説明

食材を成形するためのシステム及び方法

【課題】使用上の利便性を向上させる。
【解決手段】食用に適した1つ以上の食材から3次元の製品を成形するためのシステムであって、該システムは、フレームと少なくとも1つのモールドキャビティを有するモールド部材と該モールド部材の1つ以上のモールドキャビティに食材を供給する食材供給手段とを有する製造装置を含む。該製造装置は、前記モールド部材を洗浄するモールド部材クリーニング装置を備え、前記モールド部材クリーニング装置は前記製造装置から距離をおいて配置されるとともに、前記製造装置から取外されたモールド部材を受けいれるようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食用、特に人間の食用に適した1つ以上の食材から3次元の製品を成形するためのシステムに関する。
【0002】
本発明は、ハンバーガー等の食肉を成形するのに適していると思われるが、他の食材、例えば魚肉、ポテト、こね粉等もまた考えられる。
【背景技術】
【0003】
WO00/30458(特許文献1)、WO2004/002229(特許文献2)は、フレームと、モールドドラムとして設計され少なくとも1つのモールドキャビティを有するモールド部材とを有し、フレームはモールド部材をサポートし、更に、モールド部材の1つ以上のモールドキャビティに食材を供給する供給手段を備えた製造装置を有するシステムを開示している。US4975039(特許文献3)は、例えば、あちこちへ移動可能なモールドプレートとして設計されたモールド部材を有するシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO00/30458号公報
【特許文献2】WO2004/002229号公報
【特許文献3】米国特許第4975039号公報(US4975039)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の態様の目的は、このタイプのシステムに対して使用上の利便性を向上させる手段を提案することにある。
【0006】
更に、本発明の第1の態様の目的は、このタイプのシステムのクリーニングエリアの改善を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、本発明の好ましい態様を列挙する。
【0008】
(第1の態様)
食用に適した1つ以上の食材から3次元の製品を成形するためのシステムであって、該システムは、
1つ以上のモールドキャビティを有する複数のモールド部材を含み、各モールド部材は、少なくとも1つの面を有し、該面においては、前記1つ以上のモールドキャビティがそれぞれ該モールドキャビティに前記1つ以上の食材を充填することを許容する開口を有し、
前記システムはさらに、製造装置を含み、該製造装置は、
前記複数のモールド部材の1つを取外し可能に支持するフレームと、
前記フレームで支持されている前記モールド部材を駆動する駆動手段と、
前記1つ以上の食材を収容するための容器と、
前記容器に接続したポンプと、
前記ポンプに接続した食材供給部材と、を含み、
前記食材供給部材は、前記1つ以上のモールドキャビティの1つ以上の前記開口を有する前記モールド部材の前記面に接するようにされ、
該製造装置の動作においては、前記モールドキャビティの1つ以上の前記開口が前記食材供給部材を通過すると共に、前記ポンプが前記食材供給部材及び通過する前記1つ以上の開口を通して前記1つ以上の食材を前記1つ以上のモールドキャビティに供給するように、前記駆動手段が前記フレームで支持されている前記モールド部材を駆動することにより、各モールドキャビティにおいて3次元の製品を成形し、
該製造装置はさらに、前記モールド部材を洗浄するモールド部材クリーニング装置を備え、
前記モールド部材クリーニング装置は前記製造装置から距離をおいて配置され、
前記モールド部材クリーニング装置は、前記製造装置から取外されたモールド部材を受けいれるようにされていることを特徴とする。
【0009】
(第2の態様)
上記第1の態様のシステムにおいて、前記モールド部材クリーニング装置は、洗浄されるべきモールド部材を少なくとも1つの洗浄液で処理するように設計され、前記各モールド部材は、該モールド部材の各モールドキャビティに連通する1つ以上の通路が設けられ、前記モールド部材クリーニング装置は、洗浄液が前記通路を通して前記モールドキャビティに流れることができるように、前記1つ以上の通路に結合することができるようにされていることを特徴とするシステム。
【0010】
(第3の態様)
上記第1の態様のシステムにおいて、前記モールド部材クリーニング装置は、洗浄されるべきモールド部材を少なくとも1つの洗浄液で処理するように設計され、前記各モールド部材の前記モールドキャビティは多孔質構造の壁部を有し、前記モールド部材クリーニング装置は、前記多孔質構造の壁部を通して前記洗浄液を強制的に前記モールドキャビティ内に送り込むように設計されていることを特徴とするシステム。
【0011】
(第4の態様)
上記第1〜第3の態様のいずれか1つのシステムにおいて、前記モールド部材は、前記製造装置の前記フレームに対し、回転のための連結軸の周囲を回転可能なモールドドラムであり、該モールドドラムは1つ以上の前記モールドキャビティを有し、各モールドキャビティは、少なくとも1つのドラム面に開口を有し、前記製造装置の前記食材供給部材は当該製造装置の動作時に前記ドラム面に接することを特徴とするシステム。
【0012】
(第5の態様)
上記第4の態様のシステムにおいて、前記フレームは、一端が前記フレームに取付けられた装着スピンドルを含み、前記モールドドラムは前記装着スピンドルに対してスライド可能であることを特徴とするシステム。
【0013】
(第6の態様)
上記第4の態様のシステムにおいて、前記モールドドラムの各モールドキャビティに通じる、前記モールドドラムにおける前記1つ以上の通路はそれぞれ、前記モールドドラムの端面に供給用開口を有し、モールドドラムクリーニング装置が、前記モールドドラムの前記端面における前記1つ以上の通路の前記供給用開口に洗浄液を供給するための分配器を有することを特徴とするシステム。
【0014】
(第7の態様)
上記第4の態様のシステムにおいて、前記モールド部材クリーニング装置は、洗浄されるべき前記モールドドラムを回転可能に支持するための支持手段を備えると共に、洗浄されるべき前記モールドドラムを回転駆動するための駆動手段を備えることを特徴とするシステム。
【0015】
(第8の態様)
上記第1〜第3の態様のいずれか1つのシステムにおいて、前記複数のモールド部材はそれぞれ、前記製造装置の前記フレームに対し、あちこちにスライドされるモールドプレートを含み、該モールドプレートには1つ以上のモールドキャビティが設けられ、各モールドキャビティは少なくとも1つのプレート面に開口を有し、前記製造装置の前記食材供給部材は当該製造装置の動作時に前記プレート面に接することを特徴とするシステム。
【0016】
(第9の態様)
上記第1〜第8の態様のいずれか1つのシステムにおいて、該システムは、前記モールド部材の取り外し後に、前記製造装置の1つ以上のパーツを洗浄するための製造装置クリーニング装置を含み、前記製造装置クリーニング装置は、閉じたチャンバー内で洗浄処理を行うために、洗浄されるべき前記製造装置の一部を囲む、閉じたチャンバーを形成することのできるハウジングを含み、前記製造装置クリーニング装置はさらに、当該製造装置クリーニング装置を、前記製造装置から距離をおいた不活動位置と当該製造装置の活動位置との間を移動させる協働搬送手段を有することを特徴とするシステム。
【0017】
(第10の態様)
上記第1〜第9の態様のいずれか1つのシステムにおいて、該システムはさらに、前記モールド部材を前記製造装置と前記モールド部材クリーニング装置との間で搬送する搬送手段を含むことを特徴とするシステム。
【0018】
(第11の態様)
上記第10の態様のシステムにおいて、前記搬送手段は、前記モールド部材を掴むグリッパ手段に加えて、該グリッパ手段を上下に移動させるリフト手段を含むことを特徴とするシステム。
【0019】
(第12の態様)
上記第1〜第11の態様のいずれか1つのシステムにおいて、該システムはさらに、複数の前記モールド部材を保管すべく設計された保管装置を含むことを特徴とするシステム。
【0020】
(第13の態様)
食用に適した1つ以上の食材から3次元の製品を成形するための方法であって、上記第1〜第12の態様のいずれか1つのシステムに用いられ、
前記製品の成形のために、モールド部材が前記製造装置に搭載されると共に、前記モールド部材の前記1つ以上のモールドキャビティに前記食材が充填されて前記製品が成形され、
前記モールド部材の洗浄のために、前記モールド部材が前記製造装置から取外しされると共に、前記モールド部材クリーニング装置に搬送されることを特徴とする方法。
【0021】
本発明の様々な態様が上記の個別、あるいはまた可能なすべての組み合わせで実現できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、製造装置、モールドドラムクリーニング装置、製造装置クリーニング装置を有する、本発明によるシステムの典型的な実施例を示す図である。
【図2】図2は、図1におけるモールドドラムを有する製造装置の一部と、モールドドラム用の搬送手段を示す図である。
【図3】図3は、図1におけるモールドドラムクリーニング装置におけるモールドドラムの位置決めを説明するための図である。
【図4a】図4aは、本発明によるモールドドラムを示す図である。
【図4b】図4bは、図4aにおけるモールドドラムの部分断面図である。
【図5】図5は、図3におけるモールドドラムクリーニング装置を部分的に示す図である。
【図6】図6は、図1における製造装置とこれに組み合わされたクリーニング装置を示す図である。
【図7】図7は、製造装置とその一部に対向して配置されたクリーニング装置とを示す図である。
【図8】図8は、図7の変形例を示す図である。
【図9】図9は、本発明によるシステムの第2の実施例を示す図である。
【図10】図10は、製造装置に向けて移動され、ハウジングが開状態にあるクリーニング装置を示す図である。
【図11】図11は、図10の状態からハウジングが閉状態にされた状態を示す図である。
【図12】図12は、本発明によるシステムの第3の実施例を示す図である。
【図13】図13は、本発明によるシステムの第4の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の様々な態様について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図において、参照番号1は、食用、特に人間の食用に適し、更に言えば肉を含む1つ以上の食材から3次元の製品を成形するために設計されている製造装置を示す。
【0025】
製造装置1は、特許文献2に詳細に説明されており、その構成は本発明に含まれる。
【0026】
製造装置1は以下に詳細に示されるようにモールドドラム20を有する。
【0027】
製造装置1は、本発明を説明するための一例にすぎない。本発明は、例えば特許文献1に開示されているような異なった設計の製造装置を用いて実現され得る。
【0028】
一例をあげれば、本発明は、モールド部材が移動、例えばあちこちにスライド可能なモールドプレートを含み、モールドプレートには1つ以上のモールドキャビティが設けられ、モールドキャビティは少なくとも1つのプレート面に開口を有し、食材供給手段はプレート面に沿って配置された1つ以上の食材供給部材を含む。このタイプの製造装置は、しばしばハンバーガーのような食肉製品の成形に用いられる。このタイプの装置は、例えば特許文献3に示されている。
【0029】
製造装置1は、フレームを持つモールドドラム部を有し、ここではフレームはフロア上を移動可能であり、モールドドラム20として設計されたモールド部材を支持する。モールドドラム20は、複数のモールドキャビティ21が設けられている外周にドラム面を有する。
【0030】
フレーム10は、水平モールドドラム装着スピンドル11を備え、モールドドラム20はフレーム10に対してスピンドル11の周囲を回転可能である。
【0031】
図示しない実施例においては、フレームは複数のモールドドラム装着スピンドルを有しても良く、あるいはまたフレームは、フレームに対して回転可能にモールドドラムを支持する他の支持手段を含む。
【0032】
一端において、装着スピンドル11はフレーム10に取り付けられ、モールドドラム20は装着スピンドル11に押し込むことができ、自由端から取り外すことができる。
【0033】
更に、フレーム10には、モールドドラム20を回転させるためのモールドドラム駆動手段14が設けられている。図示された実施例においては、液体、あるいは空気、圧縮空気、水又は水蒸気等の気体押し込み剤を供給あるいは吸い出すのに適した固定配置分配器14aがモールドドラム駆動手段14の近くに配置される。それ自体は周知である分配器には、ポンプ及び押し込み剤が流れることのできるスロットが設けられている。分配器14aが固定位置に配置されていることにより、回転モールドドラムは押し込み剤供給スロットと押し込み剤排出スロットを交互に通過する。
【0034】
更に、製造装置1は、フロア上を移動可能なように設計される食材供給部15を有し、それは材料、本例では(練られた)肉材料のための貯蔵容器16、材料を注入するためのポンプ手段17(図式的に示された)、ポンプ手段17に接続された食材供給部材18を備えている。食材供給位置において、食材供給部材18はモールドドラム20の外周縁に接し、その結果、(肉)材料は回転しているモールドドラム20の通過するモールドキャビティ21に充填圧で供給される。
【0035】
本例では、食材供給部材18は支持スピンドル18aの手段によりフレーム10上で旋回可能に支持される。
【0036】
ここで、フレーム10もまた成形製品を排出するための排出部材25を、ここではモールドドラム20の下まで延在する(メッシュの)ベルトコンベヤ25の形態で備え、これによりベルトの下側の領域においてモールドキャビティ21からエジェクトされた製品はベルトコンベヤ25上に載る。
【0037】
システムは、追加の製品処理手段のために適していれば、追加の製品コンベヤ手段、ここでは成形製品を排出するため2組のベルトコンベヤ30、31及び32、33を含む。
【0038】
上述したように、モールドドラム20は取り外し可能である。このために、図1〜図3に示すモールドドラム搬送器40が備えられる。この搬送器40は、一例を示すように、移動可能なフレーム41、モールドドラムグリッパ42及びグリッパ42を上下移動させるためのリフト手段43を有する。
【0039】
食材供給部材18がモールドドラム20から取り外された後である、図2に示されるように、搬送器40はフレーム10へ向けて移動可能であり、その結果、グリッパ42はモールドドラム20を扱うことができる。続いて、グリッパ42は正確な高さに移動され、その結果、グリッパ42はモールドドラム20の重量を支え、モールドドラム20は製造装置1から離れて置かれているモールドドラムクリーニング装置50に移載される。注目すべきは、装置50は固定配置よりもむしろ、図示されるように、移動可能な設計である。しかしながら、クリーニング作業は、フードスタッフの製造とは異なる場所で行われるのが好ましい。
【0040】
クリーニング装置50の設計及びモールドドラム20のクリーニングについて、図3〜図5を参照して詳細に説明するが、これは本発明の一例にすぎない。
【0041】
図3に矢印で図式的に示すように、モールドドラム20は、搬送器40を用いてクリーニング装置50内に配置される。クリーニング装置50は、本例では、複数の可能なクリーニング処理を実質上自動的に実行するために設計され、クリーニング処理というのは例えば一次クリーニング処理(比較的短時間での)及び集中的なクリーニング処理(例えば完全な消毒を実現するための)である。
【0042】
図4a、図4bから、モールドドラム20は、モールドキャビティ壁を持つモールドキャビティ21を設けられ、モールドキャビティ壁は多孔質(あるいは穴のある)構造を持つ壁部の少なくとも一部に形成される。
【0043】
示されているモールドドラム20の好ましい実施例においては、少なくとも一部(本例では全部)が多孔質構造を持つ材料により形成されているアウタードラム22があり、これはモールドキャビティ21が少なくとも部分的に多孔質のモールドキャビティ壁を持つように形成されている。
【0044】
アウタードラム22の内側には、アウタードラム22にフィットしているインナー部材23が配置されており、インナー部材23はアウタードラム22の連結面と共にモールドドラム20の一端縁20aから延びる複数の通路24を形成しており、その結果、媒体をモールドキャビティ21の多孔質壁を通して押し込むことができ、あるいはまた、このタイプの通路24を経て吸い込みを行うことができる。上記媒体、例えば圧縮空気は、例えばモールドキャビティ21から成形製品をリリースするために用いることができる。吸い込みは、充填動作の間に空気を抜き出すためあるいはまたフィルム等をモールドキャビティに吸着するために用いることができる。
【0045】
図示されない変形例においては、通路24は、小径の通路に分岐してモールドキャビティまで続くようにすれば、例えば焼結材による多孔質壁は存在しない。
【0046】
インナー部材23の外面には、実質上軸方向に延び通路24を形成する複数の溝が設けられている。
【0047】
アウタードラム22は、多孔質材料、例えば多孔質金属による1つ以上のリングを組み合わせることで実現でき、1つ以上のモールドキャビティ21は材料除去加工、例えば放電加工で形成される。
【0048】
適切であれば、モールドドラムは、任意にモールドキャビティを設けられ、互いに取り外し可能に結合されるリングを含んでも良く、その結果、モールドドラムの軸方向に見られるような1セットのリングが得られる。これは、例えばモールドキャビティを持つあるいは持たない複数のリングと、数、形状の少なくとも一方が異なるモールドキャビティを持つ複数のリングの少なくとも一方の組み合わせにより成形装置の能力を左右するように作用させることができる。モールド部材がモールドプレートとして設計される時には最終のモールドプレートを形成する部品の組立て体を使用できることに注目すべきである。
【0049】
アウタードラム22が金属製であれば、多孔質構造は、旋盤による金属製の多孔質ドラム20の加工中の潤滑作用によりアウタードラム表面の最も外側の部位22cにおいてシールされる。明らかに、最も外側の部位22cのシールは他の方法、例えばコーティング層(部分的に多孔質材料を貫通する)の適用により実現され得る。
【0050】
図示されない実施例において、モールドドラムは唯一、例えば図4bに示される要素22のような”アウター”壁を含む。フレームは、例えば、媒体(空気)をモールドドラムにおけるモールドキャビティへ、あるいはモールドキャビティから移送することのできる通路を含んでも良い。この例により、通路24のような通路が設けられる装着スピンドルを提供することができる。変形例においては、フレームはインナー部材23(任意に取り外し可能)を含み、モールドドラムはインナー部材23から取り外しできる要素22により形成される。引き続いて示されるように、例えばクリーニング装置50内に置かれるものを”アウタードラム22”のみとすることができ、複数のアウタードラム22用の保管装置とすることができる。
【0051】
モールドドラムの両端縁において支持手段により支持されるモールドドラムを備えることができる。
【0052】
クリーニング装置50は、多孔質構造を持つ壁部位を通して少なくとも1つの洗浄液をモールドキャビティ21に押し込むように設計される。図4aに示されるように、各々のモールドキャビティ21に導く通路24はそれぞれ、モールドドラム20の端面20aに供給用開口24aを持つ。
【0053】
クリーニング装置50は、1つ以上の通路24に洗浄液を供給するという目的で、端面20aに当接する分配器51を有する。本方法においては、モールドキャビティ21の多孔質壁部に付いた汚濁物は強制排除され排出される。
【0054】
クリーニング装置50は、洗浄されるべきモールドドラム20を回転可能に支持する支持手段52を備え、本例では、ドラムの外周縁を支えるローラー52が、モータ(図示せず)を介して、洗浄されるべきモールドドラム20を回転により駆動する駆動手段として作用する。図示しない実施例においては、洗浄されるべきモールドドラムは、中心軸により駆動され得る。
【0055】
クリーニング装置50は、洗浄液用の収集トラフ53とカバー54を有し、モールドドラム20の洗浄は、閉じたチャンバー内で行うことができる。
【0056】
クリーニング装置50は、洗浄液を収集すると共に少なくとも一部を再循環させるように設計され、そのためにポンプ57が設けられる。クリーニング装置50は、洗浄液をろ過するフィルターとして、例えば粗いフィルター55と目の細かいフィルター56を備える。
【0057】
洗浄液を加熱するために加熱手段を備えることが好ましい。更に、洗浄液に1つ以上の化学薬品、例えば容器58に収容された、例えば消毒液を混合するための手段がある。
【0058】
初期の粗い洗浄を行うためにここではスプレイ手段59が設けられる。
【0059】
1つの可能なクリーニングプロセスにおいては、第一に、ドラムの外側がスプレイ手段59でゆすがれ、続いて通路24を通して冷水(適切な洗浄剤と共に)でゆすぎ、続いて適切な薬剤を含む水による消毒と冷水による通路及び外側の最終的なゆすぎを行う。代わりに、熱水(摂氏40−90度)を用いて1つ以上のステップを実行することができる。
【0060】
洗浄は、例えば適切な酸を用いてモールド部材、特に多孔質壁構造を持つモールドキャビティに関連する湯あか落とし(descaling)を含むことができる。
【0061】
図示しない実施例においては、クリーニング装置は検査手段を含む。検査手段は、例えば画像処理手段を組み合わされたデジタル(赤外線)カメラを有し、洗浄及びモールドドラムの状態をモニターすることができる。このような例により、ドラムの損傷、摩耗の少なくとも一方を検出することができる。この検査結果は、メモリに記憶され、例えば予想サービス寿命を決定するために、使用/洗浄履歴と組み合わせて判断される。
【0062】
更に、システムは、第2のクリーニング装置60を含み、これは、モールドドラム20を支えている製造装置1の一部、特にモールドドラム20が取り外された後の部分を洗浄するように設計される。装置10のその部分は、製造中に汚れる部分である。
【0063】
図1及び図6に見られるように、本例では、クリーニング装置60は、それを洗浄されるべき製造装置1の一部に対向させて配置することができるように、移動可能に設計される。
【0064】
クリーニング装置60はハウジング61を含み、これは、閉じたチャンバー内で洗浄処理が行われるように、洗浄されるべき製造装置の一部を囲む、閉じたチャンバーを形成することができる。
【0065】
本例においては、ハウジング61は、要素10(図7)の対応部分を支える時、ドラム用の装着スピンドルと、支持スピンドル18aと同様に排出ベルト25とを囲む。この場合、ハウジング61の下側は洗浄液(再循環されるべき)用の収集トラフ62を形成する。任意に加熱した洗浄液をスプレイする1つ以上のスプレイ器あるいは他の同様な機器がクリーニング装置60内に設けられても良い。装置60は同様に1つ以上のフィルター、化学薬品の追加、その他が設けられても良い。クリーニング装置はまた、要望に応じて複数のクリーニング処理を行うことができることが望ましい。クリーニング装置は、製造装置を検査する検査手段(図示せず)を含むことが好ましく、洗浄及び装置の状態が監視される。
【0066】
図8は、クリーニング装置60の変形例を示し、装置60’は固定位置に配置され、その結果、製造装置1の洗浄されるべき部分はクリーニング装置60’まで移動される。この場合もまた、ハウジング61’は洗浄されるべき要素の周囲に保護チャンバーを形成する。
【0067】
図9は、複数のモールド部材、ここではモールドドラム20を保管する保管装置80が存在するシステムを示す。保管装置80は、モールド部材、例えばモールドドラム20を保管するため、外側に関して実質上閉じている保管室を形成している。保管装置80は、モールド部材20を受け入れ/リリース位置と1つ以上の保管位置との間で移動させるコンベヤ手段を含んでも良い。
【0068】
本例では、保管装置80はモールドドラムクリーニング装置100と組み合わされる。
【0069】
保管装置80は、製造装置1から距離をおいて配置され、保管装置80と製造装置1との間にはモールドドラム20を搬送するための搬送手段110がある。
【0070】
搬送手段110は、本例では、モールドドラム20用のグリッパ42を配置することのできるオーバヘッド搬送器111を含む。このために、駆動モータ112が設けられる。グリッパ42は装置1からモールドドラム20を取り外すことができると共にそれを保管装置80に向けて移動させることができ、モールドドラム20は保管装置と協働して内部搬送手段により移送される。本例では、保管装置80は、トラック81に沿って配置することができると共にドラム20を運ぶことのできるキャリア82を持つ無端の吊架トラック81が設けられる。クリーニング装置100は、トラック81に沿って、例えばモールドドラム20が使用後に最初に保管装置80に到達する位置に配置される。
【0071】
図9に見られるように、製造装置1用のクリーニング装置60”は協働する搬送手段を有し、本例ではオーバヘッド搬送器111の拡張として設計される。搬送器111は製造装置1(図9)から距離をおいた不活動位置と、製造装置(図10、図11)のある活動位置との間でクリーニング装置60”を移動させることができる。
【0072】
クリーニング装置60”は2つのハウジング部61a”、61b”を有し、これらはオープン位置(図10)とクローズ位置(図11)との間で互いに移動させることができる。オープン位置においては、クリーニング装置60”は洗浄されるべき製造装置1の部位10に装着することができ、洗浄されるべきパーツ(スピンドル11、コンベヤベルト25)が収容され、洗浄処理が行われる。
【0073】
本例では、ハウジング部61a”と61b”は、ハウジング部の上部に配置されるガイド114に沿って配置することができる。ガイド114はまた、搬送部111に沿って配置することができる。
【0074】
図12は図9−図11に示されるシステムに対応するシステムを示す。図12において、モールドドラム20がラック等に置かれるモールドドラム保管装置80’がある。保管装置の搬送手段(図示せず)がモールドドラム20を入れたり、出したりすることを請け負う。更に、保管装置80”と組み合わされたクリーニング装置100’がある。図に見られるように、グリッパ42は最初にクリーニング装置100’でモールドドラム20をリリースする。
【0075】
図13は図9−図12に示されるシステムに対応するシステムを示す。保管装置80”はモールドドラム20のための自動循環エレベータ(paternoster)を有する。
【0076】
図を参照して説明してきたモールドドラムのような交換可能なモールド部材を用いるシステムにより3次元の食用製品を都合よく製造するためには、取り外し可能なモールド部材、本例ではモールドドラム20の各々に登録情報が付与されることが好ましい。
【0077】
この例によれば、各モールドドラム20は光学的に読取り可能なコード(例えばバーコード)、電子トランスポンダ(読み出し及び必要であれば遠隔的に書き込み可能)、その他の識別キャラクターが設けられる。このキャラクターはモールド部材毎に独自であることが好ましい。
【0078】
システムは、本例では、モールド部材登録情報を認識するための認識手段あるいは読取り手段が設けられる。例えば書き込み可能なトランスポンダを用いる時には、識別キャラクターを採用するための書き込み手段を設けることもできる。
【0079】
図1は製造装置1の部位10にモールドドラム20の登録情報を、好ましくは自動的に認識する認識手段が設けられていることを示し、認識手段は、例えば読取器120であってこれはモールドドラム20上で適切な位置、例えば上端面に配置されるトランスポンダのためのものである。
【0080】
読取器120はシステムの制御装置130、ここでは協働コンピュータ131を有する制御装置に接続される。モールドドラム20の使用履歴はコンピュータ131のメモリにモールドドラム毎に記憶される。その一部に基づいて、洗浄されるべきモールドドラム20、必要であれば洗浄処理法を即時に決定することができる。例えば、洗浄処理をモールドドラムのタイプにマッチさせることができ、個々のモールドドラムが洗浄される方法を個別に決定することができる。
【0081】
履歴は、モールドドラム20の使用を例えば最後に製造された製品に設けられる識別情報に関連付けて規定することができ、例えば製品の安全性(例えば製品をリコールする必要のある時)の前後関係において有用である。
【0082】
1つの変形例においては、モールド部材クリーニング装置は(もまた)、モールド部材の登録情報を認識するために、図9における読取器121のような認識手段が設けられる。
【0083】
図9において、追加の読取器122は保管装置80の修正動作を行うためにモールドドラム20用の認識手段として作用する。
【0084】
モールド部材の履歴を記憶し、モールド部材の洗浄の前後関係も記憶することが好ましい。少なくとも実行された洗浄処理の回数と関連する指定とを記憶することが好ましい。
【0085】
モールド部材の認識は、達成されるべきシステムの最適な効率をもたらし、モールド部材20の正しい洗浄の前後関係が確保されるとともに証明される。更に、クリーニング装置60を用いる、コンポーネント10の洗浄もまた記憶され、汚されると思われるシステムの部品の洗浄の完全な画像が得られる。
【0086】
モールド部材のための記憶装置及び搬送手段、好ましくは自動化されたものは、達成されるべき高い生産効率及び確保されるべき品質をもたらす。しかも、モールド部材の交換、例えば製品を異なる形状に切換えるときに、短時間かるオペレータのわずかな介入で行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用に適した1つ以上の食材から3次元の製品を成形するためのシステムであって、該システムは、
1つ以上のモールドキャビティを有する複数のモールド部材を含み、各モールド部材は、少なくとも1つの面を有し、該面においては、前記1つ以上のモールドキャビティがそれぞれ該モールドキャビティに前記1つ以上の食材を充填することを許容する開口を有し、
前記システムはさらに、製造装置を含み、該製造装置は、
前記複数のモールド部材の1つを取外し可能に支持するフレームと、
前記フレームで支持されている前記モールド部材を駆動する駆動手段と、
前記1つ以上の食材を収容するための容器と、
前記容器に接続したポンプと、
前記ポンプに接続した食材供給部材と、を含み、
前記食材供給部材は、前記1つ以上のモールドキャビティの1つ以上の前記開口を有する前記モールド部材の前記面に接するようにされ、
該製造装置の動作においては、前記モールドキャビティの1つ以上の前記開口が前記食材供給部材を通過すると共に、前記ポンプが前記食材供給部材及び通過する前記1つ以上の開口を通して前記1つ以上の食材を前記1つ以上のモールドキャビティに供給するように、前記駆動手段が前記フレームで支持されている前記モールド部材を駆動することにより、各モールドキャビティにおいて3次元の製品を成形し、
該製造装置はさらに、前記モールド部材を洗浄するモールド部材クリーニング装置を備え、
前記モールド部材クリーニング装置は前記製造装置から距離をおいて配置され、
前記モールド部材クリーニング装置は、前記製造装置から取外されたモールド部材を受けいれるようにされていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記モールド部材クリーニング装置は、洗浄されるべきモールド部材を少なくとも1つの洗浄液で処理するように設計され、前記各モールド部材は、該モールド部材の各モールドキャビティに連通する1つ以上の通路が設けられ、前記モールド部材クリーニング装置は、洗浄液が前記通路を通して前記モールドキャビティに流れることができるように、前記1つ以上の通路に結合することができるようにされていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記モールド部材クリーニング装置は、洗浄されるべきモールド部材を少なくとも1つの洗浄液で処理するように設計され、前記各モールド部材の前記モールドキャビティは多孔質構造の壁部を有し、前記モールド部材クリーニング装置は、前記多孔質構造の壁部を通して前記洗浄液を強制的に前記モールドキャビティ内に送り込むように設計されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記モールド部材は、前記製造装置の前記フレームに対し、回転のための連結軸の周囲を回転可能なモールドドラムであり、該モールドドラムは1つ以上の前記モールドキャビティを有し、各モールドキャビティは、少なくとも1つのドラム面に開口を有し、前記製造装置の前記食材供給部材は当該製造装置の動作時に前記ドラム面に接することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記フレームは、一端が前記フレームに取付けられた装着スピンドルを含み、前記モールドドラムは前記装着スピンドルに対してスライド可能であることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記モールドドラムの各モールドキャビティに通じる、前記モールドドラムにおける前記1つ以上の通路はそれぞれ、前記モールドドラムの端面に供給用開口を有し、モールドドラムクリーニング装置が、前記モールドドラムの前記端面における前記1つ以上の通路の前記供給用開口に洗浄液を供給するための分配器を有することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記モールド部材クリーニング装置は、洗浄されるべき前記モールドドラムを回転可能に支持するための支持手段を備えると共に、洗浄されるべき前記モールドドラムを回転駆動するための駆動手段を備えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記複数のモールド部材はそれぞれ、前記製造装置の前記フレームに対し、あちこちにスライドされるモールドプレートを含み、該モールドプレートには1つ以上のモールドキャビティが設けられ、各モールドキャビティは少なくとも1つのプレート面に開口を有し、前記製造装置の前記食材供給部材は当該製造装置の動作時に前記プレート面に接することを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、該システムは、前記モールド部材の取り外し後に、前記製造装置の1つ以上のパーツを洗浄するための製造装置クリーニング装置を含み、前記製造装置クリーニング装置は、閉じたチャンバー内で洗浄処理を行うために、洗浄されるべき前記製造装置の一部を囲む、閉じたチャンバーを形成することのできるハウジングを含み、前記製造装置クリーニング装置はさらに、当該製造装置クリーニング装置を、前記製造装置から距離をおいた不活動位置と当該製造装置の活動位置との間を移動させる協働搬送手段を有することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステムにおいて、該システムはさらに、前記モールド部材を前記製造装置と前記モールド部材クリーニング装置との間で搬送する搬送手段を含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記搬送手段は、前記モールド部材を掴むグリッパ手段に加えて、該グリッパ手段を上下に移動させるリフト手段を含むことを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステムにおいて、該システムはさらに、複数の前記モールド部材を保管すべく設計された保管装置を含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
食用に適した1つ以上の食材から3次元の製品を成形するための方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載のシステムに用いられ、
前記製品の成形のために、モールド部材が前記製造装置に搭載されると共に、前記モールド部材の前記1つ以上のモールドキャビティに前記食材が充填されて前記製品が成形され、
前記モールド部材の洗浄のために、前記モールド部材が前記製造装置から取外しされると共に、前記モールド部材クリーニング装置に搬送されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−224017(P2011−224017A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170992(P2011−170992)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【分割の表示】特願2007−513083(P2007−513083)の分割
【原出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(503423775)ストルク タイタン ベスローテン フェンノートシャップ (3)
【Fターム(参考)】