説明

食物繊維素材及びその製造方法

【課題】添加される食品素材本来の味、臭い、色を損なうことなく、様々な食品素材に、従来のものより多く添加することができる無味、無臭で、脱色された食物繊維素材の提供。
【解決手段】植物由来の素材原料から食物繊維素材を製造する方法において、植物由来の素材原料(食物繊維素材の原料となるものの他、その原料の乾燥物、粉砕物など加工された素材原料も含まれる)を、有機溶媒で熱抽出処理し、その残渣から有機溶媒を除去する工程を加えることにより、食物繊維成分を損なうことなく、粗脂肪の含有量を0.1重量%以下まで減少させ、食物繊維成分が豊富な、無味、無臭で脱色された食物由来の食物繊維素材を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来の食物繊維素材の製造に関するもので、その目的とする所は、
様々な食品素材に、従来のものより多く添加しても、その食品素材本来の味、臭い、色を損なうことのない、無味、無臭で、脱色された食物繊維素材を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
我が国において、国民の健康維持との関わりにおいて、食物繊維の重要性は徐々に認識されるようになってきた。また、精製された加工食品が普及する中で、日本人の食物繊維摂取量は減少しており、欠乏している食品成分としても、カルシウムとともに食物繊維が挙げられている。そのため、栄養学的には、一般食品への食物繊維素材の補強は、重要なテーマとなっている。
【0003】
植物由来の食物繊維素材としては、従来より、甜菜由来のビートファイバー、サツマイモ由来のサツマイモファイバー、トウモロコシ由来のコーンファイバー、リンゴ由来のアップルファイバー、大豆由来の大豆ファイバー等、様々なものがある。
そして、これら植物由来の食物繊維素材(例えば、サツマイモ由来のサツマイモファイバー又はトウモロコシ由来のコーンファイバー、大豆由来の大豆ファイバー等)は、例えば、植物由来の素材原料(サツマイモ澱粉粕又は外皮、トウモロコシ澱粉粕又は外皮、大豆の外皮等)を乾燥させた後、一定の粒度以下に粉砕することによって製造されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
このようにして製造された従来の植物由来の食物繊維素材は、食物繊維成分に富み、一次機能(栄養)及び三次機能(生体調節機能)において、優れた素材である。
【特許文献1】特開昭63−17674号公報
【特許文献2】特開2001−120228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の植物由来の食物繊維素材は、二次機能(その植物由来の特有の臭い、味、及び色)に問題があり、小麦粉、米粉、澱粉、畜肉、魚肉などの食品素材に添加した場合、その植物由来の特有の臭い、味、及び色により、食品素材が本来持つ味、臭い、色が損なわれるため、添加することができる食品素材及び食物繊維素材の添加量が制限されるという問題があった。
【0005】
上記問題の一例として、パン生地への甜菜由来の食物繊維素材、即ち、ビートファイバーの添加に関する問題が挙げられる。ビートファイバーは、パン生地へ添加することにより、弾力性があり、長期保存ができるパンを製造することができるという優れた機能を有する。しかしながら、ビートファイバーは、ビート臭と呼ばれる特有の臭い(不快な臭い)を有するため、パンに添加した場合、添加量が多すぎると、その特有の臭気によって、パンが本来もつ香ばしさが損なわれ、パンの品質が低下してしまう。
要するに、ビートファイバーは、優れた機能を有するにもかかわらず、その特有の臭いが食品の品質低下の原因となるため、食品素材に少量しか添加できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者達は、上記事情に鑑みて、その二次機能(特有の味、臭い、色)を改善するために鋭意研究した結果、植物由来の素材原料を有機溶媒で熱抽出処理することにより、粗脂肪の含有量を0.1重量%以下まで減少させることによって、様々な食品素材
に、従来のものより多く添加しても、その食品素材本来の味、臭い、色を損なうことのない、無味、無臭で脱色された植物由来の食物繊維素材を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、粗脂肪の含有量が、0.1重量%以下であることを特徴とする植物由来の食物繊維素材に関する。
【0008】
本発明の植物由来の食物繊維素材としては、甜菜由来のビートファイバー、サツマイモ由来のサツマイモファイバー、トウモロコシ由来のコーンファイバー、大豆由来の大豆ファイバー等、従来から製造されているものが挙げられる。
【0009】
上記のような従来から製造されている植物由来の食物繊維素材の中でも、甜菜由来の食物繊維素材(ビートファイバー)は、他の植物由来の食物繊維素材と比べて、食物繊維成分に富み、セミロース、ヘミセルロース、ペクチンが多く含まれているので、本発明の植物由来の食物繊維素材としては、植物が甜菜である甜菜由来の食物繊維素材(ビートファイバー)が特に好ましい。
【0010】
植物由来の食物繊維素材は、植物の種類によって異なるが、一般に0.1重量%を超える一定量(例えば、甜菜由来のビートファイバーでは、0.7重量%)の粗脂肪を含有し(下記表2参照)、この粗脂肪の含有量を0.1重量%以下まで減少させることによって、植物由来の食物繊維素材が有する、植物特有の臭い、味をなくし、色も脱色することができる。
【0011】
また、本発明は、例えば、植物由来の素材原料を乾燥させる工程と前記乾燥させた植物由来の素材原料を粉砕する工程からなる植物由来の素材原料から食物繊維素材を製造する方法において、植物由来の素材原料(食物繊維素材の原料となるものの他、その原料の乾燥物、粉砕物など加工された素材原料も含まれる)を有機溶媒で熱抽出処理し、その残渣から有機溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする植物由来の食物繊維素材の製造方法に関する。
【0012】
本発明の製造方法に使用される植物由来の素材原料は、植物由来の食物繊維素材の製造にあたって原料となるものであって、製造する植物由来の食物繊維素材の種類に依り異なる。例えば、甜菜由来のビートファイバーを製造する場合には、甜菜パルプ、サツマイモ由来のサツマイモファイバーを製造する場合は、サツマイモの絞り粕等、従来からの植物由来の素材原料が使用される他、それらの乾燥物、粉砕物など加工された素材原料が挙げられる。
【0013】
植物由来の素材原料として、30メッシュ以下の粉末を使用した場合、前記熱抽出処理において、粗脂肪が十分に(0.1重量%以下まで)除去され、製造される植物由来の食物繊維素材は無味、無臭で脱色されたものとなるが、30メッシュを超えるものを使用した場合、前記熱抽出処理において、粗脂肪が十分に(0.1重量%以下まで)除去されず、製造される植物由来の食物繊維素材は、味、臭い及び色が残ったままのものである。従って、本発明の植物由来の食物繊維素材の製造方法においては、植物由来の素材原料として、粒度30メッシュ以下の粉末を使用することが好ましい。
【0014】
更に、前記熱抽出処理を、40℃未満の温度(熱抽出温度)での加熱処理で行った場合、粗脂肪が有機溶媒に溶解し難いため、前記熱抽出処理において、粗脂肪が十分に(0.1重量%以下まで)除去されず、製造される植物由来の食物繊維素材は、味、臭い及び色が残ったままのものである。
また、前記熱抽出処理を、70℃を超える温度(熱抽出温度)での加熱処理で行った場合
、有機溶媒の蒸発量が多くなるため、前記熱抽出処理において、粗脂肪が十分に(0.1重量%以下まで)除去されず、製造される植物由来の食物繊維素材は、味、臭い及び色が残ったままのものである。
従って、本発明の植物由来の食物繊維素材の製造方法においては、前記熱抽出処理は、40〜70℃の温度(熱抽出温度)で加熱する処理であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の植物由来の食物繊維素材の製造方法においては、前記熱抽出処理において、できるだけ少量の有機溶媒で、粗脂肪を十分に(0.1重量%以下まで)除去し、無味、無臭で脱色された植物由来の食物繊維素材を製造するため、植物由来の素材原料1部に対して有機溶媒2〜4部を混合したものを、上記温度(熱抽出温度)で加熱することが好ましい。
【0016】
また、本発明の植物由来の食物繊維素材の製造方法においては、前記有機溶媒として、食品製造に用いるエタノール、アセトン、ヘキサン等が使用されるが、沸点、取扱い等の容易さから、好ましくはエタノールが使用される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、甜菜パルプ等の植物由来の素材原料を有機溶媒で熱抽出処理するという簡易な方法により、食物繊維成分を損なうことなく、粗脂肪の含有量を0.1重量%以下まで減少させることによって、従来の植物由来の食物繊維素材と食物繊維成分の含有量が変わらない、無味、無臭で脱色された植物由来の食物繊維素材を得ることができる。
そして、この本発明の方法に従って製造された植物由来の食物繊維素材は、無味、無臭で、脱色されたものなので、添加される食品素材本来の味、臭い、色を損なうことなく、様々な食品素材に、従来のものより多く添加することができるという効果を有する。
そのため、本発明の方法に従って製造された植物由来の食物繊維素材を使用することにより、多種多様な植物由来の食物繊維素材を含む加工食品を製造することができるので、食物繊維の摂取量が不足していると言われる日本人の食物繊維の摂取の増加にもつながるという効果も得られる。
また、本発明によれば、食物繊維成分を多く含むにもかかわらず、その臭いのため、従来、食物繊維素材の素材原料としてではなく、家畜の飼料として主に使用されてきた材料、例えば、甜菜パルプの粉砕物を食物繊維素材の素材原料として使用することができ、とても有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の説明においては、植物由来の食物繊維素材の一種である、甜菜由来の食物繊維素材(ビートファイバー)を例に挙げて説明する。本発明により、甜菜由来の素材原料、即ち、甜菜パルプを、有機溶媒、特にエタノールで熱抽出処理することにより、食物繊維成分を損なうことなく、脂質成分(粗脂肪)が0.1重量%以下まで除去され、甜菜特有の臭い(ビート臭)、味、色が改善されたビートファイバーが得られた。なお、該脂質成分の詳細は不明な点が多いが、文献からは、ビートサポニン(配糖体)、フェルラ酸などを含有しているとの報告があり、更に、近年の特許出願においては、スフィンゴ糖脂質の存在も示唆されている。
【0019】
以下の実施例及び比較で本発明を、更に詳しく説明する。
実施例1:本発明のビートファイバーの製造
甜菜パルプ1kg(粗脂肪の含有量0.69%)を素材原料として使用し、それを、エタノール(99%)3Lと混合し、60℃(熱抽出処理温度)まで加熱した後、同温度にて1時間維持し、遠心分離により固液を分離し、得られた固相を乾燥させることによって、本発明のビートファイバーを製造した。
この製造において、得られたビートファイバーは、978gであり、エタノールで抽出
された固形分(素材原料の量から得られたビートファイバーの量を引いたもの)は22g(素材原料に対して2.2%)であった。
【0020】
上記実施例1で使用した甜菜パルプ及び上記実施例1で製造したビートファイバーについて、粗脂肪の含有量、及び味、臭い、色を比較したところ以下の表1のような結果になった。
表1
【表1】

注1)粗脂肪値は公定法(エーテル抽出法)による。
注2)色は色差測定法(ハンターL値)による。
上記表1の結果から、本発明のビートファイバーは、甜菜パルプと比べ、粗脂肪の含有量が大きく(0.1重量%以下まで)減少し、それに伴い、甜菜由来の臭い、味がなくなり、色も脱色されたことが分かる。
加えて、エタノールでの熱抽出処理によって、甜菜パルプから除去された固形分(素材原料の量から得られたビートファイバーの量を引いたもの)には、粗脂肪の他、上記配糖体等のエタノール可溶性成分などが含まれるが、それらが除去されることにより、製造されたビートファイバーにおいて、甜菜由来の臭い、味がなくなり、色も脱色されたと考えられる。
また、以下の表2に示される、様々な植物由来の食物繊維素材の成分組成を参照して判るように、他の食物繊維素材と比べて粗脂肪の含有量が元々少ない、ビートファイバーですら、粗脂肪の減少によって、無味、無臭の、脱色されたものとなるのだから、粗脂肪の含有量が元々多いその他の食物繊維素材(小麦ファイバー、コーンファイバー等)も、本発明の方法によって、無味、無臭で脱色されたものとなると考えられる。
表2
【表2】

【0021】
本発明のビートファイバーの製造方法(有機溶媒での熱抽出処理)において、粗脂肪を十分に除去し、無味、無臭で脱色されたビートファイバーを製造するための好ましい条件を調べるため、以下の比較を行った。

例1:甜菜パルプの粒度の違いに対する、製造されるビートファイバーの粗脂肪の含有
量、及び味、臭いの違いの比較

様々な粒度の甜菜パルプ1kg(粗脂肪の含有量0.69%)を植物由来の素材原料として用いて、実施例1の方法に従って、ビートファイバーを製造し、その粗脂肪の含有量、臭い、味を測定した。
結果を以下の表3に示す。
表3
【表3】

上記表3の結果から、甜菜パルプは粒度30メッシュより大きい粉末だと、本発明の方法に従って、熱抽出処理を行ったとしても、製造されるビートファイバーは、粗脂肪含有量の減少が、十分(0.1重量%以下までの減少)ではなく、味、臭いが残ったままであることが分かる。
このことから、本発明に従う方法において、粗脂肪を十分に除去し、無味、無臭のビートファイバーを製造するためには、甜菜パルプは粒度30メッシュ以下の粉末にすることが好ましいことが分かった。
【0022】
例2:熱抽出処理温度の違いに対する、製造されるビートファイバーの粗脂肪の含有量、及び味、臭いの違いの比較
甜菜パルプ1kg(60メッシュ通過物、粗脂肪の含有量0.69%)を素材原料として使用し、様々な熱抽出処理温度を使用したこと以外は、実施例1の方法に従って、ビートファイバーを製造し、その粗脂肪の含有量、臭い、味を測定した。
なお、有機溶媒としてエタノールを使用したため、その沸点である87.3℃以下の温度で熱抽出処理を行った。
結果を以下の表4に示す。
表4
【表4】

上記表4の結果から、40℃以上の温度を境にして、製造されるビートファイバーは、粗脂肪含有量が大幅に減少し、無味、無臭のものとなることが分かる。
上記表4の結果及びエタノールの沸点を考慮すると、本発明に従う方法において、粗脂肪を十分に(0.1重量%以下まで)除去し、無味、無臭のビートファイバーを製造するためには、熱抽出処理における温度として、40〜70℃の温度を使用することが好ましいことが分かった。
なお、熱抽出処理の際の、加熱時間は、甜菜パルプがエタノールと混合加熱し、40〜70℃の温度に達すれば良く、その後の維持時間は抽出効率に影響しない。
【0023】
例3:有機溶媒の濃度の違いに対する、製造されるビートファイバーの粗脂肪の含有量、及び味、臭い、色の違いの比較
甜菜パルプ1kg(60メッシュ通過物、粗脂肪の含有量0.69%)を素材原料として使用し、有機溶媒として様々な濃度のエタノールを使用したこと以外は、実施例1の方法に従って、ビートファイバーを製造し、その粗脂肪の含有量、臭い、味、色を測定した。
結果を以下の表5に示す。
表5
【表5】

上記表5の結果から、濃度が、85%以下のエタノールでは、粗脂肪の抽出効率が低く、製造されるビートファイバーは、粗脂肪含有量の減少が、十分(0.1重量%以下までの減少)ではなく、味、臭いが残ったままで、脱色も不十分のものであった。
このことから、本発明に従う方法において、粗脂肪を十分に(0.1重量%以下まで)除去し、無味、無臭で脱色されたビートファイバーを製造するためには、有機溶媒として、90%以上の濃度のものを使用することが好ましいことが分かった。
【0024】
上記例1〜3の結果から、本発明のビートファイバーの製造方法に従って、甜菜パルプをエタノールで熱抽出処理する場合、30メッシュ以下の甜菜パルプを、90%以上の濃度のエタノールを用いて、40〜70℃の温度で熱抽出処理することによって、粗脂肪がほぼ完全に(0.1重量%以下まで)除去され、無味、無臭で脱色されたビートファイバーが得られることが分かった。
【0025】
例4:本発明の方法に従って製造されたビートファイバーと従来の方法で製造されたビートファイバーの成分組成及び二次機能(味、臭い、色)の比較

水分を5.2%含有する乾燥甜菜パルプ1tを、微粉砕機(ハンマーミル式)で粉砕した後、粉砕した乾燥甜菜パルプを、篩目が60メッシュ以上の篩で篩分けし、60メッシュ以上のものを取り除き、87.5%の収率で微粉甜菜パルプ(従来のビートファイバー)875kgを得た。
その微粉甜菜パルプ(従来のビートファイバー)20kgを100L容量のステンレス製加熱容器(水蒸気加熱、撹拌棒付き)中に入れた後、更に、濃度99%のエタノール60Lをその中に加え、その混合溶液を撹拌しながら65℃まで加熱した。その後、その固液を、有孔壁タイプの遠心分離機((株)コクサン社製、H−122型)を用い、回転数2,500rpmで10分間処理することによって、固相を得、その後、その固相を通風乾燥機(80℃)を用いて乾燥させることによって、水分を2.2%含有する、本発明のビートファイバー19.6kgを製造した。
本発明の方法に従って製造されたビートファイバーと従来の方法で製造されたビートファイバーの成分組成及び二次機能(味、臭い、色)の比較を、以下の表6に示す。
表6
【表6】

表6に示すように、本発明の方法に従って製造されたビートファイバーは、従来の方法で製造されたビートファイバーと比べ、食物繊維成分の含有量は変わらないが、一般成分の粗脂肪の含有量が大きく減少し、品質(味、臭い、色)が改善された、食品素材に添加するのに良好な食物繊維素材であった。
【0026】
例5:本発明のビートファイバーを添加して製造したパンとビートファイバーを添加せずに製造したパンの比較
実施例4で得たビートファイバー20gを、小麦粉の薄力粉260g、小麦粉の強力粉120gに混合し、これにパン酵母10g、食塩4g、砂糖16g、ショートニングオイル16gを加え、人力で捏ね上げた。これを、常法により醗酵させ、成型した後、パン釜で焼き上げることによって、本発明のビートファイバーを含有するパンを製造した。
この本発明のビートファイバーを含有するパンと、本発明のビートファイバーを添加しなかったこと以外は同様の条件で製造したビートファイバー無添加のパンの臭い及び味を比較したところ、本発明のビートファイバーを添加して製造したパンは、ビートファイバー無添加のパンと比べて、何ら変わりがなかった。
更に、本発明のビートファイバーを含有するパンは、ビートファイバー無添加のパンと比べ、ふわふわとして弾力性があり、長期保存ができた。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗脂肪の含有量が、0.1重量%以下であることを特徴とする植物由来の食物繊維素材。
【請求項2】
前記植物が、甜菜であることを特徴とする請求項1記載の植物由来の食物繊維素材。
【請求項3】
植物由来の素材原料から食物繊維素材を製造する方法において、植物由来の素材原料を、有機溶媒で熱抽出処理し、その残渣から有機溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする植物由来の食物繊維素材の製造方法。
【請求項4】
前記植物由来の素材原料は粒度30メッシュ以下の粉末であることを特徴とする請求項3記載の食物繊維素材の製造方法。
【請求項5】
前記熱抽出処理は、植物由来の素材原料1部に対して有機溶媒2〜4部を混合したものを、40〜70℃の温度で加熱する処理からなることを特徴とする請求項3又は4記載の食物繊維素材の製造方法。
【請求項6】
前記有機溶媒が、エタノールであることを特徴とする請求項3、4、5のいずれか1項に記載の食物繊維素材の製造方法。
【請求項7】
前記植物が甜菜であって、前記素材原料が甜菜パルプの粉砕物であることを特徴とする請求項3、4、5、6のいずれか1項に記載の食物繊維素材の製造方法。