食品調理用容器

【課題】 加熱により発生する蒸気を利用した調理が可能であると共に、加熱後の冷却による変形が抑制される食品調理用容器を提供する。
【解決手段】 食品調理用容器7は、胴本体10と、胴本体10に密閉状態に嵌合する蓋体20とから構成されている。胴本体10には、その側壁12の上端部16と、上端部16の内方側に形成された段部17とからなる第1嵌合部分15が形成されている。又、蓋体20には、嵌合状態において第1嵌合部分15の側壁12の上端部16に密着する密着部26と、第1嵌合部分15の段部17の側面に密着する鍔部27とからなる第2嵌合部分25が形成されている。更に、第1嵌合部分15の段部17の側面には、第1の溝31a、31bが形成されている。第1の溝31a、31bは、加熱後の冷却によって食品調理用容器7が変形すると、外部と食品調理用容器7内とを通気するように作用し、食品調理用容器7の変形が抑制される。
【解決手段】 食品調理用容器7は、胴本体10と、胴本体10に密閉状態に嵌合する蓋体20とから構成されている。胴本体10には、その側壁12の上端部16と、上端部16の内方側に形成された段部17とからなる第1嵌合部分15が形成されている。又、蓋体20には、嵌合状態において第1嵌合部分15の側壁12の上端部16に密着する密着部26と、第1嵌合部分15の段部17の側面に密着する鍔部27とからなる第2嵌合部分25が形成されている。更に、第1嵌合部分15の段部17の側面には、第1の溝31a、31bが形成されている。第1の溝31a、31bは、加熱後の冷却によって食品調理用容器7が変形すると、外部と食品調理用容器7内とを通気するように作用し、食品調理用容器7の変形が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は食品調理用容器に関し、特に、オーブンや電子レンジや蒸し器等での加熱によって発生する蒸気を利用した調理が可能な食品調理用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品容器には、金属、プラスチック、紙及び多層フィルム等よりなる種々のものが存在している。このような食品容器は、容器内に調理物を入れ、オーブンや電子レンジ等で加熱する調理器具(食品調理用容器)として使用される場合がある。しかしながら、食品調理用容器が完全に密封されたものである場合、加熱によって調理物から発生する水蒸気によって食品調理用容器内の圧力が高くなり、食品調理用容器が膨張して破裂してしまうという問題があった。
【0003】
そこで、加熱時における食品調理用容器内の蒸気の一部を外部に排出するために、椀状の底材にシール加工された積層フィルムに蒸気抜き孔を有する折り返し重ね合わせ部を形成し、その内面を易剥離性テープでシールする食品調理用容器が提案されている(特許文献1)。このような食品調理用容器は、加熱によって容器内の圧力が高くなると積層フィルムの膨張によって易剥離性テープが自動的に剥離する。すると、折り返し重ね合わせ部の蒸気抜き孔を介して容器内と外部とが連通するため、容器内の蒸気を外部に排出することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示された食品調理用容器は、加熱後は積層フィルムを底材から剥離して使用するため、繰り返して使用したり、食品を保存したりするには不向きなものであった。このような問題を解決するために、容器本体と蓋部材とを脱着自在に嵌合することのできる食品調理用容器が提案されている。
【0005】
図19は特許文献2で開示された食品調理用容器の分解斜視図であり、図20は図19で示したXX−XXラインの拡大断面図であって、容器本体と蓋部材とが加熱用の状態で嵌合したものである。
【0006】
図を参照して、食品調理用容器である包装容器70は、合成樹脂よりなる円形椀状の容器本体71と、容器本体71に脱着自在に嵌合する蓋部材81とから構成されている。
【0007】
容器本体71は、その上縁部72が断面コの字状に形成されていると共に、上縁部72の一部に凹部73が形成されている。蓋部材81は、その周縁部82が容器本体71の上縁部72に脱着自在に嵌合できるように形成されている。更に、周縁部82には、その上端から外方側に延びる把手部85と、把手部85の内側に突出する膨出部86とが形成されている。
【0008】
このような包装容器70においては、食品等を収容した容器本体71の凹部73と、蓋部材81の把手部85及び膨出部86との位置を周方向に合わせ、容器本体71に蓋部材81を嵌合し、加熱用の状態にして加熱する。すると、図20で示すように、蓋部材81の把手部85と容器本体71の凹部73との間に隙間が発生するため、蓋部材81の膨出部86及び容器本体71の凹部73を介して、包装容器70内と外部とが連通した状態となる。従って、図の矢印で示すように、加熱時に発生する包装容器70内の水蒸気が外部へと排出されるため、包装容器70内の圧力が過度に高くなることが無く、包装容器70が膨張して破裂する虞が無い。
尚、包装容器70は、容器本体71の凹部73と蓋部材81の把手部85及び膨出部86とを周方向にずらした状態で、容器本体71に蓋部材81を嵌合すると、完全な密封状態となるように各部分が形成されている。従って、このような保存用の状態で食品等を保存することによって、収容物が外気に触れることが無くなり、良好な保存状態が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−76833号公報
【特許文献2】特許第3751194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような従来の食品調理用容器では、加熱時において容器内の蒸気を常時排出する構造となっているため、加熱により発生する水蒸気を利用した調理(蒸し調理等)ができないものであると共に、調理物の水分が必要以上に外部に排出されてしまっていた。
【0011】
そこで、例えば特許文献2で開示された食品調理用容器を上述した保存用の状態にする等、容器本体と蓋部材とを略密封した状態で加熱する方法も考えられるが、この場合は加熱後において問題が生じる。即ち、加熱後に食品調理用容器が冷却されて水蒸気が水へと変化すると、容器内の圧力が加熱前の状態より低くなってしまうため、外気圧に押圧されて食品調理用容器が変形してしまい、美観が損なわれたり、破損したりする虞があった。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、加熱により発生する蒸気を利用した調理が可能であると共に、加熱後の冷却による変形が抑制される食品調理用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、加熱により発生する蒸気を利用した調理が可能な食品調理用容器であって、可撓性材料よりなる胴本体と、可撓性材料よりなり、胴本体に脱着自在に密閉状態で嵌合する蓋体とを備え、胴本体と蓋体との嵌合部分の少なくとも一方に、加熱後の蒸気の冷却による胴本体及び蓋体の少なくとも一方の変形によって胴本体への通気を生じる通気手段が設けられるものである。
【0014】
このように構成すると、冷却によって胴本体又は蓋体のいずれかが変形すると容器内部に外気が流入する。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、胴本体の嵌合部分は、側壁の上端部と、上端部の全周に内方側において垂直下方に形成された段部とからなり、蓋体の嵌合部分は、外方周縁の下面であって、側壁の上端部に密着状態に嵌合する密着部と、密着部の内方側の全周から垂下状態に形成され、段部の側面に密着状態に嵌合する鍔部とからなり、通気手段は、段部の側面の上端から下方に向かって形成された第1の溝を含むものである。
【0016】
このように構成すると、冷却による変形で、段部と鍔部とが離れるように変形する。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、第1の溝は、段部における鍔部との密着部分を下方に越えた位置まで形成されるものである。
【0018】
このように構成すると、第1の溝による通気状態が早く生じる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明の構成において、胴本体にあっては、側壁の上端部には水平方向に延びる一対の取手が形成され、第1の溝は取手が形成されている位置から離れた位置に形成されるものである。
【0020】
このように構成すると、冷却による変形が生じ易い位置に第1の溝が形成される。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、胴本体及び蓋体は、第1の溝及び取手を除き垂直軸に対して円対称形状を有すると共に、第1の溝は取手の各々を通る方向に対して直交する方向に一対形成されるものである。
【0022】
このように構成すると、胴本体の変形が大きく生じる箇所に第1の溝が形成される。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、胴本体の嵌合部分は、側壁の上端部と、上端部の全周に内方側において垂直下方に形成された段部とからなり、蓋体の嵌合部分は、外方周縁の下面であって、側壁の上端部に密着状態に嵌合する密着部と、密着部の内方側の全周から垂下状態に形成され、段部の側面に密着状態に嵌合する鍔部とからなり、通気手段は、鍔部であって段部との密着部分において下端から上方に向かって形成された第2の溝を含むものである。
【0024】
このように構成すると、冷却による変形で、段部と鍔部とが離れるように変形する。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の構成において、可撓性材料は、JIS K6253に準拠したデュロメータ硬さが10〜90のシリコーンゴムを含むものである。
【0026】
このように構成すると、密着状態が維持され易く、変形し易い。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、冷却によって胴本体又は蓋体のいずれかが変形すると容器内部に外気が流入するため、容器の変形が過大にならず、美観が保持されると共に破損が防止される。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、冷却による変形で、段部と鍔部とが離れるように変形するため、変形が進むと、第1の溝を通して容器内部への通気が確実に生じる。
【0029】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、第1の溝による通気状態が早く生じるため、容器の変形をより小さくできる。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明の効果に加えて、冷却による変形が生じ易い位置に第1の溝が形成されるため、第1の溝による通気が早く且つ確実に生じる。
【0031】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、胴本体の変形が大きく生じる箇所に第1の溝が形成されるため、変形を効率的に防止できる。
【0032】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、冷却による変形で、段部と鍔部とが離れるように変形するため、変形が進むと、第2の溝を通して容器内部への通気が確実に生じる。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、密着状態が維持され易く、変形し易いため、容器の密閉性及び通気性の性能を引き出し易い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の第1の実施の形態による食品調理用容器の分離状態を示す側面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの断面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【図4】図1で示したIV−IVラインから見た蓋体の図である。
【図5】図1で示したV−Vラインから見た図である。
【図6】図1で示したVI−VIラインから見た図である。
【図7】図2で示したX部分の拡大図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIから見た図である。
【図9】図7で示したIX−IXラインから見た図である。
【図10】図1で示した食品調理用容器の嵌合状態を示す断面図である。
【図11】図10の(1)で示したY部分の拡大図である。
【図12】図10の(2)で示したZ部分の拡大図である。
【図13】図10で示した嵌合状態の食品調理用容器の状態を示す概略断面図である。
【図14】図13で示した食品調理用容器の第1の溝付近の図である。
【図15】この発明の第2の実施の形態による食品調理用容器の分離状態を示す断面図である。
【図16】図15で示したXVI−XVIラインの断面図である。
【図17】図15で示したG部分における嵌合状態を示す拡大図である。
【図18】図15で示した食品調理用容器の嵌合状態における第2の溝付近の状態を示す概略断面図である。
【図19】従来の食品調理用容器の分解斜視図である。
【図20】図19で示したXX−XXラインの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1はこの発明の第1の実施の形態による食品調理用容器の分離状態を示す側面図であり、図2は図1で示したII−IIラインの断面図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインの断面図であり、図4は図1で示したIV−IVラインから見た蓋体の図であり、図5は図1で示したV−Vラインから見た図であり、図6は図1で示したVI−VIラインから見た図である。
【0036】
これらの図を参照して、食品調理用容器7は、シリコーンゴムよりなる円形椀状の胴本体10と、胴本体10に図の矢印で示すように脱着自在に密閉状態に嵌合する、シリコーンゴムよりなる円板状の蓋体20とから構成されている。尚、シリコーンゴムはJIS K6253に準拠したデュロメータ硬さが10〜90のものを使用するのが好ましい。
【0037】
ここで、図1〜図3及び図6を参照して、胴本体10は、その中心部分が隆起した円板状の底部11と、底部11の外縁から上方に延びる側壁12とを備えている。又、側壁12の上端部16と、側壁12の上端部16の全周の内方側において垂直下方に形成された段部17とからなる、後述する蓋体20の第2嵌合部分25が脱着自在に係合する第1嵌合部分15が形成されている。更に、側壁12の上端部16の対向位置には、外方側に水平方向に延びる、一対の取手13a、13bが形成されている。
【0038】
尚、胴本体10は、取手13a、13b及び後述する第1の溝31a、31bを除き、垂直軸(図6の貫通方向)に対して円対称形状を有している。そして、図2で示す胴本体10における取手13a、13bを除く外径R2は100mmに設定されている。又、図2で示す段部17の高さ(深さ)H2は3.5mmに設定されている。
【0039】
更に、胴本体10の第1嵌合部分15の段部17の側面には、取手13a、13bの各々を通る方向(図6の左右方向)に対して直交する方向(図6の上下方向)に、通気手段である一対の第1の溝31a、31bが上下方向に形成されている。第1の溝31a、31bは、後述する加熱後の冷却による食品調理用容器7の変形によって、胴本体10内と外部とを通気するものである。第1の溝31a、31bの詳細な形状、具体的な作用及び効果については後述する。
【0040】
次に、図1〜図5を参照して、蓋体20は、ドーナツ型板状の本体21と、本体21の上面中央に形成された円筒形状の把持部22とを備えている。尚、図2で示すように、蓋体20の外形R1は100mmに設定されていると共に、胴本体10と同様に垂直軸に対して円対称形状を有している。
【0041】
又、蓋体20は、本体21の外方周縁の下面であって、後述する嵌合状態において第1嵌合部分15の側壁12の上端部16に密着する密着部26と、密着部26の内方側の全周から垂下状態に形成され、後述する嵌合状態において第1嵌合部分15の段部17の側面に密着する鍔部27とからなる第2嵌合部分25を備えている。尚、図2で示す鍔部27の高さ(深さ)H1は3.4mmに設定されている。
【0042】
次に、第1の溝31a、31bの詳細な形状について説明する。
【0043】
図7は図2で示したX部分の拡大図であり、図8は図7で示したVIII−VIIIから見た図であり、図9は図7で示したIX−IXラインから見た図である。
【0044】
これらの図を参照して、胴本体10の第1の溝31aは、第1嵌合部分15の段部17の側面の上端から下方に向かって半円柱状に形成されている。尚、図7で示すように、側壁12の上端部16における段部17を除く厚みAは2.0mmに設定されており、第1の溝31aの深さBは0.8mmに設定されている。又、図8で示すように、半円柱状の第1の溝31aの幅Cは1.6mmに設定されていると共に、高さDは3.0mmに設定されている。上述した通り、段部17の高さH2は3.5mmに設定されているため、第1の溝31aは段部17の側面における下端付近まで形成されることになる。
【0045】
次に、図1で示した胴本体10に蓋体20が嵌合した状態の食品調理用容器7の構造について説明する。
【0046】
図10は図1で示した食品調理用容器の嵌合状態を示す断面図であって、(1)は図2に対応するものであって、(2)は図3に対応するものであり、図11は図10の(1)で示したY部分の拡大図であり、図12は図10の(2)で示したZ部分の拡大図である。
【0047】
これらの図を参照して、食品調理用容器7の胴本体10に蓋体20が嵌合した状態では、蓋体20の第2嵌合部分25の密着部26が、胴本体10の側壁12の上端部16に密着している。更に、蓋体20の第2嵌合部分25の鍔部27が、胴本体10の第1嵌合部分15の段部17の側面に密着している。尚、図11に示すように、第1嵌合部分15の第1の溝31が形成されている部分においても、蓋体20の第2嵌合部分25の密着部26が、胴本体10の側壁12の上端部16に密着した状態となっている。従って、蓋体20は胴本体10に密閉状態で嵌合することになる。
【0048】
又、上述した通り、第1嵌合部分15の段部17の高さは3.5mmに設定されていると共に、第2嵌合部分25の鍔部27の高さは3.4mmに設定されているため、鍔部27の下端と段部17の底部との間に隙間45が発生している。即ち、蓋体20は、胴本体10の側壁12の上端部16のみで支持されている。
【0049】
更に、図11で示すように、第2嵌合部分25の鍔部27の外方下端は面取りされているため、第1の溝31の下端が段部17における鍔部27との密着部分より下方側に位置する。従って、第1の溝31は、嵌合状態において隙間45を介して食品調理用容器7内と常時連通した状態となっている。
【0050】
次に、蒸し料理等をするために、食品調理用容器7を電子レンジ等で加熱した場合の状態について説明する。
【0051】
図13は図10で示した嵌合状態の食品調理用容器の状態を示す概略断面図であって、(1)は加熱中を示すものであって、(2)は加熱後の冷却状態を示すものであり、図14は図13で示した食品調理用容器の第1の溝付近の図であって、(1)は図13の(1)のF1部分の拡大図であって、(2)は図13の(2)のF2部分の拡大図である。
【0052】
まず図13の(1)及び図14の(1)を参照して、調理物51が収容された胴本体10に蓋体20が密閉状態に嵌合された状態で食品調理用容器7を加熱すると、図の矢印で示すように調理物51に含まれる水分から水蒸気52が発生する。そして、蓋体20は胴本体10に対して載置する形で密閉状態に嵌合しているため、大量の水蒸気52の発生によって食品調理用容器7内の圧力P1が過度に高くなると、蓋体20が胴本体10から若干浮き上がる。すると、図13の(1)の破線矢印で示すように水蒸気52の一部や食品調理用容器7内の既存の空気が外部に排出される。そして、食品調理用容器7内の圧力P1が一定の大きさ未満になると、蓋体20の浮き上がりが無くなり、再度密閉状態となる。このように、水蒸気52は加熱時において常時排出されず、上述した一定条件下において一時的にのみ排出されるため、食品調理用容器7が膨張して破裂する虞が無くなる。又、加熱後しばらく経つと食品調理用容器7内は加熱蒸気で充満される状態となり、調理物51を蒸し調理することができる。
【0053】
そして、調理物51の蒸し調理が終了し、加熱を終了した直後においては、上述のように食品調理用容器7内は既存の空気が略排出され、水蒸気52で充満した状態となる。尚、この時の食品調理用容器7内の圧力P1は飽和蒸気圧近くとなり、加熱前の食品調理用容器7内の圧力より大きくなる。
【0054】
次に図13の(2)及び図14の(2)を参照して、加熱が終了して外気等によって食品調理用容器7が冷却されると、食品調理用容器7内に充満していた水蒸気52の一部が液化して水になる。従って、食品調理用容器7内に占める水蒸気52の体積が減少するため、食品調理用容器7内の圧力P2が低下し、加熱前の食品調理用容器7内の圧力(外気圧に相当)より低い状態となる。すると、図13の(2)の矢印で示すように、食品調理用容器7の内外での圧力バランスが崩れて外気圧によって食品調理用容器7が外方から押圧され、食品調理用容器7の胴本体10及び蓋体20が凹むように変形する。
【0055】
ここで、図14の(2)を参照して、上述した食品調理用容器7の変形によって、厚肉の第1嵌合部分15に比べて曲げ剛性の低い胴本体10の側壁12の中心部分が内方へと凹み、第1嵌合部分15が外方に傾く。又、厚肉の第2嵌合部分25に比べて曲げ剛性の低い蓋体20の本体21の中心部分が下方へと凹み、第2嵌合部分25が外方に傾く。すると、第1嵌合部分15の段部17の側面と第2嵌合部分25の鍔部27とが離れるように変形する。そして、このような変形が進むことによって、第1嵌合部分15の側壁12の上端部16と、第2嵌合部分25の密着部26との間に隙間41が発生する。上述した通り、第1の溝31は、加熱後の冷却による変形前の状態において、食品調理用容器7内と常時連通した状態となっている。従って、隙間41の発生によって、図の矢印で示すように第1の溝31を介して外気が食品調理用容器7内に流入することになり、外気圧に食品調理用容器7内の圧力P2が近づくように調和される。従って、食品調理用容器7の変形が過大にならず、美観が保持されると共に破損が防止される。
【0056】
又、上述した通り、加熱後の冷却によって第1嵌合部分15の段部17と第2嵌合部分25の鍔部27とが離れるように変形する。このような変形は、上述した第1の溝31による通気状態が発生し易い変形であるため、第1の溝31を通して食品調理用容器7内への通気が確実に生じることになる。
【0057】
更に、図11で示したように、第1の溝31の下端は、段部17における鍔部27との密着部分より下方側に位置しているため、上述した加熱後の冷却による食品調理用容器7の変形によって早期に食品調理用容器7内と連通しやすい形状となる。即ち、第1の溝31による通気状態が早く生じることになるため、食品調理用容器7の変形をより小さくすることができる。
【0058】
更に、図6で示したように、特定の円対称形状を有する胴本体10の上端部に形成された第1の溝31a、31bは、取手13a、13bの各々を通る方向に対して直交する方向に形成されており、取手13a、13bから最も離れた位置となる。即ち、第1の溝31a、31bは、胴本体10における取手13a、13bが形成された、相対的に剛性の高い部分から最も離れた、最も剛性の低い部分に形成される。従って、第1の溝31a、31bの形成位置は、胴本体10の上端部では加熱後の冷却による変形が最も大きく生じる位置となるため、第1の溝31a、31bによる通気が早く且つ確実に生じることになる。そのため、加熱後の冷却による容器全体の過大な変形を効率的に防止することができる。
【0059】
更に、上述した通り、胴本体10及び蓋体20は弾性を有するシリコーンゴムによって形成されているため、これらの密閉状態が維持され易くなると共に、加熱後の冷却によって変形し易くなる。従って、食品調理用容器7の密閉性及び通気性の性能が引き出し易くなり、これらの安定した性能が発揮されることになる。更には、耐熱性及び耐水性に優れた食品調理用容器7となる。
【0060】
図15はこの発明の第2の実施の形態による食品調理用容器の分離状態を示す断面図であって、第1の実施の形態の図2に対応するものであり、図16は図15で示したXVI−XVIラインの断面図であり、図17は図15で示したG部分における嵌合状態を示す拡大図である。
【0061】
尚、この実施の形態による食品調理用容器8にあっては、第1の実施の形態による食品調理用容器の通気手段である第1の溝の形成位置の相違を除いては同一であるため、ここではその相違点を中心に説明する。
【0062】
これらの図を参照して、この実施の形態による食品調理用容器8は、胴本体10の第1嵌合部分15には通気手段である溝が形成されておらず、蓋体20の第2嵌合部分25の鍔部27の外方側面に、通気手段である一対の第2の溝32a、32bが形成されている。具体的には、第2の溝32a、32bは、第2嵌合部分25の鍔部27における第1嵌合部分15の段部17との密着部分において、下端から上方に向かって該密着部分の上端まで半円柱状に形成されている。
【0063】
又、図17で示すように、嵌合状態における第2嵌合部分25の第2の溝32a部分については、第2嵌合部分25の密着部26が第1嵌合部分15の側壁12の上端部16に密着している。第2の溝32b部分においても同様の状態となっている。そして、第2の溝32a、32bが形成されていない部分では、第2嵌合部分25の密着部26が第1嵌合部分15の側壁12の上端部16に密着すると共に、第2嵌合部分25の鍔部27が第1嵌合部分15の段部17の側面に密着する。従って、蓋体20は胴本体10に密閉状態で嵌合することになる。
【0064】
更に、上述した通り、第2の溝32は鍔部27における段部17との密着部分において下端から上方に向かって形成されている。従って、第2の溝32は、図17で示す嵌合状態において鍔部27の下端と段部17の底部との間の隙間45を介して、食品調理用容器8内と常時連通した状態となる。
【0065】
次に、このような食品調理用容器8の効果について以下に説明する。
【0066】
図18は図15で示した食品調理用容器の嵌合状態における第2の溝付近の状態を示す概略断面図であって、第1の実施の形態の図14に対応するものであり、(1)は加熱中を示すものであって、(2)は加熱後の冷却状態を示すものである。
【0067】
まず(1)を参照して、加熱中における食品調理用容器8の胴本体10、蓋体20及び図示しない水蒸気の状態は第1の実施の形態と同様であり、加熱終了直後における食品調理用容器8内は水蒸気で充満した状態となる。その後、外気等によって食品調理用容器8が冷却されると、(2)で示す状態となる。
【0068】
次に(2)を参照して、加熱終了後に外気等によって食品調理用容器8が冷却されると、第1の実施の形態と同様、胴本体10及び蓋体20が図の矢印で示すように変形する。すると、第1嵌合部分15の段部17と第2嵌合部分25の鍔部27とが離れるように変形する。そして、この変形が進むことによって、第1嵌合部分15の側壁12の上端部16と、第2嵌合部分25の密着部26との間に隙間42が発生する。上述した通り、第2の溝32は、加熱後の冷却による変形前の状態において、食品調理用容器8内と常時連通した状態となっている。従って、隙間42の発生によって、図の矢印で示すように第2の溝32を介して外気が食品調理用容器8内に流入することになり、外気圧に食品調理用容器8内の圧力が近づくように調和される。従って、食品調理用容器8の変形が過大にならず、美観が保持されると共に破損が防止される。更に、上述した第1嵌合部分15の段部17及び第2嵌合部分25の鍔部27の変形は、第2の溝32による通気状態が発生し易い変形であるため、第2の溝32を通して食品調理用容器8内への通気が確実に生じる。
【0069】
尚、上記の各実施の形態では、食品調理用容器にはシリコーンゴムを使用しているが、各溝による通気が生じる程度の変形を生じるような可撓性を有するものであれば、他の材料を使用しても良い。
【0070】
又、上記の各実施の形態では、特定形状の胴本体及び蓋体を備えているが、胴本体は調理物を収容できる形状であれば良く、蓋体は胴本体に脱着自在に密閉状態で嵌合することができる形状であれば良い。その場合、通気手段は、胴本体と蓋体との嵌合部分の少なくとも一方に、加熱後の冷却による変形によって胴本体への通気を生じるものであれば、胴本体又は蓋体に形成された溝でなくても良い。
【0071】
更に、上記の各実施の形態では、第1の溝及び第2の溝は半円柱状で且つ特定方向に形成されているが、例えば楔形状等、通気手段としての役割を果たす形状であれば、他の形状であっても良く、その形成方向も他の方向でも良い。
【0072】
更に、上記の各実施の形態では、通気手段である一対の第1の溝又は一対の第2の溝が対向するように形成されているが、これらは1箇所のみ形成されていても良い。又は、3箇所以上形成されていても良い。更には、胴本体及び蓋体の両方に溝が形成されていても良い。この場合、互いの溝は対向位置にあっても、ずらした位置にあっても良い。
【0073】
更に、上記の各実施の形態では、蓋体の第2嵌合部分は特定形状に形成されているが、密着部は第1嵌合部材の側壁の上端部に密着状態に嵌合すると共に、鍔部は第1嵌合部材の段部の側面に密着状態に嵌合するように形成されていれば、第2嵌合部分は他の形状であっても良い。
【0074】
更に、上記の各実施の形態では、胴本体には一対の取手が形成されているが、取手は無くても良い。
【0075】
更に、上記の各実施の形態では、食品用調理容器での使用態様を示しているが、調理後は密閉状態であるので、そのまま保存容器として使用することもできる。
【0076】
更に、上記の第1の実施の形態では、第1の溝は段部における鍔部との密着部分を下方に越えた位置まで形成されているが、第1の溝は、段部の側面の上端から下方に向かって形成されていれば、該密着部分の範囲内で形成されていても良い。
【0077】
更に、上記の第1の実施の形態では、図7で示した側壁の厚みAは2.0mm、第1の溝の深さBは0.8mmとなるように設定されているが、第1の溝の深さBは、側壁の厚みAに対して5%〜96%の範囲に設定することが好ましい。又、図8で示した段部の高さH2は3.5mm、第1の溝の高さDは3.0mmとなるように設定されているが、第1の溝の高さDは、段部の高さH2に対して20%以上となるように設定するのが好ましい。更に、この数字は50%以上となるように設定するのがより好ましく、100%となるように設定するのが更により好ましい。このように第1の溝の大きさを設定することによって、安定した通気手段としての効果が期待できる。
【0078】
更に、上記の第2の実施の形態では、第2の溝は鍔部における段部との密着部分の上端まで形成されているが、第2の溝は、鍔部における該密着部分の下端から上方に向かって形成されていれば、その上端が該密着部分の途中に位置するように形成されていても良い。
【符号の説明】
【0079】
7、8…食品調理用容器
10…胴本体
12…側壁
13…取手
15…第1嵌合部分
16…上端部
17…段部
20…蓋体
25…第2嵌合部分
26…密着部
27…鍔部
31…第1の溝
32…第2の溝
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明は食品調理用容器に関し、特に、オーブンや電子レンジや蒸し器等での加熱によって発生する蒸気を利用した調理が可能な食品調理用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品容器には、金属、プラスチック、紙及び多層フィルム等よりなる種々のものが存在している。このような食品容器は、容器内に調理物を入れ、オーブンや電子レンジ等で加熱する調理器具(食品調理用容器)として使用される場合がある。しかしながら、食品調理用容器が完全に密封されたものである場合、加熱によって調理物から発生する水蒸気によって食品調理用容器内の圧力が高くなり、食品調理用容器が膨張して破裂してしまうという問題があった。
【0003】
そこで、加熱時における食品調理用容器内の蒸気の一部を外部に排出するために、椀状の底材にシール加工された積層フィルムに蒸気抜き孔を有する折り返し重ね合わせ部を形成し、その内面を易剥離性テープでシールする食品調理用容器が提案されている(特許文献1)。このような食品調理用容器は、加熱によって容器内の圧力が高くなると積層フィルムの膨張によって易剥離性テープが自動的に剥離する。すると、折り返し重ね合わせ部の蒸気抜き孔を介して容器内と外部とが連通するため、容器内の蒸気を外部に排出することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示された食品調理用容器は、加熱後は積層フィルムを底材から剥離して使用するため、繰り返して使用したり、食品を保存したりするには不向きなものであった。このような問題を解決するために、容器本体と蓋部材とを脱着自在に嵌合することのできる食品調理用容器が提案されている。
【0005】
図19は特許文献2で開示された食品調理用容器の分解斜視図であり、図20は図19で示したXX−XXラインの拡大断面図であって、容器本体と蓋部材とが加熱用の状態で嵌合したものである。
【0006】
図を参照して、食品調理用容器である包装容器70は、合成樹脂よりなる円形椀状の容器本体71と、容器本体71に脱着自在に嵌合する蓋部材81とから構成されている。
【0007】
容器本体71は、その上縁部72が断面コの字状に形成されていると共に、上縁部72の一部に凹部73が形成されている。蓋部材81は、その周縁部82が容器本体71の上縁部72に脱着自在に嵌合できるように形成されている。更に、周縁部82には、その上端から外方側に延びる把手部85と、把手部85の内側に突出する膨出部86とが形成されている。
【0008】
このような包装容器70においては、食品等を収容した容器本体71の凹部73と、蓋部材81の把手部85及び膨出部86との位置を周方向に合わせ、容器本体71に蓋部材81を嵌合し、加熱用の状態にして加熱する。すると、図20で示すように、蓋部材81の把手部85と容器本体71の凹部73との間に隙間が発生するため、蓋部材81の膨出部86及び容器本体71の凹部73を介して、包装容器70内と外部とが連通した状態となる。従って、図の矢印で示すように、加熱時に発生する包装容器70内の水蒸気が外部へと排出されるため、包装容器70内の圧力が過度に高くなることが無く、包装容器70が膨張して破裂する虞が無い。
尚、包装容器70は、容器本体71の凹部73と蓋部材81の把手部85及び膨出部86とを周方向にずらした状態で、容器本体71に蓋部材81を嵌合すると、完全な密封状態となるように各部分が形成されている。従って、このような保存用の状態で食品等を保存することによって、収容物が外気に触れることが無くなり、良好な保存状態が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−76833号公報
【特許文献2】特許第3751194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような従来の食品調理用容器では、加熱時において容器内の蒸気を常時排出する構造となっているため、加熱により発生する水蒸気を利用した調理(蒸し調理等)ができないものであると共に、調理物の水分が必要以上に外部に排出されてしまっていた。
【0011】
そこで、例えば特許文献2で開示された食品調理用容器を上述した保存用の状態にする等、容器本体と蓋部材とを略密封した状態で加熱する方法も考えられるが、この場合は加熱後において問題が生じる。即ち、加熱後に食品調理用容器が冷却されて水蒸気が水へと変化すると、容器内の圧力が加熱前の状態より低くなってしまうため、外気圧に押圧されて食品調理用容器が変形してしまい、美観が損なわれたり、破損したりする虞があった。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、加熱により発生する蒸気を利用した調理が可能であると共に、加熱後の冷却による変形が抑制される食品調理用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、加熱により発生する蒸気を利用した調理が可能な食品調理用容器であって、可撓性材料よりなる胴本体と、可撓性材料よりなり、胴本体に脱着自在に密閉状態で嵌合する蓋体とを備え、胴本体と蓋体との嵌合部分の少なくとも一方に、加熱後の蒸気の冷却による胴本体及び蓋体の少なくとも一方の変形によって胴本体への通気を生じる通気手段が設けられるものである。
【0014】
このように構成すると、冷却によって胴本体又は蓋体のいずれかが変形すると容器内部に外気が流入する。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、胴本体の嵌合部分は、側壁の上端部と、上端部の全周に内方側において垂直下方に形成された段部とからなり、蓋体の嵌合部分は、外方周縁の下面であって、側壁の上端部に密着状態に嵌合する密着部と、密着部の内方側の全周から垂下状態に形成され、段部の側面に密着状態に嵌合する鍔部とからなり、通気手段は、段部の側面の上端から下方に向かって形成された第1の溝を含むものである。
【0016】
このように構成すると、冷却による変形で、段部と鍔部とが離れるように変形する。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、第1の溝は、段部における鍔部との密着部分を下方に越えた位置まで形成されるものである。
【0018】
このように構成すると、第1の溝による通気状態が早く生じる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明の構成において、胴本体にあっては、側壁の上端部には水平方向に延びる一対の取手が形成され、第1の溝は取手が形成されている位置から離れた位置に形成されるものである。
【0020】
このように構成すると、冷却による変形が生じ易い位置に第1の溝が形成される。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、胴本体及び蓋体は、第1の溝及び取手を除き垂直軸に対して円対称形状を有すると共に、第1の溝は取手の各々を通る方向に対して直交する方向に一対形成されるものである。
【0022】
このように構成すると、胴本体の変形が大きく生じる箇所に第1の溝が形成される。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、胴本体の嵌合部分は、側壁の上端部と、上端部の全周に内方側において垂直下方に形成された段部とからなり、蓋体の嵌合部分は、外方周縁の下面であって、側壁の上端部に密着状態に嵌合する密着部と、密着部の内方側の全周から垂下状態に形成され、段部の側面に密着状態に嵌合する鍔部とからなり、通気手段は、鍔部であって段部との密着部分において下端から上方に向かって形成された第2の溝を含むものである。
【0024】
このように構成すると、冷却による変形で、段部と鍔部とが離れるように変形する。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の構成において、可撓性材料は、JIS K6253に準拠したデュロメータ硬さが10〜90のシリコーンゴムを含むものである。
【0026】
このように構成すると、密着状態が維持され易く、変形し易い。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、冷却によって胴本体又は蓋体のいずれかが変形すると容器内部に外気が流入するため、容器の変形が過大にならず、美観が保持されると共に破損が防止される。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、冷却による変形で、段部と鍔部とが離れるように変形するため、変形が進むと、第1の溝を通して容器内部への通気が確実に生じる。
【0029】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、第1の溝による通気状態が早く生じるため、容器の変形をより小さくできる。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明の効果に加えて、冷却による変形が生じ易い位置に第1の溝が形成されるため、第1の溝による通気が早く且つ確実に生じる。
【0031】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、胴本体の変形が大きく生じる箇所に第1の溝が形成されるため、変形を効率的に防止できる。
【0032】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、冷却による変形で、段部と鍔部とが離れるように変形するため、変形が進むと、第2の溝を通して容器内部への通気が確実に生じる。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、密着状態が維持され易く、変形し易いため、容器の密閉性及び通気性の性能を引き出し易い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の第1の実施の形態による食品調理用容器の分離状態を示す側面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの断面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【図4】図1で示したIV−IVラインから見た蓋体の図である。
【図5】図1で示したV−Vラインから見た図である。
【図6】図1で示したVI−VIラインから見た図である。
【図7】図2で示したX部分の拡大図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIから見た図である。
【図9】図7で示したIX−IXラインから見た図である。
【図10】図1で示した食品調理用容器の嵌合状態を示す断面図である。
【図11】図10の(1)で示したY部分の拡大図である。
【図12】図10の(2)で示したZ部分の拡大図である。
【図13】図10で示した嵌合状態の食品調理用容器の状態を示す概略断面図である。
【図14】図13で示した食品調理用容器の第1の溝付近の図である。
【図15】この発明の第2の実施の形態による食品調理用容器の分離状態を示す断面図である。
【図16】図15で示したXVI−XVIラインの断面図である。
【図17】図15で示したG部分における嵌合状態を示す拡大図である。
【図18】図15で示した食品調理用容器の嵌合状態における第2の溝付近の状態を示す概略断面図である。
【図19】従来の食品調理用容器の分解斜視図である。
【図20】図19で示したXX−XXラインの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1はこの発明の第1の実施の形態による食品調理用容器の分離状態を示す側面図であり、図2は図1で示したII−IIラインの断面図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインの断面図であり、図4は図1で示したIV−IVラインから見た蓋体の図であり、図5は図1で示したV−Vラインから見た図であり、図6は図1で示したVI−VIラインから見た図である。
【0036】
これらの図を参照して、食品調理用容器7は、シリコーンゴムよりなる円形椀状の胴本体10と、胴本体10に図の矢印で示すように脱着自在に密閉状態に嵌合する、シリコーンゴムよりなる円板状の蓋体20とから構成されている。尚、シリコーンゴムはJIS K6253に準拠したデュロメータ硬さが10〜90のものを使用するのが好ましい。
【0037】
ここで、図1〜図3及び図6を参照して、胴本体10は、その中心部分が隆起した円板状の底部11と、底部11の外縁から上方に延びる側壁12とを備えている。又、側壁12の上端部16と、側壁12の上端部16の全周の内方側において垂直下方に形成された段部17とからなる、後述する蓋体20の第2嵌合部分25が脱着自在に係合する第1嵌合部分15が形成されている。更に、側壁12の上端部16の対向位置には、外方側に水平方向に延びる、一対の取手13a、13bが形成されている。
【0038】
尚、胴本体10は、取手13a、13b及び後述する第1の溝31a、31bを除き、垂直軸(図6の貫通方向)に対して円対称形状を有している。そして、図2で示す胴本体10における取手13a、13bを除く外径R2は100mmに設定されている。又、図2で示す段部17の高さ(深さ)H2は3.5mmに設定されている。
【0039】
更に、胴本体10の第1嵌合部分15の段部17の側面には、取手13a、13bの各々を通る方向(図6の左右方向)に対して直交する方向(図6の上下方向)に、通気手段である一対の第1の溝31a、31bが上下方向に形成されている。第1の溝31a、31bは、後述する加熱後の冷却による食品調理用容器7の変形によって、胴本体10内と外部とを通気するものである。第1の溝31a、31bの詳細な形状、具体的な作用及び効果については後述する。
【0040】
次に、図1〜図5を参照して、蓋体20は、ドーナツ型板状の本体21と、本体21の上面中央に形成された円筒形状の把持部22とを備えている。尚、図2で示すように、蓋体20の外形R1は100mmに設定されていると共に、胴本体10と同様に垂直軸に対して円対称形状を有している。
【0041】
又、蓋体20は、本体21の外方周縁の下面であって、後述する嵌合状態において第1嵌合部分15の側壁12の上端部16に密着する密着部26と、密着部26の内方側の全周から垂下状態に形成され、後述する嵌合状態において第1嵌合部分15の段部17の側面に密着する鍔部27とからなる第2嵌合部分25を備えている。尚、図2で示す鍔部27の高さ(深さ)H1は3.4mmに設定されている。
【0042】
次に、第1の溝31a、31bの詳細な形状について説明する。
【0043】
図7は図2で示したX部分の拡大図であり、図8は図7で示したVIII−VIIIから見た図であり、図9は図7で示したIX−IXラインから見た図である。
【0044】
これらの図を参照して、胴本体10の第1の溝31aは、第1嵌合部分15の段部17の側面の上端から下方に向かって半円柱状に形成されている。尚、図7で示すように、側壁12の上端部16における段部17を除く厚みAは2.0mmに設定されており、第1の溝31aの深さBは0.8mmに設定されている。又、図8で示すように、半円柱状の第1の溝31aの幅Cは1.6mmに設定されていると共に、高さDは3.0mmに設定されている。上述した通り、段部17の高さH2は3.5mmに設定されているため、第1の溝31aは段部17の側面における下端付近まで形成されることになる。
【0045】
次に、図1で示した胴本体10に蓋体20が嵌合した状態の食品調理用容器7の構造について説明する。
【0046】
図10は図1で示した食品調理用容器の嵌合状態を示す断面図であって、(1)は図2に対応するものであって、(2)は図3に対応するものであり、図11は図10の(1)で示したY部分の拡大図であり、図12は図10の(2)で示したZ部分の拡大図である。
【0047】
これらの図を参照して、食品調理用容器7の胴本体10に蓋体20が嵌合した状態では、蓋体20の第2嵌合部分25の密着部26が、胴本体10の側壁12の上端部16に密着している。更に、蓋体20の第2嵌合部分25の鍔部27が、胴本体10の第1嵌合部分15の段部17の側面に密着している。尚、図11に示すように、第1嵌合部分15の第1の溝31が形成されている部分においても、蓋体20の第2嵌合部分25の密着部26が、胴本体10の側壁12の上端部16に密着した状態となっている。従って、蓋体20は胴本体10に密閉状態で嵌合することになる。
【0048】
又、上述した通り、第1嵌合部分15の段部17の高さは3.5mmに設定されていると共に、第2嵌合部分25の鍔部27の高さは3.4mmに設定されているため、鍔部27の下端と段部17の底部との間に隙間45が発生している。即ち、蓋体20は、胴本体10の側壁12の上端部16のみで支持されている。
【0049】
更に、図11で示すように、第2嵌合部分25の鍔部27の外方下端は面取りされているため、第1の溝31の下端が段部17における鍔部27との密着部分より下方側に位置する。従って、第1の溝31は、嵌合状態において隙間45を介して食品調理用容器7内と常時連通した状態となっている。
【0050】
次に、蒸し料理等をするために、食品調理用容器7を電子レンジ等で加熱した場合の状態について説明する。
【0051】
図13は図10で示した嵌合状態の食品調理用容器の状態を示す概略断面図であって、(1)は加熱中を示すものであって、(2)は加熱後の冷却状態を示すものであり、図14は図13で示した食品調理用容器の第1の溝付近の図であって、(1)は図13の(1)のF1部分の拡大図であって、(2)は図13の(2)のF2部分の拡大図である。
【0052】
まず図13の(1)及び図14の(1)を参照して、調理物51が収容された胴本体10に蓋体20が密閉状態に嵌合された状態で食品調理用容器7を加熱すると、図の矢印で示すように調理物51に含まれる水分から水蒸気52が発生する。そして、蓋体20は胴本体10に対して載置する形で密閉状態に嵌合しているため、大量の水蒸気52の発生によって食品調理用容器7内の圧力P1が過度に高くなると、蓋体20が胴本体10から若干浮き上がる。すると、図13の(1)の破線矢印で示すように水蒸気52の一部や食品調理用容器7内の既存の空気が外部に排出される。そして、食品調理用容器7内の圧力P1が一定の大きさ未満になると、蓋体20の浮き上がりが無くなり、再度密閉状態となる。このように、水蒸気52は加熱時において常時排出されず、上述した一定条件下において一時的にのみ排出されるため、食品調理用容器7が膨張して破裂する虞が無くなる。又、加熱後しばらく経つと食品調理用容器7内は加熱蒸気で充満される状態となり、調理物51を蒸し調理することができる。
【0053】
そして、調理物51の蒸し調理が終了し、加熱を終了した直後においては、上述のように食品調理用容器7内は既存の空気が略排出され、水蒸気52で充満した状態となる。尚、この時の食品調理用容器7内の圧力P1は飽和蒸気圧近くとなり、加熱前の食品調理用容器7内の圧力より大きくなる。
【0054】
次に図13の(2)及び図14の(2)を参照して、加熱が終了して外気等によって食品調理用容器7が冷却されると、食品調理用容器7内に充満していた水蒸気52の一部が液化して水になる。従って、食品調理用容器7内に占める水蒸気52の体積が減少するため、食品調理用容器7内の圧力P2が低下し、加熱前の食品調理用容器7内の圧力(外気圧に相当)より低い状態となる。すると、図13の(2)の矢印で示すように、食品調理用容器7の内外での圧力バランスが崩れて外気圧によって食品調理用容器7が外方から押圧され、食品調理用容器7の胴本体10及び蓋体20が凹むように変形する。
【0055】
ここで、図14の(2)を参照して、上述した食品調理用容器7の変形によって、厚肉の第1嵌合部分15に比べて曲げ剛性の低い胴本体10の側壁12の中心部分が内方へと凹み、第1嵌合部分15が外方に傾く。又、厚肉の第2嵌合部分25に比べて曲げ剛性の低い蓋体20の本体21の中心部分が下方へと凹み、第2嵌合部分25が外方に傾く。すると、第1嵌合部分15の段部17の側面と第2嵌合部分25の鍔部27とが離れるように変形する。そして、このような変形が進むことによって、第1嵌合部分15の側壁12の上端部16と、第2嵌合部分25の密着部26との間に隙間41が発生する。上述した通り、第1の溝31は、加熱後の冷却による変形前の状態において、食品調理用容器7内と常時連通した状態となっている。従って、隙間41の発生によって、図の矢印で示すように第1の溝31を介して外気が食品調理用容器7内に流入することになり、外気圧に食品調理用容器7内の圧力P2が近づくように調和される。従って、食品調理用容器7の変形が過大にならず、美観が保持されると共に破損が防止される。
【0056】
又、上述した通り、加熱後の冷却によって第1嵌合部分15の段部17と第2嵌合部分25の鍔部27とが離れるように変形する。このような変形は、上述した第1の溝31による通気状態が発生し易い変形であるため、第1の溝31を通して食品調理用容器7内への通気が確実に生じることになる。
【0057】
更に、図11で示したように、第1の溝31の下端は、段部17における鍔部27との密着部分より下方側に位置しているため、上述した加熱後の冷却による食品調理用容器7の変形によって早期に食品調理用容器7内と連通しやすい形状となる。即ち、第1の溝31による通気状態が早く生じることになるため、食品調理用容器7の変形をより小さくすることができる。
【0058】
更に、図6で示したように、特定の円対称形状を有する胴本体10の上端部に形成された第1の溝31a、31bは、取手13a、13bの各々を通る方向に対して直交する方向に形成されており、取手13a、13bから最も離れた位置となる。即ち、第1の溝31a、31bは、胴本体10における取手13a、13bが形成された、相対的に剛性の高い部分から最も離れた、最も剛性の低い部分に形成される。従って、第1の溝31a、31bの形成位置は、胴本体10の上端部では加熱後の冷却による変形が最も大きく生じる位置となるため、第1の溝31a、31bによる通気が早く且つ確実に生じることになる。そのため、加熱後の冷却による容器全体の過大な変形を効率的に防止することができる。
【0059】
更に、上述した通り、胴本体10及び蓋体20は弾性を有するシリコーンゴムによって形成されているため、これらの密閉状態が維持され易くなると共に、加熱後の冷却によって変形し易くなる。従って、食品調理用容器7の密閉性及び通気性の性能が引き出し易くなり、これらの安定した性能が発揮されることになる。更には、耐熱性及び耐水性に優れた食品調理用容器7となる。
【0060】
図15はこの発明の第2の実施の形態による食品調理用容器の分離状態を示す断面図であって、第1の実施の形態の図2に対応するものであり、図16は図15で示したXVI−XVIラインの断面図であり、図17は図15で示したG部分における嵌合状態を示す拡大図である。
【0061】
尚、この実施の形態による食品調理用容器8にあっては、第1の実施の形態による食品調理用容器の通気手段である第1の溝の形成位置の相違を除いては同一であるため、ここではその相違点を中心に説明する。
【0062】
これらの図を参照して、この実施の形態による食品調理用容器8は、胴本体10の第1嵌合部分15には通気手段である溝が形成されておらず、蓋体20の第2嵌合部分25の鍔部27の外方側面に、通気手段である一対の第2の溝32a、32bが形成されている。具体的には、第2の溝32a、32bは、第2嵌合部分25の鍔部27における第1嵌合部分15の段部17との密着部分において、下端から上方に向かって該密着部分の上端まで半円柱状に形成されている。
【0063】
又、図17で示すように、嵌合状態における第2嵌合部分25の第2の溝32a部分については、第2嵌合部分25の密着部26が第1嵌合部分15の側壁12の上端部16に密着している。第2の溝32b部分においても同様の状態となっている。そして、第2の溝32a、32bが形成されていない部分では、第2嵌合部分25の密着部26が第1嵌合部分15の側壁12の上端部16に密着すると共に、第2嵌合部分25の鍔部27が第1嵌合部分15の段部17の側面に密着する。従って、蓋体20は胴本体10に密閉状態で嵌合することになる。
【0064】
更に、上述した通り、第2の溝32は鍔部27における段部17との密着部分において下端から上方に向かって形成されている。従って、第2の溝32は、図17で示す嵌合状態において鍔部27の下端と段部17の底部との間の隙間45を介して、食品調理用容器8内と常時連通した状態となる。
【0065】
次に、このような食品調理用容器8の効果について以下に説明する。
【0066】
図18は図15で示した食品調理用容器の嵌合状態における第2の溝付近の状態を示す概略断面図であって、第1の実施の形態の図14に対応するものであり、(1)は加熱中を示すものであって、(2)は加熱後の冷却状態を示すものである。
【0067】
まず(1)を参照して、加熱中における食品調理用容器8の胴本体10、蓋体20及び図示しない水蒸気の状態は第1の実施の形態と同様であり、加熱終了直後における食品調理用容器8内は水蒸気で充満した状態となる。その後、外気等によって食品調理用容器8が冷却されると、(2)で示す状態となる。
【0068】
次に(2)を参照して、加熱終了後に外気等によって食品調理用容器8が冷却されると、第1の実施の形態と同様、胴本体10及び蓋体20が図の矢印で示すように変形する。すると、第1嵌合部分15の段部17と第2嵌合部分25の鍔部27とが離れるように変形する。そして、この変形が進むことによって、第1嵌合部分15の側壁12の上端部16と、第2嵌合部分25の密着部26との間に隙間42が発生する。上述した通り、第2の溝32は、加熱後の冷却による変形前の状態において、食品調理用容器8内と常時連通した状態となっている。従って、隙間42の発生によって、図の矢印で示すように第2の溝32を介して外気が食品調理用容器8内に流入することになり、外気圧に食品調理用容器8内の圧力が近づくように調和される。従って、食品調理用容器8の変形が過大にならず、美観が保持されると共に破損が防止される。更に、上述した第1嵌合部分15の段部17及び第2嵌合部分25の鍔部27の変形は、第2の溝32による通気状態が発生し易い変形であるため、第2の溝32を通して食品調理用容器8内への通気が確実に生じる。
【0069】
尚、上記の各実施の形態では、食品調理用容器にはシリコーンゴムを使用しているが、各溝による通気が生じる程度の変形を生じるような可撓性を有するものであれば、他の材料を使用しても良い。
【0070】
又、上記の各実施の形態では、特定形状の胴本体及び蓋体を備えているが、胴本体は調理物を収容できる形状であれば良く、蓋体は胴本体に脱着自在に密閉状態で嵌合することができる形状であれば良い。その場合、通気手段は、胴本体と蓋体との嵌合部分の少なくとも一方に、加熱後の冷却による変形によって胴本体への通気を生じるものであれば、胴本体又は蓋体に形成された溝でなくても良い。
【0071】
更に、上記の各実施の形態では、第1の溝及び第2の溝は半円柱状で且つ特定方向に形成されているが、例えば楔形状等、通気手段としての役割を果たす形状であれば、他の形状であっても良く、その形成方向も他の方向でも良い。
【0072】
更に、上記の各実施の形態では、通気手段である一対の第1の溝又は一対の第2の溝が対向するように形成されているが、これらは1箇所のみ形成されていても良い。又は、3箇所以上形成されていても良い。更には、胴本体及び蓋体の両方に溝が形成されていても良い。この場合、互いの溝は対向位置にあっても、ずらした位置にあっても良い。
【0073】
更に、上記の各実施の形態では、蓋体の第2嵌合部分は特定形状に形成されているが、密着部は第1嵌合部材の側壁の上端部に密着状態に嵌合すると共に、鍔部は第1嵌合部材の段部の側面に密着状態に嵌合するように形成されていれば、第2嵌合部分は他の形状であっても良い。
【0074】
更に、上記の各実施の形態では、胴本体には一対の取手が形成されているが、取手は無くても良い。
【0075】
更に、上記の各実施の形態では、食品用調理容器での使用態様を示しているが、調理後は密閉状態であるので、そのまま保存容器として使用することもできる。
【0076】
更に、上記の第1の実施の形態では、第1の溝は段部における鍔部との密着部分を下方に越えた位置まで形成されているが、第1の溝は、段部の側面の上端から下方に向かって形成されていれば、該密着部分の範囲内で形成されていても良い。
【0077】
更に、上記の第1の実施の形態では、図7で示した側壁の厚みAは2.0mm、第1の溝の深さBは0.8mmとなるように設定されているが、第1の溝の深さBは、側壁の厚みAに対して5%〜96%の範囲に設定することが好ましい。又、図8で示した段部の高さH2は3.5mm、第1の溝の高さDは3.0mmとなるように設定されているが、第1の溝の高さDは、段部の高さH2に対して20%以上となるように設定するのが好ましい。更に、この数字は50%以上となるように設定するのがより好ましく、100%となるように設定するのが更により好ましい。このように第1の溝の大きさを設定することによって、安定した通気手段としての効果が期待できる。
【0078】
更に、上記の第2の実施の形態では、第2の溝は鍔部における段部との密着部分の上端まで形成されているが、第2の溝は、鍔部における該密着部分の下端から上方に向かって形成されていれば、その上端が該密着部分の途中に位置するように形成されていても良い。
【符号の説明】
【0079】
7、8…食品調理用容器
10…胴本体
12…側壁
13…取手
15…第1嵌合部分
16…上端部
17…段部
20…蓋体
25…第2嵌合部分
26…密着部
27…鍔部
31…第1の溝
32…第2の溝
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱により発生する蒸気を利用した調理が可能な食品調理用容器であって、
可撓性材料よりなる胴本体と、
可撓性材料よりなり、前記胴本体に脱着自在に密閉状態で嵌合する蓋体とを備え、
前記胴本体と前記蓋体との嵌合部分の少なくとも一方に、加熱後の蒸気の冷却による前記胴本体及び前記蓋体の少なくとも一方の変形によって前記胴本体への通気を生じる通気手段が設けられる、食品調理用容器。
【請求項2】
前記胴本体の前記嵌合部分は、
側壁の上端部と、
前記上端部の全周に内方側において垂直下方に形成された段部とからなり、
前記蓋体の前記嵌合部分は、
外方周縁の下面であって、前記側壁の前記上端部に密着状態に嵌合する密着部と、
前記密着部の内方側の全周から垂下状態に形成され、前記段部の側面に密着状態に嵌合する鍔部とからなり、
前記通気手段は、前記段部の前記側面の上端から下方に向かって形成された第1の溝を含む、請求項1記載の食品調理用容器。
【請求項3】
前記第1の溝は、前記段部における前記鍔部との密着部分を下方に越えた位置まで形成される、請求項2記載の食品調理用容器。
【請求項4】
前記胴本体にあっては、前記側壁の前記上端部には水平方向に延びる一対の取手が形成され、
前記第1の溝は前記取手が形成されている位置から離れた位置に形成される、請求項2又は請求項3記載の食品調理用容器。
【請求項5】
前記胴本体及び前記蓋体は、前記第1の溝及び前記取手を除き垂直軸に対して円対称形状を有すると共に、前記第1の溝は前記取手の各々を通る方向に対して直交する方向に一対形成される、請求項4記載の食品調理用容器。
【請求項6】
前記胴本体の前記嵌合部分は、
側壁の上端部と、
前記上端部の全周に内方側において垂直下方に形成された段部とからなり、
前記蓋体の前記嵌合部分は、
外方周縁の下面であって、前記側壁の前記上端部に密着状態に嵌合する密着部と、
前記密着部の内方側の全周から垂下状態に形成され、前記段部の側面に密着状態に嵌合する鍔部とからなり、
前記通気手段は、前記鍔部であって前記段部との密着部分において下端から上方に向かって形成された第2の溝を含む、請求項1記載の食品調理用容器。
【請求項7】
前記可撓性材料は、JIS K6253に準拠したデュロメータ硬さが10〜90のシリコーンゴムを含む、請求項1から請求項6のいずれかに記載の食品調理用容器。
【請求項1】
加熱により発生する蒸気を利用した調理が可能な食品調理用容器であって、
可撓性材料よりなる胴本体と、
可撓性材料よりなり、前記胴本体に脱着自在に密閉状態で嵌合する蓋体とを備え、
前記胴本体と前記蓋体との嵌合部分の少なくとも一方に、加熱後の蒸気の冷却による前記胴本体及び前記蓋体の少なくとも一方の変形によって前記胴本体への通気を生じる通気手段が設けられる、食品調理用容器。
【請求項2】
前記胴本体の前記嵌合部分は、
側壁の上端部と、
前記上端部の全周に内方側において垂直下方に形成された段部とからなり、
前記蓋体の前記嵌合部分は、
外方周縁の下面であって、前記側壁の前記上端部に密着状態に嵌合する密着部と、
前記密着部の内方側の全周から垂下状態に形成され、前記段部の側面に密着状態に嵌合する鍔部とからなり、
前記通気手段は、前記段部の前記側面の上端から下方に向かって形成された第1の溝を含む、請求項1記載の食品調理用容器。
【請求項3】
前記第1の溝は、前記段部における前記鍔部との密着部分を下方に越えた位置まで形成される、請求項2記載の食品調理用容器。
【請求項4】
前記胴本体にあっては、前記側壁の前記上端部には水平方向に延びる一対の取手が形成され、
前記第1の溝は前記取手が形成されている位置から離れた位置に形成される、請求項2又は請求項3記載の食品調理用容器。
【請求項5】
前記胴本体及び前記蓋体は、前記第1の溝及び前記取手を除き垂直軸に対して円対称形状を有すると共に、前記第1の溝は前記取手の各々を通る方向に対して直交する方向に一対形成される、請求項4記載の食品調理用容器。
【請求項6】
前記胴本体の前記嵌合部分は、
側壁の上端部と、
前記上端部の全周に内方側において垂直下方に形成された段部とからなり、
前記蓋体の前記嵌合部分は、
外方周縁の下面であって、前記側壁の前記上端部に密着状態に嵌合する密着部と、
前記密着部の内方側の全周から垂下状態に形成され、前記段部の側面に密着状態に嵌合する鍔部とからなり、
前記通気手段は、前記鍔部であって前記段部との密着部分において下端から上方に向かって形成された第2の溝を含む、請求項1記載の食品調理用容器。
【請求項7】
前記可撓性材料は、JIS K6253に準拠したデュロメータ硬さが10〜90のシリコーンゴムを含む、請求項1から請求項6のいずれかに記載の食品調理用容器。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】


【図16】


【図17】


【図18】


【図19】


【図20】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】


【図16】


【図17】


【図18】


【図19】


【図20】


【公開番号】特開2012−105777(P2012−105777A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256164(P2010−256164)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000222141)東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000222141)東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
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