説明

飲料供給装置

【課題】 飲料汲み上げ用のポンプ装置の分解作業や清掃作業が不要で、メンテナンスが容易で飲料の吐出量が低下しない飲料供給装置を提供する。
【解決手段】 冷蔵庫10内に倒立姿勢で取りつけた市販の飲料容器20から冷蔵庫10外に飲料を供給する飲料供給装置装置30であって、飲料容器20の口に設けられる封止部材38と、封止部材38を経由して飲料容器20内の飲料を通し、外部からの押圧及び開放動作によって飲料の供給停止及び供給開始を制御する弾性体チューブ44を少なくとも一部に有する流通部材と、弾性体チューブ44に対して押圧及び開放動作を行う押圧開放手段50と、飲料容器20の口と同じ位置又はその口よりも下方に配置され、流通部材内を通過した飲料を冷蔵庫外に供給する飲料供給部47とを備えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に装着された飲料供給装置に関し、更に詳しくは、冷蔵庫内に倒立姿勢で取りつけた市販の飲料容器から冷蔵庫外に飲料を供給する飲料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫内で冷却された冷たい飲料を冷蔵庫外に供給する飲料供給装置として、冷蔵庫の扉の後面に飲料を充填したペットボトルを配し、ペットボトルの上部にギアポンプを内蔵したポンプ装置を設け、このポンプ装置がペットボトル内に配置した注水パイプを介して飲料を汲み上げ、冷蔵庫の扉に設けた給液経路を経由して、扉の前面から飲料を取出すようにした飲料供給装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平10−148460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載の飲料供給装置においては、ギヤポンプ等を分解して洗浄をしなければならないという不具合があった。さらに、ギヤポンプはその構造が複雑であると共に、ギヤポンプを用いた汲み上げ手段では、ギヤ同士やギヤとハウジングとの間のクリアランスが狭いので、飲料に含まれる糖分の粘性や沈殿物によるロストルクが増大し、飲料の吐出量が著しく低下するという問題があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、飲料汲み上げ用のポンプ装置の分解作業や清掃作業が不要で、メンテナンスが容易で飲料の吐出量が低下しない飲料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の飲料供給装置は、冷蔵庫内に倒立姿勢で取りつけた市販の飲料容器から冷蔵庫外に前記飲料容器内の飲料を供給する飲料供給装置であって、前記飲料容器の口に設けられる封止部材と、前記封止部材を経由して前記飲料容器内の飲料を通し、外部からの押圧及び開放動作によって飲料の供給停止及び供給開始を制御する弾性体チューブを少なくとも一部に有する流通部材と、前記弾性体チューブに対して押圧及び開放動作を行う押圧開放手段と、前記飲料容器の口と同じ位置又は当該口よりも下方に配置され、前記流通部材内を通過した飲料を冷蔵庫外に供給する飲料供給部と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、飲料を冷蔵庫外に供給する飲料供給部を飲料容器の口と同じ位置又はその口よりも下方に配置し、さらに、弾性体チューブに対して押圧及び開放動作を行う押圧開放手段を備えているので、飲料容器内の飲料は重力の作用により、ポンプを用いることなく飲料供給部から冷蔵庫外に簡単な機構で供給される。その結果、従来のようなポンプの分解洗浄作業が不要となり、飲料供給装置のメンテナンスが容易となる。なお、本願において、単に「倒立姿勢」と言うときは、重力方向と平行に倒立させた場合と、重力方向に対して傾けて倒立させた場合とを含む意味で用いている。
【0007】
本発明の飲料供給装置において、前記飲料容器が、その口を飲料供給部に近づけるように傾いた倒立姿勢で取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、飲料容器の口を飲料供給部に近づけるように、飲料容器を重力方向に対して傾けた倒立姿勢で取り付けられているので、飲料容器の口から飲料供給部までの長さを小さく抑えることができる。その結果、流通部材を通って飲料供給部に至るまでの時間が短くなり、コップ等への飲料水供給時間を短縮することができる。
【0009】
本発明の飲料供給装置において、前記押圧開放手段は、(1)駆動源と、当該駆動源により前記弾性体チューブに対して押圧及び開放動作を行うカムとを備える構成としてもよいし、(2)前記弾性体チューブに対して押圧力を発生する押圧力発生手段と、前記押圧力発生手段が発生する押圧力に対抗して又はその押圧力を解除して前記弾性体チューブを開放する押圧力開放手段とを備える構成としてもよい。なお、押圧力開放手段としては、ソレノイドや手動ボタン等を挙げることができる。
【0010】
この発明のうち、(1)の発明では、弾性体チューブに対しての押圧及び開放動作を、カムにより、より確実に行うことができる。また、(2)の発明では、押圧力発生手段が発生する押圧力に対抗して又はその押圧力を解除して弾性体チューブを開放する押圧力開放手段を備えるので、開放動作による供給開始と開放動作終了による供給停止とをより素早く行うことができる。その結果、飲料の供給開始と供給停止の応答性がより向上する。
【0011】
本発明の飲料供給装置において、前記飲料容器を冷蔵庫内に着脱自在に固定する容器固定手段を備えることを特徴とする。この発明によれば、飲料容器を冷蔵庫内に容易に位置決めできると共に、飲料容器の着脱が容易となる。
【0012】
本発明の飲料供給装置において、前記飲料容器内の飲料の残量を確認できる残量確認手段を備えることを特徴とする。この発明によれば、利用者は、飲料容器内における飲料の残量を冷蔵庫の外部から知ることができる。なお、そうした残量確認手段としては、飲料容器の質量を検知する質量センサーや、冷蔵庫の扉に設けた視認窓等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の飲料供給装置によれば、飲料汲み上げ用のポンプ装置の分解作業や清掃作業が不要で、メンテナンスが容易で飲料の吐出量が低下しない飲料供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本発明の飲料供給装置は、冷蔵庫内に倒立姿勢で取りつけた市販の飲料容器から冷蔵庫外に飲料容器内の飲料を供給する飲料供給装置であって、飲料容器の口に設けられる封止部材と、その封止部材を経由して飲料容器内の飲料を通し、外部からの押圧及び開放動作によって飲料の供給停止及び供給開始を制御する弾性体チューブを少なくとも一部に有する流通部材と、弾性体チューブに対して押圧及び開放動作を行う押圧開放手段と、飲料容器の口と同じ位置又はその口よりも下方に配置され、流通部材内を通過した飲料を冷蔵庫外に供給する飲料供給部とを備えている。すなわち、本発明の特徴は、重力の作用を利用して飲料容器内の飲料を冷蔵庫外に供給すると共に、流通部材の一部を構成する弾性体チューブを外部から押圧して飲料の供給を停止し、その押圧を解除して飲料の供給を開始することに特徴を有するものである。
【0016】
こうした本発明の飲料供給装置は、弾性体チューブに対して押圧及び開放動作を行う押圧開放手段を備えているが、この押圧開放手段の構成の違いにより、以下の3つの実施形態に分けて説明する。なお、本願において、「冷蔵庫」とは、冷却機能を有する箱体のことであり、一般的な冷蔵庫や冷凍冷蔵庫を含む意味で用いている。また、本願において、単に「倒立姿勢」と言うときは、重力方向と平行に倒立させた場合と、重力方向に対して傾けて倒立させた場合とを含む意味で用いている。
【0017】
第1実施形態の押圧開放手段は、モータ等の駆動源と、その駆動源により弾性体チューブに対して押圧及び開放動作を行うカムとを備える実施形態であり、第2実施形態の押圧開放手段は、弾性体チューブに対して押圧力を発生する押圧力発生手段と、その押圧力発生手段が発生する押圧力に対抗して弾性体チューブを開放するソレノイドを押圧力開放手段として備える実施形態であり、第3実施形態の押圧開放手段は、弾性体チューブに対して押圧力を発生する押圧力発生手段と、その押圧力発生手段が発生する押圧力に対抗して弾性体チューブを開放する手動ボタンを押圧力開放手段として備える実施形態である。なお、他の実施(図示しない)の押圧開放手段としては、弾性体チューブに対して押圧力を発生する押圧力発生手段と、その押圧力発生手段が発生する押圧力を解除して弾性体チューブを開放する押圧力開放手段とを備える形態も挙げることができる。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置30を冷蔵庫10の扉12に取りつけた一例を示す扉12部分の断面構成図である。また、図2は、図1のA−A’断面の矢視図であり、図3は、図1のB−B’断面の矢視図である。
【0019】
図1に示す冷蔵庫10において、冷蔵室の扉12を境に図1の平面視右側が冷蔵庫10の外部であり、平面視左側が冷蔵庫10の内部(冷蔵室)である。冷蔵庫10には、冷蔵庫10の内部と外部とを仕切る開閉自在な扉12,14が設けられている。その扉12には、冷蔵庫10の内部に倒立姿勢で取りつけた市販の飲料容器20から、冷蔵庫10の外部に飲料容器20内の飲料を供給する飲料供給装置30が設けられている。
【0020】
飲料供給装置30には、水、茶、清涼飲料、果汁飲料等の飲料を貯蔵する飲料容器20(ペットボトルや金属ボトル等)を、冷蔵庫10の扉12の内側に重力方向と平行に倒立させた倒立姿勢の状態で着脱自在に固定する容器固定手段32が設けられている。容器固定手段32としては、例えば図1及び図2に示すように、飲料容器20を保持する保持部材36と、保持部材36に対して開閉可能に取りつけられて飲料容器20を固定するスナップフック34とから構成されている。
【0021】
飲料供給装置30は、飲料容器20の口に装着して飲料容器20内の飲料の漏出を防止する封止部材38と、飲料容器20を冷蔵庫10の扉12の内側に位置決め装着する容器装着部材42(図1及び図3を参照)と、封止部材38を経由して飲料容器20内の飲料を通し、外部からの押圧及び開放動作によって飲料の供給停止及び供給開始を制御する弾性体チューブ44を中間部に有する流通部材と、飲料容器20の口と同じ位置又その口よりも下方に配置され、流通部材内を通過した飲料を冷蔵庫10の外部に供給する飲料供給部47とを備えている。飲料供給部47としては、図1に示すように、コップ等の器46に供給する吐出口48を含む構成を例示できる。この吐出口48は、飲料容器20の口と同じ位置又はその口よりも下方に配置されているので、飲料容器20内の飲料は重力の作用により吐出口48から器46に勢いよく供給される。
【0022】
飲料容器20内を大気圧にするための空気の供給は、図1に示すような空気供給チューブ60で行ってもよいが、流通部材の内径を十に分太くしておくことによって、空気供給チューブ60を設けなくても吐出口48から飲料容器内に空気を供給することができる。
【0023】
封止部材38は、例えば図3に示すように、弾性体チューブ44に連結する剛性チューブ45(図1参照)を通す穴が少なくとも設けられており、必要に応じて、空気供給チューブ60に連結する剛性チューブ61(図1参照)を通す穴が設けられている。この封止部材38は、ゴムパッキンやシリコンパッキンのような弾性のあるパッキンを加工して用いることが好ましい。この封止部材38は、キャップ部材39に装着され、そのキャップ部材39を飲料容器20の口に装着することにより、飲料容器20を倒立姿勢で取り付けた際に、飲料容器20の口から飲料が漏れるのを防ぐことができる。なお、このキャップ部材39の内周面は、図1に示すようにねじが形成されていないものでもよいし、ねじが形成されているものであってもよい。
【0024】
飲料容器20がペットボトルのような鍔付きの容器である場合には、封止部材38を飲料容器20の口にしっかりと押し付けるためクランパ40を、キャップ部材39に取り付けることができる。このクランパ40は、キャップ部材39に回動自在に複数取り付けられ、飲料容器20の鍔22に係合して封止部材38を飲料容器20の口にしっかりと押しつけ、飲料が漏れるのを防止する。
【0025】
一方、飲料容器20がアルミニウムボトル等の金属ボトルのように、鍔が付いていない容器である場合には、バネによって飲料容器20を挟むように付勢するクランパ(図示しない)をキャップ部材39に取り付けることもできる。
【0026】
飲料供給装置30には、弾性体チューブ44に対して押圧及び開放動作を行う押圧開放手段50が設けられている。押圧開放手段50としては、各種のものを例示できるが、この第1実施形態では、弾性体チューブ44を押圧するためのカム52と、そのカム52を回動させるモータ等を含む駆動源54とを備えたものを例示できる。カム52は、弾性体チューブ44を押圧するための押圧部56を有し、その押圧部56は、カム52の回動中心Pに対して偏心した位置に存在している。なお、駆動源54として、電磁クラッチを用いてもよい。
【0027】
弾性体チューブ44をはさんだカム52の反対側には、カム52の押圧部56と協働して弾性体チューブ44を挟むための背板58が設けられている。図1においては、カム52が右回りに回動するトルクを発生しているので、カム52の押圧部56が弾性体チューブ44を押圧した状態となっている。このとき、弾性体チューブ44は、背板58とカム52の押圧部56との間に挟まれている。したがって、弾性体チューブ44の飲料経路は閉鎖されており、飲料容器20内の飲料は、弾性体チューブ44の内部を通過することができず、飲料の供給は停止した状態となっている。
【0028】
符号59は、駆動源54のスイッチである。利用者がスイッチ59を操作すると、駆動源54がカム52を回動中心Pを中心に左回りに回動させ、押圧部56が図1に示すQの位置まで移動して押圧力が解除される。すると、押圧部56により押圧されていた弾性体チューブ44は押圧から開放されるので、弾性体チューブ44の復元力により飲料経路が確保される。その結果、飲料容器20内の飲料は、弾性体チューブ44の内部を通過して吐出口48に至り、冷蔵庫外に準備された器46に供給される。したがって、この第1実施形態においては、押圧力発生手段は、カム52を回動中心Pを中心に右回りに回動させることであり、押圧力開放手段は、カム52を回動中心Pを中心に左回りに回動させることである。
【0029】
飲料供給装置30には、飲料容器内の飲料の残量を確認できる残量確認手段を備えていることが好ましい。残量確認手段としては、飲料容器20の質量を検知する質量センサーや、冷蔵庫の扉に設けた視認窓等を挙げることができる。例えば図1においては、残量確認手段として、飲料容器20の質量を検出する歪センサ等の質量検出手段62,63と、検出した飲料容器20の質量を飲料の残量として表示する液晶表示器等の表示手段64とを設けてある。これにより、利用者は、飲料容器20内における飲料の残量を、冷蔵庫10の外部から知ることができる。
【0030】
さらに、図1に示す例では、残量確認手段として、冷蔵庫10の扉12に設けた窓であって、飲料容器20内の飲料の残量を視認することができる視認窓70と、冷蔵庫10の内部と外部とを隔離する透明のレンズ72とを備えている。これにより、利用者は、飲料容器20内における飲料の残量を、冷蔵庫10の外部から容易に視認することができる。なお、この第1実施形態では、残量確認手段として、質量センサーを用いる手段と視認窓を用いる手段の、2つの手段を同時に設けているが、これらの一方を用いたものであっても構わない。
【0031】
次に、飲料容器20の脱着手順について説明する。
【0032】
先ず、飲料が充填されている飲料容器20(ペットボトル等)を準備し、蓋を開封して取り除く。次に、冷蔵庫10の扉12を開けて封止部材38が装着されたキャップ部材39を手に取り、飲料容器20の口に被せる。そして、キャップ部材39に設けられている複数のクランパ40を飲料容器20の鍔22に掛けて、キャップ部材39を飲料容器20に固定する。このとき、飲料容器20の口に当接する封止部材38には剛性チューブ45,61が装着されており、キャップ部材39はその剛性チューブ45,61に差し込まれた弾性体チューブ44及び空気供給チューブ60とを介して扉12に接続されているが、弾性体チューブ44及び空気供給チューブ60は屈曲自在であるので、キャップ部材39を飲料容器20の口に装着する作業は容易である。
【0033】
次に、飲料容器20を倒立させた倒立姿勢の状態で、容器装着部材42のC形状の開口(図3に示すR部分)から孔の中央に弾性体チューブ44及び空気供給チューブ60を入れた後、キャップ部材39先端の凸部を容器装着部材42のC形状の中央部に落とし込み、飲料容器20を扉12に固定すると共に、位置決めする。
【0034】
次に、飲料容器20を保持部材36に押し当てた状態で、スナップフック34を回動させて保持部材36に係合させる(図1及び図2を参照。)。このような容器固定手段により、飲料容器20を扉12に固定する。なお、飲料容器20を扉12から取り外す手順は、上記の取付作業と逆の手順で行う。
【0035】
図1に示すクランパ40を含むキャップ部材39、弾性体チューブ44、空気供給チューブ60及び吐出口48は、扉12に対して脱着が容易なように構成されている。例えば、キャップ部材39は、扉内面に取り付けられた容器装着部材42に対して容易に脱着することができ、弾性体チューブ44と空気供給チューブ60は、キャップ部材39に取り付けられた剛性チューブ45,61に対して容易に脱着することができ、吐出口48は、扉に取り付けられた容器カバー49に形成された穴に容易に脱着することができる。これらの部品は、単純なパイプの形状であるので、洗浄や清掃が比較的容易である。
【0036】
以上のように、第1実施形態に係る飲料供給装置によれば、飲料を冷蔵庫外に供給する飲料供給部を飲料容器の口と同じ位置又はその口よりも下方に配置し、さらに、弾性体チューブに対して押圧及び開放動作を行う押圧開放手段を備えているので、飲料容器内の飲料は、重力の作用により、ポンプを用いることなく飲料供給部から冷蔵庫外に簡単な機構で供給される。その結果、従来のような飲料汲み上げ用のポンプ装置の分解作業や清掃作業が不要で、メンテナンスが容易で飲料の吐出量が低下しない飲料供給装置となる。また、この第1実施形態では、弾性体チューブに対しての押圧及び開放動作を、カムにより、より確実に行うことが可能である。
【0037】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置130を冷蔵庫110の扉112に取りつけた一例を示す扉112部分の断面構成図である。この第2実施形態に係る飲料供給装置130の押圧開放手段150は、弾性体チューブ44に対して押圧力を発生する押圧力発生手段155と、押圧力発生手段155が発生する押圧力に対抗して弾性体チューブ44を開放するためのソレノイド154を押圧力開放手段として備える実施形態である。飲料供給装置130の構成は、図1に示した飲料供給装置30と略同様の構成をしており、同一の機能を有する構成については同一の符番を付して説明を省略する。
【0038】
図4に示す飲料供給装置130は、飲料容器20の口を飲料供給部47に近づけるように傾けた倒立姿勢にして飲料容器20を設置する実施形態である。飲料容器20を冷蔵庫110の扉112の内側に着脱自在に固定する容器固定手段32と、飲料容器20を冷蔵庫110の扉112の内側に位置決めする容器装着部材42の構成は上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。重力方向と平行に倒立させた場合と、重力方向に対して傾けて倒立させた場合と
【0039】
この飲料供給装置130は、飲料容器20の口に装着して飲料容器20内の飲料の漏出を防止する、螺着(ねじ嵌合)式のキャップ部材138を備えている。上記第1の実施形態では、キャップ部材39はクランパ40を用いて飲料容器20と固定していたが、第2の実施形態では、螺合する構造としている。
【0040】
また、飲料供給装置130には、弾性体チューブ44に対して押圧及び開放動作を行う押圧開放手段150が設けられている。押圧開放手段150は、弾性体チューブ44をつぶして飲料水の供給を絶つ際に用いる固定側の一組のカムフォロワ158と、駆動側の押圧ピン156とを備えている。
【0041】
押圧ピン156は、弾性体チューブ44を開放するためのソレノイド154のロッド157に連結されており、ソレノイド154の非通電時には、バネ等の弾性体から構成される押圧力発生手段155の力によって、図4の平面視下方向に付勢されている。したがって、弾性体チューブ44は、押圧ピン156と一組のカムフォロワ158とによって2箇所押しつぶされた状態になっているので、弾性体チューブ44の飲料経路は閉鎖されており、飲料容器20内の飲料は弾性体チューブ44の内部を通過することができず、飲料の供給は停止した状態となる。
【0042】
利用者がスイッチ59を押している間、ソレノイド154が、押圧力発生手段155が発生する押圧力に対抗して、ロッド157を図4の平面視上方向に移動させる。すると、ロッド157と連結されている押圧ピン156が上昇して、弾性体チューブ44を押圧から開放する。その結果、弾性体チューブ44内の飲料経路が確保され、飲料容器20内の飲料は、弾性体チューブ44の内部を通過し、吐出口148から器46に供給される。
【0043】
図4に示す実施形態には、飲料容器20の質量を検出する歪センサ等の質量検出手段62,63と、検出した飲料容器20の質量を飲料の残量として表示する液晶表示器等の表示手段64とを設けてある。これにより、利用者は、飲料容器20内における飲料の残量を、冷蔵庫10の外部から知ることができる。
【0044】
次に、飲料容器20の脱着手順について説明する。
【0045】
先ず、飲料が充填されている飲料容器20(ペットボトル等)を準備し、蓋を開封して取り除く。次に、冷蔵庫110の扉112を開けて封止部材38が装着されたキャップ部材138を手にとり、飲料容器20の口に被せ、相対的に封止部材138を右回転させてねじ込み、キャップ部材39を飲料容器20に固定する。このとき、飲料容器20の口に当接する封止部材38には剛性チューブ45,61が装着されており、キャップ部材138はその剛性チューブ45,61に差し込まれた弾性体チューブ44及び空気供給チューブ60とを介して扉12に接続されているが、弾性体チューブ44及び空気供給チューブ60は屈曲自在であるので、キャップ部材138を飲料容器20の口に装着する作業は容易である。
【0046】
次に、飲料容器20を斜めに倒立させた状態で、上記第1実施形態と同様に、容器装着部材42のC形状の開口(図3に示すR部分)から孔の中央に弾性体チューブ44及び空気供給チューブ60を入れた後、キャップ部材138先端の凸部を容器装着部材42のC形状の中央部に落とし込み、飲料容器20を扉112に固定すると共に、位置決めする。
【0047】
次に、飲料容器20を保持部材36に押し当てた状態で、スナップフック34を回動させて保持部材36に係合させる(図1及び図2を参照。)。このような容器固定手段により、飲料容器20を扉112に固定する。なお、飲料容器20を扉112から取り外す手順は、上記の取付作業と逆の手順で行う。
【0048】
図4に示すキャップ部材138、弾性体チューブ44、空気供給チューブ60及び吐出口148は、扉112に対して脱着が容易に構成されている。これらの部品は単純なパイプの形状であるので、洗浄や清掃が比較的容易である。この第2実施形態では、弾性体チューブ44に対しての押圧及び開放動作にソレノイド154を用いているので、飲料の供給及び停止動作を素早く行うことができる。
【0049】
以上のように、第2実施形態に係る飲料供給装置によれば、上記第1実施形態の効果を備えると共に、さらに、飲料容器の口を飲料供給部に近づけるように、その飲料容器を重力方向に対して傾けた倒立姿勢で取り付けられているので、飲料容器の口から飲料供給部までの長さを小さく抑えることができる。その結果、流通部材を通って飲料供給部に至るまでの時間が短くなり、コップ等への飲料水供給時間を短縮することができる。また、この第2実施形態では、押圧力発生手段が発生する押圧力に対抗して弾性体チューブを開放する押圧力開放手段を備えるので、開放動作による供給開始と開放動作終了による供給停止とをより素早く行うことができ、飲料の供給開始と供給停止の応答性をより向上させることができる。
【0050】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る飲料供給装置230を冷蔵庫210の扉212に取りつけた一例を示す図であり、押圧開放手段に手動の釦254を用いた実施形態を示す断面構成図である。この第3実施形態に係る飲料供給装置230の押圧開放手段250は、弾性体チューブ44に対して押圧力を発生する押圧力発生手段255と、押圧力発生手段255が発生する押圧力に対抗して弾性体チューブ44を開放するための手動の釦254を押圧力開放手段として備える実施形態である。飲料供給装置230の構成は、図1又は図4に示した飲料供給装置30と略同様の構成をしており、同一の機能を有する構成については同一の符番を付して説明を省略する。
【0051】
図5に示す飲料供給装置230は、第1の実施形態と同様に、飲料容器20を倒立状態にして設置する実施形態である。飲料容器20を冷蔵庫210の扉212の内側に着脱自在に固定する容器固定手段32と、飲料容器20を冷蔵庫210の扉212の内側に位置決めする容器装着部材42の構成は上記第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0052】
この飲料供給装置230は、上記第2の実施形態と同様に、飲料容器20の口に装着して飲料容器20内の飲料の漏出を防止する、螺着(ねじ嵌合)式のキャップ部材139を備えている。なお、このキャップ部材139には、空気供給チューブは連結されておらず、その代わりに、太い弾性体チューブ44が取り付けられている。こうした太い弾性体チューブ44を用いることにより、空気供給チューブを設けなくても吐出口48から飲料容器内に空気を供給することができると共に、飲料容器20内の飲料を極めて素早くコップに供給することができる。
【0053】
また、飲料供給装置230には、弾性体チューブ44に対して押圧及び開放動作を行う押圧開放手段250が設けられている。押圧開放手段250は、弾性体チューブ44をつぶして飲料水の供給を絶つ際に用いる固定側の一組のカムフォロワ258と、移動側の押圧ピン256とを備えている。
【0054】
押圧ピン256は、弾性体チューブ44を開放するための手動の釦254に連結されており、釦254の非操作時には、バネ等の弾性体から構成される押圧力発生手段255の力によって、図5の平面視右方向に付勢されている。したがって、弾性体チューブ44は、押圧ピン256と一組のカムフォロワ258によって2箇所押しつぶされた状態になっているので、弾性体チューブ44の飲料経路は閉鎖されており、飲料容器20内の飲料は弾性体チューブ44の内部を通過することができず、飲料の供給は停止した状態となる。
【0055】
押圧力発生手段255が発生する押圧力に対抗して、利用者が手動の釦254を図5の平面視左方向に押すと、釦254と連結されている押圧ピン256も図5の平面視左側に移動して、弾性体チューブ44を押圧から開放する。すると、弾性体チューブ44内の飲料経路が確保されて、飲料容器20内の飲料は弾性体チューブ44の内部を通過する。そして飲料は、吐出口48の内部を通過して、冷蔵庫210の外部の器46に供給される。
【0056】
飲料容器20の脱着手順は、上記第2実施形態と同様の手順であるので、説明を省略する。
【0057】
上記のように、第3実施形態では、弾性体チューブ44に対する開放動作に、利用者が釦254を押す力とその変位量を用いているので、飲料の供給と停止のための動力源が不要となる。したがって、冷蔵庫210のコストダウンや消費電力の減少を図ることができる。
【0058】
以上のように、第3実施形態に係る飲料供給装置によれば、上記第1実施形態の効果を備えると共に、さらに、太い弾性体チューブを用いることにより、空気供給チューブを設けなくても吐出口から飲料容器内に空気を供給することができ、飲料容器内の飲料を極めて素早くコップに供給することができる。また、この第3実施形態では、押圧力発生手段が発生する押圧力に対抗して弾性体チューブを開放する押圧力開放手段を備えるので、開放動作による供給開始と開放動作終了による供給停止とをより素早く行うことができ、飲料の供給開始と供給停止の応答性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態に係る飲料供給装置を冷蔵庫の扉に取りつけた一例を示す扉12の断面構成図である。
【図2】図1におけるA−A’断面の矢視図である。
【図3】図1におけるB−B’断面の矢視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る飲料供給装置を冷蔵庫の扉に取りつけた一例を示す扉部分の断面構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る飲料供給装置を冷蔵庫の扉に取りつけた一例を示す図であり、押圧開放手段に手動の釦を用いた実施形態を示す断面構成図である。
【符号の説明】
【0060】
10,110,210 冷蔵庫
12,14,112,212 扉
20 飲料容器
22 鍔
30,130,230 飲料供給装置装置
32 容器固定手段
34 スナップフック
36 保持部材
38 封止部材
39,138,139 キャップ部材
40 クランパ
42 容器装着部材
44 弾性体チューブ
45,47 剛性チューブ
46 器
47 飲料供給部
48,148 吐出口
50,150,250 押圧開放手段
52 カム
54 駆動源
56 押圧部
58 背板
59 スイッチ
60 空気供給チューブ
62,63 質量検出手段
64 表示手段
70 視認窓
72 レンズ
154 ソレノイド
155,255 押圧力発生手段
156,256 押圧ピン
157 ロッド
158,258 カムフォロワ
254 釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫内に倒立姿勢で取りつけた市販の飲料容器から冷蔵庫外に前記飲料容器内の飲料を供給する飲料供給装置であって、
前記飲料容器の口に設けられる封止部材と、
前記封止部材を経由して前記飲料容器内の飲料を通し、外部からの押圧及び開放動作によって飲料の供給停止及び供給開始を制御する弾性体チューブを少なくとも一部に有する流通部材と、
前記弾性体チューブに対して押圧及び開放動作を行う押圧開放手段と、
前記飲料容器の口と同じ位置又は当該口よりも下方に配置され、前記流通部材内を通過した飲料を冷蔵庫外に供給する飲料供給部と、を備えていることを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記飲料容器が、その口を飲料供給部に近づけるように傾いた倒立姿勢で取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の飲料供給容器。
【請求項3】
前記押圧開放手段は、駆動源と、当該駆動源により前記弾性体チューブに対して押圧及び開放動作を行うカムと、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記押圧開放手段は、前記弾性体チューブに対して押圧力を発生する押圧力発生手段と、前記押圧力発生手段が発生する押圧力に対抗して又はその押圧力を解除して前記弾性体チューブを開放する押圧力開放手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料供給装置。
【請求項5】
前記飲料容器を冷蔵庫内に着脱自在に固定する容器固定手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の飲料供給装置。
【請求項6】
前記飲料容器内の飲料の残量を確認できる残量確認手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の飲料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−85585(P2007−85585A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271916(P2005−271916)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】