説明

食物繊維含有食品及びその製造方法

【課題】日々の食事の中で自然に摂取することができ、且つカロリを削減し、生理効果の付与に寄与することができる食物繊維含有食品を提供する。
【解決手段】食物繊維含有食品において、食物繊維(アルギン酸ナトリウム及びカードランを除く)を35〜65質量%、澱粉を20〜53質量%、アルギン酸ナトリウム及びカードランから選ばれる少なくとも一種の増粘多糖類を2〜20質量%、並びに水を3〜15質量%含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日々の食事の中で自然に摂取することができ、且つカロリを削減し、生理効果の付与に寄与することができる食物繊維含有食品及び製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、人の消化酵素によって分解されない成分である食物繊維が栄養学的、予防医学的な見地から注目されている。食物繊維の生理効果として、例えば、血糖値の上昇抑制効果、コレステロールの上昇抑制効果、腸内の善玉菌の増加効果、ミネラルの吸収促進効果等を有することが分かってきた。食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とに大別される。前者の食物繊維としては、例えば、果実・野菜に含有されるペクチン、コンニャク等に含有されるグルコマンナン、及び海藻類に含有されるフコイダン等が知られている。後者の食物繊維としては、植物の細胞壁を構成する繊維質、甲殻類の殻に含まれるキトサン、及び菌類に含まれるグルカン等が知られている。
【0003】
ところで、現在の飲食品における傾向として、食品中に含まれるカロリの低減化がある。高カロリ食品は、肥満や成人病を生み出す原因とみなされているために、通常の食事を取っていてもカロリの軽減を行うことができるような研究開発が行われている。食品の低カロリ化の観点から、食物繊維の含有量を高めた食品素材・具材を提供することが出来れば、食物繊維を主とした食事が可能となり、より積極的なカロリの低減、且つ、食物繊維の栄養生理的な有用な機能により、肥満や、生活習慣病、例えば高血圧及び高脂血症等を予防する効果を高めることができると期待される。
【0004】
従来より、特許文献1〜3に示される食物繊維を含有する食品が知られている。特許文献1は、微粒化セルロース系素材、食用ガム質、タンパク質、及び澱粉質を含有する米飯用ローカロリ添加物について開示する(特許請求の範囲参照)。特許文献2は、水不溶性ダイエタリファイバ、例えばセルロース、及び澱粉質、例えば馬鈴薯澱粉を主成分とする膨化食品について開示する。引用文献3は、澱粉22質量%、デキストリン20質量%、ペクチン2質量%、セルロース2質量%、及び水54質量%を混合し、そのまま食することができるペレット状に成形された米様食品について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−76299号公報
【特許文献2】特開昭60−156361号公報
【特許文献3】特開平6−46773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に開示される米飯用ローカロリ添加物は、米の炊飯時に添加することにより、通常の米飯に食物繊維を付与するものである。つまり、食物繊維の摂取量を増やすことはできるが、食事の量自体を減らすものではなく、食事のカロリ低減に寄与するものではない。引用文献2は、食物繊維を含有する食品であるが、膨化処理を必須とするものであり、主に副食、間食として食するものである。つまり、食物繊維の摂取量を増やすことはできるが、摂取する食事の全体量自体を減らすものではなく、食事のカロリ低減に寄与するものではない。また、日々の食事の中で自然に摂取することができない。引用文献3は、セルロースが米様の白濁した外観を得るために添加するものであるため、食物繊維の配合量が十分でなく、セルロースが食事のカロリ低減に寄与するものではない。
【0007】
本発明の目的とするところは、日々の食事の中で自然に摂取することができ、且つカロリを削減し、生理効果の付与に寄与することができる食物繊維含有食品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の食物繊維含有食品は、食物繊維(アルギン酸ナトリウム及びカードランを除く)を35〜65質量%、澱粉を20〜53質量%、アルギン酸ナトリウム及びカードランから選ばれる少なくとも一種の増粘多糖類を2〜20質量%、並びに水を3〜15質量%含有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の食物繊維含有食品において、前記食物繊維は、オーツ麦繊維、小麦フスマ、大麦ファイバ、コーンファイバ、アップルファイバ、馬鈴薯ファイバ、及びサトウキビファイバから選ばれる少なくとも一種として配合されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の食物繊維含有食品において、前記食物繊維含有食品は、粒状、粉末状、麺状、薄板状、プレート状、ペレット状、及びマカロニ状から選ばれる少なくとも一種の形状に成形されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の食物繊維含有食品において、前記食物繊維含有食品は、玄米色であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の食物繊維含有食品において、前記食物繊維は、前記食物繊維含有食品中における水溶性食物繊維の含有量が10質量%以下であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の食物繊維含有食品において、前記食物繊維含有食品は、雑穀及び米から選ばれる少なくとも一種と混合されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の食物繊維含有食品の製造方法において、食物繊維(アルギン酸ナトリウム及びカードランを除く)を36〜76質量%、澱粉を21〜62質量%、並びにアルギン酸ナトリウム及びカードランから選ばれる少なくとも一種の増粘多糖類を2〜24質量%を含有する固体原料と、該固体原料100質量部に対し、5〜150質量部の水とを混練することにより混合物を得る工程、次に、前記混合物を所定形状に成形し、乾燥処理することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の食物繊維含有食品の製造方法において、前記固体原料と、該固体原料100質量部に対し、5〜45質量部の水とを混練した混合物を、エクストルーダにより成形し、乾燥処理することを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の食物繊維含有食品の製造方法において、前記固体原料と、該固体原料100質量部に対し、50〜150質量部の水とを混練した混合物を、押出成型又は攪拌造粒により成形し、乾燥処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、日々の食事の中で自然に摂取することができ、且つカロリを削減し、生理効果の付与に寄与することができる食物繊維含有食品及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の食物繊維含有食品を具体化した実施形態を説明する。
本実施形態の食物繊維含有食品は、食物繊維(アルギン酸ナトリウム及びカードランを除く、以下、食物繊維含有食品中の食物繊維は、アルギン酸ナトリウム及びカードランを除く構成を示すものとする)を35〜65質量%、澱粉を20〜53質量%、アルギン酸ナトリウム及びカードランから選ばれる少なくとも一種の増粘多糖類を2〜20質量%、並びに水を3〜15質量%含有する。
【0018】
食物繊維は、食物繊維含有食品の主成分を成し、食品の低カロリ化に寄与する。また、食物繊維は、生理的な有用な機能、例えば例えば、血糖値の上昇抑制効果、コレステロールの上昇抑制効果、腸内の善玉菌の増加効果、ミネラルの吸収促進効果を有する。食物繊維の継続的な摂取により、肥満や、生活習慣病、例えば高血圧及び高脂血症を予防する効果を高めることができる。
【0019】
食物繊維は、人の消化酵素によって分解されない成分を示し、化学的に合成した合成食物繊維、半合成食物繊維、天然由来の食物繊維のいずれを使用してもよい。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とに大別される。前者の食物繊維としては、例えば、果実・野菜に含有されるペクチン、コンニャク等に含有されるグルコマンナン、海藻類に含有されるフコイダン、アガロース(寒天)及びガム質、並びに不溶性食物繊維の加水分解物が挙げられる。不溶性食物繊維の加水分解物としては、トウモロコシ澱粉や馬鈴薯澱粉を加水分解処理することにより得られる難消化性デキストリン、及びグァーガムを加水分解処理することにより得られるグァーガム分解物等が挙げられる。後者の食物繊維としては、植物の細胞壁を構成する繊維質、甲殻類の殻に含まれるキチン及びキトサン、並びに菌類に含まれるグルカン等が挙げられる。
【0020】
天然由来の食物繊維として、上述した食物繊維を含有する公知の素材から適宜選択することができる。天然由来の不溶性食物繊維として、例えばオーツ麦繊維(ファイバ)、小麦フスマ、大麦ファイバ、コーンファイバ、アップルファイバ、馬鈴薯ファイバ、及びサトウキビファイバ等が挙げられる。これらの食物繊維の中で、食物繊維含有食品を玄米色にすることができるオーツ麦繊維及び小麦フスマを使用することが好ましい。
【0021】
前記食物繊維含有食品中における食物繊維の含有量は、35〜65質量%、好ましくは38〜55質量%、より好ましくは40〜50質量%である。食物繊維の含有量が35質量%未満の場合、食品の低カロリ化に寄与することができず、また、生理的な有用な機能の向上効果が低下する。一方、食物繊維の含有量が65質量%を超えて配合されると、食感及び味の低下を招く。
【0022】
前記食物繊維含有食品中における水溶性食物繊維の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下である。水溶性食物繊維の含有量が10質量%を超える場合、後述する増粘多糖類による食物繊維含有食品のゲル化を阻害するおそれがある。
【0023】
澱粉は、食物繊維含有食品の食感と味を付与するために配合される。澱粉としては、例えば穀類澱粉、イモ類澱粉、豆類澱粉、野草類澱粉、幹茎澱粉、及びこれらの改質澱粉(加工澱粉)が挙げられる。より具体的には、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、及びこれらの改質澱粉が挙げられる。改質澱粉とは、澱粉に対して、エーテル化、エステル化、グラフト化等の誘導体化処理、焙焼、酵素変性、酸化、酸処理等の分解処理、α化、造粒処理、多孔質化等の加工を施すことにより、澱粉本来の物性を人為的に変化させたものをいう。
【0024】
前記食物繊維含有食品中における澱粉の含有量は、20〜53質量%、好ましくは30〜50質量%、より好ましくは35〜45質量%である。澱粉の含有量が20質量%未満の場合、食物繊維含有食品の食感及び味が低下する。一方、澱粉の含有量が53質量%を超えると食物繊維含有食品中における食物繊維含有量が低下し、食品の低カロリ化及び生理的な機能付与という目的達成を妨げることになり、本発明の効果を奏することができない。
【0025】
アルギン酸ナトリウム及びカードランから選ばれる少なくとも一種の増粘多糖類は、食物繊維含有食品をゲル化させ、成形性及び食感を向上させるために配合される。アルギン酸ナトリウムは、カルシウム溶液(例えば塩化カルシウム溶液)に浸漬させることによりゲル化する性質を有する。したがって、増粘多糖類としてアルギン酸ナトリウムを使用する場合、アルギン酸ナトリウムを含有する原料混合物をカルシウム溶液に浸漬することにより、食物繊維含有食品をゲル化させることができる。カードランは、加熱することによりゲル化する性質を有する。したがって、増粘多糖類としてカードランを使用する場合、カードランを含有する原料混合物を加熱することにより、食物繊維含有食品をゲル化させることができる。ゲル化したアルギン酸ナトリウム及びカードランは、熱、例えば調理加熱に対しゲル化構造は安定している。アルギン酸ナトリウム及びカードラン以外の増粘多糖類を使用した場合、乾燥後の食物繊維含有食品を加熱した場合、ゲル構造が崩壊するおそれがある。それにより、食感の低下及び構成成分の流出を招くおそれがある。
【0026】
前記食物繊維含有食品中における上記増粘多糖類の含有量は、2〜20質量%、好ましくは3〜13質量%、より好ましくは4〜10質量%である。増粘多糖類の含有量が2質量%未満の場合、食物繊維含有食品を十分にゲル化することができない。一方、増粘多糖類の含有量が20質量%を超えて配合されると、食感が硬くなり、食味が低下するおそれがある。
【0027】
水は、製造時の固体原料の混練のために配合される。食物繊維含有食品中における水の含有量は、3〜15質量%、好ましくは5〜10質量%、より好ましくは6〜9質量%である。食物繊維含有食品中における水の含有量が3質量%未満の場合、食物繊維含有食品の乾燥時間が長くなるためコストの上昇を招く。一方、食物繊維含有食品中における水の含有量が15質量%を超える場合、水分活性の上昇により細菌が繁殖しやすい環境になるとともに、成形後の個々の成形物同士が付着しやすくなる。また、長期保存ができない場合がある。
【0028】
食物繊維含有食品の形状は、特に限定されないが、例えば粒状、粉末状、麺状、薄板状、プレート状、ペレット状、及びマカロニ状が挙げられる。これらの形状は、目的とする食事方法又は調理方法により、適宜選択することができる。
【0029】
食物繊維含有食品の外観は、特に限定されないが、玄米色であることが好ましい。玄米色とは、白米に対し色のついたお米である意を示し、より具体的には、グレー、ベージュ又は淡褐色を示す。食物繊維含有食品の外観を玄米色とすることにより、食物繊維が豊富な食物、例えば玄米等の繊維質豊富な食品の意匠性を付与することができる。
【0030】
次に、本実施形態の食物繊維含有食品の製造方法について説明する。
本実施形態の食物繊維含有食品の製造方法は、まず固体原料と水とを混練することにより、原料混合物を調製する工程が行われる。固体原料は、上述した食物繊維含有食品の水分以外の成分を示す。固体原料中おける各成分の配合量は、最終的に得られる食物繊維含有食品中の各固体原料の含有量に応じて適宜調整される。具体的には、上述した食物繊維を36〜76質量%、澱粉を21〜62質量%、並びにアルギン酸ナトリウム及びカードランから選ばれる少なくとも一種の増粘多糖類を2〜24質量%を混合することにより得られる。
【0031】
水は、固体原料との混練の際、前記固体原料100質量部に対し、5〜150質量部配合される。水の固体原料に対する配合量が5質量部未満の場合、固体原料を十分に混練することができない。水の固体原料に対する配合量が150質量部を超える場合、水と固体原料が混合された混合物の粘度が低下することにより成形が困難となる。また、原料混合物がエクストルーダにより成形される場合、水は、前記固体原料100質量部に対し、好ましくは5〜45質量部、より好ましくは20〜35質量部配合される。水の配合量をかかる範囲内に規定することにより、エクストルーダによる成形性をより向上させることができる。また、原料混合物が押出成型又は攪拌造粒により成形される場合、水は、前記固体原料100質量部に対し、好ましくは50〜150質量部、より好ましくは80〜120質量部配合される。水の配合量をかかる範囲内に規定することにより、押出成型又は攪拌造粒による成形性をより向上させることができる。
【0032】
次に、前記原料混合物を所定形状に成形し、乾燥処理する工程が行われる。成形される形状は特に限定されず、例えば粒状、粉末状、麺状、薄板状、プレート状、ペレット状、及びマカロニ状が挙げられる。成形方法としては、特に限定されないが、例えばエクストルーダ法、押出成形法、及び攪拌造粒法が挙げられる。エクストルーダを用いることにより、成形と同時に又は成形後に膨化処理することもできる。エクストルーダに供給された原料は、高温高圧に保たれたバレル内においてスクリューで混練された後、ダイから押出される。このとき、高圧下にあるバレル内から大気圧又はそれ以下の低圧下に押出されることで、原料中の水分が急激に膨張し、その結果膨化した実施形態の食品が得られる。なお、ダイの形状を変えることで、食品を様々な形状に成形することができる。
【0033】
乾燥処理方法は、公知の乾燥装置により実施することができる。乾燥装置としては、例えば流動層乾燥機、棚乾燥機、及びベルト乾燥機が挙げられる。乾燥処理することにより、最終的に得られる食物繊維含有食品中の水分含有量を3〜15質量%に調整する。
【0034】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の食物繊維含有食品は、食物繊維を35〜65質量%、澱粉を20〜53質量%、アルギン酸ナトリウム及びカードランから選ばれる少なくとも一種の増粘多糖類を2〜20質量%、並びに水を3〜15質量%含有する。したがって、日々の食事の中で自然に摂取することができ、且つカロリを削減し、食物繊維由来の生理的機能を得ることができる。
【0035】
(2)好ましくは、食物繊維として、オーツ麦繊維、小麦フスマ、大麦ファイバ、コーンファイバ、アップルファイバ、馬鈴薯ファイバ、及びサトウキビファイバから選ばれる少なくとも一種が用いられる。したがって、食物繊維含有食品に玄米色を付与することができる。また、天然素材由来の食物繊維のため安全に食品に適用することができる。
【0036】
(3)好ましくは、食物繊維含有食品は、粒状、粉末状、麺状、薄板状、プレート状、ペレット状、及びマカロニ状から選ばれる少なくとも一種の形状に成形される。したがって、各種料理分野に容易に適用することができ、食物繊維含有食品を主食又は副食として手軽に摂取することができる。
【0037】
(4)好ましくは、前記食物繊維含有食品は、玄米色である。したがって、食物繊維が豊富な食物、例えば玄米等の繊維質豊富な食品の意匠性を付与することができる。
(5)好ましくは、前記食物繊維は、前記食物繊維含有食品中における水溶性食物繊維の含有量が10質量%以下である。したがって、水溶性食物繊維によるゲル化阻害作用を低減させることができる。
【0038】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の食物繊維含有食品の調理方法は、特に限定されず、一般的な澱粉含有食品の公知の調理方法、例えば炊飯、茹でる、蒸す、及び焼くにより食することができる。
【0039】
・上記実施形態の食物繊維含有食品の食事形態は、特に限定されず、そのまま主食として食してもよく、他の原料と混合して食してもよい。例えば、粒状に成形した場合、雑穀及び/又は米とともに炊飯することにより食してもよい。したがって、その混合物を炊飯することにより、主食として容易に摂取することができる。
【0040】
尚、食物繊維含有食品と混合する米としては、例えば玄米、発芽玄米、白米、及び無洗米が挙げられる。これらの中で、無洗米を使用することが好ましい。無洗米と混合することにより、洗米する必要が無く、より手軽に摂取することができる。
【0041】
・上記実施形態の食物繊維含有食品は、本発明の効果を損なわない範囲内において、食品添加物、例えば、ブドウ糖等の単糖類、ショ糖、果糖、及び乳糖等の二糖類、上記以外の多糖類、ステビア、アスパルテーム、及び糖アルコール等の甘味料、酸味料、香料、色素、安定剤、ビタミン類、アミノ酸類、各種ミネラル、並びに植物性油脂及び動物性油脂等の油脂類を適宜配合してもよい。
【実施例】
【0042】
以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
澱粉45質量%、不溶性食物繊維としてオーツ麦ファイバ45質量%、水溶性食物繊維として難消化性デキストリン(ニュートリオース、ロケットジャパン社製)2質量%及びグルコマンナン3質量%、並びに増粘多糖類としてアルギン酸ナトリウム5質量%を混合して固体原料を調製した。次に、該固体原料100質量部に対し、水を120質量部添加し、よく混練した後、押出造粒機にて成形し、顆粒(長さ3mm×直径1mm)を得た。成形した顆粒を乳酸カルシウム1%溶液に浸漬し、ゲル化させた後、流動層乾燥機にて乾燥することにより、実施例1の食物繊維含有食品は、食物繊維が47.0質量%、澱粉42.7質量%、アルギン酸ナトリウム4.8質量%、及び水分5質量%であった。本成形物は、淡褐色の円柱状に近いもので、粒同士が付着することなく、非常に流動性の良い粒であった。
【0043】
(製造例1)
実施例1の食物繊維含有食品を50gと合挽き肉180gを混合し、玉ねぎ1/4個、卵1個及び小麦粉適量にてハンバーグを調製した。最後に、フライパンに水を入れて蒸し焼きにした。食感・味も良好であった。食物繊維が約22g摂取できる。
【0044】
(実施例2)
加工澱粉40質量%、不溶性食物繊維としてオーツ麦ファイバ及び小麦フスマをそれぞれ23質量%、水溶性食物繊維として難消化性デキストリン(ニュートリオース、ロケットジャパン社製)5質量%、並びに増粘多糖類としてアルギン酸ナトリウム9質量%を混合して、固体原料を調製した。次に、該固体原料100質量部に対し、水を85質量部添加し、よく混練した後、押出造粒機にてソーメン状に押出成形し、長さ約5cmの成形物を得た。該成形物を乳酸カルシウム2%溶液に浸漬し、ゲル化させた後、棚乾燥機にて乾燥することにより、実施例2の食物繊維含有食品を得た。実施例2の食物繊維含有食品は、食物繊維が46.0質量%、澱粉36.4質量%、アルギン酸ナトリウム8.2質量%、及び水分9質量%であった。本成形物は、やや褐色のカールしたマカロニ状であり、成形物同士が付着することなく、非常に流動性は良好であった。
【0045】
(製造例2)
実施例2の食物繊維含有食品160gをお湯に入れて茹でた後水を切る。低カロリのマヨネーズ60g、茹で卵、ロースハムを入れて塩コショウ、レモン汁等にて味付けを行いマカロニ風サラダを調製した。食感・味も良好であった。食物繊維が全量で約71g摂取できる。
【0046】
(実施例3)
加工澱粉43質量%、不溶性食物繊維としてオーツ麦ファイバを46質量%及びグァーガム4質量%、水溶性食物繊維としてグァーガム分解物(サンファイバ、太陽化学社製)3質量%、並びに増粘多糖類としてアルギン酸ナトリウム4質量%を混合して、固体原料を調製した。次に、該固体原料100質量部に対し、水を20質量部添加し、中間バレルの温度を約50℃に設定したエクストルーダを用い、混練してソーメン状に押出し成形し、出口で高速でカッティングすることにより、長さ約5mm程度の成形物を得た。該成形物を乳酸カルシウム2%溶液に浸漬した後、ベルト乾燥機にて連続的に乾燥することにより、実施例3の食物繊維含有食品を得た。実施例3の食物繊維含有食品は、食物繊維が44.3質量%、澱粉39.1質量%、アルギン酸ナトリウム3.64質量%、及び水分9質量%であった。成形した成形物は、淡褐色の米粒様の形状であり、粒同士が付着することなく、非常に流動性の良い粒であった。
【0047】
(製造例3)
実施例3の食物繊維含有食品100gと無洗米105gを炊飯器にて2合の水加減で炊飯した。炊き上がったご飯は、茶碗1杯約150gあたり、普通のご飯1杯分に比べて50%カロリカットされ、かつ、食物繊維を約13g含み外観が玄米色で食感・味に優れたご飯を調製した。また、上記製造例のうち、無洗米の20%を市販の雑穀に置き換えて同様に炊飯し、外観、食味ともに良好な全く違和感の無い雑穀米を製造した。
【0048】
(実施例4)
エクストルーダの加熱を約80℃程度とし、出口でのカットを長さ2〜3cm程度とし、最終的に出口で成形物を膨化させた以外は、実施例3と同様に製造した。実施例4の食物繊維含有食品は、食物繊維が47.2質量%、澱粉44.6質量%、アルギン酸ナトリウム3.9質量%、及び水分3質量%であった。
【0049】
(製造例4)
実施例4の食物繊維含有食品100gを、食塩を少量加えたたっぷりのお湯にてゆで上げた。水切り後、市販レトルト食品のパスタソース掛けて、食物繊維を約43g含んだ食感・味に優れたパスタを調製した。
【0050】
(実施例5)
澱粉23質量%、不溶性食物繊維としてオーツ麦ファイバ61質量%、水溶性食物繊維として難消化性デキストリン(ニュートリオース、ロケットジャパン社製)5質量%、グルコマンナン及び寒天を各1質量%、並びに増粘多糖類としてカードラン10質量%を混合して、固体原料を調製した。次に、該固体原料100質量部に対し、水を110質量部添加混合し、予め60℃で膨潤させ、押出造粒機にて成形して、顆粒(長さ5mm×直径1.2mm)を得た。それを棚乾燥機にて乾燥し顆粒することにより、実施例5の食物繊維含有食品を得た。実施例5の食物繊維含有食品は、食物繊維が58.9質量%、澱粉20.9質量%、カードラン9.5質量%、及び水分5質量%であった。
【0051】
(製造例5)
実施例5の食物繊維含有食品40gを水に浸漬させ膨潤させる。玉ねぎ、人参、アスパラ、茄子、トマトを全てみじん切りにする。鍋にオリーブ油をひき、にんにくを炒め香りを出す。この鍋にみじん切りにした野菜を入れて炒め、膨潤め水切りをした食物繊維含有食品も加えて炒める。最後に、水とコンソメ調味料を加えてフタをして煮る。食物繊維入りの野菜スープを調製した。食物繊維が1杯当たり、約23.6g含む野菜スープが調製された。
【0052】
(製造例6)
実施例5の食物繊維含有食品10gを熱い紅茶に入れて膨潤させる。一方、バターと砂糖各10gをよく混ぜ、卵1/2個と牛乳1杯を加えて混ぜる。これに、膨潤させ水切りした食物繊維含有食品とホットケーキミックス30gを加えて混ぜる。バターを塗った型に流しこんで180℃のオーブンで15分程度焼いて、カップケーキを調製した。食物繊維が1個当たり、約5.9g含むカップケーキが調製された。
【0053】
(比較例1)
澱粉13質量%、不溶性食物繊維としてオーツ麦ファイバ80質量%、水溶性食物繊維として難消化性デキストリン(ニュートリオース、ロケットジャパン社製)2質量%、及び増粘多糖類としてアルギン酸ナトリウム5質量%を混合して固体原料を調製した。次に、該固体原料100質量部に対し、水を140質量部添加し、よく混練した後、押出造粒機にて成形し、顆粒(長さ3mm×直径1mm)を得た。成形した顆粒を乳酸カルシウム1%溶液に浸漬し、ゲル化させた後、流動層乾燥機にて乾燥することにより、比較例1の食物繊維含有食品は、食物繊維が70.8質量%、澱粉12.3質量%、アルギン酸ナトリウム4.8質量%、及び水分5質量%であった。本成形物は、淡褐色の円柱状に近いもので、粒同士が付着することなく、非常に流動性の良い粒であった。しかしながら、食物繊維含有量が高いため、顆粒が硬く、調理に使用した場合、パサつきが激しく嗜好性が著しく低い。
【0054】
(比較例2)
比較例1に対して、澱粉を80質量%、オーツ麦ファイバ13質量%にした以外は全く同様の配合で同様の製造方法を用いることにより、比較例2の食物繊維含有食品を得た。比較例2の食物繊維含有食品は、食物繊維含量12.9質量%と低く、食物繊維を日常的に摂取するには、含量が低く、かつ、カロリ低減効果及び生理的効果の付与も十分ではないと思料される。また、オーツ麦ファイバの含有量が低いため、食物繊維含有食品の外観は、玄米色が薄い色であった。
【0055】
(参考例1)
澱粉53質量%、不溶性食物繊維としてオーツ麦ファイバを12質量%、水溶性食物繊維として難消化性デキストリン(ニュートリオース、ロケットジャパン社製)30質量%、及び増粘多糖類としてアルギン酸ナトリウム5質量%を混合して、固体原料を調製した。次に、該固体原料100質量部に対し、水を25質量部添加し、エクストルーダを用い、混練して麺状に押出し成形した。成形物をコンベア上で約30cmの長さにカッティングすることにより、麺状の成形物を得た。それを乳酸カルシウム3%溶液に浸漬した後、棚乾燥機にて連続的に乾燥することにより、参考例1の食物繊維含有食品を得た。参考例1の食物繊維含有食品を長時間熱湯で茹でたところ、形状を保つ事が出来ず、溶けてしまった。長時間加熱による調理を行う場合、水溶性食物繊維の含有量は少ない方が好ましい。
【0056】
(比較例3)
実施例1で使用した原材料に対して、アルギン酸ナトリウムだけを増粘多糖類であるカラギーナンに変えて調製することにより、比較例3の食物繊維含有食品を得た。比較例3の食物繊維含有食品をお湯に入れて茹でたところ、ゲル化がすぐに壊れ、粒がすべて溶けてしまった。この場合、食感の低下を招くと思料される。
【0057】
(比較例4)
加工澱粉46質量%、不溶性食物繊維としてオーツ麦ファイバを46質量%及びグァーガム4質量%、水溶性食物繊維としてグァーガム分解物(サンファイバ、太陽化学社製)3質量%、並びに増粘多糖類としてアルギン酸ナトリウム1質量%を混合して、固体原料を調製した。次に、該固体原料100質量部に対し、水を20質量部添加し、中間バレルの温度を約50℃に設定したエクストルーダを用い、混練してソーメン状に押出し成形し、出口で高速でカッティングすることにより、長さ約5mm程度の成形物を得た。該成形物を乳酸カルシウム2%溶液に浸漬した後、ベルト乾燥機にて連続的に乾燥することにより、比較例4の食物繊維含有食品を得た。比較例4の食物繊維含有食品は、食物繊維が44.1質量%、澱粉41.9質量%、アルギン酸ナトリウム0.9質量%、及び水分9質量%であった。成形した成形物は、淡褐色の米粒様の形状であり、粒同士が付着することなく、非常に流動性の良い粒であった。しかし、この成形物を炊飯したところ、ゲル化が十分に達成されていなかったため、粒が柔らかくお粥状に潰れ、米様食品としての十分な食味が得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食物繊維(アルギン酸ナトリウム及びカードランを除く)を35〜65質量%、澱粉を20〜53質量%、アルギン酸ナトリウム及びカードランから選ばれる少なくとも一種の増粘多糖類を2〜20質量%、並びに水を3〜15質量%含有することを特徴とする食物繊維含有食品。
【請求項2】
前記食物繊維は、オーツ麦繊維、小麦フスマ、大麦ファイバ、コーンファイバ、アップルファイバ、馬鈴薯ファイバ、及びサトウキビファイバから選ばれる少なくとも一種として配合されることを特徴とする請求項1に記載の食物繊維含有食品。
【請求項3】
前記食物繊維含有食品は、粒状、粉末状、麺状、薄板状、プレート状、ペレット状、及びマカロニ状から選ばれる少なくとも一種の形状に成形されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食物繊維含有食品。
【請求項4】
前記食物繊維含有食品は、玄米色であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の食物繊維含有食品。
【請求項5】
前記食物繊維は、前記食物繊維含有食品中における水溶性食物繊維の含有量が10質量%以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の食物繊維含有食品。
【請求項6】
前記食物繊維含有食品は、雑穀及び米から選ばれる少なくとも一種と混合されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の食物繊維含有食品。
【請求項7】
食物繊維(アルギン酸ナトリウム及びカードランを除く)を36〜76質量%、澱粉を21〜62質量%、並びにアルギン酸ナトリウム及びカードランから選ばれる少なくとも一種の増粘多糖類を2〜24質量%を含有する固体原料と、該固体原料100質量部に対し、5〜150質量部の水とを混練することにより混合物を得る工程、
次に、前記混合物を所定形状に成形し、乾燥処理することを特徴とする請求項1に記載の食物繊維含有食品の製造方法。
【請求項8】
前記固体原料と、該固体原料100質量部に対し、5〜45質量部の水とを混練した混合物を、エクストルーダにより成形し、乾燥処理することを特徴とする請求項7に記載の食物繊維含有食品の製造方法。
【請求項9】
前記固体原料と、該固体原料100質量部に対し、50〜150質量部の水とを混練した混合物を、押出成型又は攪拌造粒により成形し、乾燥処理することを特徴とする請求項7に記載の食物繊維含有食品の製造方法。

【公開番号】特開2011−41487(P2011−41487A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190386(P2009−190386)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(591045471)アピ株式会社 (59)
【出願人】(501301617)株式会社エバーライフ (1)
【Fターム(参考)】