説明

飲料液異物検査装置および飲料液異物検査方法

【課題】飲料液の異物検査に用いられる照明の明るさの調整を、検査対象のボトル、飲料の種別および色濃度に応じて適切に、かつ、効率よく行えるようにする。
【解決手段】飲料液異物検査装置10には、カメラ40が複数個設けられ、その複数のカメラ40は、被検査ボトル71の互いに異なる部分を撮像する。照明41は、複数のカメラ40のそれぞれに対応するように1つずつ設けられている。制御装置50は、複数のカメラ40のそれぞれの受光面での照度計測値を、カメラ40がそれぞれ撮像した被検査ボトル71の陰影像を用いて計算し、その計算した照度計測値が既定の照度範囲に含まれるように、照明41のそれぞれの明るさを個別に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査ボトルに充填された飲料液中の異物を検出する飲料液異物検査装置および飲料液異物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボトルに充填された飲料液中の異物を検出する検査装置においては、例えば、被検査ボトルを傾けたり、回転させたりすることにより、異物を飲料液中に浮遊させ、異物が飲料液中を浮遊する様子をカメラで撮像し、その撮像画像を処理して、異物を検出ことが行われている(特許文献1,特許文献2など参照)。
【0003】
ここで、飲料が赤ワインなど濃色の飲料であったり、ボトルが有色であったりした場合には、ボトル内の飲料液中を浮遊する異物の検出が困難になる場合がある。そこで、例えば、特許文献2では、濃色の飲料やボトルに対しても透過性の高い赤外光の照明を設け、その照明からの照明光(赤外光)が被検査ボトルを透過したときの陰影をカメラで撮像することによって異物を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−54047号公報
【特許文献2】特開2005−17004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、飲料、例えば、ワインにしても、様々な種類があり、ブランドがある。そして、その種類やブランドごとに赤外光の透過率は異なっている。また、照明光(赤外光)が飲料を透過する長さは、ボトルの形状、大きさ、撮像位置(ボトルネック部分、ボトル胴体部分など)によっても異なる。従って、被検査ボトルの背後に設けた照明の透過光を用いて異物を検出する場合には、飲料やボトルの種別、撮像位置などに応じて照明の明るさの調整を行うことが重要となる。すなわち、背後の照明が暗ければ、ボトルおよび飲料を透過した光が弱くなり、カメラで異物の陰影を捉えることが困難になる。また、背後の照明が明る過ぎても、同様である。そのため、背後の照明の明るさの調整が適切に行われなければ、異物の検出精度が低下することになる。
【0006】
また、このような照明を有する飲料液異物検査装置が、多品種少量生産のボトル入り飲料の異物検査に用いられる場合には、飲料やボトルの種別(品種)、撮像に用いられる撮像装置ごとに照明の明るさの調整が必要となるため、その調整の手間が問題となる。すなわち、多品種の飲料やボトルの種別、撮像装置ごとに照明の明るさの調整をするとすれば、その調整の手間は、少なからず異物検査の全体の効率を低下させることになる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、飲料液の異物検査に用いられる照明の明るさの調整を、検査対象のボトル、飲料の種別および色濃度に応じて適切に、かつ、効率よく行うことが可能な飲料液異物検査装置および飲料液異物検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る飲料液異物検査装置は、飲料液が充填された被検査ボトルの背後に設けられる照明と、前記照明の照明光が前記被検査ボトルを透過して得られる前記被検査ボトルの陰影像を撮像する撮像装置と、前記撮像した前記被検査ボトルの陰影像を画像処理して、前記飲料液中の異物を検出する画像処理装置と、制御装置と、を備える。そして、前記撮像装置は、複数個設けられて、そのそれぞれの撮像装置は、前記被検査ボトルの互いに異なる部分を撮像し、前記照明は、前記複数の撮像装置のそれぞれに対応して1つずつ、前記被検査ボトルを挟んで前記撮像装置とは反対側の位置に設けられ、前記制御装置は、前記複数の撮像装置のそれぞれの受光面での照度計測値を、前記撮像装置がそれぞれ撮像した前記被検査ボトルの陰影像を用いて計算し、前記計算した前記複数の撮像装置のそれぞれの受光面での照度計測値が既定の照度範囲に含まれるように、前記複数の照明のそれぞれの明るさを個別に設定する。
【0009】
このような飲料液異物検査装置では、複数の照明のそれぞれの明るさは、その照明から発せられた照明光が被検査ボトルを透過したときの透過光の明るさとして、対応するそれぞれの撮像装置によって計測され、その透過光の明るさの計測値は、撮像装置受光面における照度に対応するものである。従って、それぞれの撮像装置の受光面での照度計測値が既定の照度範囲に含まれるように、対応する照明の明るさを設定すれば、その照明の明るさは、被検査ボトルおよびその被検査ボトルに充填された飲料液の種別や色濃度に応じて適切なものとなる。また、このときに必要となる作業者の負担は、後記する実施形態で詳しく説明するように、例えば、被検査ボトルの品種番号を入力し、照明の明るさを制御するつまみを適宜スライドさせる程度で済む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、飲料液の異物検査に用いられる照明の明るさの調整を、検査対象のボトル、飲料の種別および色濃度に応じて適切に、かつ、効率よく行うことが可能な飲料液異物検査装置および飲料液異物検査方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る飲料液異物検査装置の構成の例を模式的に示した図。
【図2】本発明の実施形態に係る飲料液異物検査の手順の例を示した図。
【図3】本発明の実施形態に係る飲料液異物検査装置における異物検出のための画像処理手順の例を示した図。
【図4】表示装置に表示されるカメラの照度調整画面の例を示した図。
【図5】中央演算処理装置によって行われる照度調整処理の処理フローの例を示した図。
【図6】照度調整設定テーブル(a)および適正照度テーブル(b)の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る飲料液異物検査装置の構成の例を模式的に示した図である。図1に示すように、飲料液異物検査装置10は、被検査ボトル回転機構部20、被検査ボトル傾斜機構部30、撮像装置としてのカメラ40、制御装置50などが、図示しない筐体内に収納されて構成される。また、筐体の外側には、制御装置50に接続された表示装置60、テンキーボード61、マウス62などが設けられている。
【0014】
ここで、被検査ボトル回転機構部20は、構造部材として、床部材21、左右の側壁部材22a,22b、天井部材23、後壁部材24などを有する。これらの構造部材は、例えば、鋼板など平板状の金属板材によって構成されるものとするが、金属の平板棒材などを溶接やネジ止めなどで強固につなぎ合わせて構成した平板状の構造物であってもよい。
【0015】
図1に示すように、平板状の床部材21は、飲料液異物検査装置10の図示しない筐体内において、その平板面が略水平になるように配設され、その平板状の床部材21の周縁部の上部には、側壁部材22a,22bおよび後壁部材24が床部材21の平板面に略垂直になるように強固に取り付けられている。さらに、床部材21には、被検査ボトル71を正立した状態で載置する回転台座25が配設されており、その回転台座25は、モータ26によって回転駆動される。このとき、回転台座25の回転軸は、床部材21の平板面に略垂直であり、かつ、回転台座25に載置された正立状態の被検査ボトル71の中心軸に略一致するものとする。
【0016】
そして、右側の側壁部材22aの複数(例えば、2つ)の高さの位置に配設された複数の棚のそれぞれには、カメラ40が配設され、また、カメラ40に対向する左側の側壁部材22bには、照明41が配設されている。このとき、カメラ40の撮像光軸は、正立状態の被検査ボトル71の中心軸と略垂直に交差するものとし、照明41は、その撮像光軸上の被検査ボトル71の反対側に配設されているものとする。従って、被検査ボトル71の飲料液中に照明41からの照明光を遮蔽する異物が存在した場合には、カメラ40は、その異物の陰影像を撮像することができる。また、複数のカメラ40は、それぞれ被検査ボトル71の互いに異なる部分を撮像するものとする。
【0017】
なお、本実施形態では、それぞれの照明41の明るさの強度は、照明電源42から供給する電源電圧などによって自在に調整可能なものであるとする。
【0018】
さらに、左側の側壁部材22bには、エアシリンダ27が取り付けられており、エアシリンダ27は、天井支持部材28を上下に移動駆動させることにより、その天井支持部材28の上端に片持ち支持された天井部材23を上下に移動駆動させる。なお、このとき、天井部材23は、床部材21の平板面に略平行になるように天井支持部材28の上端に取り付けられるものとする。
【0019】
また、床部材21の回転台座25が配設された位置の略直上の天井部材23の位置には、柱状押圧部材29が天井部材23から下垂するよう配設される。柱状押圧部材29は、天井支持部材28および天井部材23を介して、エアシリンダ27によって上下に昇降駆動され、下方に移動したとき、回転台座25に載置された被検査ボトル71の頭頂部、すなわち、キャップ71aの上面部を押圧する。
【0020】
なお、柱状押圧部材29は、天井部材23に対して、回転自在に取り付けられている。従って、回転台座25がモータ26によって駆動されて回転すると、回転台座25に載置された被検査ボトル71も回転し、また、その被検査ボトル71の頭頂部を押圧している柱状押圧部材29も回転することになる。
【0021】
また、図1において、被検査ボトル傾斜機構部30は、図示しないコンプレッサやエアシリンダなどからなる傾斜駆動装置31、および、被検査ボトル回転機構部20全体を支持し、傾斜させる機構部材(図示省略)を含んで構成される。なお、被検査ボトル回転機構部20全体を支持し、傾斜させる例については、別途、図2を用いて説明するが、その機構部材の詳細な構造については、図示を含め説明を省略する。
【0022】
また、図1において、制御装置50は、中央演算処理装置51、記憶装置52、機器制御シーケンサ53、画像処理装置54などを含んで構成される。ここで、機器制御シーケンサ53は、中央演算処理装置51の指示に従って、モータ26、エアシリンダ27、傾斜駆動装置31、カメラ40などの動作を制御する信号を生成し、出力する。また、画像処理装置54は、カメラ40で撮像された撮像画像を取得し、その取得した撮像画像を処理して飲料液中の異物の陰影像を検出する。その異物の陰影像を検出する画像処理の例については、別途、図3を用いて説明する。
【0023】
また、中央演算処理装置51および記憶装置52は、例えば、パーソナルコンピュータのCPU(Central Processing Unit)および記憶装置(半導体メモリ、ハードディスク装置など)に相当し、本実施形態では、異物検査の統括的な処理を制御するとともに、作業者の操作を支援する。このとき、表示装置60、テンキーボード61およびマウス62は、作業者用の入出力装置として用いられる。例えば、表示装置60には、作業者に対する様々な操作指示情報が表示されるとともに、カメラ40で撮像された飲料液中の異物の撮像画像や検査結果などが表示される。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係る飲料液異物検査の手順の例を示した図である。なお、図2では、飲料液異物検査の手順は、被検査ボトル回転機構部20の動きで示されており、(S1)〜(S6)の順に行われる。
【0025】
まず、初期状態(ステップS1)では、被検査ボトル回転機構部20は、被検査ボトル傾斜機構部30によって略水平に保持されている。このとき、被検査ボトル71は、回転台座25に載置されていない状態であり、また、柱状押圧部材29は、エアシリンダ27によって上部に引き上げられた状態にある。
【0026】
続いて、被検査ボトル71がセットされる(ステップS2)。すなわち、回転台座25に被検査ボトル71が正立状態で載置されと、制御装置50は、エアシリンダ27を駆動して、天井支持部材28を下方に移動させることにより、柱状押圧部材29を下降させて、柱状押圧部材29の下面で被検査ボトル71の頭頂部を押圧する。
【0027】
なお、本実施形態では、回転台座25の上面には、図示しない凹部が設けられ、その表面部が、軟質のゴム材など、被検査ボトル71が滑りにくい素材で覆われているものとする。そして、被検査ボトル71が、その回転台座25の凹部に載置されれば、正立状態の被検査ボトル71の中心線が回転台座25の回転の中心線に略一致させられるようになっている。また、回転台座25の上面には、被検査ボトル71が載置されたことを検知するセンサが設けられていてもよい。
【0028】
また、多様な被検査ボトル71の大きさや形状に対応するために、回転台座25は、着脱可能なものとする。そして、その上面に設けられた凹部の大きさが異なる複数の回転台座25をあらかじめ用意しておくものとする。
【0029】
一方、柱状押圧部材29の下面は、平たい面であり、その表面は、軟質のゴム材など、弾力性があり、かつ、滑りにくい素材で覆われているものとする。これは、被検査ボトル71の頭頂部(キャップ71aの上面)を押圧し、回転台座25と柱状押圧部材29とで被検査ボトル71を保持するとき、その保持力を増強させるとともに、被検査ボトル71のキャップ71aを傷めないようにすることに配慮したものである。
【0030】
ここで、柱状押圧部材29にその押圧力を検出する圧力センサを設けておいてもよい。その場合には、制御装置50は、エアシリンダ27を介して柱状押圧部材29に適切な押圧力を付与することができる。また、柱状押圧部材29についても、多様な被検査ボトル71の大きさや形状に対応するために、天井部材23に対して着脱可能なものとし、その長さが異なる複数の柱状押圧部材29をあらかじめ用意しておくものとする。
【0031】
続いて、被検査ボトル71は、回転軸33を中心にあらかじめ定められた回転角(傾斜角)θだけ傾斜させられ、照明41の照明光による被検査ボトル71の透過像が撮像される(ステップS3)。すなわち、被検査ボトル71は、回転台座25と柱状押圧部材29とに挟まれ、保持された状態で、傾斜駆動装置31によって被検査ボトル回転機構部20もろともに回転、傾斜させられる。このときの回転角(傾斜角)θは、130〜180度程度であり、被検査ボトル71は、ほとんど倒立状態に近くなるまで傾斜させられる。
【0032】
このように、被検査ボトル71が倒立状態に近くなるまで傾斜させられると、被検査ボトル71の底に沈んでいた重い異物は、強制的に上に持上げられたことになるので、被検査ボトル71の飲料液中を下方に沈降する。その結果、重い異物が飲料液中を浮遊している状態が得られる。なお、ここでいう重い異物とは、被検査ボトル71に充填されている飲料液の比重と比べ、十分に大きな比重を有する異物である。
【0033】
なお、コルク片など、その比重が飲料液の比重と比べ、十分に小さな比重を有する異物は、被検査ボトル71が倒立状態に近くなるまで傾斜させられときには、飲料液中を上方に浮上する。従って、この種の異物の飲料液中での振舞いは、重い異物に似ている(方向が異なる)といえる。以下では、この種の異物は、重い異物の一種として取り扱う。
【0034】
さらに、ステップS3では、制御装置50は、被検査ボトル71を傾斜角θだけ傾斜させると、照明41を点灯させ(ステップS2で点灯しておいてもよい)、その照明光による傾斜した状態の被検査ボトル71の透過像を、例えば、0.25秒おきにカメラ40で連写し、連写した複数の撮像画像を取得する。
【0035】
ここで、飲料液中に重い異物が存在した場合には、この連写された複数の撮像画像の中に、重い異物が飲料液中を沈降していく様子が撮像されることになる。そこで、制御装置50の画像処理装置54は、取得した複数の撮像画像について所定の画像処理を行うことにより、異物検出を行う。なお、その異物検出処理の例については、別途、図3を参照して詳しく説明する。
【0036】
ところで、飲料液中の異物は、照明41の照明光を遮ることになるので、被検査ボトル71の透過像の撮像画像では、その異物は、暗点または暗領域の陰影像として撮像されるが、照明41が可視光で、飲料液が、例えば、赤ワインなど有色の飲料液の場合、異物の暗点または暗領域が見分けられにくくなる。そこで、本実施形態では、照明41として赤外照明を用い、カメラ40として赤外線カメラを用いている。赤外線は、赤ワインなど有色の飲料液に対しても透過性が高いので、精度よく異物よる暗点または暗領域を撮像することができる。
【0037】
続いて、被検査ボトル71は、正立状態に戻される(ステップS4)。すなわち、制御装置50は、傾斜駆動装置31によって、被検査ボトル回転機構部20全体を回転角θだけ前とは逆方向に回転させ、もとの水平に保持された状態に戻す。
【0038】
続いて、被検査ボトル71は、回転させられる(ステップS5)。すなわち、制御装置50は、モータ26を駆動し、回転台座25を、所定の時間(例えば、5秒間)、所定の回転速度(例えば、400〜500rpm)で回転させ、その回転台座25に正立状態で載置されている被検査ボトル71を回転させる。この被検査ボトル71の回転によって、その中の飲料液も回転し、その回転によって、底に沈んでいる軽い異物が巻き上げられ、飲料液中を浮遊する。なお、ここでいう軽い異物とは、被検査ボトル71に充填されている飲料液の比重と同程度の比重か、または、やや大きい比重を有する異物である。
【0039】
続いて、被検査ボトル71は、回転が停止させられ、撮像される(ステップS6)。すなわち、制御装置50は、モータ26を駆動して、回転台座25つまり被検査ボトル71を回転させ、前記した所定の時間(例えば、5秒)が経過すると、その回転を停止させるとともに、停止した直後の被検査ボトル71の照明41の照明光による透過像を、例えば、0.25秒おきにカメラ40で連写し、連写した複数の撮像画像を取得する。
【0040】
このとき、被検査ボトル71の中の飲料液は、まだ、回転しており、従って、飲料液中を浮遊している軽い異物も、同様に回転している。従って、その浮遊している軽い異物は、連写された複数の撮像画像の中では、移動する暗点または暗領域として撮像される。なお、連写された撮像画像中で異物を検出する処理は、前記の重い異物を検出する処理と同じであり、詳細については、別途、図3を参照して詳しく説明する。
【0041】
図3は、本発明の実施形態に係る飲料液異物検査装置10における異物検出のための画像処理手順の例を示した図である。これらの異物検出のための画像処理は、図2に示したステップS3およびステップS6で被検査ボトル71の照明41の照明光による透過像が撮像されたとき、それぞれ独立して行われるが、その処理内容は同じである。
【0042】
本実施形態では、被検査ボトル71の照明41の照明光による透過像を撮像するときには、カメラ40は、その透過像を、例えば、0.25秒間隔で5秒間連写する。そうすると、20枚の撮像画像が得られるので、制御装置50は、その20枚の撮像画像を処理して、その中から飲料液中の異物を検出する。図3(a)では、そのうちの最初の3枚の撮像画像だけが示されている。なお、図3において、Δは、連写撮像の時間間隔(例えば、0.25秒)を表す。
【0043】
図3(a)に示すように、カメラ40によって撮像された撮像画像には、飲料液中の異物の他にも、飲料液の泡、ボトルの輪郭、ボトルに貼付されたラベルなどが撮像される。撮像画像の中では、異物は、ある大きさを有する暗い領域として撮像され、また、泡は、その輪郭部に一重または2重の細い輪郭線として撮像される。
【0044】
そこで、画像処理装置54は、まず、一種のぼかし処理である泡輪郭消去処理によって泡の細い輪郭線を消去する。その結果、図3(b)に示すように、撮像画像の中から泡が消去される。次に、画像処理装置54は、泡輪郭消去処理後の画像を用いて、2値化処理を行う。2値化処理は、図3(c)に示すように、白黒を明確化させる処理なので、この処理により、例えば、ボトルに付いた薄い汚れ(図示せず)などは消去されるが、異物は、明確な黒色の領域として表示される。
【0045】
次に、画像処理装置54は、2つの2値化処理後の画像について差分処理を行う。差分処理では、図3(d)に示すように、最初の時刻t=t0のときに得られた2値化画像と、その後の時刻t=t0+iΔのときに得られた2値化画像との差分画像を求める。このとき、差分画像では、両者で一致する画像部分は消去され、相違する画像部分だけが残される。従って、ボトルの輪郭やラベルなどは消去され、また、2値化処理で消去されずに残ったボトルの濃い汚れなども消去される。
【0046】
一方、ステップS3で被検査ボトル71が倒立する程度まで傾斜されたときに取得された撮像画像では、飲料液中の重い異物は、飲料液中を徐々に沈降する物体として撮像される。そして、このとき撮像された撮像画像のそれぞれは、撮像時刻が時間間隔Δずつ相違しているので、その異物の位置も相違することになる。従って、差分処理後の画像では、異物は、図5(d)に示すように、ある大きさを有する黒色の領域として表示される。
【0047】
同様に、ステップS6で被検査ボトル71が回転された直後に取得された撮像画像では、軽い異物は、飲料液中を浮遊し、回転移動している物体として撮像される。従って、この場合も、異物は静止していないので、差分処理後の画像では、異物は、図5(d)に示すように、ある大きさを有する黒色の領域として表示される。
【0048】
以上のように、飲料液異物検査装置10では、重い異物についても、また、軽い異物についても、その異物を表す黒色の領域が、連写された複数の撮像画像から得られる差分処理後の画像に残されるので、飲料液異物検査装置10の制御装置50は、飲料液中の異物を精度よく検知することができる。
【0049】
続いて、図1に加え、図4〜図6を参照して、照明41の明るさを調整するためのカメラ40の受光面における照度調整について説明する。ここで、図4は、表示装置60に表示されるカメラ40の照度調整画面の例を示した図、図5は、中央演算処理装置51によって行われる照度調整処理の処理フローの例を示した図、図6は、照度調整設定テーブル(a)および適正照度テーブル(b)の例を示した図である。
【0050】
ところで、本実施形態では、前記したように、照明41は、例えば、赤外照明であり、カメラ40は、例えば、赤外線カメラである。また、1つの被検査ボトル71の透過像を複数(例えば、2つ)のカメラ40で複数部分に分割して撮像し、複数のカメラ40のそれぞれには、それぞれに対応する照明41が1つずつ、被検査ボトル71を中間に挟んだ対向する位置に設けられている。従って、本実施形態では、撮像する被検査ボトル71の部分の形状に応じて、つまり、照明41からの照明光が被検査ボトル71の飲料液中を透過する長さに応じて、照明41の明るさを調整することができる。
【0051】
例えば、被検査ボトル71の上部はいわゆるボトルネックに連なる部分であるから、照明41からカメラ40へ向かう照明光が飲料液中を透過する長さは短く、また、被検査ボトル71の下部はボトルの胴体部であるから、照明光が飲料液中を透過する長さは長い。従って、複数の照明41の明るさの強度がすべて同じであれば、カメラ40側から見た場合、被検査ボトル71のボトルネック部分の透過光は明るく、胴体部分の透過光はそれよりも暗くなる。一般に、透過光が暗くなり過ぎると、異物の検出精度は低下する。
【0052】
そこで、本実施形態では、複数のカメラ40の間で、それぞれのカメラ40の受光面での透過光の明るさ(以下、照度という)が略同じで、かつ、異物の陰影を捉えるのに適切な値になるように、そのそれぞれのカメラ40に対応する照明41の明るさを調整する。例えば、被検査ボトル71の上部を照らす照明41の明るさを、下部を照らす照明41の明るさよりも相対的に弱く設定することにより、2つのカメラの受光面での照度をあらかじめ定められた適切な照度に略一致させる。
【0053】
なお、ここでいう適切な照度は、あらかじめ実験などによって求めておくものとする。例えば、照度を少しずつ変化させたときに得られるそれぞれの撮像画像を用いて、図3に示した画像処理によって、より精度よく異物検出を行うことができたときの照度を適切な照度とする。なお、その実験では、2値化処理などの画像処理で用いられるパラメータについても、異物の陰影を捉えるのに適切な画像処理パラメータの値として併せて求めておく。
【0054】
そして、このようにして求められたカメラ40の受光面における適切な照度や、適切な画像処理パラメータの値を、実験に用いた飲料の色濃度などによって分類し、分類した色濃度と、適切な照度(以下、適正照度という)と、適切な画像処理パラメータ(以下、適正画像処理パラメータという)とを対応付けたテーブル(以下では、適正照度テーブルという)を記憶装置52に格納しておく。なお、色濃度とは、照明41の照明光が飲料液を透過するときの減衰率などによって定義される値であるとする。なお、適正照度テーブルについては、図6に示す。
【0055】
図4の照度調整画面65は、図1の飲料液異物検査装置10を用いて異物検査が実際に行われる前に表示装置60に表示される画面であり、この画面を用いて、カメラ40の受光面での照度の調整、つまり照明41の明るさの調整などが行われる。
【0056】
照度調整画面65には、カメラ40によって撮像された被検査ボトル71の透過光による撮像画像を表示する画面領域である撮像画像表示領域651が設けられているほかに、品種選択領域652、カメラ選択領域653、照度調整領域654、照度基準値表示領域655、照度計測対象領域データ表示領域656などが設けられている。
【0057】
ここで、品種選択領域652には、照度調整対象の飲料の品種番号を入力する入力ボックスが表示され、作業者は、この入力ボックスを介して照度調整対象の飲料の品種番号を入力することができる。また、カメラ選択領域653には、照度調整対象のカメラ40を選択するラジオボタンが表示され、作業者は、そのラジオボタンの1つを選択することにより照度調整対象のカメラ40を選択することができる。なお、図4では、カメラ#2が選択されており、撮像画像表示領域651には、カメラ#2によって撮像された被検査ボトル71の撮像画像が表示されている。
【0058】
また、照度調整領域654には、照度調整のためのスライダ、照度計測値の表示ボックス、照度調整の確定ボタンなどが表示される。そこで、作業者がスライダのつまみを、例えば、右に移動させると、制御装置50は、先にカメラ選択領域653で選択したカメラ40(カメラ#2)に対応する照明41(照明#2)を、その明るさが明るくなるように制御し、その結果、カメラ40(カメラ#2)の受光面での照度が上昇する。また、作業者がスライダのつまみを左へ移動させると、制御装置50は、照明41(照明#2)を、その明るさが弱くなるように制御し、その結果、カメラ40(カメラ#2)の受光面での照度が低下する。こうして上昇または低下した照度の計測値は、直ちに照度計測値の表示ボックスに表示される。
【0059】
また、照度基準値表示領域655には、照度調整の照度基準値を表示する表示ボックスが表示され、その表示ボックスには、例えば、照度調整対象の飲料の色濃度に応じて前記適正照度テーブルから得られる適正照度が表示される。
なお、照度基準値の表示ボックスは、複数のカメラそれぞれに対応付けて複数個設けられていてもよい。また、照度基準値の表示ボックスには、照度基準値の範囲を示す上限値および下限値が表示されてもよい。
【0060】
また、照度計測対象領域データ表示領域656には、撮像画像表示領域651上で設定される照度計測対象領域657の矩形を定義する2つの点P1,P2の座標データが表示される。ここで、2つの点P1,P2は、作業者が、撮像画像表示領域651に表示された被検査ボトル71の透過像の撮像画像上で、マウス62のカーソルを移動させながら、クリック操作することなどによって自在に設定可能なものとする。
【0061】
照度計測対象領域657が設定されると、制御装置50の中央演算処理装置51は、画像処理装置54から、被検査ボトル71の透過像の撮像画像データのうち、照度計測対象領域657に含まれる画素の輝度データをすべて取り出し、その輝度データを平均して、その平均値をカメラ40の受光面で照度計測値とする。このようにして計測(計算)された照度計測値は、照度調整領域654の照度計測値の表示ボックスに表示される。
【0062】
続いて、図5を参照して、中央演算処理装置51によって行われる照度調整処理の処理フローについて説明する。中央演算処理装置51は、まず、表示装置60に照度調整画面65(図4参照)を表示する(ステップS10)。次に、中央演算処理装置51は、照度調整画面65の品種選択領域652の入力ボックスおよびテンキーボード61を介して作業者が入力する調整対象の飲料の品種番号を取得するとともに(ステップS11)に、機器制御シーケンサ53を介して、複数の(ここでは、2つの)全部の照明41を点灯させる(ステップS12)。なお、この場合、それぞれの照明41に供給される電源電圧は、既定の初期値であるとする。
【0063】
次に、中央演算処理装置51は、カメラ選択領域653のラジオボタンを介して作業者が選択するカメラ40の選択データを取得し(ステップS13)、その選択データで選択されたカメラ40によって撮像された被検査ボトル71の透過光による撮像画像を撮像画像表示領域651に表示する(ステップS14)。
【0064】
このとき、中央演算処理装置51は、照度調整設定テーブル(図6(a))から、ステップS11で取得した品種番号とステップS13で取得したカメラ40の選択データとに対応付けられた照度設定値を取得し、その取得した照度設定値を、当該選択されたカメラ40の適正照度として、照度基準値表示領域655の表示ボックスに表示する。あるいは、中央演算処理装置51は、適正照度テーブル(図6(b)参照)から、ステップS11で取得した品種番号の飲料液の色濃度(色濃度は、品種番号と色濃度とを対応付けた別のテーブルから求めるものとする)に対応付けられた適正照度を取得し、その取得した適正照度を照度基準値表示領域655の表示ボックスに表示してもよい。
【0065】
次に、中央演算処理装置51は、照度計測対象領域657が設定済であるか否かを判定し(ステップS15)、設定済でなかった場合には(ステップS15でNo)、作業者が撮像画像表示領域651上で設定する照度計測対象領域657の領域データを取得し(ステップS16)、また、設定済であった場合には(ステップS15でYes)、ステップS16をスキップする。
【0066】
続いて、中央演算処理装置51は、撮像画像表示領域651に表示された被検査ボトル71の透過光による撮像画像のうち、先に設定した照度計測対象領域657に含まれる画素の画素データ(輝度データ)を用いて照度計測値を計算し、その計算した結果を照度調整領域654の照度計測値の表示ボックスに表示する(ステップS17)。
【0067】
ここで、作業者は、照度調整領域654の表示ボックスに表示された照度計測値が、あらかじめ定められた適切な照度の範囲内に入っているか否かを判定し、適切な照度の範囲内に入っていない場合には、スライダのつまみを左右に移動させて、照度計測値を調整する。なお、適切な照度の範囲とは、照度基準値表示領域655の表示ボックスに表示されている照度基準値と略同じとみなせる照度範囲であり、例えば照度基準値のプラス・マイナス10%の範囲であるとする。
【0068】
すなわち、中央演算処理装置51は、照度調整領域654のスライダのつまみが操作されたか否かを判定し(ステップS18)、スライダのつまみが操作された場合には(ステップS18でYes)、そのスライダのつまみの移動量に応じて、ステップS13で選択されたカメラ40に対応付けられた照明41の電源電圧を変更することにより、その照明41の明るさを変更する(ステップS19)。そして、ステップS14に戻り、ステップS14以下の処理を再度実行する。
【0069】
一方、ステップS18の判定でスライダのつまみが操作されない(例えば、5秒以上操作されない)場合には(ステップS18でNo)、中央演算処理装置51は、さらに、照度調整領域654の確定ボタンが操作されたか否かを判定する(ステップS20)。そして、その確定ボタンが操作されない(例えば、5秒以上操作されない)ときには(ステップS20でNo)、中央演算処理装置51は、ステップS18へ戻って、ステップS18以下の処理を再度実行する。
【0070】
また、ステップS20の判定で確定ボタンが操作されたときには(ステップS20でYes)、中央演算処理装置51は、さらに全カメラ40について照度調整が終了したか否かを判定し(ステップS21)、全カメラ40についての照度調整が終了していない場合には(ステップS21でNo)、中央演算処理装置51は、ステップS13へ戻って、ステップS18以下の処理を再度実行する。なお、このとき、ステップS13では、作業者は、前回までに選択されなかったカメラ40のラジオボタンを選択するものとする。
【0071】
一方、ステップS21の判定で、全カメラ40についての照度調整が終了した場合には(ステップS21でYes)、中央演算処理装置51は、ステップS11で取得した飲料の品種番号に対応付けて、複数のカメラのそれぞれのカメラ40ごと設定された照度計測対象領域データ、照度設定値、および、照明41の電源電圧設定値を確定させ、その確定させたデータを照度調整設定テーブルに登録し(ステップS22)、図5における照度調整処理を終了する。
【0072】
なお、以上に説明した処理フローでは、作業者が照度調整領域654のスライダのつまみを操作することによって、照明41の電源電圧を変更しているが、作業者による操作を介さずに、中央演算処理装置51がステップS17で計算された照度計測値を照度基準値表示領域655の表示ボックスに表示された適正照度と比較し、その大小により、スライダのつまみを左右に移動させ、照明41の電源電圧を変更するようにしてもよい。
【0073】
また、図5の照度調整処理によって、ある品種番号を有するボトル入り飲料について、照度調整設定テーブルの照明#1、#2の電源電圧設定値がいったん登録された後には、その品種番号を有するボトル入り飲料の異物検査に際しては、中央演算処理装置51は、その照度調整設定テーブルから、その品種番号に対応付けられた照明#1、#2の電源電圧設定値を読み出し、照明電源42を介して電源照明#1、#2にその電源電圧設定値を有する電力を供給するだけで、カメラ#1、#2の受光面での適正照度を得ることができる。この場合も、作業者の照度調整操作はとくに必要でない。
【0074】
続いて、図6を参照して、照度調整設定テーブルおよび適正照度テーブルの構成について簡単に説明しておく。まず、図6(a)に示すように、照度調整設定テーブルのレコードは、飲料の品種番号、品種名称、色濃度分類、カメラ#1照度計測対象領域データ、カメラ#1照度設定値、照明#1電源電圧設定値、カメラ#2照度計測対象領域データ、カメラ#2照度設定値、照明#2電源電圧設定値の各データフィールドによって構成されている。
【0075】
ここで、飲料の品種番号は、ボトル入り飲料を、飲料液の種別(単に、ワインやビールというだけでなく、生産者、生産地、生産時期、ブランドなども識別可能なもの)のみならず、その飲料を充填したボトルの形状や大きさなどによって区別した番号である。また、品種名称は、その品種番号に対応する飲料の名称やブランド名である。ただし、品種名称は、本実施形態では、必須のデータではない。また、色濃度分類は、当該レコードの品種番号で指定されるボトル入り飲料の色濃度を識別する分類記号である。
【0076】
また、ここでは、複数のカメラ40の数は、2つとしており、カメラ#1、#2の照度設定値は、当該レコードの色濃度に対応して、適正照度テーブルから得られる適正照度である。
【0077】
また、図6(b)に示すように、適正照度テーブルのレコードは、色濃度分類、適正照度、適正画像処理パラメータ値の各フィールドによって構成されている。前記したように、適正照度、適正画像処理パラメータ値は、実験などにより事前に求められ設定された値である。なお、ここでは、適正画像処理パラメータ値のフィールドは1つしか設けていないが、例えば、2値化処理や泡輪郭消去処理それぞれに複数個設けられていてもよい。
【0078】
以上、本実施形態によれば、作業者が照度調整対象の被検査ボトル71の品種番号を、図4に示した照度調整画面65の品種選択領域652の入力ボックスに入力すると、その品種番号で指定されるボトル入り飲料の色濃度や、ボトルの大きさや、ボトルの撮像位置(ネック部分または胴体部分)などに応じて、選択されたカメラ40(カメラ#1またはカメラ#2)の受光面での適正照度が、照度基準値表示領域655の表示ボックスに表示される。従って、作業者は、照度調整領域654の照度計測値の表示ボックスに表示される照度計測値が、その適正照度と略同じになるように、または、あらかじめ定められた適切な照度の範囲内(例えば、適正照度プラス・マイナス10%の範囲内)に含まれるように、照度調整領域654に表示されたスライダのつまみを調整するだけで、照明41の明るさを適切な明るさに設定することができる。
【0079】
よって、本実施形態によれば、飲料液の異物検査に用いられる照明41の明るさの調整を、検査対象のボトルおよび飲料の種別に応じて、あるいは飲料の色濃度に応じて適切に、かつ、効率よく行うことが可能となる。
【0080】
さらに、照度調整設定テーブルに登録された2つの照明41(照明#1、#2)の電源電圧設定値を用いれば、作業者が品種選択領域652の入力ボックスから照度調整対象の被検査ボトル71の品種番号を入力さえすれば、中央演算処理装置51は、照度調整設定テーブルを参照し、その品種番号に対応する照明#1、#2それぞれの電源電圧設定値を得ることができるので、その2つの照明41(照明#1、#2)には、照度調整設定テーブルから得られた照明#1、#2それぞれの電源電圧設定値を有する電力を供給すればよい。
【0081】
すなわち、作業者は、照度調整対象の被検査ボトル71の品種番号を入力さえすれば、照度調整の操作をすることなく、照明41(照明#1、#2)の明るさを適切な明るさに設定することができる。よって、飲料液の異物検査に用いられる照明41の明るさの調整を、さらに、効率よく行うことが可能となる。
【0082】
さらに、図3に示したカメラ40によって撮像された撮像画像から異物を検出する画像処理において、被検査ボトル71に充填された飲料の色濃度に応じて、記憶装置52の適正照度テーブルに格納されている適正画像処理パラメータ値を用いるようにすれば、飲料液中の異物の検出精度をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0083】
10 飲料液異物検査装置
20 被検査ボトル回転機構部
21 床部材
22a,22b 側壁部材
23 天井部材
24 後壁部材
25 回転台座
26 モータ
27 エアシリンダ
28 天井支持部材
29 柱状押圧部材
30 被検査ボトル傾斜機構部
31 傾斜駆動装置
33 回転軸
40 カメラ(撮像装置)
41 照明
42 照明電源
50 制御装置
51 中央演算処理装置
52 記憶装置
53 機器制御シーケンサ
54 画像処理装置
60 表示装置
61 テンキーボード
62 マウス
65 照度調整画面
71 被検査ボトル
71a キャップ
651 撮像画像表示領域
652 品種選択領域
653 カメラ選択領域
654 照度調整領域
655 照度基準値表示領域
656 照度計測対象領域データ表示領域
657 照度計測対象領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料液が充填された被検査ボトルの背後に設けられる照明と、前記照明の照明光が前記被検査ボトルを透過して得られる前記被検査ボトルの陰影像を撮像する撮像装置と、前記撮像した前記被検査ボトルの陰影像を画像処理して、前記飲料液中の異物を検出する画像処理装置と、制御装置と、を備える飲料液異物検査装置であって、
前記撮像装置は、複数個設けられて、そのそれぞれの撮像装置は、前記被検査ボトルの互いに異なる部分を撮像し、
前記照明は、前記複数の撮像装置のそれぞれに対応して1つずつ、前記被検査ボトルを挟んで前記撮像装置とは反対側の位置に設けられ、
前記制御装置は、
前記複数の撮像装置のそれぞれの受光面での照度計測値を、前記撮像装置がそれぞれ撮像した前記被検査ボトルの陰影像の画素データを用いて計算し、
前記計算した前記複数の撮像装置のそれぞれの受光面での照度計測値が既定の照度範囲に含まれるように、前記複数の照明のそれぞれの明るさを個別に設定すること
を特徴とする飲料液異物検査装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記飲料液のそれぞれの色濃度に応じた適正照度値を記憶した記憶装置を備えており、
前記記憶装置を参照して、前記被検査ボトルに充填された飲料液の色濃度に対応する適正照度値を求め、前記求めた適正照度値に基づき前記照度範囲を定めること
を特徴とする請求項1に記載の飲料液異物検査装置。
【請求項3】
飲料液が充填された被検査ボトルの背後に設けられる照明と、前記照明の照明光が前記被検査ボトルを透過して得られる前記被検査ボトルの陰影像を撮像する撮像装置と、前記撮像した前記被検査ボトルの陰影像を画像処理して、前記飲料液中の異物を検出する画像処理装置と、制御装置と、を備える飲料液異物検査装置であって、
前記撮像装置は、複数個設けられて、そのそれぞれの撮像装置は、前記被検査ボトルの互いに異なる部分を撮像し、
前記照明は、前記複数の撮像装置のそれぞれに対応して1つずつ、前記被検査ボトルを挟んで前記撮像装置とは反対側の位置に設けられ、
前記制御装置は、
前記被検査ボトルの品種を識別する品種番号を入力する入力装置と、前記品種番号に対し、前記複数の照明それぞれの明るさを制御する照明制御情報が対応付けられた情報を記憶した記憶装置と、を備えており、
前記入力装置を介して入力される前記被検査ボトルの品種番号を取得し、前記記憶装置を参照して、前記被検査ボトルの品種番号に対応付けられた前記複数の照明それぞれの明るさを制御する照明制御情報を求め、前記求めた照明制御情報に基づき、前記複数の照明それぞれの明るさを設定すること
を特徴とする飲料液異物検査装置。
【請求項4】
飲料液が充填された被検査ボトルの背後に設けられる照明と、前記照明の照明光が前記被検査ボトルを透過して得られる前記被検査ボトルの陰影像を撮像する撮像装置と、前記撮像した前記被検査ボトルの陰影像を画像処理して、前記飲料液中の異物を検出する画像処理装置と、制御装置と、を備える飲料液異物検査装置であって、
前記制御装置は、
前記飲料液のそれぞれの色濃度に応じた適正照度値を記憶した記憶装置を備えており、
前記記憶装置を参照して、前記被検査ボトルに充填された飲料液の色濃度に対応する適正照度値を求め、
前記撮像装置の受光面での照度計測値を、前記撮像装置が撮像した前記被検査ボトルの陰影像の画素データを用いて計算し、
前記計算した撮像装置の受光面での照度計測値が、前記求めた適正照度値と略一致するように、前記照明の明るさを設定すること
を特徴とする飲料液異物検査装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記飲料液のそれぞれの色濃度に応じた適正照度値と併せて、前記それぞれの色濃度に応じた適正画像処理パラメータ値を記憶しており、
前記画像処理装置は、
前記被検査ボトルの陰影像の画像処理をするときには、前記記憶装置を参照して、前記被検査ボトルに充填された飲料液の色濃度に対応する適正画像処理パラメータを求め、前記求めた適正画像処理パラメータを用いて画像処理をすること
を特徴とする請求項4に記載の飲料液異物検査装置。
【請求項6】
飲料液が充填された被検査ボトルの背後に設けられる照明と、前記照明の照明光が前記被検査ボトルを透過して得られる前記被検査ボトルの陰影像を撮像する撮像装置と、前記撮像した前記被検査ボトルの陰影像を画像処理して、前記飲料液中の異物を検出する画像処理装置と、制御装置と、を備える飲料液異物検査装置における飲料液異物検査方法であって、
前記撮像装置は、複数個設けられて、そのそれぞれの撮像装置は、前記被検査ボトルの互いに異なる部分を撮像し、
前記照明は、前記複数の撮像装置のそれぞれに対応して1つずつ、前記被検査ボトルを挟んで前記撮像装置とは反対側の位置に設けられ、
前記制御装置は、
前記複数の撮像装置のそれぞれの受光面での照度計測値を、前記撮像装置がそれぞれ撮像した前記被検査ボトルの陰影像の画素データを用いて計算し、
前記計算した前記複数の撮像装置のそれぞれの受光面での照度計測値が既定の照度範囲に含まれるように、前記複数の照明のそれぞれの明るさを個別に設定すること
を特徴とする飲料液異物検査方法。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記飲料液のそれぞれの色濃度に応じた適正照度値を記憶した記憶装置を備えており、
前記記憶装置を参照して、前記被検査ボトルに充填された飲料液の色濃度に対応する適正照度値を求め、前記求めた適正照度値に基づき前記照度範囲を定めること
を特徴とする請求項6に記載の飲料液異物検査方法。
【請求項8】
飲料液が充填された被検査ボトルの背後に設けられる照明と、前記照明の照明光が前記被検査ボトルを透過して得られる前記被検査ボトルの陰影像を撮像する撮像装置と、前記撮像した前記被検査ボトルの陰影像を画像処理して、前記飲料液中の異物を検出する画像処理装置と、制御装置と、を備える飲料液異物検査装置における飲料液異物検査方法であって、
前記撮像装置は、複数個設けられて、そのそれぞれの撮像装置は、前記被検査ボトルの互いに異なる部分を撮像し、
前記照明は、前記複数の撮像装置のそれぞれに対応して1つずつ、前記被検査ボトルを挟んで前記撮像装置とは反対側の位置に設けられ、
前記制御装置は、
前記被検査ボトルの品種を識別する品種番号を入力する入力装置と、前記品種番号に対し、前記複数の照明それぞれの明るさを制御する照明制御情報が対応付けられた情報を記憶した記憶装置と、を備えており、
前記入力装置を介して入力される前記被検査ボトルの品種番号を取得し、前記記憶装置を参照して、前記被検査ボトルの品種番号に対応付けられた前記複数の照明それぞれの明るさを制御する照明制御情報を求め、前記求めた照明制御情報に基づき、前記複数の照明それぞれの明るさを設定すること
を特徴とする飲料液異物検査方法。
【請求項9】
飲料液が充填された被検査ボトルの背後に設けられる照明と、前記照明の照明光が前記被検査ボトルを透過して得られる前記被検査ボトルの陰影像を撮像する撮像装置と、前記撮像した前記被検査ボトルの陰影像を画像処理して、前記飲料液中の異物を検出する画像処理装置と、制御装置と、を備える飲料液異物検査装置における飲料液異物検査方法であって、
前記制御装置は、
前記飲料液のそれぞれの色濃度に応じた適正照度値を記憶した記憶装置を備えており、
前記記憶装置を参照して、前記被検査ボトルに充填された飲料液の色濃度に対応する適正照度値を求め、
前記撮像装置の受光面での照度計測値を、前記撮像装置が撮像した前記被検査ボトルの陰影像の画素データを用いて計算し、
前記計算した撮像装置の受光面での照度計測値が、前記求めた適正照度値と略一致するように、前記照明の明るさを設定すること
を特徴とする飲料液異物検査方法。
【請求項10】
前記記憶装置は、前記飲料液のそれぞれの色濃度に応じた適正照度値と併せて、前記それぞれの色濃度に応じた適正画像処理パラメータ値を記憶しており、
前記画像処理装置は、
前記被検査ボトルの陰影像の画像処理をするときには、前記記憶装置を参照して、前記被検査ボトルに充填された飲料液の色濃度に対応する適正画像処理パラメータを求め、前記求めた適正画像処理パラメータを用いて画像処理をすること
を特徴とする請求項9に記載の飲料液異物検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96922(P2013−96922A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241681(P2011−241681)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】