説明

食器加温器

【課題】 清掃時の安全性に配慮した食品加温器を提供する。
【解決手段】 食器加温器において、基台2上に設けられ、前面に開口部5が形成されるとともに、この開口部5を備えた筐体6と、この開口部5を開閉可能に覆い筐体6内を視認可能な前面板7とを有し、食品を陳列するための陳列室4を形成する外郭体3と、陳列室4内に設けられた食品皿19,20,21と、陳列室4内に設けられ食品に加温する、皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、蒸気ヒータ32からなる加熱手段と、前面板7の閉状態を検知するマイクロスイッチ44と、加熱手段を制御して陳列室4内の食品を加温する制御回路43とを備え、制御回路43は、マイクロスイッチ44が前面板7の閉状態を検知しているときにのみ、加熱手段に通電可能である構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を加温しながら陳列する食器加温器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンビ二エンスストア等では、レジカウンター付近にショーケースを配置し、調理済みの食品の販売を行っている。このように、食品を陳列して販売するショーケースにおいては、商品である食品を需要者が外部から視認可能とするため、ショーケースの前面部やその周辺を透明な材料により構成している。そのため、調理した食品を加温しながら陳列するショーケースの場合には陳列室内は汚れ易く、特に、透明で汚れの目立つ前面部に関しては頻繁に清掃する必要がある。しかしながら、一般的に、陳列室に食品を出し入れする扉は需要者の立つ側の前面部とは反対側である本体背面に位置させているため、背面の扉から陳列室内の前面部を清掃するためには、陳列室内の食品を載置する棚などを取り外さなければならず、また、たとえ取り外したとしても前面部までは手が届きにくい構造であり、拭き取りが困難であった。そのため、日頃の清掃作業に支障が生じていた。
【0003】
そこで、ショーケースの前面部である前面透明壁の下部に開口部を設け、この開口部をヒンジ機構により開閉可能に覆う前扉を備え、前面透明壁の清掃性を高めたショーケースが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2006−158804号(第1,2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のショーケースの場合、前面透明壁全体に対して開口部が小さいため、開口部の周囲、特に前面透明壁の内側の上方部分に手を入れにくく、拭き取りが困難であった。そこで、開口部を大きく設定することも考えられるが、ショーケースの前面全体が開放される場合には、加熱手段そのものや加熱手段により高温となる領域に清掃者の手が届く状態になるという安全上の問題点があった。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、清掃者が食品載置棚を取り外すことなく、陳列室内を容易に清掃可能でき、かつ清掃者が誤って高温部分に触れる危険を回避可能な食器加温器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の食器加温器は、基台と、前記基台上に設けられ、前面に開口部が形成されるとともに、この開口部とは別に食品を出し入れする扉を備えた筐体と、前記開口部を開閉可能に覆い、前記筐体内を視認可能な前面板とを有し、食品を陳列するための陳列室を形成する外郭体と、前記陳列室内に設けられた食品載置部と、前記陳列室内に設けられ、食品に加温する加熱手段と、前記前面板の閉状態を検知する閉検知手段と、前記加熱手段を制御して前記陳列室内の食品を加温する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記閉検知手段が前記前面板の閉状態を検知しているときにのみ、前記加熱手段に通電可能であることを主たる特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の構成によれば、清掃者による陳列室内の清掃を容易にしつつ、高温となっている加熱手段に誤って触れることを予防することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施例)
図1乃至図3を参照して本発明の第1実施例について説明する。
【0009】
図1は、ショーケース全体を中央で破断させて示す側断面図である。食品加温器本体1は、基台2と、この基台2上に設けられた外郭体3とから構成されている。この基台2は、矩形状の枠体2aと、温風を生成するためのダクト2bと、上面板2cとから構成されている。そして、この基台2と外郭体3とで囲われた空間を、調理した食品を陳列する陳列室4としている。そして、この外郭体3は、前面に開口部5を有した筐体6と、この開口部5を開閉可能に覆う前面板7とから構成されている。前面板7は、上部が後側に湾曲して傾斜した形状のガラス板7aとこのガラス板7aを支える金属製の前板7bから構成されている。そのため、前面板7は陳列室4内部が視認可能な構成となっている。
【0010】
一方、筐体6は、矩形状の基台2に配設された2本の支柱8aと、この2本の支柱8a間に挟設された梁材8bと、この支柱8aに陳列室4の内側から支えられた左右2枚の側面板9、後面板10、及び天井板11とから構成されている。ここで、後面板10は、スライドタイプの扉としての機能を兼ね備えており、陳列室4に対し食品を出し入れする扉を構成しているものである。なお、この後面板10は、陳列室4の内部が視認可能な透明材料から構成されているため、陳列室4内の食品の数等、陳列室4内の様子を食品加温器本体1の後ろ側から確認し易くなっている。
【0011】
また、2本の支柱8aには、その中位置及び高位置に、それぞれに支持部材12,12が配設されており、この左右の支持部材12,12の間には、加熱手段であるコード状の皿ヒータ13,14を内設した皿載置台15及び皿載置台16が支持されている。また、基台2上にも、上記の皿載置台15,16と同様に加熱手段であるコード状の皿ヒータ17が内設された皿載置台18が配設されている。そして、この皿載置台15,16,18の上には、食品載置部たる金属製の食品皿19,20,21が皿ヒータ13,14,17に対して熱伝導性を有した状態で皿載置台15,16,18上に載置されている。この食品皿19,20,21の上には、調理された食品、例えば、フライドチキンやアメリカンドックなどが載置され、加温される。また、皿載置台15,16,18には、サーミスタ15a,16a,18aが配設されており、このサーミスタ15a,16a,18aの検知温度と陳列室4内の設定温度に基づいて皿ヒータ13,14,17のON/OFF制御を行っている。
【0012】
また、基台2内部には温風循環路22が形成されており、この温風循環路22内には、加熱手段であるシーズヒータからなる温風ヒータ23が上下に1本ずつ配設されている。また、温風循環路22内のシーズヒータ23の前段には、ファンモータ24と回転軸24aを介して回転可能に配設された送風羽根25が配設されており、これらは送風装置26を構成している。そして、この温風循環路22、温風ヒータ23、及び送風装置26から温風供給手段27が構成されている。また、この温風循環路22は、陳列室4と連通する吸込口28と吹出口29が形成されており、これにより温風を陳列室4内の前方側から上方を介して後方側に循環させ、陳列室4内の加熱を行っている。なお、温風循環路22の吸込口28付近には、温度検知手段たるサーミスタ30が配設されており、このサーミスタ30の検知温度、陳列室4内の設定温度に基づいて温風ヒータ23のON/OFF制御、及び送風装置26の回転制御を行っている。
【0013】
さらに、基台2の上面板2c上には、陳列室4内に蒸気を供給して加湿するための蒸気生成部31が配設されており、この蒸気生成部31は、加熱手段である蒸気ヒータ32とこの蒸気ヒータ32上に載置される蒸発皿33とから構成されている。この蒸気皿33は、容器状の本体に把持部33aを設けてなり、蒸気ヒータ32により蒸気皿33内の水を加熱することで、蒸気を発生させるものである。なお、この蒸気ヒータは加熱手段の1つである。
【0014】
図2は、食品加温器本体の前面板を一部破断して示す正面図である。この図2に示すように、基台2の左右の枠体2aの内側には、基台2内部に配設された温風循環路22を形成するダクト2bとの間に位置して、前面板7を支持するための下部摺動機構たるスライドレール34,34が配設されている。このスライドレール34は、基台2側に固定される外部材34aと、この外部材34aに対して摺動自在な内部材34bとから構成されている。そして、この内部材34b,34bには、前面板7の下方に配設された支持部材35,35がそれぞれ固定されており、これにより前面板7は基台2に対し前後方向に進退自在に摺動することができる。なお、スライドレール34,34には、それぞれ図示しないストッパが設けられており、所定長さ以上前方に前面板7が引き出せないように設定されている。
【0015】
一方、前面板7の上方には平坦部7cが形成されており、この平坦部7cの左右両端には、左右方向に開口した被案内部材36a,36aがそれぞれ側面板9,9方向に開口を向けて配設されている。それに対し、側面板9,9の上部には、陳列室4内側に向けて突起状の案内部材36b,36bが配設されている。この案内部材36bと被案内部材36aと対になって、上部摺動機構たるスライドレール36を構成している。このスライドレール36,36により、前面板7上方の平坦部7cが筐体6に対して前後方向に進退自在となっている。
【0016】
図3は、食品加温器の後面図である。この図3に示すように、基台2の後部には、操作パネル37が設けられており、この操作パネル37上には、陳列室4内のサーミスタ30の検知温度を表示する温度表示部38が配設されている。また、操作パネル37上には、電源スイッチ39及び電源ONの運転状態を点灯して表示するLEDからなる電源表示部40が配設されている。さらに、操作パネル37上には、加湿スイッチ41及び蒸気ヒータ32のON状態を点灯して表示するLEDからなる加湿表示部42が配設されている。
【0017】
図4は、食器加温器の電気的ブロック図である。基台2内には、制御手段たる制御回路43が配設されており、この制御回路43は、皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、ファンモータ24と電気的に接続されている。また、サーミスタ15a,16a,18a,30と接続されており、それぞれの温度を検出している。
【0018】
ここで、電源スイッチ39をON状態にすると、制御回路43は、皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、ファンモータ24に通電し、陳列室4内の空気の加温を開始する。それと同時に、電源表示部40に通電して点灯し、運転状況を表示する。さらに、サーミスタ30の検知温度を陳列室4内の温度として温度表示部38に表示する。皿ヒータ13,14,17は、それぞれ所定の温度に設定されており、サーミスタ15a,16a,18aにより検知された温度が設定温度に達すると、制御回路43により皿ヒータ13,14,17への通電が停止される。また、サーミスタ30の検知温度が所定の設定温度に達した場合には、同様に制御回路43により温風ヒータ23及びファンモータ24への通電が停止される。なお、電源スイッチ39をOFF状態にすると、制御回路43は、皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、ファンモータ24への通電を停止するとともに、電源表示部40を消灯して食品加温器1の運転を終了する。
【0019】
一方、制御回路43は、蒸気ヒータ32とも電気的に接続されており、加湿スイッチ41がON状態にされると、制御回路43は蒸気ヒータ32への通電を開始し、加湿表示部42にも通電して点灯させ、加湿運転を開始する。このように、蒸発皿33内の水を蒸気ヒータ32で加熱して蒸発させることで陳列室4内の加湿を行う。反対に、加湿運転を終了したい場合には、加湿スイッチ41をOFF状態にすることで、制御回路43は、蒸気ヒータ32への通電を停止し、加湿表示部42を消灯させる。なお、蒸気ヒータ32の制御については、詳述はしないが、陳列室4内部の湿度を検知して、所定の湿度に保つ制御ができるようにしてもよいし、単に蒸発皿33の温度を検知するサーミスタを別途設け、このサーミスタが所定温度、例えば100度以上を検知したら蒸気ヒータ32への通電を停止し、蒸発皿33の空焚きを防止するような制御としてもよい。
【0020】
また、制御回路43には前面板7の閉検知手段たるマイクロスイッチ44が接続されており、このマイクロスイッチ44は、詳細は後述するが、前面板7の閉状態を検知できるように構成されている。このマイクロスイッチがOFF状態、つまり前面板7の閉状態を検知していない場合には、前述した皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、及び蒸気ヒータ32への通電は制御回路43により禁止される。つまり、このマイクロスイッチ44がON状態にあるときのみ、皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、及び蒸気ヒータ32への通電が可能になっている。さらに、マイクロスイッチ44がOFF状態である場合には、加熱手段たる皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、及び蒸気ヒータ32に通電されないばかりか、電源表示部40も消灯する構成となっている。
【0021】
図5及び6は、食品加温器を枠体2aとスライドレール34の外部材34aとの間で縦方向に切断した側断面図であり、図5は前面板7を閉じた状態の食器加温器1を示しており、図6は前面板7を開いた状態の食器加温器1を示している。
【0022】
図5に示すように、マイクロスイッチ44(1つのみ図示)は、左右それぞれ枠体2aの内側に設けられている。そして、このマイクロスイッチ44の配設位置は、前面板7が閉じられた状態でマイクロスイッチ44のスイッチ部分に支持部材35がスライドして押圧することにより、マイクロスイッチ44がON状態となる位置である。従って、前面板7をスライドレール34により摺動させて、図6に示すような開状態とすると、マイクロスイッチ44はOFF状態となる。なお、マイクロスイッチ44がOFF状態である場合には、上述したように加熱手段に通電されない構成となっている。
【0023】
上記した第1実施例の構成によれば、以下に述べるような作用・効果を奏することができる。陳列室4内を清掃するために、前面板7を開いた状態では、電源スイッチ39がON状態になっていた場合にも、高温となっている皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、及び蒸気ヒータ32への通電を停止するため、清掃者が通電され高温となっている加熱手段に誤って触れることを予防することができる。また、前面板7をスライドレール34,36により前方に摺動させて開放することができるため、清掃者は、前面板7と筐体6との間にできた食器加温器1本体の側方の隙間から手を入れて前面板7の内面や陳列室4内を容易に清掃することができる。
【0024】
また、マイクロスイッチ44がOFF状態である場合には、加熱手段に通電されないばかりか、電源表示部40も消灯する構成であるため、前面板7の完全に閉じられなかった場合にも、使用者は電源スイッチ39がON状態であるのに電源表示部40が消灯している状態を確認することで、前面板7の閉状態が不完全であることを認識することができ、筐体6と前面板7との間の隙間から温風が漏れ出す状態で加温運転を継続されるおそれもない。
【0025】
さらに、前面板7を少なくとも2組のスライドレール34,36により基台2と基台2に固定された筐体6との上下2箇所で支持したため、安定した開閉動作が行えるとともに、前面板7の取り付け状態にガタが生じにくく、前面板7を閉じた状態にて陳列室4の所定の密閉性が確保できる。スライドレール36は、筐体6に設けられた案内部材36bと前面板7に設けられた被案内部材36aから構成されているため、簡易かつ安価な構成でスライドレール36を形成することができる。
【0026】
(変形例)
次いで、本発明の第1実施例の変形例につき、図7を参照して説明する。このものは、上記した第1実施例の前面板7に対し、被案内部を平坦部の中央にも追加した点と、案内部材を複数のローラによって構成し、被案内部材の開口の大きさをそのローラの径に対応させて変更した点が異なるものの、そのほかは実質的に同じ構成となっている。したがって、以下、上記第1実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0027】
図7に示すように、前面板45の上方に形成された平坦部45cの左右両端には、左右方向に開口した被案内部材46a(1つのみ図示)が側面板47方向に開口を向けて配設されている。それに対し、側面板47の上部には、陳列室4内側に指向した回転軸で回転する複数のローラ部材(1つのみ図示)が食品加温器本体1の前後方向に並んで構成された案内部材46b(1つのみ図示)が設けられている。そして、この案内部材46bと被案内部材46aとが対になって、スライドレール46(1つのみ図示)を構成している。さらに、平坦部45cの左右方向中央には、それぞれ側面板47,47方向に開口を有する2つの被案内部材48a,48aが配設されている。一方、天井板49の左右方向中央には、複数のローラ部材(1つのみ図示)が食品加温器本体1の前後方向に並んで構成された案内部材48b,48bが配設されている。そして、この案内部材48bと被案内部材48aと対になって、スライドレール48を構成している。したがって、平坦部45c左右のスライドレール46と、平坦部45c中央の2本のスライドレール48とにより、上部摺動機構を構成しており、前面板45の平坦部45cが筐体6に対して前後方向に進退自在となっている。
【0028】
上記した変形例の構成によれば、以下に述べるような作用・効果を奏することができる。陳列室4内を清掃するために、前面板7を開いた状態では、電源スイッチ39がON状態になっていた場合にも、高温となっている皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、及び蒸気ヒータ32への通電を停止するため、清掃者が通電され高温となっている加熱手段に誤って触れることを予防することができる。また、前面板7をスライドレール34,46,48により前方に摺動させて開放することができるため、清掃者は、前面板7と筐体6との間にできた食器加温器1本体の側方の隙間から手を入れて前面板7の内面や陳列室4内を容易に清掃することができる。
【0029】
また、前面板7の下方で2本のスライドレール34により基台2に進退自在に支持し、前面板7の上方でそれぞれ2本のスライドレール46,48により筐体6に進退自在に支持したため、安定した開閉動作が行えるとともに、前面板7の取り付け状態にガタが生じにくく、前面板7を閉じた状態にて陳列室4の所定の密閉性が確保できる。
【0030】
また、マイクロスイッチ44がOFF状態である場合には、加熱手段に通電されないばかりか、電源表示部40も消灯する構成であるため、前面板7の完全に閉じられなかった場合にも、電源スイッチ39がON状態であるのに電源表示部40が消灯している状態を確認することで、使用者は前面板7の閉状態が不完全であることを認識することができ、筐体6と前面板7との間の隙間から温風が漏れ出す状態で加温運転を継続されるおそれもない。
【0031】
さらに、上部摺動機構を、平坦部45cの左右両端の2本のスライドレール46と、平坦部45c中央のスライドレール48,48とにより構成したため、より安定した開閉動作が行えるとともに、前面板7の取り付け状態にガタが生じにくく、前面板7を閉じた状態にて陳列室4の所定の密閉性が確保できる。また、スライドレール46,48の案内部材46b,46b,48b,48bを複数のローラ部材で構成したため、前面板を前後方向に一層円滑に摺動させることができる。
【0032】
(第2実施例)
次いで、本発明の第2実施例につき、図8を参照して説明する。このものは、上記した第1実施例とは、上部摺動部材たるスライドレールの構成及びこの配設位置が異なるものの、それ以外は実質的に同じ構成となっている。したがって、以下、上記第1実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0033】
図8は、食品加温器1を枠体2aとスライドレール34の外部材34aとの間で縦方向に切断した側断面図であり、この図に示すように、基台2には、2本の支柱8aの前方に2本の支柱49が配設され、側面板9はこれらの4本の支柱により基台2上に固定されている。そして、支柱8aと支柱49との間には、金属製の補強部材50が前後方向に配設されている。すなわち、筐体6は、矩形状の基台2の後側に配設された2本の支柱8aと、基台2の前側に配設された2本の支柱49と,2本の支柱8a間に挟設された梁材8bと、左右それぞれの支柱8aと支柱49との間に配設された2本の補強部材50と、これらにより内側から支えられた左右の側面板9,9、後面板10、及び天井板11とから構成されている。
【0034】
また、前面板7の全高の中位付近には、左右に2つの金属製の支持部材51が配設されている。一方、前述した左右の補強部材50には、上部摺動部材たるスライドレール52が配設されている。これらのスライドレール52は、補強部材50の陳列室4内側に固定される外部材52aと、この外部材52aに対して摺動自在な内部材52bとから構成されている。そして、この内部材52bには、陳列室4の内側から支持部材51が固定されており、これにより前面板7は基台2及び筐体6に対し前後方向に進退自在に構成されている。なお、スライドレール52,52には、それぞれ図示しないストッパが設けられており、前面板7が引き出し長さは一定に制限されている。
【0035】
上記した実施例の構成によれば、以下に述べるような作用・効果を奏することができる。陳列室4内を清掃するために、前面板7を開いた状態では、電源スイッチ39がON状態になっていた場合にも、高温となっている皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、及び蒸気ヒータ32への通電を停止するため、清掃者が通電され高温となっている加熱手段に誤って触れることを予防することができる。また、前面板7をスライドレール34,52により前方に摺動させて開放することができるため、清掃者は、前面板7と筐体6との間にできた食器加温器1本体の側方の隙間から手を入れて前面板7の内面や陳列室4内を容易に清掃することができる。
【0036】
また、前面板7の下方で2本のスライドレール34により基台2に進退自在に支持し、前面板7の上方で2本のスライドレール52により筐体6に進退自在に支持したため、安定した開閉動作が行えるとともに、前面板7の取り付け状態にガタが生じにくく、前面板7を閉じた状態にて陳列室4の所定の密閉性が確保できる。
【0037】
また、マイクロスイッチ44がOFF状態である場合には、加熱手段に通電されないばかりか、電源表示部40も消灯する構成であるため、前面板7の完全に閉じられなかった場合にも、電源スイッチ39がON状態であるのに電源表示部40が消灯している状態を確認することで、使用者は前面板7の閉状態が不完全であることを認識することができ、筐体6と前面板7との間の隙間から温風が漏れ出す状態で加温運転を継続されるおそれもない。
【0038】
さらに、上部摺動機構たるスライドレール52を、基台2に固定された支柱8aと支柱49との間に固定された補強部材50に配設したため、側面板9に設けた場合よりさらに安定した開閉動作が行えるとともに、前面板7の取り付け状態にガタが生じにくく、前面板7を閉じた状態にて陳列室4の所定の密閉性が確保できる。
【0039】
なお、本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限定されず、マイクロスイッチ44が前面板の閉状態を検知した場合に、通電が停止される加熱手段は、上述した皿ヒータ13,14,17、温風ヒータ23、及び蒸気ヒータ32のうちの一部でもよい。また、マイクロスイッチ44は上部摺動機構付近に設け、前面板7の閉状態を上部摺動機構の進退に応じて検知する構成としてもよいなど、実施に際して本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施例を示す食品加温器の縦断側面図
【図2】本発明の第1実施例を示す食品加温器の前面図
【図3】本発明の第1実施例を示す食品加温器の後面図
【図4】電気的ブロック図
【図5】前面板の閉状態を示す食品加温器の縦断側面図
【図6】前面板の開状態を示す食品加温器の縦断側面図
【図7】本発明の第1実施例の変形例を示す食品加温器の正面上部断面図
【図8】第2実施例を示す図5相当図
【符号の説明】
【0041】
1 食品加温器
2 基台
3 外郭体
4 陳列室
6 筐体
7 前面板
8a,49 支柱
9,47 側面板
13,14,17 皿ヒータ
19,20,21 食品皿
27 温風供給手段
31 蒸気生成部
34,36,46,48,52 スライドレール
35,51 支持部材
44 マイクロスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台上に設けられ、前面に開口部が形成されるとともに、この開口部とは別に食品を出し入れする扉を備えた筐体と、前記開口部を開閉可能に覆い、前記筐体内を視認可能な前面板とを有し、食品を陳列するための陳列室を形成する外郭体と、
前記陳列室内に設けられた食品載置部と、
前記陳列室内に設けられ、食品に加温する加熱手段と
前記前面板の閉状態を検知する閉検知手段と、
前記加熱手段を制御して前記陳列室内の食品を加温する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記閉検知手段が前記前面板の閉状態を検知しているときにのみ、前記加熱手段に通電可能であることを特徴とする食品加温器。
【請求項2】
前面板は、その下方に配設された下部摺動機構を介して進退自在に前記基台に支持されることを特徴とする請求項1記載の食品加温器。
【請求項3】
前面板は、下部摺動機構の配設位置よりも上方に上部摺動機構を備え、この上部摺動機構を介して外郭体に対して進退自在に支持されることを特徴とする請求項1記載の食器加温器。
【請求項4】
外郭体は、基台に設けられた支柱を有し、上部摺動機構は前記支柱に設けられていることを特徴とする請求項2記載の食器加温器。
【請求項5】
上部摺動機構は、筐体に設けられた案内部材と、前面板に設けられた被案内部材とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の食器加温器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−253456(P2008−253456A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97688(P2007−97688)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】