記号29cのものは、洗浄液30のレベルを一定に保つための排液口である。洗浄液30はこの排液口29cから排液管27aを介して外部へ排出される。第1ガイドローラ33から第4ガイドローラ36は、その速度を変速させ金網ベルト3の移動速度より遅くすることができる。各ガイドローラの数や取り付け場所については、とくに限定はなく、実施例のものに限定されない。
【0024】
洗浄液槽29は、ステンレス或は合成樹脂製であることが好ましいが、これらに限定されない。洗浄液30は、上述したように、水かお湯が好ましく、必要に応じて交換する。洗浄液30が常に洗浄液槽29内を流れるように構成することが好ましい。
【0025】
蒸気噴射手段37、38は、金網ベルト3に付着している米菓生地の付着物(カスや屑)を吹き飛ばして剥離させるためのもので、図面では金網ベルト3のリターン側ベルト3fを挟んだ両側に一対ずつ設けられているが、一対のみでも良いし、もっと多くても良い。また、リターン側ベルト3fの片面側に設けられても良い。この蒸気噴射手段37、38は、蒸気噴射パイプ37a、38aに複数の小孔(図示を省略)を設け、この小孔より蒸気を噴射させて、金網ベルト3に付着している付着物を除去するものである。
【0026】
洗浄液噴射手段39、40は、金網ベルト3に付着している残りの付着物を吹き飛ばして除去するためのもので、金網ベルト3のリターン側ベルト3fを挟んだ両側に洗浄液噴射パイプ39a、40aが設けられ、この洗浄液噴射パイプ39a、40aに複数の小孔(図示を省略)が設けられており、この小孔から洗浄液を噴射させて金網ベルト3を清掃するものである。この洗浄液噴射パイプ39a、40aは、一対のみであるが、もっと多く設けても良い。
【0027】
気体噴射手段41、42は、洗浄の結果、金網ベルト3に付着している洗浄液等をまだ残っている付着物と共に吹き飛ばして除去し、乾燥させるためのもので、金網ベルト3のリターン側ベルト3fを挟んだ両側に配置した気体噴射ノズル41a、42aを用いて、その先端より気体を噴射させるものである。尚、上記蒸気噴射手段37、38と洗浄液噴射手段39、40の全部或は一部を単に小孔を設けたパイプとすることなく複数のノズルとすることは可能である。また、小孔に代えて幅の狭いスリットとすることも可能である。さらに、気体噴射手段41、42は複数の小孔等を設けた気体噴出パイプとする事も可能である。
【0028】
第1〜第4のガイドローラ33〜36のうち、全部或は一部は、歯付きのガイドローラであっても良い。また、ガイドローラの数や用い方にはとくに限定はない。さらに、金網ベルト3を洗浄液槽29内で移動させる態様についても限定はない。洗浄液噴射手段39、40は、これがあるとより完全に金網ベルト3に付着している付着物を除去できるが、洗浄液槽29内の洗浄液30の温度を高め、蒸気噴射手段37、38による蒸気噴射能力を高めることによって、洗浄液噴射手段39、40を省略することも可能である。
【0029】
以下に本発明に係る食品製造装置の一例としての上述した熱風乾燥装置1の作用について説明する。例えば図示してない型抜き装置で型抜きされた、例えば煎餅生地のような米菓生地aは、食品供給手段23としての搬送コンベアより、図2に示したように、金網ベルト3から成る搬送コンベア4のキャリア側ベルト3e上に整列載置されて熱風乾燥装置1の熱風乾燥室2内へその入口2aより搬入され、この熱風乾燥室2内での熱風雰囲気の中において少しずつ乾燥されてその終端部に至り、この終端部において移送コンベア13を介して第2段目の搬送コンベア5上へ移送され、その終端部にまで搬送される間にさらに乾燥されて、次の移送コンベア14によって第3段目の搬送コンベア6に移送され、順次下段の搬送コンベア7〜12の終端部より、移送コンベア15〜20を介して移送されて搬送される間に乾燥され、最下段の搬送コンベア12より搬送コンベア44を介して次の例えば焼成工程へ搬送される。
【0030】
上記乾燥工程において、最上段の搬送コンベア4上に整列載置されて搬送される米菓生地aは、例えば型抜き装置によって型抜きされた後の軟らかい水分を含んだものであるため、その外皮の部分が金網ベルトの表面に付着して剥がれ、金網ベルト3の表面に残っていたり、米菓生地aそのものが、移送コンベア13で次段の搬送コンベア5上へ移送されずに金網ベルトの表面に付着して残っている場合等がある。この米菓生地aから剥がれて最上段の搬送コンベア4の金網ベルト3の表面に付着した屑や、米菓生地から成る付着物を取り除くために洗浄装置28が設けられている。2段目以降の搬送コンベア5〜12に米菓生地aが移送される頃には、当該米菓生地aはその表面が乾燥されて粘着性がなくなり、金網ベルト3の表面に食品屑が付着しにくくなるので、洗浄装置28を設置する必要性は薄くなる。
【0031】
熱風乾燥室2の入口2aより外部へ引き出され、食品供給手段23(搬送コンベア)の方へ戻される金網ベルト3のリターン側ベルト3fは、図5に示したように、第1のガイドローラ33を介して洗浄液槽29内に導かれ、第2のガイドローラ34と第3のガイドローラ35によって洗浄液30に漬けられつつ移動する間に剥がれ易くなり、蒸気噴射手段37、38からの蒸気の吹き付けを受けてその表面に付着している屑や米菓生地等の付着物が洗浄液30の中に吹き飛ばずことによって除去される。
【0032】
次いで、第4のガイドローラ36によって、洗浄液30から引き上げられる時に、洗浄液槽29内において洗浄液噴射手段39、40からの洗浄液の噴射を受け、金網ベルト3に付着している付着物等が吹き飛ばされて除去され、洗浄液槽29内へ落下する。次いで、気体噴射手段41、42から気体が噴射され、金網ベルト3に付着している洗浄液或は残っている付着物を吹き飛ばして除去し、金網ベルト3を乾かす。この際には、気体噴射手段41、42で吹き飛ばされる洗浄液や付着物が洗浄液槽29内に落下するように、気体噴射手段41、42の設置位置が定められることが望ましい。
【0033】
次いで、第4ガイドローラ36を介して金網ベルト3は、次の離型剤塗布装置24に至り、ここにおいて離型剤を塗布された状態で従動ローラ26に至り食品供給手段23からの次の米菓生地の供給を受けることになる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上詳細に説明したように、本発明は金網ベルトを用いたところの食品材料を搬送する搬送コンベアを洗浄できるので、金網ベルトを用いた搬送コンベアで食品材料を搬送して加工する乾燥装置や焼成装置及び味付け装置等の食品製造装置に適用して好適であり、とくに、食品製造装置の中でも米菓生地を乾燥させる乾燥装置に実施することが最適である。
【符号の説明】
【0035】
1 熱風乾燥装置
2 熱風乾燥室
2b、2c たわみ防止部材
3 金網ベルト
3e キャリア側ベルト
3f リターン側ベルト
4 搬送コンベア
4a 機枠
5、6、7、8、9、10、11、12 搬送コンベア
13、14、15、16、17、18、19、20 移送コンベア
21 加熱用ヒーター
22 熱風撹拌用ファン
23 食品供給装置
25 駆動ローラ
25a 歯付きローラ
25b 歯無しローラ
25c、26c 歯部
25d 回転シャフト
26 従動ローラ
28 洗浄装置
29 洗浄液槽
30 洗浄液
33 第1ガイドローラ
34 第2ガイドローラ
35 第3ガイドローラ
36 第4ガイドローラ
37、38 蒸気噴射手段
39、40 洗浄液噴射手段
41、42 気体噴射手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品供給手段より供給される食品材料を、チェーンレスの金網ベルトを用いた搬送コンベア上に載置させて移送させることにより、乾燥、焼成、或は味付けを行う食品製造装置において、前記食品供給手段と、前記乾燥、焼成、或は味付けを行う各装置との間に、前記金網ベルトをそのリターン側ベルトにおいて洗浄する洗浄装置を設け、この洗浄装置は、前記金網ベルトのリターン側ベルトを通過させる洗浄液を入れた洗浄液槽を有すると共に、前記洗浄液内には前記リターン側ベルトに蒸気を噴射させる蒸気噴射手段を設け、前記洗浄液槽内には前記洗浄液から引き上げられた前記リターン側ベルトに気体を噴射させる気体噴射手段を設けたことを特徴とする、食品製造装置。
【請求項2】
前記洗浄装置は、前記洗浄液槽内において前記洗浄液から引き上げられた前記リターン側ベルトに洗浄液を噴射させる洗浄液噴射手段を、さらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の食品製造装置。
【請求項3】
前記蒸気噴射手段は、前記リターン側ベルトを挟んで一組ずつ一対設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の食品製造装置。
【請求項4】
前記乾燥装置は、複数段の搬送コンベアを内部に収装させた熱風乾燥室を備えて成る熱風乾燥装置であって、前記熱風乾燥室内の最上段の金網ベルトを用いた搬送コンベアを当該熱風乾燥室内と前記食品供給手段との間を循環するものと成し、前記金網ベルトの前記熱風乾燥室と前記食品供給手段との間の前記リターン側ベルトを洗浄する前記洗浄装置を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の食品製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−195493(P2010−195493A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38609(P2009−38609)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(591095708)株式会社新井機械製作所 (15)
【Fターム(参考)】