説明

飲料ディスペンサ

【課題】飲料ディスペンサからの飲料注出作業をしやすくする。また、発光による視覚的効果も兼ね備える。
【解決手段】本発明は、飲料ディスペンサに次の手段を採用する。第1に透明状の飲料注出口と光源を備え飲料注出部付近の照明とする。第2に飲料注出時の動作と連動して光源より光を照射して飲料注出口を発光させる。第3にその発光を常時行い各種灯火類として使用できる。第4に上記光源に発光ダイオードと電子回路を用いることにより任意の発光色ならびに点灯状態に容易に変更できる。第5に上記光源の制御を外部機器との接続を可能とすることにより、上記発明を搭載した飲料ディスペンサ機器との統括制御も可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラス等の飲料提供容器に飲料を注出することを目的とする飲料ディスペンサの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
図8、図9に示されるような飲料ディスペンサが従来より存在する。それについて説明する。図8において51は飲料を注出するための手動操作弁式注出部で、操作レバー52、飲料注出口53を有している。操作レバー52を操作することにより、飲料注出口53から飲料が注出される。
【0003】
図9において61は飲料の注出を制御する電気回路ならびに電磁弁などを操作する操作スイッチである。この操作スイッチ61を操作することにより内部にある電気回路、電磁弁が作動し、飲料注出口62より飲料が注出される電気操作弁式注出部を有する飲料ディスペンサである。飲料注出動作としては操作スイッチ61を押している間だけ注出する場合や、操作スイッチ61を一度押すとあらかじめ設定された量を定量注出するものなどがある。
【0004】
上記注出方法において注出される飲料は、一種類のみのものから複数混合して注出されるものがあり、注出口を使用して複数混合を行う場合もある。
【0005】
この上記従来の飲料ディスペンサにおいては、使用場所が暗い場合には飲料ディスペンサの飲料注出動作の目視が困難になってしまい、グラスなどの提供容器への注出量のばらつきや、提供容器からの溢れなどにより、飲料などで床など他の部位を汚損してしまうなどの事態が起きやすく、これに対応するために飲料ディスペンサの飲料注出部の付近を明るくするために照明を設置するなどの対策を施しているものが特許文献1に示されるように存在した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2002−321795公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の飲料ディスペンサでは、飲料注出口から注出された飲料を確認するためには明るい場所での使用や、暗い場所での使用には別途に飲料ディスペンサ機材、または飲料注出部を照明するものを設置しなくてはならなく、飲料ディスペンサ用の照明を設置することにより、この照明による光が、明を行いたくない部分にまで影響を与えるために、使用場所の雰囲気にそぐわないがやむなく使用する場合や、使用を断念する場合もあった。更に、特許文献1に示した飲料ディスペンサでは、機器内部の奥まった場所にある飲料注出口と飲料容器の状態を確認しやすくするために注出口の付近に照明を設置して視認性を向上させているが、この照明は飲料ディスペンサの注出部が機器内部の暗い場所にあるために部屋などが明るい状態でも視認性が悪い。本発明はこれらの問題を解決するために提案された。
【0008】
本発明では、従来の飲料ディスペンサが有していた問題を解決すると共に、視覚的装飾効果も兼ね備えた飲料ディスペンサを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための方法として、請求項1の発明は、飲料注出部に光の導光体ならびに照射レンズとなりえる透明状の飲料注出口と光源を備え、この光源より飲料注出口へ光を照射することにより飲料注出口自体を発光させ、飲料注出部付近の照明とすることを特徴とする飲料ディスペンサとした。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明を飲料注出動作と連動して行い、飲料注出時のみ飲料注出口を発光させることを特徴とする飲料ディスペンサとした。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明に上記飲料注出口自体の発光を常時行うことも可能とし、通電知らせ灯、異常知らせ灯、手元灯、識別灯、装飾灯のいずれか一つまたは複合として機能することを付加した。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし3の発明のうちいずれかの発明の光源に、発光ダイオードを用いると共に、電子回路に搭載したプログラムにより光源の発光ダイオードを制御して、色調、光度、点灯状態を任意かつ容易に変更可能とすることを付加した。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1ないし3の発明のうちいずれかの発明の光源を、上記電子回路の外部に設置されたプログラマーブルコントローラーまたは電子回路の接続による制御を可能としたことを付加した。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明は、暗い店内ならびに夜間に屋外で営業する業態の飲料提供業種において、飲料注出部の注出口自体を発光させることにより、飲料提供作業に係わる作業の照明となる。また、飲料提供容器への飲料注出量の確認においても、飲料注出口より直接光が飲料提供容器に照射されることにより、液面の確認を容易に行うことができる。さらには、飲料ディスペンサ外部や、飲料注出口付近に設置された照明器具によって光を照射する場合に比べて、照射された光による周辺への影響が少ないために、営業場所の雰囲気を損なう範囲が限定される。飲料注出口より注出される飲料、ならびにグラスなどの提供容器が透明状の場合には、これらに対しても光源より照射された光が飲料注出口を介して、導光あるいは照射されることにより、飲料ならびに提供容器が発光する視覚的装飾効果や営業上の演出効果が得られる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の発明を飲料注出動作時のみに発光が行われるよう限定し、飲料注出時のみ照明として利用することにより、それ以外の時には設置場所の雰囲気に影響を与えない。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1の発明を飲料ディスペンサの通電知らせ灯、異常知らせ灯などの表示灯としての使用や、飲料識別灯あるいは装飾灯としての常時利用も出来る。これらは単独機能としても利用出来るし、複数の機能を複合したものとしても利用可能である。上記の動作を行うことにより、例えば、利用者が自分で飲料注出作業を行うセルフサービス業態の飲料提供業種などにおいて、飲料の種類別に発光色を変えることにより視覚効果による誤操作の防止が期待できる。さらには機器の状態を光源の点灯、点滅により表示ができることにより機器状態の把握が容易に行える。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明の光源に電子回路を用いてプログラムにより制御して発光ダイオードを駆動した場合、発光色の変更を電球や着色フィルターの交換をすることなく任意の発光色に容易に変更でき、任意の色調への固定、ならびに色調の自動変化や、点灯、点滅の方法及び状態の設定が自在に行える機能を有する。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明の光源の制御を、外部に設置されているプログラマーブルコントローラーあるいは電子回路の接続によっての制御も可能であるので、例えば本発明に係わる飲料ディスペンサの場合、飲料ディスペンサの構成部位別の異常知らせ表示や、一カ所の飲料注出口から複数種類の飲料を注出する場合、飲料の種類により発光色を変えることにより行う注出中飲料識別などの表示が、飲料ディスペンサとして統合的に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 実施形態を示す手動操作弁式飲料ディスペンサの正面外観図
【図2】 同飲料ディスペンサにおける静止時のA−A′断面説明図
【図3】 同飲料ディスペンサにおける動作時のA−A′断面説明図
【図4】 実施形態を示す電気操作式注出飲料ディスペンサの正面外観図
【図5】 同飲料ディスペンサにおけるB−B′断面説明図
【図6】 中間導光材を用いた場合の実施形態を示す断面説明図
【図7】 実施形態を示す複数注出口を有する飲料ディスペンサの外観図
【図8】 従来の手動操作弁式飲料ディスペンサの外観図
【図9】 従来の電気操作式飲料ディスペンサの外観図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図1から図7に基づいて説明する。
【0021】
図1から図3は、手動操作弁式飲料ディスペンサへの本発明の実施形態を示す。図1にて丸に囲まれた飲料注出部11は図2に示すように注出口12と光源14を有し、注出口12に光源14より光を照射することにより注出口12は発光する。
また、図3は飲料注出動作時の形態を示しており、操作レバー13を押し込む事により手動操作弁17が開放して飲料が注出され、これと同時に飲料注出動作検知スイッチ19が操作レバー13の上端により操作され飲料注出を検出し、光源の状態の制御を行う。例えば、操作レバー13が操作された場合に、光源14より光を照射したり、光の色調を変化させたりする。
【0022】
図4、図5においては、電気操作式注出部を有する飲料ディスペンサへの本発明の実施形態を示す。図4の操作スイッチ31を操作することにより
注出口32に光源33より光を照射することにより注出口32は発光する。
【0023】
図3及び図5に示すように、光源14,33より飲料注出口12,32へ光を直接照射する以外にも、図6に示すように飲料注出口23より離れた位置に設置された光源21より、中間導光材22を使用して光を間接的に飲料注出口23に照射する場合の実施形態も考えられる。上記中間導光材22はアクリルを例として採用しているが、透明状の合成樹脂ならびにガラスを成型して任意の形として中間導光材とする方法もある。また、中間導光材22の代わりに、鏡などの反射材を使用して、光源21より飲料注出口23へ導光する実施形態も考えられる。
【0024】
上記に示した方法は、光源14、33よりの光を飲料注出口12、32へ直接照射するか、または光源21より中間導光材22及び反射材を用いて飲料注出口23へ間接照射するかを問わず、全て、飲料注出口12、23、32を発光させるものである。
【0025】
図7に示すのは、本発明を実施した飲料注出部を複数搭載した飲料ディスペンサの例である。飲料注出部24から27はいずれも本発明をそれぞれに実施しており、例えば、飲料注出部24は赤色発光、飲料注出部25は黄色発光、飲料注出部26は青色発光、飲料注出部27は白色発光のように個別に設定が出来る。さらには、これらの光源の制御を接続により統括的に行うことが出来、飲料注出部24から27の光源の色調、点灯状態などを連動して制御することが出来る。上記の連動制御は飲料注出部を二個以上有する飲料ディスペンサ全てにおいて適用される。
【その他の実施形態】
【0026】
本発明の光源には、可視光線と称される光を照射する光源はもちろん、不可視光線と称される赤外線や紫外線を含んだ光を照射する光源も含まれる。不可視光線の照射を主体とした光源を搭載した場合には、照明としての機能は若干衰えてしまうが、注出飲料の中には例えば紫色発光ダイオードより照射される紫外線に反応して発光するものもあり、視覚的装飾効果や営業上の演出効果は多大に得ることが出来る。
【0027】
本発明は、上記記述及び図面にて説明した実施形態に限定されるものではなく、グラスならびにジョッキなどの飲料提供容器に飲料を注出する飲料注出口を備える飲料ディスペンサ全般ならびに、動作や使用状況が類似する注出口を備える液状食品を提供するディスペンサにも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
11 飲料注出部
12 飲料注出口
13 操作レバー
14 光源
15 電子基板
16 配線
17 手動操作弁
18 飲料注出部カバー
19 飲料注出動作検知スイッチ
20 飲料注出口
21 光源
22 アクリル中間導光材
23 飲料注出口
24 飲料注出部1
25 飲料注出部2
26 飲料注出部3
27 飲料注出部4
31 操作スイッチ
32 飲料注出口
33 光源
34 電子基板
35 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料注出部に光の導光体ならびに照射レンズとなりえる透明状の飲料注出口と光源を備え、この光源より飲料注出口へ光を照射することにより飲料注出口自体を発光させ、飲料注出部付近の照明とすることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項2】
上記飲料注出口自体の発光が、飲料注出動作と連動するものである請求項1記載の飲料ディスペンサ。
【請求項3】
上記飲料注出口自体の発光を常時行うことも可能とし、通電知らせ灯、異常知らせ灯、手元灯、識別灯、装飾灯のいずれか一つまたは複合として機能することを特徴とする請求項1記載の飲料ディスペンサ。
【請求項4】
光源は発光ダイオードを用いると共に、電子回路に搭載したプログラムにより光源の発光ダイオードを制御して、色調、光度、点灯状態を任意かつ容易に変更可能とした請求項1ないし3のうちいずれかに記載の飲料ディスペンサ。
【請求項5】
上記光源が、上記電子回路の外部に設置されたプログラマーブルコントローラーまたは電子回路の接続により制御可能とされた請求項1ないし3のうちいずれかに記載の飲料ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86874(P2013−86874A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244913(P2011−244913)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(511270930)株式会社エイチ・エス・エス (1)
【Fターム(参考)】