飲料供給装置及び冷却方法
【課題】停電時においても水槽内の冷却水を攪拌することができる飲料供給装置及び冷却水の攪拌方法を提供する。
【解決手段】冷凍機と、冷却水116が貯留される水槽109と、水槽109に収容されて、蒸発管118と、飲料冷却管117と、冷却水116を流動・攪拌して飲料の冷却を促進する攪拌手段と、一つ又は複数の孔203aを有し、冷却水116が満たされた際の水面下に孔203aが位置するように設置される空気吐出管203と、を備え、外部電源の停電時に、空気吐出管203に外部の手動又は電池作動の空気供給手段201から空気が供給されることで、空気吐出管203の孔203aを介して前記空気を吐出して、水槽109内の冷却水226を流動・攪拌させて氷119の層との伝熱を促進させるように構成されたことを特徴とする。
【解決手段】冷凍機と、冷却水116が貯留される水槽109と、水槽109に収容されて、蒸発管118と、飲料冷却管117と、冷却水116を流動・攪拌して飲料の冷却を促進する攪拌手段と、一つ又は複数の孔203aを有し、冷却水116が満たされた際の水面下に孔203aが位置するように設置される空気吐出管203と、を備え、外部電源の停電時に、空気吐出管203に外部の手動又は電池作動の空気供給手段201から空気が供給されることで、空気吐出管203の孔203aを介して前記空気を吐出して、水槽109内の冷却水226を流動・攪拌させて氷119の層との伝熱を促進させるように構成されたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置及び冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
瞬冷式の飲料供給装置100は、例えば、図7(a)に示す構成を備えている。すなわち、高圧のガス(炭酸ガス)が充填されたガスボンベ101から、圧力調整装置102を介して所定圧力に調整されたガスが、ガス供給ホース103を介して飲料容器104に供給される。飲料容器104内には所定量の飲料が貯留されており、飲料容器104に所定圧力の前記ガスが供給されることにより、飲料が飲料容器104に接続された飲料ホース105内を通流する。
【0003】
また、蓋106によって外部から遮断された外装107に設けられた切り欠き122b(図1参照)から、飲料ホース105が接続部材105aを介して飲料冷却管117(図7(b)参照)に接続されている。外装107内には、断熱材108が施され、上部が開口した水槽109が設けられている。また、水槽109の下部には、当該水槽109と隔壁して設置されたコンプレッサ110と、冷却ファン111と、凝縮器112と、が設けられ、後記する蒸発管118(図7(b)参照)とともに周知の冷凍サイクルを構成している。また、水槽109の上面部には、後記する攪拌モータ113が設置されている(図7(b)参照)。その他、外装107には、熱交換器である飲料冷却管117と連通し、飲料を供給するためのコック114や、コップ(図示せず)に飲料を供給する際に溢れた飲料を受けるためのドレン皿115などが設置されている。
【0004】
また、図7(b)に示すように、断熱材108が施された水槽109内には、所定の高さまで冷却水116が貯留されている。そして、前記した飲料冷却管117が螺旋状に巻回されて、冷却水116に浸漬した状態で水槽109内に収容されている。また、飲料冷却管117を取り巻くように、飲料冷却管よりもサイズの大きな螺旋形状の熱交換器である蒸発管118が、冷却水116に浸漬した状態で水槽109内に収容されている。なお、飲料冷却管117は蒸発管118の内側に内装されている。通電時に前記冷凍サイクルが稼動すると、蒸発管118内を低温の冷媒が通流することによって、当該蒸発管118の外表面に氷119の層が形成される。
【0005】
また、水槽9に貯留された冷却水116の水面より上側に位置するように、攪拌モータ113が設置されている。また、攪拌モータ113にはモータ軸120が接続され、モータ軸120の先端部分に攪拌羽根121が設けられている。そして、通電時に攪拌モータ113が回転すると、当該回転に伴って攪拌羽根121も回転する。これによって、水槽109に貯留された冷却水116を攪拌し、水槽109内における冷却水116の温度分布が均一化される。これによって、水槽109内に収容された飲料冷却管117内を通流する飲料が適度に冷却され、冷却された当該飲料をコック114(図7(a)参照)から供給するようになっている。
【0006】
ところで、前記のような構成を備える瞬冷式の飲料供給装置について、水槽109内に貯留された冷却水116をより適温に冷却するため、つまり、飲料を適切に冷却するため、種々の改良がなされてきた。
例えば、特許文献1には、飲料冷却管の内側に配置されて水槽内の底部に対して垂直状の冷却水の流れを発生させる攪拌手段と、飲料冷却管の内側の冷却水の流れを該飲料冷却管の下端面近傍から水槽の底面近傍まで案内する整流部材を備えた飲料供給装置について記載されている。特許文献1に記載の飲料供給装置によれば、前記整流部材を設けることによって、下向きに送り出された冷却水が水槽の底面まで流れて、冷却水の循環効率及び冷却効率の向上を図ることができる。
【0007】
また、特許文献2には、水槽内に貯留された冷却水を吸い込んで、該水槽内に噴射する循環ポンプと、前記水槽の上方に開設されて水槽内への氷投入を可能にする氷投入口とを備える飲料ディスペンサについて記載されている。特許文献2に記載の飲料ディスペンサによれば、水槽に投入した氷が攪拌羽根に接触することによる当該攪拌羽根の損傷を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−042630号公報
【特許文献2】特開2008−207877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、通電時には攪拌手段が冷却水を攪拌することによって水槽内の冷却水の温度分布を均一化できるが、停電時には攪拌手段を駆動させるモータの回転が止まるため、冷却水を攪拌することができなくなる。この場合には、水槽内の冷却水の温度分布に偏りが生じて、飲料冷却管内を通流する飲料を適切に冷却することができなくなるという問題がある。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術では、通電時には循環ポンプが冷却水を循環させることによって水槽内の冷却水の温度分布を均一化できるが、停電時には循環ポンプを駆動させるモータの回転が止まるため、冷却水を循環させることができなくなる。
なお、特許文献2に記載の技術では水槽内に氷を投入するが、循環ポンプが駆動しない場合には、氷によって冷やされた低温の水は水槽内下部に滞留する。この場合、水槽内上部の冷却水温度は前記水槽内下部の冷却水温度に比べて相対的に高くなり、水槽内の冷却水の温度分布に偏りが生じて、飲料冷却管内を通流する飲料を適切に冷却することができなくなるという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、停電時においても飲料を適切に冷却することができる飲料供給装置及び冷却方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明に係る飲料供給装置は、外部電源により作動して、冷媒を冷却する冷凍機と、冷却水が貯留される水槽と、前記水槽に収容されて、前記冷媒が内部を通流することによって、自身の外表面に前記冷却水を氷結させて氷の層を形成する蒸発管と、前記水槽に収容されて、冷却の対象である飲料が内部を通流する飲料冷却管と、外部電源により作動して、前記水槽内の冷却水を流動・攪拌して前記飲料の冷却を促進する攪拌手段と、一つ又は複数の孔を有し、前記冷却水が満たされた際の水面下に前記孔が位置するように設置される空気吐出管と、を備え、前記外部電源の停電時に、前記空気吐出管に外部の手動又は電池作動の空気供給手段から空気が供給されることで、前記空気吐出管の前記孔を介して前記空気を吐出して、前記水槽内の前記冷却水を流動・攪拌させて前記氷の層との伝熱を促進させるように構成されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る飲料の冷却方法は、水槽と、外部電源により作動する冷凍機と、外部電源により作動して前記水槽内の冷却水を攪拌する攪拌手段と、を備え、前記冷凍機により氷結された前記水槽内の氷が有する冷熱により、外部から供給される飲料を前記水槽内にて瞬冷する瞬冷式の飲料供給装置における飲料の冷却方法であって、前記外部電源が停電した際に、手動又は電池により作動するポンプにより、外部から前記水槽内に空気を供給することで前記水槽内の冷却水を流動・攪拌させて、前記氷が有する冷熱により前記飲料の冷却を促進することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、停電時においても飲料を適切に冷却することができる飲料供給装置及び冷却方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置で用いられる空気吐出ホースを説明するための図であり、(a)は、空気吐出ホースの環状部を示す図であり、(b)は、飲料冷却管を水槽から取り出して、底面から見た場合の斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。
【図6】(a)は、本発明の第5実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図であり、(b)は、電動ポンプの外観図であり、(c)は、電動ポンプの裏蓋を開けて裏側から見た内部構造図である。
【図7】(a)は、従来の飲料供給装置の概略構成図であり、(b)は、当該飲料供給装置の水槽の断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置を用いた実験結果を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置を用いた実験結果を示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置を用いた場合において、エア出口を角パイプ部とした場合の実験結果を示す図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る飲料供給装置を用いた実験結果を示す図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る飲料供給装置を用いた実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0017】
≪第1実施形態≫
<飲料供給装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。
図1に示す水槽109の下部122内には、当該水槽109と隔壁されて、コンプレッサ110(図示せず:図7(a)参照)と、冷却ファン111(図示せず:図7(a)参照)と、凝縮器112(図示せず:図7(a)参照)と、が設置されている。なお、前記各機器については説明を省略するため、図1では、水槽109に対する下部122の寸法は実際よりも小さく描いている。
【0018】
また、図1では、攪拌モータ113(図7(b)参照)、モータ軸120(図7(b)参照)、攪拌羽根121(図7(b)参照)の記載を省略しているが、実際には前記で説明したように、例えば、図7(b)に示す態様で前記各部材が設置されている。
また、図1では、コック114(図7(a)参照)、ドレン皿(図7(a)参照)、螺旋状に巻回された飲料冷却管117のうちコック114と接続されている箇所の記載が省略されているが、実際には前記で説明したように、例えば、図7(a)に示す態様で前記各部材が設置されている。
これらは、後記の説明で用いられる図2、図4、図5、図6についても同様である。
【0019】
飲料供給装置1は、通電時には図7(a),(b)を用いて説明した仕組みにより、適度に冷却された飲料を供給するものである。すなわち、コンプレッサ110、冷却ファン112、及び凝縮器113が、外部からの電源により作動することで「冷凍機」として機能する。また、外部からの電源により回転する攪拌モータ113と、当該攪拌モータ113と接続されたモータ軸120と、当該モータ軸120に接続されて回転する攪拌羽根121とが、「攪拌手段」として機能する。
ところが、停電時には飲料供給装置1に電力が供給されないため、攪拌モータ113が回転しなくなる。このような事態を想定し、飲料供給装置1は停電時に、後記する空気ポンプ201を空気吐出ホース203と接続して冷却水116に所定圧力の空気を吐出(バブリング)し、冷却水116を攪拌するものである。
【0020】
また、停電時には、攪拌モータ113の回転に加えて、前記冷凍サイクルも停止する。しかしながら、例えば、4時間程度の計画的な停電、又は不意の停電を想定した場合、次のような実験結果が得られた。すなわち、外気温が20℃の場合、停電が4時間継続した時点での氷119の量(質量)は、停電開始時の氷119の量に対して、約8割程度の量となった。また、外気温が40℃の場合、停電が4時間継続した時点での氷119の量(質量)は、停電開始時の氷119の量に対して、約6割程度となった。前記各氷119の量(通電時の約8割程度又は約6割程度)は、飲料を冷やす上では許容される範囲の量と考えられる。なお、前記の実験では、停電時においては飲料の供給を行っていない。
ちなみに、停電時であっても、ガスボンベ(図8参照)からガス供給ホース103(図8参照)を介して供給されるガスの圧力によって、飲料容器104(図8参照)内に貯留されている飲料が押圧され、飲料ホース105及び飲料冷却管117を介して飲料が供給される。
【0021】
飲料供給装置1は、例えば、図7(a)に示す飲料供給装置100に、さらに、空気ポンプ201と、載置器具202と、空気吐出ホース203と、位置決め器具204a,204bと、を加えた構成となっている。なお、空気ポンプ201は、特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」に対応するものであり、例えば、自転車用、浮き輪、ボールなどの空気入れとして用いられるものである。また、空気吐出ホース203は、特許請求の範囲に記載の「空気吐出管」に対応する。
なお、特許請求の範囲に記載における「手動」は、足踏み式などの人力作動を含む意味であり、手動のみに限定するものではない。
【0022】
空気ポンプ201は、図1に示すように、例えば、使用時(停電時)には載置器具202上に置かれる。ちなみに、空気ポンプ201は、空気吐出ホース203との接続部(図示せず)を緩めることにより、空気吐出ホース203と分離することができる。したがって、空気ポンプ201を使用しない時間帯(通電時)には、空気吐出ホース203と分離して、空気ポンプ201を所定の場所に保管することとしてもよい。
【0023】
図1に示すように、2個の載置器具202が外装107に設置されている。載置器具202は、例えば、外装107に取り付ける際に当該外装107と接触する部分に磁石を備えることにより、金属部材でできた外装107の所定位置に設置することができる。また、載置器具202は、空気ポンプ201を載置するためのU字状の載置部を備えている。なお、載置器具202のうち、外装107に取り付ける際に当該外装107と接触する部分を吸盤状としてもよい。
【0024】
また、空気ポンプ201が、水槽109内に貯留された冷却水116の水面よりも高い位置に載置されるように、載置器具202を外装107に設置する。これは、サイフォン現象によって、水槽109内の冷却水116が空気吐出ホース203内を通流して空気ポンプ201側に逆流することを防ぐためである。
ちなみに、サイフォン現象とは、管(ホース)の中を水で満たしてその一端を水槽内の水中に位置するように設置し、他端を前記水槽の水面よりも低い位置となるようにした場合に、管の各端部にかかる圧力差によって、前記一端から前記他端に向けて管内を水が流れる現象をいう。
【0025】
空気吐出ホース203は、樹脂部材でできた可撓性のホースであり、一端が空気ポンプ201の接続部(図示せず)に接続されている。また、空気吐出ホース203の他端は開口部203aとなっている。そして、前記接続部を介して空気ポンプ201から供給された空気は、空気吐出ホース203内を通流して、開口部203aから吐出される。また、空気吐出ホース203は、外装107の上端部に設けられた切り欠き部122aから水槽109内に導かれ、さらに螺旋状に巻回された飲料冷却管117の内側に沿うように配置されている。
【0026】
このように、空気吐出ホース203を飲料冷却管117の内側に沿うように配置するのは、飲料冷却管117によって形成される螺旋の中心軸上に位置するモータ軸120(図7(b)参照)、及び、攪拌羽根121(図7(b)参照)に、空気吐出ホース203が接触しないようにするためである。また、空気吐出ホース203を飲料冷却管117の内側に沿うように配置することによって、氷119の範囲(厚さ)が拡大した場合でも、前記氷119により空気吐出ホース203が閉塞されることがない。
なお、外装107において切り欠き部122aと対向する位置にも、切り欠き部122bが形成されている。飲料が通流する樹脂性の飲料ホース105は切り欠き部122b
によって形成された隙間を通り、接続部材105aによって金属性の飲料冷却管117に接続されている。
【0027】
また、空気吐出ホース203の開口部203aは、水槽109の底面から所定の高さに位置するように配置される。また、前記開口部203は、水槽109の底面に近いほうが、冷却水116全体の攪拌に貢献するので好ましい。
一般的に、水槽109内に貯留されている冷却水116を攪拌しない場合には、比較的低温の冷却水116は水槽109の底面付近に滞留する。前記したように、空気吐出ホース203の開口部203aを水槽109の底面付近に配置し、当該開口部203aから空気を吐出することによって、水槽109内の底面付近に滞留している比較的低温の冷却水116を水面側に上昇させ、水槽109内における冷却水116の温度分布を均一化することができる。
【0028】
位置決め器具204a,204bは、可撓性の空気吐出ホース203の一部を飲料冷却管117に固定するためのものである。位置決め器具204a,204bは、リング部と、当該リング部と一体に形成され、リング部の両端にそれぞれ形成されるC字状部と、を備える。そして、前記リング部に空気吐出ホース203を貫通させ、さらに前記C字状部が飲料冷却管117を握持するように位置決め器具204a,204bを設置する。例えば、図1に示すように、位置決め器具204a,204bを、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の上端部と下端部にそれぞれ設置することによって、空気吐出ホース203を前記した配置に位置決めすることができる。
ちなみに、位置決め器具として、市販の結束バンドを用いてもよい。
【0029】
なお、空気吐出ホース203及び位置決め器具204a,204bは、予め、図1に示すように設置され、切り欠き部122aから空気吐出ホース203の一端(空気ポンプ201に接続される側の端部)が出るように固定部材(図示せず)で空気吐出ホース203を切り欠き部122aに固定しておく。この場合、ユーザは停電時において、載置器具202を外装107に設置し、空気吐出ホース203の前記端部を空気ポンプ201の接続部(図示せず)に接続し、さらに、空気ポンプ201を載置器具202上に置くことにより、図1に示す状態とすることができる。
【0030】
<冷却水の攪拌>
停電時には、前記した手順で空気ポンプ201などを設置し、ユーザは空気ポンプ201のハンドルを握って押し引きする。そうすると、所定圧力の空気が空気ポンプ201から供給されて空気吐出ホース203内を通流し、開口部203aから冷却水116の中で吐出される。そして、開口部203aから吐出される前記空気(気泡)によって、図1に示すような水流が発生し、冷却水116が攪拌される。
【0031】
<効果>
本実施形態に係る空気冷却装置1によれば、停電時においても、空気ポンプ201及び空気吐出ホース203を用いて、冷却水116の中で所定圧力の空気を吐出することにより、水漕109の冷却水116を攪拌することができる。冷却氷116が攪拌されると、氷119によって冷やされて水槽109の底面付近に滞留している冷却水116が水面に向かって上昇する。したがって、水槽109内の冷却水116を攪拌して、その温度分布を均一化することにより、飲料を適切に冷やすことができる。
【0032】
また、前記したように、空気ポンプ201の不使用時(通電時)には、空気吐出ホース203のうち空気ポンプ201と接続される側の端部が切り欠き部122aから出された状態となっている。そして、空気ポンプ201の使用時(停電時)には、載置器具202及び空気ポンプ201を前記した方法で設置し、停電の事態に速やかに対応することができる。
【0033】
また、空気吐出ホース203は、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の内側に沿うように配置される。したがって、通電時において攪拌モータ113(図7(b)参照)が駆動した場合であっても、空気吐出ホース203が当該攪拌モータ113に接続されたモータ軸120(図7(b)参照)、及び、攪拌羽根121(図7(b)参照)に接触することがなく、前記各部材の損傷を防止することができる。また、空気吐出ホース203を前記のように配置することによって、氷119の範囲(厚さ)が拡大した場合でも、前記氷119により空気吐出ホース203が閉塞されることを防止することができる。
【0034】
また、空気吐出ホース203の開口部203aは、水槽109の底面に近い位置に配置される。当該開口部203aから空気を吐出することによって、水槽109内の底面付近に滞留している比較的低温の冷却水106を水面側に上昇させ、冷却水116の温度分布を均一化することができる。したがって、飲料冷却管117内を通流する飲料を適度に冷やすことができ、停電時においても通電時と同様に飲料の提供を継続することができる。
【0035】
また、空気ポンプ201は、ユーザがハンドルを握ってピストン(図示せず)を押すことによって圧縮された空気が、接続部(図示せず)を介して空気吐出ホース203内を通流し、開口部203aから吐出される構成となっている。このように空気ポンプ201は、簡単な構成であるとともに、ユーザが容易に操作することができるようになっている。また、空気ポンプ201は簡単な構成であることから、低いコストで飲料供給装置1を製造することができる。また、空気ポンプ201はユーザが直接的に力を加えることによって所定圧力の空気を吐出するので、電力供給の有無に左右されることがない。
【0036】
≪第2実施形態≫
<飲料供給装置の構成>
図2は、本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。第2実施形態は、第1実施形態と比較して空気吐出ホース203Aの形状及び配置が異なるが、その他の部分は第1実施形態と同様の構成となっている。したがって、当該異なる部分について説明し、第1実施形態と重複する部分については説明を省略する。
【0037】
図2に示すように、空気吐出ホース203Aの一端は、空気ポンプ201の接続部(図示せず)に接続され、他端は環状のホースに複数の孔が設けられた構成となっている。当該空気吐出ホース203Aが、特許請求の範囲に記載の「空気吐出管」に対応する。
すなわち、図3(a)に示すように、空気吐出ホース203Aは、筒状部203A1と、環状部203A2と、接続器具203A3と、を備えている。筒状部203A1は、図1で示した空気吐出ホース203と同様の形状を有する樹脂部材でできた可撓性のホースである。環状部203A2は、樹脂部材でできた可撓性のホースが筒状に形成され、その両端が接続器具203A3に接続されている。接続器具203A3は、筒状部201A1の開口部(図示せず)と、環状部203A2の両端の開口部(図示せず)とを連通させるとともに、外部に空気が漏れない構成となっている。
【0038】
つまり、空気吐出ホース203Aは、冷却水116の水面下に位置する側の端部が二股に分岐し、かつ、環状に接続されることによって形成される環状部203A2を備えている。
また、当該環状部203A2には、図3(a)に示すように、5個の孔203A4が等間隔で設けられている。円形の孔203A4の直径は、空気吐出ホースの設計時に適宜設定することができるが、本実施形態では2mmとする。
【0039】
図3(b)は、飲料冷却管117を水槽109から取り出して、底面から見た場合の斜視図である。図3(b)に示すように、飲料冷却管117は、脚部117aを介して底部117bに接続されている。なお、底部117bは水槽109(図2参照)の底面と接触し、飲料冷却管117を支えるようになっている。
また、図3(b)に示すように、空気吐出ホース203Aの筒状部203A1と、接続器具203A3とが、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の内側に沿うように、位置決め器具204によって位置決めされる。そして、環状部203A2は、円環状の底部117bの上面(冷却水116の水面側)に配置される。
【0040】
なお、環状部203A2に設けられた複数の孔203A4は、空気吐出ホース203が設置された状態で、図2に示すように、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の螺旋の中心軸から、径方向に所定角度θ(図示せず)を有するように形成されている。
前記所定角度θは、空気吐出ホース203Aの設計時に適宜設定することができる。例えば、所定角度θが0°(つまり、孔203A4が真上を向く。)となるように孔203A4を設けてもよいし、所定角度θを45°となるように孔203A4を設けてもよい。ちなみに、本実施形態では、孔203Aが5個設けられる場合を示したが、これに限らない。すなわち、孔203Aの数は4個以下でもよいし、6個以上でもよい。
【0041】
<冷却水の攪拌>
所定時間(例えば、4時間)の停電が起こった場合、手動式又は足踏み式の空気ポンプ201を用いて空気吐出ホース203Aに対して所定圧力の空気を供給する。空気吐出ホース203A内に所定圧力の空気が供給されると、当該空気は筒状部203A1(図3(a)参照)から二股に分かれて環状部203A2に流入し、それぞれの孔203A4から吐出される。これによって、図2に示すような水流が発生し、冷却水116が攪拌される。
【0042】
<効果>
本実施形態に係る飲料供給装置1Aによれば、空気吐出ホース203Aの筒状部203A1が飲料冷却管117の内側に沿うように位置決め器具204で位置決めしても、空気が吐出されるそれぞれの孔203A4と、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の中心軸との距離は略等しくなる。また、それぞれの孔203A4は、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の中心軸から径方向に所定角度θ(例えば、45°)を有するように形成されている。さらに、隣り合う孔203A4間が略等間隔となるように孔203A4が設けられている。
【0043】
したがって、空気ポンプ201から所定圧力の空気が空気吐出ホース203内に供給された場合、等間隔に設けられた複数の孔203A4から前記角度θ方向に空気(気泡)が吐出されることとなる。これによって、水槽109内における冷却水116の流動方向が、前記中心軸を中心として軸対称となるため、冷却水116をより効率的に攪拌することができる。すなわち、冷却水116の温度分布をより均一化し、飲料を適切に冷やすことができる。
【0044】
≪第3実施形態≫
図4は、本発明の第3実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。第1実施形態及び第2実施形態と比較して、第3実施形態では、圧縮ポンプ301が、特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」に対応し、空気吐出パイプ301eが、特許請求の範囲に記載の「空気吐出管」に対応する点が異なる。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、蓋106(図1、図2参照)を外装107(図1、図2参照)に嵌めた状態で冷却水116をバブリングするものであったが、第3実施形態では、蓋106(図4では、図示せず)を外装107から取り外した状態で、冷却水116をバブリングする点が異なる。
なお、前記以外の点では、第3実施形態に係る飲料供給装置1Bは、第1実施形態及び第2実施形態に係る飲料供給装置1,1Aと同様の構成である。したがって、前記異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0045】
圧縮ポンプ301は、例えば、灯油ポンプとして用いられるものである。図4に示すように、圧縮ポンプ301は、伸縮部301aと、空気室301bと、空気吸引パイプ301cと、逆止弁301dと、空気吐出パイプ301eと、逆止弁301fと、キャップ301gと、を備える。
伸縮部301aは伸縮可能な弾性部材でできており、中空構造となっている。また、伸縮部301aは、ユーザが当該伸縮部301aを握る力によって圧縮され、ユーザが伸縮部301aを握る力を緩めるに従って元の形状に戻るようになっている。空気室301bは伸縮部301aと連通しており、後記する空気吸引パイプ301cから吸引された空気を一時的に貯留する。ちなみに、伸縮部301aが圧縮された状態から元に戻った場合、空気室301b内の気圧は、大気圧に対して負圧となる。
【0046】
空気吸引パイプ301cは、空気室301bに接続されており、空気吸引パイプ301cと空気室301bとの間には逆止弁301dが介在している。前記のように、空気室301b内の気圧が大気圧に対して負圧となった場合には、逆止弁301dが図4に示す矢印の方向に開いて、空気吸引パイプ301c内を空気が通流し、当該空気は空気室301bに一時的に貯留される。すなわち、逆止弁301dは、空気吸引パイプ301c内から空気室301b内に向かう空気の通流を許容するとともに、前記とは逆方向に向かう空気の通流を遮断するためのものである。
【0047】
空気吐出パイプ301eは、空気室301bに接続されている。すなわち、「空気供給手段」である圧縮ポンプ301と、「空気吐出管」である空気吐出パイプ301eとが一体となっている。
また、空気吐出パイプ301eと空気室301bとの間には逆止弁301fが介在している。前記のように、空気室301b内に空気が一時的に貯留された状態から伸縮部301aが圧縮されると、逆止弁301fが図4に示す矢印の方向に開いて、空気吐出パイプ301e内を空気が通流し、開口部301hから冷却水116の中で空気が吐出される。すなわち、逆止弁301fは、空気室301b内から空気吐出パイプ301eに向かう空気の通流を許容するとともに、前記とは逆方向に向かう空気の通流を遮断するためのものである。
【0048】
キャップ301gは、内壁に雌ネジ部(図示せず)を有し、伸縮部301aの上部に設けられた雄ネジ部(図示せず)と螺合している。キャップ301gは、圧縮ポンプ301の使用時には締められた状態であり、圧縮ポンプ301の使用を止めて開口部301hを冷却水116の水面から引き上げる際に、ユーザにより緩められる。キャップ301gを緩めると、伸縮部301a及び空気室301b内の気圧が大気圧に等しくなる。このとき、空気吐出パイプ301e内に冷却水がある場合には、自重で前記冷却水は水槽109内に戻される。
【0049】
また、図4では図示が省略されているが、蓋106を開けた状態では、攪拌モータ113(図7(b)参照)、モータ軸120、攪拌羽根121が設置されている。したがって、図4に示す圧縮ポンプ301を水槽109内に入れる際には、空気吐出パイプ301eが攪拌羽根121などに接触しないようにする。
なお、空気吐出パイプ301eの角度や、開口部301hと水槽109底面との距離などは、ユーザが手動で調整する。
【0050】
<効果>
本実施形態に係る飲料供給装置1Bによれば、第1実施形態及び第2実施形態のように、空気吐出ホース203(203A)を飲料冷却管117に設置する必要がない。すなわち、本実施形態では、蓋106を取り外して空気吐出パイプ301eを図4に示すように配置し、手動で伸縮部301aを操作することによって冷却水116内で空気(気泡)を吐出させることができる。すなわち、ユーザは停電になった場合に前記手順により速やかに水槽109内の冷却水116を攪拌することができ、適度に冷やされた飲料の供給を継続することができる。
また、圧縮ポンプ301は、簡単な構成でありとともに、容易に操作することができる。さらに、圧縮ポンプ301は、ユーザが直接的に力を加えることによって所定圧力の空気を吐出することができ、電力供給の有無に左右されることがない。
【0051】
≪第4実施形態≫
<飲料供給装置の構成>
図5は、本発明の第4実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。第4実施形態では、第1実施形態と比較して、圧縮ポンプ301Cが特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」に対応し、空気吐出パイプ301e及び空気吐出ホース203が、特許請求の範囲に記載の「空気吐出管」に対応する点が異なる。前記以外の点では、第4実施形態に係る飲料供給装置1Cは、第1実施形態に係る飲料供給装置1と同様の構成となっている。したがって、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
また、第4実施形態で用いられる圧縮ポンプ301Cの構成は、第3実施形態で説明した圧縮ポンプ301と同様の構成となっている。したがって、圧縮ポンプ301Cについての説明も省略する。
【0052】
図5に示すように、圧縮ポンプ301Cの空気吐出パイプ301eは、空気が当該空気吐出パイプ301e内を流れる方向に次第に径小になっていくテーパ部301iと、当該テーパ部301iの端部と空気吐出ホース203とを接続する接続部301jと、を備えている。ちなみに、圧縮ポンプ301Cの接続部301jと、空気吐出ホース203とは、例えば、螺合することにより接続されており、圧縮ポンプ301Cを空気吐出ホース203から分離することができるようになっている。
また、空気吐出ホース203は、外装107の上端部に設けられた切り欠き部122aから水槽109内に導かれ、さらに螺旋状に巻回された飲料冷却管117の内側に沿うように配置されている。また、空気吐出ホース203は、その開口部201aが水槽109の底面から所定の高さに位置して配置されるように、位置決め器具204a,204bによって位置決めされる。
【0053】
なお、停電時に圧縮ポンプ301Cを使用する際には、圧縮ポンプ301Cが、水槽109内に貯留された冷却水116の水面よりも高い位置に載置されるようにする。これは、前記したように、サイフォン現象によって水槽109内の冷却水116が空気吐出ホース203内を通流して圧縮ポンプ301C側に逆流することを防ぐためである。
圧縮ポンプ301の圧縮部301aを手動により圧縮すると、所定圧力の空気が冷却水116の中で吐出され、当該冷却水116が攪拌される。
【0054】
<効果>
本実施形態に係る飲料供給装置1Cによれば、圧縮ポンプ301Cの不使用時(通電時)には、空気吐出ホース203のうち圧縮ポンプ301Cと接続される側の端部が切り欠き部122aから出され、図示しない固定部材によって固定された状態となっている。そして空気ポンプ201の使用時(停電時)には、圧縮ポンプ301Cの接続部301jと空気吐出ホース203とを接続し、停電の事態に速やかに対応することができる。
また、圧縮ポンプ301は、ユーザが直接的に力を加えることによって所定圧力の空気を吐出することができ、電力供給の有無に左右されることがない。
【0055】
≪第5実施形態≫
図6(a)は、本発明の第5実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。第5実施形態では、電動ポンプ401が特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」に対応し、接続ホース403が、特許請求の範囲に記載の「空気吐出管」に対応する。また、第5実施形態では、接続ホース403に吐出パイプ404が接続され、接続ホース403を介して供給された空気が吐出パイプ404内を通流するのに伴って、冷却水116を吸引・吐出するようになっている。
【0056】
図6(a)に示すように、外装107には電動ポンプ401が設置されている。電動ポンプ401は、例えば、電池作動式の鑑賞魚用の空気ポンプとして用いられるものである。
また、電動ポンプ401は、電池401h(図6(c)参照)から供給される電力によって回転するモータ401e(図6(c)参照)により、所定圧力の空気を供給することができるようになっている。また、電動ポンプ401は、例えば、当該電動ポンプ401の裏面に外装107に設けられた係合部(図示せず)と対応する係合部(図示せず)を形成し、それらを係合させることによって外装107に設置する。
なお、電動ポンプ401の裏面に吸盤(図示せず)を設置して外装107に設置することとしてもよい。
【0057】
可撓性の接続ホース403の一端は、電動ポンプ401の接続部材401d(図6(b)参照)の端部である空気供給口(図示せず)に接続されている。また、接続ホース403の他端は吐出パイプ404の接続部404aと接続されている。
吐出パイプ404は、接続部404aと、継ぎ手部404bと、パイプ部404cと、筒状部404dと、角パイプ部404eと、を備える。また、接続部404aは継ぎ手部404dに接続されており、継ぎ手部404d内には接続部404aと筒状部404dとを連通させているベンチュリ管(図示せず)が形成されている。また、パイプ部404cは、継ぎ手部404b内の前記ベンチュリ管のうち、内径が小さくなっている絞り部(図示せず)に連通している。これによって、接続ホース403を介して供給された空気が、継ぎ手部404b内の前記ベンチュリ管を通流する際に、当該ベンチュリ管の絞り部から通流方向に内径が広がる部分において負圧が発生するようになっている。
また、筒状部404dは角パイプ部404eに接続されている。
【0058】
吐出パイプ404は、位置決め器具405により、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の外周面に筒状部404dが沿うように設置され、かつ、筒状部404dが冷却水116の水面と略垂直となるように位置決めされている。また、図6(a)に示すように、角パイプ部404eの曲がり部分は、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の上部に引っ掛けるようにして設置される。さらに、吐出パイプ404は、角パイプ部404eの開口部が、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の内側に向くように設置されている。
【0059】
図6(b)は、電動ポンプの外観図である。電動ポンプ401の表側(外装107に電動ポンプ401を設置した場合の外側)の本体ケース401aには、空気吸入口401bが設けられている。また、スイッチ401cと、接続部材401dとが外部に露出するようになっている。
図6(c)は、電動ポンプの裏蓋(図示せず)を開けて裏側から見た内部構造図である。電動ポンプ401の内部には、モータ401eと、エアポンプ401fと、接続部材401dと、電池ホルダ401gと、が配置されている。また、電池ホルダ401gには、予め電池401hが設置されている。
【0060】
電動ポンプ401のスイッチ401cをONにすると、電池ホルダ401gからスイッチ401cを介してモータ401eに至る通電回路が形成され、モータ401eに電力が供給される。そうすると、モータ401eが回転駆動し、当該モータ401eの回転に従ってエアポンプ401f内の羽根車(図示せず)も回転する。当該羽根車の回転により、空気吸気口401bから空気が吸入されるとともに、筒状の接続部材401dの開口部404から所定圧力の空気が吐出される。
【0061】
電動ポンプ401のスイッチ401cをONにすると、接続部材401dの空気供給口(図示せず)を介して所定圧力の空気が接続ホース403に供給される。そして、接続ホース403からの空気は、接続部404aを介して継ぎ手部404b内の前記ベンチュリ管(図示せず)に入り、さらに筒状部404dを介して角パイプ部404eの開口部から吐出される。ここで、前記したように、空気が継ぎ手部404b内のベンチュリ管を通流する際に負圧が発生するため、パイプ部404cの開口部から冷却水が前記ベンチュリ管側に吸引される。そして、吸引された前記空気は筒状部404dを介して角パイプ部404eの開口部から、冷却水116の水面より上方で吐出される。
【0062】
つまり、水槽109内の冷却水116は、接続ホース403を介して電動ポンプ401から供給された空気とともに、吐出パイプ404の筒状部404dを介して角パイプ部404eから吐出される。
なお、本実施形態では、吐出パイプ404の継ぎ手部404b内にベンチュリ管(図示せず)を備える構成としたが、これに限らない。すなわち、接続ホース403を介して電動ポンプ401から供給された空気が、吐出パイプ404内を通流する際に負圧を発生させることによって冷却水116を吸引するものであればよい。
【0063】
<効果>
本実施形態に係る飲料供給装置1Dによれば、停電時に、電動ポンプ401のスイッチ401c(図6(b)参照)をOFFからONに切り替えれば、所定圧力の空気が自動的に接続ホース403を介して吐出パイプ404に供給される。つまり、ユーザが手動でポンプを圧縮することによって冷却水116内に空気を吐出する必要がなくなるため、ユーザの負担が大きく軽減される。
また、電動ポンプ401はコンパクトであり、外装107の側面に容易に取り付けることができる。
【0064】
また、接続ホース403を介して電動ポンプ401から供給された空気が、継ぎ手部404b内のベンチュリ管(図示せず)内を通流する際に発生する負圧によって、パイプ部404cの開口部から冷却水116が吸引される。そして、当該冷却水116は、筒状部404dを介して角パイプ部404eから、空気とともに吐出される。
また、角パイプ部404eの開口部から吐出された冷却水116は、図6(a)の矢印で示すように、螺旋状に巻回された飲料冷却管117に囲まれる領域に向かい、水槽109内の冷却水116に戻される。このようにして、水槽109内で冷却水116が循環することによって、水槽109内の冷却水116を効率的に流動させ、攪拌することができる。その結果、水槽109内の底面付近に滞留している比較的低温の冷却水106を水面側に上昇させ、冷却水116の温度分布を均一化し、飲料冷却管117内を通流する飲料を効率的に冷却することができる。
【0065】
≪変形例≫
以上、本発明に係る飲料冷却装置について各実施形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、前記した第1実施形態〜第5実施形態では、攪拌モータ113(図7(b)参照)と、モータ軸120(図7(b)参照)と、攪拌羽根121(図7(b)参照)とが外装107に装着された状態で、空気吐出ホース203を飲料冷却管117に装着し、冷却水116をバブリングすることとしていたが、これに限らない。すなわち、前記した攪拌モータ113などの部材を飲料冷却装置117と一体に、又は、飲料冷却装置117とは別個に取り外し可能な構成としてもよい。
この場合には、第1実施形態(図1参照)、第4実施形態(図5参照)で、飲料冷却管117に沿うように設置されていた飲料吐出ホース203を、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の中心軸と略一致するように設置すればよい。
これによって、水槽109内における冷却水116の流動方向が、前記中心軸を中心線として軸対称となるため、冷却水116をより効率的に攪拌することができる。
【0066】
また、第1実施形態〜第5実施形態では、「空気供給手段」として、空気ポンプ201(図1、図2参照)を用いる場合と、圧縮ポンプ301,301C(図4、図5参照)を用いる場合と、電動ポンプ401(図6参照)を用いる場合と、を示した。また、「空気吐出管」として、先端が開口した可撓性の空気吐出ホース203,303C(図1、図5参照)を用いる場合と、環状部203A2(図3(a)参照)を有する空気吐出ホース203A(図2参照)を用いる場合と、接続ホース403に吐出パイプ404(図6参照)を接続したものを用いる場合と、を示した。
前記した各空気供給手段と、各空気吐出管として、前記した各部材を任意に組み合わせたものを採用することができる。例えば、図1に示す空気ポンプ201に、図6に示す接続ホース403及び吐出パイプ404を接続することとしてもよい。
【0067】
また、飲料供給装置1に供給された空気は、水槽109内の冷却水116で冷やされて飲料供給装置1の外部に排出される。この排出される空気は冷熱を持っているので、「空気供給手段」から飲料供給装置1に供給される空気と、飲料供給装置1から排出される空気とを、例えばシェル&チューブのような簡単な熱交換器により熱交換して、飲料供給装置1に供給する空気を予冷するようにしてもよい。
【0068】
また、前記したように、飲料供給装置1の外部に排出される空気は冷熱を持っているので、例えば、外装107の切り欠き部122a付近において、空気吐出ホース203(203A)又は接続ホース403に、翼形状の放熱フィンが円周状に複数配置された継ぎ手を、軸線方向に沿って間挿してもよい。
また、外装107の切り欠き部122a付近において、空気吐出ホース203(203A)又は接続ホース403に、円板状の放熱フィンが軸線方向に連接された継ぎ手を間挿してもよい。
【0069】
≪実験結果≫
(1.実験A)
実験Aでは、飲料供給装置1への電力供給を遮断し、外気温を約40℃になるように設定し、飲料の注出を行った。また、飲料としてビールを用いた
これは以下の実験B〜Dについても同様である。また、実験Aでは、「空気供給手段」として空気ポンプ201を用い、「空気吐出管」として前記空気ポンプ201に接続され、開口部が1個である空気吐出ホース203を用いた(図1参照)。また、飲料一杯(約300ml)を注出する際に1sec当たり2回の手押しを行い、合計10回の手押しを行った。そして、前記操作により、10杯の飲料注出を行って、樽液温[℃](飲料容器104(図7(a)参照)内の液温)と、水槽109内の冷却水温度[℃]と、注出した飲料の温度[℃]とを測定した。
また、注出した飲料の温度が8℃以下であるか否かを判定した(8℃以下である場合には○、8℃より高い場合には×として記載)。同様に、注出した飲料の温度が10℃以下であるか否かを判定した(10℃以下である場合には○、10℃より高い場合には×として記載)。
【0070】
以下では、注出温度が8℃以下であるか否か、又は、10℃以下であるか否かの判定結果に着目して説明する。実験Aでは、図8に示すように、1杯目〜4杯目と、6杯目の注出温度は8℃以下であり、5杯目と、7杯目〜10杯目の注出温度は8℃を超えた。また、1杯目〜10杯目までの注出温度は全て10℃以下であった。
【0071】
(2.実験B)
実験Bでは、「空気供給手段」として空気ポンプ201(図1参照)を用い、「空気吐出管」として前記空気ポンプ201に接続され、直径2mmの孔が設けられた環状部203A2を備える空気吐出ホース203Aを用いた(図2、図3(a)参照)。そして、飲料一杯(約300ml)を注出する際に1sec当たり2回の手押しを行い、合計10回の手押しを行った。
実験Bでは、図9に示すように、1〜6杯目の注出温度は8℃以下であり、7杯目〜10杯目までの注出温度は8℃を超えた。また、1杯目〜10杯目までの注出温度は全て10℃以下であった。
【0072】
(3.実験C)
実験Cでは、「空気供給手段」として空気ポンプ201(図1参照)を用い、「空気吐出管」として前記空気ポンプ201に接続された接続ホース403(図6参照)と、当該接続ホース403に接続された吐出パイプ404(図6参照)とを用いた。そして、飲料一杯(約300ml)を注出する際に1sec当たり2回の手押しを行い、合計10回の手押しを行った。
実験Cでは、図10に示すように、1〜2杯目の注出温度は8℃以下であり、3杯目〜10杯目までの注出温度は8℃を超えた。また、1杯目〜3杯目までの注出温度は10℃以下であり、4杯目〜10杯目までの抽出温度は10℃を超えた。
なお、図10に記載の4杯目〜10杯目までの抽出温度を参照すると、10.1℃〜12.5℃の範囲内であり、これは、外気温40℃という高温環境で飲料の抽出を行っていることを考慮すれば、許容される範囲であると考えられる。
【0073】
(4.実験D)
実験Dでは、「空気供給手段」として電動ポンプ401(図6参照)を用い、「空気吐出管」として前記電動ポンプ401に接続された接続ホース403(図6参照)と、当該接続ホース403に接続された吐出パイプ404(図6参照)とを用いた。そして、飲料の注出中は電動ポンプ401を継続して駆動させた。
実験Dでは、図11に示すように、1〜2杯目の注出温度は8℃以下であり、3杯目〜10杯目までの注出温度は8℃を超えた。また、1杯目〜2杯目までの注出温度は10℃以下であり、3杯目〜10杯目までの抽出温度は10℃を超えた。
なお、図11に記載の3杯目〜10杯目までの抽出温度を参照すると、10.7℃〜13.3℃の範囲内であり、これは、外気温40℃という高温環境で飲料の抽出を行っていることを考慮すれば、許容される範囲であると考えられる。
【0074】
(5.実験E)
前記した実験A〜Dでは、飲料としてビールを用いたのに対して、実験Eでは飲料として水を用いた実験を行った。すなわち、実験Eでは、飲料供給装置1B(図4参照)への電力供給を遮断し、外気温を約40℃になるように設定して水の注出を行った。
なお、実験Eでは、「空気供給手段」として、圧縮ポンプ301(図4参照)を用い、「空気吐出管」として前記圧縮ポンプ301に接続され、開口部が1個(ノズルの先端部)である空気吐出パイプ301e(図4参照)を用いた。そして、実験Dでは、飲料一杯(約300ml)を注出する際に確実に10回圧縮するようにした。ここで、「確実」に圧縮するとは、圧縮ポンプ301の伸縮部301a(図4参照)内の中空部(図示せず)の体積が略ゼロになるまで、確実に伸縮部301aを圧縮することを指す。
【0075】
そして、前記操作により、10杯の飲料注出を行って、樽液温[℃](飲料容器104(図7(a)参照)内の液温)と、水槽109内の冷却水温度[℃]と、注出した飲料の温度[℃]とを測定した。実験Eでは、図12に示すように、1〜5杯目の注出温度は8℃以下であり、6杯目〜10杯目までの注出温度は8℃を超えた。また、1杯目〜10杯目までの注出温度は全て10℃以下であった。
【符号の説明】
【0076】
1,1A,1B,1C,1D 飲料供給装置
109 水槽
110 コンプレッサ(冷凍機)
111 冷却ファン(冷凍機)
112 凝縮器(冷凍機)
113 攪拌モータ(攪拌手段)
116 冷却水
117 飲料冷却管
118 蒸発管
119 氷
120 モータ軸(攪拌手段)
121 攪拌羽根(攪拌手段)
201 空気ポンプ(空気供給手段、空気ポンプ)
203,203A 空気吐出ホース(空気吐出管)
203A4 孔
203a 開口部(孔)
301 圧縮ポンプ(空気供給手段、空気ポンプ)
301e 空気吐出パイプ(空気吐出管)
301h 開口部(孔)
401 電動ポンプ(空気供給手段、空気ポンプ)
403 接続ホース(空気吐出管)
404 吐出パイプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置及び冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
瞬冷式の飲料供給装置100は、例えば、図7(a)に示す構成を備えている。すなわち、高圧のガス(炭酸ガス)が充填されたガスボンベ101から、圧力調整装置102を介して所定圧力に調整されたガスが、ガス供給ホース103を介して飲料容器104に供給される。飲料容器104内には所定量の飲料が貯留されており、飲料容器104に所定圧力の前記ガスが供給されることにより、飲料が飲料容器104に接続された飲料ホース105内を通流する。
【0003】
また、蓋106によって外部から遮断された外装107に設けられた切り欠き122b(図1参照)から、飲料ホース105が接続部材105aを介して飲料冷却管117(図7(b)参照)に接続されている。外装107内には、断熱材108が施され、上部が開口した水槽109が設けられている。また、水槽109の下部には、当該水槽109と隔壁して設置されたコンプレッサ110と、冷却ファン111と、凝縮器112と、が設けられ、後記する蒸発管118(図7(b)参照)とともに周知の冷凍サイクルを構成している。また、水槽109の上面部には、後記する攪拌モータ113が設置されている(図7(b)参照)。その他、外装107には、熱交換器である飲料冷却管117と連通し、飲料を供給するためのコック114や、コップ(図示せず)に飲料を供給する際に溢れた飲料を受けるためのドレン皿115などが設置されている。
【0004】
また、図7(b)に示すように、断熱材108が施された水槽109内には、所定の高さまで冷却水116が貯留されている。そして、前記した飲料冷却管117が螺旋状に巻回されて、冷却水116に浸漬した状態で水槽109内に収容されている。また、飲料冷却管117を取り巻くように、飲料冷却管よりもサイズの大きな螺旋形状の熱交換器である蒸発管118が、冷却水116に浸漬した状態で水槽109内に収容されている。なお、飲料冷却管117は蒸発管118の内側に内装されている。通電時に前記冷凍サイクルが稼動すると、蒸発管118内を低温の冷媒が通流することによって、当該蒸発管118の外表面に氷119の層が形成される。
【0005】
また、水槽9に貯留された冷却水116の水面より上側に位置するように、攪拌モータ113が設置されている。また、攪拌モータ113にはモータ軸120が接続され、モータ軸120の先端部分に攪拌羽根121が設けられている。そして、通電時に攪拌モータ113が回転すると、当該回転に伴って攪拌羽根121も回転する。これによって、水槽109に貯留された冷却水116を攪拌し、水槽109内における冷却水116の温度分布が均一化される。これによって、水槽109内に収容された飲料冷却管117内を通流する飲料が適度に冷却され、冷却された当該飲料をコック114(図7(a)参照)から供給するようになっている。
【0006】
ところで、前記のような構成を備える瞬冷式の飲料供給装置について、水槽109内に貯留された冷却水116をより適温に冷却するため、つまり、飲料を適切に冷却するため、種々の改良がなされてきた。
例えば、特許文献1には、飲料冷却管の内側に配置されて水槽内の底部に対して垂直状の冷却水の流れを発生させる攪拌手段と、飲料冷却管の内側の冷却水の流れを該飲料冷却管の下端面近傍から水槽の底面近傍まで案内する整流部材を備えた飲料供給装置について記載されている。特許文献1に記載の飲料供給装置によれば、前記整流部材を設けることによって、下向きに送り出された冷却水が水槽の底面まで流れて、冷却水の循環効率及び冷却効率の向上を図ることができる。
【0007】
また、特許文献2には、水槽内に貯留された冷却水を吸い込んで、該水槽内に噴射する循環ポンプと、前記水槽の上方に開設されて水槽内への氷投入を可能にする氷投入口とを備える飲料ディスペンサについて記載されている。特許文献2に記載の飲料ディスペンサによれば、水槽に投入した氷が攪拌羽根に接触することによる当該攪拌羽根の損傷を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−042630号公報
【特許文献2】特開2008−207877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、通電時には攪拌手段が冷却水を攪拌することによって水槽内の冷却水の温度分布を均一化できるが、停電時には攪拌手段を駆動させるモータの回転が止まるため、冷却水を攪拌することができなくなる。この場合には、水槽内の冷却水の温度分布に偏りが生じて、飲料冷却管内を通流する飲料を適切に冷却することができなくなるという問題がある。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術では、通電時には循環ポンプが冷却水を循環させることによって水槽内の冷却水の温度分布を均一化できるが、停電時には循環ポンプを駆動させるモータの回転が止まるため、冷却水を循環させることができなくなる。
なお、特許文献2に記載の技術では水槽内に氷を投入するが、循環ポンプが駆動しない場合には、氷によって冷やされた低温の水は水槽内下部に滞留する。この場合、水槽内上部の冷却水温度は前記水槽内下部の冷却水温度に比べて相対的に高くなり、水槽内の冷却水の温度分布に偏りが生じて、飲料冷却管内を通流する飲料を適切に冷却することができなくなるという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、停電時においても飲料を適切に冷却することができる飲料供給装置及び冷却方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明に係る飲料供給装置は、外部電源により作動して、冷媒を冷却する冷凍機と、冷却水が貯留される水槽と、前記水槽に収容されて、前記冷媒が内部を通流することによって、自身の外表面に前記冷却水を氷結させて氷の層を形成する蒸発管と、前記水槽に収容されて、冷却の対象である飲料が内部を通流する飲料冷却管と、外部電源により作動して、前記水槽内の冷却水を流動・攪拌して前記飲料の冷却を促進する攪拌手段と、一つ又は複数の孔を有し、前記冷却水が満たされた際の水面下に前記孔が位置するように設置される空気吐出管と、を備え、前記外部電源の停電時に、前記空気吐出管に外部の手動又は電池作動の空気供給手段から空気が供給されることで、前記空気吐出管の前記孔を介して前記空気を吐出して、前記水槽内の前記冷却水を流動・攪拌させて前記氷の層との伝熱を促進させるように構成されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る飲料の冷却方法は、水槽と、外部電源により作動する冷凍機と、外部電源により作動して前記水槽内の冷却水を攪拌する攪拌手段と、を備え、前記冷凍機により氷結された前記水槽内の氷が有する冷熱により、外部から供給される飲料を前記水槽内にて瞬冷する瞬冷式の飲料供給装置における飲料の冷却方法であって、前記外部電源が停電した際に、手動又は電池により作動するポンプにより、外部から前記水槽内に空気を供給することで前記水槽内の冷却水を流動・攪拌させて、前記氷が有する冷熱により前記飲料の冷却を促進することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、停電時においても飲料を適切に冷却することができる飲料供給装置及び冷却方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置で用いられる空気吐出ホースを説明するための図であり、(a)は、空気吐出ホースの環状部を示す図であり、(b)は、飲料冷却管を水槽から取り出して、底面から見た場合の斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。
【図6】(a)は、本発明の第5実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図であり、(b)は、電動ポンプの外観図であり、(c)は、電動ポンプの裏蓋を開けて裏側から見た内部構造図である。
【図7】(a)は、従来の飲料供給装置の概略構成図であり、(b)は、当該飲料供給装置の水槽の断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置を用いた実験結果を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置を用いた実験結果を示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置を用いた場合において、エア出口を角パイプ部とした場合の実験結果を示す図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る飲料供給装置を用いた実験結果を示す図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る飲料供給装置を用いた実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0017】
≪第1実施形態≫
<飲料供給装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。
図1に示す水槽109の下部122内には、当該水槽109と隔壁されて、コンプレッサ110(図示せず:図7(a)参照)と、冷却ファン111(図示せず:図7(a)参照)と、凝縮器112(図示せず:図7(a)参照)と、が設置されている。なお、前記各機器については説明を省略するため、図1では、水槽109に対する下部122の寸法は実際よりも小さく描いている。
【0018】
また、図1では、攪拌モータ113(図7(b)参照)、モータ軸120(図7(b)参照)、攪拌羽根121(図7(b)参照)の記載を省略しているが、実際には前記で説明したように、例えば、図7(b)に示す態様で前記各部材が設置されている。
また、図1では、コック114(図7(a)参照)、ドレン皿(図7(a)参照)、螺旋状に巻回された飲料冷却管117のうちコック114と接続されている箇所の記載が省略されているが、実際には前記で説明したように、例えば、図7(a)に示す態様で前記各部材が設置されている。
これらは、後記の説明で用いられる図2、図4、図5、図6についても同様である。
【0019】
飲料供給装置1は、通電時には図7(a),(b)を用いて説明した仕組みにより、適度に冷却された飲料を供給するものである。すなわち、コンプレッサ110、冷却ファン112、及び凝縮器113が、外部からの電源により作動することで「冷凍機」として機能する。また、外部からの電源により回転する攪拌モータ113と、当該攪拌モータ113と接続されたモータ軸120と、当該モータ軸120に接続されて回転する攪拌羽根121とが、「攪拌手段」として機能する。
ところが、停電時には飲料供給装置1に電力が供給されないため、攪拌モータ113が回転しなくなる。このような事態を想定し、飲料供給装置1は停電時に、後記する空気ポンプ201を空気吐出ホース203と接続して冷却水116に所定圧力の空気を吐出(バブリング)し、冷却水116を攪拌するものである。
【0020】
また、停電時には、攪拌モータ113の回転に加えて、前記冷凍サイクルも停止する。しかしながら、例えば、4時間程度の計画的な停電、又は不意の停電を想定した場合、次のような実験結果が得られた。すなわち、外気温が20℃の場合、停電が4時間継続した時点での氷119の量(質量)は、停電開始時の氷119の量に対して、約8割程度の量となった。また、外気温が40℃の場合、停電が4時間継続した時点での氷119の量(質量)は、停電開始時の氷119の量に対して、約6割程度となった。前記各氷119の量(通電時の約8割程度又は約6割程度)は、飲料を冷やす上では許容される範囲の量と考えられる。なお、前記の実験では、停電時においては飲料の供給を行っていない。
ちなみに、停電時であっても、ガスボンベ(図8参照)からガス供給ホース103(図8参照)を介して供給されるガスの圧力によって、飲料容器104(図8参照)内に貯留されている飲料が押圧され、飲料ホース105及び飲料冷却管117を介して飲料が供給される。
【0021】
飲料供給装置1は、例えば、図7(a)に示す飲料供給装置100に、さらに、空気ポンプ201と、載置器具202と、空気吐出ホース203と、位置決め器具204a,204bと、を加えた構成となっている。なお、空気ポンプ201は、特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」に対応するものであり、例えば、自転車用、浮き輪、ボールなどの空気入れとして用いられるものである。また、空気吐出ホース203は、特許請求の範囲に記載の「空気吐出管」に対応する。
なお、特許請求の範囲に記載における「手動」は、足踏み式などの人力作動を含む意味であり、手動のみに限定するものではない。
【0022】
空気ポンプ201は、図1に示すように、例えば、使用時(停電時)には載置器具202上に置かれる。ちなみに、空気ポンプ201は、空気吐出ホース203との接続部(図示せず)を緩めることにより、空気吐出ホース203と分離することができる。したがって、空気ポンプ201を使用しない時間帯(通電時)には、空気吐出ホース203と分離して、空気ポンプ201を所定の場所に保管することとしてもよい。
【0023】
図1に示すように、2個の載置器具202が外装107に設置されている。載置器具202は、例えば、外装107に取り付ける際に当該外装107と接触する部分に磁石を備えることにより、金属部材でできた外装107の所定位置に設置することができる。また、載置器具202は、空気ポンプ201を載置するためのU字状の載置部を備えている。なお、載置器具202のうち、外装107に取り付ける際に当該外装107と接触する部分を吸盤状としてもよい。
【0024】
また、空気ポンプ201が、水槽109内に貯留された冷却水116の水面よりも高い位置に載置されるように、載置器具202を外装107に設置する。これは、サイフォン現象によって、水槽109内の冷却水116が空気吐出ホース203内を通流して空気ポンプ201側に逆流することを防ぐためである。
ちなみに、サイフォン現象とは、管(ホース)の中を水で満たしてその一端を水槽内の水中に位置するように設置し、他端を前記水槽の水面よりも低い位置となるようにした場合に、管の各端部にかかる圧力差によって、前記一端から前記他端に向けて管内を水が流れる現象をいう。
【0025】
空気吐出ホース203は、樹脂部材でできた可撓性のホースであり、一端が空気ポンプ201の接続部(図示せず)に接続されている。また、空気吐出ホース203の他端は開口部203aとなっている。そして、前記接続部を介して空気ポンプ201から供給された空気は、空気吐出ホース203内を通流して、開口部203aから吐出される。また、空気吐出ホース203は、外装107の上端部に設けられた切り欠き部122aから水槽109内に導かれ、さらに螺旋状に巻回された飲料冷却管117の内側に沿うように配置されている。
【0026】
このように、空気吐出ホース203を飲料冷却管117の内側に沿うように配置するのは、飲料冷却管117によって形成される螺旋の中心軸上に位置するモータ軸120(図7(b)参照)、及び、攪拌羽根121(図7(b)参照)に、空気吐出ホース203が接触しないようにするためである。また、空気吐出ホース203を飲料冷却管117の内側に沿うように配置することによって、氷119の範囲(厚さ)が拡大した場合でも、前記氷119により空気吐出ホース203が閉塞されることがない。
なお、外装107において切り欠き部122aと対向する位置にも、切り欠き部122bが形成されている。飲料が通流する樹脂性の飲料ホース105は切り欠き部122b
によって形成された隙間を通り、接続部材105aによって金属性の飲料冷却管117に接続されている。
【0027】
また、空気吐出ホース203の開口部203aは、水槽109の底面から所定の高さに位置するように配置される。また、前記開口部203は、水槽109の底面に近いほうが、冷却水116全体の攪拌に貢献するので好ましい。
一般的に、水槽109内に貯留されている冷却水116を攪拌しない場合には、比較的低温の冷却水116は水槽109の底面付近に滞留する。前記したように、空気吐出ホース203の開口部203aを水槽109の底面付近に配置し、当該開口部203aから空気を吐出することによって、水槽109内の底面付近に滞留している比較的低温の冷却水116を水面側に上昇させ、水槽109内における冷却水116の温度分布を均一化することができる。
【0028】
位置決め器具204a,204bは、可撓性の空気吐出ホース203の一部を飲料冷却管117に固定するためのものである。位置決め器具204a,204bは、リング部と、当該リング部と一体に形成され、リング部の両端にそれぞれ形成されるC字状部と、を備える。そして、前記リング部に空気吐出ホース203を貫通させ、さらに前記C字状部が飲料冷却管117を握持するように位置決め器具204a,204bを設置する。例えば、図1に示すように、位置決め器具204a,204bを、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の上端部と下端部にそれぞれ設置することによって、空気吐出ホース203を前記した配置に位置決めすることができる。
ちなみに、位置決め器具として、市販の結束バンドを用いてもよい。
【0029】
なお、空気吐出ホース203及び位置決め器具204a,204bは、予め、図1に示すように設置され、切り欠き部122aから空気吐出ホース203の一端(空気ポンプ201に接続される側の端部)が出るように固定部材(図示せず)で空気吐出ホース203を切り欠き部122aに固定しておく。この場合、ユーザは停電時において、載置器具202を外装107に設置し、空気吐出ホース203の前記端部を空気ポンプ201の接続部(図示せず)に接続し、さらに、空気ポンプ201を載置器具202上に置くことにより、図1に示す状態とすることができる。
【0030】
<冷却水の攪拌>
停電時には、前記した手順で空気ポンプ201などを設置し、ユーザは空気ポンプ201のハンドルを握って押し引きする。そうすると、所定圧力の空気が空気ポンプ201から供給されて空気吐出ホース203内を通流し、開口部203aから冷却水116の中で吐出される。そして、開口部203aから吐出される前記空気(気泡)によって、図1に示すような水流が発生し、冷却水116が攪拌される。
【0031】
<効果>
本実施形態に係る空気冷却装置1によれば、停電時においても、空気ポンプ201及び空気吐出ホース203を用いて、冷却水116の中で所定圧力の空気を吐出することにより、水漕109の冷却水116を攪拌することができる。冷却氷116が攪拌されると、氷119によって冷やされて水槽109の底面付近に滞留している冷却水116が水面に向かって上昇する。したがって、水槽109内の冷却水116を攪拌して、その温度分布を均一化することにより、飲料を適切に冷やすことができる。
【0032】
また、前記したように、空気ポンプ201の不使用時(通電時)には、空気吐出ホース203のうち空気ポンプ201と接続される側の端部が切り欠き部122aから出された状態となっている。そして、空気ポンプ201の使用時(停電時)には、載置器具202及び空気ポンプ201を前記した方法で設置し、停電の事態に速やかに対応することができる。
【0033】
また、空気吐出ホース203は、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の内側に沿うように配置される。したがって、通電時において攪拌モータ113(図7(b)参照)が駆動した場合であっても、空気吐出ホース203が当該攪拌モータ113に接続されたモータ軸120(図7(b)参照)、及び、攪拌羽根121(図7(b)参照)に接触することがなく、前記各部材の損傷を防止することができる。また、空気吐出ホース203を前記のように配置することによって、氷119の範囲(厚さ)が拡大した場合でも、前記氷119により空気吐出ホース203が閉塞されることを防止することができる。
【0034】
また、空気吐出ホース203の開口部203aは、水槽109の底面に近い位置に配置される。当該開口部203aから空気を吐出することによって、水槽109内の底面付近に滞留している比較的低温の冷却水106を水面側に上昇させ、冷却水116の温度分布を均一化することができる。したがって、飲料冷却管117内を通流する飲料を適度に冷やすことができ、停電時においても通電時と同様に飲料の提供を継続することができる。
【0035】
また、空気ポンプ201は、ユーザがハンドルを握ってピストン(図示せず)を押すことによって圧縮された空気が、接続部(図示せず)を介して空気吐出ホース203内を通流し、開口部203aから吐出される構成となっている。このように空気ポンプ201は、簡単な構成であるとともに、ユーザが容易に操作することができるようになっている。また、空気ポンプ201は簡単な構成であることから、低いコストで飲料供給装置1を製造することができる。また、空気ポンプ201はユーザが直接的に力を加えることによって所定圧力の空気を吐出するので、電力供給の有無に左右されることがない。
【0036】
≪第2実施形態≫
<飲料供給装置の構成>
図2は、本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。第2実施形態は、第1実施形態と比較して空気吐出ホース203Aの形状及び配置が異なるが、その他の部分は第1実施形態と同様の構成となっている。したがって、当該異なる部分について説明し、第1実施形態と重複する部分については説明を省略する。
【0037】
図2に示すように、空気吐出ホース203Aの一端は、空気ポンプ201の接続部(図示せず)に接続され、他端は環状のホースに複数の孔が設けられた構成となっている。当該空気吐出ホース203Aが、特許請求の範囲に記載の「空気吐出管」に対応する。
すなわち、図3(a)に示すように、空気吐出ホース203Aは、筒状部203A1と、環状部203A2と、接続器具203A3と、を備えている。筒状部203A1は、図1で示した空気吐出ホース203と同様の形状を有する樹脂部材でできた可撓性のホースである。環状部203A2は、樹脂部材でできた可撓性のホースが筒状に形成され、その両端が接続器具203A3に接続されている。接続器具203A3は、筒状部201A1の開口部(図示せず)と、環状部203A2の両端の開口部(図示せず)とを連通させるとともに、外部に空気が漏れない構成となっている。
【0038】
つまり、空気吐出ホース203Aは、冷却水116の水面下に位置する側の端部が二股に分岐し、かつ、環状に接続されることによって形成される環状部203A2を備えている。
また、当該環状部203A2には、図3(a)に示すように、5個の孔203A4が等間隔で設けられている。円形の孔203A4の直径は、空気吐出ホースの設計時に適宜設定することができるが、本実施形態では2mmとする。
【0039】
図3(b)は、飲料冷却管117を水槽109から取り出して、底面から見た場合の斜視図である。図3(b)に示すように、飲料冷却管117は、脚部117aを介して底部117bに接続されている。なお、底部117bは水槽109(図2参照)の底面と接触し、飲料冷却管117を支えるようになっている。
また、図3(b)に示すように、空気吐出ホース203Aの筒状部203A1と、接続器具203A3とが、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の内側に沿うように、位置決め器具204によって位置決めされる。そして、環状部203A2は、円環状の底部117bの上面(冷却水116の水面側)に配置される。
【0040】
なお、環状部203A2に設けられた複数の孔203A4は、空気吐出ホース203が設置された状態で、図2に示すように、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の螺旋の中心軸から、径方向に所定角度θ(図示せず)を有するように形成されている。
前記所定角度θは、空気吐出ホース203Aの設計時に適宜設定することができる。例えば、所定角度θが0°(つまり、孔203A4が真上を向く。)となるように孔203A4を設けてもよいし、所定角度θを45°となるように孔203A4を設けてもよい。ちなみに、本実施形態では、孔203Aが5個設けられる場合を示したが、これに限らない。すなわち、孔203Aの数は4個以下でもよいし、6個以上でもよい。
【0041】
<冷却水の攪拌>
所定時間(例えば、4時間)の停電が起こった場合、手動式又は足踏み式の空気ポンプ201を用いて空気吐出ホース203Aに対して所定圧力の空気を供給する。空気吐出ホース203A内に所定圧力の空気が供給されると、当該空気は筒状部203A1(図3(a)参照)から二股に分かれて環状部203A2に流入し、それぞれの孔203A4から吐出される。これによって、図2に示すような水流が発生し、冷却水116が攪拌される。
【0042】
<効果>
本実施形態に係る飲料供給装置1Aによれば、空気吐出ホース203Aの筒状部203A1が飲料冷却管117の内側に沿うように位置決め器具204で位置決めしても、空気が吐出されるそれぞれの孔203A4と、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の中心軸との距離は略等しくなる。また、それぞれの孔203A4は、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の中心軸から径方向に所定角度θ(例えば、45°)を有するように形成されている。さらに、隣り合う孔203A4間が略等間隔となるように孔203A4が設けられている。
【0043】
したがって、空気ポンプ201から所定圧力の空気が空気吐出ホース203内に供給された場合、等間隔に設けられた複数の孔203A4から前記角度θ方向に空気(気泡)が吐出されることとなる。これによって、水槽109内における冷却水116の流動方向が、前記中心軸を中心として軸対称となるため、冷却水116をより効率的に攪拌することができる。すなわち、冷却水116の温度分布をより均一化し、飲料を適切に冷やすことができる。
【0044】
≪第3実施形態≫
図4は、本発明の第3実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。第1実施形態及び第2実施形態と比較して、第3実施形態では、圧縮ポンプ301が、特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」に対応し、空気吐出パイプ301eが、特許請求の範囲に記載の「空気吐出管」に対応する点が異なる。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、蓋106(図1、図2参照)を外装107(図1、図2参照)に嵌めた状態で冷却水116をバブリングするものであったが、第3実施形態では、蓋106(図4では、図示せず)を外装107から取り外した状態で、冷却水116をバブリングする点が異なる。
なお、前記以外の点では、第3実施形態に係る飲料供給装置1Bは、第1実施形態及び第2実施形態に係る飲料供給装置1,1Aと同様の構成である。したがって、前記異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0045】
圧縮ポンプ301は、例えば、灯油ポンプとして用いられるものである。図4に示すように、圧縮ポンプ301は、伸縮部301aと、空気室301bと、空気吸引パイプ301cと、逆止弁301dと、空気吐出パイプ301eと、逆止弁301fと、キャップ301gと、を備える。
伸縮部301aは伸縮可能な弾性部材でできており、中空構造となっている。また、伸縮部301aは、ユーザが当該伸縮部301aを握る力によって圧縮され、ユーザが伸縮部301aを握る力を緩めるに従って元の形状に戻るようになっている。空気室301bは伸縮部301aと連通しており、後記する空気吸引パイプ301cから吸引された空気を一時的に貯留する。ちなみに、伸縮部301aが圧縮された状態から元に戻った場合、空気室301b内の気圧は、大気圧に対して負圧となる。
【0046】
空気吸引パイプ301cは、空気室301bに接続されており、空気吸引パイプ301cと空気室301bとの間には逆止弁301dが介在している。前記のように、空気室301b内の気圧が大気圧に対して負圧となった場合には、逆止弁301dが図4に示す矢印の方向に開いて、空気吸引パイプ301c内を空気が通流し、当該空気は空気室301bに一時的に貯留される。すなわち、逆止弁301dは、空気吸引パイプ301c内から空気室301b内に向かう空気の通流を許容するとともに、前記とは逆方向に向かう空気の通流を遮断するためのものである。
【0047】
空気吐出パイプ301eは、空気室301bに接続されている。すなわち、「空気供給手段」である圧縮ポンプ301と、「空気吐出管」である空気吐出パイプ301eとが一体となっている。
また、空気吐出パイプ301eと空気室301bとの間には逆止弁301fが介在している。前記のように、空気室301b内に空気が一時的に貯留された状態から伸縮部301aが圧縮されると、逆止弁301fが図4に示す矢印の方向に開いて、空気吐出パイプ301e内を空気が通流し、開口部301hから冷却水116の中で空気が吐出される。すなわち、逆止弁301fは、空気室301b内から空気吐出パイプ301eに向かう空気の通流を許容するとともに、前記とは逆方向に向かう空気の通流を遮断するためのものである。
【0048】
キャップ301gは、内壁に雌ネジ部(図示せず)を有し、伸縮部301aの上部に設けられた雄ネジ部(図示せず)と螺合している。キャップ301gは、圧縮ポンプ301の使用時には締められた状態であり、圧縮ポンプ301の使用を止めて開口部301hを冷却水116の水面から引き上げる際に、ユーザにより緩められる。キャップ301gを緩めると、伸縮部301a及び空気室301b内の気圧が大気圧に等しくなる。このとき、空気吐出パイプ301e内に冷却水がある場合には、自重で前記冷却水は水槽109内に戻される。
【0049】
また、図4では図示が省略されているが、蓋106を開けた状態では、攪拌モータ113(図7(b)参照)、モータ軸120、攪拌羽根121が設置されている。したがって、図4に示す圧縮ポンプ301を水槽109内に入れる際には、空気吐出パイプ301eが攪拌羽根121などに接触しないようにする。
なお、空気吐出パイプ301eの角度や、開口部301hと水槽109底面との距離などは、ユーザが手動で調整する。
【0050】
<効果>
本実施形態に係る飲料供給装置1Bによれば、第1実施形態及び第2実施形態のように、空気吐出ホース203(203A)を飲料冷却管117に設置する必要がない。すなわち、本実施形態では、蓋106を取り外して空気吐出パイプ301eを図4に示すように配置し、手動で伸縮部301aを操作することによって冷却水116内で空気(気泡)を吐出させることができる。すなわち、ユーザは停電になった場合に前記手順により速やかに水槽109内の冷却水116を攪拌することができ、適度に冷やされた飲料の供給を継続することができる。
また、圧縮ポンプ301は、簡単な構成でありとともに、容易に操作することができる。さらに、圧縮ポンプ301は、ユーザが直接的に力を加えることによって所定圧力の空気を吐出することができ、電力供給の有無に左右されることがない。
【0051】
≪第4実施形態≫
<飲料供給装置の構成>
図5は、本発明の第4実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。第4実施形態では、第1実施形態と比較して、圧縮ポンプ301Cが特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」に対応し、空気吐出パイプ301e及び空気吐出ホース203が、特許請求の範囲に記載の「空気吐出管」に対応する点が異なる。前記以外の点では、第4実施形態に係る飲料供給装置1Cは、第1実施形態に係る飲料供給装置1と同様の構成となっている。したがって、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
また、第4実施形態で用いられる圧縮ポンプ301Cの構成は、第3実施形態で説明した圧縮ポンプ301と同様の構成となっている。したがって、圧縮ポンプ301Cについての説明も省略する。
【0052】
図5に示すように、圧縮ポンプ301Cの空気吐出パイプ301eは、空気が当該空気吐出パイプ301e内を流れる方向に次第に径小になっていくテーパ部301iと、当該テーパ部301iの端部と空気吐出ホース203とを接続する接続部301jと、を備えている。ちなみに、圧縮ポンプ301Cの接続部301jと、空気吐出ホース203とは、例えば、螺合することにより接続されており、圧縮ポンプ301Cを空気吐出ホース203から分離することができるようになっている。
また、空気吐出ホース203は、外装107の上端部に設けられた切り欠き部122aから水槽109内に導かれ、さらに螺旋状に巻回された飲料冷却管117の内側に沿うように配置されている。また、空気吐出ホース203は、その開口部201aが水槽109の底面から所定の高さに位置して配置されるように、位置決め器具204a,204bによって位置決めされる。
【0053】
なお、停電時に圧縮ポンプ301Cを使用する際には、圧縮ポンプ301Cが、水槽109内に貯留された冷却水116の水面よりも高い位置に載置されるようにする。これは、前記したように、サイフォン現象によって水槽109内の冷却水116が空気吐出ホース203内を通流して圧縮ポンプ301C側に逆流することを防ぐためである。
圧縮ポンプ301の圧縮部301aを手動により圧縮すると、所定圧力の空気が冷却水116の中で吐出され、当該冷却水116が攪拌される。
【0054】
<効果>
本実施形態に係る飲料供給装置1Cによれば、圧縮ポンプ301Cの不使用時(通電時)には、空気吐出ホース203のうち圧縮ポンプ301Cと接続される側の端部が切り欠き部122aから出され、図示しない固定部材によって固定された状態となっている。そして空気ポンプ201の使用時(停電時)には、圧縮ポンプ301Cの接続部301jと空気吐出ホース203とを接続し、停電の事態に速やかに対応することができる。
また、圧縮ポンプ301は、ユーザが直接的に力を加えることによって所定圧力の空気を吐出することができ、電力供給の有無に左右されることがない。
【0055】
≪第5実施形態≫
図6(a)は、本発明の第5実施形態に係る飲料供給装置の一部透視斜視図である。第5実施形態では、電動ポンプ401が特許請求の範囲に記載の「空気供給手段」に対応し、接続ホース403が、特許請求の範囲に記載の「空気吐出管」に対応する。また、第5実施形態では、接続ホース403に吐出パイプ404が接続され、接続ホース403を介して供給された空気が吐出パイプ404内を通流するのに伴って、冷却水116を吸引・吐出するようになっている。
【0056】
図6(a)に示すように、外装107には電動ポンプ401が設置されている。電動ポンプ401は、例えば、電池作動式の鑑賞魚用の空気ポンプとして用いられるものである。
また、電動ポンプ401は、電池401h(図6(c)参照)から供給される電力によって回転するモータ401e(図6(c)参照)により、所定圧力の空気を供給することができるようになっている。また、電動ポンプ401は、例えば、当該電動ポンプ401の裏面に外装107に設けられた係合部(図示せず)と対応する係合部(図示せず)を形成し、それらを係合させることによって外装107に設置する。
なお、電動ポンプ401の裏面に吸盤(図示せず)を設置して外装107に設置することとしてもよい。
【0057】
可撓性の接続ホース403の一端は、電動ポンプ401の接続部材401d(図6(b)参照)の端部である空気供給口(図示せず)に接続されている。また、接続ホース403の他端は吐出パイプ404の接続部404aと接続されている。
吐出パイプ404は、接続部404aと、継ぎ手部404bと、パイプ部404cと、筒状部404dと、角パイプ部404eと、を備える。また、接続部404aは継ぎ手部404dに接続されており、継ぎ手部404d内には接続部404aと筒状部404dとを連通させているベンチュリ管(図示せず)が形成されている。また、パイプ部404cは、継ぎ手部404b内の前記ベンチュリ管のうち、内径が小さくなっている絞り部(図示せず)に連通している。これによって、接続ホース403を介して供給された空気が、継ぎ手部404b内の前記ベンチュリ管を通流する際に、当該ベンチュリ管の絞り部から通流方向に内径が広がる部分において負圧が発生するようになっている。
また、筒状部404dは角パイプ部404eに接続されている。
【0058】
吐出パイプ404は、位置決め器具405により、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の外周面に筒状部404dが沿うように設置され、かつ、筒状部404dが冷却水116の水面と略垂直となるように位置決めされている。また、図6(a)に示すように、角パイプ部404eの曲がり部分は、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の上部に引っ掛けるようにして設置される。さらに、吐出パイプ404は、角パイプ部404eの開口部が、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の内側に向くように設置されている。
【0059】
図6(b)は、電動ポンプの外観図である。電動ポンプ401の表側(外装107に電動ポンプ401を設置した場合の外側)の本体ケース401aには、空気吸入口401bが設けられている。また、スイッチ401cと、接続部材401dとが外部に露出するようになっている。
図6(c)は、電動ポンプの裏蓋(図示せず)を開けて裏側から見た内部構造図である。電動ポンプ401の内部には、モータ401eと、エアポンプ401fと、接続部材401dと、電池ホルダ401gと、が配置されている。また、電池ホルダ401gには、予め電池401hが設置されている。
【0060】
電動ポンプ401のスイッチ401cをONにすると、電池ホルダ401gからスイッチ401cを介してモータ401eに至る通電回路が形成され、モータ401eに電力が供給される。そうすると、モータ401eが回転駆動し、当該モータ401eの回転に従ってエアポンプ401f内の羽根車(図示せず)も回転する。当該羽根車の回転により、空気吸気口401bから空気が吸入されるとともに、筒状の接続部材401dの開口部404から所定圧力の空気が吐出される。
【0061】
電動ポンプ401のスイッチ401cをONにすると、接続部材401dの空気供給口(図示せず)を介して所定圧力の空気が接続ホース403に供給される。そして、接続ホース403からの空気は、接続部404aを介して継ぎ手部404b内の前記ベンチュリ管(図示せず)に入り、さらに筒状部404dを介して角パイプ部404eの開口部から吐出される。ここで、前記したように、空気が継ぎ手部404b内のベンチュリ管を通流する際に負圧が発生するため、パイプ部404cの開口部から冷却水が前記ベンチュリ管側に吸引される。そして、吸引された前記空気は筒状部404dを介して角パイプ部404eの開口部から、冷却水116の水面より上方で吐出される。
【0062】
つまり、水槽109内の冷却水116は、接続ホース403を介して電動ポンプ401から供給された空気とともに、吐出パイプ404の筒状部404dを介して角パイプ部404eから吐出される。
なお、本実施形態では、吐出パイプ404の継ぎ手部404b内にベンチュリ管(図示せず)を備える構成としたが、これに限らない。すなわち、接続ホース403を介して電動ポンプ401から供給された空気が、吐出パイプ404内を通流する際に負圧を発生させることによって冷却水116を吸引するものであればよい。
【0063】
<効果>
本実施形態に係る飲料供給装置1Dによれば、停電時に、電動ポンプ401のスイッチ401c(図6(b)参照)をOFFからONに切り替えれば、所定圧力の空気が自動的に接続ホース403を介して吐出パイプ404に供給される。つまり、ユーザが手動でポンプを圧縮することによって冷却水116内に空気を吐出する必要がなくなるため、ユーザの負担が大きく軽減される。
また、電動ポンプ401はコンパクトであり、外装107の側面に容易に取り付けることができる。
【0064】
また、接続ホース403を介して電動ポンプ401から供給された空気が、継ぎ手部404b内のベンチュリ管(図示せず)内を通流する際に発生する負圧によって、パイプ部404cの開口部から冷却水116が吸引される。そして、当該冷却水116は、筒状部404dを介して角パイプ部404eから、空気とともに吐出される。
また、角パイプ部404eの開口部から吐出された冷却水116は、図6(a)の矢印で示すように、螺旋状に巻回された飲料冷却管117に囲まれる領域に向かい、水槽109内の冷却水116に戻される。このようにして、水槽109内で冷却水116が循環することによって、水槽109内の冷却水116を効率的に流動させ、攪拌することができる。その結果、水槽109内の底面付近に滞留している比較的低温の冷却水106を水面側に上昇させ、冷却水116の温度分布を均一化し、飲料冷却管117内を通流する飲料を効率的に冷却することができる。
【0065】
≪変形例≫
以上、本発明に係る飲料冷却装置について各実施形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、前記した第1実施形態〜第5実施形態では、攪拌モータ113(図7(b)参照)と、モータ軸120(図7(b)参照)と、攪拌羽根121(図7(b)参照)とが外装107に装着された状態で、空気吐出ホース203を飲料冷却管117に装着し、冷却水116をバブリングすることとしていたが、これに限らない。すなわち、前記した攪拌モータ113などの部材を飲料冷却装置117と一体に、又は、飲料冷却装置117とは別個に取り外し可能な構成としてもよい。
この場合には、第1実施形態(図1参照)、第4実施形態(図5参照)で、飲料冷却管117に沿うように設置されていた飲料吐出ホース203を、螺旋状に巻回された飲料冷却管117の中心軸と略一致するように設置すればよい。
これによって、水槽109内における冷却水116の流動方向が、前記中心軸を中心線として軸対称となるため、冷却水116をより効率的に攪拌することができる。
【0066】
また、第1実施形態〜第5実施形態では、「空気供給手段」として、空気ポンプ201(図1、図2参照)を用いる場合と、圧縮ポンプ301,301C(図4、図5参照)を用いる場合と、電動ポンプ401(図6参照)を用いる場合と、を示した。また、「空気吐出管」として、先端が開口した可撓性の空気吐出ホース203,303C(図1、図5参照)を用いる場合と、環状部203A2(図3(a)参照)を有する空気吐出ホース203A(図2参照)を用いる場合と、接続ホース403に吐出パイプ404(図6参照)を接続したものを用いる場合と、を示した。
前記した各空気供給手段と、各空気吐出管として、前記した各部材を任意に組み合わせたものを採用することができる。例えば、図1に示す空気ポンプ201に、図6に示す接続ホース403及び吐出パイプ404を接続することとしてもよい。
【0067】
また、飲料供給装置1に供給された空気は、水槽109内の冷却水116で冷やされて飲料供給装置1の外部に排出される。この排出される空気は冷熱を持っているので、「空気供給手段」から飲料供給装置1に供給される空気と、飲料供給装置1から排出される空気とを、例えばシェル&チューブのような簡単な熱交換器により熱交換して、飲料供給装置1に供給する空気を予冷するようにしてもよい。
【0068】
また、前記したように、飲料供給装置1の外部に排出される空気は冷熱を持っているので、例えば、外装107の切り欠き部122a付近において、空気吐出ホース203(203A)又は接続ホース403に、翼形状の放熱フィンが円周状に複数配置された継ぎ手を、軸線方向に沿って間挿してもよい。
また、外装107の切り欠き部122a付近において、空気吐出ホース203(203A)又は接続ホース403に、円板状の放熱フィンが軸線方向に連接された継ぎ手を間挿してもよい。
【0069】
≪実験結果≫
(1.実験A)
実験Aでは、飲料供給装置1への電力供給を遮断し、外気温を約40℃になるように設定し、飲料の注出を行った。また、飲料としてビールを用いた
これは以下の実験B〜Dについても同様である。また、実験Aでは、「空気供給手段」として空気ポンプ201を用い、「空気吐出管」として前記空気ポンプ201に接続され、開口部が1個である空気吐出ホース203を用いた(図1参照)。また、飲料一杯(約300ml)を注出する際に1sec当たり2回の手押しを行い、合計10回の手押しを行った。そして、前記操作により、10杯の飲料注出を行って、樽液温[℃](飲料容器104(図7(a)参照)内の液温)と、水槽109内の冷却水温度[℃]と、注出した飲料の温度[℃]とを測定した。
また、注出した飲料の温度が8℃以下であるか否かを判定した(8℃以下である場合には○、8℃より高い場合には×として記載)。同様に、注出した飲料の温度が10℃以下であるか否かを判定した(10℃以下である場合には○、10℃より高い場合には×として記載)。
【0070】
以下では、注出温度が8℃以下であるか否か、又は、10℃以下であるか否かの判定結果に着目して説明する。実験Aでは、図8に示すように、1杯目〜4杯目と、6杯目の注出温度は8℃以下であり、5杯目と、7杯目〜10杯目の注出温度は8℃を超えた。また、1杯目〜10杯目までの注出温度は全て10℃以下であった。
【0071】
(2.実験B)
実験Bでは、「空気供給手段」として空気ポンプ201(図1参照)を用い、「空気吐出管」として前記空気ポンプ201に接続され、直径2mmの孔が設けられた環状部203A2を備える空気吐出ホース203Aを用いた(図2、図3(a)参照)。そして、飲料一杯(約300ml)を注出する際に1sec当たり2回の手押しを行い、合計10回の手押しを行った。
実験Bでは、図9に示すように、1〜6杯目の注出温度は8℃以下であり、7杯目〜10杯目までの注出温度は8℃を超えた。また、1杯目〜10杯目までの注出温度は全て10℃以下であった。
【0072】
(3.実験C)
実験Cでは、「空気供給手段」として空気ポンプ201(図1参照)を用い、「空気吐出管」として前記空気ポンプ201に接続された接続ホース403(図6参照)と、当該接続ホース403に接続された吐出パイプ404(図6参照)とを用いた。そして、飲料一杯(約300ml)を注出する際に1sec当たり2回の手押しを行い、合計10回の手押しを行った。
実験Cでは、図10に示すように、1〜2杯目の注出温度は8℃以下であり、3杯目〜10杯目までの注出温度は8℃を超えた。また、1杯目〜3杯目までの注出温度は10℃以下であり、4杯目〜10杯目までの抽出温度は10℃を超えた。
なお、図10に記載の4杯目〜10杯目までの抽出温度を参照すると、10.1℃〜12.5℃の範囲内であり、これは、外気温40℃という高温環境で飲料の抽出を行っていることを考慮すれば、許容される範囲であると考えられる。
【0073】
(4.実験D)
実験Dでは、「空気供給手段」として電動ポンプ401(図6参照)を用い、「空気吐出管」として前記電動ポンプ401に接続された接続ホース403(図6参照)と、当該接続ホース403に接続された吐出パイプ404(図6参照)とを用いた。そして、飲料の注出中は電動ポンプ401を継続して駆動させた。
実験Dでは、図11に示すように、1〜2杯目の注出温度は8℃以下であり、3杯目〜10杯目までの注出温度は8℃を超えた。また、1杯目〜2杯目までの注出温度は10℃以下であり、3杯目〜10杯目までの抽出温度は10℃を超えた。
なお、図11に記載の3杯目〜10杯目までの抽出温度を参照すると、10.7℃〜13.3℃の範囲内であり、これは、外気温40℃という高温環境で飲料の抽出を行っていることを考慮すれば、許容される範囲であると考えられる。
【0074】
(5.実験E)
前記した実験A〜Dでは、飲料としてビールを用いたのに対して、実験Eでは飲料として水を用いた実験を行った。すなわち、実験Eでは、飲料供給装置1B(図4参照)への電力供給を遮断し、外気温を約40℃になるように設定して水の注出を行った。
なお、実験Eでは、「空気供給手段」として、圧縮ポンプ301(図4参照)を用い、「空気吐出管」として前記圧縮ポンプ301に接続され、開口部が1個(ノズルの先端部)である空気吐出パイプ301e(図4参照)を用いた。そして、実験Dでは、飲料一杯(約300ml)を注出する際に確実に10回圧縮するようにした。ここで、「確実」に圧縮するとは、圧縮ポンプ301の伸縮部301a(図4参照)内の中空部(図示せず)の体積が略ゼロになるまで、確実に伸縮部301aを圧縮することを指す。
【0075】
そして、前記操作により、10杯の飲料注出を行って、樽液温[℃](飲料容器104(図7(a)参照)内の液温)と、水槽109内の冷却水温度[℃]と、注出した飲料の温度[℃]とを測定した。実験Eでは、図12に示すように、1〜5杯目の注出温度は8℃以下であり、6杯目〜10杯目までの注出温度は8℃を超えた。また、1杯目〜10杯目までの注出温度は全て10℃以下であった。
【符号の説明】
【0076】
1,1A,1B,1C,1D 飲料供給装置
109 水槽
110 コンプレッサ(冷凍機)
111 冷却ファン(冷凍機)
112 凝縮器(冷凍機)
113 攪拌モータ(攪拌手段)
116 冷却水
117 飲料冷却管
118 蒸発管
119 氷
120 モータ軸(攪拌手段)
121 攪拌羽根(攪拌手段)
201 空気ポンプ(空気供給手段、空気ポンプ)
203,203A 空気吐出ホース(空気吐出管)
203A4 孔
203a 開口部(孔)
301 圧縮ポンプ(空気供給手段、空気ポンプ)
301e 空気吐出パイプ(空気吐出管)
301h 開口部(孔)
401 電動ポンプ(空気供給手段、空気ポンプ)
403 接続ホース(空気吐出管)
404 吐出パイプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源により作動して、冷媒を冷却する冷凍機と、
冷却水が貯留される水槽と、
前記水槽に収容されて、前記冷媒が内部を通流することによって、自身の外表面に前記冷却水を氷結させて氷の層を形成する蒸発管と、
前記水槽に収容されて、冷却の対象である飲料が内部を通流する飲料冷却管と、
外部電源により作動して、前記水槽内の冷却水を流動・攪拌して前記飲料の冷却を促進する攪拌手段と、
一つ又は複数の孔を有し、前記冷却水が満たされた際の水面下に前記孔が位置するように設置される空気吐出管と、を備え、
前記外部電源の停電時に、前記空気吐出管に外部の手動又は電池作動の空気供給手段から空気が供給されることで、前記空気吐出管の前記孔を介して前記空気を吐出して、前記水槽内の前記冷却水を流動・攪拌させて前記氷の層との伝熱を促進させるように構成されたこと
を特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記空気供給手段は、手動式の空気ポンプ、又は、電池作動式の空気ポンプであること
を特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記空気供給手段と前記空気吐出管が一体とされた空気ポンプから、前記空気が供給されること
を特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記飲料冷却管は、螺旋形状の熱交換器であり、
前記空気吐出管は、前記孔が形成される部位が、前記飲料冷却管の螺旋形状に沿うような環状に形成されていること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料冷却装置。
【請求項5】
水槽と、外部電源により作動する冷凍機と、外部電源により作動して前記水槽内の冷却水を攪拌する攪拌手段と、を備え、
前記冷凍機により氷結された前記水槽内の氷が有する冷熱により、外部から供給される飲料を前記水槽内にて瞬冷する瞬冷式の飲料供給装置における飲料の冷却方法であって、
前記外部電源が停電した際に、手動又は電池により作動する空気ポンプにより、外部から前記水槽内に空気を供給することで前記水槽内の冷却水を流動・攪拌させて、前記氷が有する冷熱により前記飲料の冷却を促進すること
を特徴とする飲料の冷却方法。
【請求項1】
外部電源により作動して、冷媒を冷却する冷凍機と、
冷却水が貯留される水槽と、
前記水槽に収容されて、前記冷媒が内部を通流することによって、自身の外表面に前記冷却水を氷結させて氷の層を形成する蒸発管と、
前記水槽に収容されて、冷却の対象である飲料が内部を通流する飲料冷却管と、
外部電源により作動して、前記水槽内の冷却水を流動・攪拌して前記飲料の冷却を促進する攪拌手段と、
一つ又は複数の孔を有し、前記冷却水が満たされた際の水面下に前記孔が位置するように設置される空気吐出管と、を備え、
前記外部電源の停電時に、前記空気吐出管に外部の手動又は電池作動の空気供給手段から空気が供給されることで、前記空気吐出管の前記孔を介して前記空気を吐出して、前記水槽内の前記冷却水を流動・攪拌させて前記氷の層との伝熱を促進させるように構成されたこと
を特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記空気供給手段は、手動式の空気ポンプ、又は、電池作動式の空気ポンプであること
を特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記空気供給手段と前記空気吐出管が一体とされた空気ポンプから、前記空気が供給されること
を特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記飲料冷却管は、螺旋形状の熱交換器であり、
前記空気吐出管は、前記孔が形成される部位が、前記飲料冷却管の螺旋形状に沿うような環状に形成されていること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料冷却装置。
【請求項5】
水槽と、外部電源により作動する冷凍機と、外部電源により作動して前記水槽内の冷却水を攪拌する攪拌手段と、を備え、
前記冷凍機により氷結された前記水槽内の氷が有する冷熱により、外部から供給される飲料を前記水槽内にて瞬冷する瞬冷式の飲料供給装置における飲料の冷却方法であって、
前記外部電源が停電した際に、手動又は電池により作動する空気ポンプにより、外部から前記水槽内に空気を供給することで前記水槽内の冷却水を流動・攪拌させて、前記氷が有する冷熱により前記飲料の冷却を促進すること
を特徴とする飲料の冷却方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−52923(P2013−52923A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194067(P2011−194067)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]