説明

飲料冷却装置

【課題】間欠運転させた撹拌モータの停止時間が長くなっても、撹拌モータ内に結露を生じにくくする。
【解決手段】飲料冷却装置10は、冷却水を貯える冷却水槽11内に設けられて飲料を冷却する飲料冷却管12と、冷却水槽11内の冷却水を撹拌する撹拌装置20とを備え、この撹拌装置20は冷却水槽11の上部に設けられた撹拌モータ21と、この撹拌モータ21から冷却水槽11内の冷却水中に突出してこの撹拌モータ21により回転するシャフト22と、このシャフト22の先端部に固定されて冷却水を撹拌する撹拌羽根23とからなり、撹拌モータ21を間欠的に作動させるようにしたものである。この飲料供給装置においては、撹拌装置20は撹拌モータ21を加熱するヒータ25を備え、撹拌モータ21を停止させたときにヒータ25を作動させるように制御した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を冷却するための飲料冷却装置に関するものであり、冷却水槽内の冷却水を間欠的に撹拌するようにした飲料冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却水を貯える冷却水槽と、この冷却水槽内に設けられて飲料を冷却する飲料冷却管と、冷却水槽内の冷却水を撹拌する撹拌装置とを備えた飲料ディスペンサが開示されている。この飲料ディスペンサの撹拌装置は、冷却水槽の上部に設けられた撹拌モータと、この撹拌モータから冷却水中に突出してこの撹拌モータにより回転するシャフトと、このシャフトの先端部に固定されて冷却水を撹拌する撹拌羽根とからなり、消費電力の低減化による消エネルギーを目的としてこの撹拌モータを間欠運転させている。撹拌モータはその作動によって発熱するので内部に結露が生じにくくなっているが、間欠運転をさせたときの停止中に、冷却水に浸漬されたシャフトからの冷熱が撹拌モータに伝達され、撹拌モータの内部に結露が生じるおそれがあった。これを防ぐため、この飲料ディスペンサにおいては、撹拌モータとシャフトとの間に低伝熱物質よりなる連結部材が介装されており、この連結部材は冷却水の冷熱がシャフトから撹拌モータに伝達するのを低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−206149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の飲料ディスペンサにおいては、上述したように、撹拌モータとシャフトとの間に低伝熱物質よりなる連結部材が介装されており、連結部材は冷却水の冷熱がシャフトから撹拌モータに伝達するのを低減させている。しかし、この飲料ディスペンサにおいては、間欠運転させた撹拌モータの停止時間が長くなると、冷却水の冷熱がシャフトから連結部材を介して撹拌モータに徐々に伝達され、撹拌モータ内に結露が生じることがあった。これを防ぐためには、撹拌モータを必要のないタイミングで作動させなければならなくなり、省エネルギーとなりにくかった。本発明は、このような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、冷却水を貯える冷却水槽と、この冷却水槽内に設けられて飲料を冷却する飲料冷却管と、冷却水槽内の冷却水を撹拌する撹拌装置とを備え、この撹拌装置は冷却水槽の上部に設けられた撹拌モータと、この撹拌モータから冷却水槽内の冷却水中に突出してこの撹拌モータにより回転するシャフトと、このシャフトの先端部に固定されて冷却水槽内の冷却水を撹拌する撹拌羽根とからなり、撹拌モータを間欠的に作動させるようにした飲料冷却装置において、撹拌装置は撹拌モータを加熱するヒータを備え、撹拌モータを停止させたときにヒータを作動させるように制御したことを特徴とする飲料冷却装置。
【0006】
上記のように構成した飲料冷却装置においては、撹拌装置は撹拌モータを加熱するヒータを備え、撹拌モータを停止させたときにヒータを作動させるように制御したので、間欠的に作動させた撹拌モータの停止時間が長くなっても、撹拌モータ内はヒータによって加熱されて露点以下になりにくくなり、撹拌モータ内に結露が生じにくくなる。
【0007】
上記のように構成した飲料冷却装置においては、撹拌モータにはその温度を検出する温度センサをさらに設け、温度センサの検出に基づいてヒータの作動を制御するのが好ましく、このようにしたときには、撹拌モータの温度が例えば露点以下となる前の温度を温度センサによって検出したときにヒータを作動させることで、撹拌モータ内に結露を生じにくくしたうえで、ヒータの作動時間を抑えることによってコストを抑えることができる。
【0008】
上記のように構成した飲料冷却装置においては、撹拌モータは冷却水槽の上部に支持部材により支持され、支持部材にヒータを取り付けるようにしてもよく、このようにしたときには、撹拌モータは支持部材を介してヒータにより間接的に加熱されるようになって、撹拌モータがヒータにより過熱状態となって不具合が発生するおそれがない。また、支持部材にヒータの作動を制御する制御装置を取り付けたときには、制御装置は撹拌モータとともに結露が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による飲料冷却装置の断面図である。
【図2】制御装置のブロック図である。
【図3】冷凍装置、撹拌モータ及びヒータの作動を示すタイムチャートである。
【図4】他の実施形態の撹拌モータ及びヒータを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明による飲料冷却装置の一実施形態を図面を参照して説明する。図1に示すように、本発明に係る飲料冷却装置10は、冷却水を貯える冷却水槽11と、この冷却水槽11内に設けられて飲料を冷却する飲料冷却管12と、冷却水槽11内の冷却水を撹拌する撹拌装置20とを備えている。
【0011】
飲料冷却管12は冷却水槽11内にて冷却水に浸漬された状態でコイル状に巻回されて立設している。飲料冷却管12は導入端側に図示しないビア樽等の飲料供給源に接続され、導出端側に注出コック13が接続されており、飲料供給源の飲料は飲料冷却管12を通過する際に冷却水により冷却されてから注出コック13からグラスなどの容器に注出される。
【0012】
また、冷却水槽11の内周壁には飲料冷却管12を囲むようにして冷凍装置14の蒸発管15がコイル状に巻回されている。冷凍装置14を作動させると、圧縮機16により圧縮された冷媒ガスが凝縮器17により冷却されて液化され、この液化冷媒はキャピラリーチューブを通して冷却水槽11内の蒸発管15に導かれて冷却水槽11内の冷却水と熱交換されて、気化してから再び圧縮機16に還流する。この冷凍装置14の作動により、冷却水槽11内の冷却水は蒸発管15で気化する冷媒によって冷却されて、蒸発管15の周囲で凍結して氷層となる。また、冷却水槽11内には蒸発管15の内周側で所定範囲の厚みの氷層となる位置に氷厚センサ18が設けられている。氷厚センサ18は、一対の電極間に電圧を印可したときに検出される抵抗値により、蒸発管15の周囲に所定範囲の厚みの氷層が形成されたか否かを検知するものである。
【0013】
撹拌装置20は、冷却水槽11の上部に設けられた撹拌モータ21と、これにより回転するシャフト22と、シャフト22の先端部に固定された撹拌羽根23と、撹拌モータを加熱するヒータ25とを備えている。撹拌モータ21は冷却水槽11の上縁に支持板11aにより支持されている。撹拌モータ21にはシャフト22が回転自在に支持されており、このシャフト22は冷却水槽11内の冷却水中に突出している。シャフト22の先端部に固定された撹拌羽根23は撹拌モータ21により回転して、冷却水槽11内の冷却水を撹拌する。撹拌モータ21にはその温度を検出する温度センサ24が設けられている。また、撹拌モータ21はその下部にシャフト22を回転自在に支持する金属製のベアリング21aを有しており、このベアリング21aには撹拌モータ21を加熱するベルト式のヒータ25が取り付けられている。
【0014】
飲料冷却装置10は制御装置30を備えており、図2に示すように、この制御装置30には冷凍装置14、氷厚センサ18、撹拌モータ21、温度センサ24及びヒータ25が接続されている。制御装置30はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、氷厚センサ18の検出値、温度センサ24の検出温度に基づいて、冷凍装置14、撹拌モータ21及びヒータ25の作動を制御する。
【0015】
上記のように構成した飲料冷却装置10の作動について説明する。飲料冷却装置10の電源をオンにすると、撹拌羽根23が撹拌モータ21の作動により回転して、冷却水槽11内の冷却水が撹拌される。また、冷凍装置14が作動して、圧縮機16により圧縮された冷媒ガスが凝縮器17により冷却されて液化し、この液化冷媒がキャピラリーチューブを通って冷却水槽11内の蒸発管15に導かれ、冷却水槽11内の冷却水が蒸発管15で気化する液化冷媒により冷却される。このとき、蒸発管15の周囲の冷却水は冷却されて凍結して徐々に氷層となる。
【0016】
図3のタイムチャートに示すように、制御装置30は、蒸発管15の周囲に形成される氷層が所定範囲の厚みとなるまで冷凍装置14を作動させ、蒸発管15の周囲に形成される氷層が所定範囲の厚みとなって氷厚センサ18の検出値が所定値以上となると、冷凍装置14(の圧縮機16)の作動を停止させる。また、制御装置30は、冷凍装置14(の圧縮機16)を停止させているときに、蒸発管15の周囲に形成される氷層が所定の厚みより薄くなって氷厚センサ18の検出値が所定値より低くなると、再び冷凍装置14(の圧縮機16)を作動させる。これにより、冷却水槽11内の冷却水は蒸発管15の周囲で所定範囲の厚みの氷層となる。
【0017】
また、制御装置30は、冷凍装置14(の圧縮機16)を作動させているときには、撹拌モータ21を連続運転させるように制御しており、冷凍装置14(の圧縮機16)を停止させているときには、撹拌モータ21を所定時間毎に間欠運転させるように制御している。制御装置30は、撹拌モータ21を間欠運転させているときの撹拌モータ21の停止時にヒータ25を作動させるように制御している。
【0018】
上述した飲料冷却装置10においては、蒸発管15の周囲に所定範囲の厚さの氷層を形成させるために、冷凍装置14の作動が制御されている。冷凍装置14(の圧縮機16)を停止させたときには、蒸発管15の周囲の氷の融ける速度を遅くすることと省エネルギーを目的として、撹拌装置20の撹拌モータ21は間欠的に作動するように制御されている。撹拌モータ21はその作動により発熱して内部に結露が生じにくくなっているが、間欠運転をしたときの撹拌モータ21の停止中に冷却水に浸漬されたシャフト22からの冷熱が撹拌モータ21に伝達される。
【0019】
しかし、この実施形態の飲料冷却装置10においては、撹拌装置20は撹拌モータ21を加熱するヒータ25を備え、制御装置30は間欠運転をしたときの撹拌モータ21を停止させたときにヒータ25を作動させるように制御したので、撹拌モータ21内はヒータ25によって加熱されて露点以下になりにくくなり、撹拌モータ21内に結露が生じにくくなる。また、ヒータ25はシャフト22の基端部を回転可能に支持する撹拌モータ21のベアリング21aを加熱するようにしたので、シャフト22からの冷熱が撹拌モータ21の内部に伝達されるのを効率よく防ぐことができる。また、従来技術のように撹拌モータ21とシャフト22との間に低伝熱物質よりなる連結部材を介装したときには、撹拌モータ21の停止時間が長くなるとシャフト22からの冷熱が撹拌モータ21に伝達するのを抑制できないときがあるが、この実施形態の飲料冷却装置10では、撹拌モータ21はヒータ25によって直接的に加熱するものであるので、撹拌モータ21の結露を確実に抑えることができる。これにより、撹拌モータ21は結露した水滴によってベアリング21aが錆びたり、コイルの絶縁が劣化するのを防ぐことができる。
【0020】
上記の実施形態においては、撹拌モータ21のベアリング21aに撹拌モータ21を加熱するベルト式のヒータ25が取り付けられているが、本発明はこれに限られるものでなく、図4に示すように、撹拌モータ21を冷却水槽11の上縁(上部)に支持する支持板(支持部材)11aの下面にコード式のヒータ25Aを取り付けてもよい。また、支持板11aには制御装置30を収容するコントロールボックス31を取り付けてもよい。なお、支持板11aにはステンレス等の金属製の熱伝導性の高い部材を用いるとよい。このようにしたときには、上記の作用効果を得ることができるとともに、撹拌モータ21は支持板11aを介してヒータ25Aにより間接的に加熱されるため、撹拌モータ21がヒータ25Aにより過熱状態となって不具合が発生するおそれがない。また、コード式のヒータ25Aを支持板11aの下面にてコントロールボックス31の下側位置まで取り付けるようにしたので、コントロールボックス31内に結露が生じにくくなり、制御装置30が結露により短絡するおそれがない。
【0021】
上記の実施形態においては、ヒータ25は撹拌モータ21を停止させているときに作動させるように制御されているが、他の実施形態の飲料冷却装置においては、撹拌モータ21を停止させているときであって、温度センサ24により所定温度として露点より少し高い温度を検出したときにヒータ25を作動させ、これより高い所定温度を検出したらヒータ25の作動を停止させるように制御してもよい。このようにしたときには、上述した作用効果を得ることができるとともに、ヒータ25による無駄な加熱を抑えてコストを低く抑えることができる。また、温度センサ24は撹拌モータ21のケーシングの内周壁に取り付けたが、本発明はこれに限られるものでなく、撹拌モータ21のベアリング21aに取り付けるようにしても同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0022】
10…飲料冷却装置、11…冷却水槽、12…飲料冷却管、20…撹拌装置、21…撹拌モータ、22…シャフト、23…撹拌羽根、25、25A…ヒータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水を貯える冷却水槽と、この冷却水槽内に設けられて飲料を冷却する飲料冷却管と、前記冷却水槽内の冷却水を撹拌する撹拌装置とを備え、
この撹拌装置は前記冷却水槽の上部に設けられた撹拌モータと、この撹拌モータから前記冷却水槽内の冷却水中に突出してこの撹拌モータにより回転するシャフトと、このシャフトの先端部に固定されて前記冷却水槽内の冷却水を撹拌する撹拌羽根とからなり、前記撹拌モータを間欠的に作動させるようにした飲料冷却装置において、
前記撹拌装置は前記撹拌モータを加熱するヒータを備え、前記撹拌モータを停止させたときに前記ヒータを作動させるように制御したことを特徴とする飲料冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料冷却装置において、
前記撹拌モータにはその温度を検出する温度センサをさらに設け、
前記温度センサの検出に基づいて前記ヒータの作動を制御するようにしたことを特徴とする飲料冷却装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の飲料冷却装置において、
前記撹拌モータは前記冷却水槽の上部に支持部材により支持され、前記支持部材に前記ヒータを取り付けたことを特徴とする飲料冷却装置。
【請求項4】
請求項3に記載の飲料冷却装置において、
前記支持部材に前記ヒータの作動を制御する制御装置を取り付けたことを特徴とする飲料冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−67424(P2013−67424A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237689(P2011−237689)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】