説明

食用油及び当該食用油で製造した食品

【課題】食品に未精製オリーブオイルの風味を付与でき、かつ未精製オリーブオイルブレンド油と同油を用いた食品の外観(色)を良好に保持できる食用油及び当該食用油を用いて製造した食品を提供する。
【解決手段】精製グレープシードオイルを10〜40質量%、未精製のオリーブオイルを3〜30質量%、精製グレープシードオイル以外の精製植物油を30〜87質量%含有し、前記精製グレープシードオイルの色が青0.1〜2.0(ロビボンド法(25.4mmセル))の範囲である。当該食用油を用いて製造した卵料理食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用油及び当該食用油で製造した食品に関するものであり、特に、グレープシードオイル、未精製のオリーブオイルを含有する食用油及び当該食用油で製造した食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
未精製のオリーブオイルは、その独特の風味から、様々な料理に使用されるほか、ドレッシング等の食品にも利用されている。また、未精製のオリーブオイルは、緑系の色を有し、その色がオリーブのイメージと重なり好まれる。一方、グレープシードオイルは、ぶどう種子から搾油される油で、フランス、イタリア、チリ等でワインの副生産物として搾油・精製されて流通している。グレープシードオイルは、精製油でも緑から青系の色彩を持ち、深みのある風味を持つ油である。
【0003】
しかし、未精製のオリーブオイルの風味を生かして、調理を行うと暗い色の食品となる問題点がある。特に、卵を用いた食品では暗い発色又は緑から青色系の発色になり、食品の外観を損なう問題点が発生する。
【0004】
一方、未精製のオリーブオイルをブレンドする例として、未精製オリーブオイルと精製オリーブオイルとを質量比約1:19〜3:7(前者:後者)でブレンドされたピュアオリーブオイルが用いられることもあり、質量比3:7でブレンドされたピュアオリーブオイルなどが一般的に流通している。また、ドレッシング中の食用油にオリーブオイルが3〜5%含まれているセパレートドレッシングが知られている(特許文献1参照)。この上層の食用油には、オリーブオイルのほか、大豆油、綿実油、コーン油、コメ油、ゴマ油等の食用に供しうる液状油を用いることができることが記載されている(特許文献1の段落〔0008〕参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−197467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、未精製のオリーブオイルが多いと、卵を用いる食品の外観(色)を損ない、未精製のオリーブオイルが少ないと、未精製オリーブブレンド油の外観(色)も損なわれ、さらに未精製オリーブオイルの風味が弱く、調理品に良好な風味を付与することが難しい。
【0007】
従って、本発明の目的は、食品に未精製オリーブオイルの風味を付与でき、かつ未精製オリーブオイルブレンド油と同油を用いた食品の外観(色)を良好に保持できる、未精製オリーブオイルブレンド油及び当該食用油を用いて製造した食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、精製グレープシードオイルを10〜40質量%、未精製のオリーブオイルを3〜30質量%、精製グレープシードオイル以外の精製植物油を30〜87質量%含有し、前記精製グレープシードオイルの色が青0.1〜2.0(ロビボンド法(25.4mmセル))の範囲であることを特徴とする食用油を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記目的を達成するために、上記本発明の食用油を用いて製造したことを特徴とする食品を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記目的を達成するために、上記本発明の食用油を卵料理に用いる方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、未精製オリーブオイルの良好な風味を付与でき、かつ、未精製オリーブオイルブレンド油とそれを用いた食品の良好な外観(色)を良好に保持できる、未精製オリーブオイルブレンド油及び当該食用油を用いて製造した食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔本発明の実施の形態に係る食用油〕
本発明の実施の形態に係る食用油は、精製グレープシードオイルを10〜40質量%、未精製のオリーブオイルを3〜30質量%、精製グレープシードオイル以外の精製植物油を30〜87質量%含有し、前記精製グレープシードオイルの色が青0.1〜2.0(ロビボンド法(25.4mmセル))の範囲であることを特徴とする。
【0013】
(精製グレープシードオイル)
本発明の実施の形態に係る食用油に含有される精製グレープシードオイルは、ぶどう種子を、ヘキサン等の有機溶媒で抽出した粗油を、一般的な食用油の精製方法、例えば、リン酸を用いた脱ガム工程、アルカリもしくは蒸留による脱酸工程、白土を用いた脱色工程、減圧脱臭工程を経たものを用いる。また、必要に応じて脱ロウ工程を行っても良い。本発明で用いられる精製グレープシードオイルは、フランス、チリ、スペイン、イタリア等で流通しているグレープシードオイルを用いることができるが、グレープシードオイルの色がロビボンド比色計(25.4mmセル:1インチセル)で測定したときに青の値(B値)が0.1〜2.0の範囲である必要があり、2.0を超えるものは、卵料理において緑から青の外観となり、好ましくない。B値が2.0を超えるものは、再度、脱色工程及び脱臭工程を行うことでB値を0.1〜2.0の範囲に収める必要がある。なお、B値はブレンド油及び卵料理品の外観上0.1〜1.5が好ましく、最も好ましくは0.1〜1.0である。
【0014】
本発明でグレープシードオイルの色は、基準油脂分析試験法(日本油化学会制定:2.2.1.1−1996 色(ロビボンド法))にて測定される青の値(B値)を用いる。なお、ガラスセルは25.4mm(1インチ)のガラスセルを用いて測定される。
【0015】
食用油中の精製グレープシードオイルの含有量は、10〜40質量%である。外観、風味上、より好ましいのは25〜35質量%である。
【0016】
(未精製のオリーブオイル)
本発明の実施の形態に係る食用油に含有される未精製のオリーブオイルとしては、エキストラバージンオリーブオイル、バージンオリーブオイル、オーディナリーバージンオリーブオイル等(名称は国際オリーブオイル協会の定めた基準によるもの)を用いることができる。
【0017】
未精製のオリーブオイルと精製オリーブオイルをブレンドしたオリーブオイルを食用油に含有させるオイルの一部として用いることもできる。そのブレンドの質量比は限定されるものではないが、例えば、未精製のオリーブオイルと精製オリーブオイルをブレンドして市販されているピュアオリーブオイル(未精製のオリーブオイル:精製のオリーブオイル=約1:19〜3:7)を用いることができる。
【0018】
未精製のオリーブオイルは、酸度3.3以下のものが好ましく、中でも、エキストラバージンオリーブオイル及び/又はバージンオリーブオイルを用いることが好ましい。エキストラバージンオリーブオイルを用いることが風味の点で特に好ましい。
【0019】
未精製のオリーブオイルは選別・洗浄されたオリーブ果実を粉砕・攪拌し、油と絞り粕に分離することで、製造することができる。分離には現在主流になっている「遠心分離法」に加え、昔ながらの伝統的製法である「圧搾法」も用いることができる。
なお、未精製オリーブオイルは必要に応じて、ろ過が行われるが、脱酸処理、脱色処理、脱臭処理を経ていないオリーブオイルである。
【0020】
未精製のオリーブオイルの原料に使用するオリーブ果実は、特に限定されるものではなく、国産であっても欧州等の外国産であっても使用できる。
【0021】
食用油中の未精製オリーブオイルの含有量は、3〜30質量%である。当該含有量は、3〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。
【0022】
(精製植物油)
本発明の実施の形態に係る食用油に含有される精製植物油は、グレープシードオイル以外の精製された植物油であればよく、例えば、精製オリーブオイル、精製大豆油、精製なたね油、精製コーン油、精製ひまわり油、精製紅花油などの他、これらのエステル交換油、ブレンド油などが挙げられる。これらの精製植物油を、1種又は2種以上配合して用いることができる。精製植物油は搾油処理および精製処理を施すことにより得ることができる。搾油処理は物理的な圧搾法と有機溶剤を用いる抽出方法とがあり、一方または両方を使用できる。精製処理は一般の製油工程に施される脱ガム処理、アルカリ脱酸処理、活性炭や白土による脱色処理、および減圧脱臭処理を適宜採用できる。特に、脱色処理、減圧脱臭処理を行うことが雑味・臭いを除去する上で好ましい。本発明の目的を達成させるためには十分に精製されていることが望ましい。特に、精製オリーブオイルが好ましい。
【0023】
食用油中の精製植物油の含有量は、30〜87質量%である。当該含有量は、50〜86質量%がより好ましく、57〜86質量%がより好ましく、60〜86質量%がより好ましく、60〜77が更に好ましく、65〜75質量%であることが最も好ましい。
【0024】
(食用油)
本発明の実施の形態に係る食用油は、色が青0.1〜2.0(ロビボンド法(25.4mmセル))である精製グレープシードオイルを10〜40質量%と、公知の方法により製造した未精製のオリーブオイルを3〜30質量%と、公知の方法により製造した精製植物油を30〜87質量%とをブレンドすることにより製造できる。この時、精製植物油として精製オリーブオイルを配合することができるが、その場合、未精製オリーブオイルと精製オリーブオイルを配合したピュアオリーブオイルとして配合することが好ましい。なお、上記範囲内で、別の植物油を配合することができる。
【0025】
〔本発明の実施の形態に係る食品〕
本発明の実施の形態に係る食品は、上述の本発明の実施の形態に係る食用油を含有することを特徴とする。
【0026】
本発明の実施の形態に係る食品としては、特に限定されるものではないが、例えば、マヨネーズ、マーガリン、ファットスプレット、分離型ドレッシング、乳化ドレッシング、アイスクリーム、クリーム等の乳化油脂組成物、カツ、コロッケ、天ぷら、フライドチキン、フライドポテトなどの揚げ物のほか、野菜炒め、チャーハンなどの炒め物、洋菓子類、麺類、飲料が挙げられる。特に、卵を用いるスクランブルエッグ、マヨネーズ等の卵料理食品に好ましく適用される。これらの食品は、それぞれ通常の製法にて製造することができる。
【0027】
また、食品中における本発明の食用油の使用量は、食品中に加えられる油脂の60〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは70〜100質量%であり、さらに好ましくは80〜100質量%である。最も好ましくは90〜100質量%である。
【0028】
〔本発明の実施の形態の効果〕
本発明の実施の形態によれば、食品に未精製オリーブオイルの良好な風味を付与でき、かつ、未精製オリーブオイルブレンド油とそれを用いた食品の良好な外観(色)を良好に保持できる、未精製オリーブオイルブレンド油及び当該食用油を用いて製造した食品を提供することができる。
【0029】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
〔食用油〕
「未精製オリーブオイル」は、MIGUEL GALLEGO, S.A.製のエキストラバージンオリーブオイルを用い、「精製オリーブオイル」は、同エキストラバージンオリーブオイルを精製することにより製造した精製オリーブオイルを用いた(精製処理は、アルカリ脱酸処理、脱色処理(活性白土1%)、減圧脱臭処理(240℃、90分)を行った)。「精製大豆油」は、日清大豆サラダ油(商品名:日清オイリオグループ株式会社製)を用いた。「精製グレープシードオイル(1)」は、チリ産の精製グレープシードオイルであり、「精製グレープシードオイル(2)」「精製グレープシードオイル(3)」は、精製グレープシードオイル(1)を、表1の脱色剤で脱色処理を行い、減圧脱臭処理(220℃、90分)を行ったものである。「精製グレープシードオイル(4)」は、フランス産の精製グレープシードオイルを、表1の脱色剤で脱色処理を行い、減圧脱臭処理(220℃、90分)を行ったものである。表1に各精製グレープシードの色を示す。色はロビボンド比色計(25.4mm(1インチ)ガラスセル)にて測定した青の値(B値)である。
【0031】
【表1】

【0032】
<スクランブルエッグの評価(1)>
(1)フライパンに表2に記載の配合にて製造した食用油(大さじ1)を入れ、中火で熱し、卵(4個)、表2に記載の食用油(大さじ2)、塩(1g)、こしょう(少々)を加えてよく混ぜたものを流し込み、フライパンをゆすりながらスクレイパーで混ぜて、スクランブルエッグを得た。
(2)計10名のパネルが、スクランブルエッグの外観を卵の色がよく発色し美味しく見える順に順位付けした(最も良好なもの:1点、2番目に良好なもの:2点、3番目に良好なもの:3点、4番目に良好なもの:4点)。10人の合計を外観の点数とした。
(3)計10名のパネルが、スクランブルエッグを食し、未精製オリーブオイルの風味を感じ、且つ美味しいものを順位付けした(最も良好なもの:1点、2番目に良好なもの:2点、3番目に良好なもの:3点、4番目に良好なもの:4点)。10人の合計を風味の点数とした。
【0033】
【表2】

【0034】
スクランブルエッグは、合計点数が低いほど好ましく、実施例1及び2は、比較例1、2に比べて外観が良好であった。また、風味についても、比較例2より、実施例1及び2は優れていた。
【0035】
<スクランブルエッグの評価(2)>
表3に記載の配合にて製造した食用油を用いて、スクランブルエッグの評価(1)と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0036】
【表3】

※比較例3の配合された食用油は、非常に濃い色である。
【0037】
スクランブルエッグは、実施例3〜5は、比較例3に比べて、外観、風味とも良好であった。
【0038】
<マヨネーズの評価>
表4に記載の配合にて製造した食用油180g、卵55g、食酢23g、食塩2g、マスタード1g、砂糖1gをフードプロセッサーを用いよく攪拌してマヨネーズを製造した。外観、風味を表4に示す。
【0039】
【表4】

※比較例4の配合された食用油は、非常に濃い色である。
【0040】
マヨネーズは、実施例6〜8は、比較例4に比べて、外観、風味とも良好であった。特に、比較例4は、マヨネーズとして外観に違和感があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製グレープシードオイルを10〜40質量%、未精製のオリーブオイルを3〜30質量%、精製グレープシードオイル以外の精製植物油を30〜87質量%含有し、前記精製グレープシードオイルの色が青0.1〜2.0(ロビボンド法(25.4mmセル))の範囲であることを特徴とする食用油。
【請求項2】
前記精製植物油が精製オリーブオイルであることを特徴とする請求項1に記載の食用油。
【請求項3】
請求項1又は2記載の食用油を用いて製造したことを特徴とする食品。
【請求項4】
前記食品が卵料理食品であることを特徴とする請求項3記載の食品。
【請求項5】
請求項1又は2記載の食用油を卵料理食品に用いる方法。

【公開番号】特開2012−139111(P2012−139111A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291899(P2010−291899)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】