説明

飲料を作る処理のための少なくとも1つの適切なパラメータを決定するための方法

飲料作成器1は、少なくとも1つの飲料成分を含む少なくとも1つの部材を受容するための室8を有する。飲料作成器1の動作の間、飲料を作る目的のため、部材を通して流体が流される。該部材を処理するために適切なパラメータを決定することを可能とするため、該飲料作成器は、流体の流れが実現されたときに得られる流れの少なくとも1つの特性を検出するための手段12を有する。更に、飲料作成器1は、該検出された特性を処理するための制御手段10と、特性の所定の値が保存されたメモリ手段11と、を有し、各所定の値は、部材の特定のタイプに関連し、該部材を処理するための少なくとも1つの適切なパラメータである。該検出された特性に最も近い所定の特性を見出すことにより、飲料作成器1に実際に存在する部材を処理するための適切なパラメータが選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々のタイプの飲料成分含有部材を受容し処理するように構成された飲料作成器において、少なくとも1つの飲料成分を含む少なくとも1つの部材を通して流体を流すことにより飲料を作成する処理のための、少なくとも1つの適切なパラメータを決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのタイプの飲料作成器が、種々のタイプの飲料を作成するように適合されている。1つ以上の飲料成分を含む部材を受容して処理するように構成された飲料作成器においては、該飲料作成器によって作られる飲料のタイプは、該飲料作成器のユーザにより利用される飲料成分含有部材のタイプに依存する。例えば、ユーザが挽いたコーヒーを含む部材を利用することを決めた場合、飲料作成器はコーヒーを作るために利用され、ユーザが茶葉を含む部材を利用することを決めた場合、同じ飲料作成器が紅茶を作るために利用される。
【0003】
各タイプの飲料は、前記飲料の要求される品質(味)を得るために、前記飲料を作る処理に関して、パラメータの特定のセットを必要とする。斯かるパラメータは、該処理において飲料成分含有部材を通して流される水の温度、流量、圧力、及び/又は量、温度、流量及び/又は圧力の時間変化、予備湿潤パラメータ、ポンプ時間等であっても良い。飲料作成器が該飲料作成器により処理される必要がある少なくとも1つの飲料成分含有部材に関して適切なパラメータを自動的に選択することを可能とするためには、該飲料作成器が該飲料成分含有部材を認識することが可能であることが必要である。
【0004】
様々な飲料カートリッジから様々な飲料タイプを自動的に調製するためのシステムが、米国特許出願公開US2004/0197444から知られている。該システムは、飲料調製機械及び複数の飲料カートリッジを有し、各カートリッジは、特定の飲料タイプに関連する1つ以上の飲料成分を含む。該システムによって飲料を調製する目的のため、ユーザは飲料調整機械に飲料カートリッジを挿入し、該飲料カートリッジに水又はその他の適切な媒体を供給するように該機械を操作し、その結果、該飲料カートリッジに含まれる1つ以上の飲料成分から飲料が生成される。
【0005】
飲料カートリッジを認識して適切な調合サイクルを実行する目的のため、米国特許出願公開US2004/0197444から知られる飲料調製システムは、飲料カートリッジに書かれたコードを自動的に解釈するための飲料調整機械中の読み取り器と、該コードに基づいて特定の調合サイクルを生成するための処理手段と、を有する。該システムの実用的な実施例においては、該読み取り器は光学的なバーコードリーダであり、飲料カートリッジに書かれたコードは印刷されたバーコードであっても良い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
飲料カートリッジを認識するための手段を持つ既知のシステムは実際に非常に好適に機能するが、関連する幾つかの欠点がある。第一に、コードが書かれた飲料カートリッジしか、システムの飲料調整機械において利用され自動的に認識されることができず、該コードが処理手段のメモリに保存された特定のコードである必要がある。第二に、コード読み取り器は飲料調整機械における特定の構成要素であり、カートリッジ情報を読み取る目的にのみ利用されるものである。そうでなければ飲料作成器の一部である必要のない斯かる構成要素を利用することにより、該システムの原価が上がってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、飲料作成器における飲料成分含有部材を自動的に認識し、少なくとも1つの飲料成分含有部材を利用することによって飲料を作成する処理を実行するための少なくとも1つの適切なパラメータを決定するための代替の方法であって、特定の構成要素を飲料作成器に適用する必要のない方法を提供することにある。本目的は、
前記飲料成分含有部材を通る流体の流れを実現するステップと、
前記飲料成分含有部材の流れ抵抗により影響を受ける、前記流れの少なくとも1つの特性を測定するステップと、
前記測定された流れ特性を、飲料成分含有部材の種々のタイプと関連付けられた所定の流れ特性のセットと比較するステップと、
前記測定された流れ特性と最も近い前記所定の流れ特性に関連するパラメータを選択することによって、飲料を作る更なる処理のための少なくとも1つのパラメータを決定するステップと、
を有する方法によって達成される。
【0008】
本発明によれば、飲料成分含有部材上のコードを利用する必要がなく、該部材の認識のために該コードを読み取るための読み取り器を利用する必要もない。その代わりに、本発明によれば、飲料成分含有部材は、飲料成分含有部材を通る流体の流れを実現即ち飲料を作成する処理を始動し、得られる流れの少なくとも1つの特性を測定し、飲料成分含有部材の種々のタイプに関連付けられた所定の特性のセットと該測定された特徴を比較することによって、認識される。本発明に内在する洞察は、全てのタイプの飲料成分含有部材は、流体の流れに対して一意な抵抗を持つことである。それ故、飲料成分含有部材の流れ抵抗の測定として実現される、流れの少なくとも1つの特徴を利用することが可能である。このようにして、飲料成分含有部材が認識されることができ、該部材を処理する適切な所定の方法が選択されることができる。
【0009】
とりわけ、飲料を作る処理を実行する適切な方法の決定は、所定の流れ特性のセットに対して、測定された流れ特性を比較することによって実行されても良い。ここで、各所定の流れ特性は、飲料成分含有部材の特定のタイプに関連付けられる。そのための内在する仮定は、測定される流れ特性が、所定の流れ特性(即ち特性が測定されている流れに存在するタイプと同一のタイプの飲料成分含有部材に関連する所定の流れ特性)の1つと等しいか、又は実際的には近いことである。それ故、所定の流れ特性に関連する1つ以上のパラメータが、飲料を作る更なる処理に適用される場合には、飲料成分含有部材が適切な方法で処理され、飲料が適切な方法で作られ、当該飲料の最適な品質をもたらす。
【0010】
所定の流れ特性のセットは実際には範囲のセットであっても良く、測定される流れ特性がこれら範囲のうちの1つの中にあるか否かがチェックされても良いことは、留意されたい。更に、多くの既存のタイプの飲料作成器が流量センサ及び/又は圧力センサを備えており、そのため本発明を実施する際に飲料作成器に構成要素を追加する必要がないことに、留意されたい。このことは、最新技術でもバーコードリーダ又はRFID(Radio frequency identification)リーダのような特定の構成要素の利用を必要としている事実を考慮すると、本発明の重要な効果である。
【0011】
本発明による方法を実行する実際的な方法においては、ポンプ装置が流体をポンピングする目的のために利用される。有利にも、測定された流れ特性が比較される所定の流れ特性は、動作点の特徴、即ち、飲料作成器のポンプ装置の動作範囲内且つ飲料成分含有部材の流れ抵抗に関連する流量と圧力との組み合わせの範囲内である流量と圧力との組み合わせを表す。このことは、以下に更に説明される。
【0012】
該飲料作成器のポンプ装置は、特定の圧力を作用させつつ、流体(通常は水)を、飲料成分含有部材又は少なくとも2つの飲料成分含有部材から成る層を通して流すために利用され、ここで該圧力のレベルは、以上に説明されたように、適用されるタイプの飲料成分含有部材を処理するための要件に依存する。ポンプ装置の機能はしばしば、流量と圧力との組み合わせを記述する、いわゆるQ−H曲線で表現される。ポンプ装置の機能の各レベルについて、該装置の全出力又はパーセンテージにおいて、Q−H曲線が決定される。
【0013】
流体が1つ以上の飲料成分含有部材を通してポンピングされる場合、該部材の流れ抵抗の結果として圧力低下が得られる。流量と圧力低下との間の関係は、流量と圧力との組み合わせを記述する曲線で表現されることができる。斯かる曲線は通常、抵抗曲線と呼ばれる。各飲料成分含有部材又は飲料成分含有部材の各層は一意な抵抗曲線を持ち、抵抗曲線がポンプ装置のQ−H曲線と交差する点が一意な動作点、即ち流量と圧力との一意な組み合わせである。斯くして、必要な情報が所定の動作点のそれぞれに関連付けられていれば、ポンプ装置が特定のQ−H曲線に従って動作するようにし、飲料成分含有部材における流量及び圧力の少なくとも一方を測定することによって、実際の動作点が決定され、飲料成分含有部材を更に処理する適切な方法を見出すために所定の動作点と比較されることができる。
【0014】
ポンプ装置のQ−H曲線が既知である場合には、流量及び圧力のうち一方のみを測定すれば十分である。なぜなら、その場合には、流れ及び圧力のうちの他方に関する情報はQ−H曲線から得られ、それによって動作点が見出されるからである。しかしながら、本発明の範囲内において、種々のタイプの飲料成分含有部材の抵抗曲線と、飲料作成器における層に2つ以上の部材を利用することが実現可能な選択肢である場合にはこれら部材の数と、が既知であるだけでも良い。この場合には、飲料成分含有部材のタイプ、及びことによると該部材の数が、測定された流量と圧力との組み合わせの、所定の抵抗曲線とのマッチングに基づいて、見出される。しかしながら、動作点及び関連する抵抗曲線を見出す処理において、流量及び圧力のうちの一方のみを測定し、ポンプ装置のQ−H曲線を利用することも可能である。なぜなら、その場合には、センサのタイプのみが必要とされ、1つのセンサのみの利用で十分となり得るからである。
【0015】
好適には、既に言及されたように、飲料を作る更なる処理のための少なくとも1つのパラメータを決定する目的のために測定される流れの少なくとも1つの特性は、流量及び圧力の少なくとも一方である。それでも、本発明の範囲内で、他の流れ特性が測定されることも可能であり(これら特性が飲料成分含有部材の特定の特徴に関連する場合)、それにより、これら特性が、該部材を処理するための少なくとも1つの適切なパラメータを決定する処理において利用されるために適切なものとなる。
【0016】
本発明による方法を実行する実際的な方法においては、飲料を作る処理のために決定される少なくとも1つのパラメータは、飲料成分含有部材を通して流されるべき流体の温度、流量、圧力及び量、温度、流量及び/又は圧力の時間変化、予備湿潤パラメータ、並びにポンプ時間のうちの少なくとも1つであっても良い。一般にこれらパラメータは、得られる飲料の品質に影響を与えるものとして知られる。例えば、流体が一定量の挽いたコーヒーを通って流されるとき、これらパラメータが適切に設定されていない場合には、得られるコーヒーの味は非常に悪くなり得る。
【0017】
本発明の範囲内で、飲料成分含有部材として、いずれの適切な部材が適用されても良い。斯かる部材の好適な例はパッド、カップ、カプセル及びカートリッジである。
【0018】
本発明はまた、種々のタイプの飲料成分含有部材を受容し処理するように構成され、少なくとも1つの飲料成分を含む少なくとも1つの部材を通して流体を流すことにより飲料を作成する処理を実行するように構成された飲料作成器であって、
以上に記載され説明された飲料を作る処理のための少なくとも1つの適切なパラメータを決定するための方法のステップを実行することにより、前記飲料作成器を制御するように構成された制御手段と、
流体の流れが実現されたときに少なくとも1つの流れ特性を測定するための検出手段と、
飲料成分含有部材の種々のタイプと関連付けられた所定の流れ特性のセットを保存するためのメモリ手段と、
を有する飲料作成器に関する。
【0019】
実際的な実施例においては、本発明による飲料作成器は更に、流体をポンピングするためのポンプ装置を有する。有利にも、以上に説明されたように、前記メモリ手段に保存される前記所定の流れ特性は、動作点の特徴、即ち、前記ポンプ装置の動作範囲内且つ飲料成分含有部材の流れ抵抗に関連する流量と圧力との組み合わせの範囲内である流量と圧力との組み合わせを表す。制御手段はマイクロコントローラを有しても良く、メモリ手段は該マイクロコントローラのメモリであっても良いことは、留意されたい。
【0020】
該飲料作成器の検出手段は、流量センサ及び圧力センサを有する群から選択された少なくとも1つのセンサを有しても良く、それにより、流量及び圧力の少なくとも一方が、該飲料作成器の動作の間に検出されても良い。
【0021】
本発明の上述した及びその他の態様は、本発明による飲料作成器の以下の説明、及び該飲料作成器により処理される飲料カートリッジのタイプに依存する該飲料作成器の動作を制御する方法の以下の説明により説明され、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】飲料作成器の種々の構成要素を示すブロック図である。
【図2】飲料作成器が動作する場合に処理されるステップの好適な連続を示すフロー図である。
【図3】飲料作成器のポンプ及び飲料作成器により処理され得る種々の飲料カートリッジについての、流量と圧力との間の関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、図面を参照しながら、ここで更に詳細に説明される。
【0024】
図1は、飲料作成器1の種々の構成要素を図示している。該飲料作成器1は、少なくとも1つの飲料成分を含む少なくとも1つの部材に流体を通すことにより飲料を作る処理を実行するように構成され、且つ、種々のタイプの飲料成分含有部材を受容及び処理するように構成された、飲料作成器の任意の例とみなされるべきである。以下の説明の明確さのため、飲料成分含有部材として飲料カートリッジ(図示されていない)が利用されることが仮定されるが、このことは本発明の範囲内でその他の飲料成分含有部材の使用が可能であるという事実を変えるものではない。本発明は飲料成分含有部材自体に関するものではないという事実、及びこれら部材が実際に良く知られているという事実に鑑み、これら部材の構成及び機能はここでは説明されない点に、留意されたい。
【0025】
図示される飲料作成器1は、飲料作成器1の構成要素の大部分を収容する筐体2を有する。これら構成要素の幾つかは、以下に言及され説明される。
【0026】
飲料作成器1の第1の構成要素は、飲料を作成する処理において利用されるべき水又はその他の適切な流体を収容するためのタンク3である。該タンク3は、いずれの適切な態様で形作られても良い。好適には、タンク3は着脱可能に配置され、それにより飲料作成器1のユーザが、飲料作成器1全体を移動させる必要なく、タンク3を満たすために蛇口等にタンク3を持っていくことが可能である。本発明はまた、タンクを有さずに、適切な締結装置を通して蛇口のような何らかの種類の流体供給システムに接続された飲料作成器においても適用可能である。
【0027】
飲料作成器1の第2の構成要素は、飲料作成器1を通して流体を流れさせるためのポンプ4であり、該ポンプ4はいずれの適切なタイプのものであっても良い。本発明の範囲内で、流体に加圧して飲料作成器1を通して該流体を流れさせるための他の手段が適用されても良く、ポンプ4は飲料作成器1の必須構成要素ではない点に、留意されたい。
【0028】
飲料作成器1の第3の構成要素は、流体を加熱するための部材6である。飲料作成器1は冷たい飲料を作成するのにのみ適切なものであっても良いため、該構成要素は本発明による飲料作成器1の必須構成要素ではないことに留意されたい。しかしながら、飲料作成器1が紅茶又はコーヒーのような熱い飲料を作る目的のために利用されることが意図される場合には、流体の供給が殆どの場合において冷たいものとなる事実に鑑みると、飲料作成器1が図示されるような加熱部材6を備えることが好適である。
【0029】
加熱部材6は、いずれの適切なタイプのものであっても良い。加熱部材6とポンプ4とは、第1の管5により相互接続される。ポンプ4が動作させられる場合には、第1の管5を通して、水がポンプ4から加熱部材6へと流される。
【0030】
飲料作成器1の第4の図示される構成要素は、少なくとも1つの飲料カートリッジを受容し収容するように構成された室8である。カートリッジ室8と加熱部材6とは、第2の管7により相互接続される。動作の間、カートリッジ室8において水が飲料カートリッジを通るように流されるため、飲料を作る実際の処理はカートリッジ室8内で実行される。
【0031】
飲料作成器1の第5の構成要素は、カートリッジ8に接続され、飲料作成器1から新たに作られた飲料を排出するように働く、排出ノズル9である。
【0032】
飲料作成器1の第6の構成要素は、飲料作成器1の動作を制御するように働く、メモリ11を持つマイクロコントローラ10である。好適には、飲料作成器1は、飲料作成器1のユーザがマイクロコントローラ10に入力を供給することを可能とするための手段(図示されていない)を有し、それにより飲料作成器1がユーザにより意図された態様で動作させられても良い。
【0033】
ユーザが飲料を作るために飲料作成器1を利用することを決めた場合、該ユーザは、少なくとも1つのカートリッジを用意し、該カートリッジを飲料作成器1のカートリッジ室8に配置する必要がある。飲料作成器1は例えば、カートリッジ室8に容易に挿入され得る、飲料カートリッジを受容するための別個の担体(図示されていない)を有しても良い。更に、ユーザは、カートリッジ室8に水の供給があるように留意する必要があり、ユーザは、タンク3が十分な量の水を含んでいないと思われる場合にはタンク3を満たす必要があり、また、飲料作成器1からの飲料を受けるため適切な位置に少なくとも1つのカップ等があるように留意する必要がある。
【0034】
マイクロコントローラ10により制御される飲料作成器1の動作の間、流体がタンク3からカートリッジ室8へとポンピングされる。該処理において、該流体は加熱部材6により加熱される。カートリッジ室8において、ポンプ4により作用される圧力の影響の下、該流体は飲料カートリッジを通って流され、所望の飲料が得られ、排出ノズル9を通して飲料作成器1により排出される。
【0035】
飲料を作る処理のためのパラメータは、マイクロコントローラ10により自動的に選択される。これらパラメータの例は、カートリッジ室8へと供給され飲料カートリッジを通して流される水の温度、流量、圧力及び量、温度、流量及び/又は圧力の時間変化、予備湿潤パラメータ、ポンプ時間、等である。これらパラメータの適切な値を選択することにより、得られる飲料が優れた品質のものとなることが確実とされる。マイクロコントローラ10は、最適なパラメータを選択する処理を実行するように構成される。
【0036】
飲料作成器1の動作の間のマイクロコントローラ10の機能が、図2に基づいて説明される。図2は、少なくとも1つの飲料カートリッジがカートリッジ室8において適所に配置された場合に、飲料を作る処理のために適切なパラメータを自動的に決定する目的のための、本発明により提案される種々のステップを示す。
【0037】
最初に、飲料作成器1のユーザが飲料作成器1を起動した後、ポンプ4が、例えば所定の電力レベル及び所定の圧力レベルのような所定の態様で動作させられる。図3において、流量と圧力との間の種々の関係が、グラフで示されている。それぞれの曲線は、Q−H曲線とも呼ばれる。図示される例においては、圧力はバール(bar)により表され、流量はミリメートル毎秒で表される。更に、図示される例においては、種々の電力レベル(即ち100%、75%及び50%)で動作するポンプ4について曲線が示されている。ポンプ4の電力レベル及び圧力レベルが設定されると、得られる流量は、適用可能なQ−H曲線から得られる。
【0038】
飲料カートリッジが特定の流れ抵抗を持つという事実のため、圧力降下が得られ、流量が低下する。飲料カートリッジのそれぞれのタイプは一意な流れ抵抗を持つため、流量と圧力降下との間の関係は、飲料カートリッジの種々のタイプについて異なる。幾つかのQ−H曲線に加え、飲料カートリッジの種々のタイプについての流量と圧力降下との間の関係を示す種々の曲線が、図3のグラフに示される。これらの曲線は、抵抗曲線とも呼ばれることに、留意されたい。ポンプ4の影響の下で特定の飲料カートリッジに流体を供給し、該流体を該飲料カートリッジを通して流す処理のいわゆる動作点は、ポンプ4のそれぞれのQ−H曲線と、該飲料カートリッジのそれぞれの抵抗曲線との交点において見出される。
【0039】
ユーザが飲料作成器1に飲料カートリッジを挿入し、飲料作成器1の動作が起動してすぐのときは、マイクロコントローラ10は未だ、該飲料カートリッジを適切に処理する目的のために必要なパラメータに関する情報を受け取っていない。これらパラメータを決定するため、ポンプ4は、飲料カートリッジを通して流体を流すように動作させられる。飲料作成器1の当該動作の間に実現される流れの少なくとも1つの特性を測定することにより、適用可能なパラメータが見出される。
【0040】
少なくとも1つの流れ特性を測定する目的のため、飲料作成器1は、少なくとも1つの適切なセンサを有する。図示される例においては、飲料作成器1は圧力センサ12を有する。一般に、最適な品質の飲料を得るためのような適切な方法で飲料カートリッジを処理する目的のためのパラメータを決定する処理は、少なくとも1つの流れ特性を測定することを含む。
【0041】
測定される流れ特性に直接に関連する情報は、当該情報に基づいて動作点を決定するように構成されたマイクロコントローラ10に送信される。例えば、適用可能なQ−H曲線及び測定された圧力の両方が既知である場合には、当該Q−H曲線上に動作点が見出される。なぜなら、該動作点は、当該曲線に従って該流れに関連する、測定された圧力と流量との組み合わせであるからである。このようにして見出される動作点は、所定の動作点、即ち、マイクロコントローラ10のメモリ11に保存された、Q−H曲線と抵抗曲線との交点において見出される流量と圧力との組み合わせと比較される。抵抗曲線の1つが飲料作成器1に配置されたタイプの飲料カートリッジに関連する場合、圧力の測定に基づいて決定された動作点は、それぞれの抵抗曲線上に存在する所定の動作点に近くなる。それ故、飲料カートリッジの適切なタイプは、測定された動作点が、どの所定の動作点に最も近いかをチェックすることにより見出される。当該チェックは、マイクロコントローラ10により、いずれの適切な方法で実行されても良い。
【0042】
代替としては、飲料カートリッジに関連する抵抗曲線のみが既知であっても良く、ポンプ4のQ−H曲線が既知でなくとも良い。斯かる場合には、実際の動作点は、流量及び圧力の両方を測定することにより見出され得る。このとき、飲料カートリッジの適切なタイプは、どの抵抗曲線が、測定された動作点に最も近いかをチェックすることにより見出され得る。完全さのため、飲料作成器1は、流量及び圧力の両方の決定を実際に実現するため、少なくとも1つの流量センサと少なくとも1つの圧力センサとを有する必要がある点に、留意されたい。更に、飲料カートリッジのタイプを見出す該代替の方法は、ポンプ4のQ−H曲線が大きな変化をもつ場合に適用されるために特に適している点に、留意されたい。
【0043】
マイクロコントローラ10のメモリ11には、飲料を作る処理を実行するための所定の動作点と少なくとも1つの関連するパラメータとの組み合わせが、保存されている。それ故、所定の動作点の1つとのマッチングが為されると、関連するパラメータが見出され、ポンプ4及びその他の飲料作成器1の構成要素が、当該パラメータを実現するように、即ち規定された方法で飲料を作る処理を実行するように、制御される。これらパラメータが、最適な品質を持つ飲料を実現するよう選択されると、該最適な品質が実際に実現される。該処理において、ユーザは、飲料カートリッジのタイプに関する情報をマイクロコントローラ10に供給する必要はなく、カートリッジにおけるラベル又はコード等及び飲料作成器1における適切な読み取り器の必要もなく、これらのことは本発明の主な利点である。
【0044】
本発明の範囲は以上に議論された例に限定されるものではなく、添付される請求項に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の幾つかの修正及び変更が可能であることは、当業者には明らかであろう。本発明は図面及び説明において詳細に図示され説明されたが、斯かる図示及び説明は、単に例示又は説明のためのものであって、限定するものではないとみなされるべきである。本発明は、開示された実施例に限定されるものではない。
【0045】
本発明の範囲内で、飲料成分含有部材を通して流される流体は、飲料を作るための処理において利用されるために適切ないずれの流体であっても良い。該流体は、水であっても良いが、例えば蒸気であっても良い。
【0046】
図面、明細書及び添付される請求項の検討により、請求される本発明を実施する際に、開示された実施例に対する変形が、当業者には理解され実行され得る。請求項において、「有する(comprise)」なる語は他のステップ又は要素を除外するものではなく、不定冠詞「1つの(a又はan)」は複数を除外するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0047】
以上において、少なくとも1つの飲料成分を含む少なくとも1つの部材を受容するための室8を有する飲料作成器1が説明された。飲料作成器1の動作の間、飲料を作る目的のため、飲料成分含有部材を通して流体が流される。該飲料成分含有部材を処理するために適切なパラメータ(飲料を作る目的のための該部材を通して流されるべき流体の温度、圧力、流量及び/又は量のような)を決定することを可能とするため、飲料作成器1は、流体の流れが実現されたときに得られる流れの少なくとも1つの特性を検出するための手段12を有する。ここで、該特性は、該部材の流れ抵抗により影響を受ける特性である。更に、飲料作成器1は、該検出された特性を処理するための処理手段10と、特性の所定の値が保存されたメモリ手段11と、を有し、各所定の値は、飲料成分含有部材の特定のタイプに関連し、該部材を処理するための少なくとも1つの適切なパラメータである。該検出された特性に最も近い所定の特性を見出すことにより、飲料作成器1に実際に存在する飲料成分含有部材を処理するための適切なパラメータが選択される。このようにして、飲料成分含有部材のタイプを決定するための特別な構成要素を利用する必要なく、得られる飲料の最適な品質が保証される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々のタイプの飲料成分含有部材を受容し処理するように構成された飲料作成器において、少なくとも1つの飲料成分を含む少なくとも1つの部材を通して流体を流すことにより飲料を作成する処理のための、少なくとも1つの適切なパラメータを決定するための方法であって、
前記飲料成分含有部材を通る流体の流れを実現するステップと、
前記飲料成分含有部材の流れ抵抗により影響を受ける、前記流れの少なくとも1つの特性を測定するステップと、
前記測定された流れ特性を、飲料成分含有部材の種々のタイプと関連付けられた所定の流れ特性のセットと比較するステップと、
前記測定された流れ特性と最も近い前記所定の流れ特性に関連するパラメータを選択することによって、飲料を作る更なる処理のための少なくとも1つのパラメータを決定するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記流体をポンピングする目的のためにポンプ装置が利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定された流れ特性が比較される前記所定の流れ特性は、動作点の特徴、即ち、前記ポンプ装置の動作範囲内且つ飲料成分含有部材の流れ抵抗に関連する流量と圧力との組み合わせの範囲内である流量と圧力との組み合わせを表す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
飲料を作る更なる処理のための少なくとも1つのパラメータを決定する目的のために測定される前記流れの特性は、流量及び圧力の少なくとも一方である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記飲料成分含有部材を通して流されるべき流体の温度、流量、圧力及び量、温度、流量及び/又は圧力の時間変化、予備湿潤パラメータ、並びにポンプ時間のうちの少なくとも1つであるパラメータが、飲料を作る処理のために決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
パッド、カップ、カプセル及びカートリッジを有する群から選択された部材が、前記飲料成分含有部材として適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
種々のタイプの飲料成分含有部材を受容し処理するように構成され、少なくとも1つの飲料成分を含む少なくとも1つの部材を通して流体を流すことにより飲料を作成する処理を実行するように構成された飲料作成器であって、
請求項1に記載の方法のステップを実行することにより前記飲料作成器を制御するように構成された制御手段と、
流体の流れが実現されたときに少なくとも1つの流れ特性を測定するための検出手段と、
飲料成分含有部材の種々のタイプと関連付けられた所定の流れ特性のセットを保存するためのメモリ手段と、
を有する飲料作成器。
【請求項8】
流体をポンピングするためのポンプ装置を更に有する、請求項7に記載の飲料作成器。
【請求項9】
前記メモリ手段に保存される前記所定の流れ特性は、動作点の特徴、即ち、前記ポンプ装置の動作範囲内且つ飲料成分含有部材の流れ抵抗に関連する流量と圧力との組み合わせの範囲内である流量と圧力との組み合わせを表す、請求項8に記載の飲料作成器。
【請求項10】
前記検出手段は、流量センサ及び圧力センサを有する群から選択された少なくとも1つのセンサを有する、請求項7に記載の飲料作成器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−522124(P2010−522124A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554113(P2009−554113)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051014
【国際公開番号】WO2008/114210
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】