説明

食物、化粧料、製薬および他の用途に用いる密度制御された粒子懸濁液

液体媒体中に分散されるゲルビーズ又は他の粒子状材料の安定で均一な分布は、ゲルビーズ内に密度低下剤を含み、所望の嵩密度、例えば、液体分散媒体の密度に近い密度を有する粒子を提供することによって得ることができる。好適な密度制御により、貯蔵中に重力で移動して沈降することを防止できる。アガーを配合したゲルビーズは、化粧料に使用するのに、および適度な高温を使用してもよい化粧料配合プロセスに含まれるのに好適である。魅力的で新規な化粧料ビーズ懸濁液を記載する。化粧料の他に、製薬、食物、および他の用途を開示する。好適な密度低下剤の例には、極低密度の中空ポリマーマイクロスフェア、および感温膨張性熱可塑性マイクロスフェアが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
連邦政府によって支援された研究又は開発に関する陳述。(該当せず。)
【0002】
関連出願の相互参照
本発明は、2002年11月27日に出願された米国仮特許出願第60/429,816号の優先権を主張し、その全開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、食物、化粧料、製薬および他の用途に用いる密度制御された粒子懸濁液、並びにその製造に関する。更に詳細には、本発明は、食物、化粧料、製薬、および栄養補助食品などを提供するために、又は、それらに使用するために様々な媒体中に分散又は懸濁させるのに好適なゲルビーズ、並びに、得られる分散体又は懸濁液に関する。更により詳細には、排他的ではないが、本発明は、当該媒体中で視認可能な外観を有するこのようなゲルビーズ、とりわけ、媒体又は最終製品配合物に色、真珠光沢、光沢、反射能、不透明性、又は他の視覚的効果などの視認可能な所望の外観を提供するゲルビーズに関する。更に、本発明は、本発明のゲルビーズを含有する、このような製品および懸濁液に関する。
【0004】
例証として、様々な用途を有し、皮膚に局所適用される有効剤を送達する化粧料又は皮膚用の送達系としてのゲルビーズ配合物、このような送達系を調製する方法、および、送達系が組み込まれてもよい化粧料又は皮膚用の配合物を特に参照して、本発明を説明する。これらの開示に基づいて、本発明が食物又は製薬などの他の製品に使用されること、および応用されることが当業者に明らかである。
【0005】
多糖類、ゼラチン、又は他の好適なビーズ形成材料から製造される多くの異なる種類のゲルビーズが当該技術分野で既知であり、装飾的な効果が得られるように、および有効成分をカプセル化する又は閉じ込めるために、ゲルおよびエマルションで使用される。
【0006】
スウィーニー(Sweeny)、米国特許第4,756,905号明細書は、有効成分(カプセル化された顔料、3欄2行目)で表面を処置する方法(着色された化粧料の人体への適用、1欄10〜11行目)を開示し、該方法は、キャリア液体(例えば、日焼け止めローションに慣用的に使用されるキャリア液体、2欄61行目)を提供する工程;それぞれが表面を処理するための有効成分を含有する、多数の視認可能な破砕性ビーズをキャリア液体中に分散させる工程(光安定な染料又は顔料を含有するマイクロカプセルの添加、2欄62〜64行目);および、ビーズを有するキャリアを表面に付けてマッサージし、ビーズを破裂させて有効成分を放出し、破裂したビーズを有する表面に付着させる工程((指などで)軽く擦るとマイクロカプセルが破裂し、組成物内のカプセル化された顔料を露出させることにより、化粧料が擦りつけられる領域はハイライトされるか、又は色が変わる、2欄67行目〜3欄3行目)を含む。
【0007】
ノダ(Noda)、米国特許第5,089,269号明細書は、平均粒度0.1〜2000.mu.mで、疎水性構成成分を内包するマイクロカプセルを含有する化粧料組成物又は外部処置剤を開示し、ここで、マイクロカプセルは、水で膨張したゼラチンフィルムで構成される。
【0008】
カラシク(Karassik)ら、米国特許第5,925,338号明細書は、染みが低減すると同時に審美的属性および効力を保持する、清澄な制汗剤又はデオドラントゲル組成物を開示している。油相は、組成物の約10〜25%を構成し、シリコーン油およびポリエーテル置換シリコーン乳化剤を含有する。シリコーン油は、不揮発性シリコーン(好ましくは、不揮発性直鎖シリコーン)と揮発性直鎖シリコーンとの混合物を含む。既知のゲル組成物中の不揮発性シリコーンの量を比較的低レベル(例えば、約5%未満)に低減し、組成物に一定量(例えば、約2%超、好ましくは約5%超)の揮発性直鎖シリコーンを添加すると、組成物の染みにならない(non-staining)特性が実質的に改善されることが見出された。
【0009】
ファーガソン(Ferguson)ら、米国特許第6,045,813号明細書は、スキンケア用および家庭用の表面処理組成物および方法を開示している。組成物は、例えば、防腐薬又は香料などの有効成分を含有する破裂性又は破砕性のビーズを含有する。破裂したビーズを有する被処理表面に有効成分を付着させることができ、有効成分は着色剤であってもよい。ビーズは、ビーズを含有するローション又はゲルなどの製造中に破裂が起こらず、製造された製品を定温放置する誘導期の後、皮膚に擦りつけられるときに、又は制限オリフィスを通して分配されるときに破砕できる直径および厚さを使用する。
【0010】
デルリュー(Delrieu)、米国特許第5,961,990号明細書および同第6,319,507号明細書(「デルリュー特許」)は、有効剤をゲル中に保持するためアガーゲルおよび拘束ポリマー(restraining polymer)を使用した、局所適用される有効剤のための保護化粧料粒子状ゲル送達系を開示している。粒子の平均粒径は少なくとも0.05mmであり、拘束ポリマーは、分子量が少なくとも50,000ダルトンで、有効剤に結合する保持基(retention groups)を有する。拘束ポリマーは、有効剤を保持する保持基を有する又はそれが付与された、ポリクオタニウム24、ラウルジモニウムヒドロキシエチルセルロース、ココジモニウムヒドロキシエチルセルロース、ステアルジモニウムヒドロキシエチルセルロース、第四級アンモニウム置換水溶性多糖類、アレイル第四級セルロース、およびポリペプチドからなる群から選択することができる。それらは、残留物を残すことなく皮膚上で圧潰されるほど十分に柔らかい。それらは、広いpH範囲で、および高濃度の界面活性剤を含有する配合物中で安定である。本送達系は、ゲル、クリームおよびローションなどの多相化粧料配合物に組み込むことができる。これらのゲルビーズは、配合物の装飾および有効成分の送達に使用することができる。
【0011】
例証として、デルリュー特許に開示されているゲルビーズの好ましい実施形態の幾つかを含む、比較的大きい多糖類およびゼラチンをベースにするビーズは、最終製品中で明瞭な外観を有することが意図されてもよい。対照的に、所与の化粧料配合物中に更に小さい粒子(粉末およびマイクロスフェアなど)が個々に存在しても肉眼で検出できない場合があり、その分布の不規則さが明らかでない場合がある。しかし、清澄な液体に懸濁され、透き通った容器に包装されることが意図される視認可能なビーズが不均一に分布する(沈降する又は浮くなど)と、おそらく魅力のないものになり、視認可能なビーズ中で運ばれる有用な成分が一貫性なく送達されることになる場合がある。
【0012】
従って、ビーズ又は他の粒子が液体媒体中に管理された状態で分布される液体分散体中に提供することができる、ゲルビーズおよびそれに匹敵する粒子、並びに、それらを製造する方法、特に、化粧料配合物に好適なこのような製品および方法が必要とされている。
【0013】
前述の背景技術の説明は、本発明に先行する関連分野で知られていなかったが、本発明により記載された洞察、発見、理解若しくは開示、又は開示の相互関連を含む場合がある。このような本発明の寄与には、以下に具体的に指摘され得るものもあるが、このような本発明の寄与には、その文脈から明らかなものもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、安定で長続きする方式でゲルビーズおよび他の粒子の懸濁液中における比較的均一な分布を可能にする、化粧料、製薬、および、他の用途に好適な組成物および方法を提供する問題を解決し、好ましくは、また、審美的に望ましい効果および消費者にとって魅力のある最終製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一態様では、本発明は、液体媒体中に分散され、懸濁液を提供することを意図された粒子状材料を提供し、粒子状材料は、液体媒体中に分散可能な複数の粒子を含み、粒子は、任意にそれぞれ有効剤を含み、粒子は密度制御され、各粒子は、所望の嵩密度を有する粒子を提供するのに効果的な量の密度低下剤を粒子内に含む。
【0016】
望ましくは、密度低下剤の量は、粒子が液体媒体中に均一で安定に分散することを可能にするのに十分であるか、又は、液体媒体の密度以下、若しくは約0.8g/ml〜約1g/mlの密度を有する粒子を提供するのに十分である。必要に応じて、粒子の密度は、およそ室温で少なくとも約1ヶ月間静置したとき、粒子が液体媒体中で均一な分布状態を維持できるような密度とすることができる。
【0017】
有利には、粒子状材料はゲルビーズを含むことができ、ゲルビーズは、意図される液体媒体中での視認性、透明で着色された外観、透明で着色された外観と意図される液体媒体中での透明性からなる群から選択される視覚特性を有することができる。更に、又は代替として、ゲルビーズは、哺乳類の皮膚、毛髪、爪、口腔又は他の体腔に局所適用されることを意図された化粧料又は製薬材料を構成するか、又はそのような材料となることができる。
【0018】
別の態様では、本発明は、高温で液体のビーズ材料で形成される、密度制御されたビーズを調製する方法を提供し、本方法は、高温でビーズ材料成分を混和すること、得られる混合物を液滴又は小滴に形成すること、および、液滴又は小滴を冷却してビーズを形成することを含む。本方法は、所望のゲルビーズ密度を付与するのに十分な量の密度制御剤をビーズ材料成分中に含有することを含む。
【0019】
本方法の幾つかの実施形態は、
a)ゲル化剤を溶解させるのに十分な第1の温度に加熱された水に水溶性ゲル化剤(任意にアガー)を、前記高温よりも低い温度でゲルを形成するのに効果的なゲル対水の割合で溶解させ、第1の混合物を形成する要素、
b)室温で水又は油に密度制御剤を分散させ、第2の混合物を形成する要素、
c)第2の混合物を第1の混合物に添加して第3の混合物を形成した後、第3の混合物を第1の混合物のゲル化点より高い中間の温度に冷却する要素、および
d)冷却された第3の混合物を針を通して放出し、液滴を形成する要素、
e)第1の混合物のゲル化点より低い温度に維持された疎水性の液体に液滴を曝露させ、それによって、液滴が、密度低下剤を組み込んだゲルビーズに形成される要素、
を含む。
【0020】
別の態様では、本発明は、局所適用される有効剤のための保護化粧料粒子状ゲル送達系を提供し、送達系は平均サイズ0.1mm〜10mmの離散した自己支持型ゲル粒子を含み、粒子は25℃の水に不溶性であり、
a)密度を有する液体媒体、および
b)液体媒体中に分散される複数の粒子、
で形成され、本送達系は、
c)粒子内に分散され、密度制御された粒子を形成するのに効果的な量の密度低下剤、
を含み、密度低下剤はゲル粒子の密度を制御する。
【0021】
本発明の更に別の態様は、ヒトの化粧料、食物、又は製薬の用途に好適な密度制御されたゲルビーズ懸濁液を提供し、懸濁液は、
a)透明な液体媒体、および
b)液体媒体中に分散される複数の視認可能なゲルビーズであって、任意に着色されたゲルビーズ、
を含み、ゲルビーズ懸濁液は、
c)液体媒体中におけるゲルビーズの重力移動を防止するのに効果的な量でゲルビーズ内に入っている密度低下剤を、
含む。
【0022】
本発明の他の態様は、ヒトの化粧料、食物、又は製薬用途に好適な懸濁液を提供するため、透明な液体媒体中に分散させるのに好適な、密度制御されたビーズを提供し、ゲルビーズは、構造ビーズ材料を含み、密度制御されたビーズは、液体媒体中におけるゲルビーズの重力移動を防止するのに効果的な量の密度低下剤をゲルビーズ内に含む。
【0023】
また、本発明は、視覚的に認識可能なビーズの懸濁液中での外観が向上した、例えば、液体媒体中での分布がより均一であるゲルビーズを提供する。本発明のゲルビーズは、長い貯蔵寿命を可能にする改善された効力と安定性のプロファイルを有する化粧料配合物に使用することができる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、貯蔵時に化学的及び視覚的に安定であるが、皮膚表面に効果的に適用でき、存在する場合、効果的な量の有効成分を局所的に又はその他、放出又は送達できる配合物を提供する。本発明の幾つかの実施形態は、比較的低粘度の配合物中におけるゲルビーズの清澄性、および均一な懸濁などの改善された審美性を示すことができる基本組成物を提供する。本発明の他の実施形態は、ゲルビーズが分散される媒体の比重より大きい比重を有するゲルビーズの比重を低下させ、ゲルビーズが容器の底部の方に移動することなく低粘度の配合物中に懸濁した状態を維持できる方法を含む。
【0025】
更に、本発明は、審美性を損なうことなく、長期間にわたり媒体中に前記ビーズが均一に分布することを確実にし、より良好な効力および安定性を提供する、低密度媒体内のビーズの懸濁液に関する。ビーズはゲルビーズであってもよく、又は脆性材料で製造されてもよい。
【0026】
従って、本発明は、密度を制御することによって、ゲルビーズおよび他のこのような粒子が様々な配合物中に十分に分散した状態を維持できる組成物および方法を提供する。好ましい実施形態では、比較的長い貯蔵期間の後でも、および、ローション、浴用ゲル、シャンプー、およびコンディショナーなどの比較的低粘度の媒体中でも、ビーズが完全に沈降してしまうことなく、ゲルビーズ又は他の粒子の比較的均一な分布状態を維持できるように、ゲルビーズ密度を正確に制御する。
【0027】
好ましくは、ビーズは、皮膚上で圧潰され、伸ばされるときに望ましい触覚特性、並びに、加工および貯蔵安定性も保持する。本発明の組成物は、製造プロセス後、貯蔵寿命中、消費者に購入されるまで、およびその後も、ゲルビーズを懸濁した状態に保つ望ましい審美的能力を有する。本発明は、懸濁媒体がゲルビーズと比較して低粘度を有する懸濁液中に、着色された又は不透明に見えるビーズ又はマイクロスフェアが均一に分布することが望ましい懸濁液に特に有用である。懸濁されるゲルビーズが、媒体、特に透明な媒体又は更には清澄な媒体と視覚的に対照をなす場合、均一な分布が非常に望ましい。粘度が低い用途において、媒体が不透明であり得るか、又はビーズと同じ外観および屈折率を有するためビーズが視認できない場合でも、一貫した送達には、均一な分布が必要である。
【0028】
望ましくは、ゲルビーズは、典型的な消費者容器の向こう側のビーズが媒体を通して容易に視認できるように、好ましくは実質的に透明である懸濁媒体と視覚的に対照をなすように彩色される。
【0029】
本発明は、様々な密度の媒体で懸濁液が得られるような密度範囲にあるゲルビーズ又は他の粒子を製造する手段を提供するという点で特に好都合である。そのため、ビーズ密度は、意図される分散媒体の密度に応じて選択することができる。
【0030】
本発明のゲルビーズ又は他のビーズ、および懸濁液は、化粧品、製薬製品、獣医学製品、食品、および農業製品を含む様々な製品に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の、および、本発明を製造および使用する幾つかの実施形態、並びに本発明を実施する、考えられる最良の態様を、前述されていない場合でも、例証として、添付の図面を参照して以下に詳述するが、図面中、幾つかの図を通して同様の参照番号は同じ又は類似の要素を示す。
【0032】
以下の説明で参照される部および割合は、別途明記されない限り、又は文脈から明らかでない限り、当該組成物の重量を基準にする重量基準、即ち、重量対重量の基準である。
【0033】
本発明に使用するゲルビーズの幾つかの有用な実施形態は、組成物の重量を基準にする重量割合の成分の組成物を有することができ、それは、大体、以下の範囲にある。
ゲル化剤 約0.5〜5%
拘束ポリマー 約0.2〜7.5%
密度低下剤 約0.02%〜5%
顔料 約0.1〜3%
水 100%に十分な量
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、本組成物を使用して、好ましくは着色された視認可能な球体で、且つ、低粘度の配合物中に懸濁され得るゲルビーズを製造することができる。好ましい実施形態では、拘束ポリマーを使用して、有効剤を拘束ポリマーに結合させ、ゲルビーズ内に保持する。拘束ポリマーは、アルギン酸、およびポリクオタニウム−11などのアニオン又はカチオンコポリマーとすることができる。ゲルビーズ対懸濁媒体の密度比が1、又は1近くになるように調整するため、低密度のマイクロスフェアを密度低下剤として使用することができる。好ましい密度低下剤は、ビーズ密度の調整に使用できる、エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)膨張性マイクロスフェア(製品コード091WE)である。
【0035】
本発明のゲルビーズの懸濁媒体又は分散媒体として特に重要なものは、ゲル、クリーム、およびローションなどの多相化粧料配合物であり、破砕性のビーズ又はマイクロスフェア内に閉じ込められる抗菌剤又は精油などの有効成分を含む。本発明のゲルビーズは、中に膨張性マイクロスフェア又は他の密度制御剤が分布しているビーズ全体に連続ゲル相を有することができるか、又は、それらは、疎水性若しくは親水性の材料、水中油型もしくは油中水型エマルション、又は他の材料を含むことができる液体および/又は固体構成成分を内包する、ゲル様のシェルを備えるカプセル様とすることができる。
【0036】
本発明は、密度を正確に制御することによってゲルビーズを低粘度配合物中に効果的に分散させることができる。ゲルビーズは、依然として、望ましい触覚特性および安定性を維持することができる。
【0037】
本発明は、特に、比較的低粘度の化粧用ローション、クリームおよびゲル、並びにシャンプーなどに適用可能であるが、それよりも比較的粘度が高い配合物にも効果的に使用できる。本発明に使用するのに有用な化粧品には、限定的ではないが、メーキャップ、ファンデーション、並びに、スキンケア製品、ネールケア製品、およびヘアケア製品が挙げられる。有用なメーキャップ製品には、ファンデーション、ブラックス・アンド・ブラウンズ(blacks and browns)、マスカラ、コンシーラー、アイライナー、まゆずみ、アイシャドウ、頬紅、およびリップカラーを含む、顔に色又は不透明なコーティングを付ける製品が挙げられる。有用なファンデーション配合物には、液体、クリーム、ムース、パンケーキ、コンパクト、コンシーラー、および類似の製品が挙げられる。有用なスキンケア製品には、皮膚を保湿する、改善する、又は清浄にする製品が挙げられる。有用なスキンケア製品、ネールケア製品、およびヘアケア製品には、以下に限定されないが、接着剤、歯磨き粉、無水閉塞性保湿剤、制汗剤、デオドラント剤、ネールポリッシュ、固体エマルションコンパクト、およびヘアコンディショナーが挙げられる。
【0038】
図1を参照すると、図示される密度制御されたビーズは、構造が以下に更に詳細に記載されており、水相を含有する透明又は半透明な液体媒体11中に色を付与する、着色されたゲルビーズ10を含み、ここで、ゲルビーズ10の水と比較した密度は1.0未満であり、ゲルビーズ10の懸濁媒体11に対する密度比は1未満又は1に近い。
【0039】
粒子状化粧料ゲルキャリアの特に好ましい実施形態は、ミリメートルで測定される平均粒度を有する比較的小さいゲル粒子又はビーズ10を含む。粒子10は、化粧料用に十分小さく、好ましくは、平均で直径10mmを越えないが、皮膚又は皮膚の細孔を貫通するほど小さくはなく、0.1mm以上である。好ましい粒度範囲は、平均で直径約0.5〜3.0mmであり、更に好ましい範囲は、平均で直径約1mm〜約2mmである。
【0040】
粒子10の好ましい製造方法では、よく集中したサイズ分布が得られ、粒子10の少なくとも80%、更に好ましくは粒子10の90%は、標的とする平均の両側で30%までに及ぶ、所望の平均粒度区分内に入る。特定の用途では、必要に応じて、メッシュろ過により更に均一な製品を得ることができる。
【0041】
ゲルビーズ10の有用な実施形態の1つは、デルリュー特許に更に完全に記載され、請求されているように、任意の拘束ポリマー14および密度低下剤16を有する自己支持型固体又は半固体の形態であるゲル12の連続相の複合体である。各ゲルビーズ10全体にランダムに分散されるのは、水溶性、好ましくは極性の拘束ポリマー14、更に好ましくは四級化カチオンポリマー(ポリクオタニウム24又はステアルジモニウムヒドロキシエチルセルロースなど)と、密度低下剤16である。好ましい拘束ポリマーは、ポリクオタニウム11である。拘束ポリマー14および密度低下剤16は、ゲル12内に閉じ込められるため、ビーズ10がその一体性を保持する限り、それらは容易に浸出したり、又は他の方法でビーズから放出されない。
【0042】
ゲルビーズ10は、拘束ポリマー14に結合されても、又は他の方法でビーズに組み込まれてもよい、様々な有効剤18(例えば、アスコルビン酸、乳酸、又はパパインなど)の化粧料送達系の役割をすることができる。
【0043】
或いは、他に有効成分を用いずにゲルビーズ10を使用して、例えば、それ自体、化粧料としての又は他の有効な特性を有する保湿剤であるヒアルロン酸などの閉じ込められた拘束ポリマーを送達することができる。ゲル12、拘束ポリマー14、密度低下剤16、および有効剤18に関して、本明細書に開示される好ましい実施形態には多数の可能な代替の物質又は材料があり、それらの幾つかは後述されている。他のものは、当業者には明らかである。
【0044】
本発明の実施に使用可能な幾つかの物質および材料を、以下の段落に記載する。同様に、他のものは、当業者に明らかである。
【0045】
本発明の実施に使用される特に好ましいゲル形成剤12は、アガーであり、「アガーアガー」としても知られる。アガーは、低温の水に乾燥固体として分散されると不溶性であるが、70〜90℃の温度に加熱されると溶解できるようになり、冷却時にゲルを形成する。アガーは、通常使用される他の幾つかのゲル化剤と比較して比較的高価であるが、化粧料用ビヒクルを有する配合物、とりわけ、通常、高温でホモジナイズされる2相のクリーム、ゲル、およびローションに特に好適である。ゲルはpHと適度の温度上昇の両方に安定である。
【0046】
他のこのような可能なゲルは、当業者に既知であるか、又は明らかである。他のこのようなゲルは、配合を行うとすれば、配合(粒子10はそれ自体で最終製品となり得る)、包装、および貯蔵の条件で安定であり、最終使用者の皮膚又は爪の上で圧潰されるか、伸ばされるか又は他の方法で分散されて、粒子10の表面積を増大させ、含有される有効分をその部位で分散させることができる、寸法安定で自己支持型のゲルポリマー複合体粒子を形成できるものでなければならない。ゲルビーズは、好ましくは、過度の粘着性がなく、接触しても互いに接着しない。好ましいゲルは、pH安定な水溶性ポリマーである。このような好ましいゲルには、合成ポリマー(ビニル又はアクリルアミドポリマー又はコポリマーなど)、天然ポリマー(例えば、多糖類若しくは蛋白質など)又はこのようなポリマーを合成で変性したもの、植物由来のゲルを挙げることができ、一般的な低コストで石油由来の化粧料用ゲルであるカーボポール(carbopol)などのゲル化剤を含むことができる。
【0047】
しかし、ゲルビーズ10を調製する際、又はそれらを化粧料に配合する際、それらを低温で添加すること、乳化後にゲルビーズを化粧料配合物に添加すること、又は、このような感熱性の有効分を含有するゲルビーズを損傷に至らないほどの短時間だけ曝露することによって、感熱性の試剤を過度の熱に暴露しないように注意を払わなければならない。
【0048】
本発明の実施に使用するように選択されるゲル形成剤12は、望ましくは、本明細書に記載の粒子又はビーズ形成要件を満たすだけでなく、意図される化粧料、製薬、薬剤、又はビーズの他の最終用途に関する他の要件を満たすこともできる。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、ゲルから拘束ポリマー14が出て行くことを防止するのに十分な分子量を有し、且つ、有効剤を拘束ポリマー14に結合させてゲル粒子内に保持する保持基を有する拘束ポリマー14が使用される。好ましくは、また、拘束ポリマー14は、粒子形成の初期工程で所望の割合のポリマーがゲルと一緒に溶解できるほど、十分に水溶性である。使用される拘束ポリマー14は、好ましくは、所望の1種類又は複数種類の有効剤に応じて、有効剤に結合する1つ以上の保持基を有するように選択される。
【0050】
本発明は、ゲルビーズ10が着色されているか又は不透明に見える懸濁液に特に有用である。懸濁されたゲルビーズが、液体媒体11と視覚的に対照をなす、例えば、着色された又は不透明なビーズが透明な又は清澄な媒体中に分散される場合、ビーズが分散媒体中に適度に均一に空間分布する(好ましくは、これが製品の貯蔵寿命中、維持される)ことが望ましい。本発明の密度制御を欠く慣用の代替は、ビーズが沈降するか又は浮き、液体媒体11の底部又は上部で凝集して集塊になる可能性があり、魅力のない外観を提供し、ビーズ−媒体製品の送達が非効率的である。
【0051】
液体媒体11が不透明であるか、又はゲルビーズ10と類似の外観および屈折率を有するため、それらが幾分視認できない場合でさえ、含有する有効成分を皮膚又は他の表面に一貫して送達するため、均一な分布が依然として望ましい可能性がある。
【0052】
密度低下剤16は、ゲルビーズ10対懸濁媒体120の密度比を所望の値、例えば、1近く、又は1未満に調整するため、個々の各ゲルビーズ全体に分散される低密度のフィラーを含むことができる。好適な密度低下剤16の一実施形態は、球状のシェル内に好適な気体、例えば空気が入った小さい中空の粒子又はマイクロスフェアを含む。中空の粒子は、ビーズ密度を制御する特定の手段又は調整可能な手段を提供するため、一定又は可変の体積を有してもよい。密度低下剤16の有用な一実施形態は、感温膨張性熱可塑性マイクロスフェアを含み、好適な温度管理によって、加工中、その最終体積および密度を制御することができる。本発明の実施に有用な密度制御マイクロスフェア又は他の粒子を形成できる幾つかの有用な材料には、フェノール系材料、ガラス、セラミック、シリカ、PMMA、および当業者に既知の他の好適な材料が挙げられる。
【0053】
密度低下剤16は、容易に計算され得るように、所望の密度調整を行うため、ゲルビーズ10の任意の好適な重量割合を構成することができる。多くの好適な密度低下剤16はそれ自体低密度であり、一般に重量が非常に軽いものと記載されてもよく、所望の密度調整を行うのに、かなり低い重量割合で効果を生ずることができる。例えば、密度低下剤16は、ゲルビーズ10の約0.02重量%〜約5重量%、好ましくは1重量%未満、更に好ましくは約0.02重量%〜約0.1重量%を構成することができる。本発明の一実施形態では、ゲルビーズ10の相対密度が1近く、又は1より少し小さくなるように調整するために十分な密度低下剤16を使用する。ゲルビーズ10の特定の最終嵩密度は、意図される分散媒体11の密度を参照して選択することができ、好ましくは、ゲルビーズ10が分散媒体11全体に均一に空間分布し、所望の貯蔵寿命中、均一に分布した状態を維持できるような密度である。
【0054】
異なる空間的および視覚的効果が望まれる本発明の代替の実施形態では、全ての又は実質的に全てのゲルビーズ10が分散媒体11の表面又は表面付近に浮き、(例えば、振ることにより)混合した後、浮く状態を容易に回復できるようにするため、好適な密度の十分な密度低下剤16を使用する。
【0055】
本明細書で参照される密度は、別途明記されない限り、相対密度又は比重である、即ち、標準化された条件で水の密度、1g/mlと比較される。そのため、多くの有用な低粘度配合物の密度は1に近いが、他の配合物、例えば、高い割合の又は相当な割合の油を含有するものは、1未満の場合がある。本発明に従って、好適なフィラーを使用し、ゲルビーズ又は他の粒子、対、懸濁媒体の密度比を所望の範囲内に、例えば、後述のように維持することができる。
【0056】
密度低下剤16のサイズは、望ましくは、ゲルビーズのサイズよりもかなり小さいものとすることができる。好ましいフィラーは、平均粒度約20未満〜100ミクロンである。
【0057】
多くの実施形態では、平均粒度は、好ましくは、50ミクロン未満、更に好ましくは約10ミクロンでなければならない。密度低下剤16は、また、加工および使用に耐える十分な耐久性がなければならない。そのため、密度を低下させる好適な密度低下剤16は、体積がかなりのパーセンテージの気体からなる、平均粒度約100ミクロン未満の粒子からなる。
【0058】
中空のマイクロスフェアの形態の熱可塑性合成材料の粉末は、特に、既知のプロセスで得ることができる。これらのマイクロスフェアの中空部分には、気体(炭化水素、空気、又は他の任意の適切な気体など)が入っている。中空のマイクロスフェアは、皮膚に無毒で刺激がない任意の熱可塑性材料で製造することができ、例えば、エチレン誘導体のポリマー又はコポリマー(特に、ポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニルアクリロニトリルコポリマー)、ポリアミド、ポリエステル、尿素−ホルムアルデヒドポリマー、又は塩化ビニリデンコポリマー(特に、塩化ビニリデンとアクリロニトリルのコポリマー)がある。これらの中空のマイクロスフェアは非常に軽量であり、例えば、その比重はおよそ0.01〜0.1g/cm3とすることができる。マイクロスフェアは各粒子の構造内に気体を閉じ込めるため、密度低下フィラーとしては、中空のマイクロスフェアの方が中実のマイクロスフェアよりも優れている。マイクロスフェアは、本来の材料の密度によって制限されるが、各マイクロスフェアの体積のかなりの部分は気体であるため、マイクロスフェアは、本来の材料よりもずっと低い密度を有するように調製することができる。更に、マイクロスフェアが破裂しない限り、気体は閉じ込められたままであり、マイクロスフェア、およびそれに対応して製品の密度は、使用と共に増大しない。
【0059】
好ましい実施形態では、密度低下フィラーは、中空の可塑性マイクロスフェアを含む。典型的な可塑性マイクロスフェアは、比較的低い密度と高い弾性を示す。多くは形状が不規則であり、それによって製品内の構成成分の結合および一体性が促進される。
【0060】
好ましい密度低下材料には、スウェーデン、スンツヴァル、ノーベル・インダストリーズ(Nobel Industries,Sundsvall,Sweden)からエクスパンセル(EXPANCEL)の商標で入手可能な、気体充填熱可塑性マイクロスフェアが含まれる。エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)膨張性マイクロスフェアは、膨張した形態と膨張していない形態で入手可能である。膨張したマイクロスフェアの典型的な密度は、0.03〜0.06g/ccである。加工条件を操作して様々な程度の膨張を引き起こすことにより、膨張していないマイクロスフェアの最終密度を変えることができる。選択される加工条件に応じて、密度は、膨張していないマイクロスフェアの密度である1.2g/ccから最小密度である<0.02g/ccまでの範囲とすることができる。膨張したマイクロスフェアの平均粒度は、25〜75ミクロンの範囲とすることができ、典型的には50ミクロンである。エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)膨張性マイクロスフェアなどの低密度マイクロスフェアを密度低下剤として使用することができる。好ましい実施形態では、エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)091WEを使用して、マイクロスフェアの密度を調整する。好ましいエクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)091WE製品は、既に、予め膨張されており、サイズが35〜55ミクロン、密度が24kg/m3である。
【0061】
本発明の実施に使用できる他の好適な低密度中空マイクロスフェアには、例えば、ポリトラップ(POLYTRAP)(ダウ・コーニング(Dow Corning))、シリコーン樹脂マイクロスフェア、(例えば、東芝(Toshiba)製のトスパール(TOSPEARLS))、沈降法炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、中空シリカマイクロスフェア(マプレコス(Maprecos)製のシリカビーズ(Silica Beads))、ガラスマイクロカプセル、および、セラミックマイクロカプセルが挙げられる。
【0062】
しかし、エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)製品の更に好ましい代替には、例えば、米国特許第5,834,526号明細書(ウー(Wu)ら)、米国特許第3,615,972号明細書(モアハウス(Morehouse)ら)、米国特許第4,108,806号明細書(コールズ(Cohrs)ら)、米国特許第5,429,869号明細書(マクレガー(McGregor)ら)、PCT国際公開第93/00390号パンフレット(3M社(3M Corporation))、および、欧州特許出願公開第559254A1号明細書に開示されるような他の熱膨張性マイクロスフェア、並びに、ホウケイ酸材料(ミラー(Miller)ら、米国特許第5,534,348号明細書に開示される材料など)、セラミック、ガラス、又は鉱物などのケイ質(siliciceous)材料から製造される中空のマイクロスフェア、セルロース誘導体、熱可塑性合成樹脂を含むフィルム形成可塑性材料から製造される中空の粒子、ポリスチレン粒子、ポリプロピレン球体、ポリマービーズ、パーライト、バーミキュライト、中空ガラス球体、および、軽量の膨張した地質学材料などの幾つかの種類の無機および有機軽量フィラーがある。
【0063】
このような任意の追加の化合物は、本明細書に記載されるような、本発明の組成物の有利な特性が得られるように選択され、且つ、そのような量で使用されなければならないことが当業者には分かる。
【0064】
本発明は、ゲルビーズ10中の有効剤18の送達を必要とせず、充填されたマイクロスフェアは懸濁媒体よりも高密度であることが多いため、本発明は、有効剤を含有するマイクロスフェアの懸濁液で使用するのに特に好都合である。本発明の送達系を使用して局所送達することができ、生物活性又は化粧料としての有効性を有する皮膚に有効な又は皮膚に効果的な物質の部類の幾つかの例には、例えば、プロシアニジンオリゴマーなどの植物由来のポリフェノールを含む抗酸化剤;フリーラジカル捕捉剤;例えば、グルコースオキシダーゼなどの抗菌剤、スーパーオキシドジスムターゼなどの抗酸化剤、並びに、ブロメラインおよびパパインなどの蛋白質分解酵素(酵素剥離に有用)などの局所活性酵素;前述のDNA修復酵素などの他の酵素;酢酸レチノール、パルミチン酸ビタミンAを含む、レチノールおよびレチノールエステルなどの剥離性レチノイド;精製植物抽出物および植物蛋白質;例えば、グレープシード油、ヒマワリ油、ベニバナ油、およびホホバ油などの植物油;リノール酸、リノレン酸、およびアラキドン酸などの必須脂肪酸;例えば、コラーゲン、エラスチンおよびケラチンなどの動物蛋白質;ヒアルロン酸および他のグリコサミノグリカンなどの保湿剤;アルブチンなどのホワイトニング剤;紫外線フィルター;酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化鉄などのコーティングされた又はコーティングされていない有機および無機顔料、並びに、このような無機酸化物の抗化学線懸濁液又は分散体;メラニン又はセピアインク抽出物;他の着色剤又は染料、および香料が挙げられる。
【0065】
更に、ゲル壁材料12は無害無毒の着色剤を含有し、着色剤は水溶性又は水分散性であり、皮膚に作用する量の有効成分に目に見える色を付与することによって本発明の効果を増し、また、実際、マイクロスフェアを破裂させ、こすって着色することにより十分に機械的マッサージが行われ、成分が活性化される。組成物中に顕著な着色を有する又は有していない慣用的な化粧料配合物は、適用後、又は適用中に組成物に圧力を加えることによって、着色され得るか、ハイライトされ得るか、又は変色することができる。光安定な染料又は顔料を含有する脆性のマイクロカプセルが組成物内に存在すると、この着色現象が起こり得る。色調整可能な化粧料組成物は、第1の着色剤、バインダ、および、シェルを構成する脆性のマイクロカプセル、カプセル化された液体、および、前記第1の着色剤と色が異なる第2の光安定な着色剤を含むことができる。
【0066】
顔料および香料は、それらが組み込まれるキャリアマイクロスフェアの審美的魅力を向上させる役割をすることができると同時に、それらは、また、マイクロスフェアが皮膚又は他の体部位表面(例えば、爪又は毛髪など)に適用されて、圧潰され、有効分の制御放出を開始するとき、化粧料機能を果たすことができる。この放出は、ある程度、使用者により制御可能である。そのため、例えば、使用者は、十分な香料が放出されていると感知するまで、又は、口紅、メーキャップ、ファンデーション、若しくは顔料を有する他の化粧料では色が使用者の好みになるまで、使用者は、香料が入った本発明によるゲル複合体マイクロスフェアを含有するボディークリームをしっかりと伸ばすことができる。キャリアマイクロスフェアおよびその構成成分の各割合を調整し、色又は香料の強度が維持されるように持続放出することができる。更に、使用者は、小さくて見え難いゲルビーズを用い、圧潰されていない残留ゲルビーズを後で更に圧潰し、伸ばすことによって有効分を回復することができる。
【0067】
一般に、拘束ポリマー14に十分に結合し、皮膚との接触で放出され得る任意の有効分を使用することができる。本発明のポリマー−ゲル複合体ビーズ内に担持され、それによって保護される不安定な有効分を補うことによって得ることができる多くの新規な配合物および既知の化粧料の向上は、当業者には明らかである。このような製品の1つは、日光への曝露に対する新規な予防的処置および治療処置を提供する有効分の混合物を含み、本発明によるゲル−ポリマー複合体ビーズに組み込まれる、紫外線吸収剤又は遮光剤(例えば、二酸化チタン)、抗酸化剤(例えば、ビタミンE)、および、DNA修復酵素を含む。必要に応じて、メラノサイト刺激薬を含むことができる。このようなゲルビーズは、それ自体で使用できるか、又は従来のクリーム又はローションに組み込むことができる。
【0068】
また、審美性のためであっても、又は機能のためであっても、長期間にわたり、好ましくは製造から包装、流通、販売、消費者による購入、そして、消費者とは異なる可能性がある最終使用者による最終的な使用までの時間を占めるのに十分な期間、ゲルビーズが懸濁媒体中で空間的に均一な分布状態を維持することが望ましい。この期間は、何ヶ月、又は更には何年にも容易に延びる可能性がある。
【0069】
図2を参照すると、シャンプーのボトル102は、幾分密度の低い液体シャンプー媒体中に分散される、植物抽出物118を含有する着色された半透明の従来技術のゲルビーズ110を約1〜約8体積%含有する。シャンプーは、贈り物として贈られ、もう1年、又は更には2年もの間使用されない場合がある。贈りものの機会の前に、ボトル102は、店の棚に何ヶ月もの間、倉庫に更に長い間置かれている場合があり、そのため、最終製造工程から使用者に届くまでの時間は数年になることがある。図示されるように、最初シャンプー120に懸濁されたビーズ110は、液体中で自重により沈降している。シャンプー120は、着色されたゲルビーズ110の塊が容器の底部で集塊し、清澄な状態になっていることに最終使用者が気付いた場合、最終使用者はそのシャンプーを使用しない場合があり、そのブランド、および、おそらくは製造業者に悪いイメージを持つことになる。更に、消費者がその製品を使用しても、容器の底部にあるゲルビーズ110中の植物抽出物118の効果が得られない場合があり、そのため、製品102に失望する場合がある。明らかに、長期間(何ヶ月又は何年)にわたって懸濁媒体120中でゲルビーズ110のより均一な分布状態を維持することが望ましい。
【0070】
均一な分布状態を維持するため、ゲルビーズ密度は、好ましくは長期間の貯蔵した後でも、上方又は下方への重力移動が起こらないほど懸濁媒体の密度に十分近くなければならない。この目的および他の目的のため、ゲルビーズ対懸濁媒体の密度比を1近く、又は僅かに1未満(例えば、約0.98〜約1の範囲)又は、おそらくはそれよりも低い値(例えば、約0.95〜約1の範囲)になるように制御することができる。しかし、分散しているゲルビーズ又は他の粒子の懸濁媒体中における嵩密度又は見かけの密度が、懸濁媒体の密度にできるだけ近い(例えば、約1%以内である)ことが均一な分布のために望ましいと考えられる。
【0071】
しかし、本発明で得られる密度制御により、例えば、0.9、若しくは、更には0.8の相対密度まで、必要に応じて、又は、約0.8〜約1の任意の所望の値までの広範囲の密度低下が可能になる。このような相対密度は、懸濁媒体として水を使用する場合、ゲルビーズ10の実際の嵩密度又は見かけの密度が約0.8g/ml〜約1g/mlの範囲であることを含意するが、1より大きい密度を有する水性媒体中での均一な分布、又は他の目的に、1g/mlを越える実際の密度が有用な場合もあることが分かる。ゲルビーズ10又は他の粒子の実際の密度がこのように低いと、脂質又はシリコーン流体又はエマルションなどの非水性媒体中での分散に有用な場合がある。ゲルビーズ10は、有用な目的に役立つ、利用可能な材料の物理的能力内の任意の所望の密度を有することができ、且つ、前述の特徴は単に説明を目的とするものであることが分かる。
【0072】
図3を参照すると、シャンプーのボトル202は、シャンプー220中に、懸濁された密度低下剤を含む、着色され、懸濁されたゲルビーズ210を含有する。ゲルビーズ210の密度は、シャンプー220の密度に近いか、又はそれよりも僅かに小さい。換言すれば、ゲルビーズ210対シャンプー220の密度比は、1未満であるか又は1に近い。植物抽出物218を含有するゲルビーズ210は、長期間、懸濁媒体220中に均一に懸濁し、そのため、商業的可能性および有効剤218の効力が向上する。本発明は、より密度の低い製品を製造するため、製造プロセス中に密度低下剤を添加する。
【0073】
本発明のゲルビーズおよび懸濁液の好ましい実施形態の製造方法の一実施形態の幾つかの基本的工程は、以下の通りである。
I.ゲル化剤を溶解させるのに十分な温度(例えば、90℃)に加熱された水に水溶性ゲル化剤(例えば、アガー)を溶解させる工程、
II.室温で水に水溶性拘束ポリマーおよび密度低下剤を分散させた後、予め水に予備分散されている顔料と混合する工程、
III.段階I溶液に段階II混合物を添加した後、混合物を45℃に冷却する工程、および
IV.5〜10℃に維持された疎水性液体に工程IIIの生成物を針を通して注入し、更に混合物を冷却してゲルビーズを形成する工程。
【0074】
カプセル化される成分を段階IIで添加することができる。ゲルビーズのサイズは、油の流動速度又は針の直径で制御することができる。ゲルビーズを更に均質に製造するためには、油に密度低下剤を予備分散させた後、段階IIで添加する方がよい。
【0075】
ここで、本発明の実施の幾つかの非限定例を例証として記載する。
【0076】
後述の実施例1〜7では、以下の材料を使用してゲルビーズ10を形成することができる。
【0077】
【表1】

【0078】
配合
適切な場合には、以下の配合を後述の実施例に使用することができる:
【0079】
【表2】

【0080】
概略手順
適切な場合には、後述の実施例で以下の全体手順を使用することができる:
I.水500gにゲル15gを分散させ、ゲルが完全に溶解して第1の混合物が形成されるまで、撹拌しながら混合物を90℃に加熱する。
II.ヒマワリ油に予備分散されていても、又は予備分散されていなくてもよいエクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)膨張性マイクロスフェアxgを、拘束ポリマー75g、ウルトラマリーン5g、および水約380gを含有する溶液に添加し、混合物が均一になり第2の混合物が形成されるまで撹拌する。
III.第2の混合物を第1の混合物に添加して第3の混合物を形成し、第3の混合物の温度を45℃に冷却する。次いで、冷却した第3の混合物をパラフィン油浴に注入し、ゲルビーズを形成する。
【0081】
実施例1:エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)膨張性マイクロスフェアおよびPG−ヒドロキシエチルセルロースステアリルジモニウムクロリドを有する低密度ゲルビーズの調製
蒸留水50gにアガー1.5gを添加し、90℃に加熱して第1の溶液(I)を形成する。別の容器中で、エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)WE膨張性マイクロスフェア0.1g、ウルトラマリーンブルー0.5g、およびPG−ヒドロキシエチルセルロースステアリルジモニウムクロリド7.5gを室温で水40.4gに分散させ、第2の溶液(II)を形成する。次いで、第2の溶液(II)をアガーの溶液(I)に添加すると、室温で、清澄で半透明な混合物(III)になる。混合物(III)を45℃に冷却し、それを蠕動ポンプで5℃の冷パラフィン油浴に注入する。するとゲルビーズが形成され、これを水で洗浄する。得られたゲルビーズは水中に浮き、その密度が1より小さいことが実証された。
【0082】
実施例2:エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)膨張性マイクロスフェアを油に予備分散させた低密度ゲルビーズの調製
蒸留水50gにアガー1.5gを添加して90℃に加熱し、第1の溶液(I)を形成する。エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)WE膨張性マイクロスフェア0.1gをヒマワリ種子油2gに予備分散させる。次いで、ウルトラマリーンブルー0.5g、およびPG−ヒドロキシエチルセルロースステアリルジモニウムクロリド7.5gを室温で水38.4gに分散させ、油混合物と混合し、第2の混合物(II)を形成する。その後、調製工程は、前記サンプルの手順に従う。得られたゲルビーズは水中に浮くため、その密度は1より小さい。
【0083】
実施例3:様々な濃度のエクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)膨張性マイクロスフェアを油に予備分散させた低密度ゲルビーズの調製
実施例2の手順に従い、エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)WE膨張性マイクロスフェアをヒマワリ油に予備分散させる。0.12%、0.08%、0.06%、0.04%、0.02%、および0.00%の各アリコートのエクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)膨張性マイクロスフェアを使用して、ゲルビーズを調製する。
【0084】
調製したゲルビーズの密度試験は、以下の通りである。
【0085】
【表3】

【0086】
実施例4:ポリクオタニウム11を使用して、エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)膨張性マイクロスフェアを油に予備分散させた低密度ゲルビーズの調製
エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)WE膨張性マイクロスフェア0.1gをヒマワリ種子油2gに予備分散させる。次いで、ウルトラマリーンブルー0.5g、およびポリクオタニウム11を7.5g、室温で水38.4gに分散させ、油混合物と混合して、第2の混合物(II)を形成する。その後、調製工程は、前記サンプルと同じである。これらのゲルビーズは水中に浮くため、その密度は1より小さい。
【0087】
実施例5:様々な濃度のエクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)膨張性マイクロスフェアを油に予備分散させた低密度ゲルビーズの調製
前記実施例の手順に従い、エクスパンセル(EXPANCEL)WEをヒマワリ種子油に予備分散させる。0.08%、又は0.06%、0.04%、0.02%のエクスパンセル(EXPANCEL)を使用して、ゲルビーズを調製する。
【0088】
ゲルビーズの密度試験は、以下の通りである。
【0089】
【表4】

【0090】
実施例6:スクロース溶液を使用したゲルビーズ密度の決定
7種類の濃度のスクロース溶液を調製し、各溶液の密度をメルクインデックス(Merck index)に従って測定する。スクロース濃度の異なる溶液にゲルビーズを入れる。溶液中にゲルビーズが均一に分散している場合、ゲルビーズの密度はスクロース溶液の密度と同じである。溶液の密度は以下の通りである。
【0091】
【表5】

【0092】
様々なスクロース溶液の密度に対してゲルビーズの密度を比較することにより、更に正確な密度の読みを得ることができる。図4は、異なる密度低下剤濃度における、PG−ヒドロキシエチルセルロースステアリルジモニウムクロリドを有するゲルビーズの密度を示すグラフであり、図5は異なる密度低下剤濃度における、ポリクオタニウム11含有ゲルビーズの密度を示すグラフである。
【0093】
調製物中におけるゲルビーズ自体のサイズは、中に含有される有効剤および/又は意図される標的によって変わり得る。本発明によるゲルビーズのサイズ決めは、中に含有される有効剤および所望の効果を考慮に入れて、当該技術分野で既知の方法で実施することができる。本発明の好ましい実施形態は、化粧料用に十分小さいゲルビーズであり、好ましくは、平均で直径10mmを越えないが、皮膚又は皮膚の細孔を貫通するほど小さくはない。最小直径は、平均で約0.05mm(50ミクロン)である。好ましい粒度範囲は、平均で直径約0.1〜3.0mmであり、更に好ましい範囲は、平均で直径約0.25mm〜1mmである。
【0094】
前記実施例は、デルリュー特許に開示されている配合の手順および材料の幾つかを使用し、該特許は参照により内容全体を本明細書に組み込まれる。他のゲルビーズ配合物を本発明の方法で使用することができる。リポケミカルズ(Lipo Chemicals)(米国)、リポテック(Lipothec)(スペイン)、ワンズ(Ones)(韓国)、コレティカ(Coletica)(フランス)、およびホールクレスト(Hallcrest)(英国)などの会社は、好適なゲルビーズ配合物を製造している。
【0095】
ビーズは、当業者に既知の方法で製造することができる。また、当業者には、分散体を製造するときには汚染が起こらないように注意を払わなければならないことが分かる。また、他の成分は、(II)で混合物に添加することもでき、(1)保湿剤としての水、(2)乾燥剤、(3)乳化剤(乳化用試剤)、(4)皮膚軟化薬、(5)湿潤剤、(6)シックナー(粘度調整剤)、(7)防腐剤、(8)着色剤(着色用試剤)、および(9)pH調整剤からなる群から選択することができる。これらの成分は当業者に周知である。他の成分を意図されるそれらの既知の用途で本発明の組成物に使用することができ、このような成分は本明細書の教示に従って当該技術分野で既知のものから選択することができ、このような選択は過度の実験を必要とすることなく行えることが、当業者に分かる。
【0096】
本発明の代替の実施形態は、ビーズが液体媒体中でほぼ均一な空間分布状態を維持するように、密度上昇剤が混合されなければ(意図される懸濁媒体と比較して)低密度であるビーズに混合される密度上昇剤を使用し、ビーズの密度を上昇させる。本発明のビーズは、構造ビーズ材料、および、液体媒体中でのビーズの移動を防止するのに効果的な量の密度上昇剤をビーズ内に含む。密度上昇剤は、密度が1g/mlより大きい任意の材料を含むことができる。密度上昇剤粒子のサイズは、ゲルビーズのサイズより小さくなければならない。好ましいフィラーは、平均粒度が約20ミクロン未満〜100ミクロンである。多くの実施形態では、平均粒度は、好ましくは50ミクロン未満、更に好ましくは約10ミクロンでなければならない。
【0097】
ビーズの密度を調整する能力は、密度の異なるビーズを含む懸濁液に有用であり、このような懸濁液では、懸濁媒体より密度が大きいビーズは時間が経過すると底部に移動し、懸濁媒体の密度よりも密度が小さいビーズは上部に移動する。本発明の代替の実施形態は、密度低下剤を含む1組のビーズと、密度上昇剤を含むもう1組のビーズを使用し、各ビーズの密度を懸濁媒体の密度に近くなるように調整する。
【0098】
例えば、高密度のボディークリームは、剥離剤および他の高密度成分を含む第1組の高密度ビーズ、並びに、例えば、低密度保湿剤を含有する第2組の低密度ビーズを中に懸濁させている。その結果、懸濁液では、時間が経過すると、第1組のビーズは容器の底部に移動し、第2組のビーズは容器の上部に移動する。本発明の方法を使用することによって、第1組のビーズでは密度低下剤はその配合中に混合され、化粧料用クレー又は他の何らかの高密度粒子状物質などの密度上昇剤は第2のビーズ配合物に密度上昇剤として混合される。得られる懸濁液は、長時間にわたり、クリーム中で両方の組のビーズのより均一な分布状態を維持する。
【0099】
また、ポリエチレン又はワックスなどの可塑性材料を含むビーズに前記方法を適用できることも想到される。また、前記組成物および方法は、食物、家庭用装飾品、製薬、および他の好適な用途などの化粧品ではない製品にも適用できる。
【0100】
従って、本発明は、好ましい実施形態では、密度制御されたゲルビーズを提供することができ、これは、局所適用される有効剤のための審美的に魅力のある化粧料用キャリアの役割をすることができ、好適な液体媒体中で均一で安定に分布することができると同時に、従来の化粧料用ビヒクルの配合に好適であり、新規で有用な消費者製品および他の製品を提供する。本発明の密度制御されたゲルビーズは、不安定な試剤および他の試剤(植物抽出物、落屑酵素、剥離剤、およびビタミンなど)を保護し、このような試剤を有効な形態で皮膚に送達することができる。また、密度制御されたゲルビーズは、化粧料又は製薬送達系の役割をすることができ、配合成分から有効成分を分離し、典型的な配合プロセス中、その分離状態を維持できると同時に、購入時点および使用中にその包装物中で製品の十分な一貫性と均一性、および望ましい審美的外観を維持する。このようなビーズは、適度に高い加工温度と乳化プロセスに耐え、送達時点で有効分を制御放出することができ、任意に、送達時点における有効分濃度の局在化を可能にする。
【0101】
更に、前述の本発明の製品に密度制御のための膨張性中空マイクロスフェアを使用すると、最終製品にほとんど影響を与えることなく、且つ、使用中に悪影響がほどんどなく、所望の制御を達成することができる。多くの場合、小粒子は、例えば、皮膚上ではっきり見えないか、又は有用な潤滑効果又は他の効果を有する場合がある。
【0102】
本発明の製品およびプロセスは、新規な製品の創造に役立つ。例えば、密度制御された青色のゲルビーズを黄色の液体媒体中に均一に分散させ、容器に魅力的でカラーコーディネートされた緑と黄色の外観を提供してもよい。局所適用されたとき、ビーズの青色が皮膚又は他の表面上ではっきり見えるようになり、ビーズ材料、および、おそらくは中に含有される1種類又は複数種類の有効分にも注意が向けられる。他の興味深い色の組み合わせは当業者に明らかである。
【0103】
化粧料および製薬などに加えて、本発明の組成物および方法は、例えば、油と酢の新規なサラダドレッシングなどの新規な食物も提供することができる。油と酢をベースにする既知のドレッシングは瓶詰めされ、酢、ハーブ、およびスパイスは底部に沈降し、油は上部に浮くため、ドレッシングは見た目に魅力がない。そのため、使用者は、使用前に瓶を振って、油、酢、ハーブ、およびスパイスを混合しなければならない。この問題に対処するため、油と酢を2つの別々の区画に保持し、それらが共通の注ぎ口を通して注がれる時に混合するディスペンサーがある。しかし、油対水の比は制御が難しく、このようなディスペンサーは嵩張り、製造費用が高い。
【0104】
本発明の代替の実施形態に従って、油、ハーブ、およびスパイスのうちの1つ以上を密度制御された粒子又はゲルビーズの内側に懸濁させることができる。例えば、熱膨張性マイクロスフェアを含有するチーズ又は他のビーズ形成食物のゼラチンビーズにハーブおよび/又はスパイスを含有することができる。マイクロスフェアは、ビーズ密度をほぼ酢の密度に低下させるため、例えば、二酸化炭素、空気、又は窒素などの無害の気体が入った熱可塑性澱粉、膨張した澱粉、弾性多糖類、セルロース、又は他の摂取可能なシェル材料を含むことができる。効果を向上させるため、更に粒子10のコーティングを着色するか、又は不透明にすることができる。本製品の密度はほぼ均一であるため、使用者がサラダにドレッシングをかけると、一口ごとに油、酢、およびスパイスの味がする。改善された製品は、依然として慣用の包装を使用できると同時に、視覚的効果が向上しており、味わう人にとっては香味が増強されている。代替の実施形態では、本発明を使用してハーブフレーバーの油を製造することができ、ハーブは、ボトルの底部に単に沈降するのではなく密度制御された粒子内に入っている。勿論、安全で可食性の材料から粒子10を製造するため、適切な材料を選択するのに注意が払われる。同様に熱抵抗も考慮に入れられる。フレーバー油の場合、ある温度で粒子コーティングが溶解し、油とスパイスの混合物が味わう人の口内で分かるようにすることが有利な場合がある。
【0105】
本明細書で相互参照又は参照される各特許および特許出願、並びに、本明細書で参照される各非特許出版物の開示内容全体は、参照により、それらが本明細書に全体を記載されているかのごとく、本明細書に組み込まれる。また、前記特許、特許出願、又は非特許出版物のいずれかで、参照により組み込まれている各文献もまた参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0106】
本発明の幾つかの例示的実施形態を前述したが、勿論、当業者には様々な変更が明らかであることが分かる。このような変更は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、且つ定義される本発明の趣旨および範囲に入る。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明による密度制御されたゲルビーズの一実施形態の概略図である。
【図2】完全に沈降した比較的高密度のゲルビーズを含有する従来技術のシャンプーの図である。
【図3】低粘度の配合物に均一に分布している、図1に表される多数のゲルビーズの図である。
【図4】様々な密度低下剤濃度における、PGヒドロキシエチルセルロースステアリルジモニウムクロリドを有するゲルビーズの密度を示すチャートである。
【図5】様々な密度低下剤濃度における、ポリクオタニウム11を含有するゲルビーズの密度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁液を提供するため、液体媒体中に分散されることが意図された粒子状材料であって、前記粒子状材料が前記液体媒体中に分散可能な複数の粒子を含み、前記粒子がそれぞれ任意に有効剤を含む粒子状材料において、
前記粒子が密度制御され、各粒子が分散性粒子内に効果的な量の中空の粒子状密度低下剤を含み、所望の嵩密度を有する分散性粒子を提供することを特徴とする、粒子状材料。
【請求項2】
前記密度低下剤の量および密度は、前記分散性粒子が前記液体媒体内に均一で安定に分散されることを可能にするのに十分である、又は、前記液体媒体の密度以下、若しくは約0.8g/ml〜約1g/mlの密度を有する分散性粒子を提供するのに十分であることを特徴とする、請求項1に記載の粒子状材料。
【請求項3】
前記分散性粒子が前記液体媒体中で視認可能であり、任意に、粒度が少なくとも0.1mmであり、前記分散性粒子の密度は、少なくとも1ヶ月間、ほぼ室温で静置するとき、前記分散性粒子が前記液体媒体中で均一な分散状態を維持できるような密度であることを特徴とする、請求項1に記載の粒子状材料。
【請求項4】
前記粒子状材料がゲルビーズを含むことを特徴とする、請求項1に記載の粒子状材料。
【請求項5】
前記粒子状材料がゲルビーズを含むことを特徴とする、請求項2に記載の粒子状材料。
【請求項6】
前記ゲルビーズが、意図された液体媒体中における視認性、透明で着色された外観、透明で着色された外観と意図された液体媒体中における透明性からなる群から選択される視覚的特性を有することを特徴とする、請求項2に記載のゲルビーズ。
【請求項7】
前記ゲルビーズが、哺乳類の皮膚、毛髪、爪、口腔、又は他の体腔に局所適用することを意図された化粧料材料又は製薬材料を構成する、又はそのような材料となることを特徴とする、請求項2に記載のゲルビーズ。
【請求項8】
前記ゲルビーズの水に対する密度が1.0に近いことを特徴とする、請求項6又は7に記載のゲルビーズ。
【請求項9】
前記ゲルビーズの平均直径又は他の最大寸法が、約0.1mm〜約10mm、および約0.5mm〜約3mmからなる群から選択される範囲にあることを特徴とする、請求項6又は7に記載のゲルビーズ。
【請求項10】
前記ゲルビーズが、アガー、合成ポリマー及びコポリマー、天然ポリマー、植物由来のゲル、ビニルポリマー、アクリルアミドポリマー、多糖類、蛋白質、およびカーボポールからなる群から選択される材料を含むことを特徴とする、請求項6、7又は9に記載のゲルビーズ。
【請求項11】
前記密度低下剤が、中空の内部を内包するポリマーシェルを有する中空のマイクロスフェアを含むことを特徴とする、請求項6、7、9又は10に記載のゲルビーズ。
【請求項12】
前記密度低下剤が、中空の内部を内包するポリマーシェルを有する熱膨張性マイクロスフェアを含むことを特徴とする、請求項6、7、9又は10に記載のゲルビーズ。
【請求項13】
前記密度低下剤の量が、前記ゲルビーズの約0.02重量%〜約0.1重量%の範囲であることを特徴とする、請求項6、7、9又は10に記載のゲルビーズ。
【請求項14】
前記密度低下剤の密度が、約0.03〜0.06g/ccであることを特徴とする、請求項13に記載のゲルビーズ。
【請求項15】
前記有効剤が、抗酸化剤、植物由来ポリフェノール、プロシアニジンオリゴマー、フリーラジカル捕捉剤、局所活性酵素、抗菌剤、グルコースオキシダーゼ、抗酸化剤、スーパーオキシドジスムターゼ、蛋白質分解酵素、ブロメライン、DNA修復酵素、剥離性レチノイド、レチノール、レチノールエステル、酢酸レチノール、パルミチン酸ビタミンA、精製植物抽出物、植物蛋白質、ホワイトニング剤、アルブチン、必須脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、保湿剤、ヒアルロン酸、グリコサミノグリカン、紫外線フィルター、紫外線吸収剤、コーティングされた又はコーティングされていない有機又は無機顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化鉄、メラニン、セピアインク抽出物、着色剤、染料、および香料からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6、7、9、10、13又は14に記載のゲルビーズ。
【請求項16】
前記ゲルビーズが、前記ゲルビーズ中に分散される拘束ポリマーを含むことを特徴とする、請求項15に記載のゲルビーズ。
【請求項17】
前記拘束ポリマーは、分子量が少なくとも50,000ダルトンで、前記ゲルから前記拘束ポリマーが出て行くことを防止するのに効果的であり、前記ゲルビーズ内に保持するため、前記有効剤を前記拘束ポリマーに結合させる保持基を有し、効果的な量の有効剤を送達するのに効果的な割合で存在し、前記有効剤を保持する保持基を有する又はそれが付与された、ポリクオタニウム11、ポリクオタニウム24、ラウルジモニウムヒドロキシエチルセルロース、ココジモニウムヒドロキシエチルセルロース、ステアルジモニウムヒドロキシエチルセルロース、第四級アンモニウム置換水溶性多糖類、アルキル第四級セルロース、およびポリペプチドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項16に記載のゲルビーズ。
【請求項18】
前記粒子状材料が、請求項1、2、3、4又は5に記載の材料であることを特徴とする、液体媒体中に分散される粒子状材料を含む懸濁液。
【請求項19】
前記ゲルビーズが請求項6、7、9、10、13、14、15又は17に記載のゲルビーズであることを特徴とする、液体媒体中に分散されるゲルビーズを含む懸濁液。
【請求項20】
前記液体媒体が、水性媒体、油媒体、シリコーン媒体、又は親油性媒体を含み、前記液体媒体が任意に透明であることを特徴とする、請求項19に記載の懸濁液。
【請求項21】
前記液体媒体の密度が約1.0g/ml又は約1.2g/ml未満であることを特徴とする、請求項20に記載の懸濁液。
【請求項22】
前記ゲルビーズおよび前記液体媒体の屈折率は、前記分散性粒子が前記液体媒体中で明瞭に視認可能であるように、互いに十分に異なることを特徴とする、請求項20に記載の懸濁液。
【請求項23】
前記懸濁液がヒト又は他の哺乳類への適用、又はヒト又は他の哺乳類による摂取に好適であることを特徴とする、請求項19に記載の懸濁液。
【請求項24】
前記懸濁液が、化粧料、製薬、又は食物を構成することを特徴とする、請求項19に記載の懸濁液。
【請求項25】
前記懸濁液が、化粧料又は製薬を構成し、ローション、クリーム、又はゲルであることを特徴とする、請求項19に記載の懸濁液。
【請求項26】
請求項5に記載の密度制御されたビーズの調製方法であり、前記ゲルビーズが高温で液体のビーズ材料で形成され、前記方法が、高温でビーズ材料成分を混和する工程、得られる混合物を液滴又は小滴に形成する工程、および前記液滴又は小滴を冷却してビーズを形成する工程を含み、
ビーズ材料成分として、所望のゲルビーズ密度を提供するのに十分な量の中空の粒子状密度制御剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
a)ゲル化剤を溶解させるのに十分な第1の温度に加熱された水に水溶性ゲル化剤(任意にアガー)を、前記高温よりも低い温度でゲルを形成するのに効果的なゲル対水の割合で溶解させ、第1の混合物を形成する要素、
b)室温で水又は油に密度制御剤を分散させ、第2の混合物を形成する要素、
c)前記第2の混合物を前記第1の混合物に添加して第3の混合物を形成した後、前記第3の混合物を前記第1の混合物のゲル化点より高い中間の温度に冷却する要素、および
d)前記冷却された第3の混合物を針を通して放出し、液滴を形成する要素、および
e)前記第1の混合物のゲル化点より低い温度に維持された疎水性の液体に前記液滴を曝露させ、それによって、前記液滴を、前記密度低下剤が組み込まれたゲルビーズに形成する要素、
を含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ゲルビーズの平均粒径が、約0.1mm〜10mmであることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の温度が約90℃であることを特徴とすることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
水溶性拘束ポリマーが前記ゲルビーズ内に含まれることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の混合物を前記第3の混合物に添加する前に、有効剤が前記第2の混合物に添加されることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記拘束ポリマーは、分子量が少なくとも50,000ダルトンで、前記ゲルから前記拘束ポリマーが出て行くことを防止するのに効果的であり、前記ゲルビーズ内に保持するため、前記有効剤を前記拘束ポリマーに結合させる保持基を有し、効果的な量の有効剤を送達するのに効果的な割合で存在し、前記有効剤を保持する保持基を有する又はそれが付与された、ポリクオタニウム11、ポリクオタニウム24、ラウルジモニウムヒドロキシエチルセルロース、ココジモニウムヒドロキシエチルセルロース、ステアルジモニウムヒドロキシエチルセルロース、第四級アンモニウム置換水溶性多糖類、アルキル第四級セルロース、およびポリペプチドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ゲル粒子が皮膚上で手で圧潰でき、前記ゲル粒子の表面積を増大させて、前記拘束ポリマーを局所体表面に曝露させ、前記有効剤を放出することを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記拘束ポリマーが前記ゲル粒子の約0.2%〜約7.5%を構成することを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記中間の温度が約45℃であることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記密度制御剤が油中に予備分散されることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
有効剤を前記ゲルビーズ材料成分と混和する工程を含み、それによって前記有効剤が前記ゲルビーズ中に組み込まれることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記密度制御剤が熱膨張性マイクロスフェアを含むことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
顔料を水に予備分散させる工程、および、前記第2の混合物を前記第3の混合物に添加する前に、前記予備分散された顔料を前記第2の混合物と混合する工程を含むことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項40】
前記ゲル化剤が、前記ゲル粒子の約1.5%を構成することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記密度制御剤が、前記ゲル粒子の約0.01%〜約5%を構成することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記密度制御剤が、前記ゲル粒子の約0.02%〜約0.1%を構成することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項43】
局所適用される有効剤のための保護化粧料粒子状ゲル送達系であって、前記送達系は平均サイズ0.1mm〜10mmの離散した自己支持型ゲル粒子を含み、前記ゲル粒子は25℃で水に不溶性であり、
a)密度を有する液体媒体、および
b)前記液体媒体中に分散される複数のゲル粒子、
で形成される送達系において、前記送達系は、
c)密度制御された粒子を形成するため、前記ゲル粒子内に分散される効果的な量の中空の粒子状密度低下剤であって、前記ゲル粒子の密度を制御する、密度低下剤、
を含むことを特徴とする送達系。
【請求項44】
ヒトの化粧料、食物、又は製薬用に好適な密度制御されたゲルビーズ懸濁液であって、前記懸濁液が、
a)透明な液体媒体、および
b)前記液体媒体中に分散される視認可能な複数のゲルビーズであって、任意に着色されたゲルビーズ、
を含む懸濁液において、前記ゲルビーズ懸濁液が、
c)前記液体媒体中における前記ゲルビーズの重力移動を防止するのに効果的な量で前記ゲルビーズに入っている中空の粒子状密度低下剤、
を含むことを特徴とするゲルビーズ懸濁液。
【請求項45】
ヒトの化粧料、食物、又は製薬用に好適な懸濁液を提供するため、透明な液体媒体中に分散されるのに好適な、密度制御されたビーズであって、前記ゲルビーズが構造ビーズ材料を含むビーズにおいて、
前記密度制御されたビーズが、前記液体媒体中における前記ゲルビーズの重力移動を防止するのに効果的な量で、前記ゲルビーズ内に中空の粒子状密度低下剤を含むことを特徴とする密度制御されたビーズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−511517(P2006−511517A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557452(P2004−557452)
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/038180
【国際公開番号】WO2004/050028
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(502156364)コーボー プロダクツ インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】KOBO PRODUCTS INC.
【住所又は居所原語表記】690 Montrose Avenue, South Plainfield, NJ 07080, U.S.A.
【Fターム(参考)】