説明

食料品及び食品加工工場においてリステリアモノサイトゲネスを制御するための病原性ファージ

本発明は、単独又は他の病原性ファージと組み合わせた、ミオウイルス科由来の病原性(溶解性)リステリアモノサイトゲネスファージ、好ましくはP100に関する。P100及びP100由来のエンドリシンを、リステリアモノサイトゲネス汚染を軽減するために、食料製品、食料製品に添加する成分、及び/もしくはこのような食料製品を加工する食品加工工場の基礎設備、あるいはこのような食品を保存及び/もしくは出荷するための容器や梱包材に施すことができる。P100はまた、本発明において食料品上(又はその内部)に存在するリステリアモノサイトゲネス細菌、並びに食料品を加工する食品加工工場の装置又は一般環境及びリステリアモノサイトゲネスに感染した動物内に存在するリステリアモノサイトゲネス細菌を同定するために使用することもできる。本発明のファージ及びエンドリシンはまた、リステリアモノサイトゲネスに感染した動物を処置するためにも使用することができる。P100はその宿主域内にある細菌を高効率で死滅させ、その上では高力価に増殖する。P100は、リステリアを減少又は排除するために他の溶解性ファージ及び/又は他の抗微生物剤と組み合わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のバクテリオファージ(「ファージ」)クラスであって、細菌種リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)に対して溶解性のある病原性ファージとして知られて要るものに関する。
【0002】
本発明においては、第1にこれらの細菌数を減少させる、かつ/又は、その増殖を阻止し、食料製品中(酪農製品業界を含む)、及び、加工装置上や食品業界施設内の他箇所におけるリステリアモノサイトゲネスの同定として有用であり、並びに、リステリアモノサイトゲネスに感染した動物を処置する治療剤として有用であることが示されているファージクラスの使用に関する。
【0003】
病原性リステリアモノサイトゲネスファージの1つの具体例はP100と命名されたファージであり、これは本発明者のうちの1人によって最近発見されたものである。本発明はまた、P100によって産生されたエンドリシン、並びに食料製品中及び加工装置上や食品業界施設内の他の箇所、及び、リステリアモノサイトゲネスに感染した動物内又は上においてリステリアモノサイトゲネスの量を減少させるためのエンドリシンの使用にも関する。また、溶解性の特性を有するさらなるファージの開発及び/又は単離を可能にする方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
抗菌剤としてのファージには、細菌標的内で複製されるという利点がある。したがって、その子孫ウイルスが細胞を溶解して細胞外環境へと流出すると、これらは後続の世代の細菌に感染して、そこでその細菌内で増加することができ、これにより標的細菌のバイナリ増殖よりもはるかに高いレベルの子孫ウイルスが生じて、細菌標的を犠牲にしてファージ個体群数が対数的に増加する。
【0005】
食料製品(及び施設、装置)における細菌感染を同定するためにファージを使用する概念は、一般に科学文献中に記載されている(例えば、非特許文献1参照)。とりわけ酪農製品及び施設/装置におけるリステリア汚染を同定するために特定のリステリアファージを使用する概念は、早くも1990年に記載されている(非特許文献2)。本発明は、特異的、重要かつ関連性のある特性を有する最近発見されたリステリアファージの使用に関し、これにより、本発明は酪農製品、施設及び装置のリステリア汚染の同定及び制御に特に適するものとなる。
【0006】
この主題における一般科学文献に加えて、食品加工工場及び食料品中における細菌汚染を制御するファージ一般の実用性を教示している特許文献も存在する。例えば、1991年4月9日発行の特許文献1、1989年7月25日発行の特許文献2、及び、1991年2月27日発行の特許文献3を参照されたい。しかし、上述の特許はいずれも、実際に試験を行い、食品加工工場及び食料製品中における細菌汚染の制御に成功したリステリアファージは開示していない。その理由は、以前の特許が開示された時点に当分野で知られていたリステリアファージはすべて溶原性ファージであり、したがって工業的な細菌根絶の目的には効率的でも適切でもなかったからである。
「溶原性」とは、ファージ株がそのDNAを細菌標的内に注入するとファージDNAが「プロファージ」として宿主細胞のDNA内に組み込まれ、かなりの期間の間そこに組み込まれたまま保たれることができることをいう。プロファージは宿主細胞がストレス下に置かれた場合にのみ切り出される(かつ複製及び溶解を開始する)ので、その結果起こる細菌溶解は予測不可能であり容易に制御することができず、これが、溶原性ファージが工業用途にあまり役立たない理由である。溶原性ファージは望ましくない危険な遺伝子を細菌標的に送達する可能性があり、そのDNAはこれをも組み込むということを含めた他の理由によっても、溶原性ファージは工業的除染目的に不適切である。対照的に、細菌標的内に組み込まれるために分子機構が必要ないという前提で、細菌標的を直接溶解するファージクラスがある。このようなファージは細菌標的に対して「病原性」又は「溶解性」であるといわれる。リステリアモノサイトゲネスに対する病原性ファージは、本発明者のうちの1人によって最近発見された。
【0007】
A511と命名されたこれらの病原性リステリアファージの1つ目は、1990年に文献に記載されている(非特許文献2参照)。本発明による病原性ファージはミオウイルス(Myoviridae)科に属しており、ウイルス頭部に向かって収縮する尾部を有する。1つの特に好ましいファージはP100と命名されており、2002年5月23日にAmerican Type Culture Collection、10801 University Blvd.、バージニア州マナッサス、20110−2209、ATCC特許寄託指定番号PTA−4383に寄託されている。
【0008】
本発明中で記載する病原性ファージはまた、プランクトン様のCFU(コロニー形成単位)ではなくバイオフィルム中のリステリアモノサイトゲネス細菌のCFUに対しても使用することができる。リステリアバイオフィルムに対する溶原性リステリアモノサイトゲネスファージの使用は文献に記載されている(非特許文献3参照)。具体的には、Roy他はシホウイルス(Siphoviridae)科の溶原性リステリアバクテリオファージH387、H387−A、及び2671を使用した。これらの溶原性ファージはリステリアバイオフィルムの透明化にある程度の有効性を示したが、これらを組み合わせても計数は最良で3.5〜3.7logの減少しか得られなかった。Roy他は、このような減少は「化学消毒剤への30秒間の曝露において推奨される減少レベル99.999%を満たすために向上されなければならない」と指摘している。上述のように、溶原性ファージは、標的細菌を死滅させることができる時間も効率も、予測可能でも容易に制御可能でもない。
【0009】
上述の病原性ファージの使用に加えて、本発明者らは、病原性亜株はいくつかの溶原性ファージ株由来であることができることも見出した。これらの病原性亜株は、プラーク単離(プラークの最も透明な領域を選択した後、高力価まで増殖させ、新しいプラークについてプレートし、後世代のプラークの最も透明な領域を拾うサイクルを繰り返すことによってその中にある最も病原性のある株を濃縮する)などの技法によって選択することができる。病原性亜株が既に開発されている又はこれから開発されるであろう溶原性ファージ株の例には、A118、A502、A006、A500、PSA、P35と命名された溶原性株、及び関連ウイルスが含まれる。
【0010】
リステリアの検出は、微生物の培養に基づいた手順による既知の様式で行う。非特許文献4に記載されている手順では2週間を要する。いくらかより迅速な手順が国際酪農連盟(IDF)に推奨されているが、これは少なくとも6〜8日を要する。その長さにより、どちらの手順も迅速な同定には不適切である。個々のコロニーを生産するためには栄養培地に数回接種しなければならず、その後単離したものを生化学的及び血清学的調査方法によって特徴づけなければならないので、どちらの手順もさらに大きな労力を要する。
【0011】
免疫学的試験を使用する必須条件は抗原が発現されることであり、これは任意の時点ですべてのタンパク質で起こるわけではない。試験は確かに数時間しかかからないが、検出限界が10〜1000×10個の細胞であるので、これらの手順では2日間事前濃縮した培養物が必要である。DNAプローブは同じオーダーの検出限界を有する。したがって、これらの手順でも細胞を事前に増幅させる必要がある。食料品試料又はその希釈物を寒天プレート上に画線し、接種したプレートをインキュベートし、その後、放射標識したDNAプローブを用いたコロニーハイブリダイゼーション手順で調査する。検出はオートラジオグラフィーによって行う。この方法もさらに労力及び時間を要する。
【0012】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)では、in vitroでの核酸の複製が可能になる。この手順では一般に事前培養は必要ない。検出限界は0.5×10個の細胞である。しかし、この手順では死滅細胞由来のDNAや単離したDNAも複製されるので、死滅細胞による汚染を生細胞による汚染から区別することができない。
【0013】
これらの方法による制限から、リステリア属の細菌を検出するための改善された作用物質及び方法を提供する必要性が示される。
【0014】
特許文献4(特許文献5)は、組換えバクテリオファージの使用に基づいた細菌、例えば大腸菌(Escherichia coli)の検出手順を開示している。このファージはビブリオフィッシェリ(Vibrio fischeri)由来のlux遺伝子を含み、したがって、生物発光による大腸菌の検出が良好な検出限界(0.5×10個の細胞)で可能となる。非特許文献5では、溶原性ファージを用いてマイコバクテリアの検出手順を開示している。これらの検出手順では、代謝的に活性のある細菌細胞のみが検出される。PCR技術のような死滅細菌細胞による干渉は起こらない。
【0015】
Scherer他の1998年10月20日発行の特許文献6では、1つ又は複数の検出可能なタンパク質の発現をコードしているDNAを含む遺伝子系を含むDNAベクターを調製し、リステリア属の細菌に特異的に感染して遺伝子系を細菌へと移すDNAベクターA511を使用する、リステリア属の細菌の検出手順を記載している。細菌内で検出可能なタンパク質が発現され、検出可能なタンパク質が検出されることによりリステリア属の細菌が存在することが示される。
【0016】
ファージにコードされているリシン又はエンドリシンは、細菌細胞壁を加水分解する活性の高い酵素である。これらのファージにコードされている細胞壁溶解酵素は、ウイルスの増殖の後期に合成され、子孫ウイルス粒子の放出を媒介する。エンドリシンは、検出又は区別のために核酸又は細胞性タンパク質を回収するためのリステリア細胞の溶解に使用することができる。エンドリシンはまた、リステリアに感染した(ヒトを含めた)動物を処置するため、及びリステリアで汚染されたかもしれない表面を処理するために使用することもできる。リステリアファージ(A118、A500及びA511)由来のリシンがクローニング及び精製されている(非特許文献6)。
【0017】
リステリアモノサイトゲネスとは、ソフトチーズ、パテ、アイスクリーム、燻製又は保存処理した魚、冷凍シーフード、サラダ、並びに加工肉を含めた多くの食料製品を汚染する細菌性の病原体である。摂取されると、これらの細菌は、下痢、流産、及び脳炎を含めた様々な症状及び容態を特徴とするリステリア症と呼ばれる病気を生じさせる。総合すると、先進工業国ではリステリアモノサイトゲネス食品汚染の結果、毎年数百人が死亡している。
【0018】
食品加工業界は、加工工場の環境からのリステリアモノサイトゲネス細菌の根絶に十分には成功していない。その結果、これらの細菌を死滅させるのに十分高い温度で低温殺菌した食品も、低温殺菌後に汚染されてしまう。細菌は、(i)原材料(例えば生乳及び/又は低い温度で低温殺菌した乳)からの経路、(ii)加工機械(その内部及び表面上で細菌がバイオフィルムとして増殖可能であり、これらは根絶するのが困難である)からの経路、及び(iii)保存処理、梱包などの間に食料品の表面上に落ちる可能性がある工場の環境中に存在する空気中の細菌からの経路を含めた1つ又は複数の経路によって食料品に接近する。
【0019】
リステリアモノサイトゲネス汚染を制御及び阻止するために食品業界で用いられている多数の方法にもかかわらず、細菌は食品加工工場の環境に接近してそこで生存する。さらに、これらはいくつかの食品製造過程中に存在する非常に高い塩濃度ででも生存する。その結果生じる食料品(チーズ、パテ、コールドカット、ホットドック及び他の加工食品を含む)の汚染により先進国で毎年多数の死者が生じ、また、総計するとその小売り価値が毎年、数百万ドルになる製品のリコールが起こる。
【0020】
現在食品業界でリステリアを制御するために使用されている方法には以下のものが含まれる。
(i)主成分(例えば乳)の低温殺菌及び製品の熱処理[これは、多くの場合に再汚染が起こり、多くの製品には最終(殺リステリア性)熱処理を施すことができないので、多くの場合成功しない]、
(ii)消毒剤、酵素、抗生物質などの物理化学的作用物質の適用[これは、経験により十分に細菌数を減少させないことが示されている]、及び、
(iii)機械的にバイオフィルムを壊す試み[これは、細菌の残渣を十分に残すので、その後に食料品が汚染される]
【0021】
【非特許文献1】Greer,J.、Food Prot.、49:104〜109、1986
【非特許文献2】Loessner他、Applied and Environmental Microbiology、1990年6月、p.1912〜1918
【特許文献1】米国特許第5,006,347号明細書
【特許文献2】米国特許第4,851,240号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0414304号明細書
【非特許文献3】Roy他、Appl.Environ.Microbiol.、9月、59(9):2914〜7、1993
【非特許文献4】Int.J.Food Microbiol.、4(1987)、249〜256
【特許文献4】欧州特許出願公開第0168933号明細書
【特許文献5】米国特許第4,861,709号明細書
【非特許文献5】G.J.Sarkis他、(1995)、Molecular Microbioloby 15、1055〜1067
【特許文献6】米国特許第5,824,468号明細書
【非特許文献6】Loessner他、Applied and Environmental Microbiology、1996年8月、p.3057〜3060
【特許文献7】独国特許第4326617号明細書
【特許文献8】欧州特許出願第95932002.9号明細書
【非特許文献7】Sambrook他、1989
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
消費者の健康を守るため、及び数々の企業がこのような汚染やリコールから生じる巨額の費用や商品の損失に晒されることを軽減させるために、食品加工業界においてさらなる方法を利用可能にしなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者らは、ソフト(「スプレッド」)チーズの特定メーカーの加工工場で流行しているリステリアモノサイトゲネスの株を使用して一連の実験を行った。この細菌株は、ファージP100にin vitroで感受性があることが証明された。実施例のセクションで示すように、ファージP100は、チーズ様マトリックス中に加えたリステリア細菌を測定可能/検出可能な限界より下まで減少させる能力を有することが証明された。
【0024】
病原性ファージP100、並びにミオウイルス科及びシホウイルス科由来の他の病原性ファージ、ファージの様々な溶原性株の病原性突然変異体(、ファージB054、A118、A502、A006、A500、PSA、P35及び関連ウイルスなど)を、食料品上(又はその内部)、及び、食料品を加工する食品加工工場の装置又は一般環境中に存在するリステリアモノサイトゲネス細菌を制御するために本発明において使用する。これらのファージはまた、リステリアモノサイトゲネスに感染した動物を処置するためにも使用することができる。
【0025】
本発明において、病原性ファージP100は、食料品上(又はその内部)、及び、食料品を加工する食品加工工場の装置又は一般環境中、並びに、リステリアモノサイトゲネスに感染した動物内に存在するリステリアモノサイトゲネス細菌を同定するために使用される。本発明では、組換えDNAベクターは、リステリアモノサイトゲネスに特異的な病原性ファージP100を用いて調製する。このベクターは、リステリアモノサイトゲネスの遺伝子産物ではない1つ又は複数の検出可能なタンパク質の発現をコードしているDNAを含む遺伝子系を含む。DNAベクターはリステリア属の細菌に感染し、その遺伝子系を細菌へと移す。細菌によって検出可能なタンパク質が発現され、検出可能なタンパク質が検出されることによりリステリア属の細菌が存在することが示される。
【0026】
P100由来のエンドリシンは、食料製品中(酪農製品業界が含まれる)、及び、加工装置上や食品業界施設内の他箇所において第1にリステリアモノサイトゲネスの数を減少させ、及び/又は、その増殖を阻止するために使用される。また、リステリアモノサイトゲネスに感染した動物を処置する治療剤としても使用される。リステリアファージ由来のエンドリシンは高い基質特異性を有しており、ほぼ排他的にリステリア細胞を溶解する。
【0027】
本発明は、細菌制御法及びリステリアモノサイトゲネスの検出に特に適したリステリアモノサイトゲネスファージクラスの使用を目的とする。ファージは、好ましくはミオウイルス科由来であり、血清型1/2のリステリアモノサイトゲネス株に対して病原性がある。さらに、本発明では溶原性株の病原性突然変異体を単離し、これらの特異的な突然変異体を食料品及び食品加工工場における細菌汚染の制御に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
「ベクター」とは、適切な宿主細胞内に導入されると自己複製する能力を有する核酸分子を意味する。一般に、本発明の組換えベクターの出発物質として使用するベクターは、リステリア属の細菌に感染することに関して特異性が高い、好ましくは絶対的に特異的であり、組換えベクターがその特異性を保持するバクテリオファージである。例えば、適切なベクターは、リステリア属の細菌を特異的に溶解する(必然的に溶解性である)リステリアバクテリオファージP100である。これは複雑な構成のミオウイルスである。その本質的な特徴に関していうと、リステリアファージP100は多くの知られているリステリアファージとは異なる。その差異は形態学、宿主域、タンパク質プロファイル(SDSゲルでの電気泳動、等電点電気泳動、主な構造タンパク質のアミノ酸組成、DNA/DNAハイブリダイゼーション)に関する。
【0029】
リステリア属の細菌の存在の検出にはマーカー遺伝子を利用する。これらは、適切な宿主細胞をベクターに感染させ、次いでその細胞をマーカー遺伝子の発現に適した条件下で培養することによって検出可能な遺伝子である。マーカー遺伝子はリステリア属の細菌内に存在せず、組換え技法を用いてベクターであるファージP100内に挿入するものであることが好ましい。このような遺伝子及びその遺伝子産物は当分野で知られている。これには、様々な発光細菌内に変異体として存在するlux遺伝子などの生物発光性タンパク質、例えばビブリオ属のものが含まれる。lux遺伝子の取り込みにより、発光の測定による検出が可能になる。lux遺伝子の例は、ビブリオハルヴェイ(Vibrio harveyi)由来の遺伝子luxABである。他の適切なタンパク質には、ルシフェラーゼ及び緑色蛍光タンパク質などの蛍光タンパク質が含まれる。
【0030】
検出反応は、試験片を含めた固体表面上で行うことができる。本実施形態では、マーカー遺伝子を含むベクターを試料適用領域内、又は、それより下流に可逆的に固定することができる。あるいは、試験片に適用する前にベクターを試料と共にインキュベートすることができる。これには、抗リステリア抗体をベクター及び試料の適用領域よりも下流に不可逆的に固定する。リステリアを含む試料が適用された場合、ベクターがリステリアに感染して検出可能なタンパク質が発現される。試料が試験片の下に移動するにつれてリステリアは抗リステリア抗体によって固定される。その後、マーカータンパク質が固定されたリステリア内で検出される。
【0031】
本発明のエンドリシンは、溶解、クロマトグラフィー、濾過、及び、遠心分離を含めた当分野で知られている技術によって単離することができる。エンドリシンは、P100と共にインキュベートしたリステリアから単離するか、又は、エンドリシンは宿主細菌(例えば大腸菌、乳酸菌(L.lactis)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、及び、セレウス菌(B.cereus))内でクローニングして発現させることができる。エンドリシンは、宿主細菌から単離するか、又は、エンドリシンを含む宿主細菌を、エンドリシンを単離せずに直接適用もしくは投与することができる。例えば、エンドリシンを産生する宿主細菌を動物に投与するか、あるいはエンドリシンが食品中に分泌されるであろう表面、又は、動物の腸の表面上又はその内部に適用することができる。その後、エンドリシンは、その環境中に存在するリステリア細胞を攻撃することができる。エンドリシン活性の1単位は、加熱殺菌した、洗浄したリステリアモノサイトゲネスの細胞を基質として使用した場合に、pH8.0、25℃、及び1ml体積で600nmでの吸光度を0.01/分減少させるために必要なエンドリシンの量と定義される。
【0032】
上記エンドリシン、エンドリシンを含む宿主細菌及び/又はファージを、エンドリシン、エンドリシンを含む宿主細菌及び/又はファージを食料製品中に混合すること、エンドリシン、エンドリシンを含む宿主細菌及び/又はファージを食料品上に噴霧すること、エンドリシン、エンドリシンを含む宿主細菌及び/又はファージを工場装置上に噴霧すること、及び/又はエンドリシン、エンドリシンを含む宿主細菌及び/又はファージを工場装置に直接適用することを含めたいくつかの手段によって(それだけには限定されない)、食料製品上、もしくは、その内部、及び/又は、食品加工工場内の様々な物理的箇所内に適用する。前記適用により、これを行わなければ存在するリステリアモノサイトゲネス細菌の数が顕著に減少する。
【0033】
本発明のファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌はまた、リステリアモノサイトゲネスに感染したヒトを含めた動物を処置するためにも使用することができる。肺に送達するための経口、エアロゾル又は他の装置、経鼻スプレー、静脈内、筋肉内、腹腔内、くも膜下腔内、膣、直腸、局所、腰椎穿刺、くも膜下腔内、並びに脳及び/又は髄膜への直接適用を含めた任意の適切な投与経路(それだけには限定されない)を、ファージを投与するために使用することができる。ファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌を送達するためのベヒクルとして使用することができる賦形剤は当業者には明らかである。例えば、遊離ファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌は凍結乾燥させた形態にあることができ、IV注射による投与の直前に溶かすことができる。ファージの投与用量は約10〜約1013pfu/kg/日の範囲、好ましくは約1012pfu/kg/日であることが企図される。エンドリシンの投与用量は、約2〜2000ng/g/日、好ましくは約20〜200ng/g/日の範囲である。ファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌は、リステリアモノサイトゲネスの排除が成功するまで、又はリステリアモノサイトゲネスの量が相当減少されるまで投与する。
【0034】
本発明はまた、当分野で知られている他の抗リステリア剤と組み合わせて使用した場合のファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌の使用も包含する。ファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌と選択的に組み合わせるこのような抗リステリア剤の例には、以下が含まれる。
【0035】
1.エンドリシン(ファージリシン):
本発明のファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌は、食品及び環境中のリステリアを選択的に制御することが示されている酵素リステリオリシンと組み合わせることができる(DE4326617C1及びEP95932002.9)。
【0036】
2.表面消毒剤:
本発明のファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌は、(i)安息香酸やBHTなどの様々な種類の保存料、及び、(ii)第四級アンモニウム化合物などのファージが適合性を有する様々な消毒剤等の既知の表面消毒剤と組み合わせることができる。
【0037】
3.抗生物質
本発明のファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌は、バンコマイシン、ナイシン、ダノフロキサシン及びネオマイシンを含む既知の抗微生物剤(抗生物質及び化学療法剤を含む)と組み合わせて使用することができる。
【0038】
4.酵素
本発明のファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌は、バイオフィルム(例えば食品加工装置中に見つかるバイオフィルム)を壊すことを補助するために酵素と組み合わせて使用することができる。このような酵素は当分野で知られており、多糖類デポリメラーゼ酵素及びプロテアーゼが含まれる。
【0039】
5.界面活性剤
本発明のファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌は、食品加工装置を処理するために使用する場合に既知の界面活性剤と組み合わせることができる。界面活性剤は、ファージが様々な表面上に適切に分布されるように表面を湿らすこと、並びにリステリアがファージに接近可能になるように汚物を溶解及び除去することに役立つ。適切な界面活性剤には、Tween80、20及び81並びにドバノールが含まれる。
【0040】
6.リステリアモノサイトゲネス以外の細菌汚染物質に特異的なバクテリオファージ
本発明のファージ、エンドリシン及び/又はエンドリシンを含む宿主細菌は、リステリアモノサイトゲネスに特異的なファージ及び/又は食品加工装置及び食料製品を汚染することで知られている他の細菌に特異的なファージと組み合わせることができる。このような細菌には、大腸菌、並びにサルモネラ属、バチルス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、クロストリジウム属、及びシュードモナス属由来の細菌種が含まれる。
【0041】
ファージは、液体又は散剤の形態で食料製品及び食品加工装置に適用することができる。液体として適用する場合は、ファージは10〜1010PFU(プラーク形成単位)/mLの濃度、好ましくは10〜10PFU(プラーク形成単位)/mLの濃度で適用する。乾燥散剤として適用する場合は、ファージは10〜1010PFU(プラーク形成単位)/mgの濃度、好ましくは10〜10PFU(プラーク形成単位)/mgの濃度で適用する。ファージは、適用又は乾燥前に、BSA、カゼイン、ホエイタンパク質、ダイズタンパク質などを含むタンパク質溶液及びマンニトールなどの糖を含む糖系担体を含めた適切な担体中に懸濁させることができる。ファージは凍結乾燥させるか又はガラス化によって凍結保存し、適用前に溶液中に懸濁させるか、又は、乾燥散剤として直接適用することができる。
【0042】
本発明での使用に適切なファージの量は、宿主細菌の培養物を増殖させ、その後ファージを接種するバッチ技法を含めた当分野で知られている技術によって得ることができる。ファージの増殖及び細菌の溶解を最大にするのに適した時間の後、物理的又は化学的手段によって培養物をさらに溶解し、溶菌液を遠心する。上清を含むファージをそのまま使用するか、又は限外濾過、クロマトグラフィー及び遠心分離などの技術を使用してさらに精製することができる。
【0043】
エンドリシンは、液体又は粉末の形態で食料製品及び食品加工装置に適用することができる。エンドリシンは、担体1ml又は1グラムあたり2〜2000ng、好ましくは担体1ml又は1グラムあたり20〜200ngの濃度で適用する。
【0044】
本出願において「酪農製品」とは、乳、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズ、バター、及びクリームを含めた、乳又は乳製品を使用して製造した任意の食料製品を含むことを意図している。
【0045】
本出願において「肉製品」とは、牛肉、豚肉、及び鶏肉を含めた動物組織を含む任意の食料製品を含むことを意図する。用語「すぐに食べられる肉製品」とは、パテ、ホットドック、ボローニャ、サラミ、及びコールドカットを含めた、消費の前に調理を必要としない任意の肉製品を含むことを意図している。
【0046】
本出願において「魚製品」とは、ロブスター、カニ、淡水魚及び海水魚並びに他のシーフードを含めた水生動物由来の組織を含む任意の食料製品を含むことを意図している。
【0047】
本出願において「低温殺菌していない食料製品」とは、低温殺菌していない主成分を用いて調製し、最終(殺リステリア性)熱処理を施さない任意の食料製品を含むことを意図している。
【0048】
本発明において「サラダ」とは、野菜や果物の混合物、特に一般に「サラダバー」と呼ばれるディスプレイから消費者が選択するように提示されている混合物を含む、任意の食料製品を含むことを意図している。
【0049】
実施例1
液体培地中のリステリアモノサイトゲネスの根絶:
ステップ1.10CFUのリステリアモノサイトゲネスを液体培地中に混ぜる。
ステップ2.5×10PFUのファージP100を液体培地中に混ぜる。
ステップ3.対照として、ファージP100を懸濁させた緩衝液を液体培地の一定分量中に混ぜる。
ステップ4.様々な時間間隔で細菌のコロニー計数を行う。
結果を図1に示す。
【0050】
実施例2
実験室スケールのチーズモデルで、P100として知られる抗リステリアモノサイトゲネスファージ株を用いて誘発実験を行った。この実験では、確立された商業的チーズ製造工程に特徴的な表面熟成品質(味、質感などの)を達成するためのテクニカルフローラを組み込んだ。本実験で使用した株Cとして知られているリステリアモノサイトゲネス(「Lm」)の株は、特定のチーズ製造工場の一般的な汚染物質である。
【0051】
材料及び方法
チーズにおける誘発実験
・実験は、ブラインから直接取ったチーズで行った(pH未調整)。
・210μL又は1mLのインキュベーション混合物を64cmのチーズ表面に蒔くことによって、t=0にLm株C、テクニカルフローラ、及びファージP100をチーズに適用した。t=0は「CMD+1」(チーズ製造日+1)と同じである。次いで、1mLの溶液で処理したチーズの表面を乾燥させるために層流キャビネット内で乾燥させた。インキュベーション混合物は以下から構成されていた:
【0052】
・110g/LのNaCl
・テクニカルフローラ:
・10CFU/mLのデバリオマイセスハンセニイ(Debaryomyces hansenii)NIZO F937及びNIZO F1200(酵母菌)
・10CFU/mLのブレビバクテリウムリネンズ(Brevibacterium linens)NIZO B1204(レッドスメアチーズに典型的な細菌)
・7cfu/cmの濃度に相当するLmC(対数増殖培地からpfzで希釈した)
・1×10pfu/cm又は5×10PFU/cmに相当する濃度のファージP100(MPOS緩衝液中)
正確な処理の組合せには表1を参照されたい。
【0053】
・チーズを14℃、相対湿度98%〜99%でインキュベートした。
・チーズを毎日、P100を含む210μL又は1000μLの洗浄溶液で、CMD+6、CMD+10、及びCMD+13に1mL/70cmで処理した(処理の組合せ4及び5)。
【0054】
洗浄溶液は以下を含むものを用いた。:
・110g/LのNaCl
・10CFU/mLのブレビバクテリウムリネンズNIZO B1204
・1 10PFU/cm又は5 10PFU/cmに相当する濃度のファージP100(MOPS緩衝液中)
【0055】
・CMD+16に、マンステールチーズを梱包するために使用される物質であるパーチメント紙を使用してチーズを梱包した(CMD+16は梱包日(PD)である)。
・PD+63までチーズを6℃で保存した。
【0056】
・表1に示した時点にLmC数を分析した。ファージで処理する前に分析を行った。
・定量:70cmの試料をチーズから切り出し、選択的培地で分析した。
【0057】
・CMD+1及びCMD+37に、濃縮手法による定性。
・定性/定量分析は、チーズ上のリステリアの増殖レベルにも依存する。細胞数が>10個である場合は、濃縮は行わなかった。細胞数がそれより低い場合は、梱包の前にも濃縮を行った。
・pH及びテクニカルフローラのさらなる分析。
・CMD+6の1つのチーズでは、ファージを適用する前及び後にファージ力価を決定した。
【0058】
結果
酵母及びブレビバクテリウムがチーズ上で良好に増殖しており、チーズ表面が中和されていたのでチーズの熟成は良好であった。
リステリアモノサイトゲネスCはこのモデルにおいてチーズ表面上で良好に増殖し、陰性対照で10〜10CFU/cmのレベルであった。(陰性対照:ファージを適用せず)(図2)。
【0059】
図2に示すように、ファージP100はLmCの増殖を完全に阻害した。定量的プレート計測法を用いてリステリアは全く検出されず、濃縮した後も検出されなかった。濃縮手法を使用した場合の検出限界は60cmあたり1個のリステリアのオーダーである。これは、ファージP100は増殖を阻害しただけでなく、実際にリステリアの力価を低下させたことを示している。
【0060】
図2に示すように、ファージP100を表面熟成チーズの表面に適用することにより、開始培地に加えたリステリアモノサイトゲネスの増殖が完全に阻止された。
【0061】
キー:
CMD=チーズ製造日
PD=梱包日
【0062】
ファージがチーズ表面上で生存できるかどうかを決定するために、(高い又は低い用量のファージをチーズ表面に適用した)別の実験では、CMD+6に、ファージを適用した後だけでなく、その前にもファージ力価を決定した。すべての試料でファージをCMD+1、CMD+2、CMD+3、及びCMD+4に適用した。したがって、ファージを適用する前(CMD+6)に採取した試料では、ファージは少なくとも48時間チーズの表面上に存在していた。どちらの用量でも活性ファージをチーズ表面から回収した(図3)。CMD+6にファージを適用する前に採取した試料のファージ力価は、ファージを適用した後の試料よりも低かった。ファージ力価の増加は、加えた用量(すなわち1×10pfu/cm又は5×10pfu/cmのいずれか)に基づいて予測された増加と良好に対応していた。結果は、ファージP100の活性がチーズ表面上で少なくとも数日間保たれることを示している。
【0063】
実施例3
大腸菌JM109(pHPLxxx)由来のエンドリシンのアッセイ、過剰発現及び精製
プレートアッセイ
1.活性試験用にリステリアモノサイトゲネスアッセイ株を調製する。1000mlの終夜培養物をトリプトースブロス又はトリプチケースソイブロス中で増殖させ、遠心分離し、細胞をSM緩衝液、pH8.0(Sambrook他、1989参照)(又はPBS)で1回洗浄し、20mlのSM緩衝液(又はPBS)中に再懸濁させる(約50倍の濃度)。
2.−20℃又は80℃で、1ml量で保存する。
3.大腸菌JM109(pHPLxxx)をLB−寒天(100μg/mlのアンピシリンを含む)に画線又はプレートし、終夜インキュベートする。
4.コロニーが十分な大きさになった後、1mMのIPTGを添加したLB−Ampプレートで複製プレートを調製する(NC−フィルターを用いる)。小さなコロニーが目に見えるまで5〜7時間インキュベートする。
5.プレートの表面を(逆さまで)クロロホルムを浸した濾紙に5分間曝露させる。
6.コロニーに素早く0.5mlの50倍濃縮のリステリアモノサイトゲネス培養物を添加した3〜4mlの融解軟寒天(SM緩衝液中に0.4%、約45℃)をかぶせる(かぶせる層は薄く、均等でかなり濁っているべきである)。
7.コロニーの周辺に透明な溶解領域が見えるまで室温で60分間(最大終夜)インキュベートする。これには、5分間から5時間までの時間がかかり得る(これは重要なアッセイである。これは必ず起こらなければならない。そうでなければ、株又は活性試験手順に問題がある可能性がある)。
【0064】
生成
8.JM109(pHPLxxx)の終夜培養物を、100μg/mlのAmpを含むLBブロス中、30〜35℃のインキュベーションで調製する。
9.翌朝、250mlの予熱したブロスに10mlのO/N培養物を接種し、0.5〜0.6のOD600まで増殖させる。
10.1mMのIPTGを導入し、増殖速度が停止し始めるまでさらに3〜4時間インキュベートする。
11.遠心分離によって細胞を回収し、ペレット(又は複数のペレット)を培養物250mlあたり5mlのPBS(pH8.0)0.05%Tween20、又は下流のNi−NTA精製が必要な場合は緩衝液A(以下参照)に再懸濁させる。細胞を−20℃で凍結させる。
12.細胞を解凍する。フレンチプレスによって細胞抽出物を調製し、遠心分離し(>30000×g、30分間)、上清を濾過する(0.2μmフィルター、好ましくはPESから作製されたもの)。抽出物を含む酵素を氷上(数時間)又は20℃で保存する(注記:超音波処理も使用することができるが、一般にフレンチプレスによって得た収率の方がはるかに良い)。
【0065】
測光活性アッセイ(OD600)
13.新しく増殖させた中期から対数期の終わりにある細胞、又はステップ1(上記)の事前に冷凍したリステリアモノサイトゲネス細胞を使用する。PBS緩衝液、pH8.0、0.05%TritonX100(ODを約1.0〜1.5に調整)に再懸濁させる。ハーフマイクロプラスチック製キュベット(1ml)を使用し、900μlの細胞を加え、少なくとも室温、好ましくは30〜37℃まで予熱し、50〜100mlの酵素を加える。濁度は5分間以内に0.5以下まで下がるはずである。
この粗抽出物を、リステリア細胞の溶解並びに染色体DNA、プラスミド、タンパク質及び酵素の放出に使用することができる。しかし、これは大量の大腸菌タンパク質、核酸(DNA、RNA)断片、ATP、及び汚染性pHPLベクターを含む。これが望ましくない場合は、酵素をIMACによって精製する(以下参照)。
【0066】
精製
14.粗抽出物をNi−NTA樹脂で分画する。ステップ8〜11に要約した手順は液体クロマトグラフィー(FPLC又は類似のもの、ステップ15参照)用であり、強く勧められる。しかし、小規模の精製では、これをより単純なバッチ型手順で行うこともできる。最初の培養物体積250mlあたり約3mlの樹脂(NiNTAアガロース)を使用する。樹脂をタンパク質に曝した後、低速遠心分離(500×g未満)によって洗浄ステップを(バッチで)を実施する。最後の洗浄の後、樹脂を収集して小さい使い捨てのプラスチック製カラム(BioRad及び他社から入手可能)内に1〜2mlの一定分量に分け、15mlの円錐型又は丸底型のチューブに入れる。溶出緩衝液(約1ml)(100%B)を加え、5分間静置し、遠心して液体を回収する。溶出を1〜2回繰り返す。続いてステップ19を行う。
15.FPLC精製。十分な量の緩衝液A(50mMのリン酸緩衝液、pH8.0、500mMのNaCl、5mMのイミダゾール)及び緩衝液B(Aと同様だが250mMのイミダゾール)を調製する。緩衝液AとBとでのイミダゾール勾配を用いる。抽出物(最大40ml=2リットル(8×250ml)の培養物からの抽出物)をNi−NTAカラム(25ml体積)に載せ、低流速(0.75〜1.0ml/分)を用いる。必要な場合は、Qiagen社の手引きに概要が示されている手順によって、各酵素を精製する前にNi−NTA樹脂(Ni−NTA Superflow)を再生する。新しい又は再生したカラムは、少なくとも5回使用することができる。
16.5倍カラム体積の100%緩衝液Aで洗浄する(流速2〜3ml/分)
17.(280nmでの)基底読取値が安定するまで、3〜5倍カラム体積の12%緩衝液B(総濃度約35mMのイミダゾール)で洗浄する。このステップにより、最も汚染するタンパク質が除去される(イミダゾール自体が280nmでの値を増加させることに注意されたい)。
18.酵素画分を250mMのイミダゾール(100%緩衝液B)で溶出させる。ピークを手動で回収することが最良である(ピークの右肩に関しては、早めに止めること−イミダゾール自体の吸光がより高いことにごまかされないこと)。氷上で保存する。この酵素は高濃度の塩及びイミダゾールの存在下で寒冷沈殿する傾向があるので、新しく溶出させた画分を凍結しないこと。
19.溶出させたすべての画分を、測光活性アッセイによって確認する(上記参照)。
20.遠心フィルターユニット(PES膜、分子量カットオフ10kDa)による活性画分の濃度及び緩衝液の交換(高濃度塩及びイミダゾールの除去)。溶解緩衝液(PBS、pH8.0、0.05%TritonX100、0.05%Tween20)で膜を前処理する。溶解緩衝液で2回洗浄する。膜にタンパク質が詰まった場合は、新しいフィルターユニットへ移す。0.2μmのシリンジフィルターを用いてフィルター滅菌する(PES膜を使用すること−セルロースでは酵素の多くを保持してしまう)。あるいは、緩衝液の交換は、濃縮タンパク質溶液の透析によって行うことができる(PBS又はTris緩衝液、0.05%Tween20)。本発明者らは、透析を長引かせた場合にHPL118が凝集する傾向を有することを見出した(HPL511やHPL500は凝集しない)。
21.SDS−PAGEによって画分を確認し、タンパク質の精製度(90%を超える純度であるべきである)及びタンパク質の濃度(通常2〜4mg/mlの範囲内)を推定する。調製物の純度が十分でない場合は、カラム(ステップ10)を15%緩衝液Bで洗浄することを試みて、HPLタンパク質を150mMのイミダゾール(60%緩衝液B)、又は200mMのイミダゾール(80%緩衝液B)で溶出させる。又は、最初のタンパク質調製物全体をカラムに「再載」し(再載前に少なくとも10倍に希釈する、もしくはイミダゾールを除去するために透析する)、pH勾配などの条件を変えて第2の精製ステップを行うこともできる。ゲル濾過によってもタンパク質の純度がさらに上昇する。しかし、これはもちろんすべての標準用途に必要なわけではない。
22.濃縮した酵素溶液を最終含量30〜50%のグリセロールに調整し、50〜500μlの一定分量に分け、−25℃で保存する。これらの条件下では、酵素は数ヶ月間安定である。−80℃で凍結した場合、時々失活が生じた。
【0067】
考察及び結論
リステリアモノサイトゲネス細菌を開始培地と共に表面熟成チーズの表面上に加えた場合、十分な用量のファージP100を表面に適用することによって細菌が完全に根絶し、これは濃縮による調査によって確認された(濃縮法を用いた検出限界:チーズ表面60cmあたり1CFUのリステリア)。ファージで処理した(高濃度又は低濃度、1回の適用又は複数回の適用)すべてのチーズで、P100で処理した後のリステリア力価は対照よりも低かった。リステリアは、ファージを(複数回の代わりに)1回しか適用しなかった場合、又は、低濃度で適用した場合にのみ発生した。ファージはチーズ上で数日間活性が保たれている。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】リステリアモノサイトゲネスを液体培地1mlあたり10CFUで接種し、ファージを5×10PFU/mlの濃度で加えた場合に、リステリア細菌の実質的に完全な根絶が起こることを示す図である。
【図2】ファージP100を表面熟成チーズの表面に適用することにより、開始培地中に加えたリステリアモノサイトゲネスの増殖が完全に阻止されたことを示す図である。
【図3】チーズに対するファージ力価(PFU/cm)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミオウイルス科とシホウイルス科由来の病原性ファージ変異体とからなる群から選択される病原性ファージの少なくとも1種の株を、食料製品又は食品加工装置に、リステリアの量を減少させるのに十分な量で適用することを含み、
前記溶解性ファージが血液型亜型1/2のリステリアモノサイトゲネス株に対して病原性である、食料製品中、食品加工装置上、又は、食品保存容器上におけるリステリア汚染を制御する方法。
【請求項2】
溶解性ファージがP100、すなわちATCC特許寄託指定番号PTA−4383である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
P100をファージA511、すなわちATCC特許寄託指定番号PTA−4608と組み合わせて適用する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
溶解性ファージをリステリオリシン、表面消毒剤、抗生物質、界面活性剤、酵素、及びリステリアモノサイトゲネス以外の細菌汚染物質に特異的なファージからなる群から選択される少なくとも1種の作用物質と組み合わせて適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
食料製品が酪農製品である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
食料製品が低温殺菌していない食料製品である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
食料製品が肉製品である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
肉製品がすぐに食べられる肉製品である請求項6に記載の方法。
【請求項9】
食料製品が魚製品である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
食品保存容器がサラダバーであり、食料製品がサラダである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
食品加工装置が乳を送管するチューブ、チーズを加工するための高濃度塩のタンク、チーズの表面上に適用する培養物の容器、製品を乾燥させて保存処理するための1組の棚、及び床排水からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
液体又は半固体の食料製品と混合することによって前記溶解性ファージを適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
溶解性ファージを液体と混合して食料製品、食品加工装置及び食品保存容器からなる群から選択される表面上に噴霧する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
溶解性ファージをリステリオリシン、表面消毒剤、抗生物質、界面活性剤、酵素、及びリステリアモノサイトゲネス以外の細菌汚染物質に特異的なファージからなる群から選択される作用物質と組み合わせて前記食品加工装置に適用する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
溶解性ファージを凍結乾燥させるか又はガラス化によって凍結保存し、乾燥形態で前記食料製品、食品加工装置及び食品容器に適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ファージP100、すなわちATCC特許寄託指定番号PTA−4383及び担体を含む組成物。
【請求項17】
ファージA511、すなわちATCC特許寄託指定番号PTA−4608をさらに含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項18】
リステリオリシン、表面消毒剤、抗生物質、界面活性剤、酵素、及び、リステリアモノサイトゲネス以外の細菌汚染物質に特異的なファージからなる群から選択される作用物質をさらに含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
担体が製薬上許容される担体である請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
リステリアモノサイトゲネスの減少又は排除に適した量のP100を投与することを含む、リステリアモノサイトゲネスに感染した動物を処置する方法。
【請求項21】
ファージA511を投与することをさらに含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
American Type Culture CollectionにATCC特許寄託指定番号PTA−4383として寄託されているファージP100。
【請求項23】
リステリアモノサイトゲネスを含むことが疑われる試料を得ること、前記試料をP100と共にインキュベートすること、及び、リステリアモノサイトゲネスの存在の指標として、P100によって引き起こされた前記試料の任意の変化を検出することを含む、リステリアモノサイトゲネスの存在を検出する方法。
【請求項24】
試料の変化がP100による溶解又は検出可能な標識もしくはシグナルによるものである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
試料とインキュベートする前に組換えによって遺伝子構築物をP100のゲノムに挿入することをさらに含み、前記遺伝子構築物の発現によりリステリアモノサイトゲネスの存在下で検出可能なシグナルが生じる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
遺伝子構築体が生物発光性タンパク質をコードしている請求項25に記載の方法。
【請求項27】
生物発光性タンパク質がルシフェラーゼ及び蛍光タンパク質からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ルシフェラーゼが細菌又は昆虫由来である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
蛍光タンパク質が緑色蛍光タンパク質又はその変異体である請求項27に記載の方法。
【請求項30】
リステリアモノサイトゲネスを固体支持体上に固定し、前記固体支持体における任意の変化を検出することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
抗リステリア抗体を用いてリステリアモノサイトゲネスを固定する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
固体支持体が試験片である請求項31に記載の方法。
【請求項33】
試料をリステリアモノサイトゲネスに感染していることが疑われる患者から得る請求項23に記載の方法。
【請求項34】
試料を食料製品、食品加工装置又は食品保存容器から得る請求項23に記載の方法。
【請求項35】
ファージP100から得ることができる精製エンドリシンタンパク質。
【請求項36】
請求項35に記載のエンドリシンタンパク質を、リステリアの量を減少させるのに十分な量で食料製品、食品加工装置又は食品保存容器に適用することを含む、食料製品中、食品加工装置上、又は食品保存容器上においてリステリア汚染を制御する方法。
【請求項37】
ミオウイルス科由来の溶解性ファージの少なくとも1つの変異種を食料製品、食品加工装置又は食品保存容器に適用することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
溶解性ファージがP100及びA511からなる群から選択される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
エンドリシンが別の細菌によって組換え産生される請求項36に記載の方法。
【請求項40】
リステリア又は別の細菌属に感染する少なくとも1つの他のファージ由来のエンドリシンを適用することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
他のファージがA511である請求項40に記載の方法。
【請求項42】
エンドリシンタンパク質を組換え産生させる請求項35に記載のタンパク質。
【請求項43】
ファージP100から得ることができるエンドリシンタンパク質及び適切な担体を含む、食料製品中、食品加工装置上、又は食品保存容器上においてリステリア汚染を制御するための組成物。
【請求項44】
ミオウイルス科由来の溶解性ファージの少なくとも1つの変異種をさらに含む請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
溶解性ファージがP100及びA511からなる群から選択される請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
エンドリシンが宿主細菌内で組換え産生される請求項43に記載の組成物。
【請求項47】
リステリアモノサイトゲネスの検出を確認するシグナルを提供する又は発生させるためにP100内に遺伝子構築体を組換えによって挿入する、請求項23に記載の方法。
【請求項48】
遺伝子構築体がルシフェラーゼ及び緑色蛍光タンパク質をコードしている遺伝子からなる群から選択される請求項47に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解性ファージP100、すなわちATCC特許寄託指定番号PTA−4383を、食料製品又は食品加工装置に、リステリアの量を減少させるのに十分な量で適用することを含む、食料製品中、食品加工装置上、又は食品保存容器上におけるリステリア汚染を制御する方法。
【請求項2】
P100をファージA511、すなわちATCC特許寄託指定番号PTA−4608と組み合わせて適用する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶解性ファージをリステリオリシン、表面消毒剤、抗生物質、界面活性剤、酵素、及びリステリアモノサイトゲネス以外の細菌汚染物質に特異的なファージからなる群から選択される少なくとも1種の作用物質と組み合わせて適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
食料製品が酪農製品である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
食料製品が低温殺菌していない食料製品である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
食料製品が肉製品である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
肉製品がすぐに食べられる肉製品である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
食料製品が魚製品である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
食品保存容器がサラダバーであり、食料製品がサラダである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
食品加工装置が乳を送管するチューブ、チーズを加工するための高濃度塩のタンク、チーズの表面上に適用する培養物の容器、製品を乾燥させて保存処理するための1組の棚、及び床排水からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
液体又は半固体の食料製品と混合することによって溶解性ファージを適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
溶解性ファージを液体と混合して食料製品、食品加工装置及び食品保存容器からなる群から選択される表面上に噴霧する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
溶解性ファージをリステリオリシン、表面消毒剤、抗生物質、界面活性剤、酵素、及びリステリアモノサイトゲネス以外の細菌汚染物質に特異的なファージからなる群から選択される作用物質と組み合わせて食品加工装置に適用する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
溶解性ファージを凍結乾燥させるか、又は、ガラス化によって凍結保存し、乾燥形態で食料製品、食品加工装置及び食品容器に適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ファージP100、すなわちATCC特許寄託指定番号PTA−4383及び担体を含む組成物。
【請求項16】
ファージA511、すなわちATCC特許寄託指定番号PTA−4608をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
リステリオリシン、表面消毒剤、抗生物質、界面活性剤、酵素、及びリステリアモノサイトゲネス以外の細菌汚染物質に特異的なファージからなる群から選択される作用物質をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
担体が製薬上許容される担体である請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
リステリアモノサイトゲネスの減少又は排除に適した量のP100を投与することを含む、リステリアモノサイトゲネスに感染した動物を処置する方法。
【請求項20】
ファージA511を投与することをさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
American Type Culture CollectionにATCC特許寄託指定番号PTA−4383として寄託されているファージP100。
【請求項22】
リステリアモノサイトゲネスを含むことが疑われる試料を得ること、前記試料を請求項21に記載のP100と共にインキュベートすること、及びリステリアモノサイトゲネスの存在の指標として、P100によって引き起こされた前記試料の任意の変化を検出することを含む、リステリアモノサイトゲネスの存在を検出する方法。
【請求項23】
試料の変化がP100による溶解又は検出可能な標識もしくはシグナルによるものである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
試料とインキュベートする前に組換えによって遺伝子構築物をP100のゲノムに挿入することをさらに含み、前記遺伝子構築物の発現によりリステリアモノサイトゲネスの存在下で検出可能なシグナルが生じる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
遺伝子構築体が生物発光性タンパク質をコードしている請求項24に記載の方法。
【請求項26】
生物発光性タンパク質がルシフェラーゼ及び蛍光タンパク質からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ルシフェラーゼが細菌又は昆虫由来である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
蛍光タンパク質が緑色蛍光タンパク質又はその変異体である請求項26に記載の方法。
【請求項29】
リステリアモノサイトゲネスを固体支持体上に固定し、前記固体支持体における任意の変化を検出することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
抗リステリア抗体を用いてリステリアモノサイトゲネスを固定する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
固体支持体が試験片である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
試料をリステリアモノサイトゲネスに感染していることが疑われる患者から得る請求項22に記載の方法。
【請求項33】
試料を食料製品、食品加工装置又は食品保存容器から得る請求項22に記載の方法。
【請求項34】
ファージP100から導出した精製エンドリシンタンパク質。
【請求項35】
請求項34に記載のエンドリシンタンパク質を、リステリアの量を減少させるのに十分な量で食料製品、食品加工装置又は食品保存容器に適用することを含む、食料製品中、食品加工装置上、又は食品保存容器上においてリステリア汚染を制御する方法。
【請求項36】
ミオウイルス科由来の溶解性ファージの少なくとも1つの変異種を食料製品、食品加工装置又は食品保存容器に適用することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
溶解性ファージがP100及びA511からなる群から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項38】
エンドリシンが組換え産生される請求項35に記載の方法。
【請求項39】
リステリア又は別の細菌属に感染する少なくとも1つの他のファージ由来のエンドリシンを適用することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
他のファージがA511である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
エンドリシンタンパク質を組換え産生させる請求項34に記載のタンパク質。
【請求項42】
請求項34に記載のファージP100から導出したエンドリシンタンパク質及び適切な担体を含む、食料製品中、食品加工装置上、又は食品保存容器上においてリステリア汚染を制御するための組成物。
【請求項43】
ミオウイルス科由来の溶解性ファージの少なくとも1つの変異種をさらに含む請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
溶解性ファージがP100及びA511からなる群から選択される請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
エンドリシンが宿主細菌内で組換え産生される請求項42に記載の組成物。
【請求項46】
リステリアモノサイトゲネスの検出を確認するシグナルを提供する又は発生させるためにP100内に遺伝子構築体を組換えによって挿入する、請求項22に記載の方法。
【請求項47】
遺伝子構築体がルシフェラーゼ及び緑色蛍光タンパク質をコードしている遺伝子からなる群から選択される請求項46に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−511203(P2006−511203A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−519887(P2004−519887)
【出願日】平成15年7月7日(2003.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/021061
【国際公開番号】WO2004/004495
【国際公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願人】(501440994)エクスポネンシャル バイオセラピーズ,アイエヌシー. (1)
【Fターム(参考)】