説明

食材シートおよびその製造方法

【課題】また揚げ物ばかりでなく、種々の食品の装飾用やメッセージの表示などに用いることができ、また歪みを防止して、絵や文字の変形を防止することのできる食材シートを提供する。
【解決手段】本発明に係る食材シートは、穀物粉と水とを練り合わせてシート状に形成され、表面に油脂が塗布され、かつ加熱されて穀物粉がアルファ化されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面に絵や文字を描くことができる、あるいは絵や文字を描いたシートが貼付された冷凍食品が提案されている。この冷凍食品によれば、シートに適当なキャラクターの絵や、「寿」、「祝」等の文字を描くことができるので、子供から大人まで楽しむことのできる冷凍食品が提供できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−34077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に記載された冷凍食品の場合、揚げ物にしか利用できないという課題があった。例えば、「しゅうまい」などの蒸し物に適用した場合、シートが水分を吸収し、天然色素等で描いた絵や文字が流れ落ちてしまう不具合がある。また、揚げ物として、油で揚げた場合にも、水を含むシートがせんべいのように波打ち、絵や文字が歪むという課題がある。さらには、長時間経過すると、シートが食品中の水分を吸収し、さらに大きく歪むという課題が生じた。
【0005】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、それ自体食することができ、また揚げ物ばかりでなく、種々の食品の装飾用やメッセージの表示などに用いることができ、また歪みを防止して、絵や文字の変形を防止することのできる食材シートおよびその製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明に係る食材シートは、穀物粉と水が練りあわされてシート状に形成され、表面に油脂が塗布され、かつ加熱されて穀物粉がアルファ化されてなる。
ドライイーストを混入すると好適である。
また、表面に天然色素により文字、記号もしくは図形を描くことができる。
油脂に植物性油脂を用いると好適である。
厚さは特に限定されないが、1.0mm〜3.0mmが好適である。
また、半生状態に加熱してアルファ化するようにしてもよい。
さらに、色素を適宜練り込んで、全体を色付けしてもよい。
【0007】
また本発明に係る食材シートの製造方法は、穀物粉と水とを練り合わせる工程と、練り合わせた生地を所要時間熟成させる工程と、熟成させた生地をシート状に伸ばす工程と、シート状に伸ばした生地に油脂を塗布する工程と、油脂を塗布したシート状の生地を加熱し、穀物粉をアルファ化させる工程を含むことを特徴とする。
穀物粉をアルファ化したシートの表面に天然色素により文字、記号もしくは図形を描くようにすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、それ自体食することができ、また揚げ物ばかりでなく、種々の食品の装飾用やメッセージの表示などに用いることができ、また歪みを防止して、絵や文字の変形を防止することのできる食材シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】表面に図形を描いた食材シートの例を示す。
【図2】表面に図形を描いた食材シートの例を示す。
【図3】表面に図形を描いた食材シートの例を示す。
【図4】コロッケに適用した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施の形態に係る食材シートは、上記のように、穀物粉と水とを練り合わせてシート状に形成され、表面に油脂が塗布され、かつ加熱されて穀物粉がアルファ化されてなる。
あらかじめ表面に天然色素により文字、記号もしくは図形を描いておいてもよい。図1〜図3は表面に図形を描いた食材シートの例を示す。天然色素には様々な色のものが存在する。様々な色の天然色素を用いることによって、色彩が鮮やかな図形や模様を描くことができる。
【0011】
この食材シートを、適宜食品の表面に貼付することによって、見栄えのある、また絵や文字が描かれていることによって、子供にも大人にも面白みのある食品を提供できる。
食品としては、特に限定されないが、コロッケ等の冷凍食品、おやき、まんじゅう、しゅうまいなどが好適である。
【0012】
図4は、食材シート10を冷凍食品のコロッケ12に適用した例を示す。
コロッケ12は、具材をおむすび状に成形した揚げ材料の外周面全体に水分含有のころもを付着させ、このころもに上記食材シート10を付着させ、また食材シート10以外の部分にパン粉を付着させて冷凍したものである。
【0013】
この冷凍コロッケ12を食するには油で揚げる。その際、食材シート10は、油脂が塗布されていることから油とのなじみがよく、また加熱されて既にアルファ化されていて水分含量が少ないことから、油で揚げた際にパリっと揚がり、また平坦性を保ったまま揚がり、絵や文字が歪むことを極力防止できた。また、食材シート10は、油脂で被覆されていることから、時間が経っても、具材の水分が油脂で遮断され、食材シート10に吸収されないことから、平坦性を維持した。
【0014】
また、食材シート10を、肉まんじゅうや餡まんじゅうの表面、しゅうまいの表面、おやきの表面などに適宜な糊剤により接着した食品としてもよい。これら食品を蒸した場合に、食材シート10が既に加熱されてアルファ化していて、天然色素を用いて描かれた絵や文字が食材シートにしっかり固定されていることから、蒸してもこれら絵や文字が流れ落ちてしまうようなことがなく、良好な外観を保つことがわかった。
また、パンなどの焼き物の食品に貼付することもできる。
【0015】
従来の食材シートは、未加熱であるために、例えば、「しゅうまい」などの蒸し物に適用した場合、シートが水分を吸収し、天然色素等で描いた絵や文字が流れ落ちてしまったり、また、揚げ物として、油で揚げた場合にも、水を含むシートがせんべいのように波打ち、絵や文字が歪んでしまったり、さらには、長時間経過すると、シートが食品中の水分を吸収し、さらに大きく歪んでしまったりしたと考えられる。
【0016】
次に、食材シート10は、加熱されてアルファ化されていることから、それ自体で食することができる。
したがって、「誕生日おめでとう」などの文字を描いて、ケーキなどの上に、メッセージとして添えてもよい。あるいは種々の食品に添えた装飾品として用いるようにすることもできる。
【0017】
食材シート10には、あらかじめ、生地中にドライイーストを適宜量混入させてもよい。ドライイーストを混入させることにより、食品に貼付したりして、蒸したり、焼いたりした場合に、ふっくらと仕上がり、さらに平坦性が確保される。
また、生地中にあらかじめ適当な色素を混入させておいてもよい。これにより、一様な色の食材シートとすることができる。
【0018】
食材シート10に塗布する油脂は特に限定されないが、サラダ油等の植物性油脂を用いると好適である。
食材シートをアルファ化させるには、例えばオーブンに入れて焼く(加熱する)とよい。アルファ化の程度としては、食品としてそのまま食することができる程度に、例えば半生状態での加熱にとどめておくようにしてもよい。コロッケ等の他の食品に貼付して、揚げ物として揚げる等の際に再加熱されるので、食材シートの段階では、焼きすぎない、半生程度の方がよい場合があるからである。
【0019】
食材シート10の厚さとしては1.0mm〜3.0mm程度が好適である。
食品に貼付して用いるときは1mm程度に薄い方が好適であるし、食品にメッセージとして添えたり、装飾品として添える場合には、薄いものから3mm程度の厚いものまで適用できる。
【実施例】
【0020】
実施例1:
小麦粉(強力粉) 140g
小麦粉(薄力粉) 60g
食塩 3g
ドライイースト 4g
水 133g
を混合し、練り合わせた後一昼夜熟成させた。
この混合物を厚さ約1mmのシート状に引き伸ばし、生地シートを得た。
生地シートにサラダ油を刷毛塗りした後、オーブン中で約200℃、1〜7分間加熱し、アルファ化して食材シートを得た。
この食材シートを所要大きさに裁断し、さらに天然色素を用いて絵柄をプリントし、食材シートに完成させた。
この食材シートは平坦で、もちろん食することができる。
【0021】
実施例2:
ドライイーストを無添加の他は実施例1と同様にして食材シートを得た。
【0022】
実施例3:
実施例1および実施例2の食材シートを、餡まんじゅう、おやきの表面に溶いた小麦粉を糊剤に用いて貼付し、蒸し器にて蒸してまんじゅうおよびおやきを作製した。
食材シートは平坦なままを維持し、天然色素を用いて描いた絵柄も歪むことなく、きれいなままだった。
【0023】
実施例4:
実施例1および実施例2の食材シートを、パン生地に溶いた小麦粉を糊剤に用いて貼付し、パン焼き機にて焼いてパンを作製した。
食材シートは平坦なままを維持し、天然色素を用いて描いた絵柄も歪むことなく、きれいなままだった。
【0024】
実施例1および実施例2の食材シートを、コロッケに溶いた小麦粉を糊剤に用いて貼付し、冷凍して冷凍コロッケを作製した。この冷凍コロッケを油で揚げたところ、食材シートは平坦なままを維持し、天然色素を用いて描いた絵柄も歪むことなく、きれいなままだった。
【符号の説明】
【0025】
10 食材シート
12 コロッケ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物粉と水が練りあわされてシート状に形成され、表面に油脂が塗布され、かつ加熱されて穀物粉がアルファ化されてなる食材シート。
【請求項2】
表面に天然色素により文字、記号もしくは図形が描かれてなる請求項1記載の食材シート。
【請求項3】
ドライイーストが混入されてなる請求項1または2記載の食材シート。
【請求項4】
油脂が植物性油脂であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の食材シート。
【請求項5】
厚さが1.0mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の食材シート。
【請求項6】
半生状態に加熱してあることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の食材シート。
【請求項7】
色素が練り込まれていることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の食材シート。
【請求項8】
穀物粉と水とを練り合わせる工程と、
練り合わせた生地を所要時間熟成させる工程と、
熟成させた生地をシート状に伸ばす工程と、
シート状に伸ばした生地に油脂を塗布する工程と、
油脂を塗布したシート状の生地を加熱し、穀物粉をアルファ化させる工程を含むことを特徴とする食材シートの製造方法。
【請求項9】
穀物粉がアルファ化したシートの表面に天然色素により文字、記号もしくは図形を描く工程を含むことを特徴とする請求項8記載の食材シートの製造方法。
【請求項10】
ドライイーストを混入させることを特徴とする請求項8または9記載の食材シートの製造方法。
【請求項11】
シートを所要大きさに裁断する工程を含むことを特徴とする請求項8〜10いずれか1項記載の食材シートの製造方法。
【請求項12】
シートを半生状態に加熱することを特徴とする請求項8〜11いずれか1項記載の食材シートの加工方法。
【請求項13】
請求項1〜7いずれか1項記載の食材シートが食品の表面に貼付され、冷凍されてなる冷凍食品。
【請求項14】
食材シート以外の食品の表面にパン粉が付着されていることを特徴とする請求項13記載の冷凍食品。
【請求項15】
コロッケである請求項13または14記載の冷凍食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−160740(P2011−160740A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28088(P2010−28088)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(391064647)株式会社大福食品工業 (4)
【Fターム(参考)】