説明

飲料供給ノズル

【課題】冷水と炭酸水とを選択的に吐出可能な飲料供給ノズルにおいて、冷水供給停止後の後垂れを防止することができる飲料供給ノズルを提供する。
【解決手段】飲料用の冷水を供給する冷水供給通路66および炭酸水を供給する炭酸水供給通路72が接続した管状体80と、炭酸水の発泡を抑制するために管状体80内部に挿入された抵抗片82とからなり、冷水と炭酸水を管状体80端部の同じ吐出口84から吐出する飲料供給ノズル10において、炭酸水供給通路72を抵抗片82の上流側に連通し、冷水供給通路66を抵抗片82の下流側に連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料ディスペンサやカップ式自動販売機などに備わる飲料供給ノズルに関し、特に、冷水および炭酸水を選択的に吐出可能な飲料供給ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炭酸水と冷水とを選択的に吐出する飲料供給ノズルが知られている(例えば、特許文献1参照)。図7および図8に示すように、特許文献1の飲料供給ノズルは、希釈液接続管26と弾性パイプ27と希釈液ノズル28と圧力減圧部29とからなる。飲用水電磁弁15に接続された飲用水管路12と炭酸水電磁弁16に接続された炭酸水管路13を途中のT字型合流部14で合流させて、その終端部を希釈液接続管26に接続してある。希釈液接続管26は弾性パイプ27に挿入して取り付けてある。
【0003】
弾性パイプ27には10mm程度の隙間Cを設けて希釈液ノズル28が挿入されて取り付けられて圧力減圧部29の上部に緩衝空間Dを形成している。圧力減圧部29は希釈液ノズル28を通過する炭酸水を減圧させてカップ内に供給される炭酸水のガスボリュームの低下を抑える働きをする。圧力減圧部29は12角柱に形成され、その12の角で希釈液ノズル28内壁面に接し、圧力減圧部29の12の平面と希釈液ノズル28内壁面との隙間を飲用水(以下、冷水ということがある。)や炭酸水が通流する。これにより、飲用水管路12および炭酸水管路13から供給される飲用水および炭酸水で弱炭酸飲料を供給することができる。
【0004】
弱炭酸飲料を供給する場合には、飲用水電磁弁15と炭酸水電磁弁16とを交互に開放して飲用水管路12の飲用水と炭酸水管路13の炭酸水とを交互に吐出口30に供給して弱炭酸飲料としている。
【0005】
飲用水と炭酸水とが交互に供給されると、炭酸ガスが溶解している炭酸水が発泡して膨張し、吐出口30から吐出するときに炭酸水が飛び散ることがあるが、吐出口30に接続する弾性パイプ27内部に炭酸水の膨張を吸収する緩衝空間Dを設けているので、炭酸水が発泡して膨張しても緩衝空間Dでこの膨張を吸収することにより、吐出口30から吐出した炭酸水が飛び散ることを防ぐようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−255942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の従来の飲料供給ノズルでは通流後に炭酸水管路13内に炭酸水が残留し、炭酸ガスの気相が生じている。飲用水管路12がT字型合流部14でこの炭酸水管路13に連通していることから、飲用水電磁弁15を全閉して冷水の供給を止めた後において、炭酸水管路13内の炭酸ガスの圧力によって希釈液ノズル28内に留まっていた冷水が吐出口30から垂れ出てしまうことがあった(いわゆる後垂れ)。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、冷水と炭酸水とを選択的に吐出可能な飲料供給ノズルにおいて、冷水供給停止後の後垂れを防止することができる飲料供給ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る飲料供給ノズルは、飲料用の冷水を供給する冷水供給通路および炭酸水を供給する炭酸水供給通路が接続した管状体と、炭酸水の発泡を抑制するために管状体内部に挿入された抵抗片とからなり、冷水と炭酸水を管状体端部の同じ吐出口から吐出する飲料供給ノズルにおいて、炭酸水供給通路を抵抗片の上流側に連通し、冷水供給通路を抵抗片の下流側に連通したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る飲料供給ノズルは、上述した請求項1において、冷水と炭酸水とを同じ吐出口から交互に吐出する場合において、冷水吐出状態から炭酸水吐出状態への切り替えタイミングに微小時間のタイムラグを持たせる制御手段により、吐出口から冷水が飛散する現象を防止するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飲料用の冷水を供給する冷水供給通路および炭酸水を供給する炭酸水供給通路が接続した管状体と、炭酸水の発泡を抑制するために管状体内部に挿入された抵抗片とからなり、冷水と炭酸水を管状体端部の同じ吐出口から吐出する飲料供給ノズルにおいて、炭酸水供給通路を抵抗片の上流側に連通し、冷水供給通路を抵抗片の下流側に連通したので、冷水供給通路からの冷水供給を停止すると冷水供給通路と炭酸水供給通路との連通は抵抗片によって妨げられ、管状体内の冷水は、炭酸ガスによる影響を受けにくくなって管状体内に留まり続ける。したがって、冷水供給停止後の後垂れを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る飲料供給ノズルが適用された回路構成図である。
【図2】図2は、本発明に係る飲料供給ノズルの実施例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る飲料供給ノズルが適用された流路系統図である。
【図4】図4は、同時に切り替える場合のタイミングチャート例を示す図である。
【図5】図5は、切り替え直後の流れのイメージを示す流路系統図である。
【図6】図6は、本発明の制御手段によるタイミングチャート例を示す図である。
【図7】図7は、従来の飲料供給ノズルを示す断面図である。
【図8】図8は、従来の飲料供給ノズルが適用された流路系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る飲料供給ノズルの実施の形態を、カップ式自動販売機に適用される飲料供給ノズルを例にとり図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
[カップ式自動販売機]
まず、カップ式自動販売機に備わる冷水および炭酸水の供給回路50について説明する。図1に示すように、この供給回路50では、給水バルブ52を開成させると水道水がリザーバ54に供給されて貯留され、ポンプ56を駆動させることによって冷水配管58に水が送出されるようにしてある。
【0015】
冷水配管58に送られた水は、冷却水槽60に貯留している水に浸漬された冷却コイル62を通流することにより冷却される。冷却コイル62には、送水バルブ64と冷水供給管66とが接続してあり、送水バルブ64にはカーボネータ68が接続してあり、ポンプ56を駆動した状態で送水バルブ64を開成させるとカーボネータ68に冷水が供給される。
【0016】
カーボネータ68は、冷却水槽60に貯留した水に浸漬してあり、炭酸ガスボンベ70から供給された炭酸ガスが冷水に溶解して炭酸水を生成するものである。また、カーボネータ68には、炭酸水供給管72が接続してある。この炭酸水供給管72にはその途中に炭酸水バルブ74が配設してあり、この炭酸水バルブ74を開成させると、炭酸ガスボンベ70から供給される炭酸ガスの圧力でカーボネータ68から押し出された炭酸水が炭酸水供給管72を介して本発明の飲料供給ノズル10に送られ、ベンドステージ1に載置されたカップ2に注出されることになる。
【0017】
冷水供給管66にはその途中に冷水バルブ76が配設してあり、ポンプ56を駆動させた状態で冷水バルブ76を開成させると、冷水が冷水供給管66を介して本発明の飲料供給ノズル10に送られ、ベンドステージ1に載置されたカップ2に注出されることになる。
【0018】
[飲料供給ノズル]
次に、本発明に係る飲料供給ノズルについて説明する。
図2に示すように、本発明に係る飲料供給ノズル10は、飲料用の冷水を供給する冷水供給管66(冷水供給通路)および炭酸水を供給する炭酸水供給管72(炭酸水供給通路)が接続した管状体80と、炭酸水の発泡を抑制するために管状体80内部に挿入された抵抗片82とからなり、冷水と炭酸水を管状体80端部の同じ吐出口84から吐出するものである。
【0019】
炭酸水供給管72は抵抗片82の上流側に連通し、冷水供給管66は抵抗片82の下流側に連通してある。
【0020】
抵抗片82は、管状体80を通過する炭酸水を減圧させてカップ内に供給される炭酸水のガスボリュームの低下を抑える働きをする。抵抗片82は多角柱に形成され、その角部分で管状体80内壁面に接し、抵抗片82の平面部分と管状体80内壁面との隙間を冷水や炭酸水が通流する。また、抵抗片82の下流側にフィルタ部材としての網86が配設されている。
【0021】
このようにすることで、炭酸水供給管72と冷水供給管66との直接的な連通を抵抗片82によって妨げることができる。このため、図3に示すように、冷水供給管66からの冷水供給を停止すると、管状体80内の冷水は、炭酸水供給管72内の炭酸ガスによる影響を受けにくくなって管状体80内に留まり続ける。したがって、冷水供給停止後の後垂れの発生を防止することができる。
【0022】
[制御手段]
ところで、弱炭酸飲料を生成する場合には、上述のように飲料供給ノズルから冷水と炭酸水とを交互に吐出することにより炭酸水を冷水で希釈して生成する。この場合、本発明の飲料供給ノズル10においては、図4のタイムチャートに示すように、冷水バルブ76をオフ(またはオン)にするタイミングと、炭酸水バルブ74をオン(またはオフ)にするタイミングを同時とする制御を行うことが考えられる。
【0023】
ここで、冷水バルブ76をオフにして冷水吐出を停止した直後には、図5に示すように、管状体80内に冷水が残留している。また、炭酸水供給管72内には炭酸ガスが滞留している。この瞬間に炭酸水バルブ74をオンにして炭酸水吐出に切り替えると、炭酸ガスが溶解している炭酸水は発泡して膨張した状態で管状体80内に入り込む。このとき、同一流量では冷水に比べて炭酸水の方が管状体80内での体積が大きくなることから、先行の冷水に炭酸水の水勢が加わって炭酸水供給管72内の炭酸ガスとともにこの冷水を押し出すことにより、吐出口84から冷水が一瞬飛散して、吐出口84下方のカップ周辺を水浸しにするおそれがある。
【0024】
そこで、冷水吐出の状態から炭酸水吐出の状態への切り替えタイミングに、目視では水流が途切れない程度に微小時間のタイムラグを持たせる制御を行う制御手段を設け、これにより、吐出口84から冷水が飛散する現象を防止するようにする。例えば、図6に示すように、冷水バルブ76をオフにするタイミングと炭酸水バルブ74をオンにするタイミングとの間に微小時間(例えば0.05秒)のタイムラグを持たせるようにする。これにより、膨張して流れ込む炭酸水が先行する冷水に追い付いて衝突するのを回避する。このようにすれば、吐出口84からの後垂れをなくすると同時に、冷水と炭酸水の切り替えもスムーズに行うことができ、吐出口84から冷水が飛散する現象を未然に防止することができる。
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、飲料用の冷水を供給する冷水供給通路および炭酸水を供給する炭酸水供給通路が接続した管状体と、炭酸水の発泡を抑制するために管状体内部に挿入された抵抗片とからなり、冷水と炭酸水を管状体端部の同じ吐出口から吐出する飲料供給ノズルにおいて、炭酸水供給通路を抵抗片の上流側に連通し、冷水供給通路を抵抗片の下流側に連通したので、冷水供給通路からの冷水供給を停止すると冷水供給通路と炭酸水供給通路との連通は抵抗片によって妨げられ、管状体内の冷水は、炭酸ガスによる影響を受けにくくなって管状体内に留まり続ける。したがって、冷水供給停止後の後垂れを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明に係る飲料供給ノズルは、飲料ディスペンサやカップ式自動販売機などに備わる飲料供給ノズルに有用であり、特に、冷水および炭酸水を選択的に吐出可能な飲料供給ノズルに適している。
【符号の説明】
【0027】
10 飲料供給ノズル
66 冷水供給管(冷水供給通路)
72 炭酸水供給管(炭酸水供給通路)
74 炭酸水バルブ
76 冷水バルブ
80 管状体
82 抵抗片
84 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用の冷水を供給する冷水供給通路および炭酸水を供給する炭酸水供給通路が接続した管状体と、炭酸水の発泡を抑制するために管状体内部に挿入された抵抗片とからなり、冷水と炭酸水を管状体端部の同じ吐出口から吐出する飲料供給ノズルにおいて、炭酸水供給通路を抵抗片の上流側に連通し、冷水供給通路を抵抗片の下流側に連通したことを特徴とする飲料供給ノズル。
【請求項2】
冷水と炭酸水とを同じ吐出口から交互に吐出する場合において、冷水吐出状態から炭酸水吐出状態への切り替えタイミングに微小時間のタイムラグを持たせる制御手段により、吐出口から冷水が飛散する現象を防止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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