説明

食器及びその製造方法

【課題】極めて短時間で製造することができるとともに、十分な強度を備え、また、開口周縁部の触感が極めて良好である、断熱効果を備えた食器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】外容器12と内容器14との間に空気層が形成され、前記内容器14側に食材又は飲料が収容される二重構造の食器10において、前記外容器12の開口周縁部が外方に湾曲する第1湾曲部として形成され、前記空気層を介して前記外容器12に重ね合わせられる前記内容器14の開口周縁部が外方に湾曲する第2湾曲部として形成され、前記第2湾曲部が前記第1湾曲部を巻き込むように塑性変形され、前記外容器12の前記開口周縁部と、前記内容器14の前記開口周縁部とが密着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外容器と内容器との間に空気層が形成され、前記内容器側に食材又は飲料が収容される二重構造の食器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に断熱効果を得ることを目的として、外容器と内容器との間に空気層を形成し、二重構造とした金属製の食器が製造販売されている(特許文献1)。この食器を使用した場合、収容した食材や飲料が冷めにくく、又は、温まり難いため、所望の温度状態で飲食を行うことが可能である。
【0003】
ここで、特許文献1に開示されている食器は、例えば、麺類を食するためのどんぶりであり、ステンレス鋼等の金属材料からなる外容器と内容器とを所定の形状に成形した後、空気層を介して外容器及び内容器を重ね合わせ、どんぶりの縁となる外容器及び内容器の開口周縁部を溶接により接合する。次いで、溶接部分を切削研磨するとともに、容器全体を研磨仕上げすることにより、製品としてのどんぶりを製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3156794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようにして製造されるどんぶりは、外容器及び内容器の開口周縁部を溶接により接合しているため、接合が終了するまでに長時間を要してしまう。また、接合部分には、溶接の際のろう材による凹凸が発生するため、その部分を切削研磨する工程が必須である。特に、飲食に使用されるどんぶりであり、外容器と内容器との接合部分が利用者の唇の当たる部分となるため、切削研磨工程においては、細心の注意を払った高度な処理が要求される。従って、溶接処理を用いて二重構造のどんぶりを製造しようとすると、製造に長時間を要するだけでなく、非常に高価などんぶりとなってしまう。
【0006】
また、外容器と内容器とを単に合わせて溶接しているだけであるため、接合後のどんぶりの周縁部の肉厚が薄く、十分な強度を確保することができない。そのため、場合によってはどんぶりが破損してしまうおそれがある。さらに、周縁部の肉厚が薄いため、周縁部に唇が触れた際、周縁部の鋭利な触感が利用者に違和感を与えてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、前記の不具合を解消するためになされたものであって、極めて短時間で製造することができるとともに、十分な強度を備え、また、開口周縁部の触感が極めて良好である、断熱効果を備えた食器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る食器は、外容器と内容器との間に空気層が形成され、前記内容器側に食材又は飲料が収容される二重構造の食器において、前記外容器の開口周縁部が外方に湾曲する第1湾曲部として形成され、前記空気層を介して前記外容器に重ね合わせられる前記内容器の開口周縁部が外方に湾曲する第2湾曲部として形成され、前記第2湾曲部が前記第1湾曲部を巻き込むように塑性変形され、前記外容器の前記開口周縁部と、前記内容器の前記開口周縁部とが密着されることを特徴とする。
【0009】
前記食器において、前記外容器又は前記内容器の少なくとも一方の側面には、凹凸模様が形成されることを特徴とする。
【0010】
前記食器において、前記外容器又は前記内容器の少なくとも一方の底面には、凹凸模様が形成されることを特徴とする。
【0011】
前記食器において、前記食器は、どんぶりであることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る食器の製造方法は、外容器と内容器との間に空気層が形成され、前記内容器側に食材又は飲料が収容される二重構造の食器の製造方法において、プレス成形により、開口周縁部に第1フランジ部を有する前記外容器の予備成形材を形成するステップと、プレス成形により、開口周縁部に第2フランジ部を有する前記内容器の予備成形材を形成するステップと、プレス成形により、前記第1フランジ部を前記外容器の底面側に変形させ、第1ベンド部を形成するステップと、プレス成形により、前記第2フランジ部を前記内容器の底面側に変形させ、第2ベンド部を形成するステップと、前記第1ベンド部が形成された前記外容器を、前記空気層を介して、前記第2ベンド部が形成された前記内容器に重ね合わせるステップと、プレス成形により、重ね合わされた前記第1ベンド部及び前記第2ベンド部を、前記外容器の外側面に向かって変形させ、前記外容器の第1湾曲部及び前記内容器の第2湾曲部を形成するステップと、プレス成形により、前記第1湾曲部を巻き込むように前記第2湾曲部を塑性変形させ、前記食器の開口周縁部を形成するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の食器及びその製造方法によれば、外容器と内容器とを空気層を介して重ね合わせ、外容器の第1湾曲部を巻き込むように、内容器の第2湾曲部を塑性変形させることで、外容器及び内容器の開口周縁部を密着させているため、極めて短時間で食器を製造することができる。また、食器の開口周縁部は、外容器及び内容器を湾曲させて形成されているため、十分な強度を備えており、破損したり、変形したりするおそれはない。さらに、開口周縁部に所定の肉厚が付与されるため、利用者の唇が触れた際の触感が良く、従って、当該食器を使用して飲食を行う際の満足度が向上する効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は、本実施形態の食器を上方向から見た斜視図、(b)は本実施形態の食器を下方向から見た斜視図である。
【図2】図1(a)のII−II線断面図である。
【図3】本実施形態の食器の外容器を製造する工程の説明図であり、工程(a)は、板材から打ち抜かれたブランク材、工程(b)は、ブランク材からプレス成形された第1予備成形材、工程(c)は、第1予備成形材からプレス成形された第2予備成形材、工程(d)は、第2予備成形材からプレス成形された第3予備成形材、工程(e)は、第3予備成形材からプレス成形された第4予備成形材を示す。
【図4】本実施形態の食器の内容器を製造する工程の説明図であり、工程(a)は、板材から打ち抜かれたブランク材、工程(b)は、ブランク材からプレス成形された第1予備成形材、工程(c)は、第1予備成形材からプレス成形された第2予備成形材を示す。
【図5】本実施形態の食器を製造する工程の説明図であり、工程(a)は、外容器の第4予備成形材を内容器の第2予備成形材に重ね合わせた状態、工程(b)は、外容器の第4予備成形材の第1ベンド部及び内容器の第2予備成形材の第2ベンド部を湾曲変形させた状態、工程(c)は、湾曲変形した外容器12の第1湾曲部がさらに湾曲変形される一方、内容器14の第2湾曲部が塑性変形された状態を示す。
【図6】図5の工程(c)の詳細な説明図であり、工程(a)は、開口周縁部22の成形を開始する状態、工程(b)は、第1湾曲部を湾曲変形させるとともに、第2湾曲部を塑性変形させた状態、工程(c)は、成形された開口周縁部をプレス金型から取り出した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1(a)は、本実施形態の食器10、例えば、どんぶりを上方向から見た斜視図、図1(b)は本実施形態の食器10を下方向から見た斜視図である。図2は、図1(a)のII−II線断面図である。
【0017】
食器10は、食材又は飲料を収容するものであり、外側に配設される外容器12と、内側に配設される内容器14とを備え、外容器12と内容器14との間に空気層を構成する間隙16が形成される二重構造として構成される。外容器12及び内容器14は、ステンレス鋼(例えば、SUS304)等の金属板を成形して形成される。
【0018】
外容器12の側面には、外容器12を凹凸形状にプレス成形することにより、所望の凹凸模様18(例えば、龍の模様)が形成される。この凹凸模様18は、側面の複数個所に形成することができる。また、外容器12の底面には、凹凸模様18と同様に、外容器12を凹凸形状にプレス成形することにより、所望の凹凸模様20(例えば、双喜紋)が形成される。
【0019】
外容器12と内容器14とは、食器10の開口周縁部22において後述するようにして密着する。
【0020】
次に、食器10の製造方法につき、図3〜図6に基づいて説明する。
【0021】
先ず、外容器12の製造工程について説明する。図3は、本実施形態の食器10の外容器12を製造する工程の説明図であり、工程(a)は、板材から打ち抜かれたブランク材24、工程(b)は、ブランク材24からプレス成形された第1予備成形材28、工程(c)は、第1予備成形材28からプレス成形された第2予備成形材30、工程(d)は、第2予備成形材30からプレス成形された第3予備成形材36、工程(e)は、第3予備成形材36からプレス成形された第4予備成形材38を示す。
【0022】
<外容器12の製造工程>
始めに、ステンレス鋼等の板材から、外容器12の大きさに応じた直径からなる円形のブランク材24を打ち抜く(工程(a))。次に、ブランク材24をプレス成形することにより、開口周縁部に鍔状の第1フランジ部26を有する凹状形の第1予備成形材28を形成する(工程(b))。
【0023】
次いで、第1予備成形材28をプレス成形し、第2予備成形材30を形成する(工程(c))。この場合、外容器12の底面に対応する部分に、凹凸模様20(例えば、双喜紋)を形成するとともに、凹凸模様20の回りに外側に突出する高台32を形成する。
【0024】
続いて、第2予備成形材30の開口周縁部を、外容器12に応じて周径を調整するためにトリミングした後、プレス成形により、第1フランジ部26を外容器12の底面側に折り曲げるようにして変形することで、幅x1からなる第1ベンド部34を有する第3予備成形材36を形成する(工程(d))。
【0025】
最後に、プレス成形により、第3予備成形材36の外側面に、凹凸模様18(例えば、龍の模様)を形成した第4予備成形材38を作成する(工程(e))。なお、凹凸模様18は、例えば、第3予備成形材36を中心軸の回りに90°ずつインデックスさせてプレス成形することで、1つのプレス金型を用いて4個所に形成することができる。
【0026】
<内容器14の製造工程>
次に、内容器14の製造工程について説明する。図4は、本実施形態の食器10の内容器14を製造する工程の説明図であり、工程(a)は、板材から打ち抜かれたブランク材40、工程(b)は、ブランク材40からプレス成形された第1予備成形材44、工程(c)は、第1予備成形材44からプレス成形された第2予備成形材48を示す。
【0027】
始めに、ステンレス鋼等の板材から、内容器14の大きさに応じた直径からなる円形のブランク材40を打ち抜く(工程(a))。なお、ブランク材40は、外容器12のブランク材24と同じものであってもよい。次に、ブランク材40をプレス成形することにより、開口周縁部に鍔状の第2フランジ部42を有する凹状形の第1予備成形材44を形成する(工程(b))。
【0028】
続いて、第1予備成形材44の開口周縁部を、内容器14に応じて周径を調整するためにトリミングした後、プレス成形により、第2フランジ部42を内容器14の底面側に折り曲げるようにして変形することで、幅x2からなる第2ベンド部46を有する第2予備成形材48を形成する(工程(c))。なお、第2ベンド部46の底面側に対する折り曲げの幅x2は、外容器12を形成する第3予備成形材36及び第4予備成形材38の第1ベンド部34の折り曲げの幅x1に対して、x1<x2の関係となるように設定する。
【0029】
<食器10の製造工程>
次に、外容器12の第4予備成形材38と、内容器14の第2予備成形材48とを用いて、食器10を製造する工程について説明する。図5は、本実施形態の食器10を製造する工程の説明図であり、工程(a)は、外容器12の第4予備成形材38を内容器14の第2予備成形材48に重ね合わせた状態、工程(b)は、外容器12の第4予備成形材38の第1ベンド部34及び内容器14の第2予備成形材48の第2ベンド部46を湾曲変形させた状態、工程(c)は、湾曲変形した外容器12の第1湾曲部50がさらに湾曲変形される一方、内容器14の第2湾曲部52が塑性変形された状態を示す。
【0030】
先ず、外容器12の第4予備成形材38を、空気層を構成する間隙16を介して、内容器14の第2予備成形材48に重ね合わせる(工程(a))。第4予備成形材38の第1ベンド部34は、第2予備成形材48の第2ベンド部46に重なる。この場合、第2ベンド部46の幅x2(図4の工程(c))は、第1ベンド部34の幅x1(図3の工程(d))よりも大きく、従って、図5の工程(a)の状態において、第2ベンド部46が第1ベンド部34よりも上方に突出する。
【0031】
次に、プレス成形により、重ね合わされた第1ベンド部34及び第2ベンド部46を外容器12の外側面に向かって湾曲変形させ、第1湾曲部50(外容器12の第1ベンド部34)及び第2湾曲部52(内容器14の第2ベンド部46)を形成する(工程(b))。この場合、内容器14の第2湾曲部52は、外容器12の第1湾曲部50の上に重ね合わされた状態となる。
【0032】
最後に、プレス成形により、第1湾曲部50を巻き込むように第2湾曲部52を塑性変形させ、第1湾曲部50及び第2湾曲部52が強固に密着した開口周縁部22を形成する(工程(c))。
【0033】
図6は、図5の工程(c)の詳細な説明図であり、工程(a)は、開口周縁部22の成形を開始する状態、工程(b)は、第1湾曲部50を湾曲変形させるとともに、第2湾曲部52を塑性変形させた状態、工程(c)は、成形された開口周縁部22をプレス金型から取り出した状態を示す。
【0034】
第1湾曲部50及び第2湾曲部52は、下型54と上型56との間に配置される(工程(a))。この場合、下型54には、食器10を上向きに配置した状態において、完成品の食器10における内容器14の開口周縁部22の上部形状に対応した型面58が形成され、上型56には、完成品の食器10における外容器12の開口周縁部22の下部形状に対応した型面60が形成されている。
【0035】
図6の工程(a)の状態から、上型56を下型54に指向して矢印方向に変位させる。外容器12の第1湾曲部50は、内容器14の第2湾曲部52を介して上型56の型面60に押圧され、略円形の中空部57を残した状態まで湾曲変形される(工程(b))。この場合、第1湾曲部50となる外容器12の第1ベンド部34の幅x1は、第2湾曲部52となる内容器14の第2ベンド部46の幅x2よりも小さく設定されているため、第1湾曲部50の先端部50aは、第2湾曲部52及び外容器12の外側面12aによって拘束されることのない自由端となっている。従って、外容器12の第1湾曲部50は、塑性変形することなく、スプリングバックの力を保持した状態で湾曲する。
【0036】
一方、内容器14の第2湾曲部52は、上型56の型面60の背面部60a及び下型54の型面58の背面部58aにより拘束された状態で、上型56により押圧され、弾性限度を超える負荷が加えられて塑性変形する(工程(b))。この場合、第2湾曲部52となる内容器14の第2ベンド部46の幅x2は、第1湾曲部50となる外容器12の第1ベンド部34の幅x1よりも大きく設定されている。そのため、第2湾曲部52の湾曲部52aが、型面60の背面部60a及び型面58の背面部58aにより逃げ場のない状態に拘束されるとともに、第2湾曲部52の先端部52bが、型面60と、外容器12の外側面12aと、内容器14の外側面14aと、型面58とによって挟持され拘束された状態となる。従って、内容器14の第2湾曲部52は、第1湾曲部50を巻き込むように塑性変形し、第2湾曲部52のスプリングバックが阻止される。
【0037】
この結果、外容器12の第1湾曲部50が、スプリングバックにより内容器14の第2湾曲部52側に押圧される一方、内容器14の第2湾曲部52が、塑性変形することで第1湾曲部50を押さえつけた状態となり、結局、第1湾曲部50と、第2湾曲部52とが隙間無く密着する。
【0038】
次いで、工程(b)の状態から、上型56及び下型54を型開きすることにより、工程(c)に示すように成形された開口周縁部22を有する食器10が完成する。なお、外容器12及び内容器14が開口周縁部22において密着された食器10は、必要に応じて、外表面の研磨、塗装、コーティング等が施された後、出荷される。
【0039】
以上のように、本実施形態の食器10は、プレス成形により、外容器12の第1湾曲部50を巻き込むように、内容器14の第2湾曲部52を塑性変形させることで、第1湾曲部50及び第2湾曲部52を密着させた食器10の開口周縁部22を形成している。この場合、開口周縁部22を溶接により接合していないため、溶接作業及び溶接後の切削研磨作業が不要となり、開口周縁部22の形成に要する時間を大幅に短縮することができる。例えば、溶接によって開口周縁部22を接合した場合には、1つの食器10を完成させるのに30分程度を要していたが、本実施形態では、約1/100の時間で食器10を完成させることができた。
【0040】
また、開口周縁部22は、内容器14の第2湾曲部52を塑性変形させ、外容器12の第1湾曲部50を巻き込むように形成されており、第1湾曲部50が第2湾曲部52側にスプリングバックする一方、塑性変形している第2湾曲部52が第1湾曲部50を押さえつけるため、第1湾曲部50と第2湾曲部52とが密着し、気密性の極めて高い良好な状態の開口周縁部22を形成することができる。
【0041】
また、本実施形態の開口周縁部22は、図6の工程(c)に示すように、第1湾曲部50及び第2湾曲部52を湾曲させて形成された4層構造になっているため、開口周縁部22に十分な強度が付与される。従って、開口周縁部22が破損したり、変形してしまうおそれがなく、品質の良好な状態を長期間維持することができる。
【0042】
さらに、開口周縁部22は、第1湾曲部50及び第2湾曲部52を湾曲させた4層構造であることから、所定の肉厚を有しているため、利用者の唇が開口周縁部22に触れた際、鋭利な開口周縁部をからなる食器に比較して、良好な触感を得ることができる。従って、当該食器10を使用して飲食を行う際の満足度が向上する効果が期待される。しかも、食器10は、空気層である間隙16を有する二重構造であるため、収容した食材や飲料が冷めにくく、又は、温まり難いため、良好な状態で飲食を楽しむことができる。
【0043】
さらにまた、食器10を構成する外容器12には、凹凸模様18及び20が形成されているため、凹凸模様18及び20が形成されていない場合に比較して、外容器12の強度を高めることができる。従って、変形し難い食器10を提供することができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0045】
例えば、本発明が適用される食器としては、利用者が周縁部に唇を付けて使用することができるものであれば、どんぶりに限定されるものではなく、例えば、茶碗、カップ、スープ皿等にも適用可能である。
【0046】
また、外容器12の側面部に形成される凹凸模様18及び外容器12の底面部に形成される凹凸模様20は、図1に示す模様や位置に限定されるものではなく、外容器12に凹凸を形成して強度を向上させることのできるものであれば、任意の模様を任意の位置に形成することができる。
【0047】
さらに、凹凸模様20を形成した後に凹凸模様18を形成するものとして説明したが、この順番に限定されるものではなく、例えば、凹凸模様18を形成した後、凹凸模様20を形成し、又は、これらの凹凸模様18及び20を同時に形成するようにしてもよい。
【0048】
さらにまた、外容器12の側面及び底面に凹凸模様18及び20を形成するものとして説明したが、外容器12又は内容器14の少なくとも一方に凹凸模様を形成するようにしてもよい。内容器14に凹凸模様を形成することにより、内容器14の強度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0049】
10…食器
12…外容器
12a、14a…外側面
14…内容器
16…間隙
18、20…凹凸模様
22…開口周縁部
24、40…ブランク材
26…第1フランジ部
28、44…第1予備成形材
30、48…第2予備成形材
34…第1ベンド部
36…第3予備成形材
38…第4予備成形材
42…第2フランジ部
46…第2ベンド部
50…第1湾曲部
50a、52b…先端部
52…第2湾曲部
52a…湾曲部
54…下型
56…上型
57…中空部
58、60…型面
58a、60a…背面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器と内容器との間に空気層が形成され、前記内容器側に食材又は飲料が収容される二重構造の食器において、
前記外容器の開口周縁部が外方に湾曲する第1湾曲部として形成され、
前記空気層を介して前記外容器に重ね合わせられる前記内容器の開口周縁部が外方に湾曲する第2湾曲部として形成され、
前記第2湾曲部が前記第1湾曲部を巻き込むように塑性変形され、前記外容器の前記開口周縁部と、前記内容器の前記開口周縁部とが密着されることを特徴とする食器。
【請求項2】
請求項1記載の食器において、
前記外容器又は前記内容器の少なくとも一方の側面には、凹凸模様が形成されることを特徴とする食器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の食器において、
前記外容器又は前記内容器の少なくとも一方の底面には、凹凸模様が形成されることを特徴とする食器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の食器において、
前記食器は、どんぶりであることを特徴とする食器。
【請求項5】
外容器と内容器との間に空気層が形成され、前記内容器側に食材又は飲料が収容される二重構造の食器の製造方法において、
プレス成形により、開口周縁部に第1フランジ部を有する前記外容器の予備成形材を形成するステップと、
プレス成形により、開口周縁部に第2フランジ部を有する前記内容器の予備成形材を形成するステップと、
プレス成形により、前記第1フランジ部を前記外容器の底面側に変形させ、第1ベンド部を形成するステップと、
プレス成形により、前記第2フランジ部を前記内容器の底面側に変形させ、第2ベンド部を形成するステップと、
前記第1ベンド部が形成された前記外容器を、前記空気層を介して、前記第2ベンド部が形成された前記内容器に重ね合わせるステップと、
プレス成形により、重ね合わされた前記第1ベンド部及び前記第2ベンド部を、前記外容器の外側面に向かって変形させ、前記外容器の第1湾曲部及び前記内容器の第2湾曲部を形成するステップと、
プレス成形により、前記第1湾曲部を巻き込むように前記第2湾曲部を塑性変形させ、前記食器の開口周縁部を形成するステップと、
を有することを特徴とする食器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−85899(P2012−85899A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236248(P2010−236248)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(510279826)有限会社メイオー工業 (1)
【Fターム(参考)】