説明

食虫植物模型及び食虫植物鉢植え模型

【課題】食虫植物模型としての外観を損なわず食虫植物の動きに似た動作を行う食虫植物模型を提供すること。
【解決手段】食虫植物模型2は、茎部20と、枢軸部32を挟んで配される一対の葉片部33を有する断面略V字状の葉部30を備える。葉部30の外形形状に合わせて葉部30の内部に蝶番35が配される。蝶番35は、葉部30の枢軸部32に対応する固定軸部51と、固定軸部51に連結され、一対の葉片部33の内部に位置する一対のプレート部52を備える。一対のプレート部52は、固定軸部51を回転軸として回動することにより互いのなす角度が変化する。一対のプレート部52に、茎部20の内部を通る線状部材38が連結される。線状部材38は、制御回路100により、一対のプレート部52に対して閉方向への付勢力を印加する動作が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハエトリグサで代表される食虫植物を模した食虫植物模型、及び、食虫植物を鉢植したときの形態を模した食虫植物鉢植え模型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食虫植物模型として、特許文献1に記載される食虫植物模型が提案されている。この食虫植物模型は、一対の葉片部を有する葉部に対し、各葉片部の裏面側に蝶番の一方のプレート部を装着し、このプレート部を昇降可能な断面コ字状の支持部材によって下方から支持すると共に、支持部材の内部に配されるアーム部材に蝶番の他方のプレート部を固定しておき、ソレノイドを駆動源として支持部材を上昇させることによって蝶番の上記一方のプレート部を回動させ、一対の葉片部が互いに接近して葉部が閉じるよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−56637公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の食虫植物模型によると、少なくとも支持部材が外部に露出する構成であるため、外観を損なうことになり、外観を損なわないようにするためには支持部材を隠すための特別な対策が必要とされる。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、食虫植物模型としての外観を損なわず食虫植物の動きに似た動作を行う食虫植物模型を提供し、また、食虫植物を鉢植したときの形態を模した食虫植物鉢植え模型を提供することを目的とし、ひいては、実物を使用しないで食虫植物の捕虫動作を説明するための食虫植物展示会での展示品、小学校等における理科の教材としての利用や、人の心を和やかにし穏やかな気持ちにさせることができる癒し系のグッズとしての利用を図ることができる食虫植物模型及び食虫植物鉢植え模型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の食虫植物模型は、茎部と、該茎部の先端に配される葉部であって、枢軸部と該枢軸部を挟んで配される一対の葉片部とを有する断面略V字状の葉部と、該葉部の外形形状に合わせて該葉部の内部に配される蝶番であって、前記葉部の枢軸部に対応する固定軸部と、該固定軸部に連結され、前記一対の葉片部の内部に位置する一対のプレート部であって、前記固定軸部を回転軸として回動することにより互いのなす角度が変化する一対のプレート部とを有する蝶番と、前記一対のプレート部に連結されて前記茎部の内部を通る線状部材であって、制御回路により、前記一対のプレート部に対して閉方向への付勢力を印加する動作が制御される線状部材と、を備えることを基本的特徴とする。
【0007】
ここで、食虫植物模型は、前記一対の葉片部の各々の内部に位置する導電性部材であって、棘挿通孔を有する導電性部材と、前記棘挿通孔内を前記導電性部材と接触しないように通り、前記一対の葉片部の互いに対向する側の面から突出するよう設けられる弾性変形可能な棘部材であって、弾性変形したとき前記導電性部材と接触し得る導電性弾性部材からなる棘部材と、を備え、前記制御回路は、前記棘部材が外部荷重により弾性変形して前記導電性部材と接触したことを検出すると、前記一対のプレート部に対し閉方向への付勢力を印加するよう前記線状部材の動作を制御する。
【0008】
前記線状部材は、ループ部と、該ループ部から延びる線部とを有し、前記ループ部は、前記一対のプレート部の各々に穿設された線挿通孔と各プレート部における茎部寄りの端部とを経由するループを描き、前記線部は、前記ループ部の下端部と結線される。
【0009】
前記線部の端部であって、前記ループ部側に位置しない端部は、固定されていると共に、前記線部の少なくとも一部は、通電により収縮する可変長部により構成され、該可変長部が収縮することに基づき、前記ループ部により、前記一対のプレート部に対し閉方向への付勢力が印加される。
【0010】
前記制御回路は、前記棘部材が外部荷重により弾性変形して前記導電性部材と接触したことを検出すると、前記線状部材の前記可変長部に対して通電を行い、前記可変長部を収縮させる。
【0011】
前記可変長部への通電は、前記棘部材と前記導電性部材とが第1回目に接触した第1時点から第1所定時間が経過する前に前記棘部材と前記導電性部材との接触状態が解除されること、及び、前記第1回目の接触が終了した第2時点から第2所定時間が経過する前に前記棘部材と前記導電性部材とが第2回目の接触をすることを条件とし、前記棘部材と前記導電性部材とが前記第2回目の接触をした第3時点で開始される。
【0012】
前記可変長部への通電は、前記第3時点から第3所定時間が経過した第4時点で停止する。
【0013】
前記可変長部への通電は、前記第3時点から前記第4時点までの間において、電流値が減少する。
【0014】
前記第4時点以後において、前記第3時点から第4所定時間が経過するまでの間、前記可変長部への通電は行わない。
【0015】
前記制御回路は、所定のタイミングで音声発生装置から外部に向けて所定の音声を発生させる。
【0016】
前記葉部に発光ダイオードを配設し、前記制御回路は、所定のタイミングで、前記発光ダイオードを発光させる。
【0017】
また、本発明の食虫植物鉢植え模型は、上方へ開口した鉢体と、該鉢体の開口部を塞ぐよう鉢体に付設され、茎挿通孔を有する蓋体と、該蓋体の前記茎挿通孔を通り上方へ延びて配される食虫植物模型と、前記蓋体で塞がれた鉢体の内部に配置され、前記食虫植物模型の動作を制御する制御回路とを備える食虫植物鉢植え模型であって、前記食虫植物模型は、前記蓋体の前記茎挿通孔内を通り上方へ延びる茎部と、該茎部の先端に配される葉部であって、枢軸部と該枢軸部を挟んで配される一対の葉片部とを有する断面略V字状の葉部と、該葉部の外形形状に合わせて該葉部の内部に配される蝶番であって、前記葉部の枢軸部に対応する固定軸部と、該固定軸部に連結され、前記一対の葉片部の内部に位置する一対のプレート部であって、前記固定軸部を回転軸として回動することにより互いのなす角度が変化する一対のプレート部とを有する蝶番と、前記一対のプレート部に連結されて前記茎部の内部を通る線状部材であって、前記一対のプレート部に対して閉方向への付勢力を印加し得る線状部材と、前記一対の葉片部の各々の内部に位置する導電性部材であって、棘挿通孔を有する導電性部材と、前記棘挿通孔内を前記導電性部材と接触しないように通り、前記一対の葉片部の互いに対向する側の面から突出するよう設けられる弾性変形可能な棘部材であって、弾性変形したとき前記導電性部材と接触し得る導電性弾性部材からなる棘部材と、を備え、前記制御回路は、前記棘部材が外部荷重により弾性変形して前記導電性部材と接触したことを検出すると、前記一対のプレート部に対して閉方向への付勢力を印加するよう前記線状部材の動作を制御することを基本的特徴とする。
【0018】
ここで、前記食虫植物模型は複数個からなり、前記制御回路は、各々の食虫植物模型の動作を制御する。
【0019】
前記線状部材は、ループ部と、該ループ部から延びる線部とを有し、前記ループ部は、前記一対のプレート部の各々に穿設された線挿通孔と各プレート部における茎部寄りの端部とを経由するループを描き、前記線部は、前記ループ部の下端部と結線される。
【0020】
前記線部の端部であって、前記ループ部側に位置しない端部は、固定されていると共に、前記線部の少なくとも一部は、通電により収縮する可変長部により構成され、該可変長部が収縮することに基づき、前記ループ部により、前記一対のプレート部に対し閉方向への付勢力が印加される。
【0021】
前記制御回路は、前記棘部材が外部荷重により弾性変形して前記導電性部材と接触したことを検出すると、前記線状部材の前記可変長部に対して通電を行い、前記可変長部を収縮させる。
【0022】
前記可変長部への通電は、前記棘部材と前記導電性部材とが第1回目に接触した第1時点から第1所定時間が経過する前に前記棘部材と前記導電性部材との接触状態が解除されること、及び、前記第1回目の接触が終了した第2時点から第2所定時間が経過する前に前記棘部材と前記導電性部材とが第2回目の接触をすることを条件とし、前記棘部材と前記導電性部材とが前記第2回目の接触をした第3時点で開始される。
【0023】
前記可変長部への通電は、前記第3時点から第3所定時間が経過した第4時点で停止する。
【0024】
前記可変長部への通電は、前記第3時点から前記第4時点までの間において、電流値が減少する。
【0025】
前記第4時点以後において、前記第3時点から第4所定時間が経過するまでの間、前記可変長部への通電は行わない。
【0026】
前記線状部材の前記可変長部は、前記食虫植物模型の個数と同数の保持板であって、前記鉢体の内部に等間隔で垂直配置された保持板の面上に配される。
【0027】
前記鉢体の内部に音声発生装置を備え、前記制御回路は、所定のタイミングで前記音声発生装置から外部に向けて所定の音声を発生させる。
【0028】
前記葉部に発光ダイオードを配設し、前記制御回路は、所定のタイミングで、前記発光ダイオードを発光させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の食虫植物模型及び食虫植物鉢植え模型によると、蝶番は葉部の内部に配され、線状部材は茎部の内部に挿通されるため、蝶番及び線状部材は外部に露出せず、食虫植物模型としての外観を損なわない。また、線状部材の動作を制御することにより、一対のプレート部を閉方向へ付勢し、葉部を閉じることができるため、ハエを捕獲するときの食虫植物の動きに似た動作を表現することが可能になる。
【0030】
また、食虫植物の外観及び動きに似た構成及び動作を表現可能になるため、実物を使用しないで食虫植物の捕虫動作を説明するための食虫植物展示会での展示品、小学校等における理科の教材としての利用や、人の心を和やかにし穏やかな気持ちにさせることができる癒し系グッズとしての利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る食虫植物鉢植え模型の外観図である。
【図2】同食虫植物鉢植え模型の構成要素である食虫植物模型の基本構成図である。
【図3】同食虫植物模型の葉部の開閉動作の説明図である。
【図4】センサの構造を説明するための断面図である。
【図5】電気配線図である。
【図6】制御回路の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】図6図示処理1,2,3の内容を示すフローチャートである。
【図8】メタル(熱収縮性メタル)への通電が行われる場合を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】メタル(熱収縮性メタル)への通電が行われない場合を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1図示の食虫植物鉢植え模型は、食虫植物の代表とされるハエトリグサを鉢植した形態を表したものであり、上方へ開口した鉢体1に、ハエトリグサを模した食虫植物模型2を配設し、鉢体1を受皿3の上に載置して構成される。鉢体1には蓋体4が付設され、鉢体1の開口部は蓋体4で塞がれている。蓋体4は、透明、半透明、不透明いずれでもよいが、実際の土に合わせて、土色に着色、表面印刷等されたもの、あるいは、本体部の表面に、表土が描かれた表面シートが貼着されたものが好ましい。また、蓋体4の上面に、苔類を模した部材を盛るようにしてもよい。蓋体4には、1つ又は複数(図1では3つ)の茎挿通孔4aが形成されており、各々の茎挿通孔4aには、対応する食虫植物模型2の茎部20が挿通される。なお、茎挿通孔4aを1つとし、1つの茎挿通孔4aから複数の食虫植物模型2の茎部20が上方へ延びるよう構成してもよい。
【0033】
各々の食虫植物模型2(本願においては、1つの茎部20及び葉部30を有するものを1つの食虫植物模型とする。)は、蓋体4の茎挿通孔4a内を通り上方へ延びる茎部20と、茎部20の先端に配される断面略V字状の葉部30とを備える。
【0034】
葉部30は、外面に、ハエトリグサの葉の外形を模したプラスチック製又は布製のシート部材31を有し、内部に、後述する蝶番35等を有する。また、葉部30は、枢軸部32と、枢軸部32を挟んで配置された一対の葉片部33とを有する。シート部材31の裏側には、ハエトリグサの葉の形状に似せるために適宜詰め物(図示せず。)が配され、立体感が付与される。枢軸部32の上端部には、発光ダイオード例えば赤色LED34が配設される。発光ダイオード34は、一対の葉片部33の内面を照明可能に配設することが望ましい。
【0035】
茎部20は、外面に、ハエトリグサの茎の外形を模したプラスチック製又は布製の茎模型部材21を有し、茎模型部材21の内部に、鉢体1側から葉部30側まで延びるパイプ芯材22(図2)を有する。パイプ芯材22は、形状保持性を有する材料例えば銅、真鍮、アルミニウム又はプラスチックなどで構成され、塑性変形可能であってもよい。パイプ芯材22の鉢体1側の端部は、鉢体1の内部に鉛直状態で配置される線材配線プレート5の上部に固定される。線材配線プレート5は、各々の食虫植物模型2に対応して設けられており、食虫植物模型2が3つからなる場合、蓋体4を外した鉢体1を上方から見たとき、各線材配線プレート5が鉢体1の中心から半径方向へ延びかつ3つの線材配線プレート5が円周方向に等間隔で位置するよう鉢体1の内部に配置される。パイプ芯材22の鉢体1側の下端部22aは、線材配線プレート5の片面5aにおいて鉢体1の中心近くの上端部に固定される。
【0036】
図2及び図3に示すように、葉部30のシート部材31の内部に、蝶番35が配される。蝶番35は、葉部30の枢軸部32に対応する固定軸部51であって、茎部20のパイプ芯材22の葉部30側の上端部22bに固定される固定軸部51と、固定軸部51に回動自在に配設され、一対の葉片部33の内部に位置する一対のプレート部52と、固定軸部51に装着されるリターンコイルばね53とを有する。一対のプレート部52は、固定軸部51を回転軸として回動することにより、互いに接近、離隔し、互いのなす角度が変化し得る。リターンコイルばね53は、一対のプレート部52を所定の離隔状態に保持し、換言すると、一対のプレート部52のなす角度を所定角度(90度前後の角度)に維持し、葉部30を開状態に維持する作用をすると共に、一対のプレート部52に対して互いに接近させる方向の付勢力(後述する線状部材38による付勢力)が加わったとき、一対のプレート部52を互いに離隔させる方向の付勢力を一対のプレート部52に対して印加する作用をする。
【0037】
図2及び図3に示すように、蝶番35の各プレート部52の裏面に、プレート部52の表面積よりも大きな表面積を有する拡張プレート36が密着して固定され、拡張プレート36の表面の適宜箇所に面ファスナー37が貼着される。面ファスナー37には、シート部材31の裏面に配設されたフック部(図示せず。)が係止可能とされ、フック部が面ファスナー37と係止状態となることにより、シート部材31が拡張プレート36に固定される。また、各拡張プレート36の表面側には、上記詰め物が配設される。
【0038】
図2及び図3に示すように、蝶番35に、線状部材38が配設される。線状部材38は、上側のループ部39と下側の線部40とからなり、ループ部39は、例えば次のような手順を経て形成される。まず、ループ部39を形成するために、1本のワイヤの一端部39aを、パイプ芯材22の下端部22a側からパイプ芯材22の内部に通してパイプ芯材22の上端部22b側から引出し、次に、蝶番35の一方のプレート部52の茎部20寄りの端部52aに係合させて、このプレート部52の裏面側に回し、このプレート部52に穿設された線挿通孔52bに通し(本実施形態では、プレート部52に穿設された線挿通孔52bの裏側に拡張プレート36が在るため、拡張プレート36に穿設された線挿通孔36aと線挿通孔52bの両方にワイヤの端部39aを通すことになる。)、更に、他方のプレート部52に穿設された線挿通孔52bに通して(上記と同様、本実施形態では、線挿通孔52bと拡張プレート36の線挿通孔36aの両方に通す。)、このプレート部52の裏面側に回し、このプレート部52の茎部20寄りの端部52aに係合させてパイプ芯材22の上端部22b側からパイプ芯材22の内部に通してパイプ芯材22の下端部22a側に引出し、パイプ芯材22の下端部22a側においてワイヤの他端部39bと結合させて結合部39cを形成する。このような手順を経てループ部39が形成される。線部40は、線材配線プレート5の片面5a側に位置するよう配され、線部40の一端部40aは、ループ部39の上記結合部(下端部)39cに結線されると共に、線部40の他端部40bは、線材配線プレート5の片面5aにおいて鉢体1の外周側の上端部に固定される。線部40は、線材配線プレート5の片面5aに配設された複数の滑車6に弛みをもたないよう掛け渡される。線部40は、常温で所定の長さ寸法を有し、発熱すると長さが短縮する熱収縮性メタル線材で構成される。線部40の上記一端部40aは、配線(第1配線)7を介して後述する制御回路100(図5)に接続され、線部40の上記他端部40bは、配線(第2配線)8を介して制御回路100に接続される。
【0039】
更に、図4に示すように、各拡張プレート36の裏面に、アルミニウム板など導電性プレート(導電性部材)41が拡張プレート36に沿って配設され、導電性プレート41の裏面に、絶縁性プレート42が導電性プレート41に沿って配設される。換言すると、拡張プレート36と導電性プレート41と絶縁性プレート42は、三層構造となっている。絶縁性プレート42の適宜箇所には、複数の導電性スプリング(導電性弾性部材)43が導電性プレート41側に略垂直に突出するよう設けられており、導電性プレート41及び拡張プレート36には、絶縁性プレート42から延びる導電性スプリング43と対向する部位に、それぞれ、導電性スプリング43を非接触状態で通す棘挿通孔41a、36bが穿設されている。導電性スプリング43は棘部材を構成しており、導電性スプリング(棘部材)43は、ハエトリグサの葉の内面から突出している棘を模したものである。導電性スプリング43は、通常時は略直角の起立状態を保持して導電性プレート41の棘挿通孔41aの周縁部に対して非接触状態を保ち、換言すると、電気的に絶縁状態を維持し、飛来してきたハエが棘に止まったときを想定して外部荷重が加わったとき、弾性変形して導電性プレート41の棘挿通孔41aの周縁部と接触可能になる、換言すると、電気的に導通可能状態となるよう構成される。
【0040】
一方の葉片部33の内部に配された絶縁性プレート42に配設された複数の導電性スプリング43は、絶縁性プレート42の裏面側において配線(第3配線)9又は導電線パターン等により電気的に直列接続されて直列回路(第1直列回路)を構成しており、また、他方の葉片部33の内部に配された絶縁性プレート42に配設された複数の導電性スプリング43は、絶縁性プレート42の裏面側において上記と同様に電気的に直列接続されて直列回路(第2直列回路)を構成しており、第1直列回路と第2直列回路は、配線(第4配線)10によって互いに電気的に接続される。また、第1直列回路又は第2直列回路には、配線(第5配線)11の一端部が接続され、第5配線11の他端部は、パイプ芯材22の外周面と茎模型部材21との間を通り、制御回路100に接続される。
【0041】
一方の葉片部33の内部に配された導電性プレート41と他方の葉片部33の内部に配された導電性プレート41は、配線(第6配線)12によって互いに電気的に接続され、いずれか一方の導電性プレート41には、配線(第7配線)13の一端部が接続され、第7配線13の他端部は、パイプ芯材22の外周面と茎模型部材21との間を通り、制御回路100に接続される。
【0042】
鉢体1の内部に、マイコンボード(回路基板)14が1つの線材配線プレート5と平行に配置される。マイコンボード14には、各々の食虫植物模型2の動作を制御する制御回路100が搭載される。制御回路100は、図5に示すように、DC/DCコンバータ101、ワンチップマイコン102、入力回路103、出力回路104などにより構成される。
【0043】
また、鉢体1の内部には、音声ボード200が配置される。
【0044】
鉢体1の環状側壁部の内壁面には、音声ボード200に電気的に接続され、音声を出力するスピーカー201(図5)が配設され、スピーカー201の音声出力は鉢体1に穿設された孔1aから外部に発せられる。鉢体1の環状側壁部には、利用者によって操作され、音声ボード200とスピーカー201との間を導通、遮断するスピーカースイッチ(SW)202が配設され、利用者がスピーカーSW202をオフするとスピーカー201から音声が出力されず、一方、利用者がスピーカーSW202をオンするとスピーカー201から音声が出力可能な状態となる。また、鉢体1の環状側壁部には、利用者によって操作され、音声ボード200に電気的に接続される説明ボタン203が配設され、利用者が説明ボタン203をオンすると、音声ボード200から、当該食虫植物鉢植え模型について説明する音声信号がスピーカー201に出力され、スピーカー201から説明の音声出力が発せられる。また、音声ボード200には、必要に応じて、マイクスイッチ(SW)204(図5)を介してマイク205(図5)が接続される。マイク205は、利用者が特定の音声を音声ボード200に録音する際に使用される。
【0045】
鉢体1の底部の裏面側の凹部には、電源装置300のバッテリー301が着脱可能に収容され、バッテリー301から制御回路100に直流電源が供給される。鉢体1の環状側壁部の下端部には、商用電源に接続されるコード302の端子が接続可能なソケット303が配設される。また、鉢体1の環状側壁部の下端部には、商用電源と充電回路304(図5)との間を導通すると共にバッテリー301と制御回路100との間を遮断し、バッテリー301の充電を行う充電モードと、商用電源と充電回路304との間を遮断すると共にバッテリー301と制御回路100との間を導通し、バッテリー301から制御回路100に直流電源を供給して制御回路100を動作する動作モードとを、選択的に切替える電源スイッチ(SW)305が配設される。
【0046】
次に、食虫植物鉢植え模型の電気系統を図5に基づいて説明する。
【0047】
各々の食虫植物模型2(図5では、葉1、葉2、葉3で表わしている。)は、上述したように、導電性スプリング43と導電性プレート41の棘挿通孔41aの周縁部との接触、非接触を電気的に検出するセンサ1,2,3を有しており、各センサ1,2,3は、第5配線11及び第7配線13を介して制御回路100の入力回路103に接続される。また、制御回路100の入力回路103に、説明ボタン203が接続される。
【0048】
また、各々の食虫植物模型2に対応して、熱収縮性メタル線材40(図5では、単にメタル1、メタル2、メタル3で表している。)が設けられており、各熱収縮性メタル線材40は、第1配線7及び第2配線8を介して制御回路100の出力回路104に接続される。
【0049】
また、各々の食虫植物模型2に対応して、発光ダイオード(LED)34が設けられており、各発光ダイオード34は、制御回路100の出力回路104に接続される。
【0050】
電源装置300は、上述したように、バッテリー301、充電回路304、電源スイッチ305等を備える。電源スイッチ305がオフ状態のときに、利用者がコード302をソケット303に接続すると、商用電源と充電回路304が接続状態となり、充電回路304によりバッテリー301が充電される。その後、利用者が電源スイッチ305をオンすると、バッテリー301と制御回路100が接続状態となり、バッテリー301の7.2Vの電圧が熱収縮性メタル線材40及び発光ダイオード34に供給可能になると共に、制御回路100のDC/DCコンバータ101は、バッテリー301の7.2Vの電圧から5Vの電圧を作成し、ワンチップマイコン102及び音声ボード200に供給する。
【0051】
制御回路100のワンチップマイコン102には、音声ボード200が接続され、音声ボード200に、スピーカースイッチ202を介してスピーカー201が接続され、必要に応じてマイクスイッチ204を介してマイク205が接続される。
【0052】
制御回路100のワンチップマイコン102は、電源スイッチ305がオンされると、図6に示すように、まず、初期化S1を行い、以後、処理1、処理2及び処理3を順に繰り返し実行する。
【0053】
処理1、処理2及び処理3の各内容は、いずれも図7に図示され同一である。このため、以下、処理1の内容のみを説明する。
【0054】
図7において、まず、熱収縮性メタル線材40に対して通電が行われているか否かを判定する(S11)。
【0055】
電源スイッチ305のオン直後では、未だ通電されていないため、S11の判定結果は「NO」となり、次に、待時間の計測中か否かを判定する(S12)。ここで、待時間とは、後述するように、熱収縮性メタル線材40への通電を開始した時点(第3時点t3)で計測開始される時間であり、食虫植物模型2の葉部30が閉状態から開き始めて完全に開き切るまでに必要とされる時間に対応する第4所定時間(本実施形態では、例えば12秒に設定される。)である。
【0056】
この時点ではS12の判定結果は「NO」となり、次に、センサ1がオフからオンへスイッチングしたか否かを判定する(S13)。
【0057】
この時点ではS13の判定結果は「NO」となり、次に、センサ1がオン状態か否かを判定する(S14)。
【0058】
この時点ではS14の判定結果は「NO」となり、処理1を抜け出る。
【0059】
以後、処理1においては、S11,S12,S13,S14を繰り返し実行する。
【0060】
その後、導電性スプリング43に外力が加わり、導電性スプリング43が弾性変形して導電性プレート41の棘挿通孔41aの周縁部に接触すると、センサ1がオフからオンへスイッチングをするようになるため、S13の判定結果は「YES」に反転する。このため、センサ1のオフからオンへのスイッチングが第1回目か否かを判定し(S15)、この時点では第1回目であるため、S15の判定結果は「YES」となり、次に、経過時間1の計測を開始する(S16)。ここで、経過時間1とは、センサ1がオフからオンへの第1回目のスイッチングをした時点(第1時点t1)からの経過時間である。次に、センサ入力つまりセンサ1のオフからオンへのスイッチングの回数をカウントし(S17)、処理1を抜け出る。
【0061】
次回の処理1においては、センサ1は、既にオン状態となっているため、S13の判定結果は「NO」に反転し、次に、センサ1がオン状態か否かを判定し(S14)、この判定結果は「YES」であるため、次に、センサ1がオンからオフへスイッチングしたか否かを判定する(S18)。この時点では、センサ1はオン状態であるため、S18の判定結果は「NO」となり、次に、経過時間1が第1所定時間(例えば2秒)以下か否かを判定する(S19)。ここで、第1所定時間は、センサ1がオフからオンへ第1回目のスイッチングをした時点(第1時点t1)からオン状態を維持している時間に制限を設け、この第1所定時間内にセンサ1がオンからオフへのスイッチングを行わずオン状態が継続した場合には、食虫植物模型2の葉部を閉動作させないようにするための時間である。この時点では、センサ1がオン状態となった直後であるため、S19の判定結果は「YES」となり、処理1を抜け出る。
【0062】
第1時点t1から第1所定時間が経過する前に、導電性スプリング43への外力が解除され、センサ1がオンからオフへスイッチングした場合、S18の判定結果は「YES」に反転し、次に、経過時間2の計測を開始し(S20)、処理1を抜け出る。ここで、経過時間2とは、センサ1が第1回目のオンからオフへスイッチングした時点(第2時点t2)からの経過時間である。その後、センサ1がオフからオンへの第2回目のスイッチングをするまでの間、S11,S12,S13,S14が繰り返し実行される。
【0063】
その後、導電性スプリング43へ再び外力が加わり、第3時点t3でセンサ1がオフからオンへの第2回目のスイッチングをすると、S13の判定結果は「YES」に反転し、次に、センサ1のオフからオンへのスイッチングが第1回目か否かを判定し(S15)、この時点では、第2回目であるためS15の判定結果は「NO」となり、次に、経過時間2が第2所定時間(例えば3秒)以下であるか否かを判定する(S18)。ここで、第2所定時間は、センサ1がオンからオフへスイッチングをした時点(第2時点t2)からオフ状態を維持している時間に制限を設け、第2所定時間内にセンサ1がオフからオンへのスイッチングを行わずオフ状態が継続した場合には、食虫植物模型2の葉部を閉動作させないようにするための時間である。
【0064】
センサ1がオフからオンへ第2回目のスイッチングをした時点(第3時点t3)までの経過時間2が第2所定時間以下である場合、S21の判定結果は「YES」となり、次に、熱収縮性メタル線材40への通電を開始し(S22)、通電時間の計測を開始し(S23)、待時間の計測を開始し(S24)、経過時間1及び経過時間2をそれぞれクリアし(S25)、発光ダイオード34を点灯する(S26)。熱収縮性メタル線材40への通電が開始されると、熱収縮性メタル線材40は、通電により発熱し、熱収縮するようになる。熱収縮性メタル線材40が熱収縮すると、線状部材38のループ部39が下方への付勢力を受けるようになり、蝶番35のリターンコイルばね53の付勢力に抗して一対のプレート部52が互いに接近し、葉部30が閉じる。また、発光ダイオード34が点灯する。
【0065】
次回の処理1においては、熱収縮性メタル線材40に通電が行われていることから、S11の判定結果は「YES」に反転し、通電時間が第3所定時間(例えば3秒)以下か否かを判定し(S27)、通電時間が第3所定時間に達するまでの間、S11,S27を繰り返し実行する。ここで、熱収縮性メタル線材40への通電電流値は一定でもよいが、時間の経過に従って段階的もしくは連続的に減少させるようにしても、熱収縮性メタル線材40の収縮動作を担保することが可能であり、この場合、バッテリー301の消費電力を抑制することができる。
【0066】
その後、第3時点t3からの通電時間が第3所定時間に達した第4時点t4で、S27の判定結果は「NO」に反転し、次に、熱収縮性メタル線材40への通電を停止し(S28)、通電時間をクリアする(S29)。熱収縮性メタル線材40への通電停止後においては、熱収縮性メタル線材40は発熱しなくなり、元の状態まで伸長するようになる。このため、線状部材38のループ部39に作用していた下方への付勢力が消失し、リターンコイルばね53の付勢力によって一対のプレート部52は互いに離隔し、葉部30が開くようになる。
【0067】
次回の処理1においては、熱収縮性メタル線材40への通電が停止されているため、S11の判定結果は「NO」に反転し、次に、待時間の計測中か否かを判定する(S12)。この時点では、待時間の計測が行われていることから、S12の判定結果は「YES」となり、次に、待時間が第4所定時間(例えば12秒)以下か否かを判定し(S30)、待時間が第4所定時間に達するまでの間、S11、S12,S30を繰り返し実行する。ここで、第4所定時間は、熱収縮性メタル線材40への通電を停止してから熱収縮性メタル線材40が完全に元の状態に伸長し切るまでに必要とする時間に対応している。そして、待時間が第4所定時間に達するまでの間は、上記のようにS11,S12,S30を繰り返し実行することから、待時間が第4所定時間に達するまでの間に、センサ1がオフからオンへスイッチングしても熱収縮性メタル線材40への通電は一切行われない。
【0068】
その後、待時間が第4所定時間に達すると、S30の判定結果は「NO」に反転し、待時間をクリアし(S31)、センサ入力のカウントをクリアし(S32)、発光ダイオード34を消灯する(S33)。
【0069】
従って、図8にタイミングチャートで示すように、センサ1がオフからオンへスイッチングした第1時点t1から第1所定時間(2秒)が経過する前にセンサ1がオンからオフへスイッチングし、かつ、センサ1がオンからオフへスイッチングした第2時点t2から第2所定時間(3秒)が経過する前の第3時点t3で、センサ1が再びオフからオンへスイッチングした場合、熱収縮性メタル線材40への通電が第3時点t3から第3所定時間(3秒)行われ、第3所定時間が経過した第4時点t4で熱収縮性メタル線材40への通電が停止される。そして、第3時点t3から第4所定時間が経過するまでの間、センサ1がオフからオンへスイッチングしても熱収縮性メタル線材40への通電制御は一切行われない。
【0070】
一方、図9に示すように、センサ1がオフからオンへの第1回目のスイッチングをした第1時点t1から、センサ1のオン状態が第1所定時間を超えて継続した場合には、S19の判定結果は「NO」に反転し、経過時間1及び経過時間2がクリアされ(S34)、センサ入力のカウントがクリアされ(S35)、熱収縮性メタル線材40への通電は一切行われない。また、図9に示すように、センサ1がオンからオフへスイッチングをした第2時点t2から、第2所定時間が経過した後の第3時点t3でセンサ1がオフからオンへの第2回目のスイッチングをした場合、S21の判定結果は「NO」に反転し、経過時間1及び経過時間2がクリアされ(S34)、センサ入力のカウントがクリアされ(S35)、熱収縮性メタル線材40への通電は一切行われない。
【0071】
上記のように構成される食虫植物鉢植え模型において、利用者が説明ボタン203をオンすると、音声ボード200に予め録音された、当該食虫植物鉢植え模型についての説明や、癒し系の言葉が音声でスピーカー201から出力される。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の食虫植物模型2は、茎部20と、茎部20の先端に配される葉部30であって、枢軸部32と枢軸部32を挟んで配される一対の葉片部33とを有する断面略V字状の葉部30と、葉部30の外形形状に合わせて葉部30の内部に配される蝶番35であって、葉部30の枢軸部32に対応する固定軸部51と、固定軸部51に連結され、一対の葉片部33の内部に位置する一対のプレート部52であって、固定軸部51を回転軸として回動することにより互いのなす角度が変化する一対のプレート部52とを有する蝶番35と、一対のプレート部52に連結されて茎部20の内部を通る線状部材38であって、制御回路100により、一対のプレート部52に対して閉方向への付勢力を印加する動作が制御される線状部材38とを備える。
【0073】
本実施形態の食虫植物模型2によると、蝶番35は葉部30の内部に配され、線状部材38は茎部20の内部に挿通されるため、蝶番35及び線状部材38は外部に露出せず、食虫植物模型2としての外観を損なわない。また、線状部材38の動作を制御することにより、一対のプレート部52を閉方向へ付勢し、葉部30を閉じることができるため、ハエを捕獲するときの食虫植物の動きに似た動作を表現することが可能になる。
【0074】
また、本実施形態の食虫植物模型2は、一対の葉片部33の各々の内部に位置する導電性プレート(導電性部材)41であって、棘挿通孔41aを有する導電性プレート41と、棘挿通孔41a内を導電性プレート41と接触しないように通り、一対の葉片部33の互いに対向する側の面から突出するよう設けられる弾性変形可能な導電性スプリング(棘部材)43であって、弾性変形したとき導電性プレート41と接触し得る導電性弾性部材からなる導電性スプリング43とを備え、制御回路100は、導電性スプリング43が外部荷重により弾性変形して導電性プレート41と接触したことを検出すると、一対のプレート部52に対し閉方向への付勢力を印加するよう線状部材38の動作を制御する。このように、導電性スプリング43の弾性変形を利用して導電性スプリング43と導電性プレート41とを接触させるよう構成したため、ハエがハエトリグサの棘に止まった状態を、導電性スプリング43の弾性変形によって表現すると共に導電性スプリング43と導電性プレート41との接触によって電気的に検知することが可能となり、簡単な構造によって、実際のハエトリグサの動作により近い動作をさせることができる。
【0075】
また、線状部材38は、ループ部39と、ループ部39から延びる線部40とを有し、ループ部39は、一対のプレート部52の各々に穿設された線挿通孔52bと各プレート部52における茎部20寄りの端部52aとを経由するループを描き、線部40は、ループ部39の下端部39cと結線される。線状部材38はループ部39を有し、ループ部39によって、一対のプレート部52の茎部20寄りの端部52aに、一対のプレート部52を互いに接近させる方向の力を作用させることができるため、ループ部39に加える力が比較的小さくても、一対のプレート部52に対して比較的大きな力を作用させることが可能になる。
【0076】
また、線部40の端部40bであって、ループ部39側に位置しない端部40bは、固定されていると共に、線部40の少なくとも一部(本実施形態では全部)は、通電により収縮する熱収縮性メタル線材(可変長部)40により構成され、熱収縮性メタル線材40が収縮することに基づき、ループ部39により一対のプレート部52に対し閉方向への付勢力が印加される。熱収縮性メタル線材40を利用することにより、葉部30を開閉動作する機構を極めて簡素化することができる。
【0077】
また、制御回路100は、導電性スプリング43が外部荷重により弾性変形して導電性プレート41と接触したことを検出すると、熱収縮性メタル線材40に対して通電を行い、熱収縮性メタル線材40を収縮させる。ハエがハエトリグサの棘に止まった状態を、弾性変形した導電性スプリング43と導電性プレート41との接触によって電気的に検知し、熱収縮性メタル線材40を収縮させることにより、ループ部39及び蝶番35を介して葉部30を閉じることができるため、ハエトリグサの棘にハエが止まったときに葉が閉じる実際のハエトリグサの動作を再現することが可能になる。
【0078】
また、熱収縮性メタル線材40への通電は、導電性スプリング43と導電性プレート41とが第1回目に接触した第1時点t1から第1所定時間が経過する前に導電性スプリング43と導電性プレート41との接触状態が解除されること、及び、第2時点t2から第2所定時間が経過する前に導電性スプリング43と導電性プレート41とが第2回目の接触をすることを条件とし、導電性スプリング43と導電性プレート41とが第2回目の接触をした第3時点t3で開始される。このように熱収縮性メタル線材40への通電制御を行うことにより、実際のハエトリグサの動作、つまり、最初にハエが棘に止まっただけでは葉が閉じることはなく、比較的短時間の間にハエが2回棘に止まったときに葉が閉じるという動作を再現することができる。
【0079】
また、熱収縮性メタル線材40への通電は、第3時点t3から第3所定時間が経過した第4時点t4で停止する。熱収縮性メタル線材40への通電が停止されると、熱収縮性メタル線材40は冷却されて元の状態つまり伸長した状態に戻ることができるため、ループ部39及び蝶番35を介して葉部30を開くことができ、実際のハエトリグサの葉が開く動作を再現することができる。
【0080】
また、熱収縮性メタル線材40への通電は、第3時点t3から第4時点t4までの間において、電流値が減少する。熱収縮性メタル線材40への通電電流値を時間の経過に従って段階的もしくは連続的に減少させるようにすると、熱収縮性メタル線材40の収縮動作を担保しつつ、バッテリー301の消費電力を抑制することが可能となる。
【0081】
また、熱収縮性メタル線材40への通電を開始した第3時点t3から第4所定時間が経過するまでの間、熱収縮性メタル線材40への通電は行わない。このような待時間を設けることにより、葉部30を完全に開かせることができる。
【0082】
また、制御回路100は、所定のタイミングで(説明ボタン203をオン操作したとき)音声発生装置(音声ボード200、スピーカー201)から外部に向けて所定の音声(当該食虫植物鉢植え模型の説明や癒し系の言葉)を発生させる。この音声により、利用者は、当該食虫植物鉢植え模型の仕組みや操作方法などを知ることができ、また、癒し系の言葉によって癒されるようになる。
【0083】
また、葉部30に発光ダイオード34を配設し、制御回路100は、所定のタイミングで(熱収縮性メタル線材40への通電を開始するとき)、発光ダイオード34を発光させる。発光ダイオード34が発光させることにより、葉部30に対する注目度をアップさせることができる。
【0084】
また、上記構成の食虫植物模型2は、鉢体1に付設される蓋体4の茎挿通孔4aから上方へ延びるように鉢体1に配設されるため、食虫植物を鉢植したときの形態を模した食虫植物鉢植え模型を提供することが可能になる。
【0085】
なお、上記実施形態では、パイプ芯材22の下端部22aは略鉛直状態となっているが、パイプ芯材22全体を水平に近づける方向に傾斜させ、下端部22aを傾斜させた状態に設定してもよく、この場合、線状部材38のループ部39から下方へ延びる線部40も下端部22aの傾斜に合わせた傾斜状態に設定することが望ましく、このように設定することにより、線部(熱収縮性メタル線材)40の収縮時にパイプ芯材22の内周面との摩擦によって線状部材38が受ける負荷を軽減させることができる。また、上記実施形態では、拡張プレート36を蝶番35とは別個の部材として説明したが、拡張プレート36を蝶番35の一部として捉えてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 鉢体
2 食虫植物模型
4 蓋体
20 茎部
30 葉部
32 枢軸部
33 葉片部
34 発光ダイオード
35 蝶番
38 線状部材
39 ループ部
39c 下端部
40 線部(可変長部、熱収縮性メタル線材)
40b 端部
41 導電性プレート(導電性部材)
41a 棘挿通孔
43 導電性スプリング(棘部材)
51 固定軸部
52 プレート部
52a 端部
52b 棘挿通孔
100 制御回路
200 音声ボード
201 スピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茎部と、
該茎部の先端に配される葉部であって、枢軸部と該枢軸部を挟んで配される一対の葉片部とを有する断面略V字状の葉部と、
該葉部の外形形状に合わせて該葉部の内部に配される蝶番であって、前記葉部の枢軸部に対応する固定軸部と、該固定軸部に連結され、前記一対の葉片部の内部に位置する一対のプレート部であって、前記固定軸部を回転軸として回動することにより互いのなす角度が変化する一対のプレート部とを有する蝶番と、
前記一対のプレート部に連結されて前記茎部の内部を通る線状部材であって、制御回路により、前記一対のプレート部に対して閉方向への付勢力を印加する動作が制御される線状部材と、
を備えることを特徴とする食虫植物模型。
【請求項2】
前記一対の葉片部の各々の内部に位置する導電性部材であって、棘挿通孔を有する導電性部材と、
前記棘挿通孔内を前記導電性部材と接触しないように通り、前記一対の葉片部の互いに対向する側の面から突出するよう設けられる弾性変形可能な棘部材であって、弾性変形したとき前記導電性部材と接触し得る導電性弾性部材からなる棘部材と、
を備え、
前記制御回路は、前記棘部材が外部荷重により弾性変形して前記導電性部材と接触したことを検出すると、前記一対のプレート部に対し閉方向への付勢力を印加するよう前記線状部材の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の食虫植物模型。
【請求項3】
前記線状部材は、ループ部と、該ループ部から延びる線部とを有し、前記ループ部は、前記一対のプレート部の各々に穿設された線挿通孔と各プレート部における茎部寄りの端部とを経由するループを描き、前記線部は、前記ループ部の下端部と結線されることを特徴とする請求項1又は2に記載の食虫植物模型。
【請求項4】
前記線部の端部であって、前記ループ部側に位置しない端部は、固定されていると共に、前記線部の少なくとも一部は、通電により収縮する可変長部により構成され、該可変長部が収縮することに基づき、前記ループ部により、前記一対のプレート部に対し閉方向への付勢力が印加されることを特徴とする請求項3に記載の食虫植物模型。
【請求項5】
前記制御回路は、前記棘部材が外部荷重により弾性変形して前記導電性部材と接触したことを検出すると、前記線状部材の前記可変長部に対して通電を行い、前記可変長部を収縮させることを特徴とする請求項4に記載の食虫植物模型。
【請求項6】
前記可変長部への通電は、前記棘部材と前記導電性部材とが第1回目に接触した第1時点から第1所定時間が経過する前に前記棘部材と前記導電性部材との接触状態が解除されること、及び、前記第1回目の接触が終了した第2時点から第2所定時間が経過する前に前記棘部材と前記導電性部材とが第2回目の接触をすることを条件とし、前記棘部材と前記導電性部材とが前記第2回目の接触をした第3時点で開始されることを特徴とする請求項5に記載の食虫植物模型。
【請求項7】
前記可変長部への通電は、前記第3時点から第3所定時間が経過した第4時点で停止することを特徴とする請求項6に記載の食虫植物模型。
【請求項8】
前記可変長部への通電は、前記第3時点から前記第4時点までの間において、電流値が減少することを特徴とする請求項7に記載の食虫植物模型。
【請求項9】
前記第4時点以後において、前記第3時点から第4所定時間が経過するまでの間、前記可変長部への通電は行わないことを特徴とする請求項8に記載の食虫植物模型。
【請求項10】
前記制御回路は、所定のタイミングで音声発生装置から外部に向けて所定の音声を発生させることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の食虫植物模型。
【請求項11】
前記葉部に発光ダイオードを配設し、前記制御回路は、所定のタイミングで、前記発光ダイオードを発光させることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の食虫植物模型。
【請求項12】
上方へ開口した鉢体と、該鉢体の開口部を塞ぐよう鉢体に付設され、茎挿通孔を有する蓋体と、該蓋体の前記茎挿通孔を通り上方へ延びて配される食虫植物模型と、前記蓋体で塞がれた鉢体の内部に配置され、前記食虫植物模型の動作を制御する制御回路とを備える食虫植物鉢植え模型であって、
前記食虫植物模型は、
前記蓋体の前記茎挿通孔内を通り上方へ延びる茎部と、
該茎部の先端に配される葉部であって、枢軸部と該枢軸部を挟んで配される一対の葉片部とを有する断面略V字状の葉部と、
該葉部の外形形状に合わせて該葉部の内部に配される蝶番であって、前記葉部の枢軸部に対応する固定軸部と、該固定軸部に連結され、前記一対の葉片部の内部に位置する一対のプレート部であって、前記固定軸部を回転軸として回動することにより互いのなす角度が変化する一対のプレート部とを有する蝶番と、
前記一対のプレート部に連結されて前記茎部の内部を通る線状部材であって、前記一対のプレート部に対して閉方向への付勢力を印加し得る線状部材と、
前記一対の葉片部の各々の内部に位置する導電性部材であって、棘挿通孔を有する導電性部材と、
前記棘挿通孔内を前記導電性部材と接触しないように通り、前記一対の葉片部の互いに対向する側の面から突出するよう設けられる弾性変形可能な棘部材であって、弾性変形したとき前記導電性部材と接触し得る導電性弾性部材からなる棘部材と、
を備え、
前記制御回路は、前記棘部材が外部荷重により弾性変形して前記導電性部材と接触したことを検出すると、前記一対のプレート部に対して閉方向への付勢力を印加するよう前記線状部材の動作を制御する
ことを特徴とする食虫植物鉢植え模型。
【請求項13】
前記食虫植物模型は複数個からなり、前記制御回路は、各々の食虫植物模型の動作を制御することを特徴とする請求項12に記載の食虫植物鉢植え模型。
【請求項14】
前記線状部材は、ループ部と、該ループ部から延びる線部とを有し、前記ループ部は、前記一対のプレート部の各々に穿設された線挿通孔と各プレート部における茎部寄りの端部とを経由するループを描き、前記線部は、前記ループ部の所定の線分であって、一方のプレート部の前記端部から茎部側に延びて他方のプレート部の前記端部まで至る線分と、結線されることを特徴とする請求項12又は13に記載の食虫植物鉢植え模型。
【請求項15】
前記線部の端部であって、前記ループ部側に位置しない端部は、固定されていると共に、前記線部の少なくとも一部は、通電により収縮する可変長部により構成され、該可変長部が収縮することによって、前記一対のプレート部に対し閉方向への付勢力が印加されることを特徴とする請求項14に記載の食虫植物鉢植え模型。
【請求項16】
前記制御回路は、前記棘部材が外部荷重により弾性変形して前記導電性部材と接触したことを検出すると、前記線状部材の前記可変長部に対して通電を行い、前記可変長部を収縮させることを特徴とする請求項15に記載の食虫植物鉢植え模型。
【請求項17】
前記可変長部への通電は、前記棘部材と前記導電性部材とが第1回目に接触した第1時点から第1所定時間が経過する前に前記棘部材と前記導電性部材との接触状態が解除されること、及び、前記第1回目の接触が終了した第2時点から第2所定時間が経過する前に前記棘部材と前記導電性部材とが第2回目の接触をすることを条件とし、前記棘部材と前記導電性部材とが前記第2回目の接触をした第3時点で開始されることを特徴とする請求項16に記載の食虫植物鉢植え模型。
【請求項18】
前記可変長部への通電は、前記第3時点から第3所定時間が経過した第4時点で停止することを特徴とする請求項17に記載の食虫植物鉢植え模型。
【請求項19】
前記可変長部への通電は、前記第3時点から前記第4時点までの間において、電流値が減少することを特徴とする請求項18に記載の食虫植物鉢植え模型。
【請求項20】
前記第4時点以後において、前記第3時点から第4所定時間が経過するまでの間、前記可変長部への通電は行わないことを特徴とする請求項19に記載の食虫植物鉢植え模型。
【請求項21】
前記線状部材の前記可変長部は、前記食虫植物模型の個数と同数の保持板であって、前記鉢体の内部に等間隔で垂直配置された保持板の面上に配されることを特徴とする請求項15〜20のいずれかに記載の食虫植物鉢植え模型。
【請求項22】
前記鉢体の内部に音声発生装置を備え、
前記制御回路は、所定のタイミングで前記音声発生装置から外部に向けて所定の音声を発生させることを特徴とする請求項12〜21のいずれかに記載の食虫植物鉢植え模型。
【請求項23】
前記葉部に発光ダイオードを配設し、
前記制御回路は、所定のタイミングで、前記発光ダイオードを発光させることを特徴とする請求項12〜22のいずれかに記載の食虫植物鉢植え模型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−128444(P2011−128444A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287976(P2009−287976)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000176958)三明電機株式会社 (37)