説明

飲料用水

【課題】
本発明は、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制することのできる飲料用水を提供することを課題とする。
【解決手段】
カルシウムイオン濃度が250ng/ml以上2,500ng/ml未満、カルシウムイオン以外のミネラルイオンから選ばれる1種又は2種以上のミネラルイオン濃度のいずれかが10ng/ml以上600ng/ml未満となるように人為的に含有せしめてなる飲料用水を提供することにより前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭(加齢臭)の生成を効果的に抑制することのできる飲料用水に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康への関心が高まるにつれ、水への関心が増大しつつある。我々が日常的に生活用水として利用している水としては、河川水、水道水、地下水、井戸水、湧き水、鉱水、温泉水、冷泉水、湖沼水、海水、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターなどの水を挙げることができる。その内、水道水は、日本国内においては、非特許文献1に示された水道法第4条第2項の規定に基づいて定められた『水質基準に関する省令』に規定された水質基準を満たす水である。通常、水道水を含め、上記他の水のいずれも、ヒトを含む生体が必要とする各種ミネラルを含んでいる。ヒトにおいては、生命維持必須ミネラル及び微量必須ミネラルと言われる約30種類のミネラルが知られ、それらが欠乏すると機能異常や代謝異常が惹起されると言われている。そのため、これらミネラル含量を高めた、いわゆる、ミネラル強化水が市販されている。ところで、ミネラル強化水は、ミネラルの機能性を重視するあまり、とかく必要量以上に配合される傾向にあり、その結果、水の呈味が悪くなったり、そのような水を日常的に多飲する場合には、ミネラルの過剰摂取による障害が惹起されることが危惧されている。
【0003】
特許文献1には、機能水と呼ばれる水の範疇に含まれる、アルカリ性電解水が開示されている。アルカリ性電解水とは、水を電気分解して得られるアルカリ性の水のことであり、これを飲用すると、胃腸内の異常醗酵や消化不良、下痢、胃酸過多などを抑制する医療的効果が発揮されるとされている。特許文献1に示されたアルカリ性電解水は、ビタミンCが添加されている点で、従来のアルカリ性電解水と比べより優れた医薬的効果を有する水とされている。また、他の機能水として、特許文献2には、カリウムイオン、マグネシウムイオン、及びカルシウムイオンを特定の濃度範囲で含む、平均的にクラスターの小さい水が記載されている。この水は、長時間安定して存在し得る平均的にクラスターの小さい水であり、物質の溶解度が高い水とされている。
【0004】
また、水は、飲用に供されるだけでなく、我々の日常生活においては、例えば、肌を清潔・健康な状態に保つための洗顔、入浴、シャワーをするに際し、必要不可欠な生活必需品の一つである。洗顔の主たる目的は、皮膚に付着した余分な皮脂や老朽化した角層などの内因性の汚れや、メークアップ化粧品、塵埃、微生物などの外因性の汚れを取り除き、皮膚を清潔な状態に保ち、その新陳代謝を維持し、皮膚を正常な状態に維持することにある。ところで、洗顔するに際し、水道水を用いると、敏感肌のヒトにあっては、水道水中に微生物殺菌用として添加されている次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンなどの遊離塩素などの成分により、皮膚の炎症や肌荒れなどが惹起されることがあると言われている。このような敏感肌のヒトを対象とする水として、例えば、特許文献3には、海水を原料とするミネラル成分を豊富に含むアトピー性皮膚炎改善用の水が、また、特許文献4には、皮膚や頭髪における保湿性を高める目的でミネラル含有水を配合した化粧料が開示されている。
【0005】
このように、斯界においては、従来の水が具備していなかったか不足していた機能を付与した水の研究・開発が精力的に進められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3423698号公報
【特許文献2】特許第3491286号公報
【特許文献3】特開2002−192169号公報
【特許文献4】特開2001−302444号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】厚生労働省令第百一号、『水質基準に関する省令』(平成15年5月30日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、水の中でも機能水に着目し、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭(加齢臭)の生成を効果的に抑制することのできる飲料用水を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、天然に存在する水や市販されている各種飲料用水に含まれるミネラルの種類と含量に着目し、研究した結果、カルシウムイオン濃度が250ng/ml以上2,500ng/ml未満、カルシウムイオン以外のミネラルイオンから選ばれる1種又は2種以上のミネラルイオン濃度のいずれかが10ng/ml以上600ng/ml未満となるように人為的に含有せしめてなる飲料用水が前記課題を解決することを新規に見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
なお、本発明の飲料用水は、我々の身の回りにある河川水、水道水、地下水、井戸水、湧き水、鉱水、温泉水、冷泉水、湖沼水、海水、及び市販品として市場に提供されている、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターなどの水と比べ、カルシウムイオン濃度が、数分の一乃至数十分の一以下と極めて低いという特徴を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の飲料用水は、これをヒトが日常的に飲用すると、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できる。本発明の飲料用水は、まろやかな喉ごしを有していることから、飲用し易く、ヒトが日常的に比較的多量飲用しても、腹痛や下痢などを誘発し難い安全な水である。また、本発明の飲料用水は、洗顔用、肌用保湿水などの化粧用水としても好適に用いることができる。本発明の飲料用水は、適宜容器に充填し、密栓して、室温ないしは冷暗所(4℃)で保存したときには、通常、3カ月以上、好適には、6カ月以上、より好ましくは、12ヶ月以上にも亘って、製造直後のミネラル組成がそのまま維持される保存安定性に優れた水である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ボランティアに着用させた肌着に含まれる揮発性アルデヒドを捕集する様子を示す模式図である。矢印(→)は、気体の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の飲料用水は、蒸留水、脱イオン水、及び超純水などの実質的にミネラルを含まない水(以下、これらを纏めて「原料用水」と言う)から選ばれる1種又は2種以上とともに、カルシウムと、カルシウム以外のミネラルと、酵母エキスとを用いて調製することができる。なお、超純水とは、ミネラル(金属イオンを含む)、有機物、微生物などの不純物を実質的に含まない、理論的に純度100%の水に限りなく近い高純度の水のことである。本発明で用いる原料用水は、ヒトが飲用することのできる河川水、水道水、地下水、井戸水、湧き水、鉱水、温泉水、冷泉水、湖沼水、海水(深層海水を含む)、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターなどの水(以下、「原水」と言う。)から、例えば、蒸留法、H型及びOH型イオン交換樹脂を用いる脱塩法、或いは、RO膜などを用いる膜濾過法などの公知の方法を適用して製造することができる。原水の内、例えば、水道水は、日本国内においては、水道法第4条第2項の規定に基づいて定められた『水質基準に関する省令』で規定された水質基準を満たす、ヒトが安心して飲用することのできる安全な水である。その詳細については割愛するが、前記水質基準によれば、例えば、水道水に含まれるミネラルとして許容されるカルシウム(Ca)濃度は300mg/L以下、マグネシウム(Mg)濃度は300mg/L以下、ナトリウム(Na)濃度は200mg/L以下、マンガン(Mn)濃度は0.05mg/L以下、鉄(Fe)濃度は0.3mg/L以下、亜鉛(Zn)濃度は1.0mg/L以下、銅(Cu)濃度は1.0mg/L以下、クロム(Cr)濃度は、六価クロムの量に関して、0.05mg/L以下、セレン(Se)濃度は0.01mg/L以下とされている。
【0014】
また、原水の内、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、及びボトルドウォーターなどの水は、日本国内においては、食品衛生法によりその水質が規定されている、ヒトが安心して飲用することのできる安全な水であり、本発明においては、原料用水を調製するための原料として好適に用いることができる。
【0015】
本発明において用いられる原水は、通常、本発明の飲料用水が必須とするカルシウムイオン及びカルシウムイオン以外のミネラルイオンから選ばれる1種又は2種以上のミネラルイオンを量の多寡は別にして含んでいる。しかしながら、それら原水の中に、本発明の飲料用水と同じミネラルイオン組成を有するものは、出願人が調べた限り、存在しない。本発明の飲料用水が原水とは異なる水であることは、当該飲料用水は、蒸留水、脱イオン水、及び超純水から選ばれる1種又は2種類以上の実質的にミネラルを含まない水に、カルシウムとともに、カルシウム以外のミネラルから選ばれる1種又は2種類以上、好適には、3乃至10種類、より好適には、4乃至6種類のミネラルと、酵母エキスとを人為的に添加する工程を経由して得られる飲料用水であることからも明らかである。また、既述したとおり、本発明の飲料用水に含まれるカルシウムイオン濃度は、原水のそれと比べ、数分の一乃至数十分の一以下と極めて低濃度である点においても、原水とは異なる水である。なお、本発明の飲料用水は、自体、カルシウムイオン及びカルシウムイオン以外のミネラルイオンから選ばれる1種又は2種以上のミネラルイオンを所定の濃度範囲で含む水であって、当該飲料用水は、河川水、水道水、地下水、井戸水、湧き水、鉱水、温泉水、冷泉水、湖沼水、海水(深層海水を含む)、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターなどの水とは、少なくとも、ミネラルイオン濃度において異なる水である。
【0016】
本発明の飲料用水が含む、カルシウムイオンの給源としては、例えば、カルシウムの水酸化物及び塩類(塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、臭素酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、ホウ酸塩など)、更には、原水などを用いることができる。
【0017】
本発明の飲料用水が含む、カルシウムイオン以外のミネラルイオンとしては、例えば、アルカリ金属、カルシウム以外のアルカリ土類金属、及び遷移金属のイオンを例示できる。より具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどのアルカリ金属のイオン;カルシウム以外のマグネシウムなどのアルカリ土類金属のイオン;クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、バナジウムなどの遷移金属のイオン;およびその他のリン、硫黄、ケイ素、スズ、アルミニウム、ホウ素、セレンなどのミネラルのイオン(カチオン)を意味する。上記カルシウムイオン以外のミネラルイオンの給源としては、例えば、上記ミネラルの水酸化物及び塩類(塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、臭素酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、ホウ酸塩など)、更には、原水に含まれるミネラルイオンを用いることができる。また、上記カルシウムイオン以外のミネラルイオンの内、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、マンガン、鉄、及び亜鉛などのイオンは、本発明の飲料用水に最も好適に配合されるミネラルイオンである。
【0018】
本発明で用いる酵母エキスは、清酒酵母、ブドウ酒酵母、アルコール酵母、ビール酵母、パン酵母、亜鉛酵母、銅酵母、クロム酵母、マンガン酵母、及びセレン酵母などから選ばれる1種又は2種以上の酵母を乾燥させたもの1質量部を、原料用水又は原料用水を主体とする溶媒5乃至500質量部、好適には、10乃至100質量部、より好適には、30乃至70質量部に添加し、分散させ、80乃至150℃、好適には、100乃至130℃の温度下で、5分間以上、好適には、10乃至300分間抽出し、遠心分離、イオン交換、ゲル濾過、膜濾過(例えば、孔径1μm以下、好適には、孔径0.5μm以下の膜を用いて得られる液状の酵母エキスを例示でき、斯かる液状の酵母エキスは、必要に応じて、濃縮、乾燥して固状の酵母エキスとして用いることもできる。本発明の飲料用水を調製するに当たり、酵母エキスは、原料用水1t(1,000kg)に対して、上記製法により得られる液状の酵母エキスを、通常、1乃至500g、好適には、5乃至300g、より好適には、20乃至200g添加される。本発明において、最も好適に用いられる酵母エキスとしては、上記酵母から選ばれる1種又は2種以上の酵母を乾燥したものが好適に用いられる。なお、前記亜鉛酵母、銅酵母、クロム酵母、マンガン酵母、及びセレン酵母はそれぞれ、亜鉛化合物、銅化合物、クロム化合物、マンガン化合物、及びセレン化合物を酵母に取り込ませたものであり、それら酵母から得られる酵母エキスは、殊に、亜鉛、銅、クロム、マンガン、及びセレンなどのミネラル給源として好適に用いることができる。
【0019】
以下、本発明の飲料用水の製造方法について好適な実施形態を具体的に述べる。まず、本発明の飲料用水を調製するために用いる原料用水としては、実質的にミネラル、蛋白質、炭水化物、脂質などの不純物を含まない水であって、好ましい具体例としては、蒸留水、脱イオン水、及び超純水から選ばれる1種又は2種以上の水を例示できる。原料用水は、原水から蒸留法、脱塩法、RO膜を用いる膜濾過法などの公知の手法により調製することができる。また、前記原料用水としての要件を満たすものであれば、市販されている蒸留水、脱イオン水、及び超純水を用いることもできる。次いで、所望量の原料用水に、カルシウムと、カルシウム以外のミネラルから選ばれる1種又は2種類以上、好適には、3乃至10種類、より好適には、4乃至6種類のミネラルと、酵母エキスとを添加し、均一に攪拌混合して、カルシウムイオン濃度が250ng/ml以上2,500ng/ml未満、好適には、550ng/ml以上2,500ng/ml未満、より好適には、600ng/m以上2,500ng/ml未満、及びカルシウムイオン以外のミネラルイオンから選ばれる1種又は2種以上のミネラルイオン濃度がそれぞれ、10ng/ml以上600ng/ml未満、好適には、20ng/ml以上600ng/ml未満、より好適には、20ng/ml以上300ng/ml未満となるように添加し、均一に攪拌混合する。上記一連の操作は、作業性、本発明の飲料用水の品質を安定に保つ観点から、通常、100℃未満の温度、好適には、室温、より好適には、4乃至40℃、15乃至25℃の温度下で行うのが望ましい。カルシウムイオン及びカルシウムイオン以外の他のミネラルイオンのいずれかの濃度が上記濃度範囲の上限を超えた場合には、所定の濃度範囲となるように原料用水で希釈すればよく、また、逆に下限を下回った場合には、カルシウムイオン及び/又はカルシウムイオン以外のミネラルイオンの給源の1種又は2種以上を添加したり、酵母エキスを添加して、所定の濃度範囲となるように調製する。なお、カルシウムイオン及びカルシウムイオン以外の他のミネラルイオンのいずれかのミネラルイオン濃度が所定の濃度範囲の下限を下回った場合には、調製途中の飲料用水を減圧濃縮して、所定の濃度範囲となるように調製することも可能である。これらの操作も上記したと同じ温度範囲で行うのが望ましい。
【0020】
本発明の飲料用水に含まれるミネラルイオン濃度は、例えば、斯界において公知の誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)などの手段により分析することができる。本発明の飲料用水に含まれるミネラルイオン濃度を上記分析法で測定すると、測定対象ミネラルイオン種類によって若干の違いはあるものの、その検出限界は、通常、約5ppb、測定数値の精度(n=3)は、通常、±5%未満である。
【0021】
本発明の飲料用水は、その安全性、保存安定性を高めるために、通常、斯界において公知の遠心分離法、膜濾過法などにより不純物を除去した後、精密濾過法、紫外線滅菌法、加熱滅菌法、放射線滅菌法、加圧滅菌法、及び加圧蒸気滅菌法から選ばれる1種又は2種以上の公知の滅菌方法により滅菌した後、適宜の材質、形状、容量の容器に無菌的に充填して、本発明の飲料用水とするか、適宜の容器に充填することも随意である。
【0022】
なお、本発明の飲料用水を充填する容器としては、保存期間中に当該飲料用水のミネラルイオン濃度、pH、電気伝導度などの品質を実質的に変化させることのない、ガラス製容器、金属製容器、紙製容器、更には、ポリエチレン製容器、ポリエチレンテレフタレート製容器、及びポリプロピレン製容器などのプラスチック容器などを例示できる。これらの容器の容量に制限はないが、例えば、1乃至30mlの容器、50乃至80mlの容器、0.1乃至2Lの容器、5乃至25Lの容器、或いは100乃至2,000Lの容器から適宜選択して用いことができる。更に、本発明の飲料用水を大量に輸送する場合には、コンテナ、タンクローリーなどに充填して輸送することも随意である。
【0023】
既述したとおり、本発明の飲料用水は、カルシウムイオン濃度が250ng/ml以上2,500ng/ml未満、及びカルシウムイオン以外のミネラルイオンから選ばれる1種又は2種以上のミネラルイオン濃度がそれぞれ、10ng/ml以上600ng/ml未満であることを必須とし、他の成分は必須とはせず、むしろ、上記ミネラル以外の他の成分は含まないか、実質的に含まないのが望ましい。しかしながら、本発明の飲料用水が奏する作用効果である、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭(加齢臭)の生成を効果的に抑制する作用効果を著しく妨げない範囲で、当該飲料用水に他の成分を配合してもよい。
【0024】
本発明の飲料用水を、例えば、飲用水として用いる場合には、必要に応じて、公知の手法により、脱気したり、水素又は酸素を溶解させたり、或いは、炭酸ガスを添加して炭酸水とすることも随意である。本発明の飲料用水のpHは、飲料用として用いる場合の呈味、化粧用として用いる場合の皮膚への親和性を考慮して、通常、pH3乃至11、好適には、pH3.5乃至9、より好適には、pH3.5乃至8、更により好適には、pH3.5乃至7.5の範囲にあることが望ましい。本発明の飲料用水のpHは、本発明の目的を逸脱しない範囲で、ミネラル不含有の公知のpH調整剤又は電気分解などの手法を適用して、所望のpHに調整することも随意である。
【0025】
本発明の飲料用水のpH以外の物性として、当該飲用水に含まれる全ミネラル含量の指標となる電気伝導度は、通常、25℃下、3μS/cm以上、好適には、6μS/cm以上、より好適には、8μS/cm以上である。上記電気伝導度の上限は、通常、100μS/cm未満、より好適には、50μS/cm未満、更に好適には、40μS/cm未満、より好適には、30μS/cm未満である。ちなみに、斯界において、日本国における水道水の電気伝導度は、約100乃至300μS/cmであると言われている。また、本発明の飲料用水は、その目的を逸脱しない範囲で、必要に応じて、有機酸、アミノ酸、ビタミン、糖質、甘味料、糊料、食物繊維、色素、香料などから選ばれる1種又は2種以上の成分を、適宜の濃度、望ましくは、合計で0.001乃至5質量%配合することも随意である。
【0026】
本発明の飲料用水におけるミネラル濃度が、所定の濃度範囲を逸脱する場合には、本発明における所期の作用効果の一部又は全部が著しく低減するか発揮されなくなることから、本発明の飲料用水を製造するに際しては、最終製品が得られるまでの各工程で得られる中間製品及び最終製品のミネラル濃度を既述のICP−AESやICP−MSなどの手段により正確に分析し、その分析結果に基づいて、本発明の飲料用水におけるミネラルイオン含量が所定の範囲となるように調整する。なお、この際、必要に応じて、pH調整を行う。
【0027】
以上述べたとおり、本発明の飲料用水は、生体にとって安全で、安価かつ大量に、しかも、容易に入手可能な原料を用いて製造されるものであること、また、製造に要する装置類としては、斯界において日常的に用いられている液体混合容器・混合装置、濾過装置、攪拌装置、殺菌装置、液体充填装置などを用いて製造できることから、本発明の飲料用水は、工業的に安価かつ大量に、しかも、容易に製造することができる。また、本発明の飲料用水は、適宜容器に充填し、密栓て、室温ないしは冷暗所(4℃)で保存したときには、通常、3カ月以上、好適には、6カ月以上、より好適には、12ヶ月以上にも亘って、製造直後のミネラルイオン組成がそのまま維持される優れた特徴を有する。
【0028】
本発明の飲料用水は、まろやかな喉越しを有するとともに、後述する実験に示す体臭生成抑制能を有する飲料用水である。なお、本発明の飲料用水の推奨される飲用量は、通常、成人一日当たり、約25乃至約1,000ml、好適には、約50乃至約500mlである。この範囲の量を日常的に飲用することにより、本発明の所期の目的が達成される。
【0029】
以下、実験に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【0030】
<実験1:体臭生成抑制試験>
男性ボランティア6人(年齢35乃至64歳)に以下の手順で被験水を飲用させ、体臭生成に及ぼす影響を調べた。試験系としては、各ボランティアに起床後(午前6時)から就寝前(午後11時)の間、試験水として、後述する実施例1の飲料用水を蒸留水にて3倍希釈(体積比)した試験水400mlを、食事をするときを避けて、一日当たり、3乃至4回に分けて略等量ずつ飲用させる手順で、7日間に亘って飲用させた以外は、各ボランティアには各自、通常どおりの生活をさせた。試験開始後、6日目に、予め準備しておいた、新品の木綿の肌着を蒸留水にて3回濯ぎのみをして乾燥させておいたもの(図1に示す肌着5)を各ボランティアに1枚ずつ配布し、これを当日の午後9時頃に入浴した後に、体に制汗剤等の化粧料は一切使用せずに着用させ、翌日の試験開始後7日目には、過度の汗をかくような運動はしないよう指示し、当日の午後5時(肌着着用時間は約20時間)に各ボランティアから肌着をそれぞれ回収し、各肌着に含まれる揮発性アルデヒド量を下記手順で測定した。対照として、上記試験終了後、約1ヶ月間の間隔をおいて、上記飲料用水に代えて、蒸留水を用いた以外は試験系の場合と同様にして試験を行い、各ボランティアから回収した各肌着に含まれる揮発性アルデヒド量を試験系と同様の手順で測定した。なお、対照試験を上記試験終了後、約1ヶ月間の間隔をおいて行ったのは、上記試験で飲用した試験水の影響を極力回避するために一定の期間を設けたもので、仮に少なからずその影響があったとしても、対照試験を上記試験後に行えば、試験系における結果が過大評価されることを回避できると考えたからである。
【0031】
図1の模式図に示すとおり、試験系及び対照における各ボランティアが着用後の肌着5をそれぞれ回収し、直ちに、それぞれ密閉容器1に封入し、密閉容器1中の気体を配管2を介してエアポンプ3により室温下(約20℃)で揮発性アルデヒド捕集カートリッジ4(商品名『Supelclean
LpDNPHカートリッジ』、製品番号LpDNPH S10L、スペルコ株式会社販売)に送り込むとともに、配管2により再度密閉容器に戻して気体を1時間循環させることにより、着用後の肌着5に含まれる揮発性アルデヒドを該カートリッジ中のDNPH(ジニトロフェニルヒドラジン)と反応させて、揮発性アルデヒドをDNPH誘導体として安定化し、該カートリッジに捕集した。その後、該カートリッジを取り外し、これに2mlのアセトニトリルを通液し、該カートリッジから溶出液を回収し、各溶出液中に含まれる揮発性アルデヒドを下記手順で分析した。
【0032】
ガスクロマトグラフィー(GC)装置は『ガスクロマトグラフGC−14B』(株式会社島津製作所製)、分析カラムは『TC−Waxキャピラリーカラム』(内径0.53mm×長さ25m、膜厚0.5μm;ジーエルサイエンス株式会社製)を用いた。キャリアーガスは流速1ml/分のヘリウムガスを用い、試料注入口温度を240℃とし、カラム恒温槽の温度は50℃で5分間保持した後、5℃/分の速度で200℃まで昇温した。試料注入口への分析試料の注入量は2μlとし、試料注入口におけるキャリアガスの流量を常法により制御して、注入した試料の1/30量を分析カラムに通して分析した[スプリット(split)比は、1:30]。検出は水素炎イオン化検出器にて行った。揮発性アルデヒドの標準試料として、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、2−ヘキセナール、2−オクテナール、及び2−ノネナールそれぞれのDNPH誘導体を用い、上記条件で別途GC分析した。得られたガスクロマトグラムに基づいて、試験系ならびに対照の肌着から捕集された揮発性アルデヒド量(μg)をそれぞれ求めた。結果は表1にまとめた。
【0033】
【表1】

【0034】
表1に示すとおり、試験系の肌着から検出された揮発性アルデヒド(飽和アルデヒド及び不飽和アルデヒド)の総量(合計(A)+合計(B))が対照と比べ著しく低減し、殊に、高齢臭の主要な原因物質である不飽和アルデヒド(2−ヘキセナール、2−オクテナール及び2−ノネナール)の合計(合計(B))は、対照と比べ著しく低減していた。
【0035】
この結果は、本発明の飲料用水を日常的に飲用すると、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できることを示している。
【0036】
なお、本発明の飲料用水を日常的に飲用すると、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制することができるメカニズムの詳細は定かではないけれども、上記試験結果から、本発明の飲料用水に含まれるカルシウムイオン濃度と、カルシウムイオン以外の他のミネラルイオン濃度との割合に起因して、生体の粘膜をカルシウムイオンが効率よく通過し、これが生体に何らかの刺激を与え、その結果として、高齢臭の主要な原因物質である不飽和アルデヒド(2−ヘキセナール、2−オクテナール及び2−ノネナール)の生成が抑制されたのではないかと推定される。
<実験2:体臭生成抑制試験>
実験1において高齢臭の主要な原因物質である不飽和アルデヒド(2−ヘキセナール、2−オクテナール及び2−ノネナール)の生成量が最も多かった男性ボランティア(No.2の被験者)を被験者として、実験1と同様の手順で、各種試験水を飲用させ、高齢臭の主要な原因物質である不飽和アルデヒドの生成抑制に及ぼす影響を調べた。すなわち、後述する実施例7で調製した飲料用水(試験水1)、実施例8で調製した飲料用水(試験水2)、実施例1で調製した飲料用水を蒸留水で11倍希釈して得た飲料用水(試験水3)、市販のミネラルウォーターである『コントレックス』(Contrex)(試験水4)、及び、予め、実質的にミネラルを含まない蒸留水と塩化カルシウム二水和物のみを用いた以外は、実施例1に示す本発明の飲料用水の調製方法に準じて調製したカルシウムイオン濃度が250ng/mlの飲料用水(試験水5)を用いて試験をした。試験水1乃至5を用いての各試験は、約1カ月の間隔を隔てて行った。その理由は、実験1で述べたと同様の理由である。また、試験水1乃至5を用いての各試験においては、それぞれの対照として蒸留水を飲用させる試験を同様に行なった。試験水1乃至5のミネラルイオン濃度は、後述する実施例1に示す『マルチ CCD−ICP発光分析装置』(スペクトロ社製)を用いる誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)により分析し、それらは、表2に示すとおりのものであった。本試験においては、高齢臭の主要な原因物質である不飽和アルデヒド(2−ヘキセナール、2−オクテナール及び2−ノネナール)のみを分析した。その結果を表3に示す。なお、表3中、括弧内の数値は、試験水1乃至5を用いての各試験系において、実験1と同様、対照として蒸留水を飲用させて試験したときの数値を表す。
【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
表3の結果から、試験水1及び2の試験系においては、高齢臭の主要な原因物質である不飽和アルデヒド(2−ヘキセナール、2−オクテナール及び2−ノネナール)の生成量が試験水3乃至5の試験系と比べ著しく抑制されていた。
【0040】
実験1及び2の結果から、カルシウムイオン濃度が250ng/ml以上2,500ng/ml未満、カルシウムイオン以外のミネラルイオンから選ばれる1種又は2種以上のミネラルイオン濃度のいずれかが10ng/ml以上600ng/ml未満となるように人為的に含有せしめてなる飲料用水を日常的に飲用すると、体臭、殊に、高齢臭の主要な原因物質であるアルデヒド(2−ヘキセナール、2−オクテナール及び2−ノネナール)の生成を効果的に抑制できることが判明した。
【0041】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によりなんら限定されるものではない。
【実施例1】
【0042】
<飲料用水>
予め、RO膜を用いて水道水から調製した、実質的にミネラルを含まない超純水(以下、「超純水」と言う。)1t(1,000kg)に、食品添加物としての塩化カルシウム二水和物(富田製薬販売)5.87g、塩化マグネシウム六水和物(富田製薬販売)3.63g、塩化カリウム0.39g、塩化ナトリウム0.11g、及びグルコン酸第一鉄(富田製薬販売)0.54gを、添加し、室温で均一に攪拌混合し、溶液Aを得た。別途、食品添加物としてのマンガン酵母(マンガン含有量5.03%、マグロウ社販売)約3.9gを超純水200mlに加えて分散し、これを121℃で20分間オートクレーブした後、室温まで冷却し1,500rpmで15分間遠心分離し、得られる上清を膜濾過し、溶液Bを得た。また、食品添加物としての亜鉛酵母(亜鉛含有量5.03%、マグロウ社販売)約3.7gを超純水200mlに加えて分散し、これを121℃で20分間オートクレーブした後、室温まで冷却し、1,500rpmで15分間遠心分離し、得られる上清を膜濾過し、溶液Cを得た。次いで、溶液Aの全量に溶液Bを100g及び溶液Cを111g添加し、室温で均一に攪拌混合し、膜濾過(0.22μm)して除菌し、これを5L容のポリエチレン容器に無菌的に充填し、本発明の飲料用水(pH6)を得た。
【0043】
本品をサンプリングしてそのミネラルイオン濃度を『マルチ CCD−ICP発光分析装置』(スペクトロ社製)を用いる誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)により分析したところ、カルシウムイオン濃度は2,497ng/ml、マグネシウムイオン濃度は595ng/ml、カリウムイオン濃度は294ng/ml、ナトリウムイオン濃度は298ng/ml、マンガンイオン濃度は119ng/ml、鉄イオン濃度99ng/ml、及び亜鉛イオン濃度は99ng/mlであった。また、本品をサンプリングしてその電気伝導度を電気伝導度計『CM−40S』(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて調べたところ、25℃での電気伝導度は、約26μS/cmであった。
【0044】
本品は、そのまま、或いは、超純水で1.5乃至9倍に希釈(体積比)して、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できる。また、本品は、日常的に飲用し易いまろやかな喉ごしを有している。また、本品は、ヒトが日常的に比較的多量飲用しても、腹痛や下痢などを誘発し難い安全な飲料用水であるとともに、洗顔用水や保湿用水などの化粧用水としても好適に用いることができる。更に、本品を冷暗所(4℃)で12カ月保存し、ミネラルイオン濃度を分析したところ、製造直後のミネラルイオン濃度と変化はなく、保存安定性は良好であった。
【実施例2】
【0045】
<飲料用水>
予め蒸留装置を用いて水道水から調製した、実質的にミネラルを含まない蒸留水(以下、「蒸留水」と言う。)1t(1,000kg)に、食品添加物としての塩化カルシウム二水和物(富田製薬販売)4.39g、塩化マグネシウム六水和物(富田製薬販売)2.53g、塩化カリウム0.29g、塩化ナトリウム0.39g、及びグルコン酸第一鉄(富田製薬販売)0.65gを、添加し、室温で均一に攪拌混合し、溶液Aを得た。別途、食品添加物としてのマンガン酵母(マンガン含有量5.03%、マグロウ社販売)約3gを蒸留水200mlに加えて分散し、これを121℃で20分間オートクレーブした後、室温まで冷却し、1,500rpmで15分間遠心分離し、得られる上清を膜濾過し、溶液Bを得た。また、食品添加物としての亜鉛酵母(亜鉛含有量5.03%、マグロウ社販売)約3gを蒸留水200mlに加えて分散し、これを121℃で20分間オートクレーブした後、室温まで冷却し、1,500rpmで15分間遠心分離し、得られる上清を孔径0.22μmの膜を用いて濾過し、溶液Cを得た。次いで、溶液Aの全量に溶液Bを100g及び溶液Cを111g添加し、室温で均一に攪拌混合し、膜濾過(0.22μm)して除菌し、これを300ml容ペットボトルに無菌的に充填して本発明の飲料用水(pH6)を得た。
【0046】
本品をサンプリングしてそのミネラルイオン濃度を『マルチ CCD−ICP発光分析装置』(スペクトロ社製)を用いる誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)により分析しところ、カルシウムイオン濃度は1,202ng/ml、マグネシウムは299ng/ml、カリウムイオン濃度は149ng/ml、ナトリウムイオン濃度は145ng/ml、マンガンイオン濃度は60ng/ml、鉄イオン濃度45ng/ml、及び亜鉛イオン濃度は45ng/mlであった。また、本品をサンプリングしてその電気伝導度を電気伝導度計『CM−40S』(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて調べたところ、25℃での電気伝導度は、約13μS/cmであった。
【0047】
本品は、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できる。本品は、日常的に飲用し易いまろやかな喉ごしを有している。また、本品は、ヒトが日常的に比較的多量飲用しても、腹痛や下痢などを誘発し難い安全な飲料用水であるとともに、洗顔用水や保湿用水などの化粧用水としても好適に用いることができる。更に、本品を冷暗所(4℃)で6カ月保存し、ミネラルイオン濃度を分析したところ、製造直後のミネラルイオン濃度と変化はなく、保存安定性は良好であった。
【実施例3】
【0048】
<飲料用水>
実施例1で得た本発明の飲料用水を、実施例2で用いたと同じ蒸留水で2倍又は3倍希釈(体積比)して均一に攪拌混合し、これに予め、『トレハ(登録商標)』(トレハロース、純度98%以上、株式会社林原商事販売)を蒸留水中で再結晶化させて得た純度99.9%以上のトレハロースを用いて、トレハロース濃度が0.3%(w/w)となるように添加し、室温で均一に攪拌混合して、膜濾過(0.22μm)して除菌し、これらをそれぞれ500ml容のペットボトルに無菌的に充填し、2種類の本発明の飲料用水(pH4.5乃至5.5)を得た。
【0049】
本品は、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できる。本品は、日常的に飲用し易い、まろやかな喉ごしを有している。また、本品は、ヒトが日常的に比較的多量飲用しても、腹痛や下痢などを誘発し難い安全な飲料用水であるとともに、洗顔用水や保湿用水などの化粧用水としても好適に用いることができる。更に、本品を冷暗所(4℃)で6カ月保存し、ミネラルイオン濃度を分析したところ、製造直後のミネラルイオン濃度と変化はなく、保存安定性は良好であった。
【実施例4】
【0050】
<飲料用水>
予め、イオン交換器を用いて水道水を脱塩処理して得た、実質的にミネラルを含まない脱イオン水(以下、「脱イオン水」と言う。)1t(1,000kg)に、食品添加物としての塩化カルシウム二水和物(富田製薬販売)3.68g、塩化マグネシウム六水和物(富田製薬販売)2.40g、塩化カリウム0.28g、塩化ナトリウム0.45g、グルコン酸第一鉄(富田製薬販売)0.45g、及びグルコン酸銅(富田製薬販売)0.36gを、添加し、室温で均一に攪拌混合し、溶液Aを得た。別途、食品添加物としての亜鉛酵母(亜鉛含有量5.03%、マグロウ社販売)約4gを、脱イオン水200mlに加えて分散し、これを121℃で20分間オートクレーブした後、室温まで冷却し、1,500rpmで15分間遠心分離し、得られる上清を膜濾過し、溶液Bを得た。また、食品添加物としてのマンガン酵母(マンガン含有量5.03%、マグロウ社販売)約4gを脱イオン水200mlに加えて分散し、これを121℃で20分間オートクレーブした後、1,500rpmで15分間遠心分離し、得られる上清を膜濾過し、溶液Cを得た。次いで、溶液Aの全量に溶液Bを50g及び溶液Cを50g添加し、室温で均一に攪拌混合し、膜濾過(0.22μm)して除菌し、これを500ml容のペットボトルに無菌的に充填し、本発明の飲料用水(pH6.7)を得た。
【0051】
本品をサンプリングしてそのミネラルイオン濃度を『マルチ CCD−ICP発光分析装置』(スペクトロ社製)を用いる誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)により分析したところ、カルシウムイオン濃度は1,005ng/ml、マグネシウムイオン濃度は299ng/ml、カリウムイオン濃度は148ng/ml、ナトリウムイオン濃度は151ng/ml、マンガンイオン濃度は49ng/ml、鉄イオン濃度50ng/ml、亜鉛イオン濃度49、及び銅イオン濃度は49ng/mlであった。
【0052】
本品は、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できる。また、本品は、日常的に飲用し易い、まろやかな喉ごしを有している。更に、本品は、ヒトが日常的に比較的多量飲用しても、腹痛や下痢などを誘発し難い安全な飲料用水であるとともに、洗顔用水や保湿用水などの化粧用水としても好適に用いることができる。本品を冷暗所(4℃)で6カ月保存し、ミネラルイオン濃度を分析したところ、製造直後のミネラルイオン濃度と変化はなく、保存安定性は良好であった。
【実施例5】
【0053】
<飲料用水>
実施例2で得た飲料用水を、実施例4で用いたと同じ脱イオン水で3倍希釈(体積比)した後、予め、『AA2G(登録商標)』(L−アスコルビン酸2−グルコシド、純度98%以上、株式会社林原生物化学研究所販売)を水中で再結晶化して得たものを濃度0.2%(w/w)となるように添加し、室温で均一に攪拌混合し、膜濾過(0.22μm)して除菌し、これを250ml容のペットボトルに無菌的に充填し、本発明の飲料用水(pH3.8)を得た。
【0054】
本品は、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できる。本品は、日常的に飲用し易い、まろやかな喉ごしを有するとともに、心地よい酸味を有している。また、本品は、ヒトが日常的に比較的多量飲用しても、腹痛や下痢などを誘発し難い安全な飲料用水である。更に、本品は、洗顔用水や保湿用水などの化粧用水としても好適に用いることができる。本品を冷暗所(4℃)で6カ月保存し、ミネラルイオン濃度を分析したところ、製造直後のミネラルイオン濃度と変化はなく、保存安定性は良好であった。
【実施例6】
【0055】
<飲料用水>
実施例1で得た本発明の飲料用水を、実施例1で用いたと同じ超純水で2倍希釈(体積比)し、これに糖アルコールであるマルチトールを最終濃度が0.1質量%となるように添加し、室温で均一に攪拌混合し、膜濾過(0.22μm)して除菌し、本発明の飲料用水(pH5.5)を得、これを2L容のペットボトルに無菌的に充填した。
【0056】
本品は、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できる。本品は、日常的に飲用し易いまろやかな喉ごしを有し、ヒトが日常的に比較的多量飲用しても、腹痛や下痢などを誘発し難い安全な飲料用水である。また、本品は、洗顔用水や保湿用水などの化粧用水としても好適に用いることができる。更に、本品は、適宜容器に充填し、密栓して、冷暗所(4℃)で保存したときには、6カ月経過後も製造直後のミネラルイオン濃度と変化はなく、保存安定性に優れた飲料用水である。
【実施例7】
【0057】
<飲料用水>
予め、RO膜を用いて水道水から調製した、実質的にミネラルを含まない超純水(以下、「超純水」と言う。)1t(1,000kg)に、食品添加物としての塩化カルシウム二水和物(富田製薬販売)5.87g、塩化マグネシウム六水和物(富田製薬販売)3.66g、塩化カリウム0.80g、塩化ナトリウム0.22g、及びグルコン酸第一鉄(富田製薬販売)3.27gを、添加し、室温で均一に攪拌混合し、溶液Aを得た。別途、食品添加物としてのマンガン酵母(マンガン含有量5.03%、マグロウ社販売)約19.7gを超純水200mlに加えて分散し、これを121℃で20分間オートクレーブした後、室温まで冷却し、1,500rpmで15分間遠心分離し、得られる上清を膜濾過し、溶液Bを得た。また、食品添加物としての亜鉛酵母(亜鉛含有量5.03%、マグロウ社販売)約22.4gを超純水200mlに加えて分散し、これを121℃で20分間オートクレーブした後、室温まで冷却し、1,500rpmで15分間遠心分離し、得られる上清を膜濾過し、溶液Cを得た。次いで、溶液Aの全量に溶液Bを100g及び溶液Cを111g添加し、室温で均一に攪拌混合し、膜濾過(0.22μm)して除菌し、これを5L容のポリエチレン容器に無菌的に充填し、本発明の飲料用水(pH6)を得た。
【0058】
本品をサンプリングしてそのミネラルイオン濃度を『マルチ CCD−ICP発光分析装置』(スペクトロ社製)を用いる誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)により分析したところ、カルシウムイオン濃度は2,497ng/ml、マグネシウムイオン濃度は590ng/ml、カリウムイオン濃度は591ng/ml、ナトリウムイオン濃度は590ng/ml、マンガンイオン濃度は590ng/ml、鉄イオン濃度580ng/ml、及び亜鉛イオン濃度は595ng/mlであった。
【0059】
本品は、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できる。また、本品は、日常的に飲用し易いまろやかな喉ごしを有している。また、本品は、ヒトが日常的に比較的多量飲用しても、腹痛や下痢などを誘発し難い安全な飲料用水であるとともに、洗顔用水や保湿用水などの化粧用水としても好適に用いることができる。更に、本品を冷暗所(4℃)で6カ月保存し、ミネラルイオン濃度を分析したところ、製造直後のミネラルイオン濃度と変化はなく、保存安定性は良好であった。
【実施例8】
【0060】
<飲料用水>
予め、RO膜を用いて水道水から調製した、実質的にミネラルを含まない超純水(以下、「超純水」と言う。)1t(1,000kg)に、食品添加物としての塩化カルシウム二水和物(富田製薬販売)0.59g、塩化マグネシウム六水和物(富田製薬販売)0.06g、塩化カリウム0.01g、塩化ナトリウム0.003g、及びグルコン酸第一鉄(富田製薬販売)0.05gを、添加し、室温で均一に攪拌混合し、溶液Aを得た。別途、食品添加物としてのマンガン酵母(マンガン含有量5.03%、マグロウ社販売)約0.3gを超純水200mlに加えて分散し、これを121℃で20分間オートクレーブした後、室温まで冷却し、1,500rpmで15分間遠心分離し、得られる上清を膜濾過し、溶液Bを得た。また、食品添加物としての亜鉛酵母(亜鉛含有量5.03%、マグロウ社販売)約0.4gを超純水200mlに加えて分散し、これを121℃で20分間オートクレーブした後、室温まで冷却し、1,500rpmで15分間遠心分離し、得られる上清を膜濾過し、溶液Cを得た。次いで、溶液Aの全量に溶液Bを100g及び溶液Cを111g添加し、室温で均一に攪拌混合し、膜濾過(0.22μm)して除菌し、これを5L容のポリエチレン容器に無菌的に充填し、本発明の飲料用水(pH6)を得た。
【0061】
本品をサンプリングしてそのミネラルイオン濃度を『マルチ CCD−ICP発光分析装置』(スペクトロ社製)を用いる誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)により分析したところ、カルシウムイオン濃度は251ng/ml、マグネシウムイオン濃度は11ng/ml、カリウムイオン濃度は11ng/ml、ナトリウムイオン濃度は10ng/ml、マンガンイオン濃度は10ng/ml、鉄イオン濃度10ng/ml、及び亜鉛イオン濃度は10ng/mlであった。
【0062】
本品は、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できる。また、本品は、日常的に飲用し易いまろやかな喉ごしを有している。また、本品は、ヒトが日常的に比較的多量飲用しても、腹痛や下痢などを誘発し難い安全な飲料用水であるとともに、洗顔用水や保湿用水などの化粧用水としても好適に用いることができる。更に、本品を冷暗所(4℃)で6カ月保存し、ミネラルイオン濃度を分析したところ、製造直後のミネラルイオン濃度と変化はなく、保存安定性は良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したとおり、本発明の飲料用水は、ヒトが日常的に飲用することにより、体臭、殊に、高齢臭の生成を効果的に抑制できる優れた機能を有する水である。また、本品は、日常的に飲用し易い、まろやかな喉ごしを有し、日常的に比較的多量飲用しても、腹痛や下痢などを誘発し難い安全な飲料用水である。また、本発明の飲料用水は、洗顔用水や保湿用水などの化粧用水としても好適に用いることができる。更に、本品は、適宜容器に充填し、密栓して、室温ないしは冷暗所(4℃)で保存したときには、6ヶ月以上、好適には、12カ月経過後も製造直後のミネラルイオン濃度に変化はなく、保存安定性に優れた飲料用水として、産業上、極めて有用な水である。また、本発明の飲料用水は、自体、飲用水や化粧用水として用いることができるだけでなく、従来、食品、化粧品、医薬品などの製造において用いられている水の一部又は全部と置き換えて用いることもできる。
【0064】
本発明は、斯くも顕著な作用効果を奏する発明であり、斯界に貢献すること誠に多大な意義のある発明である。
【符号の説明】
【0065】
1 密閉容器
2 配管
3 エアポンプ
4 揮発性アルデヒド捕集カートリッジ
5 着用後の肌着

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムイオン濃度が250ng/ml以上2,500ng/ml未満、カルシウムイオン以外のミネラルイオンから選ばれる1種又は2種以上のミネラルイオン濃度のいずれかが10ng/ml以上600ng/ml未満となるように人為的に含有せしめてなる飲料用水。
【請求項2】
カルシウムイオン以外のミネラルイオンが、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び/又は遷移金属のイオンであることを特徴とする請求項1に記載の飲料用水。
【請求項3】
蒸留水、脱イオン水、及び超純水から選ばれる1種又は2種以上の実質的にミネラルを含まない水に、カルシウムとともに、カルシウム以外のミネラルと酵母エキスから選ばれる1種又は2種以上を人為的に添加する工程を経由して得られる請求項1又は2に記載の飲料用水。
【請求項4】
25℃での電気伝導度が、3μS/cm以上100μS/cm未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の飲料用水。
【請求項5】
体臭生成抑制のために用いられる水であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の飲料用水。

【図1】
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【公開番号】特開2011−144166(P2011−144166A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277924(P2010−277924)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(301040394)株式会社春興社 (8)
【Fターム(参考)】