説明

飲料を分配し小出しするシステムおよび方法

【課題】飲料を分配し、小出しするための方法
【解決手段】使い捨てのシステムが使用される。このシステムは、プラスチックの予備成形物から一体品にブロー成形された、使い捨ての自立型容器100と、容器および閉鎖用キャップ102に挿入されるべき管136を有する管構造体とを含む。この壁の薄い容器100に、飲料が管136によって充填され、これが閉鎖キャップ102によって閉鎖される。この充填されたユニット100、102、136が末端消費者に分配され、標準型の飲料小出し手段138に連結される。使用後、空の容器100は壊され、これもプラスチックから製造された管構造体とともに廃棄される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明概念は、飲料を分配し、小出し(dispensing)するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
何十リットルという程度の比較的大きな量の飲料を供給する際には、確立したものとして、ビールなどの場合には詰め替え可能なスチール容器を、あるいはウォータディスペンサの水の場合には強力型の詰め替え可能またはリサイクル可能なプラスチック容器を使用することが知られている。スチール容器またはビア樽は製造するのに高コストであり、また飲料の供給者が在庫として保持しておくのに高コストとなる。またこれらが空になった後、これらを戻す前に、こうした容器は末端消費者に対して保管のための大きな容積を要求する。スチールのビア樽はどちらかと言うと重く、20リットルのビア樽(空で)で約10Kgの重みがある。
【0003】
国際公開特許第00/78665号明細書が、ブロー成形されたポリエチレンテレフタレート(PET)からなる内側中空シェルと、この内側シェルを封入し、支持している、成形された高密度ポリエチレンからなる剛体の外側中空シェルと、内側シェルの底内部域から外側シェルの上部の小出し用出口を通って延びる小出し用管を含むスピア構造とを備えるビール容器またはビア樽を開示している。上述の文献は、スチール容器に関連する、ここで説明している問題を扱っているが、容器が依然として比較的高コストであり、複雑な構造をしていることから、依然として部分的な解決方法しか提供していない。
【0004】
上述の知られている容器は、従来式のやり方、即ち内部圧力を加えてビールを容器の外に押し出すことによって動作するが、代替え的な解決方法が国際公開特許第99/11563号明細書に説明されている。この知られている解決方法は外側の圧力を可撓性容器に加えることを含むが、上記圧力とは機械的な圧力またはガス圧力である。またこの知られているシステムでは、これを高コストかつ複雑にするいくつかの付属品も必要である。
【0005】
国際公開特許第04/099060号明細書が、飲料を小出しする方法およびその方法について記載している。このシステムは、外部のガス圧力が容器と外側ハウジングとの間に加えられるということで、先に説明したシステムと類似しているが、容器はぴったりと合ったスタンドに逆さまに配置される。
【0006】
ビール用プラスチック容器のさらなる例が国際公開特許第03/008293号明細書に開示されている。しかし、この容器は、金属または板紙の箱などの外側ケーシング内に配設されるものである。
【0007】
これまで、非炭酸化飲料または低炭酸化飲料がプラスチック容器に充填される際には、容器が取り扱われおよび/または空にされる際に壊れないように、扱い易さおよび安定性を保証するために比較的厚い壁を備えた容器を使用することが必要であった。知られている例としては、支持体に逆さまに搭載されるように適合された水の容器がある。例えば米国特許第5217128号明細書を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2000/78665号
【特許文献2】国際公開第99/11563号
【特許文献3】国際公開第2004/099060号
【特許文献4】国際公開第2003/008293号
【特許文献5】米国特許第5217128号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの容器は、上述の扱い易さおよび安定性の必要を満たすために約0.8から1.0mmの壁の厚みを有する。これらの容器から一部分ずつ小出しする間に、容器の内部で低い空気圧が生成され、容器の中に周囲の空気が引き込まれてしまう。このことは、容器内の衛生に有害な影響を及ぼし、その結果、水の品質を保証することができなくなる。壁の厚い容器は、壁の薄い容器と比べて、製造コストおよび移送コストの増大をもたらす。さらに、壁の厚い容器は、廃棄処理システムの観点で説明すると、大きな資源を必要とする。このことは、安全な流水へのアクセスのない地域に飲料水を様々な種類の容器でしばしば移送しなければならない開発途上国では、特に問題である。
【0010】
本発明の目的は、上述の問題および関連した問題に対して解決策、または少なくとも軽減策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によって、このことが、飲料を分配し、小出しするシステムであって、
プラスチックの予備成形物からブロー成形された飲料用容器であって、口部分と、肩部分と、ベース部分と、肩部分からベース部分に延在する本体部分とを有し、自立型であり、一体品として形成され、使い捨て可能な容器と、
管構造体であって、容器内に挿入される、飲料用の内側管路を有する細長い管と、容器の口部分に連結される閉鎖要素とを備え、使用中は、管の内側端部が容器のベース部分に隣接して位置付けられて、飲料を、上記内側端部から上記管路を通して閉鎖要素へと通して小出しするようにする、管構造体とを備える、システムを提供することによって達成される。
【0012】
この容器が自立型であり、使い捨て可能であるとともに、一体品として形成されているという事実によって、後で容器に充填が行われると考えられる場所で、予備成形物から製造することのできるコスト効率の高い容器が実現される。使用後は、空の容器を、さほど大きな量の保管スペースを取らずに効率的に廃棄することができる。一実施形態では、この容器システムは生ビール用の従来式ビア樽システムに取って代わるものである。生ビールに利用される一般的なスチール容器と比べて、本容器は、複数の観点でコスト効率が高い。第1に、この容器は、原材料コスト、電力消費、および処理工程の点で低コストに製造される。第2に、これらの容器は、引き続いてこれらに充填が行われる場所で、オンデマンドで予備成形物からブロー成形されることから、これらはそれほど大きな保管用スペースを必要としない。第3に、スチール容器の場合には、返却された容器を取り扱う組織が必要であり、これは明らかにコストをさらに増大させる。本システムの容器は自立型であり、耐久性があることから、外側の保護構造体および/または支持構造体を設ける必要がない。使用中、容器は単純に支持体なしで直立して立つように配置され、標準的な小出しシステムに接続される。このことは、知られている解決方法よりも明らかにコスト効率が高く、追加の支持構造体を使用しなくてはならない場合よりも、より小さなスペースしか必要としない。
【0013】
この使い捨て可能な容器は、小型サイズのプラスチックボトルに使用されるポリマー材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびその他のポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン)、ポイラクチド、またはこれらの任意の組み合わせから製造されることが好ましい。容器がポリラクチドから製造される場合は、容器は適切な条件下で生物分解可能である。さらに、ポリラクチドから製造される容器を低温で製造することができ、その結果、より広範囲のスカベンジャを使用して容器の内容物を保護することができる。ポリオレフィンは、これらが蒸気に対する強力な障壁であるという点で、また容器分野の中で広範囲に使用されているという点で独自の利点を有する。ポリエチレンテレフタレートは、プラスチックボトル分野全般の中で広範囲に使用されており、その点で、使用するのに適した材料である。容器の内容物を太陽光線などの破壊的な放射線から保護するために、容器に色付けすることができる。
【0014】
この容器の本体部分は、約0.2mmから0.6mmの側壁厚みを有することが好ましく、0.35mmから0.40mmを有することが最も好ましい。壁の厚みが薄いほど、容器は軽量かつ低コストになる。壁の薄い構造のおかげで、空の容器を極めて小さな体積に容易に崩して廃棄することができる。この意味で、本発明は、容器基材の重量あたりの容器の容積容量の点で、極めてコスト効率の高い自立型容器を提供する。側壁の厚みは一般的に、本体部分のおおよそ中央部分で測定される。
【0015】
一実施形態では、この自立型容器は、ベース部分の一部を形成するいくつかの脚部で支持されている。これは花弁状ベースと呼ばれている。この容器は、少なくとも使用中は、大気圧を越える内部圧力を受け易いため、平坦であり得る容器の表面が膨らむ傾向にある。したがって、ベース部分から延在する脚部を設けることによって、容器がしっかりと表面上に立ち、しかも一体品として形成されることが可能になる。
【0016】
この使い捨て可能な壁の薄い容器には、酸素および二酸化炭素に対する障壁が設けられて、これらのガスが容器の内外に拡散するのを防止することが好ましい。容器に含まれている内容物の賞味期間を長くする上で、酸素障壁は、酸素が容器の中に拡散するのを防止するための重要な要因である。また、容器の内容物が炭酸化されている場合、内容物が期待されている賞味期間にわたって炭酸化された状態であることが重要である。このことは、二酸化炭素障壁を設けることによってし易くされる。これらの障壁は、知られている多層技術によって達成することができるが、これには、ポリエステルおよびポリアミドと任意選択の追加のスカベンジャとを組み合わせること、および/または容器材料をコバルト、鉄、ニッケル、銅、マンガン等の金属イオンでドーピングすることが含まれる。これらは、例えば本出願人の欧州特許第429476号明細書、欧州特許第427751号明細書、欧州特許第527902号明細書、欧州特許第527903号明細書で説明している通りであるが、混合技術によって行うことが好ましい。混合技術の一例としては、PETなどの容器材料が、ポリアミドなどのスカベンジャを担持している他の材料と混合されることがある。この技術は一般に多層技術ほど充分な特性を実現しないが、低コストである。
【0017】
障壁を、ラッカー塗料および/または酸化ケイ素などのコーティングの形態で設けることも可能である。ラッカー塗料は一般に容器の外側表面に塗布され、酸化ケイ素は内側表面に塗布されるが、酸化ケイ素はプラズマコーティング処理で行われる。酸化ケイ素が内側で使用されている場合、これはスカベンジャが実際の容器の中で使用されるのを阻止し、その場合、スカベンジャは管構造体および/または閉鎖要素に加えられる。容器に細心の注意をもって充填が行われても、少量の酸素が存在する可能性があり、管構造体および/または閉鎖要素に加えられたスカベンジャがこれに対処することになる。スカベンジャの特性から、スカベンジャはしばしば、ラッカー塗料などの「受動的な」障壁とは対照をなすものとして「能動的な」障壁と呼ばれる。障壁はまた、一般的に、蒸気、紫外線照射などの照射、および芳香が容器の内外に「拡散」するのを阻止するためにも設けられる。容器の内容物を、太陽光線などの破壊的な照射から保護するために、容器に色付けすることもできる。
【0018】
一体型容器の本体部分は、本質的に一定の直径を備えた円筒状であることができる。これは、容器の大きな部分が半径方向外向きに膨らんでいる容器と比べて、移送中のスペース効率が高い包装であるという点で有益である。この円筒状の表面は、外側ラベル、銘柄、商標などを設けること、ならびに予備成形物を容器にブロー成形する際にレリーフを設けることにも適している。
【0019】
この容器システムの閉鎖要素は、閉鎖方向にバイアスを掛けられた逆止め弁を備えることが好ましい。これによって、容器に充填する前に容器の口部分に弁を加えることが可能になり、移送用の追加の蓋が不必要となる。さらに、不正開封防止シールおよび/または封塵シールが逆止め弁を覆うようにただ貼られるだけである。
【0020】
閉鎖要素は、一体品として形成される貫通可能なキャップであることもできる。この変化形態は簡単に製造され、コスト効率が高くかつ確実な密閉を保証する。このタイプの貫通可能なキャップは、容器への充填の後に加えられる。このキャップには、使用前に、例えば注射器タイプの針などの、小出し用ヘッドの貫通手段が突き通されるが、これは、管と液体連通して飲料を小出しするための開口部と、二酸化炭素または窒素などの圧縮不活性ガスを注入するための開口部とを提供する。
【0021】
このような貫通可能なキャップが使用される場合は、システムにはキャップを貫通することが可能な手段を有する小出し用ヘッドが設けられることが好ましい。このようにすると、キャップを取り外さずに小出し用ヘッドを容器に取り付けることができる。このキャップ貫通手段は、飲料内へ下に延びる管と流体連通するように小出し用ヘッドを配置するための手段と、圧縮不活性ガスを容器に供給する手段とを備える。
【0022】
好ましい実施形態では、本システムは、現在の商業用および家庭用の生ビール用ビア樽またはバレルに取って代わることを目的としている。したがって好ましい寸法範囲は大きく、商業用途では、好ましい容積容量は3から40リットル、好ましくは15から30リットル、より好ましくは20から25リットルである。家庭用途では、好ましい範囲は3から10リットル、最も好ましくは4から6リットルである。
【0023】
本システムの容器は、10から20程度、好ましくは12から16程度、最も好ましくは14から16程度の延伸比にさらされていたPET予備成形物からブロー成形されることが好ましい。この文脈で用いている「延伸比」とは、基本的に一定である予備成形物の側壁の厚みと容器の側壁の最も薄いところの厚みとの比を指している。
【0024】
本発明はまた、飲料を分配し、小出しする方法において、
プラスチックの予備成形物を準備するステップと、
上記予備成形物を、口部分と、肩部分と、ベース部分と、肩部分からベース部分に延在する本体部分とを有する飲料用容器にブロー成形するステップであって、上記容器は自立型であり、一体品として形成され、使い捨て可能である、ステップと、
上記容器に飲料を充填するステップと、
容器内に挿入されるべき細長い管を備え、飲料用の内側管路を有する管構造物と、容器の口部分に連結されるべき閉鎖要素とを容器に設けるステップであって、使用中、管の内側端部が容器のベース部分に隣接して位置付けられ、飲料が上記内側端部から上記管路を通され、閉鎖要素に至って、小出しされる、ステップと、
充填された容器を、口部分に連結された閉鎖要素によって閉鎖するステップであって、上記閉鎖要素は閉鎖キャップとして作用する、ステップとを備える方法であって、
上記充填されキャップされた容器は分配のための1ユニットを形成する、方法にも関する。
【0025】
本方法によって、飲料の製造業者が、外部の供給業者から予備成形物および管/弁の構造物を購入するだけで、工場内の製造および容器の充填を行うことが可能になる。予備成形物は巨大な保管用スペースを必要とせず、容器が充填ステップに先行する加工ステップでブロー成形されることから(この後容器は荷積みされ、顧客に配送されるが)、必要となる総保管用スペースは、標準的なビア樽システムと比べて相当に縮小される。さらに、ここでも従来型のビア樽システムと比較して、飲料の製造業者は、充填されキャップされた容器を顧客に低コストで配送することができる。新たな市場へと拡大する際の敷居も、関連するコストの縮小によって著しく低くなる。管/スピア構造物は、一般的に容器に取り付けられる前に組み立てられる。閉鎖要素のタイプに応じて、これを容器への充填の前または後に実行することができるが、これについては後で説明する。したがって、容器に充填するステップと、容器に管構造物を設けるステップとは逆の順序で起こることが可能である。
【0026】
本方法はまた、管構造物を加えるステップに続いて、不正開封防止シールおよび/または防塵シールを閉鎖要素に貼って、容器の口部分を密閉するステップも備えることができる。明らかな理由から、このステップは最終消費者にとって重要であることができる。
【0027】
本発明はまた、本システムと本方法で使用するための容器にも関するものであり、上記飲料用容器は、プラスチックからなる予備成形物からブロー成形され、口部分と、肩部分と、ベース部分と、肩部分からベース部分に延在する本体部分とを有し、自立型であり、一体品として形成され、使い捨て可能である。このことは先に説明した利点を与える。この容器は特に、生ビールと、サイダーおよびソフトドリンクなどの低炭酸飲料とに適しているが、ワイン、泡の立たない飲み物、牛乳、水、およびフルーツジュースなどの非炭酸飲料に使用することもできる。
【0028】
一般に大型であるが、この容器は、小型のプラスチックボトルで使用される熱可塑性ポリマー材料から製造されることが好ましい。これには例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびその他のポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン)、ポリラクチド(NatureWorks(登録商標)PLAポリマー)、またはこれらの任意の組み合わせなどがある。
【0029】
本発明の自立型の、単体物の、使い捨て可能な容器の好ましい実施形態を、従属請求項19から31で記載している。
【0030】
以下に、添付図面を参照して、本発明概念をより詳細に説明する。図面には、好ましいが、制限されない実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】いくつかの付属品が含まれた、分解された状態と組み立てられた状態それぞれの、本発明によるシステムの第1実施形態の概略図である。
【図2】いくつかの付属品が含まれた、分解された状態と組み立てられた状態それぞれの、本発明によるシステムの第1実施形態の概略図である。
【図3】図4に示している予備成形物から製造され、また図1に示しているシステムの一部を形成している容器の概略図である。
【図4】図1から図3に示している容器用の予備成形物の(拡大)概略図である。
【図5】図1に示しているシステムの一部を形成している、開放位置と閉鎖位置それぞれの閉鎖要素の断面図である。
【図6】図1に示しているシステムの一部を形成している、開放位置と閉鎖位置それぞれの閉鎖要素の断面図である。
【図7】第2実施形態で使用されている代替的閉鎖要素を示す図である。
【図8】図7のキャップが設けられた容器に使用される代替的小出し用ヘッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるシステムを概略的に示すものである。このシステムは、飲料用の自立型で使い捨て可能な容器100と、閉鎖要素ないし弁要素102、および管136を備える管構造体またはスピア構造体104とを備える。移送する目的で、容器100の上方部分にハンドル106を任意選択で取り付けることができる。
【0033】
図3にさらに示している容器100は一体品として形成され、一般的に、ネック終端部分ないしは口部分108、肩部分110、本体部分112、およびベース部分114を備える。口部分108は、対合する円周溝/フランジの構成物119を有する弁要素102と係合するための円周フランジ116を有する(図5から図6)。容器100は、これを自立させるための花弁状ベース部分114を有する。本体部分112の側壁の厚みは約0.40mmである。
【0034】
容器100は、プラスチックの射出成形パリソンまたは予備成形物113からブロー成形されている。予備成形物113は、約5mmの壁の厚みを有し、プラスチック材料は、ポリエチレンテレフタレートを約94%、ポリアミドを約6%備える。
【0035】
容器の壁は酸素および二酸化炭素の拡散に対する障壁を有する。コバルトイオンがスカベンジャとしてポリアミド内に混合して使用されることが好ましい。
【0036】
使用される予備成形物113の重量は、20リットル容器100に対して233gであり、管/弁アセンブリ104の重量は約40gである。したがって、この実施形態による、充填される状態にある完全な20リットル容器100は、約273gの重量しかなく、このことは、同じ容積に対して約10kgの重量がある強力型のスチールビア樽と比較して大きな利点である。
【0037】
図5および図6を参照すると、弁要素102は、容器100から飲料を小出しするのに使用されるスピア構造体104の一部を効果的に形成している。弁要素102は、本質的に回転対称形状を備えた構造本体118を備える。構造本体118は、容器の口部分108の縁122を締まり嵌めで受け取る環状の溝120を有する。弁要素102が口部分108に滑り込まされるにつれて、環状の溝120は上述のように縁122を受け取り、弁要素102がさらに滑り込まされるにつれて、円周溝/フランジ構成物119が口部分108の円周フランジ116とスナップロック式の係合で係合する。これを図5および6で見ることができる。口部分108のまわりに配置されたOリング124が、口部分108と弁要素102の間で挟まれて、密閉をもたらす。
【0038】
弁要素102は、キャップとして作用する弁要素102内に同心円状に配置された弁部分126をさらに備える。この弁部分126は一般的には、下から弁要素102の上方部に向けてバネでバイアス掛けされた環状の弁部材128を備える。環状の弁部材128は、弁要素102の上方部の対合する環状同心円状の隙間130に密封状態となるように受け取られる。図5を参照されたいが、弁部材128に閉鎖方向にバイアスを掛けるバネ132は、弁要素102の中央部に固定され、円筒状部材134のまわりに同心円状に配置されている。円筒状部材134は、一方端部を弁要素102の上方部とぴったり重なるように密閉させ、他方端部を管136の上方端部136aを受け取るように適合させている。円筒状部材134の両端部の間に半径方向の穴135が存在して、管136を押し上げられている飲料が円筒状部材134から出ることができるようになる。図6を参照されたいが、弁部材128が押し下げられると、この好ましい実施形態では生ビールまたはサイダーである飲料は、容器100から出る。弁部材128が環状の隙間130に向かってバイアスを掛けられると、飲料は退出することができない。
【0039】
スピア構造体104の細長い管またはスピア136は、弁要素102から容器100の中へと延在する。管136は中空の管路137を有しており、上方端部136aは先に説明したように弁要素102内に挿入され、内側端部136bは飲料が進入するように開放されたままとなっている(図1から図2)。
【0040】
細長い管136と弁要素102を備えたスピア構造体104は、ステンレススチールから製造されるバネ132とは別に、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、または類似のものから製造される。細長い管136は、閉鎖要素または弁要素102と同様に、一般に、本質的に容器100と同じ群の材料から製造され、管136は好ましい実施形態では極めて柔軟である。
【0041】
容器100に充分な密閉をもたらすために、環状の同心円状の隙間130の縁部と当接している環状弁部材128の少なくとも外側部分が、弁要素102の残りの部分よりは柔軟な材料から製造されている。剛体の環状弁部材128が、密閉のための特性および当接のための特性を得るのに重要であり得るが、これを実現するために、環状の弁部材128の内部は、外側の当接部分よりも硬質の材料からなる剛体の芯(図示せず)を備えることができる。
【0042】
使い捨て可能な容器100への炭酸飲料(ビールなど)への充填は、一般に以下の方法で行われる。スピア構造体104がユニット102、136として組み立てられた後、これは、管136が容器100の中に挿入された状態で、容器100に取り付けられる。次いで容器100は充填ステーション(図示せず)で逆さまに配置される。容器100の内側の空気が二酸化炭素によって追い出され、超過圧力(充填圧力)が確立される。こうした措置は、充填中に泡が生成される危険を最小限に抑えるために取られている。泡が生成されると充填手順の速度が落ちる。泡が生成される危険度が低ければ、当然上記措置を取りやめることができる。充填中は、環状の弁部材128は押し下げられて、飲料を容器100の中に注入することができるようになる。容器100に封じ込められていたガスが細長い管136を通って上向きに押し出される。スピア構造体104を配置する前に、容器100に充填を行うこともできる。これは第2実施形態の関連で以下に説明することと同様であるが、これは弁要素102の特性をあまり利用していない。
【0043】
したがって、容器の製造と飲料の充填とは、壁の薄いPET容器をブロー成形することと、スピア/弁構造体を容器に取り付けることと、これらに上述のやり方で飲料を充填することとを備える。充填された容器は保管され、次いで顧客に配送される。
【0044】
移送をし易くするために、容器100の口部分108に取っ手106を取り付けることができるが、これは、取っ手106を口部分108の上に滑り込ませ、これを、弁要素102を口部分108に取り付けることによって容器100に固定することで行うことが好ましい(図3参照)。容器100への充填の後、弁要素102には、フォイルなどの防塵対策および不正開封防止用証拠物を設けることが好ましい。
【0045】
使用中、小出し用ヘッド138は弁要素102に結合されており、小出し用ヘッド138のレバー138aを操作することによって、圧縮不活性ガス、典型的には外部の源(図示せず)からの窒素または二酸化炭素が、入口138bを通して容器100の中に注入されることになる。したがって、従来型のタップユニット(図示せず)が連結されている出口138cによって、飲料がスピア構造体104を通して、小出し用ヘッド138の外に、容器100から押し出される。このようにして過圧力が容器100の形態および安定性を維持する助けとなる。
【0046】
容器100が飲料を空にされると、小出し用ヘッド108は外され、容器100は壊され、廃棄される。スピア/弁構造体104も廃棄される。したがって、真の使い捨てシステムが達成される。
【0047】
図7は、貫通可能なプラスチックキャップ140の形態の、代替え的で、より単純な閉鎖要素を示している。キャップ140は、容器100の口部分108に取り付けられる前に、第1実施形態の細長い管136と類似の細長い管136’がこれに設けられる。この管を、キャップ140から延在する点線によって指示している。容器100には、貫通可能なキャップ140および管136’が設けられる前に、以下のやり方で充填が行われる。最初に、充填の手順をより効率的にするために、二酸化炭素または窒素を使用することによって、直立している容器100から空気が一気に流される。任意選択で充填圧力がもたらされる。細長い充填ノズル(図示せず)が直立したままにされている容器100の中に挿入され、容器100の中に飲料が充填される。充填速度は、最初は、約1デシメートルの飲料が容器100の中に充填されるまでは、ゆっくりとしており、ノズルの開口は沈められている。次いで充填速度は、容器100が充填されるまで上昇し、その後、貫通可能なキャップ140とこれに関連した細長い管136’とが容器100に取り付けられる。
【0048】
図8に概略を示している小出し用ヘッド142は、使用中、貫通可能なキャップ140に連結されており、キャップに貫通する能力を有する注射状針144、146がキャップ140に突き通る。第1針144は管136’と流体連結されて飲料を小出しし、第2針146は流体連結されて圧縮不活性ガス、一般的には窒素または二酸化炭素を容器100の内側にもたらす。使用後は、貫通可能なキャップ140は廃棄される。
【0049】
充填された容器100の小出しと、これを廃棄することとは先に説明したものと基本的に同じである。空の容器100は、スピア/弁構造体と同様に廃棄される。
【0050】
最後に、本発明概念が本明細書で説明した実施形態に限定されないことが、強調されるべきである。当業者は、添付の請求項で規定されている通りの本発明の範囲内で、修正形態が実現可能であることを予想する。例えば、この容器の自立型の特徴を、シャンペンタイプのベース部によって達成することが可能である。さらに、この容器の口部分を閉鎖するために、代替え的な手段を使用することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を分配し、小出しするシステムであって、
プラスチックの予備成形物からブロー成形された飲料用容器であって、口部分と、肩部分と、ベース部分と、肩部分からベース部分に延在する本体部分とを有し、自立型であり、一体品として形成され、使い捨て可能な容器と、
管構造体であって、容器内に挿入される、飲料用の内側管路を有する細長い管と、容器の口部分に連結される閉鎖要素とを備え、使用中は、管の内側端部が容器のベース部分に隣接して位置付けられて、飲料を、前記内側端部から前記管路を通して閉鎖要素へと通して小出しするようにする、管構造体とを備える、システム。
【請求項2】
容器が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびその他のポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポイラクチド、またはこれらの任意の組み合わせからなる一群の少なくとも1つから製造されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
容器本体部分の側壁の厚みが約0.2mmから0.6mmである、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
容器本体部分の側壁の厚みが約0.35mmから0.40mmである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
容器のベース部分が花弁状のベース部である、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
容器のベース部分がシャンペンタイプのベースである、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
容器の壁が酸素と二酸化炭素に対する障壁を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記障壁が多層技術または混合技術によって達成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記障壁がコーティングを塗布することによって達成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記障壁が金属イオンのドーピングによって達成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
管構造体の少なくとも一部分にスカベンジャまたはコーティングが設けられている、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
容器の本体部分が本質的に円筒状である、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
閉鎖要素が逆止め弁を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
閉鎖要素が貫通可能な部分を有するキャップを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1つのキャップ貫通手段が設けられた小出し用ヘッドをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
容器が10から40リットル、好ましくは15から30リットル、より好ましくは20から25リットルの容量を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
飲料を分配し、小出しする方法であって、
プラスチックの予備成形物を準備するステップと、
前記予備成形物を、口部分と、肩部分と、ベース部分と、肩部分からベース部分に延在する本体部分とを有する飲料用容器にブロー成形するステップであって、前記容器は自立型であり、一体品として形成され、使い捨て可能である、ステップと、
前記容器に飲料を充填するステップと、
容器内に挿入されるべき細長い管を備え、飲料用の内側管路を有する管構造物と、容器の口部分に連結されるべき閉鎖要素とを容器に設けるステップであって、使用中、管の内側端部が容器のベース部分に隣接して位置付けられ、飲料が前記内側端部から前記管路を通して閉鎖要素へと通されて、小出しされる、ステップと、
充填された容器を、口部分に連結された閉鎖要素によって閉鎖するステップであって、前記閉鎖要素は閉鎖キャップとして作用する、ステップとを備え、
前記充填されキャップされた容器は分配のための1ユニットを形成する、方法。
【請求項18】
容器の口部分を、タンパーおよび/またはダストシールを弁要素に貼って、密閉するステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から16のいずれか一項に記載のシステムのための容器であって、飲料用の前記容器は、プラスチックの予備成形物からブロー成形され、口部分と、肩部分と、ベース部分と、肩部分からベース部分に延在する本体部分とを有し、自立型であり、一体品として形成され、使い捨て可能である、容器。
【請求項20】
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびその他のポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリラクチド、またはこれらの任意の組み合わせからなる一群の少なくとも1つから製造されている、請求項19に記載の容器。
【請求項21】
本体部分の側壁の厚みが約0.2から0.6mmである、請求項19または20に記載の容器。
【請求項22】
本体部分の側壁の厚みが約0.35から0.40mmである、請求項21に記載の容器。
【請求項23】
容器のベース部分が花弁状のベースである、請求項19から22のいずれか一項に記載の容器。
【請求項24】
容器のベース部分がシャンペンタイプのベースである、請求項19から22のいずれか一項に記載の容器。
【請求項25】
容器の壁が酸素と二酸化炭素に対する障壁を有する、請求項19から24のいずれか一項に記載の容器。
【請求項26】
前記障壁が多層技術または混合技術によって達成される、請求項25に記載の容器。
【請求項27】
前記障壁がコーティングを塗布することによって達成される、請求項25に記載の容器。
【請求項28】
前記障壁が金属イオンのドーピングによって達成される、請求項25に記載の容器。
【請求項29】
前記障壁が容器の色付けによって達成される、請求項25に記載の容器。
【請求項30】
容器の本体部分が本質的に円筒状である、請求項19から29のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項31】
容器が4から40リットル、好ましくは15から30リットル、より好ましくは20から25リットルの容量を有する、請求項19から30のいずれか一項に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−91525(P2013−91525A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−271985(P2012−271985)
【出願日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【分割の表示】特願2008−543233(P2008−543233)の分割
【原出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(509335292)ペタイナー・リドチエピング・アー・ベー (2)
【Fターム(参考)】