説明

飲料用多重容器

【課題】容器表面の結露防止機能と容器内の飲料の保冷性、保温性とに優れ、組み立て、位置決めが容易で嵩張らない使い捨てタイプの飲料用多重容器を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために本発明の飲料用多重容器1は、組立て時に最内方に配置されて飲料Wを注ぐ容器として直接使用される内側容器3と、組立て時に前記内側容器3の外方に配置されて、前記内側容器3を被覆する保護カバーとしても機能する前記内側容器3よりもサイズの大きな一または複数の外側容器5と、前記重ね合わされる内側容器3と外側容器5の間に設けられ、両者を位置決めした状態で固定して取り外すことが可能な位置決め固定構造7と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイズの違う複数の容器を内外に重ね合わせて使用する使い捨てタイプの飲料用多重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー等の飲料やファーストフード等を扱っているチェーン店等では、テイクアウトや店内での移動を容易にするために紙コップ等の使い捨て可能な飲料用容器が多く使用されている。
このような飲料用容器の中には、飲料用容器表面の結露防止や飲料用容器内の飲料の保冷や保温を図るために下記の特許文献1に示すように内筒と外筒を重ね合わせた構造の飲料用多重容器が存在している。
【0003】
また、上記飲料用容器表面の結露防止や飲料用容器内の飲料の保冷や保温の効果を高めるためには、重ね合わせる内筒と外筒との間に空気層を形成した状態で両者の位置決めを行う位置決め固定手段が必要になってくる。
この場合、上述した特許文献1では、飲料用多重容器の底部に宛てがうネジ式の緊締環を利用して外筒下部の押さえ片を内方に弾性変形させて内筒下部の外表面を掴むようにした位置決め固定手段が開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献2、3に示すようにグラスの上部を除く表面を断熱作用を有するグラスカバーで被覆することで上記飲料用容器表面の結露の発生等を防止するようにした飲料用多重容器も存在している。
そして、これらの飲料用多重容器の場合には、グラスカバー自体を伸縮性のある合成ゴム材料によって形成したり、グラスカバーの内壁面にグラスの外周面に当接する突条や突起あるいはヒダ等を形成することでグラスとグラスカバー間の位置決めと固定を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−86268号公報
【特許文献2】実開平6−46576号公報
【特許文献3】実用新案登録第3058471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に開示されている飲料用多重容器は、構造が複雑で部品点数が多くなることから、製品コストが高くなる。また、内筒と外筒は常時、組み合わせて使用することを前提にしており、内筒と外筒を切り離してそれぞれ単独で使用することはできない。
また、上記構造の飲料用多重容器は、組み立てた状態でも分解した状態でも嵩張ってしまうため、保管や運搬に不便であり、限られたスペースしかない小店舗では、保管スペース等の関係でその採用は困難になっている。
【0007】
また、上記特許文献2、3に開示されている飲料用多重容器の場合にも、グラスカバーの形状、厚さ等から保管や運搬が不便であり、同様に店舗内での保管スペース等の関係から、小店舗での採用は困難である。
更に、グラスとグラスカバーによって構成される上記飲料用多重容器は、テイクアウト等に使用するにはコスト、構造両面で不向きであり、テイクアウト商品等を扱っている店舗では事実上その採用は不可能である。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、サイズの違う複数の容器を内外に重ね合わせて使用する使い捨てタイプの飲料用多重容器において、上記2種類の容器は、組み合わせた状態でも切り離した状態でも使用でき、構造が簡単で部品点数が少なく、嵩張らないため保管性に優れ、組み立て、位置決めが容易で容器表面の結露防止機能と、容器内の飲料の保冷性及び保温性とに優れた飲料用多重容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の飲料用多重容器は、サイズの違う複数の容器を内外に重ね合わせて使用する使い捨てタイプの飲料用多重容器であって、組立て時に最内方に配置されて飲料を入れる容器として直接使用される内側容器と、組立て時に前記内側容器の外方に配置されて、前記内側容器を被覆する前記内側容器よりもサイズの大きな一または複数の外側容器と、前記重ね合わされる内側容器と外側容器の間に設けられ、両者を位置決めした状態で固定して取り外すことが可能な位置決め固定構造と、を備えていることを特徴とするものである(第1の態様)。
【0010】
上記発明において、前記内側容器と外側容器は、互いに切り離した単体状態でも同じサイズごとに重ね合わせたり、個別の飲料用容器として使用できるように構成されていてもよい(第2の態様)。
【0011】
上記発明において、前記位置決め固定構造によって位置決めされた内側容器と外側容器との間には、空気層が形成されていてもよい(第3の態様)。
【0012】
上記発明において、前記位置決め固定構造は、前記内側容器の上縁部外方に設けられる係合凸部と、前記外側容器の上縁部内方の上記係合凸部と対向する位置に設けられる係合凹部と、を備えることによって構成されていてもよい(第4の態様)。
【0013】
上記発明において、前記位置決め固定構造は、前記内側容器の底板部下面と前記外側容器の底板部上面との間に設けられる段差係合凹部と段差係合凸部と、を備えることによって構成されていてもよい(第5の態様)。
【0014】
上記発明において、前記位置決め固定構造は、前記内側容器の胴部上部と前記外側容器の胴部上部との間に形成されている間隙に嵌まる嵌合凸部を有する、前記内側容器の上部の開口部を塞ぐ係合蓋を備えることによって構成されていてもよい(第6の態様)。
【0015】
上記発明において、前記係合蓋には、前記外側容器の胴部上部を外側から係止する係止爪部が設けられていてもよい(第7の態様)。
【0016】
上記発明において、前記内側容器の上縁部と前記外側容器の上縁部の外径が略同一であり、前記位置決め固定構造は、重ね合わされた状態の前記内側容器と外側容器の上縁部の外周面に当接ないし近接する内周面と、該上縁部をくるむように外方から係合する係合爪部と、を有する前記内側容器の上部開口面を塞ぐ係合蓋を備えることによって構成されていてもよい(第8の態様)。
【0017】
上記発明において、前記内側容器の上縁部に連なる胴部上部の外径は、前記外側容器の上縁部に連なる胴部上部の内径と同じか幾分小さくなるように設定されており、前記上縁部と胴部上部との接続点を起点とする前記内側容器の胴部の垂直軸に対する傾斜角度は、前記上縁部と胴部上部との接続点を起点とする前記外側容器の胴部の垂直軸に対する傾斜角度よりも大きくなるように設定されていてもよい(第9の態様)。
【0018】
上記発明において、前記係合蓋には、前記内側容器と外側容器に取り付けた状態で内側容器内の飲料を飲むことを可能にする飲用開口部が形成されていてもよい(第10の態様)。
さらに、上記発明において、前記位置決め固定構造は、半径方向外側の面が前記内側容器の胴部上部の内面に接するように構成される嵌合凸部を有する、前記内側容器の上部の開口部の少なくとも一部を覆う係合蓋を備えることによって構成されていてもよい(第11の態様)。
【発明の効果】
【0019】
第1の態様によれば、飲料が入った内側容器の外方に外側容器が配置されているから、使用者が手に触れる外側容器の胴部表面には結露は発生せず、内側容器を被覆する外側容器による多重構造によって内側容器内の飲料の保冷性と保温性とが維持される。また、本発明では二重構造に限らず三重構造以上にすることも可能であるから、上記結露防止効果と保冷性及び保温性とを更に高めることが可能である。
更に、内側容器と外側容器との間に設ける位置決め固定構造の採用によって、上記内側容器と外側容器を重ね合わせた状態で一体化されるため、単一の飲料用容器として使用できるし、使用しない場合には、両者を切り離して保管しておくことも可能である。
【0020】
第2の態様によれば、上記内側容器と外側容器は、上述したように多重容器として両者を組み合わせて使用する他、両者を切り離して個別の飲料用容器として使用することが可能になる。
従って、飲料の種類によっては、内側容器と外側容器を切り離して個別の飲料用容器として使用したり、両者を組み合わせて一体の多重容器として使用することも可能であり、容器の使用形態が拡大する。また、切り離された内側容器と外側容器は、同じサイズごと重ね合わせて保管することが可能であるから、容器の保管スペースの縮小に伴なう管理コストの削減が図られる。
【0021】
第3の態様によれば、内側容器と外側容器との間に形成される空気層によって内側容器と外側容器との間の熱の伝搬が防止される。従って、外側容器表面の結露の発生が一層防止されるようになり、内側容器内の飲料の保冷性と保温性が更に向上する。
【0022】
第4の態様によれば、内側容器の上縁部外方に設けられる係合凸部と、外側容器の上縁部内方に設けられる係合凹部と、が係合することによって、内側容器と外側容器の主に上部水平方向での位置決めが実行される。
従って、構造が簡単で水平方向での位置決め固定精度の高い位置決め固定構造を提供できるようになる。
【0023】
第5の態様によれば、内側容器の底板部下面と外側容器の底板部上面との間に設けられる段差係合凹部と段差係合凸部と、が係合することによって、内側容器と外側容器の主に垂直方向と下部水平方向での位置決めが実行される。
従って、構造が簡単で垂直方向での位置決め固定精度の高い位置決め固定構造を提供できるようになる。
【0024】
第6の態様によれば、内側容器の胴部上部と外側容器の胴部上部との間に形成されている間隙に係合蓋の嵌合凸部が内嵌することによって、内側容器と外側容器の主に上部水平方向での位置決めが実行される。
従って、構造が簡単で水平方向での位置決め固定精度の高い位置決め固定構造を提供できるようになる。
【0025】
第7の態様によれば、係合蓋の係止爪部が外側容器の胴部上部に外側から係止されることによって係合蓋と内側容器ないし外側容器との一体性が向上し、係合蓋の不用意な脱落が防止される。
【0026】
第8の態様によれば、重ね合わされて使用される複数の容器は、サイズが違うものの上縁部の外径はすべて略同一の構成になっている。従って、上記複数の容器の上縁部が上下に重ね合わされることによって、内側容器と外側容器の垂直方向での位置決めが実行される。
また、上記複数の容器の上縁部の外周面に当接する内周面を有する係合蓋を採用することによって、内側容器と外側容器の水平方向の位置決めも実行されるから、構造が簡単で垂直方向と水平方向の位置決め固定精度の高い位置決め固定構造を提供できるようになる。
【0027】
第9の態様によれば、内側容器の上縁部に連なる胴部上部の外径を外側容器の上縁部に連なる胴部上部の内径と同じか幾分小さくなるように設定したことにより、内側容器と外側容器の水平方向での位置決めが実行される。
また、上縁部と胴部上部との接続点を起点とする内側容器の胴部の垂直軸に対する傾斜角度を、外側容器の胴部の傾斜角度よりも大きくなるように設定することによって、下方に行くに従って徐々に間隔が広くなる空気層が形成されるようになる。従って、上記係合蓋の作用に加えて、上記内側容器と外側容器の胴部の傾斜角度の作用で内側容器と外側容器の水平方向での位置決め固定精度が一層向上し、外側容器表面の結露防止機能や内側容器内の飲料の保冷性及び保温性の一層の向上も図られる。
【0028】
第10の態様によれば、係合蓋を内側容器と外側容器に取り付けた状態のまま、内側容器内の飲料を飲用開口部から飲むことが可能になる。従って、係合蓋を取り付けたことによる内側容器と外側容器の位置決め固定作用を維持したままでの飲用が可能になり、飲料用多重容器の使い勝手が向上する。
第11の態様によれば、嵌合凸部を、前記内側容器、前記外側容器、及び前記係合蓋を組み立てたときに、嵌合凸部の半径方向外側の面が前記内側容器の胴部上部の内面に接するように構成することによって、内側容器と外側容器の、水平方向、上下方向の位置決めが実行される。従って、構造が簡単なうえに、水平方向、上下方向での位置決め固定精度の高い位置決め固定構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る飲料用多重容器を示す分解した状態の側断面図(a)と、組み立てた状態の側断面図(b)である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る飲料用多重容器を示す外側容器の保管形態を示す側断面図(a)と、内側容器の保管形態を示す側断面図(b)である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る飲料用多重容器を示す位置決め固定構造を容器周方向の一部に配置した配置形態を示す平面図(a)と、容器周方向の略全周に配置した配置形態を示す平面図(b)である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る飲料用多重容器を示す分解した状態の側断面図(a)と、組み立てた状態の側断面図(b)である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る飲料用多重容器を示す外側容器の保管形態を示す側断面図(a)と、内側容器の保管形態を示す側断面図(b)である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る飲料用多重容器を示す分解した状態の側断面図(a)と、組み立てた状態の側断面図(b)である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る飲料用多重容器の係合蓋の種々の態様(a)(b)(c)を示す側断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る飲料用多重容器の係合蓋に形成する飲用開口部の2種の態様(a)(b)を示す平面図と側断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る飲料用多重容器を示す分解した状態の側断面図(a)と、組み立てた状態の側断面図(b)である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係る2種の飲料用多重容器を示す組み立てた状態の側断面図(a)(b)である。
【図11】図11(a)は本発明の第3の実施の形態の変形例における係合蓋の態様を示す平面図であり、図11(b)はその側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の飲料用多重容器1は、サイズの違う複数の容器3、5を内外に重ね合わせて使用する使い捨てタイプの飲料用多重容器であって、組立て時に最内方に配置されて飲料Wを注ぐ容器として直接使用される内側容器3と、組立て時に前記内側容器3の外方に配置されて、前記内側容器3を被覆する保護カバーとしても機能する前記内側容器3よりもサイズの大きな一または複数の外側容器5と、前記重ね合わされる内側容器3と外側容器5の間に設けられ、両者を位置決めした状態で固定して取り外すことが可能な位置決め固定構造7と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0031】
また、以下説明する第1〜第4の実施の形態では、図2及び図5に示すように前記内側容器3と外側容器5は、互いに切り離した単体状態でも同じサイズごとに重ね合わせたり、個別の飲料用容器として使用できるように構成されている。
また、前記位置決め固定構造7によって位置決めされた内側容器3と外側容器5との間には、空気層11が形成されている。
【0032】
以下、図1〜図3に示す(1)第1の実施の形態と、図4及び図5に示す(2)第2の実施の形態と、図6〜図8に示す(3)第3の実施の形態と、図9に示す(4)第4の実施の形態の4つの実施の形態を例にとって、本発明の飲料用多重容器1の構成を図面に基づいて具体的に説明する。
【0033】
(1)第1の実施の形態(図1〜図3参照)
第1の実施の形態に係る飲料用多重容器1Aは、内側容器3Aが1つと、外側容器5Aが1つ設けられた二重容器構造の飲料用多重容器である。
内側容器3Aは、一例として紙または合成樹脂製で上面に開口部13、底面に上記開口部13の口径より径の小さな底板部15が形成された一例として円形断面の下窄まりテーパ形状の胴部17と、該胴部17の上部から一例として水平方向Hの外方に張り出すように形成されている円環状の上縁部19と、を備えている。
また、上記上縁部19には、その外周に、後述する位置決め固定構造7Aの構成部材になっている係合凸部21を、外方に張り出すように有している。
【0034】
外側容器5Aは、一例として紙または合成樹脂製で上記内側容器3Aを内方に収容することができる上記内側容器3Aよりも一回り大きな部材で、上記内側容器3Aと同様、上面に開口部23、底面に上記開口部23の口径より径の小さな底板部25が形成された一例として円形断面の下窄まりテーパ形状の胴部27と、該胴部27の上部から一例として水平方向Hの外方に張り出すように形成されている円環状の上縁部29と、を備えている。
また、上記上縁部29と連接されている上記胴部27上部の内周面には、次に述べる位置決め固定構造7Aの構成部材になっている係合凹部31が形成されている。
【0035】
位置決め固定構造7Aは、上記内側容器3Aの上縁部19の外方に設けられる上述した係合凸部21と、上記外側容器5の上縁部29の内方の上記係合凸部21と対向する位置に設けられる係合凹部31と、を備えることによって基本的に構成されている。
尚、上記係合凸部21と係合凹部31は、図3(a)に示すように内側容器3Aと外側容器5Aの周方向の一部の範囲に設けてもよいし、図3(b)に示すように周方向の略全範囲に設けても構わない。
【0036】
因みに、図3(a)では、平面視半円形状の係合凸部21と係合凹部31を120°間隔で3つずつ配置した配置態様を示しており、図3(b)では、平面視円環状の係合凸部21と係合凹部31を設け、上記係合凸部21の一部に分解時に使用する平面視半円形状の指掛け凹部33を形成した配置態様を示している。なお、この指掛け凹部33を設けない態様とすることも可能である。
【0037】
また、このようにして構成される第1の実施の形態に係る飲料用多重容器1Aを組み立てる場合には、図1(a)中、矢印で示すように外側容器5Aの内部に軸心Lを一致させるように上方から内側容器3Aを落とし込み、図1(b)に示すように内側容器3Aの上縁部19の外方に突出している係合凸部21を外側容器5Aの胴部27の上部内周面に形成されている係合凹部31に係合させる。
そして、上記係合凸部21と係合凹部31との係合によって、内側容器3Aと外側容器5Aの主に上部水平方向Hでの位置決めが実行される。
【0038】
一方、飲料用多重容器1Aを組み立てる前は、図2(a)(b)に示すように同サイズの内側容器3Aと外側容器5Aとに分けて、これらを個別に重ね合わせることで嵩張らせることなく、すっきりとした形態で保管することが可能になっている。
従って、本実施の形態の飲料用多重容器1Aによれば、内側容器3Aと外側容器5Aを組み合わせた状態では外側容器5A表面の結露防止機能と内側容器3A内の飲料Wの保冷性及び保温性が発揮され、両者を切り離した状態では、上述した容器3A、5Aの保管スペースの縮小によって当該容器3A、5Aの管理コストの削減が図られるようになる。
【0039】
(2)第2の実施の形態(図4及び図5参照)
第2の実施の形態に係る飲料用多重容器1Bは、前記第1の実施の形態と同様、内側容器3Bと外側容器5Bが1つずつ設けられた二重容器構造の飲料用多重容器である。
内側容器3Bは、一例として紙または合成樹脂製で上面に開口部13、底面に上記開口部13の口径より径の小さな底板部15が形成された一例として円形断面の下窄まりテーパ形状の胴部17と、上記底板部15の下面の中心を上方に円錐台形状に凹ませた後述する位置決め固定構造7Bの構成部材になっている段差係合凹部35と、を備えている。
【0040】
外側容器5Bは、一例として紙または合成樹脂製で上記内側容器3Bを内方に収容することができる上記内側容器3Bよりも一回り大きな部材で、上記内側容器3Bと同様、上面に開口部23、底面に上記開口部23の口径より径の小さな底板部25が形成された一例として円形断面の下窄まりテーパ形状の胴部27と、上記底板部25の上面の中心を上方に二段の円錐台形状に突出させた後述する位置決め固定構造7Bの構成部材になっている段差係合凸部37と、を備えている。
【0041】
位置決め固定構造7Bは、上記内側容器3Bの底板部15の下面と上記外側容器5Bの底板部25の上面との間に設けられている上述した段差係合凹部35と段差係合凸部37と、を備えることによって基本的に構成されている。
また、このようにして構成される第2の実施の形態に係る飲料用多重容器1Bを組み立てる場合には、図4(a)中、矢印で示すように外側容器5Bの内部に軸心Lを一致させるように上方から内側容器3Bを落とし込み、図4(b)に示すように内側容器3Bの底板部15下面の段差係合凹部35に外側容器5Bの底板部25上面の段差係合凸部37の上方の凸部37aを係合させる。
【0042】
一方、飲料用多重容器1Bを組み立てる前は、前記第1の実施の形態と同様、図5(a)(b)に示すように同サイズの内側容器3Bと外側容器5Bとに分けて、これらを個別に重ね合わせることで嵩張らせることなく、すっきりとした形態で保管することが可能になっている。
従って、本実施の形態の飲料用多重容器1Bによっても、前記第1の実施の形態と同様の作用、効果が発揮される。また、本実施の形態にあっては、上記段差係合凹部35と段差係合凸部37との係合によって、内側容器3Bと外側容器5Bの垂直方向Vでの位置決めと下部水平方向Hでの位置決めが実行されるようになる。
勿論、上述した第1の実施形態において例示した上記係合凸部21と係合凹部31からなる位置決め固定構造7Aを、本実施の形態で示したような位置決め構造7Bと共に採用することも可能である。その場合、容器の上方及び底面の両部分で容器の相対的な位置決めがなされるため、容器の安定性を更に向上させることができる。
【0043】
(3)第3の実施の形態(図6〜図8参照)
第3の実施の形態に係る飲料用多重容器1Cは、前記第2の実施の形態に係る飲料用多重容器1Bと同様の構成の内側容器3Cと外側容器5Cに対して、更に係合蓋39を付加した構成になっている。
従って、前記第2の実施の形態と同様の内側容器3Cと外側容器5Cの構成については、ここでは説明を省略し、前記第2の実施の形態と相違する係合蓋39と、該係合蓋39を含んだ位置決め固定構造7Cの構成を中心に説明する。
【0044】
即ち、本実施の形態では、位置決め固定構造7Cが、前記段差係合凹部35と段差係合凸部37との係合作用に加えて、次に述べる係合蓋39の嵌合凸部41と、上記内側容器3Cと外側容器5C間の間隙43との嵌合作用が組み合わされることによって構成されている。
そして、係合蓋39は、図8(a)に示すように平面図円形の天板部44と、該天板部44の外周部に下方に折り曲げられた円環状の縁部45と、が形成された内側容器3Cの上部の開口部13を塞ぐための部材である。
【0045】
また、上記係合蓋39の天板部44の外周寄りには、下方に向けて突出する円環状の嵌合凸部41が形成されており、該嵌合凸部41が内側容器3Cの胴部17の上部と外側容器5Cの胴部27の上部との間に形成されている間隙43に内嵌することによって、上述した位置決め固定構造7Cとしての機能を有するように構成されている。
また、上記縁部45の内周面の下部には、内方に向けて突出する係止爪部47が形成されており、該係止爪部47によって外側容器5Cの胴部27の上部を外側から係止し得るように構成されている。尚、上記係止爪部47を係止状態にすることによって、内側容器3C内の飲料Wの液漏れが防止される。
【0046】
尚、上記嵌合凸部41の断面形状は種々の形状が採用でき、図7(a)に示すような断面の外形が矩形状の嵌合凸部41Aを有する係合蓋39Aであってもよいし、図7(b)に示すような断面の外形が三角形状の嵌合凸部41Bを有する係合蓋39Bであってもよいし、図7(c)に示すような断面の外形が半円形状の嵌合凸部41Cを有する係合蓋39Cであっても構わない。
【0047】
また、上記係合蓋39には、図8(a)(b)に示すように内側容器3Cと外側容器5Cに取り付けた状態で内側容器3C内の飲料Wを飲むことを可能にする飲用開口部49を形成することが可能である。
因みに、図8(a)では、ストローを使用して飲料Wを飲むような場合に使用できるX字状のスリット51が飲用開口部49として係合蓋39の天板部44の中心に形成された態様が開示されており、図8(b)では、直接、口にくわえて飲料Wを飲む場合に使用できるキャップ53付きのノズル55を備えた飲用開口部49が同じく係合蓋39の天板部44の中心に形成された態様が図示されている。また、図示していないが、係合蓋37の天板部44の嵌合凸部よりも半径方向内側に、少なくとも例えばシャーベットやクリーム状の食品をスプーンですくって食することができるように、図8(b)の飲用開口部49と比較して開口部径が大きな飲用開口部を形成してもよい。このような飲用開口部は、内側容器3Cの上縁部分とオーバーラップして内側容器3Cが外へ飛び出すことがないように抑制する領域が嵌合凸部41の内周側の側壁より内側に形成される程度に、飲用開口部の直径を大きくすることが可能である。また、嵌合凸部41と飲用開口部との寸法を調整して、係合蓋37を外側容器5及び内側容器3を所定の位置に保持するためのフレーム状の位置決め固定構造とすることもできる。
【0048】
そして、このようにして構成される本実施の形態の飲料用多重容器1Cによっても、前記第2の実施の形態と同様の作用、効果が発揮され、更に本実施の形態にあっては、上記係合蓋39の嵌合凸部41と間隙43との嵌合によって、内側容器3Cの胴部17の上部と外側容器5Cの胴部27の上部での水平方向Hの位置決めが実行されるようになる。
【0049】
(4)第3の実施の形態の変形例
上述した第3の実施の形態では、係合蓋39の天板部44の外周寄りに、下方に向けて突出する円環状の嵌合凸部41を形成し、該嵌合凸部41を内側容器3Cの胴部17の上部と外側容器5Cの胴部27の上部との間に形成されている間隙43に内嵌させることによって、上述した位置決め固定構造7Cとしての機能を有するように構成したが、係合蓋39に設ける位置決め固定構造は、このような形態に限定されるものではない。
【0050】
例えば、図6に示したような段差係合凸部35、37を設けた内側容器3、外側容器5において、内側容器3の胴部上部から水平方向外方へ張り出す円環状の上縁部を形成するとともに、外側容器5の胴部上方から水平方向外方へ張り出す円環状の上縁部を形成する。これらの上縁部は図1に示した上縁部に類似するが、内側容器3に設けた上縁部の外周は、外側容器5に設けた上縁部の内周と略同一の直径を有するように形成し、外側容器5の内面に係合凹部を設けない点で、図1の内側容器・外側容器と相違する。内側容器3の上縁部の上面は、外側容器5内に収容したときに外側容器5の上縁部の上面と略同一の高さとなるように寸法決めされることが好ましい。外側容器5の上縁部の外周は、係合蓋39の外周部で下方に折り曲げられた円環状の縁部45に、例えばスナップ嵌めによって内嵌可能な直径を有するように形成される。
そして、係合蓋39の天板部44から下方へ突出する嵌合凸部は、その外側面が内側容器3の胴部上部の内面に接するように寸法が決定される。具体的には、図11(a)、(b)に示したように、図6、図7に示した嵌合凸部41よりも係合蓋39の半径方向内側に嵌合凸部41’が形成される。さらに、係合蓋39の、嵌合凸部41’の外側面上縁から連続し、該外側面より係合蓋39の半径方向外方側に形成され、天板部44から上方へ向かってへこむ第1の凹部44Aが形成される。この第1の凹部44の幅、凹部の深さ、半径方向位置は、組み立てたときに内側容器3の上縁部を受けることができる幅、深さ及び半径方向深さとされる。さらにまた、該第1の凹部44Aの外周側の周縁部より半径方向外側に第2の凹部44Bが形成され、該第2の凹部44Bの外周部から下方へ向かって円環状の縁部45が形成される。外側容器5の上縁部を安定的に保持することができるように、この縁部45の上端内周面から半径方向外方へ向かって内面が凹む第3の凹部45Aを形成してもよい。第3の凹部45Aは、外側容器5の上縁部を例えばスナップ嵌めできるような寸法を有する。
【0051】
このような構成において、内側容器3を外側容器5内に収容した状態で係合蓋39を上方から嵌合させると、内側容器3は、段差係合部35、37によって水平方向への移動が規制されるとともに、段差係合部35、37と係合蓋39とにより内側容器3の外側容器5内での上下方向(水平方向に略垂直な方向)の移動が規制される。
また、内側容器3の上縁部が天板部44に設けられた第1の凹部44A内に受けられることで、第1の凹部44Aの内面及び半径方向外方の周縁と、嵌合凸部41′の半径方向外側面と、外側容器5の胴部上部の内面とによって、内側容器の上縁部の水平方向位置が保持される。
また、外側容器5の上縁部が係合蓋39の第2の凹部44B内に受けられ、更に、外側容器5の上縁部が係合蓋39の第3の凹部45Aに嵌合されることにより、第2の凹部44Bの内周縁と第3の凹部45Aとにより、外側容器5の係合蓋に対する水平方向位置が保持される。
このような位置決め固定構造によって、内側容器3の上下方向・水平方向への、外側容器3に対する相対的な移動が妨げられ、上述したような実施形態と同様の作用、効果が発揮される。
【0052】
なお、外側容器の胴部上部の内面に、内側容器3の上縁部を下方から支持することができるように半径方向内側に向かって突出する段部を設けてもよい。
また、この変形例のように内側容器3の上縁部が外側容器5の上縁部の内側に収まるように構成するとともに第3の凹部45Aを形成した場合には、図6(a)、図6(b)に示した係止爪部47を形成しなくてもよい。係止爪部を設けない構成においては、嵌合蓋39の縁部45は、第3の凹部45Aの下側に、下方に向かって且つ半径方向外方へ向かって広がるフレア状に形成するように構成できるので、係合蓋39の着脱に大きな力を必要とせず、簡便な着脱が可能となる。
さらに、係合蓋39の飲用開口部の外径を、嵌合凸部41の内周側の側壁より内側に設けられ且つ内側容器3の上縁部分とオーバーラップして内側容器3が外へ飛び出すことがないように抑制する領域が存在する限りにおいて、飲用開口部の直径を大きくすることが可能である。また、嵌合凸部41と飲用開口部との寸法を調整して、係合蓋37を外側容器5及び内側容器3を所定の位置に保持するためのフレーム状の位置決め固定構造とすることもできる。
【0053】
(5)第4の実施の形態(図9参照)
第4の実施の形態に係る飲料用多重容器1Dは、前記第1の実施の形態に係る飲料用多重容器1Aと同様、内側容器3Dと外側容器5Dに上縁部57、61が形成されており、前記第3の実施の形態に係る飲料用多重容器1Cと同様の係合蓋59を有し、該係合蓋59を使用して上記上縁部57、61を保持する位置決め固定構造7Dが採用されている。
ただし、上縁部57、61と係合蓋59の構成と作用が、前記2つの実施の形態と一部相違しており、この相違している部分が本実施の形態の特徴になっている。
【0054】
従って、以下の説明では前記第1及び第3の実施の形態と共通する部分については説明を省略し、これらの実施の形態と相違する上縁部57、61、係合蓋59及びこれらを使用した位置決め固定構造7Dの構成と作用を中心にして説明する。
即ち、本実施の形態では、内側容器3Dの上縁部57と外側容器5Dの上縁部61の外径が略同一になるように形成されており、内側容器3Dの上縁部57に連なる胴部17の上部の外径が外側容器5Dの上縁部61の胴部27の上部の内径と同じか幾分小さくなるように設定されている。
【0055】
これに伴ない、組み立てた状態の飲料用多重容器1Dでは、内側容器3Dの上縁部57と外側容器5Dの上縁部61が図9に示すように上下に重ね合わされた状態となり、これらの外周面がすべて揃うように構成されている。
また、係合蓋59は、前記第3の実施の形態の係合蓋39と同様の構成の天板部63と縁部65を有しており、該縁部65の高さが前記実施の形態の縁部45の高さよりも幾分高くなるように形成されている。また、該縁部65の内周面66の下部には前記実施の形態の係止爪部47と同様、内方に張り出した係合爪部67が形成されている。
【0056】
また、本実施の形態では、上記上縁部57と胴部17上部との接続点O1を起点とする内側容器3Dの胴部17の垂直軸Lに対する傾斜角度θ1が、上記上縁部61と胴部27上部との接続点O2を起点とする外側容器5Dの胴部27の垂直軸Lに対する傾斜角度θ2よりも大きくなるように設定されている。
そして、本実施の形態では、位置決め固定構造7Dが重ね合わされた状態の内側容器3Dと外側容器5Dの上縁部57、61の外周面58、62に当接ないし近接する内周面66と、上記上縁部57、61をくるむように外方から係合する上述した係合爪部67と、を有する係合蓋59を備えることによって構成されている。
【0057】
従って、本実施の形態では、内側容器3Dの胴部17の上部の外径と外側容器5Dの胴部27の上部の内径を同一または略同一にしたことと、内側容器3Dと外側容器5Dの上縁部57、61のそれぞれの外周面58、62に当接ないし近接する上記係合蓋59の縁部65の内周面66の存在によって内側容器3Dと外側容器5Dの水平方向Hの位置決めが実行されている。
【0058】
また、上下に重ね合わされる内側容器3Dと外側容器5Dの上縁部57、61と、これらをくるむようにして内側容器3Dの上縁部57の上面と外側容器5Dの上縁部61の下面に当接する上記係合蓋59の天板部63の外周部下面の上記係合爪部67とによる挟持作用と、によって内側容器3Dと外側容器5Dの垂直方向Vの位置決めが実行されている。
【0059】
そして、このようにして構成される本実施の形態の飲料用多重容器1Dによっても、前記第3の実施の形態と同様の作用、効果が発揮され、更に本実施の形態にあっては、内側容器3Dの胴部17の傾斜角度θ1を外側容器5Dの胴部27の傾斜角度θ2よりも大きくしたことによって、両者の間に下方に行くに従って、間隔43が広くなる、より大きな空気層11が形成されるから、外側容器5D表面の結露防止機能と内側容器3D内の飲料Wの保冷性ないし保温性とが、より顕著に発揮されるようになる。
【0060】
以上が、本発明の基本的な実施の形態であるが、本発明の飲料用多重容器1は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略、あるいは当業者において周知、慣用の技術を追加することが可能である。
例えば、本発明の飲料用多重容器1は、前記第1〜第4の実施の形態において採用した二重容器構造に限らず、三重以上に重ね合わせた構造を採用することが可能である。そして、図10では三重容器構造の2種類の飲料用多重容器1Eと1Fが図示されている。
【0061】
このうち、図10(a)に示す飲料用多重容器1Eは、前記第1の実施の形態の飲料用多重容器1Aの外側容器5Aの外方に空気層11を隔てて外側容器5Aを更に一重追加したものである。
一方、図10(b)に示す飲料用多重容器1Fは、前記第3の実施の形態の飲料用多重容器1Cの外側容器5Cの外方に同じく空気層11を隔てて外側容器5Cを更に一重追加したものである。
【0062】
また、図10(b)に示す飲料用多重容器1Fの場合には、内側容器3Cと内方の外側容器5Cの間と、内外の外側容器5C、5C間とに2つの間隙43、43が形成されているから、これらの間隙43、43に対応する位置に2つの嵌合凸部41、41が形成された係合蓋69が使用されている。
そして、このようにして構成される飲料用多重容器1Eと1Fによっても、前記第1及び第3の実施の形態と同様の作用、効果が発揮され、更に空気層11が2重に設けられることによって最外方の外側容器5A、5Cの表面に付着する結露の発生をより確実に防止し、内側容器3A、3C内の飲料Wの保冷性及び保温性を一層高めることが可能になる。
【0063】
また、前記各実施の形態で使用した内側容器3と外側容器5は、異なるサイズの組み合わせを複数組用意しておくことが可能であり、客の注文等に応じて適宜のサイズの組み合わせの内側容器3と外側容器5を使用することができる。
また、前記各実施の形態において採用した位置決め固定構造7を別の実施の形態に組み合わせたり、一部の構成を置換して適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の飲料用多重容器は、使い捨てタイプの飲料用容器を使用しているテイクアウト対応の店舗等で利用でき、特に構造が簡単で嵩張らない、組み立て、位置決めが容易で容器表面の結露防止機能と容器内の飲料の保冷性、保温性に優れた飲料用容器を提供したい場合に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0065】
1 飲料用多重容器
3 内側容器
5 外側容器
7 位置決め固定構造
9 係合蓋
11 空気層
13 開口部
15 底板部
17 胴部
19 上縁部
21 係合凸部
23 開口部
25 底板部
27 胴部
29 上縁部
31 係合凹部
33 指掛け凹部
35 段差係合凹部
37 段差係合凸部
37a 上方の凸部
39 係合蓋
41、41′ 嵌合凸部
43 間隙
44 天板部
44A 第1の凹部
44B 第2の凹部
45 縁部
45A 第3の凹部
47 係止爪部
49 飲用開口部
51 スリット
53 キャップ
55 ノズル
57 上縁部
58 外周面
59 係合蓋
61 上縁部
62 外周面
63 天板部
65 縁部
66 内周面
67 係合爪部
69 係合蓋
W 飲料
H 水平方向
V 垂直方向
L 垂直軸(軸心)
θ 傾斜角度
O1、O2 接続点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイズの違う複数の容器を内外に重ね合わせて使用する使い捨てタイプの飲料用多重容器であって、
組立て時に最内方に配置されて飲料を入れる容器として使用される内側容器と、
組立て時に前記内側容器の外方に配置されて、前記内側容器を被覆する前記内側容器よりもサイズの大きな一または複数の外側容器と、
前記重ね合わされる内側容器と外側容器を互いに対して位置決めした状態で取り外し可能に固定する位置決め固定構造と、を備えていることを特徴とする飲料用多重容器。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料用多重容器において、
前記内側容器と外側容器は、互いに切り離した単体状態でも同じサイズごとに重ね合わせたり、個別の飲料用容器として使用できるように構成されていることを特徴とする飲料用多重容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の飲料用多重容器において、
前記位置決め固定構造によって位置決めされた内側容器と外側容器との間には、空気層が形成されていることを特徴とする飲料用多重容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料用多重容器において、
前記位置決め固定構造は、前記内側容器の上縁部外方に設けられる係合凸部と、
前記外側容器の上縁部内方の上記係合凸部と対向する位置に設けられる係合凹部と、を備えることによって構成されていることを特徴とする飲料用多重容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の飲料用多重容器において、
前記位置決め固定構造は、前記内側容器の底板部下面と前記外側容器の底板部上面との間に設けられる段差係合凹部と段差係合凸部と、を備えることによって構成されていることを特徴とする飲料用多重容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料用多重容器において、
前記位置決め固定構造は、前記内側容器の胴部上部と前記外側容器の胴部上部との間に形成されている間隙に嵌まる嵌合凸部を有する、前記内側容器の上部の開口部を塞ぐ係合蓋を備えることによって構成されていることを特徴とする飲料用多重容器。
【請求項7】
請求項6に記載の飲料用多重容器において、
前記係合蓋には、前記外側容器の胴部上部を外側から係止する係止爪部が設けられていることを特徴とする飲料用多重容器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の飲料用多重容器において、
前記内側容器の上縁部と前記外側容器の上縁部の外径が略同一であり、
前記位置決め固定構造は、重ね合わされた状態の前記内側容器と外側容器の上縁部の外周面に当接ないし近接する内周面と、該上縁部をくるむように外方から係合する係合爪部と、を有する前記内側容器の上部開口面を塞ぐ係合蓋を備えることによって構成されていることを特徴とする飲料用多重容器。
【請求項9】
請求項8に記載の飲料用多重容器において、
前記内側容器の上縁部に連なる胴部上部の外径は、前記外側容器の上縁部に連なる胴部上部の内径と同じか幾分小さくなるように設定されており、
前記上縁部と胴部上部との接続点を起点とする前記内側容器の胴部の垂直軸に対する傾斜角度は、前記上縁部と胴部上部との接続点を起点とする前記外側容器の胴部の垂直軸に対する傾斜角度よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする飲料用多重容器。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の飲料用多重容器において、
前記係合蓋には、前記内側容器と外側容器に取り付けた状態で内側容器内の飲料を飲むことを可能にする飲用開口部が形成されていることを特徴とする飲料用多重容器。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料用多重容器において、
前記位置決め固定構造は、前記内側容器、前記外側容器、及び前記係合蓋を組み立てたときに半径方向外側の面が前記内側容器の胴部上部の内面に接するように構成される嵌合凸部を有する、前記内側容器の上部の開口部の少なくとも一部を覆う係合蓋を備えることによって構成されていることを特徴とする飲料用多重容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−100130(P2013−100130A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−200383(P2012−200383)
【出願日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【出願人】(511255959)
【Fターム(参考)】