説明

食用大根の葉から抽出した大根葉抽出液含有の皮膚保護美容洗浄用品

【課題】 アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を持つ人が急増しており、またそれに対する様々な対処療法的商品が次々に開発され、多くの人に使用されている昨今、環境負荷が小さく、長く使えて且つ皮膚に対する保湿効果、免疫能増強効果の高い洗浄剤、化粧品、浴用剤の開発が必要であり、これを提供することを課題とする。
【解決手段】 通常廃棄されている食用大根の葉を用いて、大根葉抽出液を得る。これを洗浄剤、化粧品、浴用剤に配合することにより乾燥肌、アトピー性皮膚炎、にきび、酒さ日光皮膚炎など種々の皮膚疾患の改善が期待できる。また廃棄物を利用することから環境負荷が小さく、社会的にも長期にわたって使用することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔、全身の皮膚、及び頭皮の保湿、免疫能の増強に効果を発揮する大根葉抽出液を含有する洗浄剤、化粧品、浴用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年アトピー性皮膚炎や、乾燥性敏感肌など、肌に何らかのトラブルを持つ人が急増している。この原因としては食生活、大気の乾燥や汚染、紫外線、清潔志向による過度の洗浄などが考えられるが、これに対応する方法として従来ではビタミンやサプリメントを摂取したり、保湿クリームや日焼け止めクリーム、よりマイルドな洗浄剤を用いるといった対処療法的な製品を用いるのが主流であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、以上の従来技術によれば、化学薬品使用によるアレルギーやかえって肌荒れを起こす場合も見受けられ、その結果、より良い効果効能を求めて次々と新製品を試し、そのことがより症状を悪化させる原因になっている場合も多い。
【0004】
また、昔はほとんど無かったアトピー性皮膚炎などの急激な増加を見るとそのような快適さ、簡便さを求める限りない欲望のために、地球環境が悪化の一途を辿っており、それがめぐりめぐって、肌のトラブルの一因にもなっていると考えられる。
【0005】
従って、肌のトラブルの抜本的、永久的解決のためには、なるべく環境に負荷をかけずに安定的に供給することができ、天然由来の成分からなる、一生涯にわたって使用できる洗浄剤、化粧品、浴用剤を提供することが必要である。
【0006】
その洗浄剤、化粧品、浴用剤は単に天然由来成分からできているということだけでなく、すでにトラブルを起こしている肌に対して、緩和効果や自らの免疫能を高めることによる治療効果を持つものであればなお良い。
【0007】
そこで本発明は、洗浄剤、化粧品、浴用剤に配合することにより保湿効果や免疫力増強効果を発揮し、環境に負荷をかけずに安定的に供給できる天然由来の抽出物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
出荷される際、大量に廃棄されている食用大根の葉から抽出したエキスを洗浄剤、化粧品、浴用剤に配合する。この時、配合する洗浄剤、化粧品、浴用剤のその他の成分としては、なるべく余計な化学物質を含まず、例えば洗浄剤に必要となる界面活性剤としては純石鹸のような天然由来の成分のみからなることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
大根葉抽出液の効果により、これを配合した洗浄剤、化粧品、浴用剤にすぐれた保湿作用、免疫能増強作用が見られ、乾燥肌、アトピー性皮膚炎、にきび、酒さ、日光皮膚炎などの皮膚疾患の改善が期待できる。
【0010】
健康な皮膚を持つ人に対しても、しっとりとした感触と、大根葉特有の匂いにより、今までにない自然な感覚の洗浄剤、化粧品、浴用剤として一生涯にわたって快適に使うことができ、健康な皮膚を保つことが可能となる。
【0011】
通常廃棄されている大根の葉部分を利用することにより、限りある資源の有効活用ができ、環境負荷を減らすことができる。
【0012】
上記大根葉抽出液を配合した石鹸を2歳から76歳までのアトピー性皮膚炎などの症状で病院に通院している患者89人(男性32人、女性57人)に試験的に使用してもらったところ、使用感について89人中78人が大変良かった、もしくは良かったと回答し、そのうち65人がカサカサ感の軽減効果、9人がかゆみの軽減効果があったと回答した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
出荷される際に切り落とされる大根の葉を吊り干しにして完全に乾燥させる。これにより成分が凝縮され、細胞壁が壊れるため、より濃厚な有効成分を含む抽出液を効率的に抽出することが可能となる。乾燥させる場所は日光が当たるところでも、当たらないところでもどちらでも良いが、日光の照射により大根葉の成分に変化が生じ、より有効な成分が生成する可能性もある。また、この乾燥大根葉は保存性に優れ、大根の収穫期に大量に乾燥させて保存しておくことにより、常に安定供給が可能となる。
【0014】
乾燥大根葉を適当な溶媒に浸漬して抽出する。溶媒は、環境負荷をなるべくかけないという観点から水が最も望ましいが、より有効成分を効率的に抽出するためにアルコール類などを利用することも可能である。しかしながら水による抽出で十分な効果が得られることから、出来るだけ水を利用することが望ましい。
【0015】
抽出に用いる溶媒の量は乾燥大根葉の12倍から30倍を用いる。抽出温度は常温から溶媒の沸点付近までが考えられるが、有効成分の抽出される量と効率の観点から60度から70度くらい、抽出時間は1時間から2時間程度が望ましい。ろ過して、ろ液を大根葉抽出液とする。
【0016】
こうして得られた大根葉抽出液をそのまま、あるいは必要に応じて濃縮、希釈または乾燥粉末状として種々の洗浄剤、化粧品、浴用剤に配合する。
【実施例】
【0017】
ここでは大根葉抽出液を配合した固形石鹸について説明する。オリーブ油、パーム核油、パーム油などからなる油脂に、油脂の鹸化価から計算したアルカリ当量の90パーセントから95パーセントの水酸化ナトリウムを、油脂重量に対し15パーセントから17パーセントの水で溶解した水溶液をゆっくり添加し、鹸化反応を行う。このとき油脂と水酸化ナトリウム溶液はともに、40度から45度付近に調整しておいたものを用いる。
【0018】
やや間をおいて、油脂重量の15パーセントから17パーセントの大根葉抽出液を40度から45度に加温したものをゆっくりと反応溶液に添加する。このとき反応溶液の温度が5度から10度くらい上昇する。
【0019】
少しずつ粘度が増加するが、適当なところで型に流し込み、24時間以上保温する。このとき反応熱が急激に発生し、内温が60度から80度に達するが、この熱が反応を促進するため、熱を逃がさないように厳重に保温する。
【0020】
24時間以上経過後、型から取り出して、風通しのよいところで50日以上乾燥させる。この50日というのは、出来上がった石鹸に含まれている水分が蒸発することによる重量の減少がほぼ止まるまでの目安であり、季節や環境により変化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用大根の葉から抽出した大根葉抽出液含有の皮膚保護美容洗浄用品
【請求項2】
請求項1に記載の大根葉抽出液を含有することを特徴とする洗浄剤
【請求項3】
請求項1に記載の大根葉抽出液を含有することを特徴とする化粧品
【請求項4】
請求項1に記載の大根葉抽出液を含有することを特徴とする浴用剤

【公開番号】特開2007−186484(P2007−186484A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28945(P2006−28945)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(505381817)
【Fターム(参考)】