説明

飲料供給装置

【目的】BIBに充填されたシロップの吐出量を一定に保ち、所定の希釈比率の飲料を供給することが可能な飲料供給装置を提供することを目的とする。
【構成】シロップが充填されたシロップ容器10aと、シロップ容器10aの底部に一端を連通するとともに他端に吐出口10cを形成した可撓性のチューブ10bと、を有するBIB10を載置する冷蔵庫8と、シロップ容器10aを上部から加重して押し潰し、シロップをチューブ10bに押し出す加重体15と、チューブ10bの一端と他端との間には、シロップ容器10aからチューブ10bに流出したシロップの吐出量を調整するための流量調整器12と、シロップの吐出をオン、オフするピンチソレノイド13と、を配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BIB(Bag In Box)に充填されたシロップと希釈水とを吐出して飲料を供給する飲料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、BIBに充填されたシロップを一定量ずつ吐出するチューブポンプを用いて、シロップと希釈水とからなる飲料を供給する飲料供給装置として、たとえば、図6に示す飲料ディスペンサが知られている。
図6に示すように、飲料ディスペンサ30は、開閉可能な前扉31を備え、ディスペンサ本体32上部に配置される冷蔵庫33、その冷蔵庫33内に収納されたBIB34のシロップを一定量ずつ吐出するチューブポンプ40、カップCを載置するカップレスト(図示せず)を設けたドリップトレイ36等から構成され、冷蔵庫33内は冷却装置(図示せず)で冷却されている。また、チューブポンプ40に配設したチューブ35の吐出口35a(図7参照)近傍には希釈水を所定量注出する希釈水ノズル37が設けられ、飲料供給指令を受けると、カップCにシロップと希釈水とが所定量ずつ供給されて飲料となる。
【0003】
図7は、チューブポンプ40の正面図を示し、チューブポンプ40は、ボディ41に回転可能に軸支されたロータ42を備え、ロータ42は、円周方向に等間隔に配設された3個のローラ43を回転可能に保持している。ロータ42の片側には、チューブガイド44が支軸45に揺動可能に軸支され、ローラ43とチューブガイド44との間にチューブ35が配設されている。チューブガイド44は、上流側端部がストッパ46に当接されることによりロータ42に対して位置合わせされ、チューブガイドロック47で固定されている。また、チューブ35の吐出口35aは、チューブ固定部48で固定されている。
チューブポンプ40は、チューブ35を配設してチューブガイドロック47でチューブガイド44を位置決め固定した状態で駆動モータ(図示せず)を駆動してロータ42を時計方向(図中矢印方向)に回転させると、各ローラ43がチューブ35を所定の押圧力で順次押し潰してしごき、シロップを一定量ずつ吐出する。シロップの吐出を停止するときは、チューブ35内のシロップが流出しないように、ロータ42の少なくとも一つのローラ43がチューブガイド44にチューブ35を押圧する位置で駆動モータを停止させる。また、チューブガイドロック47の先端部を図示しない付勢バネの付勢力に反して穴から引き抜き、チューブガイド44をチューブ35から離間する方向に揺動させると、ローラ43がチューブ35を押し付ける押圧力が解除される(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−128197号公報
【特許文献2】特開2002−130153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、飲料ディスペンサ30は、チューブポンプ40のローラ43がチューブ35をチューブガイド44に常に押圧しているので、チューブ35はこのローラ43の押圧力で徐々に真円から楕円に変形する。このようにBIB34を飲料ディスペンサ30に載置し、チューブ35をチューブポンプ40に配設してからの時間経過(放置)に伴いチューブ35の変形が進行するとシロップが通過する断面積(チューブ内シロップ容量)が減少するので、図8に示すように(発明者が行った実機試験から得たデータによる)、チューブ35の吐出口35aからの単位時間当たりのシロップ吐出量が減少する。また、飲料ディスペンサ30での飲料供給により、BIB34内のシロップ量(シロップ嵩)が減少するとシロップ自重が軽くなり、チューブ35内の流出圧が下がり、図9に示すように(発明者が行った実機試験から得たデータによる)、チューブ35の吐出口35aからの単位時間当たりのシロップ吐出量が減少する。
【0005】
単位時間当たりのシロップ吐出量が減少すると、飲料の希釈比率が変化して、シロップ比率の少ない、所謂、味の薄い飲料となる虞があった。
本発明は、上記実情に鑑みて、BIBに充填されたシロップの吐出量を一定に保ち、所定の希釈比率の飲料を供給することが可能な飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る飲料供給装置は、シロップと希釈水とを吐出して飲料を供給する飲料供給装置において、
前記シロップが充填されたシロップ容器と、該シロップ容器の底部に一端を連通するとともに他端に吐出口を形成した可撓性のチューブと、を有するBIBを載置する収容庫と、
前記シロップ容器のシロップをチューブに押し出す押し出し手段と、
前記チューブの一端と他端との間には、前記シロップ容器からチューブに流出した前記シロップの吐出量を調整するための流量調整手段と、前記シロップの吐出をオン、オフする吐出弁と、
を配設したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る飲料供給装置は、上述した請求項1において、前記押し出し手段は、前記シロップ容器を上部から加重して押し潰し、シロップをチューブに押し出す加重体であることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る飲料供給装置は、上述した請求項1において、前記押し出し手段は、前記シロップ容器内に圧力を加えて、シロップをチューブに押し出すガス圧であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、BIBを飲料ディスペンサに載置してからの時間が経過したり、また、飲料ディスペンサでの飲料供給により、BIBのシロップ量(シロップ嵩)が減少した場合にも、BIBに充填されたシロップの吐出量を一定に保ち、所定の希釈比率の飲料を供給することが可能な飲料供給装置を実現することができる
また、請求項2の発明によれば、BIBのシロップ容器に充填されているシロップには常に一定の加重が掛けてあるので、チューブの吐出口から吐出するシロップの量を終始一定量に保つことができる。
また、請求項3の発明によれば、BIBのシロップ容器内には常に一定圧のガス圧を掛けてシロップをチューブに押し出すようにしたので、チューブの吐出口から吐出するシロップの量を終始一定量に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る飲料供給装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である飲料ディスペンサ1の外観図である。図1に示すように、飲料ディスペンサ1は、前面に開口を有するディスペンサ本体2と、ディスペンサ本体2の前面開口を開閉可能にする態様で該ディスペンサ本体2の前面の一側に支承された前扉3とを有し、前扉3の表面には、飲料供給ボタンを備えた操作パネル4が配設してある。また、飲料ディスペンサ1の前面側下方には、飲料容器であるカップの置き台になるカップレスト5と、飲料を提供する際に飛び散った飲料などを集めるためのドリップトレイ6が設けてある。さらに、飲料ディスペンサ1を支え、高さ調整可能なレベリング調整脚である脚部7を備えている。
【0010】
図2は飲料ディスペンサ1の前扉3を開いたディスペンサ本体2の前面側面図である。ディスペンサ本体2上部に配置される冷蔵庫(収容庫)8、冷凍サイクルに接続された蒸発器で冷やされた冷気を循環させて冷蔵庫8内を冷却する冷却装置9、冷蔵庫8に載置されたBIB10、BIB10のシロップが充填されたシロップ容器10aの底部に一端を連通するとともに他端に吐出口10cを形成した可撓性のチューブ10b、チューブ10bの吐出口10c近傍には所定量の希釈水を注出する希釈水ノズル11、チューブ10bに配設した、シロップ容器10aからチューブ10bに流出したシロップの吐出量を調整するための流量調整器(流量調整手段)12、および、シロップの吐出をオン、オフするピンチソレノイド(吐出弁)13、希釈水ノズル11、流量調整器12およびピンチソレノイド13を配設した取付台14、シロップ容器10aを上部から加重して押し潰し、シロップをチューブ10bに押し出す加重体15、が設けられている。
【0011】
図3は、希釈水ノズル11、流量調整器12およびピンチソレノイド13の正面図を示している。流量調整器12は、チューブ固定部12aにねじ止めされた調整ねじ12bを回転させることによりチューブ10bを押し潰してシロップの吐出量を調整する機能を有している。ピンチソレノイド13は、内部にソレノイドで動作するピンチバルブ(図示せず)を備えており、チューブ10bの下端付近を位置決め固定するとともに、通常時はチューブ10bを閉塞しつつ、シロップの吐出を行うときにのみ閉塞を解除する機能を有している。希釈水ノズル11は、シロップの吐出を行うときに同時に希釈のための冷水を注出するものである。
このように構成した飲料ディスペンサ1は、操作パネル4の飲料供給ボタンが押され、飲料供給指令が出力されて、ピンチソレノイド13がチューブ10bの閉塞を解除すると、BIB10のシロップ容器10aに充填されているシロップには常に一定の加重が掛けられているので、チューブ10bの吐出口10cから吐出するシロップの量は終始一定量に保たれる。さらに、シロップの種類により、粘度が異なり、吐出量も異なるが、流量調整器12の調整ねじ12bを回転させてチューブ10bを押し潰す量を変化させてシロップの吐出量を調整することにより、所定量のシロップを吐出することができる。そして、カップレスト5に載置されたカップCにチューブ10bからシロップが、希釈水ノズル11から希釈水が所定量ずつ供給されて所定の希釈比率の飲料となる。
【0012】
以上のように、シロップが充填されたシロップ容器10aと、シロップ容器10aの底部に一端を連通するとともに他端に吐出口10cを形成した可撓性のチューブ10bと、を有するBIB10を載置する冷蔵庫8と、シロップ容器10aを上部から加重して押し潰し、シロップをチューブ10bに押し出す加重体15と、チューブ10bの一端と他端との間には、シロップ容器10aからチューブ10bに流出したシロップの吐出量を調整するための流量調整器12と、シロップの吐出をオン、オフするピンチソレノイド13と、を配設したので、BIB10を飲料ディスペンサ1に載置してからの時間が経過したり、また、飲料ディスペンサ1での飲料供給により、BIB10のシロップ量(シロップ嵩)が減少した場合にも、BIB10に充填されたシロップの吐出量を一定に保ち、所定の希釈比率の飲料を供給することが可能な飲料供給装置を実現することができる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について図4を参照して説明する。実施の形態1では、チューブ固定部12aにねじ止めされた調整ねじ12bを回転させることによりチューブ10bを押し潰す量を変化させてシロップの吐出量を調整する流量調整器12を備えていたが、この実施の形態2では、シロップの吐出量を、予めシロップの粘度に合わせたオリフィス18dをBIB18のシロップ容器18aのシロップ流出口に設け、チューブ18bの吐出口18cからシロップを吐出するようにしている。
【0013】
このように、予めシロップの粘度に合わせたオリフィス18dを設けているので、使用するシロップに合わせるための吐出量調整が不要となり、また、調整ミス等も防ぐことができる。
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について図5を参照して説明する。実施の形態1では、シロップをチューブ10bに押し出すのに、シロップ容器10aを上部から加重して押し潰す加重体15を設けていたが、この実施の形態3では、BIB21のシロップ容器21aに充填してあるシロップをチューブ21bに押し出すのに、炭酸ガスボンベ(図示せず)から供給される一定圧の炭酸ガスをガス管路22を介してガス口21dからシロップ容器21a内に導入してシロップに圧力を加えてチューブ21bに押し出すようにしている。
【0014】
このように、BIB21のシロップ容器21a内には常に一定圧のガス圧を掛けてシロップをチューブ21bに押し出すようにしたので、チューブ21bの吐出口21cから吐出するシロップの量は終始一定量に保たれるので、BIB21を飲料ディスペンサ20に載置してからの時間が経過したり、また、飲料ディスペンサ20での飲料供給により、BIB21のシロップ量(シロップ嵩)が減少した場合にも、BIB21に充填されたシロップの吐出量を一定に保ち、所定の希釈比率の飲料を供給することが可能な飲料供給装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1である飲料供給装置の外観図である。
【図2】図1に示した飲料供給装置の前扉を開いた前面側面図である。
【図3】図1に示した飲料供給装置の流量調整手段および吐出弁の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態2である飲料供給装置の流量調整手段の正面図である。
【図5】本発明の実施の形態3である飲料供給装置の前扉を開いた前面側面図である。
【図6】従来の飲料供給装置の前扉を開いた前面側面図である。
【図7】図6に示した飲料供給装置のチューブポンプの正面図である。
【図8】チューブ配設後の放置によるシロップ吐出量の変化を示す図である。
【図9】供給量(ロータの回転数)によるシロップ吐出量の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1 飲料ディスペンサ
2 ディスペンサ本体
3 前扉
8 冷蔵庫
9 冷却装置
10 BIB
10a シロップ容器
10b チューブ
10c 吐出口
11 希釈水ノズル
12 流量調整器
12a チューブ固定部
12b 調整ねじ
13 ピンチソレノイド
18 BIB
18d オリフィス
20 飲料ディスペンサ
21 BIB
21a シロップ容器
21b チューブ
21c 吐出口
21d ガス口
22 ガス管路
C カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロップと希釈水とを吐出して飲料を供給する飲料供給装置において、
前記シロップが充填されたシロップ容器と、該シロップ容器の底部に一端を連通するとともに他端に吐出口を形成した可撓性のチューブと、を有するBIBを載置する収容庫と、
前記シロップ容器のシロップをチューブに押し出す押し出し手段と、
前記チューブの一端と他端との間には、前記シロップ容器からチューブに流出した前記シロップの吐出量を調整するための流量調整手段と、前記シロップの吐出をオン、オフする吐出弁と、
を配設したことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記押し出し手段は、前記シロップ容器を上部から加重して押し潰し、シロップをチューブに押し出す加重体であることを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記押し出し手段は、前記シロップ容器内に圧力を加えて、シロップをチューブに押し出すガス圧であることを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate