説明

飲料サーバーシステム

【課題】簡易な構成で、飲料瓶中の飲料に空気を触れさせることなく、また高級ワインの多くに存在する澱を混入させることなく、飲料瓶から飲料を注出することができ、飲料注出作業及びメンテナンスが容易で、一般家庭でも簡単に導入することができる飲料サーバーシステムを提供する。
【解決手段】コルクによって閉栓された飲料瓶から開栓することなく飲料を注出する飲料サーバーシステムであって、前記コルクを貫通する貫通部を備えており、該貫通部は、瓶内の飲料を注出するための飲料注出経路と、瓶内にガスを注入するためのガス注入経路を有し、前記飲料注出経路を通して瓶内から飲料を注出する時に、瓶内において、前記ガス注入経路に備えられたガス注入口は、前記飲料注出経路に備えられた飲料注出口より上方に位置することを特徴とする飲料サーバーシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料サーバーシステムに関し、より詳しくは、コルクで閉栓された飲料瓶内の飲料に空気を触れさせることなく飲料瓶から飲料を注出することができ、特に高級ワインの多くに存在する澱を混入させずにワインを注出することが可能な飲料サーバーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワインは、フランス産が多いこと等に起因するおしゃれなイメージに加え、イタリアやドイツ等のヨーロッパに限らず、アメリカ(カリフォルニア)や、チリ等の南米でも質のよいものが作られ、産地ごとに味や薫りが異なって料理との相性等も考慮すると奥深いものであり、また健康にもよいことが科学的に立証されたこともあって、近年、ワインブームが続いている。
このワインは、ガラス瓶製のワインボトルに入れられ、そのワインボトルの口はコルク栓で密閉され、酒類の中でも特殊な態様で流通する。このようにコルク栓で密閉されているのは、わずかでも空気に触れると風味を損なうというワインの特性のためである。即ち、ワインは、一度空気中の酸素に触れると、たとえその後に酸素を遮断してもワインの劣化は進行して味や薫りの変化が続き、風味は悪化するからである。
従って、ワインボトルからコルク栓を抜くと、ボトル中のワインに空気が触れるため、一度開けたワインボトルのワインは、風味が悪くなる前に飲みきってしまうことが好ましい。
【0003】
しかしながら、通常のワインボトルのサイズは750mlであり、少人数で飲みきるには多いと言われている。ワインの中には、ハーフボトルサイズで販売されているものもあるが、極わずかである。ハーフボトルサイズを作ることは割高となり、ハーフボトルサイズではボトル中のワインの品質が不安定になるという理由等による。
よって、一般家庭において少人数でワインを飲むときや、レストランでワイングラスとしてワインを提供するときには、コルク栓を抜いてからワインの風味が悪くなる前に750mlの1本のワインを飲みきってしまうことができず、ワインが残ってしまう。
【0004】
このようにワインボトルに残ったワインに対しては、ワインボトル中の空気を抜き出すための栓とハンディサイズのポンプのセットが市販されている。その栓をワインボトルの口に差込み、その栓にハンディサイズのポンプを被せて空気を抜き出した後、ポンプを外すと栓によってワインを真空保存することができ、開栓直後の風味を損なわずに飲みかけのワインも新鮮な状態で保存できるというものである。
また、ワインボトルの口に専用栓を差込み、その専用栓を介してボンベからワインボトル中へ不活性ガスを送るものも市販されている。
しかしながら、これらはいずれも一度ワインボトル中のワインに空気が触れているため、開栓直後にボトル内を真空にしたりボトル中に不活性ガスを送ったりしても、上述のようにボトル中のワインの劣化を止めることはできない。
【0005】
そこで、ワインボトル中のワインに空気を触れさせることなく、ワインボトルからワインを抽出する流体抽出装置(下記特許文献1参照)と、コルク栓を引き抜いて前記流体抽出装置に用いる流下バルブに交換する栓交換装置(下記特許文献2参照)が提案されている。
この流体抽出装置は、流体を気密保持状態で貯留可能とする流体貯留部を備えた装置本体と、逆さにしたボトルの頭部を気密保持状態で流体貯留部上部に装着可能、かつ、ボトルの頭部から流下する流体を気密状態で流体貯留部内に流下バルブを介して流下可能にした取付部と、抽出バルブを介して流体貯留部内の流体を流下可能とする抽出部と、流体貯留部内に劣化防止用ガスを供給するガス供給口と、流下バルブを動作させる第1駆動部と、抽出バルブを動作させる第2駆動部とを備えたものである。
また前記栓交換装置は、ボトル頭部に着脱可能な気密チャンバー体と、チャンバー体に窒素ガスを供給するガス供給口と、チャンバー体内のエアーを排出するエアー抜き弁と、コルクスクリューを支持する昇降可能な第1支持構造と、代替栓を収納する昇降可能な第2支持構造とを有している。
前記栓交換装置によれば、ボトル内にエアーを侵入させることなく、既存のボトル栓と代替栓(流下バルブ)とを交換することができる。そして、この流下バルブを用いた流体抽出装置によれば、随時に定量のワイン等の流体を抽出することができ、かつ抽出のための操作が簡単で長期保存にも対応することができる。
【0006】
しかしながら、この流体抽出装置は、ワインボトルからのワインを一旦装置本体の流体貯留部に貯め、その流体貯留部内にはガスを供給してワインの劣化を防止しながら、流体貯留部のワインを抽出バルブを介して抽出部から流下させて取り出す、という複雑で大掛かりな装置である。このような装置はコストが高く、たとえワイン抽出操作は簡単であっても技術者によるメンテナンスは必要であり、ランニングコストも高くなる。
従って、前記流体抽出装置は、一般家庭で気軽に購入して使用できるようなものではなく、レストランであっても、ワインの販売量がそれほど多くないところでの導入は容易ではないと考えられる。
また、前記流体抽出装置では、ワインボトルは逆さにして頭部を流体貯留部上部に装着しなければならず、美観面が重視されるワイン業界においては、ワインボトルを逆さにした状態を見せながらワイングラスに注ぐことはあまり好ましくない。一方で、上述のようにワインは産地によって味や薫りが異なり、その産地を表示するラベルを見せながらワイングラスに注ぐ行為が必要とされている。よって、前記流体抽出装置では、美観面に配慮して顧客の目前でワインを注出することはできない。
さらに、その流体貯留部が備えられた装置本体は、ガス発生装置等も連結されていることから簡単に移動することはできないので、各テーブルの顧客の目前でワインを注出することは困難である。
これらの課題はワインだけでなく、コルクによって閉栓されている日本酒等の他の飲料についても同様である。
【0007】
一方、下記特許文献3には、特許文献1及び2に開示された装置に比べて簡単な構造で、コルクによって閉栓された瓶からワインを注出することができるワインの取り出し装置が開示されている。
しかし、この特許文献3に開示された装置は、年代物の赤ワインの殆どに含まれている澱が、ワインに混ざって一緒に取り出されてしまうという大きな問題があった。
すなわち、特許文献3の装置では、不活性ガスの供給口とワインの注出口とが同じ高さで隣接する状態でワイン内に入れられるため、不活性ガスの供給により攪拌されて舞い上がった澱の多くが、注出口からワインと共に取り入れられて取り出されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3601823号の再公表特許公報
【特許文献2】特許第3649334号の再公表特許公報
【特許文献3】特開昭50−66384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、簡易な構成で、飲料瓶中の飲料に空気を触れさせることなく、また高級ワインの多くに存在する澱を混入させることなく、飲料瓶から飲料を注出することができ、飲料注出作業及びメンテナンスが容易で、一般家庭でも簡単に導入することができる飲料サーバーシステムを提供する。
また、その飲料注出作業を美観面でも配慮して行うことができる飲料サーバーシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、コルクによって閉栓された飲料瓶から開栓することなく飲料を注出する飲料サーバーシステムであって、前記コルクを貫通する貫通部を備えており、該貫通部は、瓶内の飲料を注出するための飲料注出経路と、瓶内にガスを注入するためのガス注入経路を有し、前記飲料注出経路を通して瓶内から飲料を注出する時に、瓶内において、前記ガス注入経路に備えられたガス注入口は、前記飲料注出経路に備えられた飲料注出口より上方に位置し、前記飲料注出経路と前記ガス注入経路は中空の針からなり、前記ガス注入口は、前記飲料注出口より先端側に設けられており、前記飲料注出経路は中空の長針状であり、前記ガス注入経路は螺旋状に形成されてその螺旋の中心に前記飲料注出経路が配置されていることを特徴とする飲料サーバーシステムに関する。
【0011】
請求項2に係る発明は、円筒状の枠の中に前記貫通部を支える支柱を有し、上キャップと下キャップで前記支柱を上下から挟みこんで前記枠内の気密性を保つことができるガイド器具を有し、前記ガイド器具は、前記貫通部の先端側に装着された状態で、前記下キャップをワインボトルの口に嵌めると、コルク栓に前記ガス注入路の前記ガス注入口より先端側のみが刺さる状態となることを特徴とする請求項1記載の飲料サーバーシステムに関する。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記貫通部の上方位置に、該貫通部と略直角に延びる本体部が設けられており、該本体部は、前記飲料注出経路と連通して飲料を外部に導出する飲料注出路と、前記ガス注入路と連通して外部からガスを導入するガス注入路とを有していることを特徴とする請求項1又は2記載の飲料サーバーシステムに関する。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記飲料注出路と着脱可能に連結されて飲料を排出する飲料排出路と、前記ガス注入路と着脱可能に連結されてガスを供給するガス供給路とを備えていることを特徴とする請求項3記載の飲料サーバーシステムに関する。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記ガス供給路の先端部には、前記ガス注入路の先端部に設けられた接合部と接合する被接合部と、該被接合部の外周部を覆うキャップとが備えられており、前記キャップは、該キャップ内部の圧力が所定値を超えたときに当該内部のガスを外部に排出する弁を備えているとともに、前記接合部及び被接合部を内包するように前記本体部と連結可能に構成されており、当該連結状態において前記キャップ内部が気密状態となることを特徴とする請求項4記載の飲料サーバーシステムに関する。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記ガス注入経路にガスを供給するガスボンベを内蔵するとともに、その上方にて前記飲料瓶をその口を瓶底より下方に傾けて保持するラックを備えたことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の飲料サーバーシステムに関する。
【0016】
請求項7に係る発明は、前記ガス注入経路にガスを供給するガスボンベを内蔵するとともに、前記飲料瓶を直立状態に保持するラックを備えたことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の飲料サーバーシステムに関する。
【0017】
請求項8に係る発明は、前記ガス注入経路にガスを供給するガスボンベを内蔵するとともに、前記飲料瓶の傾斜角度を変更可能に保持するラックを備えたことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の飲料サーバーシステムに関する。
【0018】
請求項9に係る発明は、前記ラックが、前記飲料瓶の内部を照射するライトを備えていることを特徴とする請求項6乃至8いずれかに記載の飲料サーバーシステムに関する。
【0019】
請求項10に係る発明は、前記ライトは、前記ガスボンベを内蔵する箱の内部に配設され、前記箱は、前記飲料瓶と接する面に、前記ライトの光を透過する透明プレートを備えていることを特徴とする請求項9記載の飲料サーバーシステムに関する。
【0020】
請求項11に係る発明は、前記本体部がラチェット機構を備えており、該ラチェット機構は、前記本体部を一方向に回転させた時には前記貫通部を同じ方向に回転させる一方、前記一方向と逆方向に回転させた時には前記貫通部を回転させないことを特徴とする請求項3記載の飲料サーバーシステムに関する。
【0021】
請求項12に係る発明は、前記本体部が、前記貫通部を該本体部と独立して回転させるモータと、該モータに電力を供給する電池とを備えていることを特徴とする請求項3記載の飲料サーバーシステムに関する。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば、コルクにより閉栓された飲料瓶のコルクに貫通部を穿刺して貫通させることで、コルクの弾力により気密が保たれた状態で、ガス注入口から瓶内にガスを供給して飲料注出経路から飲料を注出することができる。従って、簡易な構成で、飲料瓶中の飲料に空気を触れさせることなく、飲料瓶から飲料を注出することができる。
また、飲料注出経路を通して瓶内から飲料を注出する時に、瓶内において、ガス注入経路に備えられたガス注入口が飲料注出経路に備えられた飲料注出口より上方に位置することにより、ガス注入時にガス注入口を飲料注出口より上方に位置させることができる。これにより、ガス注入により舞い上がった澱が飲料注出口から取り出されることを防ぐことができる。
【0023】
請求項2に係る発明によれば、枠、支柱及び下キャップを有するガイド器具により、一般人にはまっすぐ穿刺することが難しい螺旋状の貫通部を容易にまっすぐにコルク栓に穿刺して貫通することができる。
【0024】
請求項に係る発明によれば、貫通部の上方位置に、該貫通部と略直角に延びる本体部が設けられているため、本体部を把持しながら貫通部をコルクに貫通させる作業を行うことが可能となり、貫通作業を容易に行うことが可能となる。
【0025】
請求項に係る発明によれば、飲料注出路と瓶外において着脱可能に連結されて飲料を排出する飲料排出路と、ガス注入路と瓶外において着脱可能に連結されてガスを供給するガス供給路とを備えていることにより、飲料排出路やガス供給路を必要に応じて着脱しながら飲料の注出作業を行うことが可能となり、作業性に優れたものとなる。
【0026】
請求項に係る発明によれば、キャップを本体部と連結し、接合部と被接合部が非接合状態でガスを供給することによって、キャップ内部のガス圧を上昇させて弁を開放し、キャップ内部の空気をガスと共に外部に排出することができ、その後、キャップ内部がガスで満たされた状態で接合部と被接合部を接合状態にすることができる。
従って、ガス供給路を一旦外してコルクへの貫通部の穿刺作業を容易に行うことが可能となり、再度ガス供給路を接続する際に接合部に残る微量の空気がガス注入路等を通って瓶内へ侵入するのを防ぐことができる。
【0027】
請求項に係る発明によれば、ガス供給路にガスを供給するガスボンベを内蔵するとともに、その上方にて飲料瓶の口を瓶底より下方に傾けて保持するラックを備えたので、瓶を適度な高さ位置で傾けることによって飲料注出作業が容易となり、ガスボンベ上方に飲料瓶を保持していることによって小スペースで飲料注出作業を行い、そのまま保管することも可能である。さらに、コンパクトにまとめられて飲料瓶のラベルを見せることもできるため、美観面でも優れ、特に美観面が重視されるワイン注出作業に好適に用いることが可能である。
【0028】
請求項に係る発明によれば、ガス供給路にガスを供給するガスボンベを内蔵するとともに、飲料瓶を直立状態に保持するラックを備えたので、瓶を傾けずに垂直に立てた状態でワインをサーブすることができる。
これにより、瓶の底部に存在するワインの澱が舞い上がることがなく、またワインクーラーに入れたままサーブすることも可能となる。
【0029】
請求項に係る発明によれば、ガス供給路にガスを供給するガスボンベを内蔵するとともに、飲料瓶の傾斜角度を変更可能に保持するラックを備えたので、ラックの角度を自在に変化させることにより、澱が瓶の上中下、どの部分にある場合でも澱の様子を見ながら適切に澱を取り除く作業をすることができる。
【0030】
請求項に係る発明によれば、ラックが飲料瓶の内部を照射するライトを備えていることにより、澱の場所を確認しながらサーブすることができ、サーブの作業が極めて容易となる。
【0031】
請求項10に係る発明によれば、ライトがガスボンベを内蔵する箱の内部に配設され、箱が飲料瓶と接する面にライトの光を透過する透明プレートを備えているため、ライトを人目に触れさせることなく光を照射することができて外観に優れたものとなり、且つ装置をコンパクトに構成することができる。
【0032】
請求項11に係る発明によれば、本体部がラチェット機構を備えていることにより、コルクに貫通部を穿刺する作業を非常に容易に行うことができる。
【0033】
請求項12に係る発明によれば、本体部が、貫通部を該本体部と独立して回転させるモータと、該モータに電力を供給する電池とを備えていることにより、コルクに貫通部を穿刺する作業をほぼ自動的に行うことが可能となり、人の手間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る第1実施形態の飲料サーバーシステムの全体構成を示す概略図である。
【図2】図1における本体部及び貫通部を示す断面図である。
【図3】図2におけるキャップを分解して示す断面図である。
【図4】(a)は図2におけるA−A’断面図、(b)は図2におけるB−B’断面図である。
【図5】第2実施形態の飲料サーバーシステムにおける本体部及び貫通部の一例を示す断面図である。
【図6】図5におけるガス注入口部分を拡大して示す部分断面図である。
【図7】(a)は図5におけるC−C’断面図、(b)は図5におけるD−D’断面図である。
【図8】本体部中央付近に位置する回転シリンダの一端側を示す斜視図である。
【図9】図5における圧抜シリンダが移動してガス貯留部を広げる様子を示す断面図である。
【図10】(a)は図5における貫通部の先端側にガイド器具を装着してコルクに穿刺する様子を示す模式図であり、(b)は(a)におけるF−F’断面図、(c)は(a)におけるG−G’断面図である。
【図11】第3実施形態の飲料サーバーシステムにおける本体部及び貫通部の一例を示す断面図である。
【図12】図11における貫通部のE−E’断面図である。
【図13】第4実施形態の飲料サーバーシステムの使用例を示す斜視図である。
【図14】図13の背面図である。
【図15】第4実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部及び本体部の一例を示す図であって、(a)は正面断面図、(b)は本体部の側面図、(c)は(a)の飲料注出経路を水平面内で90度回転させた拡大図である。
【図16】第4実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部及び本体部の使用状態を示す断面図である。
【図17】キャップ接合部を示す図であって、(a)は接合部と被接合部とを接合していない状態を示す図、(b)は接合部と被接合部とを接合している状態を示す図、(c)はガス排出孔を示すためのキャップ本体の拡大断面図である。
【図18】第5実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部及び本体部を示す正面断面図である。
【図19】第5実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部及び本体部の使用状態を示す断面図である。
【図20】第5実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部及び本体部の使用状態を示す断面図である。
【図21】第6実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部及び本体部を示す正面断面図である。
【図22】第5実施形態において逆二重管構造を採用した場合の飲料サーバーシステム(第7実施形態)の貫通部及び本体部を示す正面断面図である。
【図23】第7実施形態に係る飲料サーバーシステムにおけるワイン注出動作について説明する図である。
【図24】第4〜第6実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部の先端部分を示す図である。
【図25】キャップシールの中央部分のみをカットするために好適に用いられるカット治具の一例を示す断面図である。
【図26】カット治具によりキャップシールの中央部分のみを円形にカットした様子を示す図である。
【図27】第4〜第6実施形態の飲料サーバーシステムを、アルミ製キャップによりボトル口が封止されたワインに適用している様子を示す断面図である。
【図28】図27に示した飲料注出経路の先端部の拡大図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【図29】(a)はコルク抜き治具の背面図、(b)はコルク抜き治具の正面図である。
【図30】X状のアームを備えた木箱で形成されたワインラックの斜視図である。
【図31】ワインラックにボトルを設置し、ワインラックを45度程度傾けた状態を示す側面図である。
【図32】ワインラックを90度傾け、水平位置にした状態を示す側面図である。
【図33】ワインラックを135度程度傾けた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る飲料サーバーシステムの好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る第1実施形態の飲料サーバーシステムの全体構成を示す概略図である。図2は図1における本体部及び貫通部を示す断面図である。図3は図2におけるキャップを分解して示す断面図である。図4(a)は図2におけるA−A’断面図、図4(b)は図2におけるB−B’断面図である。
本発明に係る飲料サーバーシステム(1)は、コルクによって閉栓された飲料瓶から開栓することなく飲料を注出する飲料サーバーシステムである。図1ではワインボトル(7)からワインを注出する例を示している。
【0036】
飲料サーバーシステム(1)は、コルクに穿刺して該コルクを貫通することにより瓶内の飲料に到達する貫通部(2)と、貫通部(2)と接続する本体部(3)と、飲料を排出する飲料排出路(4)と、ガスを供給するガス供給路(5)とを備えている。尚、本発明において、ガス供給路(5)を介して供給されるガスは、窒素等の不活性ガスである。
また、図示例ではガス供給路(5)にガスを供給するガスボンベ(6)を内蔵するとともに、ワインボトル(7)をその口をボトルの底より下方に傾けて保持するワインラック(単にラックという場合がある)(8)を備えている。
【0037】
貫通部(2)は、ボトル内のワインを注出するための飲料注出経路(11)及びボトル内へガスを注入するためのガス注入経路(12)を有している(図2参照)。飲料注出経路(11)及びガス注入経路(12)は夫々中空の長針状で、それらの中空部分を夫々飲料であるワイン及びガスが通る。長針状の飲料注出経路(11)及びガス注入経路(12)をコルクに穿刺する時には、コルクに対して2本の長針に交互に力を加えながら穿刺する。穿刺した状態では、コルクの弾力によって貫通部(2)とコルクの間の気密性が保持されるため、穿刺部分からのボトル内への空気の侵入を防ぐことができる。
また、飲料注出経路(11)における中空部分の先端に飲料注出口(16)が開けられ、ガス注入経路(12)における中空部分の先端には、飲料注出口(16)より先にコルク栓を貫通してボトル内に入るようにガス注入口(17)が開けられている。つまり、ガス注入口(17)が飲料注出口(16)より先端側に設けられている。
よって、ガス注入経路(12)にガスを供給しながら、貫通部(2)をコルクに穿刺して貫通させてボトル内に入れると、ガス注入口(17)が飲料注出口(16)より先に入ることにより、ボトル内では先にガスが注入されてガス圧が上がる。ガス圧上昇後、飲料注出口(16)がボトル内に入ってきたとき、飲料注出経路(11)内の空気がボトル内に出ようとしても、ガス圧によってボトル内上部に元々存在する気体が飲料注出口(16)から飲料注出経路(11)へ入って当該空気は押し出される。これにより、飲料注出口(16)内の空気がボトル内に入りにくくなっている。
また、ボトル内から飲料を注出する時(図1参照)には、ボトル内において、ガス注入口(17)が飲料注出口(16)より上方に位置するようになる。そのため、ワインに含まれる澱が飲料注出口(16)に入りにくくなり、ワインと一緒に澱が取り出されることが防がれる。
本発明においては、後述する全ての実施形態において、ボトル内から飲料を注出する時に、ガス注入口(17)が飲料注出口(16)より上方に位置するように構成されており、澱がワインと共に取り出されることを防止できるようになっている。
【0038】
本体部(3)は、貫通部(2)に対して略直角に延びるように取り付けられており、飲料注出経路(11)と連通して飲料を外部へ導出する飲料注出路(13)と、ガス注入経路(12)と連通して外部からガスを導入するガス注入路(14)と、飲料注出経路(11)からの飲料の注出及びガス注入経路(12)からのガスの注入を調節する制御部である回転シリンダ(15)とを有する。
飲料排出路(4)は飲料注出路(13)と着脱可能に連結し、ガス供給路(5)はガス注入路(14)と着脱可能に連結する。
回転シリンダ(15)は略円柱状で、その外周が円筒状のグリップ部(18)の内周と密接して回転可能に設けられている。よって、回転シリンダ(15)の回転に伴って回転シリンダ(15)内の飲料注出路(13a)及びガス注入路(14a)も回転する。
【0039】
本体部(3)には目盛(19)が備えられている。
目盛(19)は、基準位置がグリップ部(18)側に設定され、回転シリンダ(15)側にオープン位置とクローズ位置が設定されている(図4参照)。
回転シリンダ(15)を回転し、図4のように回転シリンダ(15)側のオープン位置をグリップ部(18)側の基準位置に合わせると、回転シリンダ(15)内の飲料注出路(13a)とグリップ部(18)内の飲料注出路(13b、13c)とが連通する。このとき、回転シリンダ(15)内のガス注入路(14a)とグリップ部(18)内のガス注入路(14b)も連通する。
一方、回転シリンダ(15)側のクローズ位置をグリップ部(18)側の基準位置に合わせると、回転シリンダ(15)内の飲料注出路(13a)はグリップ部(18)内の飲料注出路(13b、13c)とは全く連通しない状態となる。同時に、回転シリンダ(15)内のガス注入路(14a)もグリップ部(18)内のガス注入路(14b)とは全く連通しない状態となる。
【0040】
飲料排出路(4)は、その端に設けられた図示しない被接合部が、飲料注出路(13c)の端に設けられた接合部(21)と嵌合して接続される。このような接合部(21)としては、例えばガス管を接続するためのプラグやソケットのようなものを採用することができる。また、接合部(21)は、飲料注出路(13)側からの圧力によって開くが、逆に外側の圧力が高くなっても開かない逆止弁(図示せず)を有し、飲料注出路(13c)への空気の侵入を防止するようになっている。
同様に、ガス注入路(14a)の端にも接合部(21)と同様の接合部(22)が設けられ、ガス供給路(5)が嵌合して接合される。
【0041】
ガス供給路(5)の先端部には、ガス注入路(14a)に対して空気を混入させることなく接合部(22)に対して装着できるように、空気混入防止機構が備えられている。
ガスボンベ内のガスが無くなるとガスボンベの交換作業が必要となり、その際には一旦ガス供給路(5)を取外すことが必要となる。
しかし、ガス供給路(5)を一旦取り外して再接続すると、ガス供給路(5)を取り外した時に接合部(22)に入り込んだ微量の空気が、ガスと共にガス注入路(14a)を介してボトル内に侵入するおそれがある。
【0042】
空気混入防止機構は、ガス注入路(14)の先端部に設けられた接合部(22)と接合する被接合部(22b)と、該被接合部(22b)の外周部を覆うキャップ(23b)とを備えている。
キャップ(23b)は、透明なゴム等の弾性体からなる傘状のキャップ本体(23b)と、キャップ本体(23b)の表面に被せられた同じく傘状のフィルム(23b)とから構成されている(図3参照)。
キャップ本体(23b)はガス排出口(24)を有している。ガス排出口(24)は、通常時においてはフィルム(23b)により塞がれているが、キャップ本体(23b)内の圧力が高まると、フィルム(23b)が浮き上がることで開口する。つまり、ガス排出口(24)及びフィルム(23b)は簡易弁として機能する。
図2に示すように、キャップ(23b)の開放端部は、接合部(22)の外側にある回転シリンダ(15)のキャップ受け部(23a)に接合される。このとき、キャップ(23b)とキャップ受け部(23a)との接合部分として形成されるキャップ接合部(23)は、ガス排出口(24)が開口していない状態では密閉空間となる。
この状態では、キャップ(23b)は、接合部(22)及び被接合部(22b)を内包するように本体部(3)と連結されている(図2参照)。
【0043】
ガス供給路(5)を一旦取り外して再接続する場合、最初は、図2に示すように、キャップ(23b)とキャップ受け部(23a)のみを接合し、接合部(22)と被接合部(22b)は接合しない。
図2の状態で、ガス供給路(5)からガスを供給すると、キャップ接合部(23)内の圧力が上昇し、キャップ本体(23b)に被さったフィルム(23b)が浮き上がってガス排出口(24)が開口し(弁が開き)、ガス排出口(24)からキャップ接合部(23)内の空気とガスが抜ける。しばらくするとキャップ接合部(23)内の空気は完全に抜けるので、キャップ接合部(23)内がガスで満たされた後、接合部(22)と被接合部(22b)を接合する。これにより、ガス供給路(5)を再接続した時に、接合部(22)にある微量の空気が、ガスと共にガス注入路(14a)を介してボトル内に侵入することが防がれる。
尚、接合部(22)にはガス注入路(14)側へのみガス等の移動を許容する弁(図示せず)が設けられ、この弁(逆止弁)は被接合部(22b)が接合されたときのみ開いて、逆流を防いでガス等をガス注入路(14)側へ送ることができるようになっている。
【0044】
このようなキャップ接合部(23)を設けることによって、ガス供給路(5)を一旦外して穿刺作業を容易にすることができ、再度ガス供給路(5)を接続する際に接合部(22)に残る微量の空気がガス注入路(14)等を通ってボトル内へ侵入するのを防ぐことができる。
また、接合部(22)及びキャップ接合部(23)は、回転シリンダ(15)と繋がっており、回転シリンダ(15)の回転に伴って所定角度回転する。
【0045】
尚、本第1実施形態の飲料サーバーシステムは、瓶内の圧力が所定値を超えた時に瓶内のガスを外部に排出する圧抜機構を備えていないため、ガス供給路(5)から供給するガス量が過剰にならないように調整する必要がある。
圧抜機構を備える飲料サーバーシステムについては、第2実施形態において説明する。
但し、第1実施形態の飲料サーバーシステムにおいても、ガス供給路(5)の途中に小さな風船様のものを取付け、簡易圧抜機構とすることは可能である。ガス供給路(5)からのガスがボトル内に過剰に供給されると、この風船様のものは膨張するのでガスの供給量を低減してボトル内の圧力を下げることができる。ガスの供給量を調整する間もなく、急激にボトル内の圧力が上がった場合には、風船様のものが膨張して破裂することによって、ボトル内の圧力の上昇を回避することができる。
尚、本発明の全ての実施形態(図5に示したものを除く)において、ガス供給路(5)の途中に上述した風船様の簡易圧抜機構を設けることができる。また、風船様の簡易圧抜機構に代えて公知の減圧弁を取り付ける構成がより好ましく採用できる。
【0046】
図5は第2実施形態の飲料サーバーシステムにおける本体部及び貫通部の一例を示す断面図である。図6は図5におけるガス注入口部分を拡大して示す部分断面図である。図7(a)は図5におけるC−C’断面図、図7(b)は図5におけるD−D’断面図である。図8は本体部中央付近に位置する回転シリンダの一端側を示す斜視図である。図9は図5における圧抜シリンダが移動してガス貯留部を広げる様子を示す断面図である。
第2実施形態の飲料サーバーシステムは、第1実施形態の飲料サーバーシステムとは貫通部(2)の形態が異なっている、また、本体部(3)には、ガス注入路(14)に連通し、瓶内の圧力が所定値を超えた時に瓶内に注入されるガスを外部に排出する圧抜機構である圧抜シリンダ(27)が備えられている。
この圧抜シリンダ(27)はバネ(40)を収縮させながら移動する(押し上げる)ことにより、ガス供給路(5)からのガスを貯めるガス貯留部(28)を形成する(図9参照)。さらに、回転シリンダ(15)の構成も第1実施形態とは若干異なる。
その他の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同様であり、同様の構成については同じ符号を付して示している。
【0047】
貫通部(2)は、第1実施形態と同様、ボトル内のワインを注出するための飲料注出経路(11)及びボトル内へガスを注入するためのガス注入経路(12)を有し、飲料注出経路(11)は中空の長針状であり、飲料であるワインが通り、ガス注入経路(12)にはガスが通る。ただし、第2実施形態では、ガス注入経路(12)は螺旋状に形成され、その螺旋の中心に飲料注出経路(11)が配置されている。
ワインボトルのコルク栓の直径が約18mmであるため、螺旋状のガス注入経路(12)はコルク栓の周り(外縁)から約3mm以上かつ中心から約3mm以上の範囲でコルク栓を穿刺できるサイズであることが好ましい。このように設定することによって、コルクが押しつぶされる部分がコルク面内で比較的均等になり、一部分のコルクが集中的に押しつぶされて、穿刺部分に隙間ができるようなことを防ぐことができる。螺旋の針の直径は約2〜2.5mmである。従って、螺旋の直径は約8〜14mmが好ましく、より好ましくは10〜12mmである。また、長針状の飲料注出経路(11)は直径約2〜2.5mmで、外側の螺旋の2巻きくらい上、即ち螺旋の先端より約30〜40mm短く設定されている。これにより、螺旋状のガス注入経路(12)が穿刺する勢いで、直線の長針状の飲料注出経路(11)もコルク栓に入っていくことができる。
尚、飲料注出経路(11)及びガス注入経路(12)は、いずれも頑丈で錆びない素材、例えばステンレスが好ましく、錆びる素材を使用する場合には入念にテフロン(登録商標)加工等が施されていることが好ましい。
【0048】
また、第1実施形態と同様、飲料注出経路(11)における中空部分の先端に飲料注出口(16)が開けられ、ガス注入経路(12)における中空部分の先端に、飲料注出口(16)より先にコルク栓を貫通してボトル内に入るようにガス注入口(17)が開けられている。つまり、ガス注入口(17)が飲料注出口(16)より先端側に設けられている。
本発明においては、飲料注出経路(11)を螺旋状に形成し、その螺旋の中心に中空長針状に形成したガス注入経路(12)を配置する構成としてもよい。但し、この場合でも、ガス注入口(17)が飲料注出口(16)より先端側に設けられるようにする。
ガス注入口(17)は、図6に示すようにコルク栓を貫通する際にコルク屑が詰まりにくいように、開口部周縁が内側に凹んだ形状にしておくことが好ましい。飲料注出口(16)についても同様である。
【0049】
本体部(3)は、第1実施形態と同様、飲料注出路(13)とガス注入路(14)と、回転シリンダ(15)とを有し、回転シリンダ(15)の回転に伴って回転シリンダ(15)内の飲料注出路(13)及びガス注入路(14)も回転する。ただし、第2実施形態では、ガス注入路(14)に圧抜シリンダ(27)が備えられているため、回転シリンダ(15)内のガス注入路(14c)は短く設定され、圧抜シリンダ(27)内にもガス注入路(14a)が設定されている。
尚、回転シリンダ(15)及び圧抜シリンダ(27)は、本体部(3)から引き抜いて取り外すことができるようになっている。これにより、本体部(3)の内部を容易かつ確実に洗浄することができる。回転シリンダ(15)はネジ(25)によって固定されているので、ネジ(25)を外すと回転シリンダ(15)を取り外すことができる。
また、本体部(3)の圧抜シリンダ(27)側の先端部分は、取外せる(図示せず)ようになっており、この先端部分を取外すと、圧抜シリンダ(27)を本体部(3)から引き抜いて取り外すことができるようになっている。
本第2実施形態では、目盛(19)として回転シリンダ(15)側に、オープン位置及びクローズ位置に加え、セットオープン位置が設定されている(図7参照)。このセットオープン位置で、ガスはオープン位置より少ない量がガス注入口(17)へ送られ、ワインはオープン位置と同量が飲料注出路(13)から注出できるように設定されている。
【0050】
具体的には、図7(b)及び図8に示すようにセットオープン位置のガス注入路(14d)はオープン位置のガス注入路(14e)より狭く設定されている。そのため、図9(c)のようにガス貯留部(28)にガスを貯めておけば、少しずつガス注入口(17)からガスが注入される間に、ガス供給部(5)を外して貫通部(2)をコルクに容易に穿刺することができるとともに、一旦ガス供給路(5)を取外しても、ガス注入口(17)から空気が逆流することがない。
尚、ガス注入路(14a)には、例えば点滴に用いられる医療用フィルターを入れるようにすれば、特に、狭く設定されているガス注入路(14e)等での目詰まりを防止することができる。
一方、セットオープン位置の飲料注出路(13d)は図7(b)及び図8に示すようにオープン位置の飲料注出路(13a)と同じ太さで設定されているが、セットオープン位置では、ガス注入口(17)から注入されるガス量が少ないため、飲料注出路(13c)から出て行くワイン量は少ない。
【0051】
また、本体部(3)にはガス貯留部(28)内のガスを抜くための圧抜き孔(29)が設けられている。回転シリンダ(15)をオープン位置やセットオープン位置に設定し、ガス供給路(5)からガスを供給してガス注入口(17)からボトル内にガスが供給されるとき、ガス供給が過剰になると、図9(c)のように圧抜シリンダ(27)がバネ(40)の付勢力に抗して最大位置まで押し上げられ、圧抜き孔(29)からガスが抜け、ボトル内のガス圧が高くなるのを防ぐことができる。ワインボトルは、ボトルにもよるが2気圧程度なら内圧で割れることはないため、1.5〜2気圧で圧抜シリンダ(27)が押し上げられて圧抜き孔(29)からガスが抜けるように設定することが好ましい。
また、飲料排出路(4)が着脱自在に接続される接合部(21)には、蓋(26)が取り付けられている。飲料排出路(4)を接続していないときに、蓋(26)を閉じることにより、接合部(21)から塵や埃が侵入することを防止することができる。
【0052】
次に、本第2実施形態の飲料サーバーシステムにおけるワイン注出動作について、i)脱気、ii)コルクへの穿刺、iii)ワイン注出(ガス注入)、iv)後処理に分けて説明する。
i)脱気
まず、回転シリンダ(15)を回転し、セットオープン位置をグリップ部(18)側の基準位置に合わせると、圧抜シリンダ(27)内のガス注入路(14a)と回転シリンダ(15)内のガス注入路(14c、14d)とグリップ部(18)内のガス注入路(14b)とが連通する(ステップ1)。
【0053】
次いで、ガス供給路(5)の被接合部(22b)を本体部(3)の接合部(22)と接続し、ガスを供給すると、狭いガス注入路(14d)によって少量のガスでガス注入口(17)から路内の空気を追い出すことができる(ステップ2)。
ステップ2の状態では、供給される少量のガスはガス注入口(17)から出るので、一旦圧抜シリンダ(27)が動いてガス貯留部(28)にガスが溜まるが、直ぐに圧抜シリンダ(27)は元に戻ってガス貯留部(28)にガスは溜まらない。ただし、路内に目詰まりがあれば、目詰まりによる路内の圧力上昇によって圧抜シリンダ(27)が移動することになる。
【0054】
そこで、圧抜シリンダ(27)が図9(a)に示す定位置にあることを確認した後、回転シリンダ(15)を回転し、セットクローズ位置をグリップ部(18)側の基準位置に合わせると、回転シリンダ(15)内のガス路が閉じられる(ステップ3)。
回転シリンダ(15)内のガス路が閉じられた状態で、ガスが供給されると、圧抜シリンダ(27)内のガス注入路(14a)のガス圧が上昇し、圧抜シリンダ(27)が押されてガス貯留部(28)にガスが溜まるので、圧抜シリンダ(27)が図9(c)のオーバーフロー位置になるまでガス貯留部(28)にガスを溜める(ステップ4)。
圧抜シリンダ(27)がオーバーフロー位置まで移動すると、ガス供給路(5)の被接合部(22b)を本体部(3)の接合部(22)から外すとともに、ガス供給路(5)のキャップ(23b)も外し、ガス供給路(5)を本体部(3)から取外す(ステップ5)。
【0055】
ii)コルクへの穿刺
まず、ワインボトルのキャップシールの中央部分のみ、貫通部(2)を穿刺するために必要な広さ(例えば直径8〜13mm)部分をカットする(ステップ6)。このようにキャップシールを全部外さないようにすれば、コルク抜け及びコルク乾燥を防ぐことができる。尚、キャップシールの中央部分のみをカットするために好適に用いられる治具については、後ほど図25を参照しつつ説明する。
次いで、回転シリンダ(15)を回転してセットオープン位置を基準位置に合わせると、ガス路が連通し、ガス貯留部(28)に溜まったガスがガス注入口(17)から噴出する(ステップ7)。
【0056】
ガス貯留部(28)に溜まったガスが、10数秒間かけてガス注入口(17)から噴出するとき、ガス注入口(17)までのガス路にはガスが通って、ガス噴出前にガス注入口(17)付近に侵入していた空気を追い出した後、さらにガスがガス注入口(17)から噴出している状態で、貫通部(2)を回転させながらコルク栓に穿刺していく(ステップ8)。
ガス注入口(17)がコルク栓に完全に入ると、コルクの気密性によってガス注入口(17)にコルクが密着し、ガスの噴出する勢いが落ちる(ステップ9)。
次いで、ガス注入口(17)がコルク栓を貫通してボトル内に入ると、ガス注入口(17)から再び勢いよくガスが噴出し、ボトル内の気圧が上昇する(ステップ10)。
【0057】
次いで、飲料注出口(16)がコルク栓を貫通してボトル内に入ると、飲料注出口(16)付近に溜まっていた微量の空気は、ボトル内の上昇した気圧とさらにガス注入口(17)から噴出するガスの圧力によって瞬時に飲料注出経路(11)及び飲料注出路(13)を通って接合部(21)から外へ排出される(ステップ11)。よって、飲料注出口(16)付近に溜まっている微量の空気がワインと接触することは避けられ、また、前述のような接合部(21)の逆止弁によって外気が再流入することはない。
そして、回転シリンダ(15)をクローズ位置に合わせ、コルク栓への貫通部(2)の穿刺を完了する(ステップ12)。
【0058】
iii)ワイン注出(ガス注入)
回転シリンダ(15)をクローズ位置(又はセットクローズ位置)に合わせる(ステップ13)。
ガス供給路(5)のキャップ(23b)を本体部(3)に装着し、極少量のガスを送ると、キャップ(23b)に被せられたフィルム(23b)が浮いて簡易弁が開き、キャップ接合部(23)内の空気とガスが抜ける(ステップ14)。
次いで、キャップ接合部(23)内のガス供給路(5)の被接合部(22b)を本体部(3)の接合部(22)と接合し、ガス供給路(5)の本体部(3)への再接続を完了する(ステップ15)。
【0059】
次いで、飲料注出路(13)の接合部(21)を覆っている蓋(26)を開け、飲料排出路(4)を接合部(21)に接続し、その後、ワインボトルをワインラック(8)にセットする(ステップ16)。
次いで、グラスをセットし、回転シリンダ(15)をオープン位置に合わせて0.5秒ほどガスを送ると、飲料排出路(4)からワインがゆっくりグラスへ注がれる(ステップ17)。
所望のワイン量がグラス中に注がれると、回転シリンダ(15)を回転してクローズ位置に合わせてワインの排出を止める(ステップ18)。尚、少しワインを足すときは、ガスを少量追加して少量のワインを流出させる。
【0060】
iv)後処理
瓶内の余分なガスを抜くため、回転シリンダ(15)を回転してオープン位置に合わせ、飲料排出路(4)を外し、その接合部(21)にダスターやグラス等を当て、貫通部(2)及び本体部(3)を付けたままワインボトルを一旦立てる。
ボトル内に余分なガスが残ってガス圧が高くなっていれば、飲料注出路(13)に残っているワインとともにガスが接合部(21)から排出される。例えばワインがボトルの半分以下に減っていれば、水平に戻すだけで飲料注出路(13)に残っているワインが排出される。
この後処理作業は、数日間保存する場合や、取扱いに不慣れでガスがボトル内に入りすぎているときには、必ず実施することが好ましい。ボトル内をガス圧が高いままにすると、コルクの隙間からワインが滲み出るからである。尚、例えば2〜3時間後等の比較的早い時間後に次のワイン注出を行う場合には省略してもよい。
【0061】
スペースがあれば、次のワイン注出に備え、ワインラックの底部を上げたまま、ワインラックに内蔵されたガスボンベごと、ワイン保管庫や冷蔵庫に保存すると、注出回数が多い飲料店等では便利である。尚、ワインラックの底部を下げてコンパクトにすることも可能であるが、前述のようにボトルを一旦立てたときと同様に接合部(21)からガスが排出される可能性があるため、ダスター等を用意して行う必要がある。
スペースや他の理由でガス供給部(5)や飲料排出路(4)を外し、ワインラックから降ろしてワインボトルに貫通部(2)及び本体部(3)を装着した状態で保存することも可能である。ただし、寝かせて保存することが好ましい。この場合、装着された器具の部分の取扱いには注意が必要である。
再度接続する場合には、前記iii)ワイン注出(ガス注入)の動作を実施する。
【0062】
このように本第2実施形態に係る飲料サーバーシステムによれば、簡易な構成で、飲料瓶中の飲料に空気を触れさせることなく、飲料瓶から飲料を注出することができ、飲料注出作業及びメンテナンスが容易で、一般家庭でも簡単に導入することができる。
【0063】
図10(a)は図5における貫通部の先端側にガイド器具を装着してコルクに穿刺する様子を示す模式図であり、(b)は(a)におけるF−F’断面図、(c)は(a)におけるG−G’断面図である。
ガイド器具(31)は、円筒状の透明又は半透明の枠(32)の中に貫通部(2)を支える6本の支柱(33)を有し、共にシリコン等の密着性のある上下キャップ(34a、34b)で支柱(33)を上下から挟み込むことにより、枠(32)内の気密性を保つことができるようになっている。
【0064】
このように構成されるガイド器具(31)は、貫通部(2)の先端側に装着された状態で、下キャップ(34b)をワインボトル(7)の口に嵌め、図10(a)に示すようにコルク栓(30)にガス注入路(12)のガス注入口(17)より先端側部分のみが刺さる状態にする。この状態でガス供給路(5)を本体(3)に接続してガス注入口(17)からガスを少量噴出させると、枠(32)内にガスが充満し、飲料注出口(16)から飲料注出経路(11)、飲料注出路(13)を経て接合部(21)へ抜ける。接合部(21)は前述のように弁を有するため、外気が侵入することはない。
【0065】
枠(32)内にガスが充満した状態で、ガス供給路(5)を外せば、飲料注出口(16)からのガスの流出は止まり、枠(32)内にガスを満たした状態で時間に制限されることなく穿刺作業をすることができる。従って、ガイド器具(31)を装着する場合には、前述の圧抜シリンダ(27)及びガス貯留部(28)を備える必要はない。
また、枠(32)、支柱(33)及び下キャップ(34b)を有するガイド器具(31)によれば、一般人にはまっすぐ穿刺することが難しい螺旋状の貫通部(2)を容易にまっすぐにコルク栓(30)に穿刺して貫通することができる。
このガイド器具(31)は、第1〜第3の全ての実施形態について使用することが可能である。
【0066】
図11は第3実施形態の飲料サーバーシステムにおける本体部及び貫通部の一例を示す断面図である。図12は図11における貫通部のE−E’断面図である。
第3実施形態の飲料サーバーシステムは、第2実施形態の飲料サーバーシステムとは貫通部(2)の形態が異なるのみで、その他の構成は第2実施形態と全く同様である。
第3実施形態における貫通部(2)は、1本の螺旋状の針に形成され、その1本の内部が図12に示すように飲料注出経路(11)とガス注入経路(12)に分かれている。貫通部(2)の先端側には、飲料注出路(11)の先端に飲料注出口(16)が設けられ、より先端側でガス注入経路(12)の先端にガス注入口(17)が開けられている。つまり、ガス注入口(17)が飲料注出口(16)より先端側に設けられている。
【0067】
従って、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、貫通部(2)をコルクに穿刺して貫通させると、ガス注入口(17)が飲料注出口(16)より先にボトル内に入り、ガス圧が上昇した後に飲料注出口(16)が入ると、ガス圧によってボトル内上部に元々ある気体が飲料注出口(16)の空気を押し出すので、飲料注出口(16)内の空気がボトル内に入りにくくなっている。
さらに本第3実施形態では、貫通部(2)が1本の螺旋状に形成されていることによって、コルク栓に穿刺し易く、第2実施形態のように螺旋の直径及び螺旋の針の直径等を限定しなくても、容易に穿刺することができる。
このように貫通部(2)が1本の螺旋状に形成されて容易に速やかに穿刺できること以外は、第2実施形態と全く同様に構成されているため、本第3実施形態の飲料サーバーシステムにおける注出動作は、容易に速やかにコルク栓に貫通部(2)を穿刺できることを除いては、第2実施形態と全く同様であり、同様の効果を奏することができる。
【0068】
図13は第4実施形態の飲料サーバーシステムの前面斜視図であり、木箱により形成されたワインラックの前面にワインボトルをセットし、ワインボトルを垂直に立てたまま使用する状態を示す図である。図14は第4実施形態の飲料サーバーシステムの背面斜視図であり、木箱の内部にボンベが収容されている状態を示す図である。図15は第4実施形態の飲料サーバーシステムにおける本体部及び貫通部の一例を示す図である。図16は図15に示す飲料サーバーシステムの飲料注出経路を下方に移動し、飲料排出口からワイン等の飲料を排出する状態を示す図である。
第4実施形態の飲料サーバーシステムが、第1乃至第3実施形態の飲料サーバーシステムと異なるのは、飲料注出経路(11)が、ガス注入経路(12)に内蔵されており、該ガス注入経路に沿って移動可能である点である。つまり、飲料注出経路(11)とガス注入経路(12)とは、図15に示すように前者が内管で後者が外管の二重管構造となっている。そして、飲料注出経路(11)は、移動によってガス注入経路(12)の先端からの突出量が変化する。
その他の第4実施形態の構成は、第1乃至第3実施形態と同様の構成については同じ符号を付して示している。
【0069】
図13及び図14に示すように、第4実施形態の飲料サーバーシステムでは、前記第1乃至第3実施形態と異なり、ボトル(7)を傾けずに直立させた状態のままワインをサーブすることができる。
これにより、ボトル(7)底部に存在するワインの澱が舞い上がることがなく、またワインクーラーに入れたままサーブすることも可能である。
【0070】
図15は、第4実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部及び本体部の一例を示し、(a)は正面断面図であり、(b)は本体部(3)の側面図であり、(c)は(a)の飲料注出経路(11)を水平面内で90度回転させた拡大図である。
図15に示すように、貫通部(2)は、第1乃至第3実施形態と同様、ボトル内のワインを注出するための飲料注出経路(11)及びボトル内へガスを注入するためのガス注入経路(12)を有している。
ただし、第4実施形態では、ガス注入経路(12)はその外周面にネジ山を有する中空の長い雄ネジからなる。また、飲料注出経路(11)は中空棒状であり、ガス注入経路(12)内部の中空部分に、その周囲に所定空間を空けて、垂直方向(上下方向)に移動可能に内蔵されている。
飲料注出経路(11)の下方の先端部(35)は円錐状であり、その最大径はガス注入経路(12)の中空部分の直径より大きいものである。これにより、飲料注出経路(11)の先端部(35)はガス注入経路(12)の中空部分に入り込まない構造となっている。
また、飲料注出経路(11)の先端部(35)には、図示のように、ガス注入経路(11)と同様にその外周面にネジ山が形成されていることが好ましい。ネジ山が形成されていることにより、飲料注出経路(11)の先端部(35)がコルク栓(30)に入り込み易いためである。
尚、飲料注出経路(11)及びガス注入経路(12)は、いずれも頑丈で錆びない素材、例えばステンレスが好ましく、錆びる素材を使用する場合には入念にテフロン(登録商標)加工等が施されていることが好ましい。
貫通部(2)をコルク栓(30)に穿刺した状態では、コルク栓(30)の弾力によって、コルク栓(30)と貫通部(2)との間の気密性が保持されるため、穿刺部分からのボトル内への空気の侵入を防ぐことができる。
特に、貫通部(2)が外周面にネジ山が形成されている二重管構造であることにより、貫通部の外径が大きくなって、コルク栓(30)から受ける弾力が大きくなり、非常に高い気密性を得ることができる。これは、後述する第5〜第7実施形態についても同様である。
【0071】
飲料注出経路(11)の下部側面には、中空部分と連通する複数の飲料注出口(16)が開けられている。また、ガス注入経路(12)の最下端と、飲料注出経路(11)の先端部(35)の上面との間に、飲料注出口(16)より先にコルク栓を貫通してボトル内に入るようにガス注入口(17)が設けられている。
飲料注出経路(11)をガス注入経路(12)に完全に内蔵した状態(図15)においては、飲料注出口(16)はガス注入口(17)より上方にある。この状態では、飲料注出口(16)はガス注入経路(12)の外殻部分に覆われているため、何ら作用しないものである。
また、ガス注入経路(12)の最下端と、飲料注出経路(11)の先端部(35)の上面とは、コルク栓(30)に穿刺するときは密着しており、この状態ではガス注入口(17)は開口せず、飲料注出経路(11)を下降させることにより、ガス注入口(17)が開口するものである。
また、コルク栓(30)に貫通部(2)を穿刺するときは、ガス注入口(17)は飲料注出経路(11)の先端部(35)により塞がれているので、ガス注入口(17)にコルク栓(30)の粉が詰まることが無い。
また、コルク栓(30)に貫通部(2)を穿刺するとき、飲料注出口(16)はガス注入経路(12)の外殻部分により覆われているので、飲料注出口(16)にコルク栓(30)の粉が詰まることも無い。
【0072】
図16に示すように、本体部(3)は、飲料注出路(13)とガス注入路(14)とを有する。但し、本発明においては、後述する第5及び第6実施形態のように、飲料注出経路(11)を本体部(3)に直線状に貫通させる構造とすることで、飲料注出経路(11)が飲料注出路(13)を兼ねるようにすることもできる。つまり、本体部(3)に備えられる飲料注出路(13)は、飲料注出経路(11)と同じ1本の管から構成してもよい。
飲料排出路(4)は飲料注出路(13c)と着脱可能に連結され(図16の黒矢印は装着する方向を示す)、ガス供給路(5)はガス注入路(14)と着脱可能に連結される。
飲料排出路(4)は、その端に設けられた被接合部(37)が、飲料注出路(13c)の端に設けられた接合部(21)と嵌合して接続される。このような接合部(21)としては、例えばガス管を接続するためのプラグやソケットのようなものを採用することができる。また、接合部(21)は、飲料注出路(13)側からの圧力によって開くが、逆に外側の圧力が高くなっても開かない逆止弁(38)を有し、飲料注出路(13)への空気の侵入を防止するようになっている。
尚、飲料排出路(4)はレバー(41)の操作により開閉が可能なものである。
また、飲料注出路(13c)は、シリコンパッキン(39)を介して雄ネジ部材と雌ネジ部材からなる一対のパッキン(40)により飲料注出経路(11)と連結されており、気密性を高めている。
【0073】
ガス注入路(14)は、ガス注入経路(12)と連通しており、その先端部には、ガス供給路(5)側の圧力によって開くが、逆にガス注入路(14)側の圧力が高くなっても開かない逆止弁(38)を介して接合部(22)が設けられている。
ガス供給路(5)の先端部には、接合部(22)と接合する被接合部(22b)が備えられており、ガス供給路(5)とガス注入路(14)とは、接合部(22)と被接合部(22b)を互いに接合することにより、図16に示すように連結される。
【0074】
ガス供給路(5)の先端部には、ガス注入路(14)に対して空気を混入させることなく接合部(22)に対して装着できるように、第1実施形態にて説明したものと同様の空気混入防止機構が備えられている。
具体的には、ガス供給路(5)とガス注入路(14)との接合部分に設けたキャップ接合部(23)を利用して空気の混入を防いでいる。
【0075】
図17に基づき、空気混入防止機構について、より詳細に説明する。
空気混入防止機構は、ガス注入路(14)の先端部に設けられた接合部(22)と接合する被接合部(22b)と、該被接合部(22b)の外周部を覆うキャップ(23b)とを備えている。
キャップ(23b)は、透明なゴム等の弾性体からなる傘状のキャップ本体(23b)と、キャップ本体(23b)の上方の管状部分表面に被せられた円筒状のカバー(23b)とから構成されている。
キャップ本体(23b)はガス排出口(24)を有している。ガス排出口(24)は、通常時においてはカバー(23b)により塞がれているが、キャップ本体(23b)内の圧力が高まると、カバー(23b)が浮き上がることで開口する。つまり、ガス排出口(24)及びカバー(23b)は簡易弁として機能する。
キャップ(23b)の開放端部が、キャップ受け部(23b)に接合して形成されるキャップ接合部(23)は、ガス排出口(24)が開口していない状態では密閉空間となる。
この状態では、キャップ(23b)は、接合部(22)及び被接合部(22b)を内包するように本体部(3)と連結されている。
【0076】
図17(a)はキャップ接合部(23)の接合部(22)と被接合部(22b)が接合されていない状態を示し、図17(b)は接合部(22)と被接合部(22b)が接合されている状態を示し、図17(c)はガス排出孔(24)を示すためのキャップ本体(23b)の拡大断面図である。
【0077】
以下、上記構成からなる空気混入防止機構を利用した空気混入防止方法について説明する。
まず、図17(a)に示すように、キャップ受け部(23a)とキャップ本体(23b)のみを接合する。この状態ではキャップ接合部(23)内には空気が入っており、接合部(22)と被接合部(22b)は接続されていない。そしてこの状態でガス供給路(5)からガスを供給する。
キャップ接合部(23)内のガス圧が上昇すると、カバー(23b)を構成する円筒状のゴムがガス圧により少し広がり、キャップ(23b)の上流部に備えられたガス排出口(24)から、キャップ接合部(23)内のガス及び空気が排出される。
その後、図17(b)のように、接合部(22)及び被接合部(22b)を接合することにより、ガス供給路(5)からガス注入路(14)に向かって空気を含まないガスのみが供給される。
尚、接合部(22)は、被接合部(22b)が接合されたときのみ開いてガス等をガス注入路(14)側へ送ることができるように構成されている。具体的には、接合部(22)と被接合部(22b)は、カップリング(例えば、日東工器のカプラ(登録商標))のソケットとプラグから構成することができる。尚、後述する第5〜第7実施形態(図18等参照)では、接合部(22)及び被接合部(22b)について、より具体的にカプラの外観を描いている。
【0078】
上述したようにキャップ接合部(23)を設けることによって、ガス供給路(5)をガス注入路(14)に対して装着する際の空気の混入を防ぐことができる。そのため、コルク栓(30)を穿刺するために貫通部(2)を回転させる際、ガス供給路(5)が絡まないようにキャップ接合部(23)を一旦外して穿刺作業を容易にすることができ、再度ガス供給路(5)を接続する際に接合部(22)に残る微量の空気がガス注入路(14)等を通ってボトル内へ侵入するのを防ぐことができる。
また、キャップ接合部(23)を設けることにより、キャップ接合部(23)を取り外すことによって、貫通部(2)及び本体部(3)を装着したまま、ボトル(7)のみを冷蔵庫に入れることができ収納しやすいという利点がある。
また、ガスボンベ(6)内のガスが無くなり、ガスボンベ(6)の取替えを行う際においても、キャップ接合部(23)があることにより、新しいガスボンベ(6)に接続されたガス供給路(5)の空気抜きを行うことができる。
【0079】
次に、第4実施形態の飲料サーバーシステムにおけるワイン注出動作について、i)コルクへの穿刺、ii)ワイン注出(ガス注入)、iii)後処理に分けて説明する。
【0080】
i)コルクへの穿刺
ワインボトルのキャップシールの中央部分のみ、貫通部(2)を穿刺するために必要な広さ(例えば直径8〜13mm)部分をカットする(ステップ1)。このようにキャップシールを全部外さないようにすれば、コルク抜け及びコルク乾燥を防ぐことができる。
コルク栓(30)に貫通部(2)の先端部(35)を当て、貫通しない位置まで少し穿刺する(ステップ2)。
この状態で、ガスボンベ(6)からガス注入経路(12)を介してガスを供給する。すると、ガス注入経路(12)の中空部分の最下端と、飲料注出経路(11)の先端部(35)の上面とが密着しているため、ガスはガス注入経路(12)から飲料注出口(16)及び飲料注出経路(11)を通って飲料注出路(13c)から排出される。これにより、ガス注入経路(12)だけでなく飲料注出経路(11)及び飲料注出路(13)内の空気も抜くことができる(ステップ3)。また、前述したような接合部(21)の逆止弁(38)によって外気が再流入することはない。
尚、第4実施形態の貫通部(2)は、第2及び第3実施形態のようにガス貯留部(28)を備えていないため、少ない量のガスで空気を抜くことができる。
【0081】
続いて、キャップ本体(23b)とキャップ受け部材(23a)とを外し、接合部(22)と被接合部(22b)とを外す(ステップ4)。ここで、上述した接合部(22)は被接合部(22b)が接合されたときのみ開くように構成され、更に逆止弁(38)が備えられていることにより、ガスの逆流と空気の流入はないものである。
その後、貫通部(2)を回転させながらコルク栓に更に穿刺していく(ステップ5)。このときキャップ接合部(23)は外れている、即ちガス供給路(5)が本体部(3)から分離していることから、ガス供給路(5)が本体部(3)に絡み付くことがない。
次いで、ガス注入口(17)が形成される部分(ガス注入経路(12)の下端部)を、コルク栓(30)を貫通させてワインには触れない位置までボトル内に入れる(ステップ6)(図15参照)。
ガス注入経路(12)はこれ以上下降させない。これにより、ガス注入口(17)がワインに触れることがなく、第1乃至第3実施形態と異なり、ワインの中でガスの泡が発生することがなく、ワインの澱が舞い上がることを防止できる。
【0082】
次いで、飲料注出経路(11)をガス注入経路(12)に沿ってボトル(7)内のワインに向かって垂直下方に移動させ、飲料注出口(16)がボトル(7)内のワインに達するまで、具体的には飲料注出経路(11)の下端部がボトルの底に達するまで下降させる(ステップ7)。このとき、飲料注出口(16)は飲料注出経路(11)の下端より少し(数mm)上方に位置しているため、ボトル底に溜まった澱が飲料注出口から吸い込まれることは無いが、澱の量が多い場合には飲料注出経路(11)の下降操作をボトルの底より少し上で止めてもよい。通常、ワインボトルの底は中央部が盛り上がっているため、飲料注出経路(11)の下端部がボトルの底に達するまで下降させても問題はないことが多い。
ここで、後述するガスの注入時においてボトル(7)内のガス圧が上昇した際に、ガス注入経路(12)の上端部からガスが漏れるのを防ぐために、パッキン(40)を締める(ステップ8)。
【0083】
ii)ワイン注出(ガス注入)
接合部(21)と被接合部(37)とを接合することにより、飲料排出路(4)を本体部(3)に装着する(ステップ9)。
ボトル(7)を木箱の前面に形成されたワインラック(8)にセットする(ステップ10)(図13参照)。
キャップ受け部材(23a)とキャップ本体(23b)のみを接合し、ガス供給路(5)から少量のガスを供給する。これにより、キャップ接合部(23)内のガス圧が上昇すると、ゴム製のカバー(23b)が少し広がることにより、キャップ本体(23b)に備えられた微小なガス排出孔(24)から、キャップ接合部(23)内のガス及び空気が排出される(ステップ11)。尚、ガス及び空気の排出後は、カバー(23b)は自身の復元力によってガス排出孔(24)に密着する。
次いで、キャップ接合部(23)内のガス供給路(5)の被接合部(22b)を、本体部(3)の接合部(22)と接合し、ガス供給路(5)の本体部(3)への接続を完了する(ステップ12)。
【0084】
次いで、グラスをセットし、レバー(41)を開けてから、ガスボンベ(6)からガスを送りボトル(7)内のガス圧を上昇させる。するとガスがワイン液面を押圧することにより、飲料注出口(16)からワインが入り、飲料注出経路(11)を経由して飲料排出路(4)からワインがゆっくりグラスへ注がれる(ステップ13)(図16参照)。
尚、少しワインを足すときは、ガスを少量追加して少量のワインを流出させる。必要量に達したらレバー(41)を閉める。
【0085】
iii)後処理
ワインが残ったボトルは数ヶ月程度は立てたままで保管することができ、ガス抜き作業等の後処理は不要である。
【0086】
スペースや他の理由でガス供給部(5)や飲料排出路(4)を外し、ワインラックから降ろしてワインボトルに貫通部(2)及び本体部(3)を装着した状態で保存することも可能である。
【0087】
このように第4実施形態に係る飲料サーバーシステムによれば、前記第1乃至第3実施形態と比較して、より簡易な構成で効率良く、飲料瓶中の飲料に空気を触れさせることなく、飲料瓶から飲料を注出することができ、飲料注出作業及びメンテナンスが容易で、一般家庭でも簡単に導入することができる。
より詳細には、第4実施形態の飲料サーバーシステムでは、前記第1乃至第3実施形態と異なり、ボトル(7)を傾けずに直立させたままの状態でワインをサーブすることができる。
これにより、ボトル(7)底部に存在するワインの澱が舞い上がることがなく、またワインクーラーに入れたままサーブすることも可能である。
また、第1乃至第3実施形態と異なり、ガス注入経路(12)はワインに触れることがないので、ワインの中でガスの泡が発生することがなく、ワインの澱が舞い上がることを防止でき、澱がワインと一緒に注出されることをより確実に防ぐことができる。
また、コルク栓(30)に貫通部(2)を穿刺するときは、ガス注入口(17)は飲料注出経路(11)の先端部(35)により塞がれているので、ガス注入口(17)にコルク栓(30)の粉が詰まることが無い。
また、コルク栓(30)に貫通部(2)を穿刺するとき、飲料注出口(16)はガス注入経路(12)により覆われているので、飲料注出口(16)にコルク栓(30)の粉が詰まることも無い。
【0088】
図18は、第5実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部及び本体部を示す正面断面図である。
第5実施形態の飲料サーバーシステムは、上述した第4実施形態のものと共通する構成が多いため、説明の重複を避けるため、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。但し、同じ構成であっても、第4実施形態のものと第5実施形態のものとで異なる形状や位置にて示されている場合がある。
【0089】
第5実施形態の飲料サーバーシステムは、本体部(3)にラチェット機構(51)を備えている。
ラチェット機構(51)は、本体部(3)に内蔵されており、本体部(3)を一方向(右方向)に回転させた時には貫通部(2)を同じ方向に回転させる一方、前記一方向と逆方向(左方向)に回転させた時には貫通部(2)を回転させない。
これにより、コルクに貫通部(2)を穿刺する作業を非常に容易に行うことが可能となる。
【0090】
ラチェット機構(51)は、回転切換操作部(52)を備えている。
回転切換操作部(52)を操作することにより、本体部(3)を左方向に回転させた時には貫通部(2)を同じ方向に回転させる一方、右方向に回転させた時には貫通部(2)を回転させないようにすることができる。
このような回転切換操作部(52)を備えていることにより、コルク栓から貫通部を抜き取る作業を容易に行うことが可能となる。
【0091】
第5実施形態の飲料サーバーシステムにおけるワイン注出動作は、第4実施形態における動作と同じである。
すなわち、上述したステップ1からステップ13の動作を順次行うことにより、ボトル内のワインに空気を触れさせることなく、ワインを簡単に注出することができる。
図19はステップ2,3の状態、図20はステップ13の状態を夫々示している。
また、後処理の方法についても、第4実施形態における方法と同じである。
尚、第5実施形態の飲料サーバーシステムは、ラチェット機構を備えていることから、貫通部(2)をコルク栓に貫通させる際にガス供給路(5)が邪魔にならない(本体部に絡まない)。そのため、ガス供給路(5)の本体部(3)に対する脱着が1回で済むという利点がある。
【0092】
図21は、第6実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部及び本体部を示す正面断面図である。
第6実施形態の飲料サーバーシステムも、上述した第4実施形態のものと共通する構成が多いため、説明の重複を避けるため、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。但し、同じ構成であっても、第4実施形態のものと第6実施形態のものとで異なる形状や位置にて示されている場合がある。
【0093】
第6実施形態の飲料サーバーシステムは、本体部(3)に、貫通部(2)を本体部(3)と独立して回転させるモータ(56)と、該モータ(56)に電力を供給する電池(57)とが内蔵されている。尚、電池(57)は、乾電池であっても充電池であってもよい。
モータ(56)は、本体部(3)に固定されており、その回転軸にはピニオン(59)が取り付けられている。ピニオン(59)は、2つの歯車(58a)(58b)を介して、貫通部(2)の外管を構成するガス注入経路(12)に外嵌された歯車(58)と噛合している。
これにより、モータ(56)が回転すると、貫通部(2)は本体部(3)と独立して回転するので、コルクに貫通部を穿刺する作業をほぼ自動的に行うことが可能となり、人の手間を大幅に省略することができる。
尚、モータ(56)は逆回転可能であり、モータを逆回転させることでコルク栓から貫通部を抜き取る作業を容易に行うことが可能となる。
【0094】
本発明においては、上述した第4〜第6実施形態において、貫通部(2)における飲料注出経路(11)とガス注入経路(12)との位置関係を逆にすることができる。
すなわち、貫通部(2)を、飲料注出経路(11)が外管でガス注入経路(12)が内管である二重管構造(以下、逆二重管構造という)とすることができる。逆二重管構造を採用した場合、ガス注入経路(12)が飲料注出経路(11)に沿って移動可能となり、移動によって飲料注出経路(11)の先端からの突出量が変化するようになる。
【0095】
図22は、第5実施形態において逆二重管構造を採用した場合の飲料サーバーシステム(以下、第7実施形態という)の貫通部及び本体部を示す正面断面図である。
図22において、図18に示した第5実施形態と同じ構成には同じ符号を付している。
第7実施形態では、貫通部(2)は、外管が飲料注出経路(11)、内管がガス注入経路(12)となっており、飲料注出経路(11)の外周面にネジ山が形成されている。
【0096】
ガス注入経路(12)は本体部(3)を上下方向に直線状に貫通しており、ガス注入経路(12)がガス注入路(14)を兼ねる構造となっている。
ガス注入経路(12)の上端部には、逆止弁(38)及びキャップ接合部(23)を介してガス供給路(5)が着脱可能に接続されている。
飲料注出経路(11)は、本体部(3)に設けられた飲料注出路(13)と連通している。飲料注出路(13)には、逆止弁(38)を介して飲料排出路(4)が着脱可能に接続されている。
【0097】
第7実施形態に係る飲料サーバーシステムにおけるワイン注出動作について説明する。
i)コルクへの穿刺
先ず、第4実施形態において説明した注出動作におけるステップ1〜5までを行った後、飲料注出口(16)が形成される部分(飲料注出経路(11)の下端部)を、コルク栓(30)を貫通させてワインには触れない位置までボトル内に入れる(ステップ6)。
【0098】
次いで、ガス注入経路(12)を飲料注出経路(11)に沿って移動させ、ガス注入口(17)がボトル(7)の底近傍に達するまで斜め上向きに上昇させる(ステップ7)。このとき、飲料注出口(16)はボトル口部の近傍にあるので、ガス注入口(17)が飲料注出口(16)よりも上方に離れて位置するようになる。
ここで、後述するガスの注入時においてボトル(7)内のガス圧が上昇した際に、ガス注入経路(12)の上端部からガスが漏れるのを防ぐために、パッキン(40)を締める(ステップ8)。
その後、図23に示すように、口部が底部よりも下になるようにボトル(7)を傾けてラック(8)に保持する。
【0099】
ii)ワイン注出(ガス注入)
飲料排出路(4)を本体部(3)に装着した後、第4実施形態と同様の方法でキャップ接合部(23)内のガス抜きを行い、ガス供給路(5)をガス注入経路(12)と接続する。
次いで、グラスをセットし、レバー(41)を開けてから、ガスボンベ(6)からガスを送りボトル(7)内のガス圧を上昇させる。するとワインの上部に溜まったガスがワイン液面を押圧することにより、飲料注出口(16)からワインが入り、飲料注出経路(11)を経由して飲料排出路(4)からワインがゆっくりグラスへ注がれる。
尚、少しワインを足すときは、ガスを少量追加して少量のワインを流出させる。必要量に達したらレバー(41)を閉める。
【0100】
iii)後処理
ワインが残ったボトルは、そのまま傾けた状態で保管してもよいし、水平な状態又は立てた状態として保管してもよく、ガス抜き作業等の後処理は不要である。
【0101】
第7実施形態に係る飲料サーバーシステムは、飲料注出時に、ガス注入口(17)が飲料注出口(16)と離れた位置にあるため、ガス注入によりワインの澱が舞い上がっても、澱が飲料注出口(16)から取り込まれることがない。また、ワインの量が少し減ると、ガス注入口(17)はワインに浸かっていない状態となるので、澱が舞い上がることが無くなり、より一層、澱が飲料注出口(16)に入りにくくなる。
また、コルク栓(30)に貫通部(2)を穿刺するときは、飲料注出口(16)はガス注入経路(12)の先端部(35)により塞がれているので、飲料注出口(16)にコルク栓(30)の粉が詰まることが無い。
また、コルク栓(30)に貫通部(2)を穿刺するとき、ガス注入口(17)は飲料注出経路(11)により覆われているので、ガス注入口(17)にコルク栓(30)の粉が詰まることも無い。
【0102】
第4〜第6実施形態に係る飲料サーバーシステムにおいて、外観を向上させるために、逆止弁(38)にカバー(53)(図18参照)を被せることができる。
カバー(53)は、直径の異なる複数の円筒が組み合わされた構造であり、矢印で示すように伸縮自在となっている。具体的には、大径の円筒に小径の円筒が嵌まることにより短くなり、大径の円筒から小径の円筒が露出することにより長くなるように構成されている。
このようなカバー(53)を逆止弁(38)に被せることにより、逆止弁(38)及びその下方において本体部(3)の上方から突出している飲料注出経路(11)を覆い隠すことができる。本体部(3)の上方に突出する飲料注出経路(11)の長さは、図18及び図20から分かるように使用時において変化するが、カバー(53)が伸縮自在であることにより、突出長さの変化に対応して飲料注出経路(11)を覆い隠すことができる。
【0103】
図24は、第4〜第6実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部(2)の先端部分を示す図である。
貫通部(2)は、上述した通り、飲料注出経路(11)が内管で、ガス注入経路(12)が外管である二重管構造となっている。そして、飲料注出経路(11)は、ガス注入経路に沿って移動可能となっており、移動によってガス注入経路(12)の先端からの突出量が変化する。
飲料注出経路(11)の外周面には突起(54)が設けられており、ガス注入経路(12)の下端内面には切欠(55)が設けられている。これらは回り止め機構として作用し、飲料注出経路(11)がガス注入経路(12)に内蔵された状態では、突起(54)が切欠(55)に嵌まり込み、飲料注出経路(11)とガス注入経路(12)とが一体的に回転するようになる。
尚、第7実施形態の飲料サーバーシステムの貫通部(2)は、飲料注出経路(11)が外管で、ガス注入経路(12)が内管となっていること以外は、図24に示す構造と同じである。
【0104】
図25は、上述した、コルクに貫通部を穿刺する前にキャップシールの中央部分のみをカットするために好適に用いられる治具(以下、カット治具と称す)の一例を示す図である。
カット治具(70)は、使用者が持つ部分となる中空円筒状の本体部(71)と、本体部(71)の内部空間に配設された可動部とから構成されている。
本体部(71)の先端は開口しており、開口部の周縁は鋭角状に形成された切刃(72)となっている。
可動部は、本体部(71)の内部空間において本体部の長さ方向に沿って延びる軸部(73)と、この軸部(73)の先端に固定されて本体部(71)の開口部から出没する円柱状の先端部(74)と、軸部(73)の周囲を巻回するように配設されて先端部(74)を本体部(71)の先端側(図では下側)に向けて付勢するコイルばね(75)とから構成されている。
先端部(74)は、通常時にはばね(75)の付勢力によって本体部(71)の下端から突出している(左図参照)。使用時においては、先端部(74)の先端面をキャップシールの上面に当接させた状態で、本体部(71)を下向きに押す。すると、ばね(75)が収縮して先端部(74)が本体部(71)の先端から内部に引っ込むため、切刃(72)が本体部の先端から突出し、キャップシール(80)の中央部分のみが円形にカットされる(図26参照)。
【0105】
近年、安価で簡単に開けることができる等の理由により、アルミニウム製キャップ(スクリューキャップ)によりボトル口が封止されているワインが増えている。
図27は、第4〜第6実施形態の飲料サーバーシステムを、アルミ製キャップによりボトル口が封止されたワインに適用している様子を示す断面図である。
この場合に使用される貫通部(2)(以下、アルミ栓用貫通部という)は、上述したコルク栓によりボトル口が封止されたワインに対して使用される貫通部(以下、コルク栓用貫通部という)とは若干異なる構造を有している。
これら2種類の貫通部は、ワインに用いられている栓の種類に応じて適宜使い分ける(交換する)ことができる。
【0106】
以下、アルミ栓用貫通部がコルク栓用貫通部と異なる構成について説明し、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
アルミ栓用貫通部は、コルク栓用貫通部と同様に、飲料注出経路(11)とガス注入経路(12)との二重管構造となっているが、図24に示したような回り止め機構(突起(54)及び切欠(55))を備えていない。従って、ガス注入経路(12)が回転しても、飲料注出経路(11)は回転しない。
ガス注入経路(12)には、下向き受け皿状のカバー部材(61)が外嵌されており、このカバー部材(61)はガス注入経路(12)に沿って上下に移動可能となっている。
【0107】
アルミ栓用貫通部は、飲料注出経路(11)の円錐状の先端部(35)の構成も、コルク栓用貫通部とは若干異なっている。
図28は先端部(35)の拡大図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
先端部(35)は、その最大径がガス注入経路(12)の最大径(ネジ部外径)より一回り大きくなっており、その先端には矢尻状の突出部(35a)が形成されている。更に、その上面から側面に向けて貫通する貫通孔(17a)が設けられている。
貫通孔(17a)は、円環状に配置された複数の孔からなり、ガス注入経路(12)を通って流れてきたガスを、上面から取り入れて側面から排出することができる。
【0108】
アルミ栓用貫通部を使用する場合、図27に示すように、ボトル(7)の口部に開栓補助キャップを装着する。
開栓補助キャップは、ボトル(7)の口部近傍の側面とアルミ製キャップ(60)の上面及び側面を覆う円筒状のシリコンパッキン(62)と、シリコンパッキン(62)の上端から下端近傍までの側面及び上面を覆う円筒状の金属製カバー(64)と、金属製カバー(64)の上面を覆うシリコンパッキン(63)と、シリコンパッキン(62)及び金属製カバー(64)の下端部の側面を外側から締め付けるように外嵌された締め金具(65)とから構成されている。
【0109】
シリコンパッキン(62)は、アルミ製キャップ(60)の上方部分において上下方向の貫通孔(62a)を有している。この貫通孔(62a)は、その直径が先端部(35)の最大径よりも大きく設定されており、その上部は使用前の状態では金属製カバー(64)により塞がれている。
シリコンパッキン(63)及び金属製カバー(64)は、図では貫通部(2)により穿孔された状態が示されているが、使用前の状態では孔を有していない。
【0110】
以下、アルミ栓用貫通部の使用方法について説明する。
先ず、ボトル(7)の口部に開栓補助キャップを装着する。
次いで、ガス注入経路(12)に外嵌されたカバー部材(61)を下方に移動させて、カバー部材(61)をシリコンパッキン(63)に上方から被せて固定する。このとき、カバー部材(61)の外周部内面が曲面となっているため、シリコンパッキン(63)の外縁上部はカバー部材(61)の内面によって強く圧縮されることとなり、高い気密性が得られる。
そして、ガス注入経路(12)を回転させて、先端部(35)がアルミ製キャップ(60)の上面に到達するまで、開栓補助キャップの内部に挿入する。このとき、図27に示すように、先端部(35)がアルミ製キャップ(60)を突き破らないようにする。
【0111】
この状態では、ガス注入経路(12)の側面にシリコンパッキン(63)が密着しているため、貫通孔(62a)は密閉空間となっている。
この状態で、ボンベからガス注入経路(12)を介してガスを供給する。すると、ガスはガス注入経路(12)からガス注入口(17)及び貫通孔(17a)を通って密閉空間となっている貫通孔(62a)へと達し、飲料注出口(16)及び飲料注出経路(11)を通って飲料注出路(13c)から排出される。
これにより、ガス注入経路(12)だけでなく飲料注出経路(11)及び飲料注出路(13)内の空気も抜くことができる。
【0112】
続いて、上述したコルク栓用貫通部の場合と同様に、キャップ本体(23b)とキャップ受け部材(23a)とを外し、接合部(22)と被接合部(22b)とを外す。(ラチェット機構を備えている場合、この作業は不要である。)
その後、ガス注入経路(12)を回転させることにより下降させる。このとき、アルミ栓用貫通部には回り止め機構が設けられていないため、飲料注出経路(11)は回転せずに下降してアルミ製キャップ(60)を突き破る。尚、飲料注出経路(11)の先端部(35)は回転しないが、矢尻状の突出部(35a)が設けられていることにより、簡単にアルミ製キャップ(60)を突き破ることができる。
このように、先端部(35)を回転させずにアルミ製キャップ(60)を突き破ることができるため、アルミ製キャップ(60)が削れてアルミ粉がボトル内に落ちることが防がれる。
【0113】
次いで、ガス注入経路(12)を、アルミ製キャップ(60)を貫通させてワインには触れない位置までボトル内に入れる。
ガス注入経路(12)はこれ以上下降させない。これにより、ガス注入口(17)がワインに触れることがなく、ワインの中でガスの泡が発生することがなく、ワインの澱が舞い上がることを防止できる。
【0114】
以下、第4実施形態において説明したステップ7からステップ13の動作を順次行うことにより、ボトル内のワインに空気を触れさせることなく、ワインを簡単に注出することができる。また、後処理の方法についても、第4実施形態における方法と同じである。
【0115】
上述したアルミ栓用貫通部は、第7実施形態の飲料サーバーシステムに対して適用することも可能である。
この場合、アルミ栓用貫通部の外管を飲料注出経路(11)とし、内管をガス注入経路(12)とすればよい。
【0116】
上記した第4〜第7実施形態の飲料サーバーシステムにおいて、ワインを注出した後、コルクをボトルから抜き取る場合には、図29に示すようなコルク抜き治具(90)を使用することができる。
図29(a)はコルク抜き治具(90)の背面図、図29(b)はコルク抜き治具(90)の正面図である。
コルク抜き治具(90)は、持ち手となる左右一対の棒状のハンドル(91)と、左右一対のハンドル(91)の長さ方向中途部同士を連結する下部連結棒(92)と、左右一対のハンドル(91)の長さ方向先端部同士を連結する上部連結棒(95)とから構成されている。
【0117】
下部連結棒(92)は、水平板と垂直板とが直角に一体化された断面L字状の部材であって、その両端部においてハンドル(91)と夫々連結されており、左右の連結部(98)を支点として回動自在となっている。つまり、ハンドル(91)と下部連結棒(92)のなす角度は変化させることができ、左右のハンドル(91)を図中の黒矢印方向に拡げることにより、左右のハンドル(91)と下部連結棒(92)とを一直線状とすることができる。
下部連結棒(92)の水平板には、長さ方向中央位置に円形の切欠部(93)が形成されており、その裏面には切欠部(93)の周囲にゴム等の弾性板(94)が取り付けられている。切欠部(93)の内径は、ボトル(7)の口径よりも小さく且つコルク栓(30)の外径よりも大きく設定されている。
【0118】
上部連結棒(95)は、水平板と垂直板とが直角に一体化された断面L字状の部材であって、その水平板の表面には2つのゴム等の弾性板(94)が中心から対称位置に取り付けられている。
また、垂直板には、長さ方向に延びる2つの長孔(96)が中心から対称位置に形成されている。
2つの長孔(96)にはネジ(97)が夫々挿通されており、これら2つのネジ(97は夫々左右のハンドル(91)の先端部と連結されている。これにより、ハンドル(91)は上部連結棒(95)に対して回動自在且つ長孔に沿ってスライド可能に連結されている。
そのため、左右のハンドル(91)を図中の黒矢印方向に拡げると、左右のハンドル(91)と上部連結棒(95)とを一直線状とすることができ、且つ一直線状になったときには上部連結棒(95)と下部連結棒(92)とが重なった状態となる。
また、下部連結棒(92)と上部連結棒(95)は互いに平行であって、平行な位置関係を維持したままで互いの距離を変化させることができる。
【0119】
以下、コルク抜き治具(90)の使用方法について説明する。
先ず、図16や図20に示したワインの注出が完了した状態において、キャップシールを外した後、左右のハンドル(91)、上部連結棒(95)、下部連結棒(92)を一直線状とし、この状態でボトル(7)と本体部(3)の隙間にコルク抜き治具(90)を差し入れてセットする。
このとき、下部連結棒(92)の水平板の裏面の弾性板(94)がボトル(7)の口部上面に当接し、上部連結棒(95)の水平板の表面の弾性板(94)が本体部(3)の下面に当接し、切欠部(93)に貫通部(2)が入り込む。
【0120】
次いで、左右のハンドル(91)を図29の白矢印で示す方向に押すと、重なり合っていた上部連結棒(95)と下部連結棒(92)とが図29に示すように上下に離間する。ここで、上部連結棒(95)は本体部(3)に当接し、下部連結棒(92)はボトル(7)に当接しているため、上部連結棒(95)と下部連結棒(92)とが上下に離間すると、ボトル(7)から本体部(3)が離れようとするため、コルク栓(30)がボトル(7)から引き抜かれることとなる。
このように、コルク抜き治具(90)を使用することにより、非力な女性等でも極めて簡単にボトルからコルク栓を引き抜くことが可能となる。また、コルク粉がワインに落ちることも防がれる。更に、ボトルを立てた状態でワインを注出する第4乃至第6実施形態に適用した場合は、本体部にワインが付着しないため、メンテナンスや洗浄の手間を省くことができる。
【0121】
次に、本発明に係る飲料サーバーシステムにおいて好適に用いられるワインラックについて、図30乃至図33を参照して説明する。
図30乃至図33に示すワインラック(43)は、ワインボトルの角度を変えてワインをサーブすることができるものである。
図30は、X状のアームを備えた木箱で形成されたワインラックの斜視図である。
図31は、当該ワインラックにボトルを設置し、ワインラックを45度程度に傾けた状態を示す側面図である。
図32は、当該ワインラックを90度傾け、水平位置にした状態を示す側面図である。
図33は、当該ワインラックを135度程度傾けた状態を示す側面図である。
【0122】
図30に示すように、ワインラック(43)は、木製の土台(44)上に垂直に設置された木箱(45)の前面に、ボトル(7)の下部を支持するリング状のホルダー(46)と、ボトルネックを支持するホルダー(47)とを備えている。
木箱(45)の背面には、木箱(45)を背面方向に傾けて角度を変えることを可能とするX状アーム(48)が、木箱(45)に対して着脱可能に備えられている。
X状アーム(48)はX状に交差された2本のアーム(48a)及び(48b)からなり、各アーム(48a)及び(48b)には長さ方向に沿ってスリットが設けられている。スリットの交差部分には、各アーム(48a)及び(48b)に対して直角に棒が挿通され、この棒はスリットに沿ってスライド可能になっている。
X状アーム(48)はその両アーム(48a)及び(48b)間に渡された棒の端部に備えられた蝶ナット(49)を締めることにより角度が固定されるものである。尚、蝶ナット(49)とX状アーム(48)との間には、スリットに沿って棒が容易に滑らないように摩擦を与え、X状アーム(48)の角度を固定するためのゴムのワッシャが介装されている。
アーム(48a)とアーム(48b)は、夫々その一端部が支持板(48c)に連結され、その他端部が支持板(48d)に連結されている。支持板(48c)は木箱(45)の背面に固定され、支持板(48d)は土台(44)に固定されている。
【0123】
また、木箱(45)の内部には、木箱(45)の長手方向(高さ方向)に延びる電池式のペンライト(図示せず)が内蔵されている。尚、ペンライトに代えて、LED等の他のライト(光源)を使用してもよい。
木箱(45)の前面にはその長手方向に延びる矩形状の開口部を覆うように透明プレート(50)が備えられており、ペンライトの光は透明プレート(50)を透過する。ペンライトの背面には反射板(図示せず)が備えられており、ペンライトの光を透明プレート(50)へと効率良く導くようにしている。尚、透明プレート(50)は、木箱(45)の下端部まで至る長さとすると、ボトルの底部まで照らすことができるため好ましい。
【0124】
ワインボトル(7)は、長期保存する場合にはコルクを乾燥させないために、水平に寝かせて保存するものであるが、澱をボトル(7)の底部に沈殿させるためにはボトル(7)を立てておいた方が好ましい。ワインラック(43)は、サーブ前にボトル(7)を澱を沈殿させるために十分な時間立てておけない急な場合や、高級ビンテージワインのように澱が多い場合において極めて有用である。
以下、このような場合の使用方法について説明する。
図31に示すように、ワインラック(43)の木箱(45)の前面のホルダー(46)及び(47)にボトル(7)をセットする。
ワインの最初の一杯は、ボトル(7)を45度程度傾け、ボンベから供給されるガスがワインの中で泡にならないように角度を設定してガスを供給する。
澱がボトル(7)の下方にある場合は、この状態でサーブし続けることで何ら問題はない。
一方、澱がボトル(7)の上方(ボトル(7)の口の近く)にある場合、ワインをサーブすることにより液面が下降すると、ボトル(7)の上方の澱が液面に浮き上がって舞い上がることになる。
そこで、澱がボトル(7)の上方にある時は、液面が下がるに従って、角度を更に傾けて45度乃至90度の間で調節して、澱がワインに浸かっている状態を保ちながら、澱が舞い上がらないようにしてサーブすると良い。
ボトル(7)によって澱の状態は様々であるので、ワインラック(43)の角度を自在に変化させることにより、澱がボトル(7)の上中下、どの部分にある場合でも澱の様子を見ながら適切に澱を取り除く作業をすることができる。
このとき、ペンライトを点灯して、ボトル(7)を照らすことにより、澱の場所を確認しながらサーブすることができ、極めて作業がし易い。
また、図33のようにボトル(7)を135度程度傾け、ボトル(7)の口が底部よりも下方になるようにし、ワインの澱引き(デカンタージュ)をすることも可能である。その際も、ライトの光により澱の場所を確認することができ、作業がし易い。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、コルクで閉栓されたワイン等のボトルから一度に全量を注出せず、少量ずつ時間又は日をおいて注出するような、一般家庭やグラスワインを提供するレストラン等において好適に利用されるものである。
【符号の説明】
【0126】
1 飲料サーバーシステム
2 貫通部
3 本体部
4 飲料排出路
5 ガス供給路
6 ガスボンベ
7 飲料瓶(ワインボトル)
8 ワインラック
11 飲料注出経路
12 ガス注入経路
13 飲料注出路
14 ガス注入路
15 回転シリンダ
16 飲料注出口
17 ガス注入口
18 グリップ部
22 接合部
22b 被接合部
23b キャップ
30 コルク栓
43 ワインラック(X状アームを備えたもの)
45 箱(木箱)
50 透明プレート
51 ラチェット機構
56 モータ
57 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルクによって閉栓された飲料瓶から開栓することなく飲料を注出する飲料サーバーシステムであって、
前記コルクを貫通する貫通部を備えており、
該貫通部は、瓶内の飲料を注出するための飲料注出経路と、瓶内にガスを注入するためのガス注入経路を有し、
前記飲料注出経路を通して瓶内から飲料を注出する時に、瓶内において、前記ガス注入経路に備えられたガス注入口は、前記飲料注出経路に備えられた飲料注出口より上方に位置し、
前記飲料注出経路と前記ガス注入経路は中空の針からなり、
前記ガス注入口は、前記飲料注出口より先端側に設けられており、
前記飲料注出経路は中空の長針状であり、前記ガス注入経路は螺旋状に形成されてその螺旋の中心に前記飲料注出経路が配置されていることを特徴とする飲料サーバーシステム。
【請求項2】
円筒状の枠の中に前記貫通部を支える支柱を有し、上キャップと下キャップで前記支柱を上下から挟みこんで前記枠内の気密性を保つことができるガイド器具を有し、
前記ガイド器具は、前記貫通部の先端側に装着された状態で、前記下キャップをワインボトルの口に嵌めると、コルク栓に前記ガス注入路の前記ガス注入口より先端側のみが刺さる状態となることを特徴とする請求項1記載の飲料サーバーシステム。
【請求項3】
前記貫通部の上方位置に、該貫通部と略直角に延びる本体部が設けられており、
該本体部は、前記飲料注出経路と連通して飲料を外部に導出する飲料注出路と、前記ガス注入路と連通して外部からガスを導入するガス注入路とを有していることを特徴とする請求項1又は2記載の飲料サーバーシステム。
【請求項4】
前記飲料注出路と着脱可能に連結されて飲料を排出する飲料排出路と、
前記ガス注入路と着脱可能に連結されてガスを供給するガス供給路とを備えていることを特徴とする請求項3記載の飲料サーバーシステム。
【請求項5】
前記ガス供給路の先端部には、前記ガス注入路の先端部に設けられた接合部と接合する被接合部と、該被接合部の外周部を覆うキャップとが備えられており、
前記キャップは、該キャップ内部の圧力が所定値を超えたときに当該内部のガスを外部に排出する弁を備えているとともに、前記接合部及び被接合部を内包するように前記本体部と連結可能に構成されており、
当該連結状態において前記キャップ内部が気密状態となることを特徴とする請求項4記載の飲料サーバーシステム。
【請求項6】
前記ガス注入経路にガスを供給するガスボンベを内蔵するとともに、その上方にて前記飲料瓶をその口を瓶底より下方に傾けて保持するラックを備えたことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の飲料サーバーシステム。
【請求項7】
前記ガス注入経路にガスを供給するガスボンベを内蔵するとともに、前記飲料瓶を直立状態に保持するラックを備えたことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の飲料サーバーシステム。
【請求項8】
前記ガス注入経路にガスを供給するガスボンベを内蔵するとともに、前記飲料瓶の傾斜角度を変更可能に保持するラックを備えたことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の飲料サーバーシステム。
【請求項9】
前記ラックが、前記飲料瓶の内部を照射するライトを備えていることを特徴とする請求項6乃至8いずれかに記載の飲料サーバーシステム。
【請求項10】
前記ライトは、前記ガスボンベを内蔵する箱の内部に配設され、
前記箱は、前記飲料瓶と接する面に、前記ライトの光を透過する透明プレートを備えていることを特徴とする請求項9記載の飲料サーバーシステム。
【請求項11】
前記本体部がラチェット機構を備えており、
該ラチェット機構は、前記本体部を一方向に回転させた時には前記貫通部を同じ方向に回転させる一方、前記一方向と逆方向に回転させた時には前記貫通部を回転させないことを特徴とする請求項3記載の飲料サーバーシステム。
【請求項12】
前記本体部が、前記貫通部を該本体部と独立して回転させるモータと、該モータに電力を供給する電池とを備えていることを特徴とする請求項3記載の飲料サーバーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−189067(P2010−189067A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114818(P2010−114818)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【分割の表示】特願2009−517801(P2009−517801)の分割
【原出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(307010111)
【Fターム(参考)】