説明

飲料水容器

【課題】非常時に必要とされる飲料水を、飲用に適した状態で備蓄可能な飲料水容器を提供する。
【解決手段】
飲料水容器の離間した位置に給水管接続部と給水管受部を設けて、飲料水容器内に給水管接続部から給水管受部に至る給水管を回動可能に固定する。給水管には所定の間隔で噴出孔を設けて水を給水し滞留を防止する。更に噴出孔に被るように整流片を給水管に固定して、噴出された水を平坦な噴流として飲料水容器内に環流を発生させる。長期間の使用により飲料水容器に付着した水垢は、前記給水管を回動させて容器内面全体に噴流をあてて削ぎ落とす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉式の飲料水容器に関するものである。詳細には、飲料水容器内の水を滞留させず、且つ容器内に人が入らなくても飲料水容器内の清掃が可能な密閉式の飲料水容器に関する。
【背景技術】
【0002】
地震等において水道水が途絶する場合の対策として、市販飲料水ボトルや水道水を汲み置いた樹脂タンクに水を備蓄することが行われている。しかし、長期間の間放置すると、タンク内の汚損や水の滞留により、タンク内の水は飲用に適しなくなり、非常の災害時には飲用に適さない状態となっていることが多い。こうした事態に備えるため、実開平6−51192号公報には、樹脂タンクに給水側配管と配水側配管とをそれぞれ立設して、エアポンプと逆止弁を装着させた水道水貯蔵タンクの技術が公開されている。
【0003】
特開2003−221848号公報には、逆止弁を介装させて水道水をタンクに流入させ蓄えるとともに、タンク内の水を日常的に出水口から出水して使用するとともに、タンクの底部には大口径の貯留水出水口を設けて、火災時のバケツリレーにも対応できる出水量を流出可能とした貯水タンクの技術が公開されている。
【0004】
また、特開昭60−5273号公報には、可撓管から圧搾空気を噴出させるタンクの浄化方法の技術が開示されている。この技術による場合には、可撓管が激しく首振り運動されて、タンク内に乱流が発生されてタンク内壁の錆を剥離させ、そして剥離された錆片をタンクの内部壁にあてて、タンク内壁を清掃する。そして底にたまった剥離された錆などを吸入して処理するとされる。
【0005】
しかしながら、実開平6−51192号公報に開示されている樹脂タンクを給水経路に介在させた場合には、2〜7kg/cmである水道水の高い水圧に耐えられず、樹脂タンクの破裂や漏水が発生する可能性があると共に、非常災害時に飲料水の配給が始まるまでに必要とされる所定の量の水が貯えられないという課題があった。
【0006】
また、特開2003−221848号公報の技術による場合には、タンク内を経由して日常使用される飲料水が供給され、必要な量の新鮮な飲料水がタンク内に貯留可能である反面、一旦、水が使用されない期間が長期間となった場合には飲用に適しない大量の水が滞留し、その水を廃棄しなければならない可能性があった。
【0007】
また、特開昭60−5273号に開示されているタンクの浄化方法による場合は、浮錆が発生していない飲料水容器では、圧搾空気を噴出させて乱流を発生させても、噴きあてる浮錆がタンク内にないため、付着した水垢を除去できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6−51192号公報
【特許文献2】特開2003−221848号公報
【特許文献3】特開昭60−5273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のいずれの発明による場合であっても、長期間使用した密閉式飲料水容器の内面に付着した水垢等の汚れが清掃できず、非常時に安心して飲料できる水が備蓄できないという課題があった。そこで、本発明は、家庭又は小規模施設の給水管路に装着させ、非常時に必要とされる飲料水を、飲用に適した状態で備蓄可能とする飲料水容器の提供を課題とする。また、内部の飲料水が使用されて空になった場合には、公共により配給された水を備蓄させ、適量ずつ簡易に飲用可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の発明は、飲料用の給水管路に装着される飲料水容器において、前記飲料水容器の容器壁には、前記飲料水容器内に飲料水を給水する給水管の一端が接続される給水管接続部と、前記給水管の他端を受ける給水管受部と、少なくとも1か所の水供給用の供給管接続部とが備えられ、前記給水管受部と前記給水管接続部とは離間した位置に形成され、前記給水管は前記給水管接続部と前記給水管受部との間に亘り軸状に延びて支承され、前記給水管の周壁には所定の間隔で飲料水の噴出孔が設けられていることを特徴としている。
【0011】
本発明の第1の発明によれば、飲料水容器内部の給水管は軸状に延びる給水管とされ、その周壁には所定の間隔で噴出孔が設けられている。そして、常に新鮮な飲料水が、所定の間隔で分散配置された噴出孔から飲料水容器内に偏りなく噴出され給水される。これにより、飲料水容器内の水は一部に滞留せず、非常時に新鮮な飲料水を供給することが可能である。ここで、容器壁とは容器の側面及び天面、底面をなす飲料水容器の構成面をいう。
【0012】
また、飲料水容器の水を排出して容器内部を空にした状態で、前記軸を中心にして飲料水容器内面に給水管から飲料水を噴きあてることにより、長期間の使用により飲料水容器内面に付着した水垢を洗い流すことが可能となる。これにより、飲料水容器が内部に人が入れない大きさの密閉された容器であっても、飲料水容器を分解しないで、人が内部に入らず飲料水容器の内部を清掃することが可能となる。底部に溜まった水垢が混合した汚濁水は、いずれかの開口部から管によって吸い上げて排水することも可能である。しかし、底部に排水孔を設けることにより、容易に全ての汚濁水が排水可能である。
【0013】
飲料水の噴出孔は、管の周壁に均等な間隔で適宜設けられればよい。また、噴出孔の形状は、円形形状の孔、筋状形状の孔の他、形状に限定はない。飲料水容器内部の水圧が6kg/cmで、直径3.5mmの円形形状の噴出孔の場合には管から約1.5mの距離まで水が噴出され、飲料水容器内の容器壁内面が清掃される状態となる。
【0014】
本発明の第2の発明の飲料水容器は、第1の発明の飲料水容器において、前記給水管がその管軸を中心に回動可能に支承されていることを特徴としている。一旦、飲料水容器内を空にして、前記給水管軸を中心にして前記給水管を回動させながら、噴出孔から水を容器内面に噴きあてる。給水管を回動可能とし噴出孔の数を少なくしているため、外部からの水圧の低下が抑制され、噴出孔からの水の噴出の勢いが低下しない。これにより、飲料水容器内面に付着した水垢に強く水をあてて、内周面全体の水垢を洗い流すことが可能となる。
【0015】
本発明の第3の発明の飲料水容器は、第1又は第2の発明の飲料水容器において、前記噴出孔の近傍の前記給水管の周壁に、前記給水管軸中心から延びる放射線に対して同一方向に傾斜するように、前記噴出孔に被る整流片が付設されていることを特徴としている。
【0016】
前記噴出孔に被るように給水管軸中心からの放射線に対して同一方向に傾斜した整流片に沿って水が噴出されるため、容器内に環流が発生され、水の滞留が防止される。整流片は板部材に限定されず、整流面を曲面としてもよい。更に、整流片を噴出孔に向けて凹となるように、緩やかに湾曲させて延ばすことにより、給水管を軸として循環する環流を飲料水容器内に発生させ易く、飲料水容器内の水の滞留が防止される。また、給水管接続部の近傍の噴出孔については、給水管接続部に向けて整流片を傾斜させることにより、給水管接続部の近傍の水垢も洗い流すことが可能となる。給水管受部の近傍の噴出孔についても、給水管受部に向けて整流片を傾斜させることにより、給水管受部の近傍の水垢も洗い流すことが可能となる。
【0017】
本発明の第4の発明の飲料水容器は、第3の発明の飲料水容器において、前記整流片が、噴出された飲料水の流れを平坦な水の噴流に整流する板部材であることを特徴としている。
【0018】
前記板部材により、噴出された水は平坦な水の噴流に整流されて飲料水容器に噴出される。これにより、飲料水容器の内面壁に付着した水垢等の汚れを削ぎ落とすように洗い流す。板部材の形状は矩形に限定されず、基部から先方に向けて広くなる台形形状としてもよい。板部材とすることにより、整流片が製作しやすいと共に飲料水容器内に挿入しやすい。
【0019】
本発明の第5の発明の飲料水容器は、第1から第4の発明の飲料水容器において、前記給水管接続部又は前記給水管受部の少なくともいずれかは、着脱可能な離間部材を介して前記給水管を前記容器壁から離間させていることを特徴としている。
【0020】
離間部材を離脱させた状態で、給水管が配設される位置と容器壁との間に隙間があく。この隙間から飲料水容器の内部の状況を確認しながら、飲料水容器に給水管を挿入して配置させることが可能である。給水管を所定の位置に配置させたのち、離間部材を装着させて飲料水容器内に給水管を支承させる。これにより、給水管を容易に装着させることが可能となる。
【0021】
本発明の第6の発明の飲料水容器は、第5の発明の飲料水容器において、前記給水管接続部又は前記給水管受部の少なくともいずれかは、外管と内管との二重管からなり、前記外管は前記容器壁に固着され、前記内管は、前記離間部材をなし、所定の厚さを有して前記外管に着脱可能に螺合されると共に、前記整流片が付設された前記給水管を挿嵌させ、前記所定の厚さが、前記内管を離脱させた状態で、前記整流片が付設された前記給水管を前記飲料水容器内に搖動させて挿入可能とする隙間をなす厚さであることを特徴としている。
【0022】
第6の発明によれば、前記給水管接続部又は前記給水管受部の少なくともいずれかは、外管と内管との二重管とされ、内管を取り外した状態で、外管の内側と給水管の間には内管の厚さ相当の隙間が形成される。給水管を飲料水容器内に差し込む際に、内管を取り外して前記隙間をあけて、給水管に付設された整流片が前記外管の内側と干渉しないようにすれば、整流片が周壁に付設された給水管であっても飲料水容器に挿入することが可能となる。これにより、整流片が付設されている給水管を容易に飲料水容器内に挿入することが可能である。
【0023】
本発明の第7の発明の飲料水容器は、第5の発明の飲料水容器において、前記給水管接続部又は前記給水管受部の少なくともいずれかは、外殻と平板部材とからなり、前記外殻は、前記飲料水を密封するように前記容器壁に固定され、前記平板部材は、前記外殻の内方に支保されて前記給水管を前記容器壁から離間させる前記離間部材をなし、前記給水管を前記容器壁から離間させ、前記平板部材の幅は、前記平板部材を離脱させた状態で、前記整流片が付設された前記管を前記飲料水容器内に搖動させて挿入可能とする幅であることを特徴としている。
【0024】
第7の発明によれば、離間部材である平板部材を離脱させた状態で、平板部材の幅に相当する隙間が形成される。そして、平板部材の幅は、前記平板部材を離脱させた状態で、前記整流片が付設された前記管を前記飲料水容器内に搖動させて挿入可能とする幅とされている。これにより、給水管からの持ち出し長さが長い整流片を付設させた給水管であっても、飲料水容器内に挿入することが可能である。
【0025】
本発明の第8の発明の飲料水容器は、第1から第7の発明の飲料水容器において、前記容器壁の天部には、空気を流入させて飲料水容器の内圧を調整する圧力調整部が形成され、前記容器壁の下方には前記供給管接続部が設けられていることを特徴としている。
【0026】
圧力調整部は飲料水容器内の圧力を減圧又は加圧することが可能である。例えば、非常災害時に停電が発生した状態であっても、圧力調整部を開放して飲料水容器内の水圧を外気圧と同一にすれば、下方に設けられた供給管接続部に接続された供給配管から水は自重で流出し、飲料水が供給可能となる。
【0027】
また、手動式又は動力式の加圧装置で、圧力調整部から空気を流入させて飲料水容器内の圧力を加圧することにより、飲料水容器内で水位が低くなっている状態でも、適切な量の流出量の飲料水を供給することが可能となる。更に、下方に設けられる供給管接続部に接続した供給管の先方の蛇口に浄化手段が装着されて、そのフィルター等によって飲料水を供給する際の抵抗が大きくなっている状態でも、加圧することにより、適切な流出量の飲料水を供給することが可能である。
【0028】
本発明の第9の発明の飲料水容器は、第1から第8の発明の飲料水容器において、前記飲料水容器の上部には水を注ぎ込む水注ぎ部を備え、前記水注ぎ部は開閉可能とされていることを特徴としている。
【0029】
本発明の第9の発明の飲料水容器によれば、公共水道が復旧されていない状態において、飲料水容器の上部に形成された水注ぎ部から、非常水の配給車により配給された水を注ぎ込んで、適量ずつ使用できる状態となる。これにより、非常時においても簡易に適量の飲料水の供給が可能となる。
【0030】
また、本発明の飲料水容器において、供給管接続部には水浄化手段が装着された蛇口が付設されていることとしてもよい。供給管接続部に接続された蛇口に水浄化手段が装着されていることにより、飲料水容器内の水が新鮮な状態でない場合であっても、飲用に適した水が供給可能となる。特に、貯留した配給水や、貯留した雨水を飲用に供給する場合には有利である。
【0031】
また、本発明の飲料水容器を、飲料用の給水管路の経路の途上に介在させて配設してもよい。これにより、日常において使用した水の量に応じた新鮮な水を飲料水容器内に滞留させないで補給し、非常時でも新鮮な飲料水を飲用することが可能である。
【発明の効果】
【0032】
本発明の第1の発明によれば、所定の間隔で分散配置された噴出孔から飲料水容器内に、飲料水が偏りなく噴出され給水され、飲料水容器内の水は一部に滞留せず、非常時に新鮮な飲料水を供給することが可能である。また、長期間の使用により飲料水容器内面に付着した水垢を洗い流すことが可能となり、飲料水容器の大きさが内部に人が入れない大きさの密閉された容器であっても、飲料水容器を分解しないで飲料水容器の内部を清掃することが可能となる。
本発明の第2の発明によれば、噴出孔の数を少なくすることにより、一つの噴出孔からの水の勢いを低下させず、飲料水容器内面に付着した水垢に強く水をあてて、内周面全体の水垢を洗い流すことが可能となる。
本発明の第3の発明によれば、前記噴出孔に被るように軸中心からの放射線に対して同一方向に傾斜した整流片に沿って水が噴出されるため、容器内に環流が発生され、水の滞留が防止される。
【0033】
本発明の第4の発明によれば、給水管から噴出された水は平坦な水の噴流に整流されて、噴出孔から飲料水容器に噴出され、飲料水容器の内面壁に付着した水垢等の汚れを削ぎ落とすように洗い流すことが可能となる。
本発明の第5の発明によれば、離間部材を離脱させた状態で、給水管が配設される位置と容器壁との間に隙間があき、給水管を容易に装着させることが可能となる。
本発明の第6の発明によれば、内管を取り外した状態で、外管の内側と給水管の間には内管の厚さ相当の隙間が形成され、整流片が付設されている給水管を容易に飲料水容器内に挿入することが可能である。
【0034】
本発明の第7の発明によれば、平板部材を離脱させた状態で、平板部材の幅に相当する隙間が形成され、持ち出し長さの長い整流片を付設させた給水管であっても飲料水容器内に挿入することが可能である。
本発明の第8の発明によれば、圧力調整部が形成され、停電時でも飲料水が供給可能であり、供給管の先方の蛇口に浄化手段が装着されている場合でも、加圧して適切な流出量の飲料水を供給することが可能である
本発明の第9の発明によれば、飲料水容器の上部には水を注ぎ込む水注ぎ部を備え、配給車により配給された水を注ぎ込んで、適量ずつ使用できる状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】飲料水容器の斜視図(実施例1)
【図2】飲料水容器の平面図(実施例1)
【図3】飲料水容器の底面図(実施例1)
【図4】飲料水容器の断面図(実施例1)
【図5】給水管接続部の断面図(実施例1)
【図6】給水管受部の断面図(実施例1)
【図7】飲料水容器内の水の状態の説明図(実施例1)
【0036】
【図8】軸交差方向整流片の説明図(実施例1)
【図9】軸方向整流片の説明図(実施例1)
【図10】軸方向整流片による環流の発生の説明図(実施例1)
【図11】軸交差方向筋状噴出孔による噴出の説明図(噴出孔の第2実施例)
【図12】軸方向筋状噴出孔による噴出の説明図(噴出孔の第2実施例)
【図13】飲料水容器の垂直方向断面図(実施例2)
【図14】要部断面図(実施例3)
【図15】給水管と飲料水容器内に発生される環流を説明する斜視図(実施例4)
【図16】給水管と整流片と水の流れを説明する平面図(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0037】
飲料水容器内の水を滞留させず、且つ容器内に人が入らなくても飲料水容器内の清掃が可能であるという目的を、容器の内部壁に亘って給水管を延ばして設け、その給水管軸に沿い所定の間隔で設けた噴出孔から水を周囲に噴出させることにより実現した。
【0038】
(実施例1)
実施例1の飲料水容器は、非常時の数日間に一家族が必要とする量の水を備蓄できる家庭用の非常用飲料水容器であり、略円筒形状容器を立てて使用する。実施例1を、図1から図10を参照して説明する。図1は実施例1の斜視図、図2は平面図、図3は底面図、図4は図2A−A位置の断面図を示している。図5は給水管接続部の構成、図6は給水管受部の構成を説明する断面図、図7は飲料水容器内の水の状態を説明する説明図である。図8から図10は整流片の作用の説明図である。
【0039】
飲料水容器1の本体部は、円筒形状の胴体部2と、胴体部2を塞ぐ天部3と底部4とからなる。底部4には給水管接続部10と排水管接続部90とを備え(図3参照)、天部3に給水管受部20と水注ぎ部50と圧力調整部60と供給管接続部70とを備え、本体部の下方には飲料水浄化手段82を有する蛇口81を装着させる供給管接続部80を備えている。また、本体部内部には底部中央と天部中央とに亘り給水管30がその給水管軸を中心に回動可能に立設される。
【0040】
胴体部2は直径50cm、長さ50cm、厚さ4mmのステンレス製の円筒形状の管からなり、天部3と底部4は高さ約13cm、厚さ5mmのステンレス製の椀形状材からなり、胴体部2は天部3と底部4と、その接する部分を溶接されて本体部をなし、その内容量は約140リットルとされる。胴体部2の下方外部には、その周囲に山形鋼からなる脚部5が3か所付設され、脚部5にはボルト孔7が設けられた円形形状の座板6が設けられている。また、胴体部の上方には、飲料水容器を設置する隣接した構造物と飲料水容器を繋ぐ転倒防止繋部8が設けられ、飲料水容器はこれらを介してボルト等により前記構造物や飲料水容器の基礎に固定される。
【0041】
次に図5を参照して給水管接続部10を詳細に説明する。図5は図3A−A位置の要部断面図である。給水管接続部10は円筒形状の管からなり、底部4の中央部を上下に貫通した孔11に挿通され、その周囲を底部と溶接12により固定される。その内壁には、下方の逆止弁92と螺合されるねじ溝14が形成される。逆止弁92は、給水管接続部10と止水シール13を介して給水管接続部10に装着される。給水管30はその下方外周に形成されたねじ溝34により、給水管接続部10の内部のねじ溝14に螺合され、給水管軸を中心に回動可能とされている。なお、給水管30の下方外周には、ねじ溝を形成しないで、給水管接続部10のねじ溝の内方に回動可能に遊嵌させた状態とするのみでもよい。排水管接続部90については後述する。
【0042】
次に図6を参照して給水管受部20を説明する。図6は図2B−B位置の要部断面図である。給水管受部は、外管21と内管22の二重の管からなる。外管21は円筒形状の管からなり、天部3の中央部を上下に貫通した孔28に挿通して、その周囲を天部と溶接24により固定される。外管21の内方には、その軸方向に沿って約4mmの厚さの内管22が脱着可能に装着される。内管22の外周と外管21の内周とには、相互に螺合するねじ溝23,25が形成され、内管22は止水シール29を介して外管21に取り外し可能に装着される。また、給水管30はその上部を閉塞させるように、溶接35により固着された把持部34を突出させて、内管22の内方に給水管軸を中心に回動可能に支承される。前記内管22を離脱させた状態で、給水管30と給水管受部20との間には前記内管22の厚さの隙間があき、給水管30が遊嵌された状態となる。
【0043】
給水管30は、底部4の給水管接続部から天部3の給水管受部に延びて回動可能な状態で支承される(図4参照)。給水管30には、その軸方向において約110mm間隔で6か所、直径3.5mmの円形形状の噴出孔が形成される。なお、噴出孔の箇所・噴出孔間の距離・形状は限定されない。更に噴出孔の一部に被るように噴出された水の流れを平坦な流れに整流する整流片が固定されている。整流片は給水管30の外面から突出幅6mmに形成される。
【0044】
ここで、給水管30の挿入と固定について説明する。給水管30は、前記内管22を取り外した状態の給水管受部20の外管21を通して、本体内部に挿入される。突出高6mmとなっている複数の整流片がその側面に固定された給水管30を、給水管30と前記外管21との間の約8mmの幅の隙間に、整流片が外管21と干渉しないように揺らして順次通過させる。そして、天部3に設けられた開口である水注ぎ部50から給水管30の先端位置を視認して、給水管接続部10に給水管の下端部を嵌合させて仮固定する。
【0045】
次に、給水管受部20の内管22を、外周ねじ部25に止水シール29を巻いた状態で、給水管30を抱持するようにして上方から給水管30に挿通させる。そして、前記内管22の外周ねじ部25を、止水シール29を介して前記外管21のねじ溝23に螺合させて固定する(図6参照)。次に、前記把持部34を摘まんで給水管30をねじ込んで給水管接続部20に固定して支承する。
【0046】
そして、給水管30の上部を前記外管21から突出させた状態で、前記内管22の天端に接するように、給水管30の外周に接する直径のリング状の弾性止水パッキング26を嵌め込む。そして内部にねじ溝が形成された環状をなす端部蓋27を、外管21から突出した状態の内管22の上部を抱持するように、前記弾性止水パッキング26を押しつぶすようにねじ込み、給水管30と内管22との隙間を止水して、給水管30から漏水しないように固定する。また、給水管30は前記端部蓋27を弛めた状態で、前記把持部34をスパナ等の工具で摘まんで軸周りに回動することにより、下方の給水管接続部10とのねじが弛み、回動可能な状態となる。
【0047】
次に給水管30の周囲に設けられる噴出孔とそれに被る整流片について図7から図10を参照して説明する。図7は飲料水容器内における水の噴出を説明する図である。図8は図4A−A位置の位置において給水管軸に交差する方向に平坦な噴流を発生させる整流片を説明する断面図であり、図9は図4B−B位置の位置において給水管軸に沿って平坦な噴流を発生させる整流片を説明する断面図である。噴出孔31,32,33は、給水管30の軸方向に均等な間隔で、本実施例では約110mm間隔で、平面視において、それぞれ位相をずらして設けられ、給水管30からの水の噴出により飲料水容器内に噴流により環流30Aを発生させる(図7参照)。
【0048】
天部3に向けて噴出する給水管に形成される上から一番目の噴出孔31(図4参照)は、給水管を平面視した状態で、図8において下方に形成され、胴体部に噴出する二番目から五番目までの噴出孔33は、上方から順次、左方、上方、右方、下方に形成され、底部4に噴出する六番目の噴出孔32は上方に形成される(図9参照)。なお、給水管30裏面及びB−B位置から離間した位置の噴出孔32と整流片42は破線で表している。
【0049】
噴出孔の一部に被る整流片は、その位置により噴出孔に被る方向が異なる。天部3の内方に平坦な噴流をあてる前記一番目の整流片41の先端は上方に傾斜し、底部4の内方に平坦な噴流をあてる前記六番目の整流片42の先端は下方に傾斜し、胴体部に平坦な噴流をあてる二番目から五番目までの4か所の整流片43は、給水管30の軸心からの放射線に対して同一方向に傾斜して給水管30に溶接され固定される(図4、図9参照)。
【0050】
そして、給水管30に設けられた第二番目から第四番目の噴出孔33から噴出された水が、前記のように傾斜して固定された整流片43により平坦な噴流33Aとなって飲料水容器壁に向かい、飲料水容器内に図で示す矢印の向き30Aの環流を発生させる。
【0051】
給水管30の周囲に、位相をずらして噴出孔が形成されているため、噴出孔の数が少なくても略円筒の飲料水容器内に緩やかで均一な環流が生じ、飲料水容器内への給水の際に、飲料水容器内の一部に水の滞留が発生せず、新鮮な水が貯留される。また、噴出孔の数を少なくしているため、飲料水容器への給水の際に圧力が低下しにくく、噴出の勢いが低下しない。
【0052】
整流片は、横15mm、縦8mm、厚さ2mmの略矩形のステンレス製の板であり、給水管30からの突出高が6mmとなるように給水管30に溶接により固定される。また、給水管30を給水管受部に挿入する際に、前記外管21の内側に整流片の角隅が接触しないように、外方の角隅が研削されている。図8を参照して、噴出された水を給水管軸に交差する方向に平坦に整流する整流片41、42とその作用を詳細に説明する。なお、第二番目から第五番目の整流片を省略し、第六番目の整流片42を破線で示している。
【0053】
飲料水容器の上方に位置する第一番目の整流片41は、給水管の軸に交差する方向に長辺を下方として給水管30に溶接され、その上方先端が斜め上方に向くように固定されている。下方に位置する第六番目の整流片42は、給水管の軸に交差する方向に長辺を下方として給水管30に溶接され、その先端が斜め下方に向くように固定される。円形形状の噴出孔から噴出した水は、第一番目と第六番目の整流片41,42にあたり、図に示すように平坦な噴流31A,32Aとなって広がり、天部3と底部4の内面に沿って飲料水容器内に給水される。
【0054】
第二番目から第五番目の整流片43について図9を参照して説明する。第二番目から第五番目の整流片43は、給水管30軸に沿って長辺が固定され、平面視において位相を順に90度ずらして設けられた噴出孔33の孔軸に対して、それぞれ45度の傾斜角度をなし噴出孔に被るように溶接により固定される。第二番目から第五番目の整流片43により発生された平坦な噴流33Aによる給水管軸の周囲の環流30A(図7参照)は、障害物が無い略円筒容器内で循環して滞留の発生が防止される。なお、第三番目から第五番目の噴出孔と整流片は破線で示している。
【0055】
給水管の軸に沿って付設した整流片による平坦な噴流を示した模式図(図10)を参照して、環流の発生を説明する。給水管の軸心から離間した給水管側面に形成された噴出孔33から水は噴出され、軸方向に沿った整流片43にあたって平坦となった噴流は、飲料水容器の内壁に向かう。噴流が飲料水容器にあたる仮想線αは、給水管の軸心からの放射線と所定の角度βにより飲料水容器にあたる。所定の角度βをもって、平坦な噴流が飲料水容器にあたることにより、平坦な噴流は矢印方向γに流れ、環流が発生され飲料水容器内の滞留が防止される。
【0056】
ここで、図1と図4を参照して、飲料水容器の上部に形成される水注ぎ部50、圧力調整部60と供給管接続部70について簡単に説明する。水注ぎ部50は飲料水容器の天部3を貫通した孔に挿通して溶接される内径100mmのステンレス管51と、その上部を塞ぐ蓋部52とからなり、該ステンレス管51の外周に形成されたねじ溝と、前記蓋部52の内周に形成されたねじ溝とが図示しない止水シールを介して螺合される。この水注ぎ部50は、非常時に飲料水容器内の水が減り、公共の飲料水配給車から配給された水を飲料水容器内に注ぎ込むために使用される。配給された水を飲料水容器内に一旦貯留すれば、重いポリ容器を持ち上げて水をくみ分けなくてもよく、適当な量の水が容易にくみ分けられる。なお、この水注ぎ部50から飲料水容器内の状況が視認でき、容器内の点検や給水管30の接続が容易となる。
【0057】
圧力調整部60と供給管接続部70は、内部にねじ溝が形成された内径13mmのステンレス製の管が天部3を貫通する孔に挿通され溶接されて形成される。圧力調整部60には、飲料水容器内外の圧力を調整するための圧力調整手段が装着される。実施例1では、圧力調整部60に蛇口を装着させ、その蛇口の内方には、自転車タイヤの空気入れ装置の空気噴出部が装着可能とするバルブが付設される(図1参照)。圧力調整部に屈曲させた管を装着させて、前記蛇口を下方に位置させてもよい。自転車タイヤの空気入れ装置は、公共電力が停電した場合であっても身近な加圧手段として加圧可能であり好適であるが、動力式の加圧手段を使用してもよい。
【0058】
供給管接続部70にも、蛇口が装着され、庭への散水等の用途に使用される。また、家庭への給水管路に、飲料水容器を介在させて、その供給管接続口から家庭への飲料水を供給してもよい。家庭で使用された水の量に応じて、飲料水容器に水が供給され、飲料水容器内に水が滞留せず常時適量の飲料水が貯留される。
【0059】
底部に付設される給水管接続部10(図4参照)は、内部にねじ溝が形成された内径13mmのステンレス製の管が底部4を挿通して溶接されて形成される。給水管接続部10の外部には、水の汚れを濾過するストレーナ91と、飲料水容器の水が逆流することを防止する逆止弁92とを介して、給水管路からの水供給管93が接続される。また、給水管接続部10の近傍に、内部にねじ溝が形成された内径13mmのステンレス管が排水管接続部90として溶接して形成され、排水部94が接続される。
【0060】
飲料水容器の胴体部2の下方には、胴体部2を挿通して内部にねじ溝が形成された内径13mmのステンレス製の管が、供給管接続部80として溶接して形成される。この供給管接続部80には浄化手段82が装着可能な蛇口81が、止水シールを介して螺合されて付設される。天部3に形成された圧力調整部60から飲料水容器内に空気を流入させ、又は天部3の蛇口を開放することにより、下方の蛇口から水が自重で流出する。流出した水は浄化手段82を介して供給されるため、水が使用されない状態が継続して、水が滞留していたとしても飲用に適した状態となる。また、圧力調整部60から飲料水容器内部に空気を流入させ、飲料水容器内の圧力を高めれば、飲料水容器の水位が低下している場合、又は浄化手段82のフィルターにより流出抵抗が大きくなっている場合でも、適切な流量の水が流出可能である。
【0061】
ここで、長期間の使用により飲料水容器の内部に付着した水垢等の汚れの除去方法について説明する。実施例1の飲料水容器の内壁の水垢を除去するには、まず給水管接続部10に付設された逆止弁92を閉じて、飲料水容器1への水の給水を停止させ、底部4の排水管接続部90に装着された排水部94を弛めて、排水部94から飲料水容器内の水を排水し、飲料水容器内を空にする。次に、給水管受部20の端部蓋27を弛めて、給水管30の把持部34をスパナ等で把持して弛める。そして、逆止弁92を開放させて、飲料水容器内に水を流入させて、給水管30を弛めるようにして、軸心の回りに給水管30を数回回動させて整流片により平坦とされた水の噴流を飲料水容器内壁にあてて、水垢を削ぎ落とすようにする。
【0062】
(噴出孔の第2実施例)
ここで、噴出孔の第2実施例を給水管の要部断面を示す図11、図12を参照して説明する。図11は、給水管30の軸に対して交差する方向に、図に示す矢印方向に平坦な噴流を発生させる実施例である。図11(A)図は、給水管の軸方向断面図であり図11(B)図A−A位置断面図であり、図11(B)図は、給水管の軸交差方向断面図であり図11(A)図B−B位置断面図である。噴出孔の第2実施例は、給水管軸に交差する方向に切削加工により、給水管30の管軸に交差させてスリット状の噴出孔36を設けた実施例である。スリット状に形成された噴出孔36から給水管内の水は、図に示す矢印のように斜め上方に平坦な流れとなって噴出する。
【0063】
また、図12は、給水管30軸に沿う方向に、図に示す矢印方向に平坦な噴流を発生させる実施例である。図12(A)図は、給水管の軸方向断面図であり図12(B)図A−A位置断面図であり、図12(B)図は給水管の軸交差方向断面図であり、図12(A)図B−B位置断面図である。給水管30軸に沿う方向に切削加工により、給水管30に沿ってスリット状の噴出孔37が設けられている。噴出孔37から給水管内の水は、図に示す矢印のように給水管に沿って平坦な流れとなって噴出する。
【0064】
(実施例2)
実施例2は、実施例1よりも大きな容量の飲料水容器の実施例であり、必要な飲料水容量に応じて実施例1の飲料水容器の胴体部の長さを延長して構成している。図13を参照して実施例2の飲料水容器を説明する。図13は、実施例2の飲料水容器の垂直方向断面図である。飲料水容器の壁厚を厚くせず、コストの増大を抑えて飲料水容量を拡大している。また、飲料水容器が転倒しないように、円筒軸を水平にして配置している。なお、実施例2の飲料水容器は製造時には円筒軸を立てた状態で給水管30を通して組み立てて、設置の際に円筒軸を横にして設置する。実施例1と同一の構成の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
実施例2の容器本体は、胴体部2aと右側面蓋3aと左側面蓋4aとからなる。容器本体には、その上部に水注ぎ部50、供給管接続部70、圧力調整部60が付設され、飲料水容器の下方には排水管接続部90が付設される。給水管接続部10は右側面蓋3aの中央部に形成され、給水管受部20は左側面蓋4aの中央部に形成される。軸状の給水管30は右側面蓋3aから左側面蓋4aに亘り、実施例1と同様に回動可能とされる。
【0066】
給水管30には所望の間隔で整流片41,42,43が噴出孔31,32,33に被るように隣接して形成される。整流片41は噴出孔31からの平坦な噴流を左方に向けて噴射するように左側面蓋4aに向かって傾斜して、整流片42は噴出孔32からの平坦な噴流を右側面蓋3aに向かって噴射するように傾斜して固定される。また、給水管30の中間部の整流片43は噴出孔33に対して、給水管33の軸に同一方向の平坦な噴流を発生させるように、給水管軸に沿って噴出孔軸に対して傾斜して溶接され固定される。また、噴出孔33は、軸周りに所定の位相をずらして形成されている点は実施例1と同様である。実施例2の飲料水容器では、給水管30に給水することにより、前記中間部の整流片により飲料水容器内には図に示すように、給水管軸を取り巻く水平方向の環流30Bが発生して飲料水が滞留しない。
【0067】
飲料水容器に付着した水垢を除去する際には、実施例1と同様に、一旦、飲料水容器1aの内部を空にして、下部の排水部94から内部の水を排出して、給水管接続部10を介して給水管30から給水しながら、給水管30を数回回動させて噴出孔から飲料水容器に水を噴きあてて、飲料水容器1a内の水垢を削ぎ落として、排水管接続部90に接続された排水部から排水し、長期間の使用により容器内壁に付着した水垢を除去し、容器内に人が入らないでも清掃可能である点も、実施例1と同様である。
【0068】
(実施例3)
実施例3の飲料水容器は、実施例1の飲料水容器とは、天部の構成と整流片の構成とが異なっている。同一の構成の部分については説明を省略する。実施例3では、天部中央から突出された給水管30の上端部が外殻100で覆われると共に、整流片430の持ち出し長さが長く形成された飲料水容器を、図14を参照して説明する。図14は、実施例3の飲料水容器の要部断面図を示している。図14(A)図は飲料水容器1bの上部の垂直方向断面図であり、図(B)図は、給水管30の水平方向断面図である。
【0069】
前記外殻100は、上方部材110と下方部材120とからなる。下方部材120は厚さ10mmで内径100mmのステンレス製の円筒形状の管121の上部に厚さ20mmの環状フランジ122が溶接されてなる。下方部材は、前記管121の下部が飲料水容器3の天部を貫通して、天部3とその周囲を溶接して固定される。上方部材110は、下方部材120と同一の断面形状の管111からなり、その上端部では椀形状の蓋部材113とその周囲が溶接され、その下端部では下方部材と同一の円環状のフランジ112とその周囲が溶接される。前記上方部材110と下方部材120とは、各々のフランジ112,122に向い合う対応する位置に穿孔された複数のボルト孔114,124を介して、樹脂製の止水パッキング130を挟んで複数のボルト140により螺合されて給水管30の上部を密封する。
【0070】
離間部材160は下方部材120の管121の内方に着脱可能に格納される平板部材であり、その中央部には給水管の貫通孔が設けられ、その貫通孔に給水管30を貫通させて、給水管30を前記管121の内壁及び容器壁から離間させている。外殻の上方部材110を取り外して、更に離間部材160を取り外した状態においては、下方部材の上方から飲料水容器内部に向けて前記管121の内方の大きさに対応した開口が開放され、大きな整流片を付設した給水管30を挿入することが可能になる。
【0071】
離間部材160には、更に外殻100と飲料水容器内部とを連通させる複数の孔161が形成されている。非常時の公共水道の断水時には、外殻下方部材120は、上方部材110を取り外した状態で、上方から外殻の下方部材のフランジ122の開口部を通して配給車により配給された水を注ぎ込むことが可能な飲料水容器の水注ぎ部となっている。
【0072】
前記下方部材120の下端部近傍には、内方の開放部に向けて複数の突片が付設され離間部材受部150とされる。離間部材受部150は、外殻の下方部材120の上方から嵌め込まれた離間部材が飲料水容器内に落ち込むことを防ぎ、離間部材160を所定の位置に保持する。
【0073】
給水管30には、実施例1と同様に所定の間隔で噴出孔330が形成され、噴出孔に被る整流片が設けられる。実施例3においては、外殻の下方部材120のフランジの内方開口の大きさに応じた大きさの整流片を差し込むことが可能となり、整流片430の大きさを拡大することが可能である。図14(A),(B)図を参照して整流片を説明する。整流片430の大きさは実施例1に比較して拡大され、実施例3では給水管30から離間した整流片は、基端部から先方部にかけて幅が広くされ台形形状とされている。
【0074】
また、水平方向において、整流片430の先方部は緩やかに湾曲され、環流を発生させやすいようにされている。なお、飲料水容器の天部に向く整流片410も台形形状とされ、天部に向かい傾斜して形成されている。これにより、飲料水容器内に、より滑らかな環流を発生させる。
【0075】
(実施例4)
実施例4の飲料水容器は、共同住宅や事務所等の施設で使用され、定期的な清掃を要する受水槽の実施例4である。その形状に限定はなく、円筒形状又は直方体形状等で受水槽に適用されている形状であればよい。実施例4の飲料水容器は、内部に人が入らなくても内部壁を清掃することが可能である受水槽であり、飲料水容器の側面壁の全面に平坦な水の噴流を噴出可能とするため、壁に沿って所定の間隔で複数の給水管30を立設させている。給水管には、上方から給水しても下方から給水してもよい。また受水槽の貯水部は満水としないで、上部に空気層を残し、容器壁が平坦であっても、水圧により容器壁が歪むのを防止している。また減圧弁を付設して給水している場合には、上部の空気層は不要である。
【0076】
実施例4の飲料水容器の一例を、図15、図16を参照して説明する。図15は、飲料水容器1c内の水と、給水管30bと、飲料水容器内に発生される環流30Cを説明する斜視図である。実施例4の飲料水容器1cには複数の給水管30bが、壁から約20cmの距離で離間した位置に、飲料水容器の側壁に沿って約1mの間隔で立設され、上部に空気層91を残して水が貯水されている。給水管30bは飲料水容器1cの上方の給水管受部20から差し込まれて下方の給水管接続部10に回動可能に固定される。給水管受部20と給水管接続部10の構成は実施例1と同様である。給水管30bには所定の間隔で整流片42,43と噴出孔32,33が設けられている。なお、給水管30の最下方の整流片42は、最下方の噴出孔32からの噴流を平坦にして下方に向けるように、各々の給水管30bの軸に対して45度の傾斜角をなして整流片42の上辺が給水管30bに固定されている。
【0077】
図16(A)図は、実施例4の各々の給水管の中間部に設けられた整流片43による噴流の流れδと、飲料水容器内に発生される環流30Cを説明する平面図である。各々の整流片43と、それと対をなす噴出孔33(図7、図15参照)は、実施例1又は実施例2とは異なり、軸方向に沿って平面視、位相をずらさず形成されている。各給水管30bに形成された夫々の整流片43により整流された噴出孔(図15参照)からの噴流δは、発生させる環流30Cと同一の回転方向をなすように近傍の壁に向けて噴出され(図16(A)参照)環流30Cを発生させ、飲料水容器内には水の滞留域が発生しない。
【0078】
図16(B)図は、給水管30bの回動範囲を説明する平面図である。各々の給水管30bは給水管軸の回りに、実施例1と同様の構成により回動可能に設けられている。飲料水容器1cの水を排水し、そして各給水管30bから給水して、その軸周りに一点鎖線で示した範囲において、整流片43を破線と実線で示した範囲で回動させて、発生させた平坦な噴流を噴きあてて、飲料水容器壁に付着した水垢を削ぎ落とすことが可能となる。なお、飲料水容器の底面については各給水管30bをその軸周りに、少なくとも一回転させることにより、最下方の整流片42(図14参照)により発生させる平坦な噴流により、付着した水垢を削ぎ落とすことが可能である。これにより、内部に人が入らなくても飲料水容器内を清掃することが可能である。
【0079】
(その他の実施例)
・浄化手段としては、逆浸透膜フィルター、微細フィルターや、活性炭フィルター等の公知の浄化手段が単独で、又は組み合わせて使用されればよい。
・加圧手段は、手動式の加圧手段に限定されないことは勿論のことであり、非常用の発電機を備えた施設に本発明の飲料水容器を設置する場合には、電動式の加圧手段がより好適である。
・飲料水容器の材質・形状・寸法・部材の接合方法などは、上記の実施例に限定されないことは勿論のことであり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上述した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
1,1a,1b,1c:飲料水容器、2,2a::胴体部、3:天部、4:底部、
3a:右側面蓋、4a:左側面蓋、5:脚部、6:座板、7:ボルト孔、
8:転倒防止繋部、10:給水管接続部、20:給水管受部、30,30b:給水管、
11:孔、12,24,35:溶接、13:止水シール、
14,23,25,34:ねじ溝、21:外管、22:内管、26:弾性止水パッキング、
27:端部蓋、28:孔、29:止水シール、34:把持部、
31,32,33,36,37:噴出孔、41,42,43:整流片、51:管、
52:蓋部、50:水注ぎ部、60:圧力調整部、70,80:供給管接続部、
81:蛇口、82:浄化手段、90:排水管接続部、
30A、30B、30C:環流、31A,32A,33A:噴流、
91:空気層、92:逆止弁、93:水供給管、94:排水部、
100:外殻、110:上方部材、120:下方部材、111,121:管、
112,122:フランジ、113:蓋部材、114,124:ボルト孔、
130:止水パッキング、140:ボルト、150:離間部材受部、160:離間部材、
161:孔、330:噴出孔、410,430:整流片、
α:仮想線、β:角度、γ:矢印方向、δ:噴流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用の給水管路に装着される飲料水容器において、
前記飲料水容器の容器壁には、前記飲料水容器内に飲料水を給水する給水管の一端が接続される給水管接続部と、前記給水管の他端を受ける給水管受部と、少なくとも1か所の水供給用の供給管接続部とが備えられ、
前記給水管受部と前記給水管接続部とは離間した位置に形成され、
前記給水管は前記給水管接続部と前記給水管受部との間に亘り軸状に延びて支承され、
前記給水管の周壁には所定の間隔で前記飲料水の噴出孔が設けられている、
ことを特徴とする飲料水容器。
【請求項2】
前記給水管がその管軸を中心に回動可能に支承されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料水容器。
【請求項3】
前記噴出孔の近傍の前記周壁に、前記給水管軸中心から延びる放射線に対して同一方向に傾斜するように、前記噴出孔に被る整流片が付設されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料水容器。
【請求項4】
前記整流片が、噴出された前記飲料水の流れを平坦な水の噴流に整流する板部材である、
ことを特徴とする請求項3に記載の飲料水容器。
【請求項5】
前記給水管接続部又は前記給水管受部の少なくともいずれかは、着脱可能な離間部材を介して前記給水管を前記容器壁から離間させている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の飲料水容器。
【請求項6】
前記給水管接続部又は前記給水管受部の少なくともいずれかは、
外管と内管との二重管からなり、
前記外管は前記容器壁に固着され、
前記内管は、前記離間部材をなし、所定の厚さを有して前記外管に着脱可能に螺合されると共に、前記整流片が付設された前記給水管を挿嵌させ、
前記所定の厚さが、前記内管を離脱させた状態で、前記整流片が付設された前記給水管を前記飲料水容器内に搖動させて挿入可能とする隙間をなす厚さである、
ことを特徴とする請求項5に記載の飲料水容器。
【請求項7】
前記給水管接続部又は前記給水管受部の少なくともいずれかは、
外殻と平板部材とからなり、
前記外殻は、前記飲料水を密封するように前記容器壁に固着され、
前記平板部材は、前記外殻の内方に支保されて前記給水管を前記容器壁から離間させる前記離間部材をなし、
前記平板部材の幅は、前記平板部材を離脱させた状態で、前記整流片が付設された前記給水管を前記飲料水容器内に搖動させて挿入可能とする幅である、
ことを特徴とする請求項5に記載の飲料水容器。
【請求項8】
前記容器壁の天部には空気を流入させて飲料水容器の内圧を調整する圧力調整部が形成され、前記容器壁の下方には前記供給管接続部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の飲料水容器。
【請求項9】
前記飲料水容器の上部には水を注ぎ込む水注ぎ部を備え、前記水注ぎ部は開閉可能とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の飲料水容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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