説明

飲料用容器の栓体

【課題】逆止弁まわりの部品点数を削減し、構造の簡素化、コスト削減につなげる
【解決手段】蓋7を開く前にロック部材32を作動することで、湯や温かいお茶などを収容した容器本体2の内部を排気していったん大気圧状態として再び密封し、そして蓋7を開いた後において飲料を吸い出した状態で容器本体2の内部が負圧になっても、逆止弁48によって容器本体2の内部を大気圧に保つようにする。容器開口3を閉塞する弾性材料からなる閉塞部材15に突起30を設け、突起30には上下方向の通気孔31、突起30の下方への抜け止めを図る径大な上部、吸気孔46の下端を開閉すると共に突起30の上方への移動を弁座以外の箇所で阻止できる逆止弁48を設ける。通気孔31や逆止弁48などを閉塞部材15と一緒に一つの部品で形成したことで、部品数を可及的に減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用容器の栓体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして液体飲料が収容される容器本体と、この容器本体に装着され、前記容器本体内に挿入されるストローを通すストロー孔が中心よりも一側にずれた位置に形成されたベース部材と、このベース部材の前記ストロー孔とは反対の位置に設けた軸受け部に対して回動可能に軸止めされ、ベース部材の上部を開閉する蓋体とを有しており、前記ベース部材の前記軸受け部に貫通孔を有し、この軸受け部に配置したレバーを回動させることにより、前記貫通孔を開閉する構成とし、ストロー孔の近傍ではなく、貫通孔を有する軸受け部に設けられて、レバーを設けるために、ベース部材の限られた有効面積を損なうことがなく、そして、レバーにより前記貫通孔を確実に開閉することができるので、飲料容器を携行する上でも液漏れ等の心配がない飲料用容器が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、上端を開口した有底筒状の容器体と、容器上端を閉塞して着脱可能に装着するとともに、頂部に設けた格納凹部内よりストローの吸引筒を突出させ、且つ、頂部に減圧用孔及び逆止弁付き外気導入孔を開口したキャップと、格納凹部上端開口を被覆して吸引筒を格納凹部内に屈曲収納させた状態から格納凹部を開放して吸引筒を格納凹部上方へ突出させる状態へのキャップ上のスライドが可能に装着した蓋板と、吸引筒の格納状態では減圧用孔及び外気導入孔を閉塞し、格納凹部の開放状態では減圧用孔のみが閉塞され、前記両状態間では減圧用孔及び外気導入孔の両方が開放された状態に構成し、蓋板をスライドさせて吸引筒を起立させる際に、吸引筒が屈曲した格納凹部内格納状態の内に高圧化した容器内を減圧することができ、起立したストローから液の飛び出しが生じる不都合がない。また、収容液の吸引により内圧が減少した場合には外気導入孔から外気を導入して内圧減少を補正することができ、容器の凹み等を生じるおそれもない。しかも、減圧用孔は収容液の吸引時には閉塞されており、外気導入孔は逆止弁により閉塞されているため、吸引時等にそこから液が洩れる等の不都合を生じるおそれもない。さらに、各減圧用孔,外気導入孔は蓋板のスライドにより自動的に閉塞開放を行えるという使用上の便利もある飲料用容器も知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−345742号公報
【特許文献2】特開2009−132433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術のような、いわゆるストロー容器はその形状から開口部が小さいため、内容物を飲むために蓋をあける際、内部の空気層の圧力を解放しなければ、内圧によって内容物深部まで刺さっているストローから内容物が飛び出すおそれがある。そのため、ストロー容器は一般的に開口部を開放する前に、空気層と開通している通気口を開放し、高圧となっている容器の内圧を下げる工夫がなされている。
【0006】
また、ストロー容器開操作時、ストロー開口部閉のまま通気口を開け、内圧を下げた後に通気口を再び閉じなければ、ストロー内部に空気と内容物が残されていた場合、蓋を開いた際にストロー内部に内容物が置換され、元々ストロー内部に残されていた内容物が開口部から飛び出す問題がある。
【0007】
このため、ストローク開口部からの内容物の飛散りをなくすため、ストロー容器開時は、ストロー開口部が閉の状態のまま通気口は閉、開、閉の動作を行い、その後ストロー開口部が開となるような工夫がなされている。
【0008】
さらに、ストロー開口部開状態・通気口閉状態のままでは内容物を飲む際、容器内の空気層が減圧され、思うように内容物を吸いだすことができない。このため内容物を吸いだす際、容器内が負圧になり減圧状態となった時に容器外側から空気が入るように逆止弁が設けられている。
【0009】
そして、前者の従来技術では蓋とは別に配置されたレバーの回動操作により、通気口を、閉、開、閉とすることで、内圧開放及びストロー内の水と空気の置換現象をなくし、ストロー先端からの内容物の飛散りをなくす機能を備えているが容器内減圧時の吸気弁は別に設ける必要があった。
【0010】
後者の従来技術では、通気口と逆止弁を備えた通気穴が隣通しの位置に配置されている。
【0011】
このようにストロー容器において、ストロー先端からの内容物の飛散りを完全になくすためにはストロー、通気口、逆止弁といった部品が必要になるが、このような部品は比較的小さく、紛失しやすく、また洗浄しにくく、或いはコスト高になってしまうなどのおそれがあった。
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、これらの部品点数を削減し、構造の簡素化、コスト削減につなげると共に、小さな部材をなくすことで洗浄性の向上、部品の紛失、さらには誤飲をなくすものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明の飲料用容器の栓体は、容器本体の容器開口に着脱自在に設けられ、開閉可能な蓋を軸支した栓体本体と、前記蓋を閉状態に保持および解除するように配置された係止部と、前記栓体本体に係合され弾性材料で形成された飲み口部材と、前記栓体本体に着脱自在に設けられ、前記容器開口に当接して前記容器本体を閉塞する閉塞部材が設けられ、前記蓋が閉状態の際に前記係止部材を稼動させても開状態にならないように設けられたロック部材とを備えた飲料用容器の栓体において、
前記閉塞部材は前記栓本体を貫通する孔に係合され、かつ貫通している部分には通気口を形成されており、この通気口はロック部材が閉状態の場合は塞がれていて、前記ロック部材が蓋を開閉するために解除される過程において一旦通気され再度塞がれる構造になっており、かつ前記貫通孔の周囲には吸気孔が設けられ、吸気孔は閉塞部材によって閉塞されているが、前記容器本体内が負圧になった時、閉塞部材に設けられた逆止弁が変形して通気されるようになることを特徴とする
請求項2の発明の飲料用容器の栓体は、請求項1において、前記ロック部材が前記栓本体に略直線移動するように係合されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明の飲料用容器の栓体は、請求項1において、前記ロック部材が前記栓本体に軸支されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明の飲料用容器の栓体は、請求項3において、前記通気口がロック部材の回動中心軸下部に位置していることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明の飲料用容器の栓体は、請求項1〜4において、前記ロック部材が蓋を閉める状態で蓋と係合され、閉状態が解除された時に常に閉状態とならないように弾性部材により付勢されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、通気口や逆止弁などを閉塞部材と一緒に一つの部品で形成したことで、部品数を可及的に減少させることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、ロック部材の略直線移動により、ロック部材32の操作性を確保することができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、ロック部材の回動移動により、ロック部材32の操作性を確保することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、ロック部材の回動により通気動作時の開放および封止時の密封性の確実性が高い。
【0021】
請求項5の発明によれば、ロック部材に、解除方向に弾性力が付与されており、蓋を閉める際に先にロックを閉めてしまうことが起きにくく、操作を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1を示すロック部材が閉状態の断面図である。
【図2】図1の要部の拡大断面図である。
【図3】同ロック部材が開閉途中の状態の断面図である。
【図4】同ロック部材が開状態の断面図である。
【図5】同ロック部材が閉状態の斜視図である。
【図6】同ロック部材が開閉途中の状態の斜視図である。
【図7】同ロック部材が開状態の斜視図である。
【図8】同栓本体の平面図である。
【図9】同栓本体側の分解斜視図である。
【図10】本発明の実施例2を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例3を示す断面図である。
【図12】同ロック部材が閉状態の斜視図である。
【図13】同ロック部材が開状態の斜視図である。
【図14】本発明の実施例4を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0024】
図1〜図9において、1は全体として本発明による携帯用飲料容器を示し、金属製真空断熱型の容器本体2と、該容器本体2の上部の容器開口3に被着される合成樹脂製の栓体4とを備え、当該栓体4の天部5の後側となる一端側の上部に左右一対に設けられたヒンジ軸6を介してコップ状の蓋7の基端側が回動自在に軸支されることで蓋7が開閉自在に設けられ、該ヒンジ軸6の対向側、すなわち前側に設けたフック状の係止部8によって蓋7を閉状態で保持し得るようになされている。そして、係止部8には前側にあらわれると共にばね9Aで外側に付勢されている操作部9が一体に設けられ、蓋7の他端側には係止部8が係止する係止受け部10が設けられている。
【0025】
栓体4は、容器本体2の容器開口3を覆う天部5を設けた逆有底筒状からなる栓体本体11を有し、この栓体本体11の内周面に形成された雌ねじ12によって、容器本体2の上部外周面に設けた筒状の雄ねじ13に螺着し得るようになされている。尚、天部5は後述する第一の取付孔14を中心として一側下面5Dが、係止部8が設けられた他側下面5D´よりもやや高く形成されている。
【0026】
栓体本体11の天部5の下面5D,5D´には、例えばシリコンゴムやエラストマー樹脂等の弾性部材によって全域で同一厚みを有し平面視円板状に形成され容器本体2の容器開口3を閉塞する閉塞部材15が遊嵌或いは嵌合するように設けられている。かくして閉塞部材15は、適度な硬さを備え、かつ外部から力が与えられると、弾性力により僅かに変形し得ることから、栓体本体11が容器本体2の容器開口3に装着されると、当該容器開口3の頂部が閉塞部材15の周縁側下面に当接し、これにより容器開口3を確実に閉塞し得るようになされている。そして、閉塞部材15の一側上面15Uは一側下面5Dに隙間による空洞部16を介して対向している。一方、閉塞部材15の他側上面15U´は他側下面に対して密着して対向している。
【0027】
また、栓体本体11には、天部5のほぼ中央位置に上下方向に貫通する第一の取付孔14を有する飲み口部材取付部17が形成されており、さらにこの第一の取付孔14と同軸線上に第二の取付孔18が閉塞部材15のほぼ中央に形成されている。そして、例えばシリコンゴムやエラストマー樹脂等の弾性部材で形成されたチューブ状の飲み口部19Aを上部に備えたストローユニット19の下部が第一の取付孔14、第二の取付孔18を貫通して飲み口部材取付部17、閉塞部材15に装着し得るようになされている。
【0028】
ここでストローユニット19は、例えばシリコンゴムやエラストマー樹脂等の弾性部材によって全体が形成され、適度な硬さを備えつつ外部から力が与えられると、僅かに変形し得るようになされている。飲み口部材としてのストローユニット19は、飲み口部19Aと、当該飲み口部19Aの根元側部周辺から外周に突出して閉塞部材15の下面15Dに係止可能な位置決め部20と、当該飲み口部19Aの根元部分と連通して位置決め部20から下方に延びた円筒状の内径拡幅部21とからなる飲み口部材本体22を有し、当該内径拡幅部21に、下端が容器本体2の内底にほぼ達するような円筒状の筒部材23が着脱自在に嵌め込まれている。
【0029】
第一の取付孔14は天部5に円筒状に立設しており、この第一の取付孔14の内周における上下方向の途中に内向き、すなわち中心線Xに向けて第一の小突起24が平面視環状に設けられており、この第一の小突起24は第一の取付孔14に挿入された飲み口部19Aの根元の外周に設けられた平面視環状の第一の凹部25に係止しており、さらにこの第一の凹部25のやや下方の根元の外周には平面視環状の第二の小突起26が設けられており、この第二の小突起26は第一の取付孔14の内周に圧接することで、これらは位置決め部20と共に、ストローユニット19の栓体本体11からの抜け出し、抜け落ちを阻止し、また、ストローユニット19の外周側面からの天部5上面への飲料の漏れを防止するようになっている。
【0030】
また、蓋7の裏面には蓋7を閉める時に他側に下向きに板状突起部27が設けられており、飲み口部19Aを折り曲げてS字状にすることにより、蓋7の内部空間に飲み口部19Aを収納し得ると共に、飲み口部19Aの連通路28を潰して当該飲み口部19Aから飲料が漏れ出ることを防止し得るようになされている。
【0031】
さらに、ヒンジ部6と第一の取付孔14との中間の天部5の部位に、中心線Xと平行となって平面視円形で上下方向の貫通孔29が形成され、この貫通孔29に係合する上向きの突起30が閉塞部材15の一側上面15Uに一体に設けられており、この突起30はほぼ円柱形状であって、一側上面15Uより空洞部16、貫通孔29を貫通して、その上部30Uは天部5の上面5Uよりもやや突設し、図9に示すようにこの上部30Uの半径Rは、貫通孔29の半径S、すなわち突起30の半径よりも径大(R>S)となって上向きに裁頭円錐状に突設して形成されている。これにより、図2に示すように裁頭円錐状の上部30Uの下面30Dが上面5Uに密着できるようになっている。そして、この突起30の中心線Y上に上下方向の通気孔31が貫通しており、この通気孔31を介して容器本体2の内部と外気とは連通するようになっている。
【0032】
前記天部5の上方に回動可能に設けるロック部材32は、蓋7が閉状態の際に係止部8を稼動させて係止受け部10との係止状態を解除しても、蓋7が開状態にならないように設けられると共に、通気孔31の上端にある通気口31Uを開閉可能に設けるものであって、ロック部材32は、突起30の上部を挟むように天部5上に左右一対が上向きに突設している軸受33に横向きに回動自在に架設される回動中心軸34と、この回動中心軸34に基端を連設すると共に回動中心軸34を中心とした放射方向に先端を突設した板状本体35と、この板状本体35に設けられた蓋7への係止部となる一側から他側に貫通した貫通部36とを備える。
【0033】
そして、左右一対の軸受33間において、回動中心軸34の周面における周方向に、通気孔31の通気口31Uに接触して蓋7を閉める時に通気口31Uを閉塞する第一の凸部38と、この第一の凸部38に周方向に隣接して設けられ通気孔31の通気口31Uに選択的に接触して蓋7を開ける時に通気口31Uを閉塞する第二の凸部39と、第一の凸部38と第二の凸部39との間に設けられ通気孔31の通気口31Uに選択的に接触せず、すなわち非接触状態となって蓋7を開けると蓋7を閉めるとの中間時に通気口31Uを開放する中間の凹部40をも備える。尚、図中符号37は第一の凸部38における凹部40と反対側に設けられた、すなわち板状本体35側に設けられた非中間の凹部であって、これら凹部40,37は第一の凸部38と第二の凸部39に対して相対的に窪んでいるものをいう。そして、これら第一の凸部38と第二の凸部39と凹部40により、通気口31Uをロック部材32が蓋7を閉状態でロックしたときには通気口31Uを閉塞し、またロック部材32が蓋7の閉状態のロックを図3に示すストローユニット19と反対方向(矢印D)に回転させ解除作動したときに、はいったん途中で通気口31Uが、ロック部材の凹部40が下部に来た際に隙間Gができ、そこから内圧が開放した後に再び通気口31Uを閉塞する閉後開、開後閉手段が形成されるようになっている。
【0034】
さらに、蓋7の一側は切り欠かれたような凹形部41となってその左右に設けられた腕部42の先端がヒンジ軸6に回動自在に連結している。そして、蓋7を閉める時において凹形部41の上部の左右方向中央に一側向きの第一の突起部43が設けられ、凹形部41の下部の左右方向両側に一側向きの第二の突起部44が設けられている。
【0035】
そして、蓋7を閉める時においては側面からみたとき、図1に示すようにヒンジ軸6を回転中心としたとき第一の突起部43の回転軌跡と、回動中心軸34を回転中心としたとき貫通部36の回転軌跡との交点位置において、第一の突起部43と貫通部36が係止することで、ロック部材32が蓋7に対してつっかえ棒のように配置され、係止部8を稼動させても開状態にならないようにロック部材32が設けられている。この際には通気口31Uは第一の凸部38により閉塞されている。
【0036】
また、図3、6に示すようにロック部材32を斜め一側上方に向けて回動して蓋7のロック状態を解除する。この際には通気口31Uは凹部40が配置されて隙間Gが形成され、この結果通気孔31は開放されて、通気孔31から隙間Gを抜ける排気路Zが形成され、容器本体2の内部は大気開放となる。尚、この状態で蓋7を半開きとすると、ヒンジ軸6を回転中心としたとき第二の突起部44の回転軌跡と、回動中心軸34を回転中心としたとき貫通部36の回転軌跡との交点位置において、第二の突起部44と貫通部36が係止することで、ロック部材32が半開きの蓋7に対してつっかえ棒のように配置され、蓋7が半開き状態でロックされるようになっている。
【0037】
さらに、図4、7に示すようにロック部材32を一側に向かうように回動する。この際には通気口31Uは第二の凸部39により再び閉塞される。
【0038】
そして、操作部9を押圧操作して、係止部8と係止受け部10との係止状態を解除して、蓋7を開けると、蓋7の内側に飲み口部19Aが折れ曲がって収納されていた飲み口部19Aは一点鎖線で示すように立ち上がるようになっている。
【0039】
さらに、栓体本体11に、容器本体2の内圧が大気圧或いは大気圧以上のときは閉弁状態となり、容器本体2の内圧が負圧になったときに、自動的に開弁して容器本体2の内側に吸気できる逆止弁機構45を設ける。逆止弁機構45は吸気孔46の下端に形成される弁座47と、この弁座47を開閉可能な逆止弁48を備える。
【0040】
吸気孔46は貫通部36の周囲に上下方向、すなわち上面5U側と、一側下面5Dを介して空洞部16側に連通するように設けられ、実施例では貫通部36の一側方向と他側方向にそれぞれ、該貫通部36と連通して貫通部36の半径よりも細幅で平面視が細溝状に形成されており、この吸気孔46には平面視においてやや幅が大きくなる先端46Aが設けられている。そして、吸気孔46の下端周囲の一側下面5Dにおける先端46Aを含む吸気孔46の近傍により弁座47が形成される。
【0041】
逆止弁48は、突起30の下側でかつ、閉塞部材15自体よりも上側に突起30一体、ひいては閉塞部材15と一体に設けられるものであり、その位置は空洞部16に配置されると共に、弁座47に下側から当てて吸気孔46を閉塞できるように突起30の外周面に鍔状、すなわち平面視で円環状に一体に設けたものであって、実施例では逆止弁48の上面48Uは、吸気孔46を閉塞すると共にその外縁48A側が下面に密着しており、また下面48Dは通気孔31を中心として下方へ次第に径小に形成されている。すなわち、下面48Dは上下逆の裁頭円錐形状に形成されており、その半径Tは中心線Yから先端46Aまでよりも大きく形成されている(T>R>S)。尚、突起30における下面30Dと逆止弁48の上面48Uとの上下方向の長さは、天部5の一側の厚み、すなわち一側下面5Dと上面5Uとの上下方向の長さと同じに形成されており、このため天部5を突起30と逆止弁48で挟み込み、この結果、突起30、逆止弁48を一体に設けた閉塞部材15は天部5側に対して抜け落ち防止がなされている。尚、実施例では図2に示すように上面48Uは中心線Yを中心としたとき、その外側のみが弁座47に平面視で円環状に接することができるように、上面48Uの内側、すなわち中心線Y側は次第に下方に低く形成されてレ字形の凹部48Vに形成されている。
【0042】
さらに吸気孔46と容器本体2とを連通できるように閉塞部材15には空洞部16と容器本体2の内部とを連通する連通路たる連通孔49が形成されている。実施例では、連通孔49は外縁48Aの一側と対向するように上下方向に設けられている。また、連通孔49の先端は平面視においてやや幅が大きくなっている。
【0043】
次に前記構成についてその作用を説明する。容器開口3より飲料(図示せず)を容器本体2に収容した後、容器開口3に栓体本体11を取付ける。
【0044】
図1、5に示すように蓋7を閉めている時においては、係止部8が係止受け部10に係止されると共に、ロック部材32が蓋7に係止している。したがって、操作部9を押圧操作して係止部8と係止受け部10との係止状態を解除してもロック部材32が蓋7に係止しているため蓋7を開けることはできない。
【0045】
そして、この状態では通気孔31の通気口31Uは第一の凸部38により閉塞されており、また容器本体2にお茶や調乳時に湯などが収容された場合や、容器開口3に栓体本体11を取付ける際、閉塞部材15が容器開口3に当接してから潰れるまでの加圧により、容器本体2の内圧が大気圧以上となっても、逆止弁48が弁座47に当接することで、逆止弁機構45は閉弁状態となっている。この結果容器本体2の内部は密封状態となって保温される。
【0046】
次に図3、6に示すように、まず回動中心軸34を中心としてロック部材32を一側斜め上向きに回動する。このロック部材32の回動に伴って通気孔の上部開口に凹部40が対向することで、隙間Gが形成されて空気の排気路Zにより通気口31Uは大気開放となる。このため容器本体2の内部は通気孔を介して大気開放となり、内部は大気圧となるため、ストロー先端からの飲料の飛び出しを防ぐことが出来る。
【0047】
次に図4、7に示すように、さらに回動中心軸34を中心としてロック部材32を一側へ水平に回動する。このロック部材32の回動に伴って通気孔の通気口31Uに第二の凸部39が対向することで、通気口31Uは閉塞される。このため容器本体2の内部は、大気圧を保って再び密閉状態とすることで、もしストロー内部に気泡及び飲料が満たされていた状態でも、フタ開放時にストロー内部の圧力による空気の置換が起きず、ストロー内部の飲料が先端から飛び出す恐れがなく、さらに飲料を飲んでいる最中等に不用意に飲料容器を傾けても、飲料がもれる恐れがない。
【0048】
そして、操作部9を押圧操作することで係止部8と係止受け部10との係止状態を解除することで、蓋7を開く。このように蓋7を開くと板状突起部27で押圧されていた飲み口部19Aが弾性力によって立ち上がる。そしてこの飲み口部19Aに口を付けて吸うことで、飲料は筒部材23、連通路28、飲み口部19Aを吸い上げられるようになっている。
【0049】
このようにして容器本体2の内部の飲料が減少すると、容器本体2の内部が負圧になってしまい、口の吸い上げ力を強くしなければならなくなるが、このように容器本体2の内部が負圧になると、連通孔49を介して逆止弁48が負圧側となっている空洞部16側に引き寄せられて弁座47より離れる。このとき、逆止弁48の外周は変形しやすいように薄肉になっている。このようにして逆止弁48が開くと、吸気孔46より外気が空洞部16、連通孔49、さらには容器本体2の内部に導入される。この結果容器本体2の内部は大気圧となる通常の口の吸い上げ力で飲料を飲み続けることができる。
【0050】
このようにして飲料を飲んで使用した後、洗浄するには、容器本体2より栓体本体11を外し、さらに栓体本体11より閉塞部材15を逆止弁48と共に外して洗浄する。また、ストローユニット19を栓体本体11より抜き出し洗浄する。そして、洗浄後においては、栓体本体11に再び逆止弁48と一体な閉塞部材15、ストローユニット19を取付けて使用するものである。
【0051】
以上のように、前記実施例では閉塞部材15は栓体本体11を貫通する貫通孔29に係合されて取付けられ、かつ貫通孔29に係合している突起30には通気孔31が形成されており、この通気孔31はロック部材32が閉状態に応動して第一の凸部38により塞がれていて、ロック部材32が蓋7を開閉するために解除される回動に応動して凹部40によって一旦通気され、再度第二の凸部39により塞がれる構造になっており、そして貫通孔29の周囲には外気と容器本体2の内部を連通する吸気孔46が設けられ、吸気孔46は閉塞部材15に一体に設けられた逆止弁48よって閉塞されているが、前記容器本体2内が負圧になった時、逆止弁48が変形して通気されるように設けられているので、ストローユニット19とは別に配置された閉塞部材15を天部5に取付けるための突起30を利用して、突起30の中心線Yに通気孔31を設けると共に、突起30に逆止弁48を一体に設けることで、一つの部材で簡素化することができ、コスト削減にもつながり、さらに逆止弁48は単体ではないので、紛失などのおそれもなくなる。
【0052】
また、開口上部31を閉、開、閉の作動をさせる部材をロック部材32と一体化したことで、必ず排気された後に、蓋7を開くことができ、また、もしストロー内部に気泡及び飲料が満たされていた状態でも、開口上部31が閉の状態のため、蓋開放時にストロー内部の圧力による空気の置換が起きず、ストロー内部の飲料が先端から飛び出す恐れがなく、さらに飲料を飲んでいる最中等に不用意に飲料容器を傾けても、飲料がもれる恐れがない。
【0053】
さらに、ロック部材32が栓体本体11に回動中心軸34を介して軸支されていることにより、ロック部材32を回動移動とすることで操作性を向上することができる。
【0054】
また、通気孔31がロック部材32の回動中心軸34の下部に位置していることで、回動中心軸34に設けられた第一の凸部38、凹部40、第二の凸部39によって、ロック部材32の回動に応動して通気口31Uを閉、開、閉のように選択的に作動させることができる。
【0055】
しかも、前記実施例では、栓体本体11と、栓体本体11の天部5の下面5D,5D´に一側に隙間からなる空洞部16を設けて配置され容器開口3が下側から当接して該容器開口3を水密に閉塞する弾性材料からなる閉塞部材15と、栓体本体11の天部5の上面5Uの一側に設けたヒンジ軸6を介して天部5の上方を覆うことができる蓋7と、天部5及び閉塞部材15のほぼ中央を上下方向に貫通したストローユニット19と、天部5におけるストローユニット19より一側に、実施例ではヒンジ軸6とストローユニット19との中間に天部5を上下方向に貫通する貫通孔29と、貫通孔29に対向する閉塞部材15の部位から閉塞部材15と一体に立設されて貫通孔29より上方に上部30Uが突設すると共に下方への抜け止め、実施例では上部30Uの半径Rを貫通孔29の半径rを大きくして下方への抜け止めを図った突起30と、この突起30の中心線Yに沿って上下方向に貫通して上端に上向きの通気口31Uを設けた通気孔31と、前記天部5に一体的に設けられて、実施例では回動自在に設けられることで蓋7と係止することで選択的に蓋7を閉状態でロックしたりロック解除するロック部材32と、ロック部材32と一体に設けられロック部材32の作動に応動しロック部材32が蓋7を閉状態でロックしたときには通気口31Uを閉塞し、またロック部材32が蓋7の閉状態のロックを解除作動したときにはいったん途中で通気口31Uが開放した後に再び通気口31Uを閉塞する閉後開、開後閉手段、実施例では回動中心軸34に設けた第一の凸部38、第二の凸部39、凹部40と、貫通孔29の近傍、実施例では貫通孔29と連通して天部5を上下方向に貫通する吸気孔46と、突起30と一体に設けられ上部30Uと共に天部5を上下方向で挟む共に、空洞部16と連通状態にある吸気孔46の下端周囲の天部5一側下面5Dによって形成される弁座47に着脱自在に設けられる断面が逆裁頭円錐形状の逆止弁48とを備えることで、蓋7を開く前にロック部材32を作動することで、湯や温かいお茶などを収容した容器本体2の内部を排気していったん大気圧状態として再び密封し、そして蓋7を開いた後において飲料を吸い出した状態で容器本体2の内部が負圧になっても、逆止弁48によって容器本体2の内部を大気圧に保つことができるものであって、容器開口3を閉塞する弾性材料からなる閉塞部材15に突起30を設け、突起30には上下方向の通気孔31、突起30の下方への抜け止めを図る径大な上部30U、吸気孔46の下端を開閉すると共に突起30の上方への移動を弁座47以外の箇所で阻止できる逆止弁48を設けるようにしたことで、通気孔31や逆止弁48などを閉塞部材15と一緒に一つの部品で形成したことで、部品数を可及的に減少させることができる。
【実施例2】
【0056】
以下に、他の実施例について説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0057】
図10に示す実施例2では、板状本体35と上面5Uとの間に弾性部材50を介在して、ロック部材32が蓋7を閉める状態で蓋7と係合され、閉状態が解除された時に常に閉状態とならないように付勢されている。実施例では、弾性部材50はトーションばねによって形成されており、その一端50Aをロック部材32に、他端50Bを天部5に接続していると共に、中間部50Cを回動中心軸34の両端側に巻装している。
【0058】
さらに、ロック部材32が蓋7を閉める状態で蓋7と係合され、閉状態が解除された時に常に閉状態とならずに開状態となるように弾性部材50によりロック部材32を付勢したことにより、ロック部材32にはロックを解除した際に、解除方向に弾性力が付与されており、蓋を閉じる時に蓋よりもロックを先に閉じてしまうような誤操作が起きづらく、操作を確実にすることができる。
【実施例3】
【0059】
図11〜13に示す実施例3では、ロック部材32´が栓体本体11に略直線移動するように係合されているもので、図12に示すようにロック部材32´を前進することで、蓋7の一側端突起51をロック部材32の他側端凹部52で係止させると共に、ロック部材32´に設けた下向き突起53の下端により通気口31Uを閉塞可能になっている。一方、図13に示すようにロック部材32´を後退させることで、蓋7の一側端突起51とロック部材32´の他側端凹部52との係止を解除すると共に、ロック部材32´に設けた下向き突起53の下端を移動して通気口31Uを開放するようにしている。さらに、ロックを解除位置までスライドさせると、もう一方の一側端突起54の下端が通気口31Uを塞ぐ。
【0060】
このように、ロック部材32´が栓体本体11に略直線移動するように係合したことで、通気口31Uを閉、開、閉とするロック部材32´の操作性を確保することができる。
【実施例4】
【0061】
図14に示す実施例4では、吸気孔46´を貫通孔29に連通せずに、貫通孔29の近傍に別個に設けた場合を示している。また、連通孔49´を外縁48Aよりも外側に配置している。このような場合でも、閉塞部材15に逆止弁48を一体化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように本発明に係る飲料用容器の栓体は、各種の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0063】
2 容器本体
3 容器開口
4 栓体
7 蓋
8 係止部
11 栓体本体
15 閉塞部材
19 ストローユニット(飲み口部材)
29 貫通孔
31U 通気口
32 32´ ロック部材
34 回動中心軸
46 吸気孔
48 逆止弁
50 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の容器開口に着脱自在に設けられ、開閉可能な蓋を軸支した栓体本体と、前記蓋を閉状態に保持および解除するように配置された係止部と、前記栓体本体に係合され弾性材料で形成された飲み口部材と、前記栓体本体に着脱自在に設けられ、前記容器開口に当接して前記容器本体を閉塞する閉塞部材が設けられ、前記蓋が閉状態の際に前記係止部材を稼動させても開状態にならないように設けられたロック部材とを備えた飲料用容器の栓体において、
前記閉塞部材は前記栓本体を貫通する孔に係合され、かつ貫通している部分には通気口を形成されており、この通気口はロック部材が閉状態の場合は塞がれていて、前記ロック部材が蓋を開閉するために解除される過程において一旦通気され再度塞がれる構造になっており、かつ前記貫通孔の周囲には吸気孔が設けられ、吸気孔は閉塞部材によって閉塞されているが、前記容器本体内が負圧になった時、閉塞部材に設けられた逆止弁が変形して通気されるようになることを特徴とする飲料用容器の栓体。
【請求項2】
前記ロック部材が前記栓本体に略直線移動するように係合されていることを特徴とする請求項1に記載の飲料用容器の栓体。
【請求項3】
前記ロック部材が前記栓本体に軸支されていることを特徴とする請求項1記載の飲料用容器の栓体。
【請求項4】
前記通気口がロック部材の回動中心軸下部に位置していることを特徴とする請求項3に記載の飲料用容器の栓体。
【請求項5】
前記ロック部材が蓋を閉める状態で蓋と係合され、閉状態が解除された時に常に閉状態とならないように弾性部材により付勢されたことを特徴とする請求項1〜4に記載の飲料用容器の栓体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−112378(P2013−112378A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260607(P2011−260607)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(591261602)サーモス株式会社 (76)
【Fターム(参考)】