説明

飲料マシンにおけるPCBに対する流量計の組付け

流量計(1)は、計量チャンバ(10)を含む最外側のケーシング(2、4)と、ケーシングの最外面(20)と、計量チャンバを通じた流れを表わす信号を最外面で発生させる発生器(3、36)と、最外側のケーシング上にケーシングを越えて延び且つセンサ(51)を含むPCB(50)に対して、最外側のケーシングを締結する接続構造(28)であり、センサが最外面に配置されて接続時に発生器からの信号を検出するように構成される、接続構造とを備えている。接続構造がPCBに対して接続されるように構成され、PCBとケーシングとの間の接続がセンサとは区別されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、特に飲料調製マシンにおけるPCBに対する流量計の組付けに関する。
【0002】
本説明の目的において、「飲料」は、茶、コーヒー、熱いまたは冷たいチョコレート、ミルク、スープ、ベビーフードなどの任意の液体食品を含むことが意図されている。
【背景技術】
【0003】
特定の飲料調製マシンは、抽出または溶解される原料を収容するカプセルを使用し、また、他の飲料調製マシンにおいては、原料が蓄えられて飲料調製マシン内に自動的に投入され、あるいは、飲料の調製時に原料が加えられる。
【0004】
コーヒーマシンなどの様々な飲料マシンは、液体、通常は水を、冷たいまたは加熱手段によって加熱される水源から、混合チャンバまたは煎出チャンバに循環させるようになっており、このチャンバでは、循環する液体をバルク原料、または例えばカプセル内に予め包装された原料に晒すことによって飲料が実際に調製される。このチャンバから、調製された飲料が、通常は、飲料注出領域へ、例えば飲料マシンに設けられるまたは飲料マシンと関連付けられるカップまたはマグカップ支持領域の上側に配置される飲料出口へ案内される。調製プロセス中または調製プロセス後、使用済みの原料および/またはそれらの包装物が収集容器へ排出される。
【0005】
殆どのコーヒーマシンは、液体用、通常は水用のポンプを含む充填手段を有しており、このポンプは、冷たい水源または実際には、加熱レジスタやサーモブロック等の加熱手段を介して加熱される水源から液体を圧送する。例えば、米国特許第5,943,472号明細書は、エスプレッソマシンに関して、水リザーバと熱水チャンバまたは蒸気供給チャンバとの間のそのようなマシンのための水循環システムを開示する。循環システムは、互いに接続され且つ固定カラーによって互いに接合される複数のシリコーンホースを介してリザーバと相互に接続される、バルブ、金属加熱チューブ、およびポンプを含む。国際公開第2009/043865号パンフレット、国際公開第2009/074550号パンフレット、国際公開第2009/130099号パンフレット、およびPCT/EP09/058562号明細書は、飲料調製マシンの更なる充填手段および関連する詳細を開示する。
【0006】
混合チャンバまたは煎出チャンバへ循環される液体の特性、例えば量および/または速度を制御するため、そのような飲料マシンは一般に流量計を含む。そのような飲料マシンで使用される流量計は、少なくとも循環流体に晒される場所では食品に対して安全な材料から形成され、そのような飲料マシンで使用されるように経済的に手頃な価格でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
米国特許第4,666,061号明細書は、洗浄のために容易に分解して再び組み立てることができるワイン、ミネラルウォーター、またはビール用の飲料注出ラインのための流量計を開示する。流量計は、バヨネットコネクタによって組み付けられて計量チャンバを取り囲む二部品ハウジングを有する。チャンバは、ハウジング内に取り付けられチャンバ内へ延びる一対の対向するダイヤモンド点支承によって所定位置に保持される回転可能なシャフトを有する中心付けられた回転可能な計量体を含む。この装置の欠点は、ダイヤモンド点支承の価格、および、そのような点支承を流量計のハウジング内に取り付けるために必要とされる組付け工程にある。
【0008】
欧州特許第0841547号明細書は、飲料調製マシンに適しDIGMESAによって商品化されている流量計を開示する。この流量計は、2つのハウジング部分の4つの組付け位置を可能にするため、したがって、2つのハウジング部分に配置される流量計の注水口および排水口の4つの対応する位置を可能にするために、ハウジングの外周上に対称的に分布して配置される4つの組付けフックを有するバヨネット接続を伴う二部品ハウジングを有する。ハウジングは、流路中に配置されてそれによって駆動されるフィンを有する内側の回転可能な計量体を取り付けるために中心固定シャフトが貫通して延びる内側計量チャンバを含む。計量チャンバを通過する液体の流量は、ホールセンサを使用した回転可能な計量体の回転速度の測定から得られる。この装置の欠点は、流量計の方向に応じて変化し且つチャンバを通じた流れの測定精度に影響を及ぼす固定シャフトと回転計量体との間の大きな摩擦面にある。幾つかの用途においては、複数のバヨネット組付けフックが必要とされる場合がある。組付けフックの数およびサイズは、流量計がそれを受けて動作しなければならない予期される圧力と、組付け体の不浸透性を確保するために必要な組付け力とに依存し得る。そのため、例えば上記欧州特許第0841547号明細書に開示されるように、複数の組付けフックが必要とされる場合がある。しかしながら、所定の流量計を異なる形態間で転換しなければならない状況がほんの僅かではあるが存在する。殆どの場合、流量計は、その寿命の間にわたって1つの組付け形態だけをとる。したがって、多数の組付け位置が不必要な組付けミスをもたらす可能性がある。これは、そのような流量計がそれらの実際の意図される使用のために必要とされるよりも多くの組付け方向を受け入れるからである。
【0009】
国際公開第2009/043865号パンフレットは、一体または別個の構成要素としてPCBに組み込まれるホールセンサを介してPCBに強固に固定される流量計を開示する。ホールセンサを介した流量計とPCBとの間の強固な接続は、自動組付けを容易にする。確かに、そのような接続を用いると、PCBと流量計との間のルーズでまたは自由で柔軟な電気的接続を取り扱う必要性がない。また、国際公開第2009/043851号パンフレットも自動組付けを容易にするために流量計とPCBとの間のケーブルなしの強固な接続について言及している。国際公開第2009/130099号パンフレットでは、ホールセンサを支持するPCB部分に対して、このセンサがそのPCB部分と共に流量計に組み付けられるように、流量計を強固に取り付けることができる。PCBは、特に、貫通開口を有するハウジング内に封入されてもよく、この貫通開口を通じて、流量計がPCBのハウジングの外側に延びる流体回路内での接続のためにPCBから延びる。
【0010】
英国特許第2382661号明細書は、ハウジングに取り付けられるようになっているセンサアセンブリを備えて流量を検出するための流量計を開示する。ハウジングは、回転可能なインペラを含み、キャップによって閉じられる。センサアセンブリはチャンバを有するカバー部分を備え、チャンバ内に電気回路基板が配置される。ホール効果センサが取り付けられて電子回路基板と結合される。電子回路基板は、ホール効果センサから受ける電気信号を処理するための手段を備えており、制御装置または流量ディスプレイに接続されるようになっているケーブルへ流量信号を伝える。
【0011】
この装置の欠点は、チャンバ内で利用できる表面が限られており、そのため、一般的には機械のコントローラに委ねられる複雑な機能を実施するために必要とされる電子部品を埋め込むことができる可能性が大幅に制限される点にある。そのため、この流量計と飲料マシンの制御基板との一体化が比較的複雑となる。これは、流量計の電子基板をケーブルを用いて飲料マシンのコントローラに接続する必要があるからである。その結果、コントローラ基板のコネクタに電子基板を接続するという補助的な作業が必要とされ、これが飲料マシンの製造コストを高める。
【0012】
特に飲料調製マシンの流体回路の制御ユニットと流量計との一体化を改良することが依然として必要である。特に、流量計の一体化を改良して、流量計を含む装置の製造コストを低減することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、計量チャンバを含む最外側のケーシングと、ケーシングの最外面と、計量チャンバを通じた流れを表わす信号を最外面で発生させる発生器と、最外側のケーシング上にこのケーシングを越えて延び且つセンサを含むプリント回路基板(以下、「PCB」と称する。)に対して、最外側のケーシングを締結する接続構造であり、センサが最外面に配置されて接続時に発生器からの信号を検出するように構成される接続構造とを備える流量計に関する。本発明によれば、接続構造がそのようなPCBに対して接続されるように構成され、このPCBとケーシングとの間の接続がセンサとは区別(distinct from)されている。
【0014】
したがって、本発明の流量計は、流量計を通じた流れを表わす信号を検出するセンサを含むPCBに対して直接に締結することができる。この形態は、PCBと流量計との間のケーブルをもはや必要としないため、流量計の製造および組付けを非常に簡略化する。したがって、PCBに対する流量計のそのような組付けを完全に自動で行なうことができる。これは、特に、組付けプロセスを可撓性で変形可能なおよび/またはルーズな部品、特にケーブルの組付けのような向きおよび位置決めの問題を伴わない硬質部品のみの組付けに帰着させることができるからである。
【0015】
また、流量計をPCBに対して締結するための接続構造であって、センサの機械的負担を何ら伴わない接続構造を設けることにより、センサが損傷する可能性、またはPCBに対する流量計の締結を伴う機械的拘束によりPCBに対するセンサの接続が損傷する可能性が大幅に除去される。したがって、PCBに対する流量計のその組付けで且つ組付け時に締結力を支える接続構造はセンサの外部にある。そのため、センサは、一般に、PCBと流量計との間の接続によってもたらされる拘束に晒されない。
【0016】
一般に、接続構造は、接続時にセンサを受けるセンサ領域の外側に配置されている。流量計のケーシングの最外面は、センサを受ける凹部を含んでもよい。センサを最外面の凹部に配置することにより、センサが側部保護の利益を享受する。
【0017】
また、PCBに対する流量計の誤った組付けを回避するために、凹部が組付け時に方向識別子としての機能を果たしてもよい。しかしながら、センサは、そのような誤った組付けの試みがセンサを損傷させないようにPCB上に配置されてもよい。
【0018】
流量計をPCB上に適切に位置決めして、センサに対する流量計の不必要な圧力を回避するために、ケーシングは、流量計のケーシングの最外面からPCBを離間させる少なくとも1つのスペーサを備えてもよい。無論、センサを完全に収容できる十分に深い凹部をケーシングの外面に設け、それにより、凹部の周囲の最外面がPCBに押し付けられあるいは接触されるようにすることもできる。
【0019】
接続構造は、少なくとも1つの締結機構、特に、ねじ、スナップ、バヨネットコネクタ、リベット、ステイプル、クリップ、スプリットピン、クレビスピン、ストラップ、ペグ、および圧力嵌めなどの機械的な締結機構、および他の締結機構を含んでもよい。接続構造は、最外面の内側領域の周囲に配置される複数の締結部材を有してもよい。前述した凹部であってもよいまたは該凹部を含んでもよいこの内側領域は、一般に、接続時にセンサと対向する。
【0020】
接続構造は、随意的にケーシングの最外面を介して、特に最外面の外周部を介してPCBに対して流量計を結合するための接着剤および/または溶着シールを備えることができる。
【0021】
Dupont de Nemours(登録商標)により製造されるkepton(商標)などのポリイミド(PI)から随意的に形成される絶縁シートなどの絶縁層でケーシングを覆うことができる。
【0022】
流量計の発生器は、チャンバを通じた流れによって駆動される、特に回転駆動される計量体を含んでもよい。発生器は、流れを表わす信号を磁気信号として発するための少なくとも1つのマグネットを備えてもよい。
【0023】
流量計のケーシングおよび/または計量体をPOMおよびPBTのうちの少なくとも一方から形成することができる。例えば、流量計のケーシングおよび計量体がSchulaform 9AなどのPOMおよびTecdur GK30などのPBTから形成されてもよく、あるいは、逆に形成されてもよい。
【0024】
流量計が飲料調製マシンで使用される限りにおいて、チャンバおよび回転可能な計量体を形成する材料は、食品に対して安全でなければならない。更に、これらの材料は、低い摩擦係数および低い摩耗率を有していなければならず、また、限られたコストで、高品質の特に非常に信頼できる流量計を提供するべく高い寸法精度を得るために製造/成形プロセスでうまく制御できなければならない。また、これらの材料は、流量計のサイズおよびそのような流量計が使用のために組み込まれる装置のサイズを減少させることができるように小型の信頼できる部品の形成を可能にするべく、製造プロセスで、例えば成形プロセスで制御できなければならない。これらの要件の全ては、前述した材料を特に組み合わせて使用することによって満たされる。
【0025】
PBT材料に接触するPOM材料の摩耗率は約0.2μm/kmとなり得る。POM材料に接触するPBT材料の摩耗率は一般に約0.7μm/kmである。また、そのようなPOM材料およびPBT材料は食品に対して安全である。そのような摩耗率は、例えば飲料調製マシンで用いる安価な成形された流量計に対して長い寿命を与える。
【0026】
例えば、流量計のケーシングおよび計量体は、繊維またはビーズ、特にガラスビーズなどの安定化充填材、例えば、ハウジングおよび/または計量体の10〜70体積%、特に15〜50体積%、例えば20〜40体積%を示す安定化充填材を含んでもよい。ビーズおよび/または繊維などの充填材の使用は、複合材料が成形工程中に固まる際の複合材料の収縮の制御が容易となる。これは、相対的に移動できる部品の高い寸法精度を保証するためおよび部品の適切な組付けのために特に望ましい。また、適切な充填材の使用は、特にベアリングにおいて厳しい公差を伴って製造され得る平坦な表面を与える。充填材は、摩擦係数および摩耗率を減らすこともできる。そのような複合材料から形成される構成要素は、以下で説明されるように、特に接続部分において高い安定性も呈する。流量計の製造におけるそのような材料の使用に関する更なる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第09163813.0号明細書に開示されている。
【0027】
回転可能な計量体は、計量チャンバを横切って延びる回転可能なシャフトを有してもよく、シャフトは、シャフトの両端が点支承により回転可能に取り付けられて計量チャンバ内に位置決めされる。例えば、シャフトは、フィンまたはブレードなどの流量遮断部を有するロータまたは同様の要素であり、一般的にはインペラである。それぞれの点支承は、ケーシングと回転可能なシャフトの端部とにそれぞれ関連付けられる、突出部と、これと対向して協働する対応部、特に凹部とから形成されてもよく、逆に形成されてもよい。突出部分および対応部は、それらの関連する成形ケーシングおよび成形回転可能シャフトと一体に形成されるのが有益である。
【0028】
例えば、ケーシングは、点支承を形成するためにチャンバ内へ対向して延びる突出部を備える。あるいは、突出部が計量体のシャフトに配置されてもよい。組合せ形態、すなわち、突出部を有する第1の支承をシャフトに設け、突出部を有する第2の(反対側の)支承をケーシングに設けることもできる。
【0029】
例えば、ケーシングが2つの組付体から形成される。回転可能なシャフトは、一般に、第2のケーシング体、例えばカバーまたは蓋体に配置される点支承と、第1のケーシング体、例えばケーシングのカップ状体に配置される対向する点支承との間で延びる回転軸線を有する。
【0030】
第1のケーシング体は、シャフトの回転軸線に対して垂直な基準面を形成してもよく、第2のケーシング体は、点支承同士の間でシャフトを保持してシャフトの自由な回転を可能にするべくこれらの点支承同士の間隔を正確に設定するために基準面に対して押し付けられる内面を有する。点支承同士の間に信頼できる正確な間隔を与えるこの幾何学的基準付けは、第1のケーシング体と第2のケーシング体との間でバヨネット閉塞システムを使用することによって可能にされる。
【0031】
したがって、支承を形成するためにダイヤモンドまたは同様の要素を必要としないそのような流量計の製造コストは大幅に低減される。2つの支承は、それらがそれぞれ関連付けられる構成要素の成形工程中に形成することができる。支承は、静止する支持要素と一体に形成できるとともに、移動する計量要素と一体に形成でき、また、そのために別個の組付け工程が必要とされない。このことは製造コストを大幅に抑制する。しかしながら、流量計の精度は、流量計の向きとは殆ど無関係である。それぞれの点支承の突出部および/または対応部は、材料の溶融/凝固および/または重合によって、通常はこれらの材料を成形することによって形成できる。
【0032】
そのような流量計の更なる随意的な構造的詳細は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第09163815.5号明細書に開示されている。
【0033】
また、本発明は、ホールセンサなどのセンサと、特に前述した流量計の最外側のケーシングをセンサに隣接して締結するためのセンサとは区別される構造とを含むPCBに関する。そのようなPCBは、流量計上に流量計を越えて延びるように構成され、そのようなセンサは、流量計を通じた流れを表わす信号、特に磁気信号を検出するようになっている。
【0034】
PCBは、流量計の1つ以上の対応する締結部材を固定する1つ以上の固定部、特に貫通穴などの固定穴、特にセンサの周囲の複数の固定部を有してもよい。
【0035】
一般に、センサは、一体の構成要素、またはPCB上に直接に取り付けられる別個の組込み要素である。
【0036】
本発明の更なる態様は、互いに締結されたときの前述した流量計およびPCBに関する。センサは、PCBに対する流量計の締結に起因してセンサに作用する応力を回避するためにケーシングに対して離間してまたは非接触に維持されてもよい。
【0037】
本発明の更なる他の態様は、前述したPCBを備えおよび/または前述した流量計、特にそのようなPCBに締結されるそのような流量計に接続される制御ユニットを有する飲料調製マシンに関する。
【0038】
飲料調製マシンは、一般に、流量計、特に前述したようにPCBに締結される流量計を備える液体循環回路、特に水循環回路を有する。
【0039】
例えば、飲料調製マシンは、コーヒーマシン、ティーマシン、またはスープマシンであり、特に、挽いたコーヒー、茶、チョコレート、カカオ、または粉乳などの調製されるべき飲料の原料を収容するカプセルまたはポッドに熱水または冷水または他の液体を通すことによって抽出ユニット内で飲料を調製するマシンである。飲料調製マシンは、この原料を収容する浸出ユニットを備えてもよい。一般に、飲料調製マシンは、ポンプ、ヒーター、ドリップトレイ、原料収集器、液体タンク、および液体タンクと浸出ユニットとの間の流体接続を行なうための流体接続システム等のうちの1つ以上を含む。そのような飲料調製マシンにおける液体リザーバとヒーターとの間の流体回路の構成は、例えば、国際公開第2009/074550号パンフレットに更に詳しく開示されている。
【0040】
ここで、概略図を参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る流量計およびPCBの分解図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、典型的にコーヒーマシンなどの飲料調製マシン用の流量計1を示している。流量計は、例えば国際公開第2009/130099号パンフレットに更に詳しく記載されるように飲料調製マシンの流体回路に取り付けられてもよい。
【0043】
流量計1は、内部の略円筒状の計量チャンバ10を画定するように組み付けられる2つの成形体2、4から形成される最外側のケーシングを有する。例えば、ケーシングは射出成形によって形成される。
【0044】
成形体2、4のそれぞれは、そのような流量計を通じて液体を循環させるために計量チャンバ10と連通する貫通開口を有する。特に、管状入口47がカップ状体4に設けられ、また、管状出口27がカバー体2に設けられる。無論、入口および出口を転換することができる。また、入口および出口を同じ成形体に位置させることができる。これらの入口および出口は、第1および第2の成形体の位置に応じた相対的な位置を有する。
【0045】
ケーシング2、4は、ロータまたはインペラの形態を成す回転可能な計量体3を収容する。計量体3は、計量チャンバ10の中心を横切って延びる回転可能なシャフト32上に一連の径方向部材31、例えばフィンまたはブレードを有する。シャフト32は、径方向部材31がそこから延びる下側部分33と、上側部分34とを有する。ケーシングのための上側部分34には、一対のマグネット36を収容するための対応する形状の2つのキャビティ35が設けられる。シャフト32または計量体3も同様に射出成形によって製造されてもよい。
【0046】
流量計1は、回転可能なシャフト32の両端部32’、32”をケーシング体2、4内に取り付けるための上点支承および下点支承を有する。これらの点支承は、チャンバ10内へ延びるケーシング2、4の突起と、突起のための位置決め対向部を形成するために回転可能なシャフト32の端部32’、32”に設けられた凹部とによって形成され、図1では、下点支承および上点支承の一部を形成するこの種のピン11の形態を成す下側突起と上側凹部37とを見ることができる。下点支承および上点支承は、全ての想定し得る方向で同様の性能を確保するために同一である。
【0047】
突起11および対向部37は、成形ケーシング体2、4および回転可能なシャフト32のそれぞれと一体に形成される。言い換えれば、流量計の支承を形成するために他の構成要素が必要とされない。これらの支承は、それぞれの構成要素、すなわち、ケーシング体2、4およびシャフト32と直接に成形されてもよい。シャフトまたは更にはインペラ3全体(マグネット36を除く)は、POMから形成することができ、ケーシング2、4は、30体積%のガラスビーズおよび/または繊維を充填材として伴うPBTから形成することができる。
【0048】
図1に示されるように、下側ケーシング体4はカップの一般的な形状を成し、上側ケーシング体2はカバーまたは蓋の一般的な形状を成す。言うまでもなく、「下側」および「上側」なる用語は、図1に示される流量計1の特定の方向を示しているにすぎない。使用中、流量計1は、任意の方向をとってもよく、または更には、方向を変えてもよい。
【0049】
回転可能なシャフト32は、カバー体2に配置される点支承(図示せず)とこれに対向してカップ状体4に配置される点支承11との間に延びる回転軸線3’を有する。
【0050】
チャンバ10を通じた流れによる計量体3の回転は、マグネット36を軸線3’周りに駆動させる。マグネット36の回転によって発生する回転磁場は、流量計のケーシングの隣接するカバー体2を通じてその最外面20に向かいこの流れを表わす信号を形成する。
【0051】
カップ状体4は、回転軸線に対して垂直な基準面42を形成する縁部41を有し、カバー体2は、点支承11同士の間隔を正確に設定するために基準面42に押し付けられる内面22を有し、それにより、点支承間でシャフト32を保持して自由に回転させることができる。内面22および基準面42は、バヨネットコネクタの接触部22、42を形成する。
【0052】
また、縁部41は、カバー体2の対応するシールリップ23と協働する直立内面43を有しており、これにより、縁部41内へのリップ23の圧力嵌めによってカバー体2がカップ体4に対してシールされる。この組付けおよび想定し得る変形例が前述した欧州特許第09163815.5号明細書および欧州特許第09163813.0号明細書に更に詳しく示されている。
【0053】
カップ状体4は4つの離間するフック45、45aを有し、これらのフックは、縁部41上および接触部22、42上でほぼ均等に分布して配置されるとともに、カバー体2の外周の対応する通路25、25aおよびフック保持部26と協働してバヨネット接続を形成する。
【0054】
フック45、45aおよび関連するフック通路25、25aを伴うフックリテーナ26は、ケーシング体2、4を組み付けるバヨネットコネクタの対をなす相互接続用固定部を形成する。フック45、45aは、組付け時に、それらの対応するフック通路25、25aを通過した後にそれらのフックリテーナ26と係合するようになっている。フック45、45aおよびフックリテーナ26は、接続を可能かつ確実にするために弾力性をもった関係を成す。相互接続用固定部は、非破壊的な分解を可能にするように構成される。あるいは、フック45、45aおよびフックリテーナ26は、分解可能ではなく、通常は、バヨネット接続および/または少なくとも1つのケーシング部の破壊を伴って分解可能となるように構成されてもよい。
【0055】
カップ体4上のカバー体2のバヨネットコネクタでのロック動作がシャフト32および回転軸線3’に対して垂直な面内で生じるため、点支承同士の間隔はこのロックによって影響されない。この間隔は、点支承の位置に対する接触部22、42の形状(および位置)によって専ら決定され、それにより、点支承がダイヤモンドの付加によらず成形によって形成される場合であっても、支承における厳しい公差を与えることができる。フック45、45a、フック通路25、25a、およびフックリテーナ26はケーシング体2、4と一体に形成される。
【0056】
図1に示される実施形態において、相互接続用固定部の対、例えばフック45、45aおよびフックリテーナ25、25aは、ケーシング体2、4を1つの位置でのみ組み付けることができるように配置される。そのような形態は、PCB50に対する流量計の接続に適合しない流量計1の誤った組付けを防止する。
【0057】
例えば、それぞれの相互接続用固定部の対は、その相互接続のために協働する形状を有し、固定部の対は、第1の種類の固定部の対が他の種類の対応する固定部に適合しないように形成される少なくとも2つの互いに異なる種類の協働する形状を有する。
【0058】
変形例においては、無論、ケーシング体の任意の数の組付け方向を可能にするために相互接続用固定部の対称的な配置を有することができる。
【0059】
図1の特定の実施形態において、第1の寸法の第1のタイプの相互接続用固定部の対は、フック通路25を介してフックリテーナ26と相互に接続可能なフック45を有する。第2の寸法の第2のタイプの相互接続用固定部の対は、フック通路25aを介してフックリテーナ26と相互に接続可能なフック45aを有する。第2のタイプのフック45aは、第1のタイプのフック通路25および/またはフックリテーナ26に適合しない。例えば、第2のタイプのフック45aは、非常に大きいため、第1のタイプのフック通路25を通過してリテーナ26に達することができない。
【0060】
第2のタイプのフック45aは第1のタイプのフック45とほぼ同様である。しかしながら、第2のタイプのフック45aの長さは、縁部41または接触部22、42に沿って測定される第1のタイプのフック45の長さよりも長い。長さの増大は、ハンプ45bの存在によるフック45aの長いベースによってもたらされる。外周通路25は、フック45を通過させるには十分長い。しかしながら、通路25は、ハンプ45bを有するフック45aを通過させるには短すぎる。ハンプ45bを有するフック45aは、通路25よりも長く且つハンプ45bを有するフック45aの寸法に適合される長さを有するその専用の通路25aのみ通過できる。
【0061】
したがって、ケーシング体2によって許容されるケーシング体4に対する唯一の組付け位置は、ハンプ45bを有するフック45aが通路25aを通過することによってもたらされる位置である。図1に示されるバヨネット形態では、他の組付け位置は不可能である。
【0062】
他の変形例では、無論、寸法差が存在する相互接続用固定部の2種類の対をフックおよび/またはリテーナ−通路のレベルで対応する寸法差を有するフック−リテーナに関係させることができる。
【0063】
更なる変形例では、相互接続用固定部材の対の数の半分に等しい数の組付け形態を可能にするように分布して配置される相互接続用固定部の対向する同一の対を設けることができる。
【0064】
例えば、図1に示される実施形態では、ケーシング体4をはさんでフック45aと対向するフック45をハンプ45bを有するフック45aと置き換えて変更して、通路25、25aの対応する代用物をケーシング体2に設けることができる。そのような形態を用いると、ケーシング体2、4は、2つの組付け位置、すなわち、入口47および出口27が流量計1の同じ側にある第1の形態と、入口47および出口27が流量計1の反対側にある第2の形態とを受け入れ、また、フックおよびリテーナの4つの対の存在にもかかわらず、更なる組付け形態は存在しない。
【0065】
また、流量計1は、制御ユニット5、一般的には飲料調製マシンの制御ユニットと協働するようになっている。
【0066】
制御ユニット5は、センサ51を含むPCB50を有する。センサ51は、PCB50の表面に直接溶着されまたは機械的および電気的に組み付けられる別個の構成要素となり得る。あるいは、センサがPCBに直接組み込まれてもよい。そのため、センサ51は、PCB50に対して離間して配置されず、その接続のために可撓性の配線またはケーブルを何ら必要としない。
【0067】
また、流量計1は、最外側のケーシング2、4をPCB50に対して締結する接続構造28を有する。このPCBはケーシング2、4上にケーシングを越えて延びる。PCB50に対する流量計1の締結時、センサ51は、最外面20に隣接して配置され、チャンバ10を通じた流れの作用を受けて回転可能な計量体3と共に回転するマグネット36により発生する磁気信号を検出するように構成される。
【0068】
本発明によれば、接続構造28は、ケーシング2、4に対して流量計1を接続するように構成され、PCBとケーシングとの間の接続はセンサ51とは区別される。特に、接続構造28は、接続時にセンサ51を受けるセンサ領域29の外側に配置される。このセンサ領域は、最外面20の凹部29によって形成される。そのため、PCB50に対する流量計1の組付け時、センサ51は、計量チャンバ10を通じた例えば液体の流れにより計量体3と共に回転するマグネット36によって発生する磁場に直接晒される。最外面20に隣接する磁場の振幅の変化を検出するため、センサ51がホール型を成してもよい。
【0069】
ケーシングカバー2は、最外面20をPCB50から離間させるスペーサ28’を更に備える。PCB50に対する流量計1の組付け時に、スペーサ28’がPCBに当接する。それにより、凹部29を有する最外面20とPCB50との間に常に十分な間隔を与えて、その間に配置されるセンサ51が圧迫されて不必要な拘束に晒されることを防止できる。そのため、センサ51は、流量計1のケーシング2、4に対して離間してまたは非接触で維持される。
【0070】
接続構造は、最外面20から垂直に延びる一対の半硬質弾性部材28を含む。部材28は、部材28のための固定穴を形成する対応する貫通開口58を介してPCB50に締結されるのに適している。部材28は、最外面20の内側領域29の周囲に配置される。この内側領域は、接続時にセンサ51と対向する。
【0071】
PCB50は、外周切欠き59と、弾性的に変形できる中間部材59’とを有し、PCB50に対する流量計1の緩みのない組付けを確保するために流量計1のスペーサ28’が中間部材59’に対して押し付けられる。それにより、流量計1によって測定される流量の精度が経時的に維持される。
【0072】
変形例においては、PCB50に対して流量計1を固定するために接着材料を使用することができ、または、例えばスペーサ28’を介してPCBに流量計を溶着することができる。
【0073】
ケーシング2、4は、センサ51の近傍で、ポリイミドの絶縁層52により覆われる。層52は、特に接着結合材料を使用して、最外面20上にまたはセンサ51上に予め取り付けられてもよい。
【0074】
流量計1の使用中、液体は、入口47からチャンバ10を介して出口27に循環される。液体の流れがブレード31によって遮断され、それより、シャフト32がシャフト32の端部32’、32”の点支承間で軸線3’を中心に回転駆動される。シャフト32の回転速度は、計量体3を駆動させるチャンバ10内の液体の流量に比例する。シャフト32を回転させることにより、マグネット36は、流量計の最外面20の凹部29内に配置されるPCB50上のホールセンサ51に隣接して回転される。ホールセンサは、マグネットにより発生する回転磁場を検出して、それをシャフト32の回転速度に対応する周波数を有する対応する電気信号に変換する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量チャンバ(10)を含む最外側のケーシング(2、4)と、
前記ケーシングの最外面(20)と、
前記計量チャンバを通じた流れを表わす信号を前記最外面で発生させる発生器(3、36)と、
前記最外側のケーシング上に該ケーシングを越えて延び且つセンサ(51)を含むPCB(50)に対して、最外側の前記ケーシングを締結する接続構造(28)であり、前記センサ(51)が前記最外面に配置されて接続時に前記発生器からの前記信号を検出するように構成される、接続構造(28)と、
を備える流量計(1)において、
前記接続構造が前記PCB(50)に対して接続されるように構成され、前記PCBと前記ケーシングとの間の接続が前記センサとは区別されていることを特徴とする流量計(1)。
【請求項2】
前記接続構造(28)が、接続時に前記センサ(51)を受けるセンサ領域(29)の外側に配置されている、請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
前記最外面(20)が前記センサ(51)を受ける凹部(29)を備える、請求項1または2に記載の流量計。
【請求項4】
前記ケーシング(2、3)が、前記PCB(50)を前記最外面(20)から離間させる少なくとも1つのスペーサ(28’)を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流量計。
【請求項5】
前記接続構造が、ねじ、スナップ、バヨネットコネクタ、リベット、ステイプル、クリップ、スプリットピン、クレビスピン、ストラップ、ペグ、および圧力嵌めから選択される締結機構などの少なくとも1つの締結機構(28)を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の流量計。
【請求項6】
前記接続構造が、前記最外面(20)の内側領域(29)の周囲に配置される複数の締結機構(28)を備え、随意的に前記内側領域(29)が接続時に前記センサ(51)と対向している、請求項5に記載の流量計。
【請求項7】
前記接続構造が接着剤および/または溶着シールを備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の流量計。
【請求項8】
前記ケーシング(2、4)が、随意的にポリイミドから形成される絶縁シートなどの絶縁層(52)で覆われている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の流量計。
【請求項9】
前記発生器(3、36)が、前記チャンバ(10)内の流れによって駆動される計量体(3)を備え、前記計量体(3)が、前記信号を磁気信号として発するための少なくとも1つのマグネット(36)を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の流量計。
【請求項10】
ホールセンサなどのセンサ(51)と、流量計(1)の最外側のケーシング(2、4)を前記センサに隣接して締結し前記センサとは区別される、特に請求項1〜9のいずれか一項に記載の接続構造(58)とを含むPCB(50)であって、前記流量計上に該流量計を越えて延びるように構成され、前記センサが、前記流量計を通じた流れを表わす信号、特に磁気信号を検出するように構成されているPCB(50)。
【請求項11】
前記流量計(1)の1つ以上の対応する締結部材(28)を固定する1つ以上の固定部、特に貫通穴などの固定穴(58)、特に前記センサ(51)の周囲の複数の固定部を備える、請求項10に記載のPCB。
【請求項12】
前記センサ(51)が、一体の構成要素、または前記PCB(50)上に取り付けられる別個の組込み要素である、請求項10または11に記載のPCB。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか一項のPCB(50)に締結されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の流量計(1)。
【請求項14】
前記センサ(51)が前記ケーシング(2、4)に対して離間してまたは非接触に保持されている、請求項13に記載の流量計およびPCB。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項に記載のPCB(50)を備え、および/または、請求項1〜10のいずれか一項に記載の流量計、特に請求項13または14に記載のPCBに締結された流量計に接続される制御ユニット(5)を有する飲料調製マシン。

【図1】
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【公表番号】特表2013−512059(P2013−512059A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541421(P2012−541421)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068293
【国際公開番号】WO2011/067181
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】