説明

飲料用容器の減容設備

【課題】トラックの荷台等に積み降ろし可能に搭載でき、多量の空のペットボトルと飲料用の空き缶とを効率よく減容処理できる減容設備の提供。
【解決手段】据付台2に空き缶プレス機10とペットボトル破砕機50とを並列に配置し、空き缶プレス機10は、縦型配置のプレスシリンダー11と、シリンダー11の下端に配置したスライドドア13との間に収容された多数本の空き缶Cをプレスするためのプレスピストン18とを有し、プレスピストン18の押し下げで空き缶の圧潰物Qを形成し、スライドドア18の開放で空き缶圧潰物Qを自重で落下させる。また、ペットボトル破砕機50は、ペットボトル投入開口53を通してケーシング51内に投入された空のペットボトルPを回転刃56と固定刃57とにより破砕し、破砕片Rを前面の排出口から排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空の飲料用缶と空のペットボトルを大量に集積したコンビニエンスストア等の空の飲料用容器集積所において、ペットボトルを破砕する破砕機と、多数本の飲料用缶を一度にプレスして一塊にする空き缶プレス機とを一つのベッド上に配置した飲料用容器の減容設備に係り、特にトラックの荷台に移載可能に搭載し、トラックの荷台に搭載した状態で空の飲料用容器のプレス作業とペットボトルの破砕作業とを行える飲料用容器の減容設備に関する。
【背景技術】
【0002】
資源回収の一つの流れとして、例えば清涼飲料水の自動販売機の傍に設置した資源回収ボックス等から回収した空き缶と空のペットボトル等の回収容器を大きな回収袋に混在状態で詰め、これを一箇所に集め、さらに多数の前記回収袋をトラックに積み込んで次の集積所に集めて缶とペットボトルに選別し、缶についてはスチール缶とアルミ缶に選別する。
【0003】
混在状態の空き缶と空のペットボトル等を機械的に選別する選別装置として、傾斜配置した搬送コンベアの下端側に空き缶とペットボトルと空き瓶を供給し、搬送途中でスチール缶選別機により先ずスチール缶を磁力により吸着選別し、続いてアルミ缶選別機によって搬送コンベアから排出されるアルミ缶に対して渦電流を発生させ、この渦電流による磁界と、搬送コンベアの搬送端部に発生させた磁界とを反発させてアルミ缶を前方に弾きとばして選別する。そして、残った空き瓶と空のペットボトル等は搬送コンベアから落下するが、その間に、送風機からの風により軽量のペットボトルが遠くに飛んで空き瓶と分離し、それぞれの回収シュートに回収される(特許文献1)。
【0004】
この選別装置は、空き缶を圧潰する前にスチール缶とアルミ缶とを選別し、また空き缶と圧潰前のペットボトルとを選別する。
【0005】
空き缶を圧潰して減容積化する減容装置としては、水平方向に回転軸を有する一対の自動車用タイヤを回転自在に軸支し、双方のタイヤの外周面を接触させた状態で一方のタイヤを回転駆動させ、他方のタイヤを従動回転させている。そして、双方のタイヤの加圧接触するニップ部に上方から空き缶を導入すると、空き缶はニップ部にくわえ込まれて圧潰され、扁平状態の空き缶が下方に落下し、上方から連続的に供給された空き缶が連続的に下方に落下する(特許文献2)。
【特許文献1】特開2001−334397号公報
【特許文献2】特開2005−046845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の減容装置は、空き缶と空のペットボトルを連続的に圧潰するようにしているが、圧潰された空のペットボトルはその弾性復元力で原形に近い形状まで戻り、大きな減容ができない。また、一個ずつ圧潰した空き缶を集めて袋詰めしなければならず、面倒な袋詰め作業を必要としていた。
【0007】
また、引用文献1、2に記載の発明では、一か所に減容装置を配置し、空き缶等の集積所から空き缶やペットボトルを一旦トラックで減容装置のある場所まで運び、そこで減容処理することになる。この場合、トラックによる空き缶等の移送効率は空の空き缶等をそのまま運ぶため、必ずしも移送効率が良いとは言えない。
【0008】
本発明は、斯かる観点に鑑み、トラックの荷台に移載可能に搭載でき、空のペットボトルは破砕し、飲料用の空き缶は多数本を一度にプレスして一塊とすることで移送効率を高めることができる飲料用容器の減容設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を実現する飲料用容器の減容装置の構成は、据付台上に空き缶プレス機とペットボトル破砕機とを並列に配置した飲料用容器の減容設備であって、前記空き缶プレス機は、上下方向を軸方向として配置され、上部に空き缶投入口が形成された筒形状のプレスシリンダーと、前記プレスシリンダーの下端開口を閉じた状態から水平にスライドして開放可能とし、前記下端開口を閉じた状態で下方への移動が規制されたスライドドアと、前記プレスシリンダー内を上下方向に移動可能で、前記スライドドアとの間に供給された多数本の空き缶を前記スライドドアに向けて押し下げられることでプレスし、一塊の空き缶圧潰物を形成するためのプレスピストンと、を有し、前記スライドドアを開放することで前記空き缶圧潰物を自重で前記据付台上に落下可能とし、前記ペットボトル破砕機は、上部にペットボトル投入開口を有し、破砕されたペットボトルの破砕片を機外に排出するための破砕片排出口を有する水平方向に配置したケーシングと、前記ケーシング内に配置した回転軸と、前記回転軸に固定された回転刃と、前記ケーシングの内周面に固定され、前記ケーシング内に投入されたペットボトルを前記回転刃とにより破砕する固定刃とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明による飲料用容器の減容設備によれば、例えばクレーン付きのトラックの荷台に積み下ろし可能に搭載し、多量の空のペットボトルと空の空き缶を集積している空の飲料用容器集積場所(例えばコンビニエンスストア)を複数移動しながら集荷する際、各飲料用容器集積場所でペットボトルと空き缶を減容処理できる。このため、トラックの荷台に積み込むことができる飲料用容器の回収量を飛躍的に向上させることが可能となる。そして、従来では集荷の途中で一旦回収場に戻って積荷を降ろし、再び未回収の飲料容器集積場所で回収を行うといった二度手間が不要となった。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、空き缶を空き缶プレス機に自動供給でき、その間にペットボトル粉砕機への手作業での空のペットボトルの供給が行える。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、前記破砕機の破砕片排出口を前面側に配置したことにより、例えばトラックの荷台上での作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による飲料用容器の減容装置の実施形態を示す正面図。
【図2】(a)は図1の右側面図、(b)は空き缶コンベアの上部と空き缶供給スロープとの概略構成を示す図1の右側面図。
【図3】図1の平面図。
【図4】(a)は図1AーA矢視断面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0015】
図1から図4は本発明による飲料用容器の減容設備の実施形態を示し、図1は正面図、図2は図1の右側面図、図3は図1の平面図、図4は図1のペットボトル破砕機を示す図である。
【0016】
図1から図4において、本実施形態の飲料用容器の減容設備1は、据付台2上に、空き缶プレス機10と、縦型の空き缶コンベア30と、ペットボトル破砕機50と、これら機器の駆動源となる油圧ユニット70とを固定し、空き缶コンベア30の上端から排出される空き缶を、空き缶供給スロープ90を介して空き缶プレス機10に供給するようにしている。なお、油圧ユニット70は、外部電源により駆動される電動モータを駆動源として油圧を発生させる機器を駆動する。
【0017】
この減容設備は、例えばクレーン付きのトラック(不図示)の荷台に前記クレーンにより搭載され、前記荷台上で大量の空のペットボトルの破砕と多数本の空き缶を一括してプレスし、一塊とする減容処理を行う。なお、据付台2の4隅に、例えば吊り下げ用のフック(不図示)を取り付け、ワイヤーを前記フックに掛けて前記クレーンにより前記荷台への搭載と積み下ろしを可能とする。
【0018】
据付台2には、正面の右側に空き缶プレス機10を配置し、左側に脚部3により上方に据え付けたペットボトル破砕機50を配置し、正面の中央に空き缶コンベア30を配置している。また、油圧ユニット70はペットボトル破砕機50の下方に配置している。
【0019】
空き缶プレス機10は、上下方向に配置した四角形の鉄製のプレスシリンダーである箱型シリンダー11を箱型シリンダー11の左右両側面の前後に固定した脚部12により据付台2に固定している。箱型シリンダー11の下端開口には、前後方向に沿って水平にスライド可能な鉄製のスライドドア13を配置している。
【0020】
スライドドア13は、右側の前後方向に配置した脚部12に固定した前後方向に水平に延びるガイドレール14の横溝14aと、同様に左側の前後方向に配置した脚部12に固定した前後方向に水平に延びるガイドレール15の横溝15aに左右両端部が嵌合し、前後方向にスライド可能としている。スライドドア13は、箱型シリンダー11の下端開口が全開する位置まで後方にスライド可能としている。
【0021】
スライドドア13のスライド駆動は、スライドドア開閉用油圧シリンダー装置16を油圧ユニット70からの油圧により行われる。スライドドア開閉用油圧シリンダー装置16は、ピストンロッド16aの移動により、ピストンロッド16aの先端に固定したスライドドア13を開閉駆動する。スライドドア開閉用油圧シリンダー装置16は、左右のガイドレール14、15の後端部の間にさし渡された取り付け板17に固定される。
【0022】
箱型シリンダー11内には、スライドドア13に対向して、平板状のプレスピストン18が上下方向移動可能に内挿されている。箱型シリンダー11の開口上部に固定された固定アーム19にピストン駆動用油圧シリンダー装置20が上下方向に沿って固定され、このピストン駆動用油圧シリンダー装置20のピストンロッド21の下端にプレスピストン18が固定されている。ピストン駆動用油圧シリンダー装置20は、油圧ユニット70からの油圧により駆動され、プレスピストン18を図2に示す箱型シリンダー11の最上位位置(待機位置)から下方に向けて押し下げ、箱型シリンダー11内に供給された多数本の空の空き缶Cをスライドドア13とプレスピストン18との間で一括してプレスし、一塊の圧潰物Qに成形する。圧潰物Qの成形後、スライドドア13を後方にスライドさせると、圧潰物Qは自重により据付台2上に落下する。
【0023】
箱型シリンダー11内への空き缶Cの供給は、箱型シリンダー11の後方側壁11aの上部に切欠形成した空き缶投入口11bを通して外部から行うようにしている。なお、プレスピストン18が前記待機位置に待機した状態で空き缶投入口11bから空き缶Cを箱型シリンダー11内に供給する。
【0024】
本実施形態の空き缶コンベア30は、ベルトコンベア構造とし、急傾斜で上下方向に配置した縦型構成としている。空き缶コンベア30は、無端回動する無端ベルト31の表面にゴムシート等の可撓性を有するシートからなるマグネットシート32を搬送方向に沿って一定間隔で貼着している。
【0025】
ところで、近年は資源回収の観点よりコンビニエンスストア等ではアルミ缶をスチール缶とは別に仕分けして袋詰めしているのが実情である。このため、空のペットボトルと一緒に廃棄される空き缶は殆どがスチール缶である。
【0026】
このことから、本実施形態において、空き缶コンベア30は、スチール製の空き缶Cを搬送対象としている。また、袋詰めした空き缶は、前述のように、トラックの荷台に搭載した本実施形態の減容設備に前記荷台上で空き缶プレス機10に供給することになる。その際、多数本の空き缶Cを手作業で箱型シリンダー11の空き缶投入口11bに投入するのは面倒である。そこで、空き缶コンベア30の下部に空き缶Cを集めてマグネットシート32に磁力で磁着させて上方に搬送し、空き缶供給スロープ90に移載する。
【0027】
図2(b)に示すように、空き缶コンベア30の無端ベルト31上に磁着された空き缶Cは上部を折り返すと、空き缶供給スロープ90の分離板91によりマグネットシート31から剥ぎ取られ、空き缶供給スロープ90に供給される。
【0028】
本実施形態の空き缶供給コンベア30は、油圧モータ33の駆動力をギア、チェーン等からなる減速機構34を介して駆動ローラ35を回転駆動する。また、油圧モータ33は前記油圧ユニット70により駆動される。
【0029】
なお、空き缶コンベア30をバケットコンベア構造としてもよい。この場合には、アルミ缶も空き缶供給スロープ90から空き缶プレス機10に供給することができる。
【0030】
空き缶供給スロープ90は、空き缶コンベア30の後方に配置され、空き缶コンベア30の上端部から箱型シリンダー11の空き缶投入口11bまで下り傾斜のスロープ面92を有している。また、スロープ面92の両側には、それぞれ側壁93が立設され、空き缶供給スロープ90から供給された空き缶Cがスロープ面92を滑り落ちながら飛び出ることなく、空き缶投入口11bに空き缶Cを導く。
【0031】
ペットボトル破砕機50は、横向きに配置した円筒形状のケーシング51内に回転軸52を長手方向に回転可能に取り付けている。ケーシング51は、上部にペットボトル投入開口53が形成され、ペットボトル投入開口53にペットボトル投入用ホッパー54を取り外し可能に装着している。また、ケーシング51の前面下部には、ペットボトルの破砕片Rをケーシング51の外部に排出する排出口55が形成されている。
【0032】
回転軸52には、軸回りに120°の角度で3本の回転刃56を固定し、この3本一組の回転刃56を軸方向に一定間隔で取り付けている。また、ケーシング51の内周面からケーシング中央に向けて固定刃57を回転刃56の間に位置するように配置している。回転刃56は、先端部56aが回転方向に向けて湾曲したフック形状に形成し、ペットボトルPの胴部をこの先端部56で引っ掛けて確実に固定刃57の尖った刃で切断して破砕する。破砕片Rは排出口55から機外に排出される。
【0033】
ケーシング51の外側には、排出口55を囲むようにして排出シュート58が下向きに傾斜配置され、この排出シュート58に袋59の口部を交換可能に固定することで、破砕片Rを袋59内に袋詰めすることができる。ペットボトル破砕機50は、空のペットボトルPをホッパー54に連続的に投入することにより、連続的に空のペットボトルPを破砕し、排出口55から機外に排出する。このため、空き缶供給コンベア30のような自動供給装置を使用して所定の時間内に一定量の空のペットボトルをペットボトル破砕機50に供給せず、作業者が手作業でホッパー54内に投入可能とする高さにホッパー54の高さを設定している。
【0034】
回転軸52は、破砕機用油圧モータ60の駆動力をギア、チェーン等からなる減速機構61を介して回転駆動される。また、油圧モータ60は前記油圧ユニット70により駆動される。
【0035】
上記した実施形態の構成において、油圧モータ60、33、油圧シリンダー装置20、16の油圧制御は、箱型シリンダー11の前面に取り付けた制御盤4を作業者が操作することにより行われる。
【符号の説明】
【0036】
Q 圧潰物
C 空き缶
P ペットボトル
1 飲料用容器の減容設備 2 据付台
3 脚部 4 制御盤
10 空き缶プレス機 11 箱型シリンダー
11a 後方側壁 11b 空き缶投入口
12 脚部 13 スライドドア
14、15 ガイドレール 14a、14b 横溝
16 スライドドア開閉用油圧シリンダー装置 16a ピストンロッド
17 取り付け板 18 プレスピストン
19 固定アーム 20 ピストン駆動用油圧シリンダー装置
30 空き缶コンベア 31 無端ベルト
32 マグネットシート 33 油圧モータ
34 減速機構 35 駆動ローラ
50 ペットボトル破砕機 51 ケーシング
52 回転軸 53 ペットボトル投入開口
54 ペットボトル投入用ホッパー 55 排出口
56 回転刃 56a 先端部
57 固定刃 58 排出シュート
59 袋 60 破砕機用油圧モータ
61 減速機構 70 油圧ユニット
90 空き缶供給スロープ 91 分離板
92 スロープ面 93 側壁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
据付台上に空き缶プレス機とペットボトル破砕機とを並列に配置した飲料用容器の減容設備であって、
前記空き缶プレス機は、上下方向を軸方向として配置され、上部に空き缶投入口が形成された筒形状のプレスシリンダーと、前記プレスシリンダーの下端開口を閉じた状態から水平にスライドして開放可能とし、前記下端開口を閉じた状態で下方への移動が規制されたスライドドアと、前記プレスシリンダー内を上下方向に移動可能で、前記スライドドアとの間に供給された多数本の空き缶を前記スライドドアに向けて押し下げられることでプレスし、一塊の空き缶圧潰物を形成するためのプレスピストンと、を有し、前記スライドドアを開放することで前記空き缶圧潰物を自重で前記据付台上に落下可能とし、
前記ペットボトル破砕機は、上部にペットボトル投入開口を有し、破砕されたペットボトルの破砕片を機外に排出するための破砕片排出口を有する水平方向に配置したケーシングと、前記ケーシング内に配置した回転軸と、前記回転軸に固定された回転刃と、前記ケーシングの内周面に固定され、前記ケーシング内に投入されたペットボトルを前記回転刃とにより破砕する固定刃とを有することを特徴とする飲料用容器の減容設備。
【請求項2】
前記空き缶プレス機の空き缶投入口を前記プレスシリンダーの背面側に設け、前記空き缶プレス機と前記ペットボトル破砕機との間に配置した空き缶を上方に搬送する空き缶コンベアと、前記空き缶コンベアにより上方に搬送された空き缶を前記プレスシリンダーの前記空き缶投入口に滑り落ちて導く空き缶供給スロープを有することを特徴とする請求項1に記載の飲料用容器の減容設備。
【請求項3】
前記破砕機の破砕片排出口を前面側に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の飲料用容器の減容設備。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−666(P2012−666A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140960(P2010−140960)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(507325622)
【Fターム(参考)】