説明

飲料ディスペンサ

【課題】利用者が温飲料の提供を受ける部位への湯気に含有される飲料原料の飛散を防ぐことのできる飲料ディスペンサを提供することを課題とする。
【解決手段】粉末原料と温水とを混合した温飲料を飲料注出部3で利用者に提供する飲料ディスペンサ101は、粉末原料と温水とを混合し温飲料を生成するためのミキシングケース12と、ミキシングケース12内の湯気を導出するためのダクト状の排気用空間25cと、ミキシングケース12内の湯気を吸引し排気用空間25cに流通させる電動ファン24と、外部に排出される水又は飲料を流通させる排水流通部28aとを備える。排気用空間25cの湯気は、排水流通部28a内に向かって排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は飲料ディスペンサに係り、特に温飲料を提供する飲料ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者に茶やコーヒー等の温飲料を提供する飲料ディスペンサとして、飲料の原料である粉末原料と湯(温水)とを混合した飲料を提供する飲料ディスペンサがある。このような飲料ディスペンサは、温飲料の提供時にディスペンサ内に残留する湯気によって結露が発生することを防ぐために、電動ファン及びダクトを使用して湯気をディスペンサの外部に排出している。
【0003】
例えば、特許文献1には、粉末原料と湯とをミキシングボールに供給して両者を攪拌調合して得られた温飲料を注出する飲料供給装置における湯気排気装置が記載されている。飲料供給装置は、注出室にミキシングボールを有し、湯気排気装置は、ミキシングボールの背面側に、内部に濾過部材及び排気ファンが設けられてミキシングボールに直に接続された排気ダクトを有している。そして、排気ダクトは、注出室に排気口を開口させている。よって、ミキシングボールの内部に供給された粉末原料及び湯が攪拌調合される過程で温飲料から発生する湯気は、回転駆動される排気ファンによって吸引され、排気ダクト内の濾過部材を通過して含有する粉末原料が濾過された後に、排気口から注出室に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−178721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1における飲料供給装置の湯気排気装置では、濾過部材で捕捉できないような微細な粉末原料は、利用者が直接飲料の提供を受ける注出室に排出されるため、排出された粉末原料が注出室に付着して汚してしまい、利用者に不快感を与えるという問題がある。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、利用者が温飲料の提供を受ける部位への湯気に含有される飲料原料の飛散を防ぐことのできる飲料ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明に係る飲料ディスペンサは、原料と温水とを混合した温飲料を飲料注出部で利用者に提供する飲料ディスペンサであって、原料と温水とを混合し温飲料を生成するためのミキシングケースと、ミキシングケース内の湯気を導出するためのダクト状の排気通路と、ミキシングケース内の湯気を吸引し排気通路に流通させる排気ファンと、排出される水又は上記飲料を流通させる排水流通部とを備え、排気通路の湯気は、排水流通部内に向かって排出される。
【0008】
排気通路は、導風板をもつ排気口を有し、導風板は、排気口から排出される湯気の流れを、排水流通部内に向かって方向付けてもよい。
上記ディスペンサは、外装を構成する筐体を備えると共に、原料を貯蔵するためのキャニスタ、ミキシングケース及び飲料注出部が配置されたミキシング機構室と、機械類が配置された機械室とを筐体の内部で区画する仕切パネルをさらに備え、排気通路は、仕切パネルと、仕切パネルに取り付けられた箱状体とによって形成され、排気口は、仕切パネルに形成された開口であってもよい。
排水流通部は、ミキシング機構室の内部に設けられ、飲料注出部と隔離されていてもよい。
排水流通部は、上部が開放されており、排気通路の湯気は、排水流通部の開放された上部に向かって排出されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る飲料ディスペンサによれば、利用者が温飲料の提供を受ける飲料注出部への湯気に含有される飲料原料の飛散を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態に係る飲料ディスペンサの全体図である。
【図2】図1の飲料ディスペンサの内部構成を示す斜視図である。
【図3】図2のA−B方向の線及びE−F方向の線を含む断面を方向IIIから見た部分断面図である。
【図4】図2のx部を方向Cから方向Dに向かって斜め前方からみた斜視図である。
【図5】図3の導風路ケースを示す斜視図である。
【図6】図3の仕切パネルを示す斜視図である。
【図7】図3のダクトの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、この発明の実施の形態について、添付図面に基づいて説明する。
実施の形態
まず、図1〜図7を用いて、この実施の形態に係る飲料ディスペンサ101の構成を説明する。なお、飲料ディスペンサ101は、粉末原料を冷水又は温水(湯)と混合し、利用者に冷飲料又は温飲料を提供する飲料ディスペンサである。
図1を参照すると、飲料ディスペンサ101は、利用者に飲料を提供する空間である飲料注出部3と扉4とをその前面に有し飲料ディスペンサ101の外装を構成する筐体1を備えている。扉4には、利用者が提供を受ける飲料を選択しその飲料を注出させるための操作部5が設けられている。
【0012】
また、飲料ディスペンサ101において、筐体1の上端の面を上面1a、上面1aに対向する下端の面を下面1b、扉4を有する面を前面1eとし、さらに、前面1eに対向する面を後面1f、前面1eに隣接し前面1eから見て左側の面を左側面1c、及び、前面1eに隣接し前面1eから見て右側の面を右側面1dとする。
そして、説明の便宜上、飲料ディスペンサ101において、下面1bから上面1aに向かう方向を上方向A、上面1aから下面1bに向かう方向を下方向B、右側面1dから左側面1cに向かう方向を左方向C、左側面1cから右側面1dに向かう方向を右方向D、後面1fから前面1eに向かう方向を前方向E、並びに、前面1eから後面1fに向かう方向を後方向Fとする。
【0013】
図2を参照すると、筐体1(図1参照)の内部は、仕切板6によって2つの区画に仕切られており、前方向E側の区画はミキシング機構室2a、後方向F側の区画は機械室2bとなっている。なお、仕切板6は、下方向Bの下部側の一部が着脱可能な仕切パネル20(図6参照)によって構成されている。
【0014】
ミキシング機構室2aでは、仕切板6に対して、粉末原料を貯蔵するキャニスタ11が最上部に複数取り付けられている。さらに、キャニスタ11のそれぞれには下方向B側で、キャニスタ11から粉末原料を受け取り、粉末原料と水(冷水又は湯)とを攪拌・混合して利用者に提供する飲料とするためのミキシングケース12が設けられている。ミキシングケース12の下方向B側には、ミキシングケース12のそれぞれから放出された飲料を案内し所定の位置に注出するためのドリンクガイド13が設けられている。ドリンクガイド13は、各ミキシングケース12から飲料を受け入れる受入口13aと、受け入れた飲料を下方向B側の飲料注出部3に放出するための注出口13bとを有している。飲料注出部3は、利用者がコップ等を置くことができるスノコ状のカップステージ3aと、カップステージ3aの周りを取り囲むようにして設けられた注出部カバー3bとを有している。
【0015】
また、機械室2bには、冷水を生成するための図示しない冷凍回路及び冷水タンク、並びに、湯を生成・貯留するための図示しない加熱装置及び貯湯タンク30等が設けられている。
【0016】
図3を参照すると、キャニスタ11は、その内部に粉末原料を貯蔵することができ、内部の底部に、軸の周囲に螺旋状の突起が形成されたスクリュ11aを有している。スクリュ11aは、キャニスタ11の外部の原料放出モータ11bに連結されており、原料放出モータ11bよってその軸を中心に回転駆動される。スクリュ11aは、回転駆動されると、回転する螺旋状突起によって、キャニスタ11内の粉末原料をキャニスタ11の原料放出口に連通するミキシングケース12内に押し出す。
【0017】
ミキシングケース12は、粉末原料と水とを混合するためのミキシング部12bと、キャニスタ11の内部に連通しキャニスタ11から受け取った粉末原料をミキシング部12bに導入するためのシュート部12aとを、1つの容器として一体に有している。さらに、ミキシングケース12のミキシング部12bは、図示しないウォーターバルブを備え冷水及び湯を供給するための給水管14が接続されている。また、ミキシングケース12は、ミキシング部12bの内部に、粉末原料と水とを混合・攪拌するためのインペラ12cを有し、ミキシング部12bの外部に、インペラ12cをその軸を中心に回転させるマグネットモータ12dを有している。
マグネットモータ12dは、インペラ12cに対向する位置に配置されており、自身が有する磁石と、対向するインペラ12cに埋めこまれた磁石との間の磁力を利用し、自身が有する磁石を回転させることによって、インペラ12cを回転させる。
【0018】
また、ミキシング部12bは、その下方向B側の底部で開口しており、この開口を通じて、ミキシング部12b内で生成した飲料をドリンクガイド13の受入口13aに放出する。
【0019】
また、ミキシング部12bは、背面側となる後方向F側に、ミキシング部12bから突出して下向きに開口するオーバーフロー開口12eを有している。オーバーフロー開口12eは、ミキシング部12bの上方向A側に形成されている。このため、ミキシング部12b内からオーバーフローする飲料、及び温飲料の湯気は、オーバーフロー開口12eから外部に排出される。
【0020】
また、ミキシング部12bに後方向F側で隣接してダクト21が設けられている。ダクト21は、図7を参照すると、長方形状の上部開口21bで上方向A側に開口した細長い箱状の形状を有しており、さらに、下方向B側の底部21cの端部近傍にダクト排水管21aを有している。また、ダクト21の長方形状の底部21cは、その長手方向に沿って、ダクト排水管21aに向かって下方向Bに傾斜している。このため、ダクト21の内部の液体は、ダクト排水管21aに向かって流れて外部に排出される。また、ダクト21は、その後方向F側の側部に矩形状の側部開口21dを有している。さらに、側部開口21dの上方向A側を除く周囲には、ダクト21の内部に向かって突出する固定部材21eがダクト21と一体に形成されている。固定部材21eには、フィルタ22が嵌め込み固定される。
【0021】
フィルタ22は、ポリウレタンフォーム等の三次元網目構造をもつフォーム材(発泡材)からなるフォームフィルタ材22aと、フォームフィルタ材22aが嵌め込まれてフォームフィルタ材22aの形状を保持する枠部材22bとによって構成されている。さらに、枠部材22bにおけるフォームフィルタ材22aに対向する開口は、メッシュフィルタ材22b1で覆われている。そして、フォームフィルタ材22aを枠部材22bに組み付けたフィルタ22は、上方向Aから下方向Bに向かって、ダクト21の固定部材21e同士の間に差し込むようにして、ダクト21に取付けられて側部開口21dを塞ぐ。よって、側部開口21dを通って、ダクト21の外部に流れる湯気等の気体は、枠部材22bのメッシュフィルタ材22b1、及びフォームフィルタ材22aを順次通過する。また、差し込みによって設置されるフィルタ22は、着脱が容易であるため、交換・洗浄が容易になっている。
【0022】
図3に戻ると、ダクト21は、その上部開口21b(図7参照)が全てのミキシングケース12のオーバーフロー開口12eから排出される飲料及び湯気を受け入れるように、長手方向を紙面上の奥行き方向として延在している。そして、ダクト21は、フィルタ22がミキシングケース12と反対側となるようにして、設けられている。
また、ダクト21の下方向B側には、上部が開放した集水桶26が設けられている。集水桶26は、ダクト21のダクト排水管21aから排水される飲料を上部の集水開口26a(図4参照)から受け入れる。
【0023】
また、ダクト21及びフィルタ22に後方向F側で隣接して、ダクト21から機械室2b内に後方向Fに向かって延びる導風ガイド部材23が、設けられている。導風ガイド部材23は、ダクト21の上部開口21b(図7参照)を上方向A側から塞ぐと共にダクト21の外側でフィルタ22の周囲を取り込むようにして、仕切パネル20に形成されたガイド用開口20bを通って、機械室2bの内部に延びている。さらに、導風ガイド部材23に対して、後方向F側で隣接して、電動ファン24が設けられている。
ここで、電動ファン24は、排気ファンを構成している。
【0024】
また、仕切パネル20は、ガイド用開口20bより下方向B側に、ルーバー状の導風板20a1が設けられた通気開口20aを複数有している(図6参照)。導風板20a1は、機械室2bからミキシング機構室2aに向かって通気開口20aを通過する気流を、下方向Bに向かって流通するように導く。
ここで、通気開口20aは、排気口を構成している。
【0025】
また、機械室2b内において、仕切パネル20と貯湯タンク30との間に挟持されるようにして、箱状の導風路ケース25が仕切パネル20に着脱可能に取り付けられている。なお、導風路ケース25は、樹脂、紙等、いかような材料によって形成されていてもよい。
図5を参照すると、導風路ケース25は、直方体状の外形を有し、1つの側部が開放されてケース開口25aを形成している。また、ケース開口25aに対向する側部25bは、円筒状の貯湯タンク30の外形に整合するように湾曲して円筒面の一部を形成している。なお、導風路ケース25に形成された切り欠きは、導風路ケース25の内外にわたって延在する部材を通過させるものである。
ここで、導風路ケース25は、箱状体を構成している。
【0026】
図3に戻ると、導風路ケース25は、ケース開口25a側を仕切パネル20に当接させて取り付けられている。そして、仕切パネル20に取り付けられた導風路ケース25は、導風ガイド部材23及び電動ファン24を覆い、仕切パネル20と共に囲む閉鎖された排気用空間25cの内側に含む。同時に、導風路ケース25は、通気開口20aを排気用空間25cの内側に含んでいる。
よって、電動ファン24が稼動されると、ダクト21内から導風ガイド部材23の内部及び排気用空間25cを通り、通気開口20aからミキシング機構室2aに流出する気流が発生する。そして、排気用空間25cは、排気通路を構成している。
【0027】
また、図4を参照すると、飲料注出部3の左方向C側となる図2のx部の詳細が示されている。
集水桶26は、仕切板6及び仕切パネル20に取り付けられており、上部に集水開口26aを有すると共に、仕切板6及び仕切パネル20側の側部に排水受入開口26bを有し、さらに、下方向B側の底部には、先端がL字状に屈折した排水管27が連結されている。集水桶26の内部は、排水管27の内部に連通している。なお、排水受入開口26bには、仕切板6及び仕切パネル20を貫通して、機械室2b側で仕切板6に沿って上下方向に延びる余剰水排水管29が連結されている。なお、余剰水排水管29は、貯湯タンク30(図2参照)及び図示しない冷水タンク内に貯留された温水及び冷水を、水質の劣化を防ぐために定期的に排水する又は清掃のために排水する排水管である。よって、集水桶26は、ミキシングケース12からダクト21内へオーバーフローした飲料、並びに、余剰水排水管29から排水される温水及び冷水を集水し排水管27に送る。
【0028】
また、排水管27の屈折した先端の下方向B側には、排水受部材28が設けられている。排水受部材28は、排水管27から、飲料注出部3のスノコ状のカップステージ3aの下方向B側にわたって延在している。そして、排水受部材28は、排水管27からカップステージ3aの下方に至るまでの排水流通部28aと、排水流通部28aに連続しカップステージ3aを下方から覆う受皿部28bとを有している。また、排水流通部28aは、上方向A側で開放されて流通部開口28a1を形成し、仕切パネル20の通気開口20aの下方向B側に位置している。さらに、排水受部材28は、図示しないバルブが取り付けられた管状の排水管路28cを受皿部28bに有している。
【0029】
このため、排水受部材28は、排水管27から排水された水及び飲料、並びに、カップステージ3aのスノコの隙間からこぼれ落ちた飲料をそれぞれ、排水流通部28a及び受皿部28bで受け止め、排水管路28cから飲料ディスペンサ101の外部に排出する。また、排水流通部28aは、流通部開口28a1が仕切パネル20の通気開口20aから流出する気流の下流領域に延在するように設けられており、通気開口20aからの気流は、流通部開口28a1を通って排水流通部28a内の表面28a2上にある水又は飲料に接触するように流れる。
【0030】
また、飲料ディスペンサ101では、図4で省かれている筐体1(図1参照)を取り付けて扉4(図1参照)を閉めることによって、ミキシング機構室2aの内部は、飲料注出部3の内部と注出部カバー3bによって遮断された閉鎖された空間となる。そして、通気開口20aから流出する気流は、ミキシング機構室2a内を通って、筐体1の左側面1c(図1参照)に設けられた図示しない通気口から外部に排出され、飲料注出部3に対してその中に流入しないように遮断される。
【0031】
次に、図1〜図7を用いて、この実施の形態に係る飲料ディスペンサ101の動作を説明する。
図1を参照すると、利用者が飲料ディスペンサ101の扉4に設けられた操作部5において飲料を選択し、選択した飲料の提供を要求する。このとき、図3を参照すると、選択された飲料を生成するための粉末原料を備えるキャニスタ11に対応する原料放出モータ11bが駆動される。原料放出モータ11bの駆動によって、スクリュ11aが回転駆動され、キャニスタ11内の粉末原料が、ミキシングケース12のシュート部12aに放出される。
【0032】
また、これに並行して、ミキシングケース12のミキシング部12b内に冷水又は湯が供給される。さらに、マグネットモータ12dが駆動され、この駆動によりインペラ12cが回転駆動される。インペラ12cの回転駆動によって、ミキシング部12b内に供給された粉末原料と冷水又は湯とが混合・攪拌されて飲料とされる。なお、ミキシング部12bからオーバーフローする飲料は、オーバーフロー開口12eからダクト21内に流入し、さらに、ダクト排水管21aから集水桶26に流入する。集水桶26の飲料は、排水管27(図4参照)を通って排水受部材28(図4参照)の排水流通部28a(図4参照)に流入し、排水管路28c(図4参照)から、飲料ディスペンサ101の外部に排出される。
【0033】
予め設定された時間の間、インペラ12cが回転駆動された後、マグネットモータ12dは停止され、インペラ12cの回転によってミキシング部12bからの放出が制止されていた飲料が、ドリンクガイド13に放出される。そして、図2を参照すると、放出された飲料は、ドリンクガイド13の下部に設けられた注出口13bより、飲料注出部3に注出される。このとき、利用者は、注出口13bの下にカップを予めセットしておくことで、注出された飲料を受け取ることができる。
【0034】
また、図3に戻り、利用者が温飲料の提供を選択した場合、飲料ディスペンサ101では、電動ファン24が稼動される。これにより、ミキシングケース12のミキシング部12b内に供給された湯が発生する湯気は、オーバーフロー開口12eを通ってダクト21内に吸入され、さらに、フィルタ22を通過して導風ガイド部材23内を後方向Fに向かって流通し、導風路ケース25の排気用空間25c内に吸入される。
【0035】
湯気は、フィルタ22を通過する際、まず、メッシュフィルタ材22b1(図7参照)によって、湯気が含有する粉末原料粒子のうちの粒径が大きいものが捕捉され、次に、フォームフィルタ材22a(図7参照)によって、さらに微細な粉末原料粒子が捕捉される。これにより、導風ガイド部材23には、多くの粉末原料粒子が除去された湯気が流入する。
【0036】
また、排気用空間25c内では、電動ファン24の回転によって電動ファン24から通気開口20aに向かう気流が発生している。このため、湯気は、排気用空間25c内に吸入された後、導風路ケース25の側部25b(図5参照)の内表面25b1に衝突して下方向Bへ流通方向を90°変えて流れ、さらに、排気用空間25cの下部では、導風路ケース25下方向B側の内表面25dに衝突して前方向Eへ流通方向を90°変えて流れ、通気開口20aを通ってミキシング機構室2a内に排出される。このとき、湯気は、排気用空間25c内で流通方向を2回変える際の導風路ケース25の内表面25b1及び25dとの衝突によって、粉末原料粒子がまだ含まれていたとしても導風路ケース25の内表面25b1及び25dに付着・堆積させて取り除かれる。
【0037】
図4を参照すると、通気開口20aから排出された湯気は、導風板20a1の作用によって、排水受部材28の流通部開口28a1内に向かって流れる。また、排水受部材28の排水流通部28a内の表面28a2は、排水管27及びカップステージ3aから流入する水又は飲料が溜まっており濡れている。このため、湯気の中に粉末原料粒子が残留していたとしても、残留する粉末原料粒子は、湯気が表面28a2上の水又は飲料と接触することによって、水又は飲料に十分に吸着されて捕捉される。そして、表面28a2上の水又は飲料と接触した湯気は、筐体1(図1参照)の図示しない通気口から飲料ディスペンサ101の外部に排出される。また、水又は飲料に捕捉された粉末原料粒子は、新たに排出される水又は飲料によって洗い流されて排水管路28cから飲料ディスペンサ101の外部に排出される。なお、排水受部材28の排水流通部28a内の表面28a2が濡れていなくとも、湯気が表面28a2に衝突することによって、湯気の中に残留する粉末原料粒子が湯気から分離して表面28a2に付着し除去される。
【0038】
これにより、ミキシング機構室2a内を通過する湯気は、含有する粉末原料粒子の量を大幅に低減しており、ミキシング機構室2a内を粉末原料で汚すことを低減する。また、ミキシング機構室2a内を通過する湯気は、飲料注出部3内に流入しないようにして飲料ディスペンサ101の外部に排出されるため、飲料注出部3内が粉末原料で汚れることが低減される。
【0039】
このように、実施の形態に係る飲料ディスペンサ101は、粉末原料と湯(温水)とを混合した温飲料を飲料注出部3で利用者に提供するものである。飲料ディスペンサ101は、粉末原料と湯とを混合し温飲料を生成するためのミキシングケース12と、ミキシングケース12内の湯気を導出するためのダクト状の排気用空間25cと、ミキシングケース12内の湯気を吸引し排気用空間25cに流通させる電動ファン24と、排出される水又は飲料を流通させる排水流通部28aとを備える。そして、排気用空間25cの湯気は、排水流通部28a内に向かって排出される。
【0040】
これによって、湯気は、ダクト状の排気用空間25cを流通した後、排水流通部28a内に向かって排出される。排出される水又は飲料を流通させる排水流通部28a内に水又は飲料が残留して濡れていると、湯気に含まれる粉末原料粒子は、残留する水又は飲料によって吸着されて十分に除去される。また、排水流通部28a内が濡れていなくとも、湯気が排水流通部28aの表面28a2に衝突することによって、湯気に残留する粉末原料粒子が分離して表面28a2に付着し除去される。さらに、湯気に含まれる粉末原料粒子は、ダクト状の排気用空間25cを流通する過程でも、ダクトを構成する導風路ケース25の内表面に付着して除去される。従って、湯気に残留する粉末原料粒子を低減すると共に湯気を飲料注出部3に直接排出しないことによって、粉末原料粒子が飲料注出部3に飛散することが抑制される。
【0041】
また、飲料ディスペンサ101において、排気用空間25cは、導風板20a1をもつ通気開口20aを有し、導風板20a1は、通気開口20aから排出される湯気の流れを、排水流通部28a内に向かって方向付ける。導風板20a1によって、湯気の流通方向の方向付けを確実なものにすることができる。
また、飲料ディスペンサ101において、排水流通部28aは、上部の流通部開口28a1で開放されており、排気用空間25cの湯気は、排水流通部28aの開放された上部の流通部開口28a1に向かって排出される。これによって、排気用空間25cを排水流通部28aに連通するダクト等が不要になるため、部品点数を減少させてコストを低減することができる。
【0042】
また、飲料ディスペンサ101は、外装を構成する筐体1を備えると共に、粉末原料を貯蔵するためのキャニスタ11、ミキシングケース12及び飲料注出部3が配置されたミキシング機構室2aと、機械類が配置された機械室2bとを筐体1の内部で区画する仕切板6及び仕切パネル20をさらに備える。排気用空間25cは、仕切パネル20と、仕切パネル20に取り付けられた箱状の導風路ケース25とによって形成され、通気開口20aは、仕切パネル20に形成された開口である。
【0043】
これによって、導風路ケース25を仕切パネル20に取り付けるだけで排気用空間25cを形成することができ、さらに、導風路ケース25を取り外せば内部に溜まった粉末原料を容易に取り除くことができる。また、通気開口20aを仕切パネル20に形成することによって、排気用空間25c内を流通する湯気は、箱状の導風路ケース25の内表面25b1,25dに衝突して流通方向を途中で変える。この衝突によって、湯気に含まれる粉末原料粒子を除去することができ、通気開口20aの外部への粉末原料粒子の放出量を低減することが可能になる。
【0044】
また、飲料ディスペンサ101において、排水流通部28aは、ミキシング機構室2aの内部に設けられ、飲料注出部3と隔離されている。これによって、通気開口20aから排出される湯気に含有される粉末原料粒子のうち排水流通部28aの水又は飲料によって吸着されないものがあったとしても、ミキシング機構室2a内の飲料注出部3から隔離された部位に留まるため、飲料注出部3を汚すことだけなく、機械室2b内を汚すことを抑えることができ、さらに、飲料ディスペンサ101の外部への粉末原料粒子の飛散も抑えることができる。また、堆積した粉末原料粒子を飲料ディスペンサ101から除去するために、排水流通部28a及びミキシング機構室2a内を清掃するだけで済み、メンテナンス性も向上する。
【0045】
また、飲料ディスペンサ101は、ミキシングケース12と排気用空間25cとの間に、湯気に含まれる粉末原料を捕捉するためのフィルタ22を備えている。これによって、通気開口20aから排出される湯気は、粉末原料粒子の含有量が低減されるため、湯気に残留する粉末原料粒子は、排水流通部28aの水又は飲料によって十分に吸着され、ミキシング機構室2a内に飛散するのが抑制される。さらに、フィルタ22をメッシュフィルタ材22b1とフォームフィルタ材22aとの二層構造にすることによって、各フィルタにあった大きさの粒子を捕捉させることができるため、フィルタ22はより細かい微粒子を捕捉することができる。さらに、各フィルタ材のメッシュサイズ、フォームのセル数を変更し組み合わせることで、捕捉できる粒子のサイズをコントロールすることもできる。
【0046】
また、実施の形態の飲料ディスペンサ101では、通気開口20aから排出される湯気を導風板20a1によって方向付けをしていたが、これに限定されるものでなく、ミキシング機構室2a側で、仕切パネル20の通気開口20aに下向きに開口するダクトを設けてもよい。
また、実施の形態の飲料ディスペンサ101では、排気用空間25cの湯気が排水流通部28aの流通部開口28a1に向かって排出されていたが、これに限定されるものでない。排気用空間25cの湯気は、飲料注出部3のカップステージ3aの下方を通って受皿部28bに排出するようにしてもよく、さらに、集水桶26の内部、排水管27の内部、機械室2b側の余剰水排水管29の内部などの水若しくは飲料の流通部に排水するようにしてもよい。
また、実施の形態の飲料ディスペンサ101では、導風路ケース25は直方体状の形状を有していたが、これに限定されるものでなく、多面体状、半球状又は半円筒状の形状を有していてもよい。
【0047】
また、実施の形態の飲料ディスペンサ101では、電動ファン24は、導風路ケース25の内部に設けられていたが、これに限定されるものでない。電動ファン24は、導風路ケース25の外側に隣接させて設けられてもよく、通気開口20aのミキシング機構室2a側に設けられてもよい。
また、実施の形態の飲料ディスペンサ101では、フィルタ22は、メッシュフィルタ材22b1とフォームフィルタ材22aとの二層構造であったが、これに限定されるものでなく、三層以上であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 筐体、2a ミキシング機構室、2b 機械室、3 飲料注出部、11 キャニスタ、12 ミキシングケース、20 仕切パネル、20a 通気開口(排気口)、20a1 導風板、22 フィルタ、24 電動ファン(排気ファン)、25 導風路ケース(箱状体)、25c 排気用空間(排気通路)、28a 排水流通部、28a1 流通部開口、101 飲料ディスペンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料と温水とを混合した温飲料を飲料注出部で利用者に提供する飲料ディスペンサであって、
前記原料と温水とを混合し前記温飲料を生成するためのミキシングケースと、
前記ミキシングケース内の湯気を導出するためのダクト状の排気通路と、
前記ミキシングケース内の湯気を吸引し前記排気通路に流通させる排気ファンと、
排出される水又は前記飲料を流通させる排水流通部とを備え、
前記排気通路の湯気は、前記排水流通部内に向かって排出される飲料ディスペンサ。
【請求項2】
前記排気通路は、導風板をもつ排気口を有し、
前記導風板は、前記排気口から排出される湯気の流れを、前記排水流通部内に向かって方向付ける請求項1に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項3】
外装を構成する筐体を備えると共に、
前記原料を貯蔵するためのキャニスタ、前記ミキシングケース及び前記飲料注出部が配置されたミキシング機構室と、機械類が配置された機械室とを前記筐体の内部で区画する仕切パネルをさらに備え、
前記排気通路は、前記仕切パネルと、前記仕切パネルに取り付けられた箱状体とによって形成され、
前記排気口は、前記仕切パネルに形成された開口である請求項2に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項4】
前記排水流通部は、前記ミキシング機構室の内部に設けられ、前記飲料注出部と隔離されている請求項3に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項5】
前記排水流通部は、上部が開放されており、
前記排気通路の湯気は、前記排水流通部の開放された前記上部に向かって排出される請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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