説明

食器用洗剤

本発明は、機械による自動食器洗浄のための穏やかな食器用洗剤配合物である、アルカリトリポリリン酸塩およびイミノ二コハク酸ナトリウムをベースとするリン酸塩抑制ビルダーシステムの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的機械食器洗浄のための素材保護的食器洗浄用洗剤配合物を製造するための、アルカリ金属トリポリリン酸塩およびイミノ二コハク酸ナトリウムに基づくリン酸塩抑制(reduced−phosphate)ビルダーシステム(builder system)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸塩抑制配合物とは、そのリン酸塩含量が、洗浄液中における水の硬度と食器汚れの硬度発生イオンとから生じるものを合計した最大硬度と結合するには不十分であって、リン酸塩の群には属さない錯化剤を用いてそのギャップを埋め合わせるものである。トリポリリン酸塩の十分な量が、約50%(±5%)であることが見出されている。したがって、本発明の意味合いにおいては、リン酸塩抑制配合物とは、45%未満、好ましくは0.01〜44.9%のリン酸塩含量であることを特徴とする。
【0003】
食器洗浄機における食器の洗浄においては、その洗浄操作の間に、広く各種の食品の残渣からなる汚れが食器から落とされる。手で洗浄する場合に比較すると、食器洗浄機における食器洗浄は、より高いpHと、好ましくは45〜70℃の間のより高い温度とで進行する。油脂の染みは、使用したアルカリ性媒体の中で加水分解されて、食器から除かれる。着色した染み、たとえば紅茶の染みは、漂白系による酸化によって除去される。デンプンおよびタンパク質成分は、酵素によって加水分解的に分解されるので、より容易に除去される。界面活性剤は、低濃度では濡らし剤としてのみ働き、手洗い用の食器洗浄用洗剤とは対照的に、低発泡性でなければならない。
【0004】
しかしながら、高い塩含量を有する配合物は、洗浄した後の食器の上に目に見える跡を残す。したがって、食器洗浄機の自動洗浄プログラムにおいては、洗浄操作とすすぎ操作とは分けられている。この目的のために、機械食器洗浄用洗剤とすすぎ助剤という、全く異なった製品が開発された。そのシステムは、イオン交換によって軟化させるための、いわゆる再生塩によって補われている。
【0005】
第四の製品としては、「機械手入れ用(machine care)組成物」が市場に登場したが、このものは、所定のサイクル数の後に機械そのものを洗浄し、手入れすることを目的としている。今日までに見られる最後の組成物は、第五の要素としての、芳香剤(防臭剤とも呼ばれる)である。最近では、それら各種の成分が、食器洗浄用錠剤の中に、たとえば「3種を一つに」とか「5種を一つに」といったように一体化または組み合わされている。
【0006】
(非特許文献1)によれば、機械食器洗浄組成物のための必要条件は次の通りである:
・極めて良好な油脂脱離性能
・タンパク質含有およびデンプン含有汚れに対する膨潤性能および汚れ脱離性能
・強烈に着色した染みの除去
・微生物カウントの減少
・低発泡
・洗浄後に、残渣およびスポットのない食器
・素材保護(ガラス、磁器、ステンレス鋼、銀)
・貯蔵安定性
・好適な環境特性
【0007】
機械食器洗浄のための最初の製品には、90%を超えるトリポリリン酸ナトリウム(NTPP)と、約3%のアルカリ性を上げるためおよび腐食防止のためのメタケイ酸ナトリウムとからなり、漂白剤としてのトリクロロイソシアヌル酸ナトリウムが含まれていた。
【0008】
NTPPおよびメタケイ酸塩のアルカリ性の結果として、油脂を加水分解させることによる油脂状汚れの脱離が確保され、さらに、NTPPが、カルシウムおよびマグネシウムイオンに対して良好な錯体形成能と、ガラス、磁器および金属の保護作用とを併せ持っている。
【0009】
環境保護の理由(リン酸塩は水に対して富栄養化作用を有している)から、リン酸塩含量をまず低下させて、メタケイ酸ナトリウムに置き換えられた。しかしながら、メタケイ酸塩の腐食作用が強いために、家庭で使用するには危険を伴った。その結果としてクエン酸塩を用いて配合された、最初のリン酸塩非含有、低アルカリ性機械食器洗浄用洗剤が市場に現れたのが1991年のことである。しかしながら、洗浄結果が満足できないことや、傷つきやすいガラスおよびガラスの装飾に対して腐食の損傷を与えることなどに関して、かなりの不満が存在していた。したがって、食器洗浄機の主要メーカーは、早くも1995年には、酸素を用いて漂白するリン酸塩含有配合物に戻ることを推奨した。ドイツでは、1999年には、酸素を用いて漂白するリン酸塩含有配合物が再び、約90%のシェアを持つこととなった。錯化剤としてのトリポリリン酸塩の役割は、メタケイ酸塩またはクエン酸塩のいずれによっても、十分な役目を果たすことができなかった。
【0010】
NTPPの機能を完全または部分的にも果たすことが可能な、リン酸塩置換に対する要望が依然として存在している。たとえ部分的にではあってもNTPPを置き換えることによって、富栄養化に対しては好ましい効果があるであろう。この道筋は、リン酸塩の方が有機錯化剤よりも安価であるために、経済的な理由からも支持される。
【0011】
この数年の間に、低毒性の生分解性有機錯化剤が開発されるようになってきた。一般的に使用することが可能な製品の例としては、中程度の強度の錯化剤であるイミノ二コハク酸ナトリウム(Na−IDS)およびより強い錯化剤のメチルグリシン二酢酸ナトリウム(Na−MGDA)が挙げられる。これらの錯化剤も同様に、リン酸塩非含有食器洗浄用洗剤のために使用された。
【0012】
(特許文献1)には、機械食器洗浄用洗剤を製造するための、イミノ二コハク酸の塩と、40%迄のポリリン酸塩とを含むリン酸塩抑制ビルダーシステムの使用が記載されている。
【0013】
(特許文献2)には、機械食器洗浄のための洗浄配合物として使用するための、そのようなリン酸塩非含有配合物が記載されている。その配合物には、マレイン酸、無水マレイン酸およびアクリル酸のモノマーと、イソブテン、スチレンなどとから形成されるコポリマーが1〜20重量%含まれている。好ましい錯化剤としては、メチルグリシン二酢酸/MGDAおよび/またはそのナトリウム塩が特許請求されている。疎水性とすることもまた可能な、マレイン酸/アクリル酸をベースとするコポリマーが、錯化剤と組み合わさって、多くの洗剤配合物におけるビルダーシステムを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第3、697、453A号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/029806号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Hauthal、Wagner「Reinigungs− und Pflegemittel im Haushalt(家庭用クリーニングおよびケア組成物)」、Verlug fur Chemische Industrie、Augsburg,2003、ISBN3−87846−230−1、p.161〜168
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
しかしながら、この配合物の作用は満足のいくものではなかった。メチルグリシン二酢酸のナトリウム塩、すなわちNa−MGDAのような強い錯化剤の場合、洗浄するべき表面の素材保護に関しては問題が起きた。食器の光沢色が攻撃を受けて、数回の洗浄サイクルの後では暗色(pale)となってしまった。
【0017】
そのために、どのビルダーシステムが食器の機械洗浄に適しているか、そして、一方では素材保護的であると同時に、他方ではその洗浄性能においてリン酸塩含有(またはリン酸塩非含有)洗剤のレベルに少なくとも近づけるかという問題が提起された。本発明の文脈においては、「素材保護的」という用語は、好ましくはガラス、磁器、金属、陶器またはプラスチックからなっていてよい、洗浄するべき食器の着色デザインや光沢に関して、特に腐食保護することを意味している。
【0018】
驚くべきことには、0.1〜54.9重量%の量のアルカリ金属トリポリリン酸塩、好ましくはトリポリリン酸ナトリウム/NTPPと、0.1〜54.9重量%のイミノ二コハク酸ナトリウム、Na−IDS(イミドコハク酸のナトリウム塩)とからなる混合物または組合せが、一連の総合的な試験において、一方では洗浄性能に関して、そして他方では素材保護に関して、極めて優れた試験結果を与えることが見出された。
【0019】
したがって、本出願は、自動的機械食器洗浄装置において採用することが可能な、素材保護的食器洗浄用洗剤配合物のためのリン酸塩抑制ビルダーシステムを製造するための、以下のものの組合せの使用を提供する。
a)25〜54.9重量%のアルカリ金属トリポリリン酸塩、好ましくはトリポリリン酸ナトリウム(NTPP)、および
b)0.1〜30重量%のイミノ二コハク酸ナトリウム(Na−IDS)
【発明を実施するための形態】
【0020】
一つの好ましい実施態様においては、本発明において使用されるビルダーシステムには、25〜40重量%の成分a)および15〜30重量%の成分b)、より好ましくは25〜35重量%の成分a)および15〜25重量%の成分b)が含まれる。本発明においては、「アルカリ金属」は、カリウムおよびナトリウムを意味するものと理解されたい。
【0021】
食器洗浄用洗剤において使用するためのa)とb)との本発明による組合せは、驚くべきものであるが、その理由は、この組合せが伝統的にもっぱら使用されてきたリン酸塩含有配合物のレベルに達しているからで、特に、多くの錯化剤の内でも、Na−IDSは中程度の強度の錯体にしか分類されていなくて、Na−IDSを食器洗浄装置において使用しても所望の成功は示さないであろうと当業者が考えざるを得なかったからである。本発明の、a)とb)との個々の成分を規定された量で組み合わせたものは、洗浄するべき素材に関連して、従来技術から公知の組合せに比較して、従来技術よりもはるかに改良された腐食挙動を示し、それは、最近のリン酸塩抑制食器洗浄用洗剤に対する法的規制にも適合している。
【0022】
本発明において使用される混合物には、二つの主たる成分である、アルカリ金属トリポリリン酸塩および錯化剤としてのNa−IDS、好ましくはNTPPおよびNa−IDSだけではなく、それら二つのものの作用を促進または改良するようなさらなる成分も含まれていてよい。それらの成分としては、ポリマーおよびコポリマー(それらはさらに疎水化されていてもよい)、たとえば、ポリアクリル酸もしくはその塩、アクリル酸と他のコモノマーとのコポリマーもしくはそれらの塩、ポリアスパラギン酸をベースとするポリカルボン酸塩もしくはそれらの塩、カルボキシメチルセルロースもしくはその塩、酸化デンプンもしくはセルロース、メタケイ酸塩、層状ケイ酸塩、オルトケイ酸塩、炭酸塩、または炭酸水素塩が挙げられる。本発明において使用される錯化剤は、Na−IDSだけではなく、さらに、以下のものの群から選択される1種または複数の錯化剤を含んでいてもよい:ニトリロ三酢酸およびその塩、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸およびその塩、エチレンジアミン四酢酸およびその塩、ジエチレントリアミン五酢酸およびその塩、メチルグリシン二酢酸およびその塩、グルタミン二酢酸およびその塩、ヒドロキシイミノ二コハク酸およびその塩、エチレンジアミン二コハク酸およびその塩、アスパラギン酸ジアセテートおよびその塩。
【0023】
機械食器洗浄のための、本発明の食器洗浄機用洗剤配合物には、本発明において使用される成分a)とb)との組合せに加えて、さらに以下のものが含まれる:
c)1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の、低発泡性のノニオン界面活性剤、および
d)0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の漂白剤および場合によっては漂白活性化剤。
【0024】
それらに代わるさらなる実施態様においては、本発明の食器洗浄機洗剤配合物には、以下のものをさらに含んでいてもよい:
e)0.1〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%のさらなるビルダー。
【0025】
それらに代わるさらなる実施態様においては、本発明の食器洗浄用洗剤配合物には、成分a)〜d)およびe)に加えて、またはe)の代わりに、以下のものを含んでいてもよい:
f)0.1〜8重量%、好ましくは0.1〜5重量%の酵素、好ましくはプロテアーゼ、アミラーゼまたはリパーゼ。
【0026】
それらに代わるさらなる実施態様においては、本発明の食器洗浄用洗剤配合物には、成分a)〜d)および任意成分のe)および/またはf)に加えるか、またはe)もしくはf)の成分の一つに代えて、さらに以下のものを含んでいてもよい:
g)0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜45重量%の、1種または複数のさらなる添加物、たとえば、アニオン性または両性イオン性界面活性剤、漂白触媒、アルカリキャリアー、腐食防止剤、脱泡剤、色素、芳香剤、充填剤、有機溶媒、または水。
【0027】
本発明の洗剤配合物の組合せの範囲内では、成分a)〜g)を合計したものが、可能ないずれの場合においても、かならず合計して100重量%までとする。
【0028】
その配合物は、錠剤、粉剤、ゲル、カプセルまたは溶液として加工することができる。それらの配合物は、家庭用とすることも、あるいは商業用とすることも可能である。その中で本発明において使用される成分a)およびb)の組合せまたはそれから得られる洗剤配合物が使用される洗浄装置は、家庭用食器洗浄機、大型キッチンにおける食器洗浄機、ならびに船舶、車両および航空機の食器洗浄機であってもよいし、さらには、医療または化学実験室における洗浄機装置であってもよい。
【0029】
成分c)としては、成分a)〜d)を含む本発明の洗剤配合物には、弱発泡性または低発泡性のノニオン界面活性剤が含まれる。それらは一般的には、0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.25〜10重量%の比率で存在させる。
【0030】
低発泡性または弱発泡性のノニオン界面活性剤は、好ましくは末端をキャップされた脂肪族アルキルエトキシレートであって、脂肪族アルコールと、各種の配置をさせたエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド/ブチレンオキシドブロックとから得ることができる(J.Tropsch、H.Guembel、G.Oetter「New low−foaming surfactants for dishwasher detergents and rinse aids」、SOFW J.、2001、127、H.11、2−5)。
【0031】
好適なノニオン界面活性剤としては、一般式(I)の界面活性剤が挙げられる。
−O−(CHCHO)−(CHRCHO)−R (I)
[式中、
は、8〜22個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基であり、
およびRはそれぞれ独立して、水素または、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基またはHであり、ここでRは好ましくはメチルであり、
pおよびmはそれぞれ独立して、0〜300であるが、
pは、より好ましくは1〜5の整数、mは0〜30の整数である。]
【0032】
式(I)の界面活性剤は、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーのいずれであってもよいが、ブロックコポリマーであるのが好ましい。
【0033】
さらに、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから形成される、ジ−またはマルチ−ブロックコポリマーを使用することもまた可能であり、そのようなものは、たとえばPluronic(登録商標)(BASF Aktiengesellschaft)またはTetronic(登録商標)(BASF Corporation)の名称で市販されている。ソルビタンエステルと、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応生成物を使用することもまた可能である。同様にして、アミンオキシドまたはアルキルグリコシドも適している。適切なノニオン界面活性剤の概要については、欧州特許出願公開第A0 851 023号明細書および独国特許出願公開第A198 19 187号明細書に記載がある。
【0034】
それらの配合物にはさらに、アニオン性または両性イオン性界面活性剤、好ましくはノニオン界面活性剤との混合物が含まれていてもよい。好適なアニオン性および両性イオン性界面活性剤は、同様にして、欧州特許出願公開第A851 023号明細書および独国特許出願公開第A198 19 187号明細書に特定されている。
【0035】
成分d)としては、成分a)〜d)を含む本発明の食器洗浄用洗剤配合物には、漂白剤および場合によっては漂白活性化剤が含まれる。
【0036】
漂白剤は、酸素系漂白剤と塩素系漂白剤とに分類される。酸素系漂白剤として使用できるのは、アルカリ金属過ホウ酸塩およびそれらの水和物、ならびにアルカリ金属過炭酸塩である。この文脈において好適な漂白剤は、一水和物または四水和物の形態の過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウムまたは過炭酸ナトリウムの水和物である。
【0037】
同様にして、酸素系漂白剤として使用可能なものは、過硫酸塩および過酸化水素である。
【0038】
典型的な酸素系漂白剤としてはさらに、過酸があり、たとえば、過安息香酸、ペルオキシ−アルファ−ナフトエ酸、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、フタルイミドペルオキシカプロン酸、1,12−ジペルオキシドデカン二酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキソイソフタル酸、または2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、などがある。
【0039】
さらに、以下のような酸素系漂白剤も、本発明の食器洗浄用洗剤配合物の中で使用することも可能である:米国特許第5,422,028号明細書、米国特許第5,294,362号明細書および米国特許第5,292,447号明細書の特許出願に記載されているカチオン性ペルオキシ酸;米国特許第5,039,447号明細書の特許出願に記載されているスルホニルペルオキシ酸。
【0040】
酸素系漂白剤は、食器洗浄用洗剤配合物全体を基準にして、一般的には0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%の量で使用される。
【0041】
塩素系漂白剤ならびに、漂白剤とペルオキシド漂白剤との組合せも同様にして使用することができる。公知の塩素系漂白剤は、たとえば、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−クロロスルファミド、クロラミンT、ジクロラミンT、クロラミンB、N,N’−ジクロロベンゾイル尿素、p−トルエンスルホニルジクロルアミドまたはトリクロロエチレンアミンなどである。好ましい塩素系漂白剤は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸マグネシウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、またはジクロロイソシアヌル酸ナトリウムである。
【0042】
塩素系漂白剤は、食器洗浄用洗剤配合物全体を基準にして、一般的には0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.3〜8重量%の量で使用される。
【0043】
さらに、少量の漂白安定剤、たとえばホスホン酸塩、ホウ酸塩、メタホウ酸塩、メタケイ酸塩またはマグネシウム塩などを添加することができる。
【0044】
漂白活性化剤は、ペル加水分解条件下で、好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸および/または置換された過安息香酸を与えるような化合物である。好適な化合物は、1個または複数のN−もしくはO−アシル基および/または場合によっては置換されたベンゾイル基を含むもの、たとえば、酸無水物、エステル、イミド、アシル化イミダゾールまたはオキシムのタイプからの物質である。例としては以下のものが挙げられる:テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、テトラアセチルメチレンジアミン(TAMD)、テトラアセチルグリコルリル(TA−GU)、テトラアセチルヘキシレンジアミン(TAHD)、N−アシルイミドたとえばN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネートたとえば、n−ノナノイル−もしくはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n−もしくはiso−NOBS)、ペンタアセチルグルコース(PAG)、1,5−ジアセチル−2,2−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)またはイサト酸無水物(ISA)。漂白活性化剤として同様に適しているものは、ニトリルクアット(nitrile quat)たとえば、N−メチルモルホリノアセトニトリル(MMA塩)またはトリメチルアンモニオアセトニトリル塩(TMAQ塩)である。
【0045】
好適な漂白活性化剤は、ポリアシル化アルキレンジアミンより好ましくはTAED、N−アシルイミドより好ましくはNOSI、アシル化フェノールスルホネートより好ましくはn−もしくはiso−NOBS、MMAおよびTMAQからなる群より選択されるものである。
【0046】
さらには、以下の物質も、成分a)およびb)、ならびにさらにc)およびd)を含む本発明の食器洗浄用洗剤配合物中の漂白活性化剤として使用可能である:カルボン酸無水物、たとえば無水フタル酸;アシル化多価アルコール、たとえばトリアセチン、二酢酸エチレングリコールもしくは2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン;独国特許出願公開第A19 616 693号明細書および独国特許出願公開第A19 616 767号明細書から公知のエノールエステル、さらには欧州特許出願公開第A0 525 239号明細書に記載のアシル化ソルビトールおよびマンニトールならびにそれらの混合物;国際公開第94/27 970号パンフレット、国際公開第94/28 102号パンフレット、国際公開第94/28 103号パンフレット、国際公開第95/00 626号パンフレット、国際公開第95/14 759号パンフレットおよび国際公開第95/17 498号パンフレットの文献から公知の、アシル化糖誘導体、特にペンタアセチルグルコース(PAG)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロースおよびオクタアセチルラクトース、さらには、アシル化、場合によってはN−アルキル化グルカミンおよびグルコノラクトン、および/またはN−アシル化ラクタムたとえば、N−ベンゾイルカプロラクタム。
【0047】
独国特許出願公開第A19 616 769号明細書に詳細説明がある親水的に置換されたアシルアセタール、および独国特許出願公開第A19 616 770号明細書および国際公開第95/14 075号パンフレットに記載のアシルラクタムも、使用してよく、さらに、独国特許出願公開第A44 43 177号明細書から公知の慣用される漂白活性化剤と組み合わせたものを使用してもよい。
【0048】
漂白活性化剤は、食器洗浄用洗剤配合物の全体を基準にして、一般的には0.1〜10重量%、好ましくは1〜9重量%、より好ましくは1.5〜8重量%の量で使用される。
【0049】
成分a)〜d)を含む本発明の食器洗浄用洗剤配合物には、成分e)として、さらなるビルダーを含んでいてもよい。水溶性および水不溶性のビルダーを使用することができるが、それらの主たる役割は、カルシウムおよびマグネシウムを結合させることにある。
【0050】
使用されるさらなるビルダーは、
以下のものからのコポリマーa)である:
− a1)モノエチレン性不飽和C〜C10−モノ−またはジ−カルボン酸またはそれらの無水物からなる群からの少なくとも1種のモノマーと;
− 場合によっては、a2)一般式(II)の少なくとも1種のモノマーと;
【化1】

[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、H、CHまたはCであり、
は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状、もしくは環状の官能基であるか、または6〜12個の炭素原子を有する芳香族官能基である]
または、
− 場合によっては、a3)以下のものからなる群より選択される少なくとも1種のさらなるモノマー:10または100個の炭素原子を有するオレフィン、または低分子量カルボン酸およびそれらの塩、たとえばアルカリ金属クエン酸塩、特にクエン酸三ナトリウム無水物、もしくはクエン酸三ナトリウム二水和物、アルカリ金属コハク酸塩、アルカリ金属マロン酸塩、脂肪酸スルホネート、オキシ二コハク酸塩、アルキルもしくはアルケニル二コハク酸塩、グルコン酸、オキサ二酢酸塩、カルボキシメチルオキシコハク酸塩、酒石酸塩モノコハク酸塩、酒石酸塩ニコハク酸塩、酒石酸塩一酢酸塩、酒石酸塩二酢酸塩、α−ヒドロキシプロピオン酸;
酸化デンプン、酸化多糖類,
ホモポリマー性またはコポリマー性ポリカルボン酸およびそれらの塩、たとえばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、マレイン酸とアクリル酸とのコポリマー、
モノサッカライド、オリゴサッカライド、多糖類またはポリアスパラギン酸の上へのモノエチレン性不飽和モノ−および/またはジ−カルボン酸のグラフトポリマー;アミノポリカルボン酸塩およびポリアスパラギン酸;
ホスホン酸塩たとえば、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチレン(1,1−ジホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸もしくはジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸;
ケイ酸塩たとえば、二ケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸ナトリウム;
水溶性ビルダーたとえば、ゼオライトおよび結晶性層状ケイ酸塩。
【0051】
好適なモノマーa1)は、たとえば、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、およびシトラコン酸である。好適なコポリマーa)には、モノマーa1)として、マレイン酸、無水マレイン酸およびアクリル酸からなる群より選択されるモノマーが含まれる。
【0052】
好適な、場合によっては使用されるモノマーa2)は、たとえば、イソブテン、ジイソブテン、ブテン、ペンテン、ヘキセンおよびスチレンである。さらに好ましいコポリマーa)には、モノマーa2)として、イソブテン、ジイソブテン(2−メチル−3,3−ジメチル−1−ブテン)およびスチレンからなる群より選択されるモノマーが含まれる。
【0053】
好適な、場合によっては使用されるモノマーa3)は、少なくとも10個、好ましくは10〜26個の炭素原子を有する。特に好適なモノマーa3)は、1−デセン、1−ドデカン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、および1−ヘキサコセンである。さらに好ましいコポリマーa)には、モノマーa3)として、1−ドデセン、1−オクタデセン、C22−α−オレフィン、および平均して12〜100個の炭素原子を有するポリイソブテンからなる群より選択されるモノマーが含まれる。
【0054】
極めて特に好ましいコポリマーa)には、マレイン酸、無水マレイン酸およびアクリル酸から選択される、モノマーa1)、さらには、イソブテン、ジイソブテンおよびスチレンから選択されるモノマーa2)、そしてさらに、1−ドデセン、1−オクタデセン、C22−α−オレフィン、C20〜C24−α−オレフィンの混合物、および平均して12〜100個の炭素原子を有するポリイソブテンからなる群より選択されるモノマーa3)、が含まれる。特に好適なコポリマーは、モノマーa1)として30〜70重量%のマレイン酸および無水マレイン酸、モノマーa2)として20〜40重量%のイソブテン、モノマーa3)として5〜20重量%のオクタデセン、からなるものである。
【0055】
成分a)〜d)を含む本発明の食器洗浄用洗剤配合物には、成分f)として、酵素が含まれていてもよい。配合物の全量を基準にして、0.1〜8重量%の間の酵素を食器洗浄用洗剤に添加して、その性能を向上させたり、あるいはより穏やかな条件下で洗浄性能を同等のレベルに維持したりすることが可能である。最も多く使用される酵素としては、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、およびプロテアーゼが挙げられる。さらに、たとえばエステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼおよびペルオキシダーゼを使用することも可能である。
【0056】
成分a)〜d)を含む本発明の食器洗浄用洗剤配合物にはさらに、成分g)として、さらなる添加剤たとえばアニオン性または両性イオン性界面活性剤漂白触媒、アルカリキャリアー、腐食防止剤、脱泡剤、色素、芳香剤、充填剤、有機溶媒、および水、を含んでいてもよい。
【0057】
先に詳しく説明した慣用される漂白活性化剤に加えるか、またはそれらに代えて、いわゆる漂白触媒として、欧州特許出願公開第A446 982号明細書および欧州特許出願公開第A453 003号明細書から公知のスルホンイミン、および/または、漂白促進遷移金属塩または遷移金属錯体を本発明の食器洗浄用洗剤配合物の中に存在させることも可能である。
【0058】
有用な遷移金属化合物としては、たとえば、以下のものが挙げられる:独国特許出願公開第A19 529 905号明細書から公知のマンガン、鉄、コバルト、ルテニウムまたはモリブデン錯体、および独国特許出願公開第A19 620 267号明細書から公知のそれらのN−類似化合物;独国特許出願公開第A19 536 082号明細書から公知のマンガンカルボニル、鉄カルボニル、コバルトカルボニル、ルテニウムカルボニルまたはモリブデンカルボニル錯体;窒素含有三脚状配位子を有する、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタン、バナジウムおよび銅錯体(前記錯体は、独国特許出願公開第A19 605 688号明細書に記載されている);独国特許出願公開第A19 620 411号明細書から公知のコバルト−、鉄−、銅−、およびルテニウム−アミン錯体;独国特許出願公開第A4 416 438号明細書に記載のマンガン、銅、およびコバルト錯体;欧州特許出願公開第A272 030号明細書に記載のコバルト錯体;欧州特許出願公開第A693 550号明細書から公知のマンガン錯体;欧州特許出願公開第A443 651号明細書、欧州特許出願公開第A458 397号明細書、欧州特許出願公開第A458 398号明細書、欧州特許出願公開第A549 272号明細書、欧州特許出願公開第A544 490号明細書、および欧州特許出願公開第A544 519号明細書に記載のマンガン錯体。漂白活性化剤と遷移金属漂白触媒との組合せも、たとえば、独国特許出願公開第A19 613 103号明細書および国際公開第95/27 775号パンフレットから公知である。
【0059】
1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(TMTACN)を含む二核性のマンガン錯体、たとえば[(TMTACN)MNIVMnIV(μ−O)2+(PFもまた、有効な漂白触媒として適している。これらのマンガン錯体も同様に、上述の文献に記載されている。
【0060】
好適な漂白触媒は、好ましくは、マンガンの塩および錯体ならびにコバルトの塩および錯体からなる群からの漂白促進性遷移金属錯体または遷移金属塩である。より好適なのは、コバルト(アミン)錯体、コバルト(酢酸塩)錯体、コバルト(カルボニル)錯体、コバルトの塩化物もしくはマンガンの塩化物、硫酸マンガン、または、[(TMTACN)MnIVMnIV(μ−O2+(PFである。
【0061】
漂白触媒は、食器洗浄用洗剤配合物の全体を基準にして、0.0001〜5重量%、好ましくは0.0025〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.25重量%の量で使用してよい。
【0062】
成分a)〜d)を含む本発明の食器洗浄用洗剤配合物のさらなる成分として、アルカリキャリアーを存在させてもよい。アルカリキャリアーとしては、水酸化アンモニウムおよび/またはアルカリ金属水酸化物、炭酸アンモニウムおよび/またはアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素アンモニウムおよび/またはアルカリ金属炭酸水素塩、セスキ炭酸アンモニウムおよび/またはアルカリ金属セスキ炭酸塩、メタケイ酸アンモニウムおよび/またはアルカリ金属メタケイ酸塩、および上述の物質の混合物が挙げられるが、炭酸アンモニウムおよび/またはアルカリ金属炭酸塩、特に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたはセスキ炭酸ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0063】
使用可能な腐食防止剤は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アルキルアミノトリアゾールの群からの銀保護剤、および遷移金属の塩または錯体である。ベンゾトリアゾールおよび/またはアルキルアミノトリアゾールを使用するのが、特に好ましい。さらに、銀の表面の腐食を顕著に抑制する、活性塩素含有剤も、食器洗浄用洗剤配合物においてはしばしば使用される。塩素非含有洗剤においては、酸素含有および窒素含有の有機レドックス活性化合物、たとえば、二水酸基および三水酸基のフェノールたとえば、ヒドロキノン、ピロカテコール、ヒドロキシヒドロキノン、没食子酸、フロログルシノール、ピロガロールおよびそれらのタイプの化合物の誘導体を使用するのが好ましい。塩のタイプおよび錯体のタイプの無機化合物、たとえば金属のMn、Ti、Zr、Hf、V、Co、およびCeの塩もまたしばしば使用される。この場合、マンガンおよび/またはコバルトの塩および/または錯体の群から選択される、より好ましくはコバルト(アミン)錯体、コバルト(酢酸塩)錯体、コバルト(カルボニル)錯体、コバルトもしくはマンガンの塩化物、および硫酸マンガンの群から選択される遷移金属の塩を使用するのが好ましい。食器の上での腐食を防止するために、亜鉛化合物またはビスマス化合物を使用することも同様に可能である。
【0064】
パラフィンオイルおよびシリコーンオイルを、脱泡剤として、ならびにプラスチックおよび金属の表面保護のために、最適に使用してもよい。0.001重量%〜5重量%の割合で脱泡剤を使用するのが好ましい。色素たとえばパテントブルー、保存剤たとえばKathon CG、香料またはその他の芳香剤を、成分a)およびb)ならびにさらにc)およびd)を含む本発明の食器洗浄用洗剤配合物に添加することも可能である。
【0065】
成分a)およびb)ならびにさらにc)およびd)を含むビルダーシステムに基づいた、食器を機械洗浄するための本発明の食器洗浄用洗剤配合物は、粉剤の形態または錠剤の形態のいずれで使用してもよい。
【実施例】
【0066】
以下の試験においては、下記文献による(典型的なリン酸塩含量を有する)低アルカリ性洗剤のガイド配合物を使用する:Hermann G.Hauthal、G.Wagner(編)『Reinigungs− und Pflegemittel im Haushalt』、Verlug fur Chemische Industrie、Augsburg,2003、ISBN3−87846−230−1。
【0067】
[実施例1]
【0068】
【表1】

【0069】
この配合物において、トリポリリン酸ナトリウムを、イミノ二コハク酸ナトリウム、メチルグリシン二酢酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、および硫酸ナトリウムによって部分的に置き換える。
【0070】
選択された組合せの洗浄性能と素材保護について試験を行った。
VN1:上述の基本配合物(本発明ではない)
VN2:NTPPを30%にまで下げ、15.5%のNa−IDSを添加(本発明)
VN3:NTPPを30%にまで下げ、15.5%のMGDAを添加(本発明ではない)
VN4:NTPPを30%にまで下げ、15.5%のコハク酸Naを添加(本発明ではない)
VN5:NTPPを25%にまで下げ、20.5%のNa−IDSを添加
VN6:NTPPを20%にまで下げ、25.5%のNa−IDSを添加
VN7:NTPPを15%にまで下げ、30.5%のNa−IDSを添加
VN8:NTPPを10%にまで下げ、35.5%のNa−IDSを添加
【0071】
これらの配合物を用いて実施した一連の試験の結果を以下にまとめる。最初に、洗浄性能について検討したが、一つの一連の試験(R1)では、すすぎ助剤を使用せずに実施し、第二の試験(R2)ではすすぎ助剤を使用した。洗浄性能の評価には、評点システムを用いたが、評点1は、洗浄作用がまったく無いことを表し、評点10は完全な洗浄(=新品同様)を表している。
【0072】
特定の汚れのタイプについての百分率は、重量測定に基づいたものである。
【0073】
試験条件:
洗剤使用量 20g
水の硬度 8〜10度GH
【0074】
【表2】

【0075】
この試験シリーズにおいては、紅茶の場合には、リン酸塩がより少ない変更例の方が、従来タイプの変更例よりは良好な結果を与えた。
【0076】
すすぎ助剤を用いた洗浄試験における試験条件:
洗剤使用量 20g錠剤
水の硬度 8〜10度GH
試験シリーズ2(=R2)この洗浄性能の検討においては、すすぎ助剤を添加した。
すすぎ助剤は、3mLのIECタイプIIIである。
【0077】
【表3】

【0078】
この第二シリーズでは、すすぎ助剤を使用した場合の洗浄性能の検討を行った。従来タイプの配合物の場合およびNTPP/Na−IDS配合物の場合においては、紅茶の染みに対しては良好な洗浄性能が得られたが、リン酸塩含量の1/3を置換するためにクエン酸三ナトリウムを使用した場合では、そうでなかった。
【0079】
素材保護についての試験は、Miele Turbothermic G666SC食器洗浄機を用い、65℃の標準プログラムに従って実施した。洗剤引出しを通して20g錠剤を使用、すすぎ助剤は3mLのIECタイプIII;水の硬度は0.1度GHであった。
【0080】
【表4】

【0081】
これらの結果から、本発明において使用されるNTPPとNa−IDSとの組合せを含む本発明のリン酸塩抑制配合物が、素材保護において顕著な差を示すことが判る。たとえば、リン酸塩のほんの1/3をNa−MGDAで置き換えることによって、装飾ガラスに対して明らかに悪影響があるのに対して、Na−IDSを用いて同じ置き換えをすると、腐食性が低くなる。穏やかであろうと推測されるクエン酸塩であってさえ、カリクリスタルにおいては素材に腐食の影響を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動的機械食器洗浄のための素材保護的な食器洗浄用洗剤配合物を製造するための、
a)25〜54.9重量%のアルカリ金属トリポリリン酸塩、好ましくはトリポリリン酸ナトリウム、および
b)0.1〜30重量%のイミノ二コハク酸および/またはそのアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩、
をベースとする、リン酸塩抑制ビルダーシステムの使用。
【請求項2】
前記ビルダーシステムが、成分a)およびb)に加えて、ニトリロ三酢酸およびその塩、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸およびその塩、エチレンジアミン四酢酸およびその塩、ジエチレントリアミン五酢酸およびその塩、メチルグリシン二酢酸およびその塩、グルタミン二酢酸およびその塩、ヒドロキシイミノ二コハク酸およびその塩、エチレンジアミン二コハク酸およびその塩、アスパラギン酸ジアセテートおよびその塩からなる群からの1種または複数の錯化剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
使用されるさらなる成分が、ポリアクリル酸もしくはその塩、変性ポリアクリル酸もしくはその塩、ポリアスパラギン酸をベースとするポリカルボン酸塩もしくはそれらの塩、カルボキシメチルセルロースもしくはその塩、酸化デンプンもしくはセルロース、メタケイ酸塩、層状ケイ酸塩、オルトケイ酸塩、炭酸塩、または炭酸水素塩であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
ビルダーシステムとして、
a)25〜54.9重量%のアルカリ金属トリポリリン酸塩、好ましくはトリポリリン酸ナトリウム、および
b)0.1〜30重量%のイミノ二コハク酸および/またはそのアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩、ならびにさらに
c)1〜15重量%の低発泡性ノニオン界面活性剤、および
d)0.1〜30重量%の漂白剤、および場合によっては漂白活性化剤、
を含むことを特徴とする、機械食器洗浄のための食器洗浄用洗剤配合物。
【請求項5】
さらに、
e)0.1〜60重量%のさらなるビルダー
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の食器洗浄用洗剤配合物。
【請求項6】
さらに0.1〜8重量%の酵素を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の食器洗浄用洗剤配合物。
【請求項7】
0.1〜50重量%の、1種または複数のさらなる添加物を含むことを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の食器洗浄用洗剤配合物。
【請求項8】
ビルダーシステムとして、
a)25〜54.9重量%のアルカリ金属トリポリリン酸塩、好ましくはトリポリリン酸ナトリウム、および
b)0.1〜30重量%のイミノ二コハク酸および/またはそのアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩、ならびに
c)1〜15重量%の低発泡性ノニオン界面活性剤、および
d)0.1〜30重量%の漂白剤、および場合によっては漂白活性化剤、
を含む食器洗浄用洗剤配合物が使用されることを特徴とする、食器のための機械食器洗浄方法。
【請求項9】
前記食器洗浄用洗剤配合物が、粉剤としてまたは錠剤として使用されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。

【公表番号】特表2010−516832(P2010−516832A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545936(P2009−545936)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050541
【国際公開番号】WO2008/087200
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【出願人】(509203119)ベーケー・ジュリーニ・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】