説明

飲料前駆物質及びその製造方法

本発明は、250mlの水と90℃で2分間接触させた際に、飲料の0.05から2重量%の間の量でカテキンを含む飲料を生産する量で存在することを特徴とする、茶材料と食品グレードの添加剤とを含む飲料前駆物質を提供する。本発明は更に、新鮮な茶葉及び/または茎をローターヴァンに通過させて部分的にマセレーションした茶葉及び/または茎を生産し、次いで部分的にマセレーションした茶葉及び/または茎を少なくとも一度のCTC工程に通過させることを含む、飲料前駆物質の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶ベースの飲料を調製するための飲料前駆物質に関する。
【背景技術】
【0002】
緑茶は、数百年に亘り中国と日本で消費されているポピュラーな飲料である。最近、過度の実験室での研究及び疫学的実験により、緑茶に存在する化合物(特にカテキン)が、各種の病気の危険を軽減するかもしれないことが示されている。さらにカテキンは、内臓脂肪の蓄積を抑制することが示されており、そのため体重と体型のコントロールに有効であろう(例えば、T. Nagao等, "The Catechins Suppress Accumulation of Body Fat in Humans", J. Oleo. Sci., 2001, 50(9), pp. 717-728を参照)。これらの研究は、消費者の味覚の複雑性の増大と共に、緑茶を消費する伝統が存在しない(米国や西欧のような)市場でさえ緑茶の消費の成長を導いている。
【0003】
茶の健康上の有益性のいくつかは、一日当たり3カップ程度の低い消費速度で現れるものである(例えば、U. Peters等, "Dose tea affect cardiovascular disease? A meta-analysis.", American Journal of Epidemiology, 2001, 154, pp. 495-503)が、多くの人は、長期間の基準ではこの穏やかな消費速度でさえ達成していない。更に茶飲料は、茶葉の煎出の速度が比較的遅いことと、茶粉末の溶解の速度が遅いことのため、インスタントコーヒーのような茶ベースではない飲料前駆物質から調製される飲料よりも、調製が簡便であるとはいえない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T. Nagao等, "The Catechins Suppress Accumulation of Body Fat in Humans", J. Oleo. Sci., 2001, 50(9), pp. 717-728
【非特許文献2】U. Peters等, "Dose tea affect cardiovascular disease? A meta-analysis.", American Journal of Epidemiology, 2001, 154, pp. 495-503
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かくして、本発明者は、毎日の使用に簡便であり、従来の飲料前駆物質から調製される必要があるより少ない種類の飲料由来のカテキンの必要な取り込みを得ることを消費者に許容する形態の飲料前駆物質を提供する必要性があることを認識している。
【0006】
本発明者は、そのような必要性が、特定の量と特定の組成物を有する飲料前駆物質を提供することによって適合できることを見出した。本発明者は、そのような飲料前駆物質を製造するように特に整合された方法についての必要性が存在することも認識している。
【0007】
テイスト及び定義
飲料
ここで使用される用語「飲料」は、ヒトの消費に適した実質的に水性の嚥下可能な組成物を指す。
【0008】
飲料前駆物質
飲料前駆物質は、飲料を調製するのに適した加工組成物として定義される。
【0009】
ここで使用される用語「実装」は、密封された塊内に飲料前駆物質が含まれていることを意味する。
【0010】
茶材料
ここで使用される用語「茶材料」は、植物Camellia sinensis var. sinensis及び/またはCamellia sinensis var. assamica由来の乾燥材料を指す。前記材料は、「紅茶」製造の早期の段階の間で放出される特定の内因性酵素によって参加させる「発酵」工程と称されるものに供されていても良い。この酸化は、オキシダーゼ、ラッカーゼ、及びぺルオキシダーゼのような内因性酵素の作用により補助されても良い。別法として前記材料は、部分的に発酵されてもよく(「烏龍」茶)または実質的に発酵されなくてもよい(「緑茶」)。
【0011】
用語「茶葉及び/または茎」は、前記植物の葉及び/または茎から由来し、抽出工程に供されていない茶材料を指す(即ち煎出可能な茶材料)。用語「茶抽出物」は、茶葉及び/または茎から抽出され、沸騰水に可溶性である茶材料を指す。
【0012】
茶ベースの飲料
ここで使用される用語「茶ベースの飲料」は、少なくとも0.01重量%の溶解した茶材料を含む飲料を指す。
【0013】
食品グレードの添加剤
ここで使用される用語「食品グレードの添加剤」は、Camellia sinensis種の植物からは由来しない食用材料を指す。
【0014】
カテキン
ここで使用される用語「カテキン」は、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、及びそれらの混合物についての一般名称として使用される。
【0015】
茶材料中のカテキン及びカフェインの測定
茶材料中のカテキン及びカフェインの量は、以下のような逆相HPLCによって同時に測定される:
茶葉及び/または茎についてのサンプル調製
1.0.5μmのスクリーンを備えたCyclotech(登録商標)1090サンプルミル(FOSS Ltd, Warrington, Cheshire, UK)を使用して、細かいパウダーが得られるまで茶材料を粉砕する。
2.抽出チューブ内に約200mgの粉砕した茶材料を正確に計量してその重量を記録する。
3.少なくとも20mlのメタノール−水溶液(蒸留水中に70%v/vのメタノール)で70℃に温める。
4.抽出チューブに5mlの熱いメタノール−水溶液を添加する。ボルテックスミキサーでメタノール−水と茶材料とを穏やかに混合する;70℃で5分間湯浴に配置する;再び混合し、次いで70℃で更に5分間湯浴に配置する。
5.再びボルテックスミキサーでメタノール−水と茶材料を穏やかに混合し、20℃の気温で10分間冷却させる。
6.2900gの相対遠心力(RCF)で10分間抽出チューブを遠心にかける。
7.ここで抽出チューブは茶材料の詰め物の上部に液体上清を含むはずである。清浄な目盛りのある試験チューブに上清を注意深く移す。
8.抽出チューブ中の詰め物に5mlの熱いメタノール−水溶液を添加する。ボルテックスミキサーでメタノール−水と茶材料を穏やかに混合する;70℃で5分間湯浴に配置する;再び混合し、次いで70℃でさらに5分間湯浴に配置する。
9.再びボルテックスミキサーでメタノール−水溶液と茶材料を穏やかに混合し、次いで20℃の気温で10分間冷却させる。
10.2900gのRCFで10分間抽出チューブを遠心にかける。
11.ここで抽出チューブは茶材料の詰め物の上部に液体上清を含むはずである。工程7から得た上清を含む目盛りのある試験チューブに上清を注意深く移す。
12.メタノール−水溶液でプールした上清を10mlとする。
13.蒸留水中に2.5mg/mlのEDTAと2.5mg/mlのアスコルビン酸との1mlの溶液を、目盛りのある試験チューブに添加する。
14.1部のプールした上清混合物を、4部(体積単位)の10%アセトニトリル安定化剤溶液(蒸留水中に10%v/vのアセトニトリル、0.25mg/mlのアスコルビン酸、及び0.25mg/mlのEDTA)で希釈する。
15.マイクロ遠心チューブに希釈したプールした上清混合物を移し、14000gのRCFで10分間ベンチトップ遠心分離器で遠心にかける。
【0016】
茶抽出物のためのサンプル調製
1.ガラスバイアルに約190mgの茶抽出物を正確に計量する。
2.正確な量の10%アセトニトリル安定化剤溶液(蒸留水中に10%v/vのアセトニトリル、0.25mg/mlのアスコルビン酸、及び0.25mg/mlのEDTA)を添加し、20mg/mlの茶抽出物の最終濃度を得る。
3.茶抽出物が溶解したことを確認する。
4.1部の茶抽出物溶液を、4部(体積単位)の10%アセトニトリル安定化剤溶液(蒸留水中に10%v/vのアセトニトリル、0.25mg/mlのアスコルビン酸、及び0.25mg/mlのEDTA)で希釈する。
5.マイクロ遠心チューブに希釈した茶抽出物溶液を移し、14000gのRCFで10分間遠心にかける。
【0017】
HPLC分析条件
カラム:Luna Phenyl Hexyl 5μ, 250×4.60mm
流速:1ml/分
オーブン温度:30℃
溶媒:A:アセトニトリル中に2%酢酸
B:水中に2%酢酸と0.02mg/mlのEDTA
注入体積:10μl
勾配:
時間 溶媒Aの% 溶媒Bの% 工程
0〜10分 5 95 平衡化
10〜40分 5〜18 95〜85 直線勾配
40〜50分 18 82 平衡化
50〜55分 50 50 洗浄
55〜75分 5 95 平衡化
定量:その日に構築した較正曲線に対するピーク領域。較正曲線をカフェインから構築し、カフェインに対するここのカテキンの相対応答係数を使用して、カテキンの濃度を計算する(ISOカテキン法−ISO/CD14502−2)。ここのカフェインスタンダード(Sigma, Poole, Dorset, UK)をピーク同定マーカーとして使用する。
【0018】
90℃で2分間飲料前駆物質を250mlの水と接触させることによって生産された飲料中のカテキンとカフェインの測定
飲料前駆物質によって送達されるカテキンとカフェインの量を、以下のような逆相HPLCによって同時に測定する:
【0019】
サンプル調製
1.煎出実装品に含まれる飲料前駆物質について、煎出実装品全体を500mlの容器に配置する。煎出実装品に含まれていない飲料前駆物質については、飲料前駆物質をいずれかの実装品から取り出し、500mlの容器に配置する。
2.1リットルの脱イオン水を沸騰させ、250mgを迅速に500mlの容器に加える。
3.容器を20℃の気温で貯蔵し、飲料前駆物質を水中で静的に煎出/溶解させる。
4.2分後、残余の飲料前駆物質を容器から取り出す。煎出実装品に含まれる飲料前駆物質の場合では、容器中に液体から煎出実装品を単純に取り出す。煎出実装品に含まれていない飲料前駆物質の場合では、液体を茶こしで濾す。
5.次いで9mlの液体を取り出し、蒸留水中に2.5mg/mlのEDTAと2.5mg/mlのアスコルビン酸の1.12mlの溶液と共に、1.12mlのアセトニトリルを添加する。
6.次いで生成した溶液をマイクロ遠心チューブに移し、14000gのRCFで10分間遠心にかける。
【0020】
HPLC分析条件
HPLC分析条件は、茶材料について上述したものと同一である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第一の特徴点では、本発明は、90℃で2分間250mlの水と接触した際、飲料の0.05から2重量%の間の量でカテキンを含む飲料を生産する、茶材料と食品グレードの添加剤とを含む飲料前駆物質を提供する。
【0022】
本発明の飲料前駆物質は、消費者が健康上の利益を達成する毎日のカテキンの取り込みに適合する一方で、従来の飲料前駆物質と比較して、飲料を調製するのにより短い時間で、一日当たりより少ない飲料の調製を必要とする量で提供される。
【0023】
飲料前駆物質が、飲料前駆物質を90℃で2分間250mlの水と接触させると、飲料の少なくとも0.06重量%、とり好ましくは少なくとも0.07重量%、最も好ましくは少なくとも0.08重量%の量でカテキンを含む飲料を生産する量で存在するならば、カテキン送達の有効性は更に改善されて良い。しかしながら、飲料の味覚及び/または外観が損なわれるので、カテキン送達の有効性はあまり高くするべきではない。それ故、飲料前駆物質は、飲料前駆物質を90℃で2分間250mlの水と接触させると、飲料の1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.2重量%未満の量でカテキンを含む飲料を生産する量で存在する。
【0024】
適切な量のカテキンを飲料に送達するのに必要な飲料前駆物質の重量は、飲料前駆物質のカテキン含量、及び飲料を調製するのに使用される水性媒体におけるカテキンの可溶性に依存するであろう。しかしながら、飲料前駆物質の重量は、より小さい量であると正確な小分けと用量を困難とするため、少なくとも0.5gであることが好ましい。より好ましくは重量は少なくとも0.7gであり、最も好ましくは少なくとも0.9gである。更に好ましくは、飲料前駆物質の重量は、より多い量だと貯蔵と扱いに不便であるため、5g未満である。より好ましくは重量は4g未満であり、最も好ましくは3g未満である。
【0025】
茶材料の煎出及び/または溶解の最大速度を提供するため、茶材料は微粒子であることが好ましい。更に好ましくは、微粒子茶材料の少なくとも95重量%(より好ましくは98から100重量%)が、2mm未満の最大直径を有する。特に、微粒子茶材料の少なくとも95重量%(より好ましくは98から100重量%)が、9未満のメッシュサイズ(即ちNo.9のTyler Meshの通過)を有することが好ましい。
【0026】
緑茶は、半発酵茶または発酵茶より高い濃度のカテキンを含み、そのため茶材料は緑茶材料を含むことが好ましい。より好ましくは、茶材料は少なくとも75重量%、最も好ましくは90から100重量%の緑茶材料を含む。
【0027】
茶材料は好ましくは高濃度のカテキンを含み、かくして茶材料は茶材料の少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも12重量%、最も好ましくは少なくとも13重量%のカテキンを含む。しかしながら、茶材料は茶の味覚と利益を与える更なる化合物を含むことも好ましく、かくして茶材料のカテキン濃度は茶材料の90重量%未満、より好ましくは70重量%未満、最も好ましくは30重量%未満であることも好ましい。これらの更なる化合物は、テアフラビン、テアルビギン、没食子酸、テアニン、カフェイン、キナ酸、シュウ酸、カリウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、スクロース、グルコース、マルトース、フルクトース、ペクチン、またはそれらの混合物を含む。
【0028】
カフェインは身体の管理、特に体重の制御及び/または体型の制御において補助を示しているため特に好ましい、かくして茶材料は、茶材料の少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、最も好ましくは少なくとも3重量%の量でカフェインを含むことが好ましい。しかしながらあまりにカフェインが多いと、風味の悪い飲料及び/または非所望の生理学的効果を導くであろう。かくして茶材料は、茶材料の25重量%未満、より好ましくは15重量%未満、最も好ましくは7重量%未満のカフェインを含むことも好ましい。
【0029】
身体の管理の観点でカテキンとカフェインとから最大の利益を提供するために、飲料前駆物質の量は、90℃で2分間250mlの水と飲料前駆物質を接触させることによって生産される飲料が、飲料の0.005から0.5重量%、より好ましくは0.01から0.2重量%、最も好ましくは0.015から0.1重量%の間の量でカフェインを含むものである。更に好ましくは飲料前駆物質の量は、90℃で2分間250mlの水と飲料前駆物質を接触させることによって生産される飲料が、6:1未満、より好ましくは4.9:1から1:1の範囲、最も好ましくは4.5:1から2:1の間のカフェインに対するカテキンの重量比を有するものである。
【0030】
本発明の飲料前駆物質は、食品グレードの添加剤を含む。食品グレードの添加剤の存在は、飲料に対するカテキン送達の高い有効性を提供するのに役立つであろう。これは、食品グレードの添加剤が、茶材料を分離し、茶材料の煎出及び/または溶解の速度の増大を可能にするように作用するためである。加えてまたは別法として、食品グレードの添加剤は、カテキンと関連する苦味をマスクするように作用するであろう。かくして飲料前駆物質は、100:1未満、より好ましくは50:1未満、最も好ましくは30:1未満の重量比で、茶材料と食品グレードの添加剤とを含むことが好ましい。しかしながら、茶材料によって提供される利益と味覚を最大化するために、前駆物質中の食品グレードの添加剤に対する茶材料の重量比は、少なくとも1:2、より好ましくは少なくとも2:1、最も好ましくは少なくとも5:1であることが好ましい。
【0031】
茶材料を分離し、茶材料の煎出及び/または溶解の速度の増大を可能にする食品グレードの添加剤の能力は、食品グレードの添加剤が微粒子である際に促進される。かくして、食品グレードの添加剤は微粒子であることが好ましい。好ましくは、食品グレードの添加剤の少なくとも95重量%(より好ましくは98から100重量%)が、2mm未満の最大直径を有する。特に、食品グレードの添加剤の少なくとも95重量%(より好ましくは98から100重量%)が、9未満のメッシュサイズ(即ちNo.9のTyler Meshの通過)を有することが好ましい。
【0032】
食品グレードの添加剤はいずれかの食用材料であって良く、例えばサッカリド(糖、オリゴ、及び/またはポリサッカリドを含む)、塩、甘味料(アスパルテーム、スクラロース、及び/またはアセスルファームKのような人口甘味料を含む)、タンパク質、ミルクパウダー、食品酸(及び/またはその塩)、香料、またはそれらの混合物を含んでも良い。カテキンの苦味をマスクする能力のため、糖、オリゴ糖、甘味料、塩、またはそれらの混合物が特に好ましい。
【0033】
適切な香料は、天然及び合成の果実香料、及び/または天然若しくは合成のハーブ香料を含む。果実香料の例としては、リンゴ、モモ、洋ナシ、レモン、ライム、マンダリン、グレープフルーツ、クランベリー、オレンジ、イチゴ、ブドウ、キーウィ、パイナップル、パッションフルーツ、マンゴー、グァバ、ラズベリー、及びサクランボが含まれる。ハーブ香料の例としては、ジャスミン、カモミール、バラ、ミント、サンザシ、キク、キンモクセイ、ハイビスカス、ニワトコ、及びバーベナが含まれる。驚くべきことに、パイナップル香料(天然のまたは合成の)は、カテキンの苦味をマスクするのに特に有効であることが見出され、それ故香料はパイナップル香料を含むことが特に好ましい。パイナップル香料は天然または合成であってよい。好ましくはパイナップル香料は2−プロペニルヘキサノエートを含む。
【0034】
更にまたは別法として、食品グレードの添加剤は、体重管理活性剤を含んでも良い。適切な活性剤は、ビオチン、パントテン酸(ビタミンB5)、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウム、マテ茶抽出物、ガラナ抽出物、ヒドロキシクエン酸、及びそれらの混合物を含む。
【0035】
飲料前駆物質は好ましくは前記量で実装されている。実装物はいずれかの適切な食品グレードの実装品であることができる。
【0036】
一つの実施態様では、実装品は耐水性である。適切な耐水材料は当該技術分野で既知であり、ホイル、ワックスペーパー、及びラミネート材料を含む。この実施態様では、飲料前駆物質は、飲料を調製するために実装物から取り出される。茶材料が茶葉及び/または茎から実質的にフリーである場合、この実施態様は特に好ましい。例えば茶材料は、茶材料の少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%、最も好ましくは99.5から100重量%の茶抽出物を含んでよい。
【0037】
別の実施態様では、実装品は煎出実装品である。この実施態様は、茶材料が茶葉及び/または茎を含む場合に特に簡便である。煎出実装品については、実装物は多孔性の材料からなる。多孔性材料は、水が実装物内に浸出することを可能にし、いずれかの不溶性の内容物が実装物に残ることを可能にするのに適したいずれかの材料、例えば濾過紙、ナイロンメッシュ、ガーゼ、モスリン、不織布、またはいくつかの他の同様な材料若しくは布であることができる。
【0038】
茶材料における茶葉及び/または茎の使用は、茶葉及び/または茎が茶抽出物の製造において含まれるような過度の加工で生産されない場合特に好ましい。結果として、茶葉及び/または茎はより自然の香りを有し、精製形態の茶材料よりも広範囲の天然茶成分を含む。それ故好ましい実施態様では、茶材料は、茶材料の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは98から100重量%の量で茶葉及び/または茎を含む。
【0039】
茶葉及び/または茎は、好ましくは緑茶葉及び/または茎である。更に好ましくは、茶葉及び/または茎は、茶葉及び/または茎の少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも12重量%、最も好ましくは13から25重量%の間の量でカテキンを含む。
【0040】
茶植物Camellia Sinensisの2変種の中で、変種Camellia sinensis var. assamicaは、最も高濃度のカテキンを有する。更に、var. assamicaは、アミノ酸テアニンのような特定の非フラボノール活性剤が比較的豊富である。しかしながら、カテキンは茶煎出物の苦味と渋みに大きな影響を有するため、var. assamicaは緑茶生産において使用に不適切であると従来考えられている(例えば、"Tea: Cultivation to Consumption", K.C. Willson及びM.N. Clifford (編), 第1版, 1992, Chapman & Hall (ロンドン), 第13章、第414頁参照)。しかしながら、var. Assamicaは、本発明の茶材料を提供するために、特に食品グレードの添加剤がカテキンの苦味をマスクするように作用してよいために特に適している。かくして、茶葉及び/または茎は、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは98から100重量%のCamellia sinensis var. assamica由来の材料を含むのが好ましい。
【0041】
茶葉及び/または茎の従来の製造はマセレーション工程を含む。マセレーションは、乾燥前に茶葉及び/または茎を傷つける工程を含む。傷つける工程は、茶葉及び/または茎をローリング及び/またはクラッシュすること、即ち植物の組織構造を破壊することによって通常実施される。この傷つけ工程を最大化し、茶材料によって放出されるカテキンの量を最大化するために、本発明の飲料前駆物質で使用される茶葉及び/または茎は、それらを切断機械を通過させることによりマセレーションする工程によって生産されていることが好ましい。茶葉及び/または茎は、CTC工程を使用してマセレーションされていることが最も好ましい。「CTC」は、「クラッシュ(crush)、引き裂き(tear)、及びカール(curl)」の用語から由来する。CTC機械及びその工程は当業者に周知である(例えば、"Tea: Cultivation to Consumption", K.C. Willson及びM.N. Clifford (編), 第1版, 1992, Chapman & Hall (ロンドン), 第14章、第483−485頁参照)。更により好ましくは、マセレーションは、ローターヴァンとCTC工程との組合わせを使用する。ローターヴァンも当業者に周知であり、"Tea: Cultivation to Consumption"の第14章に記載されている(特に第486−487頁参照)。ローターヴァンとCTC工程との組合わせを有するマセレーションは、良好なカテキン送達を導き、食品グレードの添加剤と組合わせるのに特に簡便である顆粒形態の茶材料を提供する。特に有効な工程は、ローターヴァンとその後の二度のCTC工程の通過により、茶葉及び/または茎をマセレーションすることを含む。
【0042】
茶材料は、茶抽出物との茶葉及び/または茎の混合物を含んでよい。
【0043】
飲料前駆物質は好ましくは乾燥している。特に飲料前駆物質は、15重量%未満、より好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5から0.1重量%の飲料前駆物質を含むことが好ましい。
【0044】
更なる特徴点では、本発明は、飲料前駆物質を水性媒体と接触させる工程を含む飲料の製造方法を提供する。適量の水性媒体は、50gから1000g、より好ましくは150gから500g、最も好ましくは175gから300gの範囲である。水性媒体は好ましくは、水性媒体の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも98重量%、最も好ましくは99.8から100重量%の水を含む。
【0045】
本発明の飲料前駆物質及び/または飲料は、医薬として、または医薬の調製において使用されて良い。特に飲料前駆物質及び/または飲料は、癌の治療及び/または予防;並びに/あるいは心臓血管疾患の治療及び/または予防のようなカテキンの消費と関連する利益のいずれかを提供するために使用されて良い。個体の体重及び/または体型の制御のために飲料前駆物質及び/または飲料を使用することは特に好ましい。例えば飲料前駆物質または飲料は、個体に対するこれらの利益の少なくとも一つの提供する方法で使用されてよく、前記方法は個体に飲料を投与する工程を含む。好ましくは飲料は経口的に投与される。
【0046】
また更なる特徴点では、本発明は、
a)新鮮な茶葉及び/または茎を準備する工程;
b)新鮮な茶葉及び/または茎を加熱処理し、酵素の作用を停止する工程;
c)新鮮な茶葉及び/または茎をローターヴァンと少なくとも一度のCTC工程でマセレーションする工程;
d)マセレーションした茶葉及び/または茎を乾燥させる工程;
e)任意にマセレーションして乾燥させた茶葉及び/または茎を粒子サイズに従って篩い分けする工程;及び
f)マセレーションした茶葉及び/または茎を食品グレードの添加剤、好ましくは微粒子の食品グレードの添加剤と組合わせる工程
を含む、飲料前駆物質の製造方法を提供する。
【0047】
この方法は、本発明の第一の特徴点の飲料前駆物質を製造するために好ましくは使用される。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、以下の実施例を参考にして更に記載されるであろう。
【実施例】
【0049】
実施例1
Camellia sinensis var. assamica由来の新鮮な茶葉(二枚の葉と一つのつぼみ)を、ケニアの畑から収穫した。この新鮮な葉は76〜80重量%の水分含量を有する。次いで新鮮な葉を75(±1)%の葉の水分含量に風乾した。次いで葉を96℃の温度で60秒間のスチーム処理に供し、内因性酵素を不活化して発酵を防止した。二つの熱風ドラム乾燥機、引き続き振動ベッド熱風乾燥機に葉を通過させて、スチーム処理した葉の水分含量を67(±1)%に減少した。
【0050】
振動ベッドの最後で葉を室温(〜25℃)に冷却し、次いでローターヴァンに供給した。ローターヴァン由来のマセレーションした葉を、引き続き二つのCTC機械に供給した。CTCプロセッシングの後、マセレーションした葉を流動ベッド乾燥機で乾燥し、3%以下の水分含量とした。
【0051】
次いで茶葉から繊維と二次的物質を除去し、葉を篩い分けする。篩い分けされた葉は、−10+40メッシュ(Tyler)のサイズ範囲を有し、13.3重量%のカテキン含量を有し、2.9重量%のカフェイン含量を有する。
【0052】
次いで茶葉を香料組成物と混合し、ピラミッド型のティーバッグに分け、ティーバッグを密封した。各ティーバッグは1.9gの茶葉と0.2gの香料組成物を含んだ。香料組成物は、マルトデキストリン(担体)と、パイナップル及びハイビスカスアロマとの顆粒混合物であった。パイナップルアロマは2−プロペニルヘキサノエートを含んだ。
【0053】
ティーバッグを250mlの水で90℃で2分間煎出し、0.082重量%のカテキン含量と0.020重量%のカフェイン含量とを有する飲料を生産した。
実施例2
【0054】
茶葉をマセレーションする態様を変更したのを除き、実施例1に記載されたものと同じ方法を使用してティーバッグを生産した。試験Aについては、マセレーションは茶葉を一連の3つのCTC機械を通過させることよりなった;試験Bについては、マセレーションは茶葉を一連の2つのCTC機械を通過させることよりなった;試験Cについては、茶葉を実施例1と同様にマセレーションに供した、すなわち新鮮な茶葉をローターヴァンを通過させ、次いで一連の2つのCTC機械を通過させた。
【0055】
表1は、試験A、B及びCのそれぞれの茶葉の外観を示す。ティーバッグを試験A、B及びCのそれぞれについて同一の条件下で煎出した際に溶解した全固形分の点での煎出パフォーマンスも表1に示されている。
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
250mlの水と90℃で2分間接触させた際に、飲料の0.05から2重量%の間の量でカテキンを含む飲料を生産する量で存在することを特徴とする、茶材料と食品グレードの添加剤とを含む飲料前駆物質。
【請求項2】
0.5から5gの量で存在する、請求項1に記載の飲料前駆物質。
【請求項3】
茶材料が微粒子である、請求項1または2に記載の飲料前駆物質。
【請求項4】
茶材料が緑茶材料を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項5】
茶材料が茶材料の10から90重量%の間の量でカテキンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項6】
茶材料が茶材料の1から25重量%の間の量でカフェインを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項7】
食品グレードの添加剤に対する茶材料の重量比が1:2から100:1である、請求項1から6のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項8】
食品グレードの添加剤が微粒子である、請求項1から7のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項9】
食品グレードの添加剤がサッカリド、塩、甘味料、タンパク質、ミルクパウダー、食品酸、香料、またはそれらの混合物を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項10】
食品グレードの添加剤が香料を含む、請求項9に記載の飲料前駆物質。
【請求項11】
香料がパイナップル香料を含む、請求項10に記載の飲料前駆物質。
【請求項12】
実装されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項13】
実装品が煎出実装品であり、茶材料が茶葉及び/または茎を含む、請求項12に記載の飲料前駆物質。
【請求項14】
茶葉及び/または茎が緑茶葉及び/または茎である、請求項13に記載の飲料前駆物質。
【請求項15】
茶葉及び/または茎がその重量の少なくとも10重量%の量でカテキンを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項16】
茶葉及び/または茎が少なくとも90重量%のCamellia sinensis var. assamica由来の材料を含む、請求項15に記載の飲料前駆物質。
【請求項17】
茶葉及び/または茎がCTC工程を使用してマセレーションされている、請求項12から16のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項18】
茶葉及び/または茎がローターヴァンとCTC工程との組合わせでマセレーションされている、請求項17に記載の飲料前駆物質。
【請求項19】
茶葉及び/または茎がローターヴァンとそれに引き続く2度のCTC工程の通過でマセレーションされている、請求項18に記載の飲料前駆物質。
【請求項20】
茶材料が茶材料の少なくとも90重量%の量で茶葉及び/または茎を含む、請求項12から19のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項21】
茶材料が更に茶抽出物を含む、請求項12から20のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項22】
250mlの水で90℃で2分間接触させることによって生産される飲料が、飲料の0.005から0.5重量%の間の量でカフェインを含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の飲料前駆物質。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項記載の飲料前駆物質を水性媒体と接触させることを含む、飲料の製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法によって製造された飲料を個体に投与する工程を含む、個体の体重及び/または体型の制御方法。
【請求項25】
個体の体重及び/または体型の管理のための、請求項1から22のいずれか一項に記載の飲料前駆物質の使用。
【請求項26】
a)新鮮な茶葉及び/または茎を準備する工程;
b)新鮮な茶葉及び/または茎を加熱処理し、酵素の作用を停止する工程;
c)新鮮な茶葉及び/または茎をローターヴァンと少なくとも一度のCTC工程でマセレーションする工程;
d)マセレーションした茶葉及び/または茎を乾燥させる工程;
e)任意にマセレーションして乾燥させた茶葉及び/または茎を粒子サイズに従って篩い分けする工程;及び
f)マセレーションした茶葉及び/または茎を食品グレードの添加剤、好ましくは微粒子の食品グレードの添加剤と組合わせる工程
を含む、飲料前駆物質の製造方法。
【請求項27】
茶葉及び/または茎が少なくとも90重量%のCamellia sinensis var. assamica由来の材料を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
工程(c)が新鮮な茶葉及び/または茎をローターヴァンに通過させて部分的にマセレーションした茶葉及び/または茎を生産し、次いで部分的にマセレーションした茶葉及び/または茎を少なくとも一度のCTC工程に通過させることを含む、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも一度のCTC工程が二度のCTC工程からなる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
飲料前駆物質を好ましくは煎出実装品に実装する更なる工程を含む、請求項26から29のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−544298(P2009−544298A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521240(P2009−521240)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057554
【国際公開番号】WO2008/012280
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】