説明

飲料懸濁用組成物および方法

【課題】懸濁用組成物を用いて、飲料の濁度を増加させる。
【解決手段】飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約30重量%までの量の乳化剤と、ステロールエステル類、スタノールエステル類およびこれらの組合せから選択され、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約32重量%までの量である疎水性の懸濁剤と、飲料懸濁用組成物の総量の約2重量%から約24重量%までの量の油と、任意により、飲料懸濁用組成物の総量の約16重量%を超えない量の比重調整剤を含む飲料懸濁用組成物。疎水性の懸濁剤、油、および任意により加えられる比重調整剤は、飲料懸濁用組成物の総量の約3重量%から約40重量%までの分量とする。さらに、懸濁用組成物を利用した飲料濃縮物や飲料、およびこれらの製造方法も併せて提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料の懸濁用組成物に関する。さらに詳しく述べると、本発明は飲料の懸濁用組成物、懸濁用組成物を含む飲料の濃縮物、それを用いて調製される飲料ならびに様々な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料には様々な種類がある。水やコーラなどの飲料類は、比較的濁度が低く、それゆえ、外観は透明または澄んでいる。果汁など他の飲料類は、比較的濁度が高く、従って、外観は不透明である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
比較的高い濁度をもつ飲料が望まれることがよくある。懸濁用組成物を用いることで、そのような飲料の濁度を上げることが可能である。
【0004】
飲料の懸濁用組成物に必要なことは、その懸濁用組成物を加えることによって、懸濁飲料の味に、悪い影響が出ないことである。さらに、懸濁用組成物によって、懸濁の特性に加えて、ひとつあるいはさらに多くの有益な特性が飲料に付与されることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従って、飲料の懸濁用組成物を提供する。飲料の懸濁用組成物には、適切な乳化剤、疎水性の懸濁剤、油、および、任意により、適切な比重調整剤が含まれる。懸濁用組成物は、濁りのない飲料用濃縮物、濁りのない飲料用シロップ、濁りのない飲料または濁りの少ないフレーバー濃縮物へ容易に加えることができる。懸濁要組成物は、飲料用濃縮物、飲料用シロップ、または飲料と混合することで、これらの濃縮物やシロップや飲料に含ませることができる。
【0006】
疎水性の懸濁剤は、ステロールエステル類、スタノールエステル類およびこれらの組合せから選択することが可能である。疎水性の懸濁剤は、必要とされる分量で、通常、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約32重量%までの分量で含ませることが可能である。油は、必要とされる分量で、通常、飲料懸濁用組成物の総量の約2重量%から約24重量%までの分量で含ませることが可能であり、また、任意により適切な比重調整剤を、飲料懸濁用組成物の総量の約16重量%未満の分量で含ませることが可能である。
【0007】
適切な乳化剤としては、アラビアゴム、加工でん粉、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸プロピレングリコールおよびこれらの組合せから選択することが可能である。乳化剤は、通常、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約30重量%までの分量で含ませることができる。適切な比重調整剤としては、エステルガム、イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)およびこれらの組合せから選択することが可能である。
【0008】
飲料の懸濁用組成物には、さらに、適切な共乳化剤を含ませることが可能である。適切な共乳化剤としては、モノグリセリド類、ジグリセリド類、糖エステル、レシチン、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(「Tween」40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(「Tween」60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(「Tween」80)、ソルビタンモノラウレート(Span(登録商標)20)、ソルビタンモノパルミテート(「Span」40)、ベタイン、およびこれらの組合せから選択することができる。
【0009】
ある実施の形態では、フレーバーレス(flavorless)オイルが用いられている。別の実施の形態では、フレーバーオイルが用いられている。
【0010】
本発明の別の実施の態様に従って、飲料の懸濁用組成物を調製する方法を提供する。
【0011】
この方法は、油相成分を提供し、約40℃未満の温度、好ましくは、通常21℃である室内周囲温度で油相成分を混合する工程を含む。特に、油相成分は、いかなる外熱も加えることなく混合する。さらに本方法は、水相成分を提供し、攪拌または高せん断混合下で水相成分へ油相成分を分散させ、プレエマルションを調製する工程を含む。油相成分は、必要とされる分量で、通常、飲料懸濁用組成物の総量の3重量%から約40重量%までの分量で含めることが可能である。
【0012】
油相成分には、ステロールエステル類、スタノールエステル類およびこれらの組合せから選択される疎水性の懸濁剤、油、および任意により比重調整剤が含まれる。疎水性の懸濁剤は、通常、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約32重量%までの分量を含めることができる。油は、通常、飲料懸濁用組成物の総量の約2重量%から約24重量%までの分量で含まれ、また、任意で加える適切な比重調整剤は、飲料懸濁用組成物の総量の約16重量%未満の分量で含まれる。
【0013】
本発明のある実施の形態では、本方法は、さらに、飲料の懸濁用組成物に適切な乳化剤を加えることができる。乳化剤は、通常、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約30重量%までの分量で存在する。
【0014】
本発明の別の実施の形態では、本方法は、さらに、プレエマルションを均質化し、均一に分散した微細エマルションを生成する工程を含む。この工程は、約13.8MPa(約2000psi)から約41.4MPa(約6000psi)までの適切な圧力、好ましくは約20.7MPa(約3000psi)から約27.6MPa(約4000psi)までの圧力下で行なってよい。
【0015】
本発明のさらに別の態様に従って、懸濁飲料を調製する。懸濁飲料には、先に述べた飲料懸濁用組成物や、レディトゥドリンク(ready-to-drink)飲料類から選択される食用の液体を含めてもよい。飲料組成物中の懸濁剤の濃度は、必要な度合いの濁度または濁りに達するのに十分な量とする。通常、飲料組成物中の懸濁剤は、約30重量ppmから約1000重量ppm、好ましくは約100重量ppmから約200重量ppmである。
【0016】
本発明の懸濁用組成物を含むレディトゥドリンク(すぐ飲める:ready-to-drink)飲料類としては、適切な果汁類、紅茶類、コーヒー類、ノンアルコール飲料類、炭酸飲料類、非炭酸飲料類、およびこれらの組合せが可能である。
【0017】
本発明のさらに別の実施の態様に従って、懸濁飲料の製造方法を提供する。この方法は、先に述べたように、飲料の懸濁用組成物を調製し、これを飲料に加える工程を含む。
【0018】
本発明の別の態様に従って、懸濁飲料用シロップを提供する。
【0019】
懸濁飲料用シロップには、飲料用シロップおよび先に述べた飲料の懸濁用組成物が含まれる。懸濁飲料用シロップ中の懸濁剤の濃度は、完成した懸濁飲料の組成において、必要な度合いの濁度または濁りに達するのに十分な量とする。通常、完成した懸濁飲料の組成における懸濁剤の濃度は、約30重量ppmから約1000重量ppm、好ましくは約100重量ppmから約200重量ppmである。
【0020】
ある実施の形態では、飲料用シロップは、甘味料類、酸味料類、保存料類、フレーバーエキス類(flavor extracts)、フレーバーエマルション類(flavor emulsions)、およびこれらの組合せの混合が可能である。
【0021】
本発明の別の実施の態様に従い、本発明にしたがった飲料の懸濁用組成物を作製し、この飲料懸濁用組成物を飲料に加える工程を含めた懸濁飲料用シロップの製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のある実施の態様に従って、飲料の懸濁用組成物を提供する。この飲料懸濁用組成物は、飲料に必要な度合いの濁りを与えるのに都合が良く、また、適切な乳化剤、疎水性の懸濁剤、油、および任意により適切な比重調整剤を含む。
【0023】
疎水性の懸濁剤は、ステロールエステル類、スタノールエステル類およびこれらの組合せから選択することが可能である。疎水性の懸濁剤は、必要とされる分量、通常、飲料懸濁用組成物の総量の、約1重量%から約32重量%までの分量で含めることが可能である。油は、必要とされる分量で、通常、飲料懸濁用組成物の総量の約2重量%から約24重量%までの分量で含めることができ、また、任意により、適切な比重調整剤を、飲料懸濁用組成物の総量の約16重量%未満の分量で含めることが可能である。
【0024】
ステロールならびにスタノールエステル類は、濁りを与えるだけでなく、1日約1.3gの分量を定期的に消費した場合、人体中の低比重リポ蛋白(LDL)・コレステロール濃度を下げるという健康上の効果があることが分かっている。ステロールならびにスタノールエステル類とは、遊離のステロール類およびスタノール類がそれぞれエステル化された構造のことをいう。スタノール類とは、ステロール類または植物ステロール類が、飽和されるか、あるいは水素添加された構造のことをいう。
【0025】
植物ステロール類は、植物油またはトール油から得ることができる。植物油由来のステロール類の一般的な原料は、ココナツ油、コーン油、綿実油(cotton oil)、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、菜種油、キャノーラ油、サフラワー油、アマニ油、綿実油(cotton seed oil)、大豆油、ひまわり油、くるみ油、およびアボカド油であるが、これらに限定されない。さらに、ステロール類は、トール油からも得ることが可能である。トール油は、針葉植物の木材から入手可能である。
【0026】
遊離およびエステル化されたスタノール類ならびにエステル化されたステロール類は、遊離のステロール類のように天然材料から容易に入手できるわけではない。したがって、遊離のスタノール類を生成するためには、遊離のステロール類を水素添加しなければならない。また、ステロールエステル類およびスタノールエステル類を生成するためには、遊離のステロール類およびスタノール類をエステル化しなければならない。エステル化構造に適したステロール類およびスタノール類としては、Benecol(登録商標)という商標名でライシオ・ベネコール社(Raisio Benecol)およびマクニール・ニュートリショナル社(McNeil Nutritionals)から、また、CardioAid(登録商標)という商標名でアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社(Archer Daniels Midland)から、VegaPure(登録商標)という商標名でコグニス社(Cognis)から、MultiBene(登録商標)という商標名でマルチベネ・グループ(MultiBene Group)から、および当業者に知られているその他の製品が市販されている。
【0027】
本発明に従って用いられる油は、飲料への利用および人間による消費に適したものであるべきであり、フレーバーレスオイル、フレーバーオイル、ならびにこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0028】
ある実施の形態では、フレーバーレスオイルを用いてフレーバーに当たり障りのない飲料懸濁用組成物を提供する。フレーバーレスオイルには、中鎖トリグリセリド類、植物油、グレープシード油、および当業者に知られているその他の油が含まれるが、これらに限定されない。適切な植物油には、大豆、パーム、菜種、ひまわり種、ピーナッツ、綿実、オリーブ、アボカド、ココナッツ、サフラワー、および当業者に知られているその他の植物油、ならびにこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。ここでいう「フレーバーに当たり障りのない」とは、飲料懸濁用組成物を加えることによって飲料の味またはフレーバーに悪い影響を与えないということを意味する。
【0029】
別の実施の形態では、フレーバーオイルを用いてフレーバーのある懸濁用組成物を提供する。フレーバーオイルには、柑橘油類、コーラオイル類、エッセンシャルオイル類などの当業者に知られている油が含まれるが、これらに限定されない。エッセンシャルオイルには、アーモンド、グレープフルーツ、シナモン、レモン、ライム、オレンジ、ペパーミント、ミカンなどの当業者に知られているエッセンシャルオイル、およびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
比重調整剤は、飲料への利用および人間による消費に適しているいずれかの比重調整剤であることが可能である。比重調整剤としては、エステルガム類、しょ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)および当業者に知られている他の比重調整剤ならびにこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0031】
本発明に従って用いられる乳化剤は、飲料への利用および人間による消費に適しているべきであり、また、必要とされる分量で、通常、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約30重量%までの分量で含めることが可能である。
【0032】
適切な乳化剤としては、アラビアゴム、加工でん粉、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸プロピレングリコール、モノグリセリド、ジグリセリド、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(「Tween」20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(「Tween」40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(「Tween」60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(「Tween」80)、ソルビタンモノラウレート(「Span」20)、ソルビタンモノパルミテート(「Span」40)、ベタインおよび当業者に知られているその他の乳化剤、ならびにこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。乳化剤は、アラビアゴム、加工でん粉、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸プロピレングリコールからなる群より選択されることが好ましい。
【0033】
ある実施の形態では、飲料懸濁用組成物は、さらに、飲料の安定性を増すのに必要とされる分量の適切な共乳化剤を含む。共乳化剤としては、モノグリセリド、ジグリセリド、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(「Tween」20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(「Tween」40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(「Tween」60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(「Tween」80)、ソルビタンモノラウレート(「Span」20)、ソルビタンモノパルミテート(「Span」40)、ベタインおよびこれらの組合せからなる群より選択されることが好ましい。
【0034】
本発明の別の実施の態様では、飲料懸濁用組成物を調製する方法を提供する。この方法は、油相成分を提供し、約40℃未満の温度、好ましくは、通常21℃である室内周囲温度で油相成分を混合する工程を含む。特に、油相成分には、いかなる外熱も加えずに混合する。さらに本方法は、水相成分を提供し、攪拌または高せん断混合下で水相成分へ油相成分を分散させ、プレエマルションを調製する工程を含む。油相成分は、必要とされる分量で、通常、飲料懸濁用組成物の総量の3重量%から約40重量%までの分量で含めることが可能である。
【0035】
油相成分には、ステロールエステル類、スタノールエステル類およびこれらの組合せから選択される疎水性の懸濁剤、油、および任意により比重調整剤が含まれる。疎水性の懸濁剤は、通常、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約32重量%までの分量を含めることができる。油は、通常、飲料懸濁用組成物の総量の約2重量%から約24重量%までの分量を含めることができ、また、任意で加える適切な比重調整剤は、飲料懸濁用組成物の総量の約16重量%未満の分量を含めることができる。
【0036】
本発明のある実施の形態では、本方法は、さらに、飲料懸濁用組成物に乳化剤を加える工程を含む。一般に、乳化剤は、飲料懸濁用組成物の総量の1重量%から約30重量%までの分量で含まれる。
【0037】
本発明の別の実施の形態では、本方法は、さらに、約13.8MPa(約2000psi)から約41.4MPa(約6000psi)まで、好ましくは約20.7MPa(約3000psi)から約27.6MPa(約4000psi)までの圧力下でプレエマルションを均質化し、均一に分散した微細エマルションを生成する工程を含む。
【0038】
ここでいうプレエマルションとは、疎水性懸濁剤の平均粒子径が約5マイクロメートルから約20マイクロメートルのエマルションであって、油相の構成成分がやや均一に分散した状態のエマルションのことをいう。
【0039】
ここでいう微細エマルションとは、疎水性懸濁剤の平均粒子径が約0.3マイクロメートルから約1.5マイクロメートル、好ましくは約0.5マイクロメートルから約0.8マイクロメートルのエマルションであって、粒子径の分布が約0.03マイクロメートルから約5.0マイクロメートル、好ましくは約0.1マイクロメートルから約2.0マイクロメートルであるエマルションのことをいう。
【0040】
ある実施の形態では、フレーバーレスオイルを用いて、フレーバーに当たり障りのない飲料懸濁用組成物を提供する。別の実施の形態では、フレーバーオイルを用いて、フレーバーのある懸濁用組成物を提供する。
【0041】
高せん断ミキシングは、当業者に知られている適切なミキサーのいずれかを用いて行われる。好ましいミキサーとしては、タービン攪拌機、スタティックミキサー(static mixers)、および当業者に知られている他の高せん断ミキサーを含むが、これらの例に限定されない。タービン攪拌機は、スコット・ターボン・ミキサー社(Scott Turbon(登録商標) Mixer, Inc.)(カリフォルニア州アデラント)および当業者に知られている他の会社から市販されている。当業者にとって、静止型混合器またはインラインミキサーとして知られているスタティックミキサーは、様々なサイズおよび形状で提供されており、ケミニア社(Chemineer Inc.)(オハイオ州デイトン)、スルザー社傘下のスルザーケムテック社(Sulzer Chemtech Ltd.)(スイス国、ウィンターツール)、チャールズ・ロス・アンド・サン社(Charles Ross & Son Co.)(ニューヨーク州ホッパーグ)および当業者に知られている他の会社から市販されている。
【0042】
本発明のさらに別の実施の態様に従って、懸濁した飲料を提供する。 懸濁した飲料には、本発明に従って先に述べた飲料懸濁用組成物や、レディトゥドリンク飲料類から選択される食用の液体が含まれる。食用の液体は、通常、非常に濁度の低い、水溶性の組成である。
【0043】
レディトゥドリンク飲料類には、果汁類、紅茶類、コーヒー類、ノンアルコール飲料類、炭酸飲料類、非炭酸飲料類およびこれらの組合せが含まれるが、これらの例に限定されない。
【0044】
懸濁剤は、必要な度合いの濁度に達するのに十分な量で飲料中に含まれる。飲料中の懸濁剤の濃度が高くなると、さらに一層懸濁した飲料となる。逆に、飲料中の懸濁剤の濃度が低くなれば、濁度の少ない飲料となる。ここで、飲料について述べるときに用いている懸濁や濁り、およびこれらのバリエーションを含む語句群は、飲料における濁度の度合いが目視で容易に分かる状況を意味する。
【0045】
本発明において、必要な度合いの濁度に達するのに十分な懸濁剤の分量は、約30重量ppmから約1000重量ppm、好ましくは約100重量ppmから約200重量ppmである。
【0046】
懸濁剤の濃度を上げた場合に、濁度の度合いの増加率がごくわずかにしか低下しないということは、当業者にとって歓迎されることであろう。すなわち、懸濁剤の濃度を上げても、結果として、目視における飲料の濁度の増加が見られず、飲料中の懸濁剤の濃度のみが上昇する場合があるかもしれない。しかしながら、本発明によって、飲料中の懸濁剤の濃度を上げることで、健康上の有益な特性が与えられることは魅力的であると考えて良い。
【0047】
本発明のさらに別の実施の態様に従い、懸濁飲料の製造方法を提供する。この方法は、本発明に従って先に述べた飲料懸濁用組成物を調製し、その飲料懸濁用組成物を食用の液体に加える工程を含む。
【0048】
本発明の別の態様に従って、懸濁飲料用シロップを提供する。懸濁飲料用シロップには、飲料用シロップ、および本発明に従って先に述べた飲料の懸濁用組成物が含まれる。懸濁飲料用シロップ中の懸濁剤の濃度は、懸濁飲料製品の組成において、必要な度合いの濁度や濁りに達するのに十分な分量とする。飲料用シロップを水あるいは他の適切な水溶性の溶媒などの希釈剤によってさらに希釈する工程を経て懸濁飲料製品を調製するということは、当業者にとって明らかであろう。通常、希釈する飲料用シロップの希釈率は、濃縮シロップ1に対して希釈剤4〜5の割合である。
【0049】
飲料用シロップは、通常、非常に濁度の低い、水溶性の組成物である。ある実施の形態では、飲料用シロップには、甘味料類、酸味料類、保存料類、フレーバーエキス類、フレーバーエマルション類が含まれる。
【0050】
本発明の別の実施の態様に従って、懸濁飲料濃縮物の製造方法を提供する。この方法は、本発明に従って先に述べた飲料懸濁用組成物を調製し、その飲料懸濁用組成物と飲料用シロップを混合する工程を含む。
【0051】
飲料の製造工程のどの段階でも、本発明に従った飲料懸濁用組成物を飲料に加えることが可能であるということは、当業者に歓迎されるだろう。例えば、飲料懸濁用組成物を、飲料製造工程の最終段階で加えることができる。あるいは、飲料懸濁用組成物を、飲料濃縮物を調製する段階などの比較的初期の工程や、または、飲料用シロップを調製する段階などの比較的後半の工程においても加えることが可能である。従って、当業者は、ある特定の飲料について、本発明にかかる飲料懸濁用組成物を加えるのに最適な段階を決定することが可能である。
【実施例】
【0052】
下記の実施例1〜4は、以下の工程を経て調製された。原料VおよびIVに関しては、約21℃の室内周囲温度で混合し、いかなる外熱も加えることなく油相を調製した。原料I、II、IIIおよびVIに関してもまた、室内周囲温度で混合して水相を調製した。次に、高せん断ミキシング下で油相を水相へ分散させ、プレエマルションを作製した。これらの実施例を調製するのに用いた高せん断ミキサーは、シルバーソンラボミキサー(Silverson Lab Mixer)であった。プレエマルションは、続いてAPVホモゲナイザーを用いて、27.6MPa(4000psi)の圧力で均質化し、均一に分散した微細エマルションを作製した。
【0053】

本発明について、特定の好ましい実施例を挙げながら述べてきたが、当業者に認識されるように、本発明は、様々に変更、改変および再配置することが可能であり、これらの変更、改変および再配置は本発明にかかる特許請求の範囲に包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約30重量%までの分量の乳化剤と、
ステロールエステル類、スタノールエステル類およびこれらの組合せから選択される疎水性の懸濁剤であって、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約32重量%までの分量である前記疎水性の懸濁剤と、
飲料懸濁用組成物の総量の約2重量%から約24重量%までの分量の油と、
任意により、飲料懸濁用組成物の総量の約16重量%未満の分量の比重調整剤と、
を含む飲料懸濁用組成物であって、
前記疎水性の懸濁剤、前記油、および任意により加えられる前記比重調整剤が、前記飲料懸濁用組成物の総量の約3重量%から約40重量%までの分量で含まれることを特徴とする飲料懸濁用組成物。
【請求項2】
前記乳化剤が、アラビアゴム、加工でん粉、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸プロピレングリコールおよびこれらの組合せから選択され、該乳化剤が前記飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約30重量%までの分量で含まれることを特徴とする請求項1記載の飲料懸濁用組成物。
【請求項3】
モノグリセリド類、ジグリセリド類、糖エステル、レシチン、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ベタイン、およびこれらの組合せからなる群より選択される共乳化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の飲料懸濁用組成物。
【請求項4】
前記油がフレーバーレスオイルであることを特徴とする請求項1記載の飲料懸濁用組成物。
【請求項5】
前記油がフレーバーオイルであることを特徴とする請求項1記載の飲料懸濁用組成物。
【請求項6】
前記比重調整剤が、エステルガム類、しょ糖酢酸イソ酪酸エステルおよびこれらの組合せからなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の飲料懸濁用組成物。
【請求項7】
飲料懸濁用組成物を調製する方法であって、
ステロールエステル類、スタノールエステル類およびこれらの組合せからなる群より選択される疎水性の懸濁剤であって、前記飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約32重量%までの分量である前記疎水性の懸濁剤と、前記飲料懸濁用組成物の総量の約2重量%から約24重量%までの分量の油と、任意により、前記飲料懸濁用組成物の総量の約16重量%未満の分量の比重調整剤と、を含む油相成分を提供し、
前記油相成分を約40℃未満の温度で混合し、
水を含む水相成分を提供し、
攪拌または高せん断混合下で前記水相成分中に前記油相成分を分散させて、前記油相成分が前記飲料懸濁用組成物の総量の約3重量%から約40重量%までの分量であるプレエマルションを生成する、
各工程を含む飲料懸濁用組成物を調製する方法。
【請求項8】
前記飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約30重量%までの分量の乳化剤を該飲料懸濁用組成物中に加える工程をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記乳化剤が、アラビアゴム、加工でん粉、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸プロピレングリコールおよびこれらの組合せからなる群より選択される乳化剤であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
約13.8MPa(約2000psi)から約41.4MPa(約6000psi)までの圧力下でプレエマルションを均質化し、均一に分散した微細エマルションを生成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記高せん断混合が、タービン攪拌機、スタティックミキサー(static mixers)からなる群より選択されるミキサーを用いて行われることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項12】
飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約30重量%までの量の乳化剤と、
ステロールエステル類、スタノールエステル類およびこれらの組合せから選択される疎水性の懸濁剤であって、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約32重量%までの分量である疎水性の懸濁剤と、
飲料懸濁用組成物の総量の約2重量%から約24重量%までの分量の油と、
任意により、飲料懸濁用組成物の総量の約16重量%未満の分量の比重調整剤と、
を含む飲料懸濁用組成物、および
レディトゥドリンク(ready-to-drink)飲料類から選択される食用の液体、
を含む懸濁飲料であって、
前記飲料懸濁用組成物中に、前記疎水性の懸濁剤、前記油、および任意により加えられる前記比重調整剤が、前記飲料懸濁用組成物の総量の約5重量%から約40重量%までの分量で含まれ、
前記懸濁飲料中の前記懸濁剤の濃度が、約30重量ppmから約1000重量ppmであることを特徴とする懸濁飲料。
【請求項13】
前記乳化剤が、アラビアゴム、加工でん粉、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸プロピレングリコールおよびこれらの組合せからなる群より選択され、該乳化剤が飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約30重量%までの分量で含まれることを特徴とする請求項12記載の飲料。
【請求項14】
前記レディトゥドリンク飲料類が、果汁類、紅茶類、コーヒー類、ノンアルコール飲料類、炭酸飲料類、非炭酸飲料類およびこれらの組合せからなる群より選択されることを特徴とする請求項12記載の飲料。
【請求項15】
ステロールエステル類、スタノールエステル類およびこれらの組合せからなる群より選択される疎水性の懸濁剤であって、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約32重量%までの分量の前記疎水性の懸濁剤と、飲料懸濁用組成物の総量の約2重量%から約24重量%までの分量の油と、任意により、飲料懸濁用組成物の総量の約16重量%未満の分量の比重調整剤と、を含む油相成分を提供し、
前記油相成分を約25℃未満の温度で混合し、
水を含む水相成分を提供し、
攪拌または高せん断混合下で前記水相成分中に前記油相成分を分散させて、前記油相成分が、飲料懸濁用組成物の総量の5重量%から約40重量%までの量であるプレエマルションを生成し、
前記プレエマルションにレディトゥドリンク飲料類から選択される食用の液体を混合する、
各工程を含む懸濁飲料の調製方法であって、
前記懸濁飲料中の前記懸濁剤の濃度が約30重量ppmから約1000重量ppmで含まれることを特徴とする方法。
【請求項16】
約141kgf/cm(約2000psi)から約422kgf/cm(約6000psi)までの圧力下でプレエマルションを均質化し、均一に分散した微細エマルションを作製する工程をさらに含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記高せん断混合が、タービン攪拌機、スタティックミキサー(static mixers)からなる群より選択されるミキサーを用いて行われることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記レディトゥドリンク飲料類が、果汁類、紅茶類、コーヒー類、ノンアルコール飲料類、炭酸飲料類、非炭酸飲料類およびこれらの組合せからなる群より選択されることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項19】
飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約30重量%までの分量の乳化剤と、
ステロールエステル類、スタノールエステル類およびこれらの組合せから選択される疎水性の懸濁剤であって、飲料懸濁用組成物の総量の約1重量%から約32重量%までの分量である前記疎水性の懸濁剤と、
飲料懸濁用組成物の総量の約2重量%から約24重量%までの分量の油と、
任意により、飲料懸濁用組成物の総量の約16重量%未満の分量の比重調整剤と、
を含む飲料の懸濁用組成物、および
飲料用シロップ、
を含む懸濁飲料用シロップであって、
該飲料懸濁用シロップ中に、懸濁飲料製品中の飲料懸濁剤の濃度が約30重量ppmから約1000重量ppmであることを特徴とする懸濁飲料用シロップ。
【請求項20】
前記飲料用シロップが、甘味料類、酸味料類、保存料類、フレーバーエキス類、フレーバーエマルション類を含むことを特徴とする請求項19記載の懸濁飲料用シロップ。

【公開番号】特開2007−135590(P2007−135590A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−310015(P2006−310015)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(593203701)ペプシコ,インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】PepsiCo Inc.
【Fターム(参考)】