説明

飲料提供装置

【課題】提供する飲料に含まれる電解水の品質レベルを安定させて、提供する飲料の品質の低下を防止することができる飲料提供装置を提供すること。
【解決手段】水を電気分解してアルカリ性電解水と酸性電解水とを生成する電解水生成器10を備え、提供指令が与えられた場合に、電解水生成器10で生成された電解水を用いた飲料をカップCに供給することで飲料を提供する飲料提供装置において、提供指令が与えられ、かつ予め設定された所定の条件を満足する場合に、電解水生成器10から既に吐出されて冷水供給配管20に滞留する電解水を排出する排水制御を行う制御手段40を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料提供装置に関し、より詳細には、水を電気分解してアルカリ性電解水と酸性電解水とを生成する電解水生成手段を備えて成り、提供指令が与えられた場合に、電解水生成手段で生成された電解水を用いた飲料を飲料容器に供給することで飲料を提供する飲料提供装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば飲料ディスペンサや給茶機等のように、水を電気分解してアルカリ性電解水と酸性電解水とを生成する電解水生成手段を備えて成る飲料提供装置が知られている。このような飲料提供装置では、提供指令が与えられた場合に、電解水生成手段で生成された電解水を用いた飲料を飲料容器に供給することで飲料を提供するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−81666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に提案されているような飲料提供装置においては、待機状態において、前回の飲料提供時に電解水生成手段で生成されて吐出された電解水が配管内に滞留している。そのため、次の飲料提供時において配管内に滞留している電解水が飲料の一部として提供されることとなる。
【0005】
ところが、前回の飲料提供から今回の飲料提供までの時間が長大なものになると、配管内に滞留する電解水の品質レベルが低下してしまい、結果的に提供する飲料の品質の低下を招来する虞れがあった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、提供する飲料に含まれる電解水の品質レベルを安定させて、提供する飲料の品質の低下を防止することができる飲料提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る飲料提供装置は、水を電気分解してアルカリ性電解水と酸性電解水とを生成する電解水生成手段を備えて成り、提供指令が与えられた場合に、前記電解水生成手段で生成された電解水を用いた飲料を飲料容器に供給することで飲料を提供する飲料提供装置において、前記提供指令が与えられ、かつ予め設定された所定の条件を満足する場合に、前記電解水生成手段から既に吐出されて配管内に滞留する電解水を排出する排水制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る飲料提供装置は、上述した請求項1において、前記飲料容器に飲料を供給する供給ノズルを備え、前記制御手段は、前記提供指令が与えられた場合に、前記電解水生成手段から前記供給ノズルに至る供給配管に設けられた供給バルブをその都度開成して、前記配管内に滞留する電解水を前記供給ノズルから排出する排水制御を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る飲料提供装置は、上述した請求項1において、前記飲料容器に飲料を供給する供給ノズルと、前記電解水生成手段から前記供給ノズルに至る供給配管に設けられ、閉成する場合に前記供給ノズルからの飲料の供給を規制する一方、開成する場合に前記供給ノズルからの飲料の供給を許容する供給バルブと、前記供給配管における前記供給バルブの上流側から分岐する排水配管に設けられた排水バルブとを備え、前記制御手段は、前記提供指令が与えられた場合に、前記供給バルブを閉成した状態で前記排水バルブをその都度開成して、前記排水配管を通じて前記配管内に滞留する電解水を排出する排水制御を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る飲料提供装置は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記制御手段は、前記提供指令が与えられ、かつ前回の飲料の提供から予め設定された時間が経過する場合に、前記配管内に滞留する電解水を排出する排水制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の飲料提供装置によれば、制御手段が、提供指令が与えられ、かつ予め設定された所定の条件を満足する場合に、電解水生成手段から既に吐出されて配管内に滞留する電解水を排出する排水制御を行うので、電解水生成手段で生成された電解水を配管内に滞留させることなく飲料として供給して提供することができ、これにより、提供する飲料に含まれる電解水の品質レベルを安定させて、提供する飲料の品質の低下を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1である飲料提供装置の概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示した飲料提供装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】図3は、図2に示した制御手段が実施する飲料提供制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態2である飲料提供装置の概略構成図である。
【図5】図5は、図4に示した飲料提供装置の制御系を示すブロック図である。
【図6】図6は、図5に示した制御手段が実施する飲料提供制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施の形態3である飲料提供装置の制御系を示すブロック図である。
【図8】図8は、図7に示した制御手段が実施する飲料提供制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る飲料提供装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1である飲料提供装置の概略構成図である。ここで例示する飲料提供装置は、例えば給茶機であり、電解水生成器(電解水生成手段)10と、冷水供給配管20と、湯タンク30とを備えて構成してある。
【0015】
電解水生成器10は、原水供給配管11を通じてカートリッジ式給水タンク12に接続してあり、原水供給配管11に設けられたカセットポンプ13の駆動によりカートリッジ式給水タンク12から供給された原水を電気分解してアルカリ性電解水と酸性電解水とを生成するものである。
【0016】
この電解水生成器10で生成されたアルカリ性電解水は、ブースタポンプ14の駆動により、電解水供給配管15を通じて冷水供給配管20若しくは湯タンク30に供給されることになる。
【0017】
冷水供給配管20は、基端部が電解水供給配管15に接続してあり、一部が蛇行状に屈曲して水槽21に貯留される水に浸漬してある。ここで水槽21は、冷水供給配管20を通過する水を冷却するためのものである。
【0018】
この冷水供給配管20は、自身の基端部に設けられた第1給水弁22が開成する場合に、電解水生成器10から供給された電解水の通過を許容するものである。ここで第1給水弁22は、後述する制御手段40からの指令により開閉するものであり、開成する場合には電解水の供給を許容する一方、閉成する場合には電解水の供給を規制するものである。
【0019】
このような冷水供給配管20の水槽21の水に浸漬された部分の更に先端部は、例えば3つに分岐されており、第1冷水供給分岐配管23a、第2冷水供給分岐配管23b及び第3冷水供給分岐配管23cを構成している。
【0020】
第1冷水供給分岐配管23aは、第1ミキシングボール24aに接続してあり、自身に設けられた第1冷水電磁弁(供給バルブ)23a1が開成する場合に、第1ミキシングボール24aに冷水を供給するものである。ここで第1冷水電磁弁23a1は、後述する制御手段40からの指令により開閉するものであり、開成する場合には第1冷水供給分岐配管23aを通じての冷水の供給を許容する一方、閉成する場合には第1冷水供給分岐配管23aを通じての冷水の供給を規制するものである。
【0021】
第1ミキシングボール24aは、図示せぬ原料キャニスタから供給される粉末原料、あるいは図示せぬ抽出容器から供給される抽出飲料と、第1冷水供給分岐配管23aから供給される冷水等とを混合して飲料を調理するものである。この第1ミキシングボール24aには、第1飲料供給配管25aが接続してあり、第1ミキシングボール24aは、第1飲料供給配管25aの先端部に設けられた第1供給ノズル25a1より、供給ステージ1に配設されたカップ(飲料容器)Cに飲料を供給するものである。
【0022】
つまり、第1冷水電磁弁23a1が開成される場合には、第1冷水供給分岐配管23aを通じての冷水の供給が許容される結果、第1ミキシングボール24a及び第1飲料供給配管25aを通じて第1供給ノズル25a1からカップCに飲料が供給されることになる。
【0023】
第2冷水供給分岐配管23bは、先端部に第2供給ノズル23b2が設けてあり、自身に設けられた第2冷水電磁弁(供給バルブ)23b1が開成する場合に、第2供給ノズル23b2から供給ステージ1に配設されたカップCに冷水を飲料として供給するものである。ここで第2冷水電磁弁23b1は、後述する制御手段40からの指令により開閉するものであり、開成する場合には第2冷水供給分岐配管23bを通じての冷水の供給を許容する一方、閉成する場合には第2冷水供給分岐配管23bを通じての冷水の供給を規制するものである。
【0024】
第3冷水供給分岐配管23cは、第2ミキシングボール24bに接続してあり、自身に設けられた第3冷水電磁弁(供給バルブ)23c1が開成する場合に、第2ミキシングボール24bに冷水を供給するものである。ここで第3冷水電磁弁23c1は、後述する制御手段40からの指令により開閉するものであり、開成する場合には第3冷水供給分岐配管23cを通じての冷水の供給を許容する一方、閉成する場合には第3冷水供給分岐配管23cを通じての冷水の供給を規制するものである。
【0025】
第2ミキシングボール24bは、図示せぬ原料キャニスタから供給される粉末原料、あるいは図示せぬ抽出容器から供給される抽出飲料と、第3冷水供給分岐配管23cから供給される冷水等とを混合して飲料を調理するものである。この第2ミキシングボール24bには、第2飲料供給配管25bが接続してあり、第2ミキシングボール24bは、第2飲料供給配管25bの先端部に設けられた第3供給ノズル25b1より、供給ステージ1に配設されたカップCに飲料を供給するものである。
【0026】
つまり、第3冷水電磁弁23c1が開成される場合には、第3冷水供給分岐配管23cを通じての冷水の供給が許容される結果、第2ミキシングボール24b及び第2飲料供給配管25bを通じて第3供給ノズル25b1からカップCに飲料が供給されることになる。
【0027】
湯タンク30は、冷水供給配管20の基端部における第1給水弁22の下流側部分より分岐する態様で設けられた湯用水供給配管31に接続してあり、上記第1給水弁22が開成し、かつ湯用水供給配管31に設けられた第2給水弁32が開成することで供給された水(電解水)を、内蔵するヒータ(図示せず)で加熱して湯として貯留するものである。
【0028】
この湯タンク30には、第1湯供給配管33a、第2湯供給配管33b及び第3湯供給配管33cが接続してある。
【0029】
第1湯供給配管33aは、第1ミキシングボール24aに接続してあり、自身に設けられた第1湯電磁弁33a1が開成する場合に、第1ミキシングボール24aに湯を供給するものである。ここで第1湯電磁弁33a1は、後述する制御手段40からの指令により開閉するものであり、開成する場合には第1湯供給配管33aを通じての湯の供給を許容する一方、閉成する場合には第1湯供給配管33aを通じての湯の供給を規制するものである。
【0030】
これにより第1ミキシングボール24aでは、原料キャニスタから供給される粉末原料、あるいは抽出容器から供給される抽出飲料と、第1湯供給配管33aから供給される湯等とを混合して飲料を調理することもできる。
【0031】
よって、第1湯電磁弁33a1が開成される場合には、第1湯供給配管33aを通じての湯の供給が許容される結果、第1ミキシングボール24a及び第1飲料供給配管25aを通じて第1供給ノズル25a1からカップCに飲料が供給されることになる。
【0032】
第2湯供給配管33bは、先端部が第2冷水供給分岐配管23bに接続してあり、自身に設けられた第2湯電磁弁33b1が開成する場合に、第2供給ノズル23b2から供給ステージ1に配設されたカップCに湯を飲料として供給するものである。ここで第2湯電磁弁33b1は、後述する制御手段40からの指令により開閉するものであり、開成する場合には第2湯供給配管33b及び第2冷水供給分岐配管23bの一部を通じての湯の供給を許容する一方、閉成する場合には第2湯供給配管33bを通じての湯の供給を規制するものである。
【0033】
第3湯供給配管33cは、第2ミキシングボール24bに接続してあり、自身に設けられた第3湯電磁弁33c1が開成する場合に、第2ミキシングボール24bに湯を供給するものである。ここで第3湯電磁弁33c1は、後述する制御手段40からの指令により開閉するものであり、開成する場合には第3湯供給配管33cを通じての湯の供給を許容する一方、閉成する場合には第3湯供給配管33cを通じての湯の供給を規制するものである。
【0034】
これにより第2ミキシングボール24bでは、原料キャニスタから供給される粉末原料、あるいは抽出容器から供給される抽出飲料と、第3湯供給配管33cから供給される湯等とを混合して飲料を調理することもできる。
【0035】
よって、第3湯電磁弁33c1が開成される場合には、第3湯供給配管33cを通じての湯の供給が許容される結果、第2ミキシングボール24b及び第2飲料供給配管25bを通じて第3供給ノズル25b1からカップCに飲料が供給されることになる。
【0036】
図2は、図1に示した飲料提供装置の制御系を示すブロック図である。この図2においては、本発明の実施の形態1の飲料提供装置の特徴的な制御系のみを示しており、その他の構成要素の図示は省略している。
【0037】
図2に示すように、飲料提供装置は、選択ボタン2及び制御手段40を備えている。選択ボタン2は、飲料提供装置を構成する筐体の接客面となる前面において、当該飲料提供装置が提供する飲料の種類毎に設けてある。例えば、冷水を選択する選択ボタン2や湯を選択する選択ボタン2、また冷茶を選択する選択ボタン2や温かいお茶を選択する選択ボタン2等がある。これら選択ボタン2は、利用者により押下操作されると、自身が割り付けられた飲料の選択信号を制御手段40に与えるものである。
【0038】
制御手段40は、メモリ41に予め記憶されたプログラムやデータに従って飲料提供装置の動作を統括的に制御するものである。より詳細には、制御手段40は、選択ボタン2から送出された選択信号を入力した場合に、提供指令が与えられたものとして、後述する飲料提供制御処理を行うものである。また、かかる飲料提供制御処理に限らず、種々の制御も必要に応じて行うものである。
【0039】
図3は、図2に示した制御手段40が実施する飲料提供制御処理の処理内容を示すフローチャートである。かかる飲料提供制御処理を説明しながら本実施の形態1である飲料提供装置の動作について説明する。
【0040】
飲料提供制御処理の説明の前提として、第1冷水電磁弁23a1、第2冷水電磁弁23b1及び第3冷水電磁弁23c1の各冷水電磁弁、第1湯電磁弁33a1、第2湯電磁弁33b1及び第3湯電磁弁33c1の各湯電磁弁、第1給水弁22、第2給水弁32は閉成しているものとする。そして、冷水供給配管20における第1給水弁22から各冷水電磁弁23a1,23b1,23c1までの間には前回の飲料提供時に電解水生成器10から吐出された電解水(アルカリ性電解水)が滞留しているものとする。
【0041】
かかる飲料提供制御処理において制御手段40は、選択ボタン2(冷水を選択する選択ボタン2)から選択信号を入力した場合(ステップS101:Yes)、提供指令が与えられたものとして、内蔵する時計を通じて排水時間の計測を開始するとともに、第2冷水電磁弁23b1を開成する(ステップS102,ステップS103)。これにより、冷水供給配管20において第1給水弁22から各冷水電磁弁までの間に滞留する電解水が第2供給ノズル23b2から排出されることになる。排出された電解水は、排出皿6に導かれ、その後に排水バケツ7に貯留される。
【0042】
そして、ステップS102で計測開始した排水時間がメモリ41に予め記憶された排水設定時間を経過した場合(ステップS104:Yes)、制御手段40は、排水時間の計測を停止してステップS101で入力した選択信号に応じて選択飲料提供動作を行い(ステップS105)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。尚、排水設定時間は、冷水供給配管20に滞留する電解水を排出するのに十分な時間であり、経験に基づき設定されたものである。
【0043】
ここでステップS105の選択飲料提供動作について説明する。ステップS101では冷水を選択する選択ボタン2から選択信号を入力していることから選択飲料が冷水となる。そのため、制御手段40は、カセットポンプ13及びブースタポンプ14を駆動させるとともに、第1給水弁22を開成する。これにより電解水生成器10で生成されたアルカリ性電解水は、電解水供給配管15及び冷水供給配管20を通過した後に第2冷水供給分岐配管23bを通過して第2供給ノズル23b2より、供給ステージ1に載置されたカップCに飲料(冷水)として供給されることになる。カップCに供給される飲料が所定量に達すると、制御手段40は第2冷水電磁弁23b1を閉成させるとともに、第1給水弁22を閉成させて飲料の供給を停止する。また必要に応じて各種ポンプを駆動停止にさせる。
【0044】
この結果、利用者により所定の取出口を通じてカップCが取り出されることで、飲料提供装置は、利用者に対して飲料を提供することになる。
【0045】
かかる飲料提供動作では、冷水を提供する場合について説明したが、本実施の形態1においては、湯や冷茶、あるいは温かいお茶を提供することもできることはいうまでもない。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態1である飲料提供装置によれば、制御手段40が、提供指令が与えられた場合に、いずれかの冷水電磁弁23a1,23b1,23c1をその都度開成して、冷水供給配管20に滞留する電解水をいずれかの供給ノズル23b2,25a1,25b1から排出するので、提供する飲料に含まれる電解水の品質レベルを安定させて、提供する飲料の品質の低下を防止することができる。
【0047】
<実施の形態2>
図4は、本発明の実施の形態2である飲料提供装置の概略構成図であり、図5は、図4に示した飲料提供装置の制御系を示すブロック図である。この図5においては、本発明の実施の形態2の飲料提供装置の特徴的な制御系のみを示しており、その他の構成要素の図示は省略している。尚、以下においては、上述した実施の形態1である飲料提供装置と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を適宜省略するものとする。
【0048】
ここで例示する飲料提供装置は、例えば給茶機であり、電解水生成器(電解水生成手段)10と、冷水供給配管20と、湯タンク30、販売用電磁弁(供給バルブ)3と、排水用電磁弁(排水バルブ)4と、制御手段50とを備えて構成してある。
【0049】
販売用電磁弁3は、冷水供給配管20において湯用水供給配管31と分岐する個所から水槽21の水に浸漬される個所までの間に設けてあり、制御手段50からの指令により開閉するものである。この販売用電磁弁3は、開成する場合には冷水供給配管20を通じての冷水の供給を許容する一方、閉成する場合には冷水供給配管20を通じての冷水の供給を規制するものである。
【0050】
排水用電磁弁4は、冷水供給配管20において販売用電磁弁3の上流側から分岐する態様で設けられた排水配管5に配設してある。排水配管5は、先端部に排水ノズル5aを有しており、排水ノズル5aを通じて排出皿6に水を排出するものである。排水用電磁弁4は、制御手段50からの指令により開閉するもので、開成する場合には排水配管5を通じての水の通過を許容する一方、閉成する場合には排水配管5を通じての水の通過を規制するものである。
【0051】
制御手段50は、メモリ51に予め記憶されたプログラムやデータに従って飲料提供装置の動作を統括的に制御するものである。より詳細には、制御手段50は、選択ボタン2から送出された選択信号を入力した場合に、提供指令が与えられたものとして、後述する飲料提供制御処理を行うものである。また、かかる飲料提供制御処理に限らず、種々の制御も必要に応じて行うものである。
【0052】
つまり、本実施の形態2である飲料提供装置においては、実施の形態1である飲料提供装置に比して、販売用電磁弁3、排水用電磁弁4、排水配管5、制御手段50だけが異なるだけでその他の構成要素は同一である。
【0053】
図6は、図5に示した制御手段50が実施する飲料提供制御処理の処理内容を示すフローチャートである。かかる飲料提供制御処理を説明しながら本実施の形態2である飲料提供装置の動作について説明する。
【0054】
飲料提供制御処理の説明の前提として、第1冷水電磁弁23a1、第2冷水電磁弁23b1及び第3冷水電磁弁23c1の各冷水電磁弁、第1湯電磁弁33a1、第2湯電磁弁33b1及び第3湯電磁弁33c1の各湯電磁弁、第1給水弁22、第2給水弁32、販売用電磁弁3、排水用電磁弁4は閉成しているものとする。そして、冷水供給配管20における第1給水弁22から販売用電磁弁3までの間には前回の飲料提供時に電解水生成器10から吐出された電解水(アルカリ性電解水)が滞留しているものとする。
【0055】
かかる飲料提供制御処理において制御手段50は、選択ボタン2(冷水を選択する選択ボタン2)から選択信号を入力した場合(ステップS201:Yes)、提供指令が与えられたものとして、排水用電磁弁4を開成させるとともに、内蔵する時計を通じて排水時間の計測を開始する(ステップS202,ステップS203)。これにより、冷水供給配管20において第1給水弁22から販売用電磁弁3までの間に滞留する電解水が排水ノズル5aから排出皿6に排出され、その後に排水バケツ7に貯留される。
【0056】
そして、ステップS203で計測開始した排水時間がメモリ51に予め記憶された排水設定時間を経過した場合(ステップS204:Yes)、制御手段50は、排水時間の計測を停止して排水用電磁弁4を閉成させるとともに販売用電磁弁3を開成させる(ステップS205,ステップS206)。
【0057】
販売用電磁弁3を開成させた制御手段50は、ステップS201で入力した選択信号に応じて選択飲料提供動作を行い(ステップS207)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。尚、排水設定時間は、冷水供給配管20に滞留する電解水を排出するのに十分な時間であり、経験に基づき設定されたものである。
【0058】
ここでステップS207の選択飲料提供動作について説明する。ステップS201では冷水を選択する選択ボタン2から選択信号を入力していることから選択飲料が冷水となる。そのため、制御手段50は、カセットポンプ13及びブースタポンプ14を駆動させるとともに、第1給水弁22及び第2冷水電磁弁23b1を開成する。これにより電解水生成器10で生成されたアルカリ性電解水は、電解水供給配管15及び冷水供給配管20を通過した後に第2冷水供給分岐配管23bを通過して第2供給ノズル23b2より、供給ステージ1に載置されたカップCに飲料(冷水)として供給されることになる。カップCに供給される飲料が所定量に達すると、制御手段50は、販売用電磁弁3を閉成させてから第2冷水電磁弁23b1を閉成させ、その後に第1給水弁22を閉成させて飲料の供給を停止する。また必要に応じて各種ポンプを駆動停止にさせる。
【0059】
この結果、利用者により所定の取出口を通じてカップCが取り出されることで、飲料提供装置は、利用者に対して飲料を提供することになる。
【0060】
かかる飲料提供動作では、冷水を提供する場合について説明したが、本実施の形態2においては、湯や冷茶、あるいは温かいお茶を提供することもできることはいうまでもない。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態2である飲料提供装置によれば、制御手段50が、提供指令が与えられた場合に、販売用電磁弁3を閉成した状態で排水用電磁弁4をその都度開成して、排水配管5を通じて冷水供給配管20に滞留する電解水を排出するので、提供する飲料に含まれる電解水の品質レベルを安定させて、提供する飲料の品質の低下を防止することができる。特に、供給ノズル23b2,25a1,25b1を通じて滞留する電解水を排出するわけではないので、カップCに排出してしまう虞れがない。
【0062】
<実施の形態3>
図7は、本発明の実施の形態3である飲料提供装置の制御系を示すブロック図である。この図7においては、本発明の実施の形態3の飲料提供装置の特徴的な制御系のみを示しており、その他の構成要素の図示は省略している。尚、以下においては、上述した実施の形態1である飲料提供装置と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を適宜省略するものとする。
【0063】
ここで例示する飲料提供装置は、例えば給茶機であり、電解水生成器(電解水生成手段)10と、冷水供給配管20と、湯タンク30、制御手段60とを備えて構成してある。
【0064】
制御手段60は、メモリ61に予め記憶されたプログラムやデータに従って飲料提供装置の動作を統括的に制御するものである。より詳細には、制御手段60は、選択ボタン2から送出された選択信号を入力した場合に、提供指令が与えられたものとして、後述する飲料提供制御処理を行うものである。また、かかる飲料提供制御処理に限らず、種々の制御も必要に応じて行うものである。
【0065】
つまり、本実施の形態3である飲料提供装置においては、実施の形態1である飲料提供装置に比して、制御手段60だけが異なるだけでその他の構成要素は同一である。
【0066】
図8は、図7に示した制御手段60が実施する飲料提供制御処理の処理内容を示すフローチャートである。かかる飲料提供制御処理を説明しながら本実施の形態3である飲料提供装置の動作について説明する。
【0067】
飲料提供制御処理の説明の前提として、第1冷水電磁弁23a1、第2冷水電磁弁23b1及び第3冷水電磁弁23c1の各冷水電磁弁、第1湯電磁弁33a1、第2湯電磁弁33b1及び第3湯電磁弁33c1の各湯電磁弁、第1給水弁22、第2給水弁32は閉成しているものとする。そして、冷水供給配管20における第1給水弁22から各冷水電磁弁までの間には前回の飲料提供時に電解水生成器10から吐出された電解水(アルカリ性電解水)が滞留しているものとする。
【0068】
かかる飲料提供制御処理において制御手段60は、選択ボタン2(冷水を選択する選択ボタン2)から選択信号を入力した場合(ステップS301:Yes)、提供指令が与えられたものとして、前回の飲料提供時から計測する待機時間がメモリ61に予め記憶された待機設定時間を経過するか否かを判断する(ステップS302)。ここで待機設定時間は、冷水供給配管20に滞留する電解水がその品質を保持することが可能な時間であり、経験に基づき設定されたものである。
【0069】
待機時間が待機設定時間を経過している場合(ステップS302:Yes)、制御手段60は、待機時間の計測を停止して(ステップS303)、内蔵する時計を通じて排水時間の計測を開始するとともに第2冷水電磁弁23b1を開成する(ステップS304,ステップS305)。これにより、冷水供給配管20において第1給水弁22から各冷水電磁弁23a1,23b1,23c1までの間に滞留する電解水が第2供給ノズル23b2から排出されることになる。排出された電解水は、排出皿6に導かれ、その後に排水バケツ7に貯留される。
【0070】
そして、ステップS304で計測開始した排水時間がメモリ61に予め記憶された排水設定時間を経過した場合(ステップS306:Yes)、制御手段60は、排水時間の計測を停止してステップS301で入力した選択信号に応じて選択飲料提供動作を行う(ステップS307)。尚、排水設定時間は、冷水供給配管20に滞留する電解水を排出するのに十分な時間であり、経験に基づき設定されたものである。
【0071】
ここでステップS307の選択飲料提供動作について説明する。ステップS301では冷水を選択する選択ボタン2から選択信号を入力していることから選択飲料が冷水となる。そのため、制御手段60は、カセットポンプ13及びブースタポンプ14を駆動させるとともに、第1給水弁22を開成する。これにより電解水生成器10で生成されたアルカリ性電解水は、電解水供給配管15及び冷水供給配管20を通過した後に第2冷水供給分岐配管23bを通過して第2供給ノズル23b2より、供給ステージ1に載置されたカップCに飲料(冷水)として供給されることになる。カップCに供給される飲料が所定量に達すると、制御手段60は第2冷水電磁弁23b1を閉成させるとともに、第1給水弁22を閉成させて飲料の供給を停止する。また必要に応じて各種ポンプを駆動停止にさせる。
【0072】
この結果、利用者により所定の取出口を通じてカップCが取り出されることで、飲料提供装置は、利用者に対して飲料を提供することになる。
【0073】
かかる飲料提供動作では、冷水を提供する場合について説明したが、本実施の形態3においては、湯や冷茶、あるいは温かいお茶を提供することもできることはいうまでもない。
【0074】
選択飲料提供動作を実施した制御手段60は、内蔵する時計を通じて待機時間の計測を開始して(ステップS308)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0075】
一方、上記ステップS302において待機時間が待機設定時間を超えていない場合(ステップS302:No)、制御手段60は、待機時間の計測を停止して(ステップS309)、その後にステップS307に移行してステップS307及びステップS308の処理を実施して、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態3である飲料提供装置によれば、制御手段60が、提供指令が与えられ、かつ前回の飲料の提供時から計測した待機時間が待機設定時間を経過する場合に、冷水供給配管20に滞留する電解水をいずれかの供給ノズルから排出するので、提供する飲料に含まれる電解水の品質レベルを安定させて、提供する飲料の品質の低下を防止することができる。
【0077】
また、上記飲料提供装置によれば、前回の飲料の提供時から計測した待機時間が待機設定時間を経過していない場合には、冷水供給配管20に滞留し、かつ品質レベルが低下していない電解水を用いて飲料を供給して提供するので、滞留する電解水を有効活用することができ、販売機会を良好に確保することができる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施の形態1〜3について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0079】
すなわち、上述した実施の形態3では、供給ノズル23b2,25a1,25b1を通じて電解水を排出する場合について説明したが、かかる実施の形態3においては、排水ノズル5aを通じて電解水を排出するようにしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明に係る飲料提供装置は、例えば飲料ディスペンサや給茶機等として適用でき、飲料を提供するのに有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 供給ステージ
2 選択ボタン
3 販売用電磁弁
4 排水用電磁弁
5 排水配管
5a 排水ノズル
10 電解水生成器
11 原水供給配管
12 カートリッジ式給水タンク
13 カセットポンプ
14 ブースタポンプ
15 電解水供給配管
20 冷水供給配管
21 水槽
22 第1給水弁
23a 第1冷水供給分岐配管
23a1 第1冷水電磁弁
23b 第2冷水供給分岐配管
23b1 第2冷水電磁弁
23b2 第2供給ノズル
23c 第3冷水供給分岐配管
23c1 第3冷水電磁弁
24a 第1ミキシングボール
24b 第2ミキシングボール
25a 第1飲料供給配管
25a1 第1供給ノズル
23c1 第3冷水電磁弁
25b 第2飲料供給配管
25b1 第3供給ノズル
30 湯タンク
31 湯用水供給配管
32 第2給水弁
33a 第1湯供給配管
33a1 第1湯電磁弁
33b 第2湯供給配管
33b1 第2湯電磁弁
33c 第3湯供給配管
33c1 第3湯電磁弁
40 制御手段
41 メモリ
50 制御手段
51 メモリ
60 制御手段
61 メモリ
C カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解してアルカリ性電解水と酸性電解水とを生成する電解水生成手段を備えて成り、
提供指令が与えられた場合に、前記電解水生成手段で生成された電解水を用いた飲料を飲料容器に供給することで飲料を提供する飲料提供装置において、
前記提供指令が与えられ、かつ予め設定された所定の条件を満足する場合に、前記電解水生成手段から既に吐出されて配管内に滞留する電解水を排出する排水制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする飲料提供装置。
【請求項2】
前記飲料容器に飲料を供給する供給ノズルを備え、
前記制御手段は、前記提供指令が与えられた場合に、前記電解水生成手段から前記供給ノズルに至る供給配管に設けられた供給バルブをその都度開成して、前記配管内に滞留する電解水を前記供給ノズルから排出する排水制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の飲料提供装置。
【請求項3】
前記飲料容器に飲料を供給する供給ノズルと、
前記電解水生成手段から前記供給ノズルに至る供給配管に設けられ、閉成する場合に前記供給ノズルからの飲料の供給を規制する一方、開成する場合に前記供給ノズルからの飲料の供給を許容する供給バルブと、
前記供給配管における前記供給バルブの上流側から分岐する排水配管に設けられた排水バルブと
を備え、
前記制御手段は、前記提供指令が与えられた場合に、前記供給バルブを閉成した状態で前記排水バルブをその都度開成して、前記排水配管を通じて前記配管内に滞留する電解水を排出する排水制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の飲料提供装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記提供指令が与えられ、かつ前回の飲料の提供から予め設定された時間が経過する場合に、前記配管内に滞留する電解水を排出する排水制御を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の飲料提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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