説明

飲料水用サーバー

【課題】温水タンク内の暖かい飲料水が供給源側に逆流することを抑制し、また、温水タンク内で発生した過熱膨張圧が供給源側に影響することを抑制し、容器や水道管等の供給源からの供給水を一定量に自動貯留する。
【解決手段】導水管20を通じて供給源からの飲料水が温水タンク13に導かれ、前記温水タンク13の上部に上方へ立ち上がる排出管31が接続され、加熱により膨張した際にその膨張した加熱気化空気aを排出することで内圧が上昇することを抑制する機能を有する飲料水用サーバーとした。さらに、前記導水管20に設けた送水バルブ25と、温水タンク13に設けた供給バルブ15が連動して開放される連動二回路バルブや電磁弁を併用して、及び大気圧バランスによる温水タンク13への飲料水の供給を制御する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミネラルウォーター等の飲料水をタンク内に貯留した後、その貯留した飲料水を常温又は冷温で、あるいは、その貯留した飲料水を加熱して適宜供給できるようにした飲料水用サーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料水用サーバーTは、例えば、図10に示すように、貯水タンク3から上方に伸びる導水管2に容器1が着脱可能であり、その容器1内の飲料水が、その自重により、導水管2を通じて貯水タンク3内へ流下するようになっている。
【0003】
この例では、容器1は硬質の樹脂等で成型されており、予め殺菌処理等が施された状態の飲料水が、例えば、20リットル程度の単位で封入されて、密閉された状態で市場に供給されているものである。
【0004】
容器1内の飲料水が貯水タンク3に向かって徐々に流下していくとともに、容器1内には導水管2を通じて徐々に貯水タンク3内の空気が入り込んでいき、その容器1内の気圧が平常に保たれ流下を続ける。貯水タンク3内の水位が上昇し、導水管2の下部に達すると容器1への空気流入が止まり容器1内の気圧が負圧となり流下を停止させる。このとき、貯水タンク3内の空間は、通気口6を通じて外部と連通している。
【0005】
また、その貯水タンク3から送水管4が引き出されており、その送水管4に開閉自在の供給バルブ5が設けられている。供給バルブ5を開放すれば、貯水タンク3内の飲料水が適宜外部へ供給でき、また、供給バルブ5を閉鎖すれば、その供給が止まるようになっている。このとき、貯水タンク3内の飲料水の水位が導水管2の下部より下がれば、再び容器1への空気流入が再開され、同時に容器1内の飲料水が貯水タンク3に向かって流下し、水位が回復する。
【0006】
また、その貯水タンク3には、導水管12を介して温水タンク13が接続されている。貯水タンク3内の飲料水が、温水タンク13に向かって徐々に流下していくと、温水タンク13内の空気は逃げ場を失う為、供給バルブ15を開放し空気を排出する必要がある。
【0007】
また、その温水タンク13から送水管14が引き出されており、その送水管14に開閉自在の供給バルブ15が設けられている。供給バルブ15を開放すれば、温水タンク13内の飲料水が適宜外部へ供給でき、また、供給バルブ15を閉鎖すれば、その供給が止まるようになっている。このとき、温水タンク13内の飲料水は、貯水タンク3内の飲料水が温水タンク13に向かって流下する為、温水タンク13内は常に満水状態に維持される(例えば、特許文献1,2参照)。
【0008】
なお、飲料水の供給源である容器1に代えて、水道管Pを導水管2に接続した飲料水用サーバーもある。図11に示すこの構成においては、飲料水の供給源である水道から水圧をもって飲料水が供給され、その飲料水が導水管2を通じて貯水タンク3内に供給される。その水道水供給の停止には導水管下部に設けられた浮き具付開閉弁が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−128194号公報
【特許文献2】特開2009−35322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の飲料水用サーバーによれば、温水タンク13内の飲料水は温度が高いので、その飲料水が加熱とともに膨張して、導水管12内を逆流して上昇することがある。
【0011】
加熱された飲料水が導水管12内を逆流すると、その導水管12の貯水タンク3側の開口部から加熱された飲料水が貯水タンク3内に入り込み、貯水タンク3内の飲料水の温度を上昇させてしまう。本来、加熱されるべきでない貯水タンク3内の飲料水の温度が上昇することは、飲料水の管理上望ましくない。
【0012】
これは、温水タンク13内で、飲料水の加熱時に発生した気泡(空気)が、温水タンク13内で逃げ場を失い膨張した結果、温水タンク13内の温水を押し上げ、導水管12内を通って、貯水タンク3内に入り込むためである。この為、膨張圧を逃がす為、貯水タンク3に通気口6を設ける必要がある。貯水タンク3内の飲料水が、空気に触れることは、衛生上できる限り避けたいところであるが、この構造においては、容器1への供給空気取り入れと温水膨張圧逃がしの2つ理由により絶対に必要である。
【0013】
この現象により、温水タンク13と容器1とを貯水タンク3を介して接続するのではなく、温水タンク13を容器1又は水道管Pに直接接続すると、温水タンク13内の加熱された飲料水が貯水タンク3に入りにくくなるが、加熱により生じる温水タンク13の膨張圧が容器1又は水道管Pを破損させてしまうことが想定される。
【0014】
また、温水タンク13と貯水タンク3を置き換え、温水タンク13に通気口6を設けた場合、この構造では、容器1又は水道管Pを加熱する恐れがあり、常温であるべき容器1又は水道管Pを加熱又は加圧することにより、容器1や水道管が破損又は、導水管12から外れてしまうことも想定される。
【0015】
そこで、この発明は、貯水タンク3の冷却水が外気と接触する事を抑制し、又、温水タンク内の暖かい飲料水が、貯水タンク3さらには容器1や水道管P等の供給源に逆流することを抑制し、また、温水タンク13内で加熱発生した膨張圧が、導水管側の容器1や水道管Pに及ぶことを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、この発明は、加熱装置を有しその加熱装置によって加熱された飲料水を貯留する温水タンクを備え、前記温水タンクに導水管が接続されており、前記導水管を通じて供給源からの飲料水が前記温水タンクに導かれるようになっており、前記温水タンクから送水管が引き出され、その送水管に開閉自在の供給バルブが設けられた飲料水用サーバーにおいて、前記導水管は、前記供給源への接続管部から前記温水タンクへ通じる第一導水管部を備え、前記温水タンクの上部に上方へ立ち上がる排出管が接続され、その排出管は、前記温水タンク内の飲料水が加熱により膨張した際に、その膨張原因である加熱気化空気が入り込むことで内圧が上昇することを抑制する機能を有し、且つ、前記温水タンク内の空気を外部へ排出する機能を有することを特徴とする飲料水用サーバーを採用した。
【0017】
この構成によれば、飲料水は、その供給源から直接に導水管を通じて温水タンクに導かれるが、その温水タンク内の飲料水が熱膨張した際には、その圧力膨張原因である飲料水の気化空気が排出管内を上昇し外部へ排出されるため、温水タンク内の圧力上昇を抑制し、その結果、供給源側への暖かい飲料水の逆流や圧力影響を防止することができる。
【0018】
なお、この構成は、温水タンクに加え、常温や冷却された飲料水を貯留する貯水タンクを備えた飲料水用サーバーにおいても有効である。
【0019】
その構成は、常温の又は冷却した飲料水を貯留する貯水タンクと、加熱装置を有しその加熱装置によって加熱された飲料水を貯留する温水タンクとを備え、前記貯水タンク及び前記温水タンクに導水管が接続されており、その導水管を通じて供給源からの飲料水が前記貯水タンク及び前記温水タンクに導かれるようになっており、前記貯水タンク及び前記温水タンクからそれぞれ送水管が引き出され、その各送水管に開閉自在の供給バルブが設けられた飲料水用サーバーにおいて、前記導水管は、前記供給源への接続管部から前記温水タンクへ通じる第一導水管部と、前記供給源への接続管部から前記貯水タンクへ通じる第二導水管部とを備え、前記温水タンクの上部に上方へ立ち上がる排出管が接続され、その排出管は、前記温水タンク内の飲料水が加熱により膨張した際に、その膨張原因である加熱気化空気が入り込むことで内圧が上昇することを抑制する機能を有し、且つ、前記温水タンク内の空気を外部へ排出する機能を有することを特徴とする飲料水用サーバーを採用することができる。
すなわち、温水タンクに設けられる排出管は、前記温水タンク内の飲料水が加熱により膨張した際、前記温水タンク内の空気を外部へ排出する機能を有すること、すなわち、その膨張原因である飲料水の加熱気化空気が排出管内を上昇し外部へ排出されるため、他の器具内部への圧力及び温度の影響を抑制する機能を有する構成である。
【0020】
この構成においても、供給源からの飲料水は一定量に自動貯留する機能を有し、排出管へ飲料水が入り込むことを防止することができ、漏水することのない機構である。
【0021】
これらの各構成において、前記排出管が、その排出管内の蒸気を冷却する機能を有する液化槽を備えれば、外部へ排出する空気中の蒸気を液化し、温水タンクに戻すことができる。
【0022】
さらに、これらの各構成において、導水管(第一導水管部)を通じて行う温水タンクへの飲料水の供給を、その温水タンクからの飲料水の供給(供給バルブの開閉動作)に応じて連動して行うようにすることもできる。特に、飲料水の供給源が水道である場合には、この構成を採用するとよい。
【0023】
その構成は、前記第一導水管部は開閉自在の送水バルブを備え、その送水バルブは、前記温水タンクの供給バルブが開放した際に連動して開放され、且つ、前記温水タンクの供給バルブを閉鎖した際に連動して閉鎖されるように設定されている構成である。このような送水バルブ、供給バルブとして、連動二回路バルブや電磁弁を併用した構成を採用できる。送水バルブが第一導水管部を開閉するので、飲料水や空気の逆流はさらに確実に防止される。
【0024】
なお、この供給バルブと送水バルブとを連動させた構成、さらには、これらの連動二回路バルブ等を用いた構成において、その送水バルブは、前記温水タンクの供給バルブが開放した際にその供給バルブの開放よりも遅く開放され、且つ、前記温水タンクの供給バルブを閉鎖した際にその供給バルブの閉鎖よりも先に閉鎖されるように設定されていることが望ましい。
【0025】
送水バルブが供給バルブの開放よりも遅れて開放され、また、供給バルブの閉鎖よりも先に閉鎖されることで、温水タンク内の水量が増加することを抑制し、飲料水や空気の逆流はさらに確実に防止される。
【0026】
さらに、これらの各構成において、前記第一導水管部は、緩衝タンクを介在して前記温水タンクに通じており、その緩衝タンクは、前記温水タンク内の飲料水が前記接続管部側に逆流することを防止する機能を有する構成を採用することもできる。
緩衝タンクを備えていれば、温水タンク内の加熱温度が接続管部側に影響することを防止する上で、さらなる効果が期待できる。
【0027】
さらに、これらの各構成において、特に、飲料水の供給源を硬質の容器に限定した場合における、一定量の自動貯留のための供給量制御方法として、気圧バランスによる制御方式にすることができる。この制御方式は、容器に接続する管を2通路にして同時に2つの通路を容器に接続し、その後容器下方で2つに分岐する。その一方を分岐点より上方に上げて大気開放し、また一方を分岐点より下方で、分岐点より上方で開放されたタンク内に開放する構造である。
【0028】
具体的な構成は、前記導水管は並列する2つの通路を有し、各通路の一端は前記容器内に開放され、一方の通路の他端は前記温水タンクへ通じる前記第一導水管部に接続され、他方の通路の他端は前記一方の通路から分岐して前記容器内へ空気を導入する機能を有する導入装置に接続され、前記温水タンクの上部には、前記2つの通路の分岐部より上方の位置で前記温水タンクより上方へ立ち上がる排出管が接続され、前記導入装置は前記分岐部より上方で大気開放された構造を有する構成である。
【0029】
なお、前記温水タンク内の空間の上端は、前記分岐部より上方に位置することが望ましい。前記排出管は、前記分岐部よりも上方に位置する場所で、前記温水タンクから引き出されていることが望ましい。
【0030】
また、前記排出管は、前記容器よりも上方に伸び、その後に前記分岐部より下方で大気開放されることが望ましい。
【0031】
この気圧バランスによる制御方式とは、容器内の飲料水が流出する事によって起こる、容器内の負圧解消を2本の管から気体流入できる構造、すなわち2本の通路を一体に成型した管を、接続口を下方に向けた状態の容器に接続できる構造とし、その2本の通路は容器との接続部より下方でそれぞれの方向に分岐し、一方の通路を分岐点より上方で大気に開放する事により、空気を容器に流入しやすい状態とし、気体導入装置となる。もう一方の通路を分岐点より下方で、分岐点より上方で開放された構造のタンク内に接続し間接的に大気開放することで、やや、他方より空気流入しにくい構造とする。これにより、容器をセットした場合、空気の流入しやすい通路より空気が流入し容器内の負圧を解消し、空気の流入しにくい通路には容器内の液体が流下する。その通路を流下した液体は、分岐点より上方で開放された構造のタンク内にたまりはじめ、やがて、タンク内の水位を上げ、通路の分岐点に到達する。タンク内の水位が分岐点に達する事により、2つの通路の大気開放高が同一高となり、もう一方の通路にも分岐点程度まで水が浸入し、気体流入の優位性が双方で失われ気圧バランスをとることとなり、気体進入による容器内負圧の解消が停止する。負圧の解消が出来ないことにより、容器からの液体流入が制御される。
【0032】
この発明では、従来技術のように、冷水タンクや常温水タンク内に容器との止水構造をつくることが無く、飲料水の外気との接触を抑制し、冷却装置や加熱装置による熱影響を容器に及ぼすことがない。また、空気を排出するためのバルブ構造の採用を回避することで、故障の発生する危険性を低減することもできる。
【発明の効果】
【0033】
この発明は、温水タンク内の暖かい飲料水が、導水管側に逆流することを抑制し、また、温水タンク内で発生した圧力が、導水管側に影響するを抑制したうえで、容器や水道管等の供給源からの供給水を一定量に自動貯留することができる。また、常温又は冷却した飲料水を貯留する貯水タンクを併設する場合は、その貯水タンク内の飲料水が、その暖かい水や空気と接触することを抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】一実施形態の飲料水用サーバーの全体図
【図2】図1の要部拡大図
【図3】(a)〜(e)は、同実施形態の作用図
【図4】(a)〜(e)は、他の実施形態の作用図
【図5】図4の実施形態の供給バルブ、送水バルブの詳細図
【図6】(a)〜(d)は、図4の送水バルブの詳細図
【図7】(a)〜(d)は、図4の供給バルブの詳細図
【図8】(a)〜(f)は、他の実施形態を示す作用図
【図9】(a)〜(f)は、他の実施形態を示す作用図
【図10】従来例の飲料水用サーバーの模式図
【図11】従来例の飲料水用サーバーの模式図
【発明を実施するための形態】
【0035】
この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態の飲料水用サーバーは、図1に示すように、冷却装置7を備えた貯水タンク3と、加熱装置17を備えた温水タンク13とを備え、冷水と温水とを供給可能としたものである。
【0036】
この飲料水用サーバーは、飲料水wの供給源として、貯水タンク3及び温水タンク13の上方に、飲料水wを収容した樹脂製の容器1が着脱可能である。
【0037】
容器1は、予め殺菌処理等が施された状態の飲料水wが封入されて密閉された状態で市場に供給されている樹脂製のものであり、その容器1の開口部に、前記貯水タンク3及び温水タンク13から伸びる導水管20が差し込み可能である。
その容器1内の飲料水wが、導水管20を通じて貯水タンク3又は温水タンク13へ供給されていくようになっている。
【0038】
この容器1の着脱構造としては、周知の構造を採用してよいが、この実施形態では、図2に示すように、容器1の開口部内に前記導水管20の接続管部20aを差し込むように取付けることにより、容器1が台座8によって支えられるとともに、その開口部と導水管20との間の液密がパッキン等により維持されるようになっている。
このため、容器1内の飲料水が周囲にこぼれることなく、導水管20を通じて流下するようになっている。
【0039】
なお、上記のように、容器1の開口部内周と導水管20外周との間は液密が維持されているが、仮に、わずかにこぼれた飲料水があった場合、その飲料水は、台座8の凹部8aの底に設けた排出路9を通じて排出されるようになっている。このため、台座8の凹部8a内にこぼれた飲料水wが滞留することがない。
【0040】
また、容器1から飲料水wが導水管20へ流下する際には、導入装置10によって、その容器1内に空気が送り込まれるようになっている。
【0041】
この導入装置10は、図2に示すように、前記導入管20の接続管部20aとともに容器1の開口部内に挿入される挿入管部10aと、その挿入管部10aから上方に立ち上がる吸気管部10bとを備える。この実施形態では、吸気管部10bは、前記容器1が満水状態(飲料水wの収容量が最大の状態)における水位よりも上方へ伸びてその上端に一次吸気フィルタ10cを備えている。
また、この実施形態では、挿入管部10a又は吸気管部10bの途中に、2次吸気フィルタ10dと逆流防止器10eを備えている。
【0042】
また、前記導水管20は、前記供給源への接続管部20aから前記温水タンク13へ通じる第一導水管部21と、前記供給源への接続管部20aから前記貯水タンク3へ通じる第二導水管部22とを備えている。すなわち、接続管部20aの下端において、温水タンク13へ向かう第一導水管部21と、貯水タンク3へ向かう第二導水管部22とが分岐するように配管されている。飲料水wは、各タンク3,13への流入を続け、その水位が、基準設定水位ラインZに達すると、図1及び図2に示すように、流入を停止する。
【0043】
基準設定水位ラインZは、温水タンク13においては、その温水タンク13の上部に温水タンク13の設定貯水量と設定上昇温度における膨張量と同等以上の空間13aが確保できる高さとなり、冷水を貯留する貯水タンク3においては、その貯水タンク3内の上面が基準設定水位ラインZ以上となる。また、導入装置10においては、その導入装置10内の配管の最下点、すなわち、導水管20との分岐部の位置が基準設定水位ラインZとなる。このように、それぞれの高さは、水平上の位置に並ぶ構造となる。
【0044】
前記貯水タンク3から送水管4が引き出され、その送水管4に開閉自在の供給バルブ5が設けられている。貯水タンク3の供給バルブ5を開放すれば、貯水タンク3内の飲料水wが、適宜外部のコップやペットボトル等の容器へ供給でき、また、供給バルブ5を閉鎖すれば、その供給が止まるようになっている。その供給バルブ5の開閉は、レバー操作により可能となっている。
【0045】
また、前記温水タンク13から送水管14が引き出され、その送水管14に開閉自在の供給バルブ15が設けられている。温水タンク13の供給バルブ15を開放すれば、温水タンク13内の加熱された飲料水wが、適宜外部のコップやペットボトル等の容器へ供給でき、また、供給バルブ15を閉鎖すれば、その供給が止まるようになっている。その供給バルブ15の開閉は、同じく、レバー操作により可能である。
【0046】
なお、貯水タンク3及び温水タンク13の底部には、それぞれドレンバルブ19付きのドレン管18が設けられている。ドレンバルブ19は、ともに、通常は閉鎖状態に維持される。ドレンバルブ19をそれぞれ開放することにより、貯水タンク3及び温水タンク130の底部に沈殿した異物等を、内部の飲料水wとともに外部に排出できる。
【0047】
さらに、前記貯水タンク3には、その貯水タンク3内の空気を排出する機能を有する排出手段30が備えられている。
この排出手段30は、図1に示すように、貯水タンク3の上端に設けた上向きの凸部30aを貫通するように設けた前記送水管4と、その送水管4に形成された吸引孔30bとで構成されている。
【0048】
凸部30aの介在する部分は、貯水タンク3内の空間がその部分だけ他よりも上方へ突出する形状となっている。前記吸引孔30bは、その上方へ突出する空間内に臨んでおり、その吸引孔30bを介して、前記上方へ突出する空間と送水管4内の空間とが連通している。
この吸引孔30bは、送水管4の管の周壁に設けられた貫通孔であってもよいし、送水管4に接続された小径の短い分岐管で構成されていてもよい。
【0049】
このため、仮に、貯水タンク3内に貯留された飲料水wの液面上に空気aが介在し、その空気aが凸部30a内に入り込んでいる場合において、供給バルブ5を操作すれば、これらの空気aを飲料水wとともに外部へ排出できるようになっている。
これは、飲料水wが貯水タンク3外に供給される際に、その飲料水wの送水管4内の流れに伴って、空気aが吸引孔30bを通じて送水管4内に吸引される作用を利用したものである。
【0050】
なお、吸引孔30bは、凸部30a内に介在する空気aを残らず排出できるよう、その凸部30a内の最上部に臨むことが望ましい。また、必ずしも凸部30aが存在しなくとも、貯水タンク3内において、送水管4に吸引孔30bが設けられていれば、飲料水wの供給時に、同時に、空気aの排出が可能である。
この貯水タンク3内の空気aの排出機構としては、周知の空気弁など他の構成を採用してもよい。
【0051】
また、温水タンク13の上部には、上方へ立ち上がる排出管31が接続されている。その排出管31は、温水タンク13の上壁を貫通するように接続され、温水タンク13内の空間から上方へまっすぐに伸びて(立上がり部31a)、液化槽32に至る。さらに、排出管31は、その液化槽32から下方へ伸びて(誘導部31b)、前記排出路9に接続されている。
【0052】
この排出管31を設けたことにより、温水タンク13内の飲料水が加熱により膨張した際に、その圧力膨張原因である飲料水の気化空気が排出管内を上昇し外部へ排出される。これにより、温水タンク13の内圧の上昇が抑制され、導水管20側に、すなわち、供給源、貯水タンク3側に温水や膨張圧が逆流することが防止される。
【0053】
なお、温水タンク13には、別途の一定量の給水機構が備えられ、タンク上部には供給水が供給されない空間が設定されている。この設定空間の容積は温水タンクの設定貯水量と設定上昇温度における膨張量と同等以上の空間13aが設けられている。これにより、温水タンク13の貯留水が膨張した際にも排出管31に直接飲料水wが進入することを防止する。
【0054】
また、その排出管31は、温水タンク13内の加熱気化空気aを外部へ排出する機能を有する。すなわち、温水タンク13内に発生した加熱気化空気aはその排出管31内を上昇し、その後、排出路9を通じて外部へ排出されるから、その結果、加熱気化空気発生にともなう膨張圧が供給源、貯水タンク3側へ影響することを防止することができる。
【0055】
ここで、液化槽32は、その排出管31内の蒸気を冷却する機能を有する。液化槽32内が、排出管31内の断面よりも相当に大きい断面を有する空間となっているから、この空間内で空気aが冷やされるようになっている。
【0056】
排出管31が液化槽32を備えたことにより、空気aが排出管31を通じて温水タンク13の外部へ排出される際に、この液化槽32内で、その空気a中に含まれる蒸気が液化し、その液化した飲料水wを温水タンク13に戻すことができる。
【0057】
また、導水管20の第一導水管部21は、図1に示すように、緩衝タンク40を介在して温水タンク13に通じている。
この緩衝タンク40内が、第一導水管部21内の断面よりも相当に大きい断面を有する空間となっているから、その緩衝タンク40は、温水タンク13内の温度が、供給源、貯水タンク3側へ影響することを防止することができる。なお、緩衝タンク40は、温水タンク13内の飲料水wが加熱された際に想定される膨張量よりも大きくすることにより、万が一の排出管31の詰まりなどの故障の際、他への温度影響を防止できる。
【0058】
なお、飲料水wの供給源として、上記実施形態に示す容器1に代えて、水道を導水管20に接続することもできるが、その際は、導入装置10が不要となる。
【0059】
また、この場合には、その導水管20は、例えば、図3(a)〜(e)に示すように、第一導水管部21の途中に、開閉自在の送水バルブ25を備えた構成とすることができる。
【0060】
この図3に示す例において、送水バルブ25は、電磁弁によって構成されている。電源24に接続され、スイッチ23の入断操作によってその弁体が開閉し、温水タンク13への流路が開閉する。電磁弁が開放されれば、供給源から導水管20を通じて飲料水wが温水タンク13に供給される。電磁弁が閉鎖すれば、その供給が止まる。
【0061】
この電磁弁は、温水タンク13の供給バルブ15が開放した際に連動して開放され、且つ、前記温水タンク13の供給バルブ15を閉鎖した際に連動して閉鎖されるように設定されている。
【0062】
その供給バルブ15と送水バルブ25との連動について、及び、飲料水用サーバー全体の作用について説明すると、図3(a)に示すように、供給バルブ15の弁体15aは、バネ等の弾性体15bによって、その弁孔15dが閉じる方向に付勢されている。レバー15cに外力を加えない状態で、弁孔15dは弁体15aで閉じられている。この図において、貯水タンク3や飲料水wの供給源は、図示を省略している。
【0063】
この状態で、加熱装置17によって飲料水wは加熱されており、膨張した飲料水wは排出管31内に入り込んで、温水タンク13内の上面よりも水位がやや上昇している。また、その加熱によって発生した気泡(空気)は、排出管31、液化槽32を通じて排出されている状態である。
なお、この図3では、緩衝タンク40を表示していないが、緩衝タンク40を設けた場合は、その緩衝タンク40も、この加熱状態において、飲料水wの逆流防止の機能を発揮する。
【0064】
また、図3(b)は、飲料水wが所定の温度に加熱され、加熱装置17による飲料水wの加熱が一旦停止した状態を示す。
【0065】
この状態で、図3(c)に示すように、レバー15cを操作して押し下げると、弁体15aが弾性体15bの付勢力に抗して動作し、弁孔15dが開放される。弁孔15dの開放により、温水タンク13内の暖かい飲料水wが、外部のコップやペットボトル等に供給が開始される。
このとき、飲料水wが排出管31内に入り込むことによって、温水タンク13内の水位が上昇しているので、供給バルブ15は、その水面位置よりも下方に位置することとなる。このため、その供給バルブ15の位置と前記水面位置との高低差でもって、飲料水wを外部に供給することが可能な構成となっている。
【0066】
続いて、図3(d)に示すように、そのレバー15cの操作によってスイッチ23がONとなり、電磁弁からなる送水バルブ25が開放される。送水バルブ25の開放により、導水管20を通じて温水タンク13内に飲料水wが供給される。
【0067】
また、このとき、送水バルブ25は、温水タンク13の供給バルブ15の開放よりも遅く(遅れて)開放されるようになっている。供給バルブ15を通じた飲料水wの排出よりも、送水バルブ25を通じた飲料水wの供給が遅れることで、温水タンク13内の飲料水wの水量が増加することを抑制し、飲料水wや空気aの逆流はさらに確実に防止される。
【0068】
つぎに、図3(e)に示すように、レバー15cを押し下げるのをやめると、弁体15aが弾性体15bの付勢力で動作し、弁孔15dが閉鎖される。弁孔15dの閉鎖により、温水タンク13内の飲料水wの排出が止まる。
【0069】
また、そのレバー15cの操作によってスイッチ23がOFFとなり、電磁弁からなる送水バルブ25が閉鎖される。送水バルブ25の閉鎖により、導水管20を通じた温水タンク13内への飲料水wの供給も止まる。
【0070】
このとき、送水バルブ25は、温水タンク13の供給バルブ15の閉鎖よりも先に閉鎖されるようになっている。供給バルブ15を通じた飲料水wの排出の停止よりも、送水バルブ25を通じた飲料水wの供給が先に停止されることで、温水タンク13内の飲料水wの水量が増加することを抑制し、飲料水wや空気aの逆流はさらに確実に防止される。
【0071】
また、電磁弁を用いない送水バルブ25の構成として、例えば、図4(a)〜(e)に示すものを採用することができる。
【0072】
この図4に示す例において、送水バルブ25は、供給バルブ15とは共有する1つのレバー25cより連動している、弁体25aが、バネ等の弾性体25bによって、その弁孔25dが閉じる方向に付勢されている。レバー25cに外力を加えない状態で、弁孔25dは弁体25aで閉じられている。
【0073】
この送水バルブ25は、温水タンク13の供給バルブ15が開放した際に連動して開放され、且つ、前記温水タンク13の供給バルブ15を閉鎖した際に連動して閉鎖されるように設定されている。
【0074】
すなわち、その供給バルブ15と送水バルブ25との連動について、及び、飲料水用サーバー全体の作用について説明すると、図4(a)に示すように、供給バルブ15の弁体15aは、バネ等の弾性体15bによって、その弁孔15dが閉じる方向に付勢されている。レバー15cに外力を加えない状態で、弁孔15dは弁体15aで閉じられている。なお、供給バルブ15は、温水タンク13内に想定される水位よりも下に配置される。
【0075】
この状態で、加熱装置17によって飲料水wは加熱されている。また、その加熱によって発生した気泡(空気)は、排出管31、液化槽32を通じて排出されている状態である。
なお、この図4においても、緩衝タンク40を表示していないが、緩衝タンク40を設けた場合は、その緩衝タンク40も、この加熱状態において、飲料水wの逆流防止の機能を発揮する。
【0076】
また、図4(b)は、飲料水wが所定の温度に加熱され、加熱装置17による飲料水wの加熱が一旦停止した状態を示す。
【0077】
この状態で、図4(c)に示すように、レバー25cを操作して押し下げると、弁体15aが弾性体15bの付勢力に抗して動作し、弁孔15dが開放される。弁孔15dの開放により、温水タンク13内の暖かい飲料水wが、外部のコップやペットボトル等に供給が開始される。
【0078】
続いて、図4(d)に示すように、そのレバー25cの操作によって、送水バルブ25の弁体25aが弾性体25bの付勢力に抗して動作し、弁孔25dが開放される。送水バルブ25の開放により、導水管20を通じて温水タンク13内に飲料水wが供給される。
【0079】
このとき、送水バルブ25は、温水タンク13の供給バルブ15の開放よりも遅く(遅れて)開放されるようになっている。供給バルブ15を通じた飲料水wの排出よりも、送水バルブ25を通じた飲料水wの供給が遅れることで、温水タンク13内の飲料水wの水量が増加することを抑制し、飲料水wや空気aの逆流はさらに確実に防止される。
【0080】
つぎに、図4(e)に示すように、レバー25cを押し下げるのをやめると、弁体15aが弾性体15bの付勢力で動作し、弁孔15dが閉鎖される。弁孔15dの閉鎖により、温水タンク13内の飲料水wの排出が止まる。
【0081】
また、そのレバー25cの操作によって送水バルブ25が閉鎖される。送水バルブ25の閉鎖により、導水管20を通じた温水タンク13内への飲料水wの供給も止まる。
【0082】
このとき、送水バルブ25は、温水タンク13の供給バルブ15の閉鎖よりも先に閉鎖されるようになっている。供給バルブ15を通じた飲料水wの排出の停止よりも、送水バルブ25を通じた飲料水wの供給が先に停止されることで、温水タンク13内の飲料水wの水量が増加することを抑制し、飲料水wや空気aの逆流はさらに確実に防止される。
【0083】
この供給バルブ15と送水バルブ25の開閉時期の差異は、例えば、各弾性体15b,25bからレバー25cに繋がる操作軸の長さの違い等によって設定することができる。
【0084】
なお、図5〜図7に、その供給バルブ15と送水バルブ25の構造の例を示す。図5は、並列して配置された供給バルブ15と送水バルブ25の全体を示す断面図である。この例において、2連バルブ操作部25fという一つのレバーの操作によって、レバー15c,25cを同時に揺動させることができる。すなわち、供給バルブ15と送水バルブ25の2つのバルブを、一つのレバー操作でともに開閉操作できる機構となっている。
【0085】
また、図6(a)〜(d)は、送水バルブ25の詳細図である。(a)は、第一導水管部21及び排出口部材25eを接続する前の断面図、(b)は、第一導水管部21及び排出口部材25eを接続した状態を示す断面図、(c)は、弁体25aが弁孔25dを開放している状態を示す断面図、(d)は、(c)の側面図である。接続部25gと接続部25hに、導水管20のパイプやホースが接続可能となっている。
【0086】
図7(a)〜(d)は、供給バルブ15の詳細図を示す。(a)は、送水管14及び排出口部材15eを接続する前の断面図、(b)は、送水管14及び排出口部材15eを接続した状態を示す断面図、(c)は、弁体15aが弁孔15dを開放している状態を示す断面図、(d)は、(c)の側面図である。接続部15hに、送水管14のパイプやホースが接続可能となっている。また、弁孔15dには、排出口部材15eが取付け可能である。
【0087】
この発明の実施形態の供給源を、硬質の容器封入水に限定した実施形態を、図8及び図9に基づいて説明する。
【0088】
この構造の特徴は、送水に電磁弁やバルブを使わずに、大気圧のバランスにより行うことにある。図8及び図9に示すように、容器1を除く装置の基本構成は、図1及び図2と同様である。なお、この実施形態では、貯水タンク3の排出手段30として、前述の吸引孔30bに代えて、送水管4に、空気aを吸引するための誘導管部30cを備えさせている。誘導管部30cの作用については、後で述べる。
【0089】
まず、図8(d)以下に示すように、基準設定水位ラインZを決める。その水位ラインZは、温水タンク13においては、その温水タンク13の上部に温水タンク13の設定貯水量と設定上昇温度における膨張量と同等以上の空間13aが確保できる高さとなり、冷水を貯留する貯水タンク3においては、その貯水タンク3内の上面が基準設定水位ラインZ以上となる。また、導入装置10においては、その導入装置10内の配管の最下点、すなわち、導水管20との分岐部の位置が基準設定水位ラインZとなる。このように、それぞれの高さは、水平上の位置に並ぶ構造となる。
【0090】
この構造において、貯水タンク3は、前述の実施形態と同様に満水状態を基本とする。このため、供給バルブ5を開いた送水時以外は密閉空間であるため、機構への影響は考えなくてよい。すなわち、飲料水wが大気と常時接することとなる温水タンク13及び導入装置10間の大気バランスにのみ関連性を持つ機構である。
【0091】
図8(a)に示すように、各タンク3,13が空の状態で容器を装填すると、容器1内の封入空気は与圧の状態であるために、図8(b)に示すように、その各タンク3,13及び導入装置10に対し飲料水wが流入を開始する。
【0092】
しかし、導水管20の各タンク3,13への流入口を、その導水管20と導入装置10との前記分岐部の位置より低く設定しているため、一旦、図8(b)に示すように、導入装置10の逆止弁10e付近まで飲料水wが入り込んだ後、容器1内が負圧となって、図8(c)に示すように、導入装置10より空気aを吸引し始める。
【0093】
この場合、一時流入した導入装置10内の飲料水wは容器1側に吸引され、また、導入装置10より空気aが吸引され、容器1内の負圧を解消する。容器1内の負圧が解消されたことにより、飲料水wは各タンク3,13へと流入を続ける。飲料水wは、各タンク3,13への流入を続け、その水位が、前記基準設定水位ラインZに達すると、図8(d)に示すように、流入を停止する。
【0094】
この流入の停止は、各タンク3,13内の大気圧と導入装置10内の大気圧のバランスが合致することにより成されるものである。すなわち、容器1内の負圧解消のため空気aが吸引され、その結果、特に、貯水タンク3が満水状態であれば、温水タンク13の排出管31と導入装置10との間において気圧がバランス状態となるからである。
【0095】
すなわち、この気圧バランスによる制御方式では、容器1内の飲料水wが流出することによって起こるその容器1内の負圧解消を2本の管からの気体aの流入で行うことができる構造、すなわち、2本の通路(前記接続管部20aと、挿入管部10aに相当)を一体に成型した管を、その接続口を下方に向けた状態の容器1に接続できる構造としている。その2本の通路は、容器1との接続部より下方でそれぞれの通路に分岐し、一方の通路(挿入管部10aに相当)はその後上方へ伸びて、前記分岐点より上方で大気に開放することにより、空気aを容器1に流入しやすい状態とし、気体aの導入装置10となる。
【0096】
また、もう一方の通路(前記接続管部20aに相当)はその後下方へ伸びて、前記分岐点より下方で、前記分岐点より上方の位置で排出管31が接続された温水タンク13内に接続され、間接的に大気開放される。これにより、温水タンク13側の通路20aは、やや、導入装置10側の通路10aより空気aが流入しにくい構造となる。これにより、容器1をセットした場合、空気aの流入しやすい通路10aより空気aが流入し,容器1内の負圧を解消し、空気aの流入しにくい通路には容器1内の飲料水wが流下する。その通路20aを流下した飲料水wは、前記分岐点より上方で大気開放された構造の温水タンク13内にたまりはじめ、やがて、温水タンク13内の水位を上げ、前記分岐点の高さに到達する。温水タンク13内の水位が分岐点に達することにより、2つの通路20a,10aの大気開放高さが同一高さとなり、導入装置10側の通路10aにも分岐点程度の高さまで飲料水wが浸入し、気体aの流入の優位性が双方で失われ気圧バランスをとることとなり、気体aの進入による容器1内の負圧の解消が停止する。負圧の解消が出来ないことにより、容器1からの飲料水wの流入が制御される。
【0097】
なお、貯水タンク3内の飲料水wは、送水管4の供給バルブ5を開放することにより、外部へ排出される。このとき、図8(e)に示すように、送水管4に設けた誘導管部30cが、貯水タンク3内に介在する空気aを送水管4内に吸引し、飲料水wとともに外部へ排出されるようになっている。誘導管部30cは送水管4から分岐して上方に伸び、貯水タンク3内の最上部において上向きに開口する管である。誘導管部30cは、送水管4よりも細い管で形成されており、送水管4内の飲料水wの流れによって、その最上部の開口から空気aを吸引するものである。これにより、貯水タンク3内は、空気aが存在しない満水状態に維持される。
【0098】
図8(f)に示すように、温水タンク13の送水管14の供給バルブ15を開放し、その水位が前記基準設定水位ラインZ以下に低下して、温水タンク13内の水圧が低下することにより、温水タンク13内と導入装置10間の大気圧バランスが崩れ、再び導入装置10から容器1への空気aの流入が開始する。この空気aの流入により、容器1内の負圧を解消し、温水タンク13側への液体流入が開始される。
【0099】
この実施形態においては、導入装置10の途中に逆止弁10eを設けている。これは、満水の容器1を装填する際に、その容器1内与圧による導入装置10側への飲料水wの流入を抑制するためである。
この逆止弁10eの取り付け位置は、前記基準設定水位ラインZより上方であることが望ましい。仮に、逆止弁10eを基準設定水位ラインZより下方に取り付けた場合、その基準設定水位ラインZにずれが生じる場合が想定されるからである。
【0100】
図9(a)は、容器1内の飲料水wがなくなった場合に、飲料水wが満水状態である新しい容器1に取替える際の説明図である。新しい容器1を取付けると、その容器1内の与圧によって、図9(b)に示すように、温水タンク13内の水位が前記基準設定水位ラインZよりも若干上昇するとともに、その温水タンク13から排出管31に向かって、瞬間的に水滴が飛散することがある。また、導水管20を通じて、容器1側に微量な空気aが混入することがある。しかし、やがて、図9(c)に示すように、その水位が前記基準設定水位ラインZに安定する。この状態で、貯水タンク3の供給バルブ5を開放すれば、仮に貯水タンク3内に空気aが入り込んでいても、飲料水wとともに空気aを外部に排出することができる。
【0101】
図9(d)は、温水タンク13内の飲料水wが加熱手段17によって加熱された状態を示している。飲料水wの加熱によって発生した空気a(気泡)は、蒸気とともに排出管31内を上昇する。そして、空気aは、排出路9を通じて外部へ排出される。なお、その蒸気は排出管31を上昇する際に冷やされ、水滴となって温水タンク13に落下する。
【0102】
図9(e)は、冷水を貯留した貯水タンク3内の飲料水wを、供給バルブ5を開放して排出している状況の説明図である。
この実施形態では、貯水タンク3の送水管4は貯水タンク3の下方に開口し、その貯水タンク3内において、比較的下方に位置する飲料水wを取り出している。また、貯水タンク3内に入り込んだ空気aを排出するための誘導管部30cを設けるために、その送水管4を貯水タンク3内の上部に持ち上げている。このように、送水管4を貯水タンク3の下部に開口させているのは、その貯水タンク3における低温域の飲料水wを効率よく排水するためである。
【0103】
さらに、この実施形態においては、温水タンク13の送水管14の取出し位置を、その温水タンク13の下方とし、その送水管14は、温水タンク13内で上方へ伸びて、温水タンク13内の上部へ開口している。これは、温水タンク13内の空間が排出管31によって大気開放されているため、容器1からの落差圧による水圧が期待できないためであり、その温水タンク13内の水圧により送水効率を上げるためである。
また、その温水タンク13において、内部の送水管14を上部に上げているのは、温水タンク3における高温域の水を効率よく排水する為でもある。
このため、デザイン上、両供給バルブ5,15の位置を統一するため、貯水タンク3の送水管4も、その貯水タンク3の下方に引き出す構成としている。
【0104】
なお、図9(f)は、導入装置10の逆止弁10eが故障した際の状況を示す説明図である。
万が一、逆止弁10eが故障した場合は、容器1を導水管20に取付けた際、その容器1内の与圧により、導入装置10内に一時的に飲料水wが入り込み、図9(f)に示すように、その水位が上端近くまで一旦上昇する。そして、容器1内の与圧が解消した時点で、
基準設定水位ラインZまで水位が下がって安定するので、外部に飲料水wが漏れ出ることがない。
【符号の説明】
【0105】
1 容器
2 導水管
3 貯水タンク
4 送水管
5 供給バルブ
6 通気口
7 冷却装置
8 台座
9 排出路
10 導入装置
12 導水管
13 温水タンク
14 送水管
15 供給バルブ
17 加熱装置
18 ドレン管
19 ドレンバルブ
20 導水管
20a 接続管部
21 第一導水管部
22 第二導水管部
23 スイッチ
24 電源
25 送水バルブ
15a,25a 弁体
15b,25b 弾性体
15c,25c レバー
15d,25d 弁孔
15e,25e 排出口部材
15h 接続部
25f 2連バルブ操作部
25g,25h 接続部
30 排出手段
30a 凸部
30b 吸引孔
30c 誘導管部
31 排出管
31a 立上がり部
31b 誘導部
32 液化槽
40 緩衝タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱装置(17)を有しその加熱装置(17)によって加熱された飲料水を貯留する温水タンク(13)を備え、前記温水タンク(13)に導水管(20)が接続されており、前記導水管(20)を通じて供給源からの飲料水が前記温水タンク(13)に導かれるようになっており、前記温水タンク(13)から送水管(14)が引き出され、その送水管(14)に開閉自在の供給バルブ(15)が設けられた飲料水用サーバーにおいて、
前記導水管(20)は、前記供給源への接続管部(20a)から前記温水タンク(13)へ通じる第一導水管部(21)を備え、前記温水タンク(13)の上部に上方へ立ち上がる排出管(31)が接続され、その排出管(31)は、前記温水タンク(13)内の飲料水が加熱により膨張した際に、その膨張原因である加熱気化空気(a)が入り込むことで内圧が上昇することを抑制する機能を有し、且つ、前記温水タンク(13)内の空気を外部へ排出する機能を有することを特徴とする飲料水用サーバー。
【請求項2】
常温の又は冷却した飲料水を貯留する貯水タンク(3)と、加熱装置(17)を有しその加熱装置(17)によって加熱された飲料水を貯留する温水タンク(13)とを備え、前記貯水タンク(3)及び前記温水タンク(13)に導水管(20)が接続されており、その導水管(20)を通じて供給源からの飲料水が前記貯水タンク(3)及び前記温水タンク(13)に導かれるようになっており、前記貯水タンク(3)及び前記温水タンク(13)からそれぞれ送水管(4,14)が引き出され、その各送水管(4,14)に開閉自在の供給バルブ(5,15)が設けられた飲料水用サーバーにおいて、
前記導水管(20)は、前記供給源への接続管部(20a)から前記温水タンク(13)へ通じる第一導水管部(21)と、前記供給源への接続管部(20a)から前記貯水タンク(3)へ通じる第二導水管部(22)とを備え、前記温水タンク(13)の上部に上方へ立ち上がる排出管(31)が接続され、その排出管(31)は、前記温水タンク(13)内の飲料水が加熱により膨張した際に、その膨張原因である加熱気化空気(a)が入り込むことで内圧が上昇することを抑制する機能を有し、且つ、前記温水タンク(13)内の空気を外部へ排出する機能を有することを特徴とする飲料水用サーバー。
【請求項3】
前記排出管(31)は、その排出管(31)内の蒸気を冷却する機能を有する液化槽(32)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料水用サーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−71900(P2012−71900A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9974(P2012−9974)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2010−12164(P2010−12164)の分割
【原出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(501295707)株式会社フジヤマ (11)
【Fターム(参考)】