食物表面付着物の親水化方法
【課題】ワックス等の親水性の低い付着物を、水洗いによって簡単に洗い流すことを可能とする食物表面付着物の親水化方法を提供する。
【解決手段】静電霧化装置Aの霧化電極に水を供給し、供給された前記水に電圧を印加してナノメータサイズの帯電微粒子水を発生させる。この帯電微粒子水を、表面に付着物15が塗布された処理対象物1である食物に所定時間噴霧することで、付着物15の親水性を向上させる。これにより、その後の水洗いによって付着物15を簡単に洗い落とすことが可能となる。
【解決手段】静電霧化装置Aの霧化電極に水を供給し、供給された前記水に電圧を印加してナノメータサイズの帯電微粒子水を発生させる。この帯電微粒子水を、表面に付着物15が塗布された処理対象物1である食物に所定時間噴霧することで、付着物15の親水性を向上させる。これにより、その後の水洗いによって付着物15を簡単に洗い落とすことが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食物表面付着物の親水化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面の付着物を水洗いで除去するための装置として、例えば特許文献1には、青果物の表面に付着した塵埃、農薬等の付着物を洗浄処理することのできる洗浄装置が提案されている。上記洗浄装置は、青果物を水槽中に入れた状態で攪拌させることで、表面の付着物を除去するものである。
【0003】
ところで、柑橘類等はその表面にワックスを塗布した状態で販売されることが一般的であるが、このワックスのような付着物は、親水性が低いといった性質を有するため、水洗いで洗い落とすことが困難である。そのため、特許文献1に示すような従来の洗浄装置を用いても、簡単には洗い落とすことができない。加えて、特許文献1に示すような洗浄装置は大型であるため、一般家庭に備えるには不適である。
【0004】
したがって、特に一般家庭にあっては、表面に付着するワックス等の付着物を除去しようとするには、手作業で長時間をかけて擦り落とす必要があり、非常に面倒な作業が強いられることになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−269267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、ワックス等の親水性の低い付着物を、水洗いによって簡単に洗い流すことを可能とする食物表面付着物の親水化方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明を、霧化電極6に水を供給し、供給された前記水に電圧を印加してナノメータサイズの帯電微粒子水を発生させ、この帯電微粒子水を、表面に付着物15が塗布された食物に対して所定時間噴霧することで、付着物15の親水性を向上させることを特徴とする食物表面付着物の親水化方法とする。
【0008】
このようにすることで、予め一定時間だけ付着物15に帯電微粒子水を噴霧させておけば、その後は水洗いだけで簡単に付着物15を除去することができる。そして、このために特別な薬剤や大型の装置が必要になるわけではないので、一般家庭においても安全且つ安価に利用可能となる。
【0009】
本発明において、前記食物は柑橘類であり、前記付着物はワックスであることが好適である。
【0010】
また、本発明において、前記帯電微粒子水は、前記食物の収納された収納ボックス2内に噴霧することが好適である。
【0011】
このようにすることで、食物を収納した収納ボックス2内に帯電微粒子水を噴霧させておけば、その後は水洗いだけで簡単に付着物15を除去することができる。そして、このために特別な薬剤や大型の装置が必要になるわけではないので、一般家庭においても、収納ボックス2を床下収納庫等の食品収納庫として安全且つ安価に利用可能となる。
【0012】
本発明においては、付着物15の親水性を向上させた後の前記食物が配される収納ボックス2内に洗浄水を供給することも好適である。また、本発明においては、付着物15がワックスであり、このワックスに対して前記帯電微粒子水を所定時間継続して直曝させ、不飽和二重結合とエステル結合を減少させ、ヒドロキシ基を増加させることも好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、帯電微粒子水を噴霧することで付着物の親水性を向上させておき、これにより噴霧後は簡単な水洗いによって付着物を容易に洗い流すことができるといった効果を奏する。また、このようにするために特別な薬剤や大型の装置が不要であるから、一般家庭においても安全且つ安価に利用できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における一例の親水化装置を示す概略図である。
【図2】同上の静電霧化装置の構造を示す断面図である。
【図3】同上の静電霧化装置を用いた実験の説明図である。
【図4】同上の実験のIR結果を示すグラフ図である。
【図5】同上の静電霧化装置を用いた別の実験の説明図である。
【図6】同上の実験のIR結果を示すグラフ図である。
【図7】同上の実験の水洗い後の残存量を示すグラフ図であり、(a)はワックス残存量、(b)はイマザリル残存量、(c)はTBZ残存量である。
【図8】同上の静電霧化装置を用いた更に別の実験の説明図である。
【図9】同上の実験の水洗い後のワックス残存量を示すグラフ図である。
【図10】同上の実験の手洗い後のワックス除去量を示すグラフ図である。
【図11】各ワックスのIR結果を比較するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1には、本発明の実施形態における一例の食物表面付着物の親水化方法に用いる親水化装置Bを概略的に示している。
【0016】
この親水化装置Bは、静電霧化現象によって帯電微粒子水を大量に発生させて放出する静電霧化装置Aと、処理対象物1を収納しておく収納ボックス2とを備えており、更に、この収納ボックス2内に収納される処理対象物1を洗浄処理する洗浄手段3を具備している。以下、各構成について詳述する。
【0017】
まず、静電霧化装置Aについて説明する。本例の静電霧化装置Aは、図2に示すような各構成を装置ケース4内に収納し、装置ケース4に設けてある吐出口5から大量の帯電微粒子水を収納ボックス2内に噴霧させるものである。装置ケース4内には、棒状の霧化電極6と、霧化電極6の先端部6aに対向して位置する対向電極7と、霧化電極6に対して継続的に水を供給する水供給手段8と、この霧化電極6に供給された水に高電圧を印加することで静電霧化現象を生じさせる電圧印加手段9とを配置している。なお、本例の静電霧化装置Aは、1秒間に0.15×1016個(30μmol/l)の帯電微粒子水を発生させるように設けてある。
【0018】
上記水供給手段8は、空気中の水分を基に結露水を生成して霧化電極6に供給するものであって、冷却側および放熱側を有するペルチェユニット10と、ペルチェユニット10の冷却側に接続される冷却板11と、ペルチェユニット10の放熱側に接続される放熱板12とを有している。冷却板11には、霧化電極6の基端部6bを接続させている。また、放熱板12には更に放熱フィンを接続させてあってもよい。
【0019】
つまり、本例の静電霧化装置Aにあっては、霧化電極6を冷却して該霧化電極6の表面に結露水を直接的に生成させる。そして、ここで生じた結露水に対し、対向電極7との間でマイナスの高電圧を印加させることによって、霧化電極6の先端部6aにおいて所謂レイリー分裂を生じさせ、帯電微粒子水を継続的に発生させる。したがって、外部からの水供給は不要である。
【0020】
ここで生じる帯電微粒子水は、その粒径がナノメータサイズ(例えば10〜30ナノメータ)と非常に小さく、且つ、マイナス帯電したものである。また、帯電微粒子水中には、同時に生成されるヒドロキシラジカル等の活性種が含まれる。これらの活性種は非常に反応性に富み、通常は空気中に長時間存在することが困難であるが、帯電微粒子水にあっては水に保護された形で存在することから寿命が長くなっている。
【0021】
なお、静電霧化装置Aは帯電微粒子水を大量に生成できるものであればよく、図示の実施形態に限定されるわけではない。水供給手段8について言えば、タンク等の水貯留部から霧化電極6に水を順次搬送する等の、他の構成であってもよい。また、本例では霧化電極6と対を成す対向電極7を、霧化電極6から処理対象物1が位置する方向にむけて距離を隔てた箇所に配しているが、対向電極7を備えない構造としてもよい。対向電極7を備えない場合であっても、霧化電極6にマイナスの高電圧を印加することで帯電微粒子水を発生させることができる。但し、処理対象物1の付着物15に対して後述の親水化作用を十分に及ぼすためには、1秒間に0.15×1016個(30μmol/l)以上の帯電微粒子水を発生させることが好適である。
【0022】
次に、収納ボックス2やこれに収納される処理対象物1について説明する。上記収納ボックス2は、親水性の低い付着物15を表面に塗布してある処理対象物1を一つ又は複数収納した状態で、略密閉させておくものである。ここでは処理対象物1として、グレープフルーツやレモンといった柑橘類を一例として用いており、また、親水性の低い付着物15として、これら柑橘類の表面に塗布されるワックスを同じく一例として用いている。上記ワックスは、保護膜としての効果や艶出しの効果を発揮するものであり、カルナウバワックス、シェラックロウ、蜜蝋等が好適に用いられる。上記ワックスは疎水性であるために水を弾き、したがって、水洗いで簡単には洗い落とすことができない。
【0023】
次に、収納ボックス2に備える洗浄手段3について説明する。洗浄手段3は、洗浄水を溜め置いてある水タンク16と、水タンク16と収納ボックス2とを連通させる給水路17と、給水路17中に配される給水ポンプ18と、収納ボックス2内に配される攪拌機19と、収納ボックス2の底部に開口させてある開閉自在な排水口20とから成る。つまり、排水口20を閉じたうえで給水ポンプ18を用いて水タンク16中の洗浄水を収納ボックス2に供給し、処理対象物1を洗浄水に浸した状態(図中の想像線参照)にして攪拌機19を駆動させることにより、該処理対象物1が表面に有する付着物15を水洗いする構造になっている。洗浄完了後は、排水口20を開口させて排水を行う。
【0024】
上記構成から成る本例の親水化装置Bにおいては、まず適宜の処理対象物1を収納ボックス2内に収納しておき、この間継続的に静電霧化装置Aを駆動させて、収納ボックス2内に帯電微粒子水を大量に噴霧させておく。すると、処理対象物1表面にある親水性の低い付着物15は、大量の帯電微粒子水に継続的に晒されることとなり、帯電微粒子水が及ぼす親水化作用によってその親水性を向上させる。この親水化処理については、実験結果等に基づいて後述する。
【0025】
付着物15の親水性を一定レベルまで高めた後に、上述した洗浄手段3を用いて収納ボックス2内で処理対象物1を水洗いすることで、手洗い等の面倒な作業を強いることなく、処理対象物1の付着物15を洗い落とすことができる。しかも、この親水化処理のために、特別な薬剤や大型の装置は不要であるため、一般家庭にあっても安価に且つ安全に設置可能となる。
【0026】
次に、帯電微粒子水による親水化処理について、更に詳述する。図3には、処理対象物1としてアルミ箔を用い、該アルミ箔の表面に付着物15としてカルナウバワックスを塗布し、このカルナウバワックスに対して静電霧化装置Aが噴霧する帯電微粒子水を10.5時間だけ継続して直曝させた場合の実験を示している。図4には、この直曝前後のカルナウバワックスのFT−IR分析の結果を示している。
【0027】
図4の上側は、帯電微粒子水を噴霧する前のカルナウバワックスのIR分析の結果であり、図4の下側は、帯電微粒子水を10.5時間噴霧させた後のカルナウバワックスのIR分析の結果である。図示のように、直曝前後を比較すると、直曝後は不飽和二重結合(−C=C−)とエステル結合が減少し、ヒドロキシ基(−OH)が増加していることが観測される。つまり、帯電微粒子水に含まれるヒドロキシラジカル等の活性種が作用することにより、カルナウバワックスの不飽和二重結合やエステル結合が減少して低分子化されるとともに、ヒドロキシ基が増加し、その結果としてカルナウバワックスの親水性が向上したことが示唆される。
【0028】
図5に示す別の実験は、処理対象物1として市販のグレープフルーツを用い、このグレープフルーツの表面に塗布した付着物15であるワックスに対して、静電霧化装置Aから帯電微粒子水を噴霧させる実験である。図6は、噴霧前後のFT−IR分析の結果を示すものであり、図7は、噴霧後に攪拌水洗いを行ったときの付着物15の残存量を示すものである。
【0029】
この実験では、容量8Lの収納ボックス2内に半割りのグレープフルーツを2個配置し、同じく収納ボックス2内に配置している静電霧化装置Aから収納ボックス2内に帯電微粒子水を継続的に噴霧させる。収納ボックス2の環境は、温度5℃、湿度99%であり、この収納ボックス2内において静電霧化装置Aを連続駆動させる。ここでは、収納ボックス2内に静電霧化装置Aを二つ配置しているので、1秒間に0.3×1016個程度の帯電微粒子水が連続的に噴霧される。
【0030】
図6には、帯電微粒子水を噴霧する前のワックスの分析結果と、帯電微粒子水を1日間に亘って噴霧させた後のワックスの分析結果を重ねて示している。図中に矢印で示すように、噴霧前後を比較すると、噴霧後は不飽和二重結合(−C=C−)が減少し、ヒドロキシ基(−OH)が増加していることが観測される。つまり、帯電微粒子水に含まれるヒドロキシラジカル等の活性種が作用することにより、ワックスの不飽和二重結合が減少して低分子化されるとともに、ヒドロキシ基が増加し、その結果としてワックスの親水性が向上したことが示唆される。
【0031】
図7(a)には、攪拌水洗いを行った後のワックス残存量を示しており、収納ボックス2内で1日間に亘って静電霧化装置Aを連続駆動させて帯電微粒子水を噴霧した場合と、2日間に亘って静電霧化装置Aを連続駆動させて帯電微粒子水を噴霧した場合とを、比較している。ここでの攪拌水洗いは、水を充填したビーカー中にグレープフルーツを浸し、約60回転/分の回転速度で1分間攪拌させることにより行う。
【0032】
図示のように、帯電微粒子水を噴霧しない場合には、上記方法の攪拌水洗いのみではワックスを洗い落とすことができない。これに対して、帯電微粒子水を1日間に亘って噴霧した場合には、噴霧後の攪拌水洗いによってワックスを69%除去できた。また、帯電微粒子水を2日間に亘って噴霧した場合には、噴霧後の攪拌水洗いによってワックスを70%除去できた。上記実験結果から、付着物15であるワックスは、所定量以上の帯電微粒子水を一定期間噴霧することによって親水性が向上し、これにより、水洗いによって容易に除去可能となっていることが分かる。
【0033】
図7(b)、(c)には、攪拌水洗いを行った後の防カビ剤の残存量を示している。図7(b)はイマザリルの残存量、(c)はTBZの残存量を示しているが、共にワックスと同様、攪拌水洗いのみでは洗い落とすことができないのに対して、帯電微粒子水を1日以上に亘って噴霧した場合には、攪拌水洗いで除去可能になることが分かる。防カビ剤はワックスに僅かな量だけ含有されているので、親水性に変性しているか否かの判断は難しいが、少なくともワックスと共に攪拌水洗いによって洗い落とされるものと考えられる。
【0034】
なお、ここで用いるグレープフルーツは、同一固体を半割りにした一方をワックス等の初期量測定に用い、他方を、帯電微粒子水の噴霧後に水洗いを行う処理対象物1として用いる。
【0035】
図8に示すまた別の実験では、容量70Lの収納ボックス2内に処理対象物1である半割りのグレープフルーツを3個配置し、収納ボックス2内に1個配置した静電霧化装置Aから、1秒間に0.15×1016個程度の帯電微粒子水を収納ボックス2内に噴霧するように設けている。収納ボックス2の環境は、温度5℃、湿度99%であり、この収納ボックス2内において静電霧化装置Aを連続駆動させている。図9は、攪拌水洗いによる付着物15の除去を説明するものであり、図10は、手洗い(擦り洗い)による付着物15の除去を説明するものである。ここで用いるグレープフルーツは、同一固体を半割りにした一方をワックスの初期量測定に用い、他方を帯電微粒子水の噴霧後に水洗いを行う処理対象物1として用いる。
【0036】
図9には、付着物15であるワックスに攪拌水洗いを行った後の残存量を示しており、収納ボックス2内で3日間に亘って静電霧化装置Aを連続駆動させて帯電微粒子水を噴霧した場合と、7日間に亘って静電霧化装置Aを連続駆動させて帯電微粒子水を噴霧した場合とを、比較している。ここでの攪拌水洗いは、図5等に示す実験と同様に、水を充填したビーカー中にグレープフルーツを浸し、約60回転/分の回転速度で一分間攪拌させることにより行う。
【0037】
図示のように、帯電微粒子水を3日間に亘って噴霧した場合には、噴霧後の攪拌水洗いによってワックスを37%除去でき、帯電微粒子水を7日間に亘って噴霧した場合には、噴霧後の攪拌水洗いによってワックスを33%除去できた。上記実験結果から、図5等に示す実験と比較して除去率は劣るものの、この条件で帯電微粒子水を3日程度継続して噴霧すれば攪拌水洗いで除去可能になることが分かる。
【0038】
図10には、帯電微粒子水を噴霧しない場合と、収納ボックス2内で3日間に亘って帯電微粒子水を噴霧した場合における、手洗いによるワックス除去量の違いを示している。図示のように、手洗いでワックスを除去するに際して、3日間に亘って帯電微粒子水を噴霧した場合には、帯電微粒子水を噴霧しない場合と比べて、10秒当たり約3.4倍の量でワックスを除去することができる。また、3日間に亘って帯電微粒子水を噴霧した場合には、ワックスを0.01mg/cm2だけ除去するために必要な手洗い時間を、帯電微粒子水を噴霧しない場合と比べて約74%短縮できることが分かる。
【0039】
なお、図5等に示す実験や図8等に示す実験では、市販のグレープフルーツに塗布されるワックスを付着物15としてこれに帯電微粒子水を噴霧しているが、このワックスはカルナウバワックス、シェラックロウ、蜜蝋又はこれらに類する適宜のワックスであると考えられる。図11には、市販のグレープフルーツに塗布されるワックスと、カルナウバワックスと、蜜蝋のFT−TR分析の結果を重ねて示しているが、図示のとおり、いずれもピークを示す波数が概一致している。
【符号の説明】
【0040】
1 処理対象物
2 収納ボックス
3 洗浄手段
6 霧化電極
7 対向電極
8 水供給手段
9 電圧印加手段
15 付着物
A 静電霧化装置
B 親水化装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、食物表面付着物の親水化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面の付着物を水洗いで除去するための装置として、例えば特許文献1には、青果物の表面に付着した塵埃、農薬等の付着物を洗浄処理することのできる洗浄装置が提案されている。上記洗浄装置は、青果物を水槽中に入れた状態で攪拌させることで、表面の付着物を除去するものである。
【0003】
ところで、柑橘類等はその表面にワックスを塗布した状態で販売されることが一般的であるが、このワックスのような付着物は、親水性が低いといった性質を有するため、水洗いで洗い落とすことが困難である。そのため、特許文献1に示すような従来の洗浄装置を用いても、簡単には洗い落とすことができない。加えて、特許文献1に示すような洗浄装置は大型であるため、一般家庭に備えるには不適である。
【0004】
したがって、特に一般家庭にあっては、表面に付着するワックス等の付着物を除去しようとするには、手作業で長時間をかけて擦り落とす必要があり、非常に面倒な作業が強いられることになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−269267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、ワックス等の親水性の低い付着物を、水洗いによって簡単に洗い流すことを可能とする食物表面付着物の親水化方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明を、霧化電極6に水を供給し、供給された前記水に電圧を印加してナノメータサイズの帯電微粒子水を発生させ、この帯電微粒子水を、表面に付着物15が塗布された食物に対して所定時間噴霧することで、付着物15の親水性を向上させることを特徴とする食物表面付着物の親水化方法とする。
【0008】
このようにすることで、予め一定時間だけ付着物15に帯電微粒子水を噴霧させておけば、その後は水洗いだけで簡単に付着物15を除去することができる。そして、このために特別な薬剤や大型の装置が必要になるわけではないので、一般家庭においても安全且つ安価に利用可能となる。
【0009】
本発明において、前記食物は柑橘類であり、前記付着物はワックスであることが好適である。
【0010】
また、本発明において、前記帯電微粒子水は、前記食物の収納された収納ボックス2内に噴霧することが好適である。
【0011】
このようにすることで、食物を収納した収納ボックス2内に帯電微粒子水を噴霧させておけば、その後は水洗いだけで簡単に付着物15を除去することができる。そして、このために特別な薬剤や大型の装置が必要になるわけではないので、一般家庭においても、収納ボックス2を床下収納庫等の食品収納庫として安全且つ安価に利用可能となる。
【0012】
本発明においては、付着物15の親水性を向上させた後の前記食物が配される収納ボックス2内に洗浄水を供給することも好適である。また、本発明においては、付着物15がワックスであり、このワックスに対して前記帯電微粒子水を所定時間継続して直曝させ、不飽和二重結合とエステル結合を減少させ、ヒドロキシ基を増加させることも好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、帯電微粒子水を噴霧することで付着物の親水性を向上させておき、これにより噴霧後は簡単な水洗いによって付着物を容易に洗い流すことができるといった効果を奏する。また、このようにするために特別な薬剤や大型の装置が不要であるから、一般家庭においても安全且つ安価に利用できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における一例の親水化装置を示す概略図である。
【図2】同上の静電霧化装置の構造を示す断面図である。
【図3】同上の静電霧化装置を用いた実験の説明図である。
【図4】同上の実験のIR結果を示すグラフ図である。
【図5】同上の静電霧化装置を用いた別の実験の説明図である。
【図6】同上の実験のIR結果を示すグラフ図である。
【図7】同上の実験の水洗い後の残存量を示すグラフ図であり、(a)はワックス残存量、(b)はイマザリル残存量、(c)はTBZ残存量である。
【図8】同上の静電霧化装置を用いた更に別の実験の説明図である。
【図9】同上の実験の水洗い後のワックス残存量を示すグラフ図である。
【図10】同上の実験の手洗い後のワックス除去量を示すグラフ図である。
【図11】各ワックスのIR結果を比較するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1には、本発明の実施形態における一例の食物表面付着物の親水化方法に用いる親水化装置Bを概略的に示している。
【0016】
この親水化装置Bは、静電霧化現象によって帯電微粒子水を大量に発生させて放出する静電霧化装置Aと、処理対象物1を収納しておく収納ボックス2とを備えており、更に、この収納ボックス2内に収納される処理対象物1を洗浄処理する洗浄手段3を具備している。以下、各構成について詳述する。
【0017】
まず、静電霧化装置Aについて説明する。本例の静電霧化装置Aは、図2に示すような各構成を装置ケース4内に収納し、装置ケース4に設けてある吐出口5から大量の帯電微粒子水を収納ボックス2内に噴霧させるものである。装置ケース4内には、棒状の霧化電極6と、霧化電極6の先端部6aに対向して位置する対向電極7と、霧化電極6に対して継続的に水を供給する水供給手段8と、この霧化電極6に供給された水に高電圧を印加することで静電霧化現象を生じさせる電圧印加手段9とを配置している。なお、本例の静電霧化装置Aは、1秒間に0.15×1016個(30μmol/l)の帯電微粒子水を発生させるように設けてある。
【0018】
上記水供給手段8は、空気中の水分を基に結露水を生成して霧化電極6に供給するものであって、冷却側および放熱側を有するペルチェユニット10と、ペルチェユニット10の冷却側に接続される冷却板11と、ペルチェユニット10の放熱側に接続される放熱板12とを有している。冷却板11には、霧化電極6の基端部6bを接続させている。また、放熱板12には更に放熱フィンを接続させてあってもよい。
【0019】
つまり、本例の静電霧化装置Aにあっては、霧化電極6を冷却して該霧化電極6の表面に結露水を直接的に生成させる。そして、ここで生じた結露水に対し、対向電極7との間でマイナスの高電圧を印加させることによって、霧化電極6の先端部6aにおいて所謂レイリー分裂を生じさせ、帯電微粒子水を継続的に発生させる。したがって、外部からの水供給は不要である。
【0020】
ここで生じる帯電微粒子水は、その粒径がナノメータサイズ(例えば10〜30ナノメータ)と非常に小さく、且つ、マイナス帯電したものである。また、帯電微粒子水中には、同時に生成されるヒドロキシラジカル等の活性種が含まれる。これらの活性種は非常に反応性に富み、通常は空気中に長時間存在することが困難であるが、帯電微粒子水にあっては水に保護された形で存在することから寿命が長くなっている。
【0021】
なお、静電霧化装置Aは帯電微粒子水を大量に生成できるものであればよく、図示の実施形態に限定されるわけではない。水供給手段8について言えば、タンク等の水貯留部から霧化電極6に水を順次搬送する等の、他の構成であってもよい。また、本例では霧化電極6と対を成す対向電極7を、霧化電極6から処理対象物1が位置する方向にむけて距離を隔てた箇所に配しているが、対向電極7を備えない構造としてもよい。対向電極7を備えない場合であっても、霧化電極6にマイナスの高電圧を印加することで帯電微粒子水を発生させることができる。但し、処理対象物1の付着物15に対して後述の親水化作用を十分に及ぼすためには、1秒間に0.15×1016個(30μmol/l)以上の帯電微粒子水を発生させることが好適である。
【0022】
次に、収納ボックス2やこれに収納される処理対象物1について説明する。上記収納ボックス2は、親水性の低い付着物15を表面に塗布してある処理対象物1を一つ又は複数収納した状態で、略密閉させておくものである。ここでは処理対象物1として、グレープフルーツやレモンといった柑橘類を一例として用いており、また、親水性の低い付着物15として、これら柑橘類の表面に塗布されるワックスを同じく一例として用いている。上記ワックスは、保護膜としての効果や艶出しの効果を発揮するものであり、カルナウバワックス、シェラックロウ、蜜蝋等が好適に用いられる。上記ワックスは疎水性であるために水を弾き、したがって、水洗いで簡単には洗い落とすことができない。
【0023】
次に、収納ボックス2に備える洗浄手段3について説明する。洗浄手段3は、洗浄水を溜め置いてある水タンク16と、水タンク16と収納ボックス2とを連通させる給水路17と、給水路17中に配される給水ポンプ18と、収納ボックス2内に配される攪拌機19と、収納ボックス2の底部に開口させてある開閉自在な排水口20とから成る。つまり、排水口20を閉じたうえで給水ポンプ18を用いて水タンク16中の洗浄水を収納ボックス2に供給し、処理対象物1を洗浄水に浸した状態(図中の想像線参照)にして攪拌機19を駆動させることにより、該処理対象物1が表面に有する付着物15を水洗いする構造になっている。洗浄完了後は、排水口20を開口させて排水を行う。
【0024】
上記構成から成る本例の親水化装置Bにおいては、まず適宜の処理対象物1を収納ボックス2内に収納しておき、この間継続的に静電霧化装置Aを駆動させて、収納ボックス2内に帯電微粒子水を大量に噴霧させておく。すると、処理対象物1表面にある親水性の低い付着物15は、大量の帯電微粒子水に継続的に晒されることとなり、帯電微粒子水が及ぼす親水化作用によってその親水性を向上させる。この親水化処理については、実験結果等に基づいて後述する。
【0025】
付着物15の親水性を一定レベルまで高めた後に、上述した洗浄手段3を用いて収納ボックス2内で処理対象物1を水洗いすることで、手洗い等の面倒な作業を強いることなく、処理対象物1の付着物15を洗い落とすことができる。しかも、この親水化処理のために、特別な薬剤や大型の装置は不要であるため、一般家庭にあっても安価に且つ安全に設置可能となる。
【0026】
次に、帯電微粒子水による親水化処理について、更に詳述する。図3には、処理対象物1としてアルミ箔を用い、該アルミ箔の表面に付着物15としてカルナウバワックスを塗布し、このカルナウバワックスに対して静電霧化装置Aが噴霧する帯電微粒子水を10.5時間だけ継続して直曝させた場合の実験を示している。図4には、この直曝前後のカルナウバワックスのFT−IR分析の結果を示している。
【0027】
図4の上側は、帯電微粒子水を噴霧する前のカルナウバワックスのIR分析の結果であり、図4の下側は、帯電微粒子水を10.5時間噴霧させた後のカルナウバワックスのIR分析の結果である。図示のように、直曝前後を比較すると、直曝後は不飽和二重結合(−C=C−)とエステル結合が減少し、ヒドロキシ基(−OH)が増加していることが観測される。つまり、帯電微粒子水に含まれるヒドロキシラジカル等の活性種が作用することにより、カルナウバワックスの不飽和二重結合やエステル結合が減少して低分子化されるとともに、ヒドロキシ基が増加し、その結果としてカルナウバワックスの親水性が向上したことが示唆される。
【0028】
図5に示す別の実験は、処理対象物1として市販のグレープフルーツを用い、このグレープフルーツの表面に塗布した付着物15であるワックスに対して、静電霧化装置Aから帯電微粒子水を噴霧させる実験である。図6は、噴霧前後のFT−IR分析の結果を示すものであり、図7は、噴霧後に攪拌水洗いを行ったときの付着物15の残存量を示すものである。
【0029】
この実験では、容量8Lの収納ボックス2内に半割りのグレープフルーツを2個配置し、同じく収納ボックス2内に配置している静電霧化装置Aから収納ボックス2内に帯電微粒子水を継続的に噴霧させる。収納ボックス2の環境は、温度5℃、湿度99%であり、この収納ボックス2内において静電霧化装置Aを連続駆動させる。ここでは、収納ボックス2内に静電霧化装置Aを二つ配置しているので、1秒間に0.3×1016個程度の帯電微粒子水が連続的に噴霧される。
【0030】
図6には、帯電微粒子水を噴霧する前のワックスの分析結果と、帯電微粒子水を1日間に亘って噴霧させた後のワックスの分析結果を重ねて示している。図中に矢印で示すように、噴霧前後を比較すると、噴霧後は不飽和二重結合(−C=C−)が減少し、ヒドロキシ基(−OH)が増加していることが観測される。つまり、帯電微粒子水に含まれるヒドロキシラジカル等の活性種が作用することにより、ワックスの不飽和二重結合が減少して低分子化されるとともに、ヒドロキシ基が増加し、その結果としてワックスの親水性が向上したことが示唆される。
【0031】
図7(a)には、攪拌水洗いを行った後のワックス残存量を示しており、収納ボックス2内で1日間に亘って静電霧化装置Aを連続駆動させて帯電微粒子水を噴霧した場合と、2日間に亘って静電霧化装置Aを連続駆動させて帯電微粒子水を噴霧した場合とを、比較している。ここでの攪拌水洗いは、水を充填したビーカー中にグレープフルーツを浸し、約60回転/分の回転速度で1分間攪拌させることにより行う。
【0032】
図示のように、帯電微粒子水を噴霧しない場合には、上記方法の攪拌水洗いのみではワックスを洗い落とすことができない。これに対して、帯電微粒子水を1日間に亘って噴霧した場合には、噴霧後の攪拌水洗いによってワックスを69%除去できた。また、帯電微粒子水を2日間に亘って噴霧した場合には、噴霧後の攪拌水洗いによってワックスを70%除去できた。上記実験結果から、付着物15であるワックスは、所定量以上の帯電微粒子水を一定期間噴霧することによって親水性が向上し、これにより、水洗いによって容易に除去可能となっていることが分かる。
【0033】
図7(b)、(c)には、攪拌水洗いを行った後の防カビ剤の残存量を示している。図7(b)はイマザリルの残存量、(c)はTBZの残存量を示しているが、共にワックスと同様、攪拌水洗いのみでは洗い落とすことができないのに対して、帯電微粒子水を1日以上に亘って噴霧した場合には、攪拌水洗いで除去可能になることが分かる。防カビ剤はワックスに僅かな量だけ含有されているので、親水性に変性しているか否かの判断は難しいが、少なくともワックスと共に攪拌水洗いによって洗い落とされるものと考えられる。
【0034】
なお、ここで用いるグレープフルーツは、同一固体を半割りにした一方をワックス等の初期量測定に用い、他方を、帯電微粒子水の噴霧後に水洗いを行う処理対象物1として用いる。
【0035】
図8に示すまた別の実験では、容量70Lの収納ボックス2内に処理対象物1である半割りのグレープフルーツを3個配置し、収納ボックス2内に1個配置した静電霧化装置Aから、1秒間に0.15×1016個程度の帯電微粒子水を収納ボックス2内に噴霧するように設けている。収納ボックス2の環境は、温度5℃、湿度99%であり、この収納ボックス2内において静電霧化装置Aを連続駆動させている。図9は、攪拌水洗いによる付着物15の除去を説明するものであり、図10は、手洗い(擦り洗い)による付着物15の除去を説明するものである。ここで用いるグレープフルーツは、同一固体を半割りにした一方をワックスの初期量測定に用い、他方を帯電微粒子水の噴霧後に水洗いを行う処理対象物1として用いる。
【0036】
図9には、付着物15であるワックスに攪拌水洗いを行った後の残存量を示しており、収納ボックス2内で3日間に亘って静電霧化装置Aを連続駆動させて帯電微粒子水を噴霧した場合と、7日間に亘って静電霧化装置Aを連続駆動させて帯電微粒子水を噴霧した場合とを、比較している。ここでの攪拌水洗いは、図5等に示す実験と同様に、水を充填したビーカー中にグレープフルーツを浸し、約60回転/分の回転速度で一分間攪拌させることにより行う。
【0037】
図示のように、帯電微粒子水を3日間に亘って噴霧した場合には、噴霧後の攪拌水洗いによってワックスを37%除去でき、帯電微粒子水を7日間に亘って噴霧した場合には、噴霧後の攪拌水洗いによってワックスを33%除去できた。上記実験結果から、図5等に示す実験と比較して除去率は劣るものの、この条件で帯電微粒子水を3日程度継続して噴霧すれば攪拌水洗いで除去可能になることが分かる。
【0038】
図10には、帯電微粒子水を噴霧しない場合と、収納ボックス2内で3日間に亘って帯電微粒子水を噴霧した場合における、手洗いによるワックス除去量の違いを示している。図示のように、手洗いでワックスを除去するに際して、3日間に亘って帯電微粒子水を噴霧した場合には、帯電微粒子水を噴霧しない場合と比べて、10秒当たり約3.4倍の量でワックスを除去することができる。また、3日間に亘って帯電微粒子水を噴霧した場合には、ワックスを0.01mg/cm2だけ除去するために必要な手洗い時間を、帯電微粒子水を噴霧しない場合と比べて約74%短縮できることが分かる。
【0039】
なお、図5等に示す実験や図8等に示す実験では、市販のグレープフルーツに塗布されるワックスを付着物15としてこれに帯電微粒子水を噴霧しているが、このワックスはカルナウバワックス、シェラックロウ、蜜蝋又はこれらに類する適宜のワックスであると考えられる。図11には、市販のグレープフルーツに塗布されるワックスと、カルナウバワックスと、蜜蝋のFT−TR分析の結果を重ねて示しているが、図示のとおり、いずれもピークを示す波数が概一致している。
【符号の説明】
【0040】
1 処理対象物
2 収納ボックス
3 洗浄手段
6 霧化電極
7 対向電極
8 水供給手段
9 電圧印加手段
15 付着物
A 静電霧化装置
B 親水化装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化電極に水を供給し、供給された前記水に電圧を印加してナノメータサイズの帯電微粒子水を発生させ、この帯電微粒子水を、表面に付着物が塗布された食物に対して所定時間噴霧することで、前記付着物の親水性を向上させることを特徴とする食物表面付着物の親水化方法。
【請求項2】
前記食物は柑橘類であり、前記付着物はワックスであることを特徴とする請求項1記載の食物表面付着物の親水化方法。
【請求項3】
前記帯電微粒子水は、前記食物の収納された収納ボックス内に噴霧することを特徴とする請求項1又は2記載の食物表面付着物の親水化方法。
【請求項4】
前記付着物の親水性を向上させた後の前記食物が配される収納ボックス内に洗浄水を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の食物表面付着物の親水化方法。
【請求項5】
前記付着物はワックスであり、このワックスに対して前記帯電微粒子水を所定時間継続して直曝させ、不飽和二重結合とエステル結合を減少させ、ヒドロキシ基を増加させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の食物表面付着物の親水化方法。
【請求項1】
霧化電極に水を供給し、供給された前記水に電圧を印加してナノメータサイズの帯電微粒子水を発生させ、この帯電微粒子水を、表面に付着物が塗布された食物に対して所定時間噴霧することで、前記付着物の親水性を向上させることを特徴とする食物表面付着物の親水化方法。
【請求項2】
前記食物は柑橘類であり、前記付着物はワックスであることを特徴とする請求項1記載の食物表面付着物の親水化方法。
【請求項3】
前記帯電微粒子水は、前記食物の収納された収納ボックス内に噴霧することを特徴とする請求項1又は2記載の食物表面付着物の親水化方法。
【請求項4】
前記付着物の親水性を向上させた後の前記食物が配される収納ボックス内に洗浄水を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の食物表面付着物の親水化方法。
【請求項5】
前記付着物はワックスであり、このワックスに対して前記帯電微粒子水を所定時間継続して直曝させ、不飽和二重結合とエステル結合を減少させ、ヒドロキシ基を増加させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の食物表面付着物の親水化方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−106614(P2013−106614A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−26918(P2013−26918)
【出願日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【分割の表示】特願2008−235492(P2008−235492)の分割
【原出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【分割の表示】特願2008−235492(P2008−235492)の分割
【原出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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