説明

飲料製造装置

【課題】費用対効果が高く、飲料についての高品質な要求を満たす飲料製造装置を提供する。
【解決手段】ライン接続部又はタンク2からボイラー3を通って吐出部4へと導く主流路5を備えた飲料製造装置1又は調合装置、特にコーヒーメーカーであって、ボイラー3は、バルブ6を含むライン7を介してタンク2、廃液受け8、排水路又は吐出部に接続され、ボイラーが待機状態の場合にはバルブ6は少なくとも部分的に開いており、バルブ6を動作させ、要求が間近である場合にはバルブ6を閉じるように構成された制御装置9が設けられている。これを通して、閉鎖式及び開放式ボイラーシステムの利点を併せることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料製造装置又は調合装置に関し、特に、ライン接続部又はタンクからボイラーを通して吐出部へと導く主流路を備えたコーヒーメーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーメーカー(コーヒー製造装置)及び特にいわゆる全自動マシーンは、その様式が家庭用モデルから専門の機械へと変化している。個々の価格範囲について、コーヒーメーカーはそれぞれ異なった水加熱システムを備えており、各々の市場価格を公平に評価するようになっている。停止中には僅かなエネルギーを要求するか、又は全くエネルギーを要求せず、必要に応じてのみ水を加熱するのに好都合な連続流水加熱装置は、主として家庭用器具に見られる。その加熱時間及び温度の制御は、この顧客分野、つまり家庭用器具の分野では受け入れられる。この状況は、品質及び性能への要求が一般的に高い様式においては異なる。飲料の配送はこれにより迅速に行われ、温度はできる限り正確に保持されるべきである。この理由から、ボイラーシステム及びケトルシステムがこの分野のコーヒーメーカーにはよく見られる。職場での使用やより小さい会社の来客用受付などの平均的な価格の市場では、比較的装置の範囲の多様性は小さい。ここでは、連続流水加熱装置が測定のために余りに多くの時間を必要とするのに対し、完結した(密閉式の)ボイラーシステムは、余りにサイズが大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上市されているボイラーシステムの場合、密閉式ボイラーシステムと開放式ボイラーシステムとの間で付加的に区別され、密閉式ボイラーシステムは比較的大規模で且つ高価である。密閉式ボイラーシステムでは、加熱に応答して媒質が膨張するので、それによりボイラー内の圧力は急激に増大する。そこで、ボイラーはこのように圧力増加に対する設計がされていなければならない。この理由から、加熱(除去なし)工程中に開く、いわゆるリリーフバルブがさらに設けられる。もしリリーフバルブに欠陥があったとしたら、過度の圧力を確実に除く少なくとも1つの安全弁が設けられなければならない。ボイラー全体と同様に、この安全弁及びリリーフバルブも保守、点検を受け、それにより全てのプラグ接続は規定の圧力点検を追加で受けなければならない。これらの手段すべてをとることは、言うまでもなく高いコストを生じさせる。しかしながら、開放式ボイラーシステムでは、十分な量の水が大気中に逃がされるので、例えばリリーフバルブや安全弁などの上述の安全システムを設ける必要がない。このように、開放式ボイラーシステムでは、制御されない危険な圧力は生じない。しかしながら、開放式ボイラーシステムでは、待機運転中に莫大なエネルギーロスを生じるという不利益がある。ボイラーが開放されていることにより、媒質、具体的には水が、その表面周辺の領域にエネルギーを絶え間なく放出させる。媒質、例えば水を運ぶために、ポンプはボイラーの下流側に設けられ、そのため、加熱された媒質あるいは水をそれぞれ運び、これによりポンプ領域でコストがより高くなる。
【0004】
当該発明は、このように、特に費用対効果が高く、作られるべき飲料についての高品質な要求を満たす、特に平均的な範囲の飲料製造装置の、改良された実施形態を特定する問題を扱う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、本発明によれば、独立請求項1に記載の主題によって解決される。有利な実施形態は従属項の主題となっている。
【0006】
当該発明は、それ自体は知られている飲料製造装置、又は調合装置において、開放式ボイラーシステムの利点と密閉式ボイラーシステムの利点とを併せるという一般的なアイデアに基づくものである。これは概ね、本発明に係る飲料製造装置又は調合装置が、水タンクに接続されたボイラー、廃液受け、排水路又はバルブを有するラインを経由する吐出部をそれぞれ含むことを意味する。ボイラーそれ自体は、ライン接続部又は水タンクのそれぞれと吐出部との間の主流路内に配置されている。待機状態のボイラーでは、バルブは少なくとも部分的に開いており、それにより加圧されない、開放式ボイラーシステムが存在することになる。バルブを動作させ、飲料の配送及び湯の要求が間近である場合にはバルブを閉じるように構成された制御装置がさらに設けられる。このようにして飲料製造装置の運転中に、制御装置は開放された待機状態から密閉式のボイラーシステムへと転移させる。待機状態には、望ましくない大きなエネルギーの放出と、高エネルギーの消費とが生じないように、周囲領域との接続は最小限まで小さくされる。少なくとも部分的に開いたバルブのおかげで、待機状態では供給される熱エネルギーが最小限であることを常に確保するのにもかかわらず、これを通して発生された蒸気は確実に放出される。当該バルブは、対応する内径を有する、いわゆる「通常開放(NO)」バルブによって実現される。本発明に係る飲料製造装置によれば、以下の大きな効果が得られる。
【0007】
・安全弁及び耐圧縮バルブの省略
・コスト削減に寄与する、ボイラーでの高圧要求性の低減
・ボイラー内の溶質は常時定められた温度に保たれているので、湯の要求に応じた湯の迅速な配送が可能になる
・制御装置は、ポンプに対してバルブを並列接続することにより置き換えられる
・待機状態において実質的に密閉式ボイラーシステムが用意されているので、待機状態でのエネルギーロスがほとんどない
・温度及び圧力の定常性が、要求される許容範囲内にあるので、高度に動的である
・ポンプがボイラーの上流に配置され、高温の媒質を配送しないように設計されるので、比較的費用対効果の高いポンプを使用できる見込みがある
本発明による解決法のさらなる有利な具体例において、バルブはさらに放圧バルブとして構成されており、所定の圧力に達すると密閉状態から開く。飲料の要請及びこれに伴う湯の要求が飲料製造装置に入力されるという事象において、制御装置はボイラー又はライン内に配置されたバルブをそれぞれ閉じ、ポンプを動作させ、その結果、制御装置はボイラー内の圧力を増加させ、ボイラーから吐出部へと溶質を運ぶ。それによりボイラー中の圧力が突然急激且つ高圧に上昇する事象において、放圧バルブとして構成されたバルブは、所定の圧力で開き、過度の圧力を除くという点でここでの安全機能を担う。そうして、本発明に係るバルブは、装置の運転状態中での安全弁の機能と同様に、待機状態におけるリリーフバルブとしての機能を果たす。
【0008】
本発明による解決法のさらなる有利な進展において、ボイラーを迂回するバイパス流路が設けられており、バイパス流路はボイラーの上流で主流路から分岐しており、バイパス流路側ポンプ、バルブ又は絞りがバイパス流路内に配置されている。ボイラーを迂回するバイパス流路により、冷たい媒質の運搬、つまり冷水の運搬もまた概ね可能となっているので、飲料製造装置は冷えた飲料の分配にも適したものとなっている。概して、このシステムは、ボイラー内で温められるべき水だけでなく、例えばミルク等の他の媒質を温めるのにも用いることができるのは言うまでもない。
【0009】
本発明のさらに重要な特徴及び効果は、従属項、図面、及び図面によって対応される図の説明を伴っている。
【0010】
上述した特徴及び以下で定義される特徴が、それぞれ特定の組み合わせだけで用いられるだけでなく、当該発明の範囲から逸脱しない他の組み合わせや単独でも用いられることは言うまでもない。
【0011】
本発明の好ましい例示的実施形態は、図面に例示され、且つ下記の発明の詳細な説明においてさらに詳細に説明され、そこでは同じ参照符号は同じ構成要素又は類似の、あるいは機能的に同等の構成要素を参照するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1の可能な実施形態に係る飲料製造装置を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す飲料製造装置の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2に照らせば、本発明に係る飲料製造装置1は、例えば全自動のコーヒーメーカーとして構成され得、ボイラー3を通して吐出部4へと導くライン接続部又はタンク2を有する。ボイラー3は、バルブ6を含むライン7を経由してタンク2、廃液受け8又は排水路に接続される。それにより、バルブ6もまたボイラー3上に直接配置され得ることは言うまでもない。ボイラー3が待機状態にある事象において、バルブ6は少なくとも部分的に開いているものの好ましくは実質的に閉じており、これにより、一方ではバルブ6の小さく開いた断面のおかげで、周辺領域への不必要なエネルギーの放出が比較的小さくなっており、他方では、開放的ボイラーシステムが存在することとなる。加えて、バルブ6を動作させ、飲料配送及びこれに伴う湯の要求が間近である場合にはバルブ6を閉じるように構成された制御装置9が設けられている。バルブを閉じることにより、それまでは開放式であったボイラーシステムは、密閉式へと転移する。より好ましい実施形態によれば、バルブ6は同時に放圧バルブとして構成されており、あらかじめ設定された圧力に達すると密閉状態から開放する。この理由により、ボイラー3内ではどの時点においても制御されない圧力の進展は起こるはずがない。バルブ6は、さらに半開放状態での圧力増加に対しても適用できる。
【0014】
図1及び図2についてさらに考えると、ボイラー3の上流に配置されるとともに、もっぱら冷たい媒質、すなわち冷水を運ぶべく構成され、ボイラー3を通して媒質を運ぶための主流路側ポンプ10が主流路5内に設けられていることが分かる。これにより、主流路側ポンプ10は熱湯を運ばなくてはならない類似のポンプに比べて概してより費用対効果の高い態様で設計され得る。この理由により、本発明に係る飲料製造装置1は、現在の開放式ボイラーシステムに比べてコスト上非常に有利になっている。
【0015】
また、ボイラー3を迂回するバイパス流路11が設けられており、バイパス流路11はボイラー3の上流で主流路5から分岐しており、バイパス流路側ポンプ12がバイパス流路11内に配置されていることも図1及び図2から分かる。バイパス流路側ポンプ12の代わりにバルブ又は絞りを設け、それによりラインの断面が絞りとして用いられ得ることは言うまでもない。バイパス流路側ポンプ12の配置により、水タンク2から吐出部4へと冷たい媒質、つまり冷水だけを運ぶことができ、冷たい飲料もまた調製できる。主流路5内の主流路側ポンプ10の下流側、又は主流路側ポンプ10の上流側に流体流量計13、例えば流量計がさらに配置され、ボイラー3の下流に抽出装置14をさらに設けることができる。図1に示されるように、バイパス流路11は主流路5から、流体流量計13と主流路側ポンプ10との間、又は流体流量計13の下流で且つ流体流量計13とボイラー3との間で分岐することができる。バイパス流路11が主流路5に戻るのは、ボイラー3の下流であることは言うまでもない。概して、バイパス流路側ポンプ12及び/又は主流路側ポンプ10は、ベーンポンプ、ギアポンプ、磁気式ピストンポンプ又はそれらに類似のポンプとして構成され得る。
【0016】
制御装置9はさらに、流量、飲料温度、タンク2の水温、又はボイラー3の上流側又は下流側の主流路5での温度についての機能として、バイパス流路側ポンプ12をそれぞれ制御及び管理するように構成されている。バイパス流路側ポンプ12及び主流路側ポンプ10の配置は、流体流量計13の配置と同様に概して変更可能であり、従って、図1及び図2は2つのとり得る実施形態を示すにすぎない。
【0017】
測定の揺らぎを最小限にするための所定の開始位置を得るために、ボイラー3の下流側の主流路5は付加的に空気で吹き出されるが、このために例えば空気ポンプ15が設けられ得る。
【0018】
本発明に係る飲料製造装置では、このようにして開放−密閉式ボイラーシステムが創られるが、当該システムは、休止状態、すなわち待機状態中は開放状態であり、飲料が運ばれる時には密閉状態となっており、密閉式ボイラーシステムの利点だけでなく開放式ボイラーシステムの利点も併せ持っている。本発明に係る飲料製造装置は、待機状態での大きなエネルギーロスが生じないためにエネルギー消費を低減できるだけでなく、安全弁を省略すること、及びボイラー3の圧力に対する要求を低減できることにより、コストを低減するという特徴も有している。費用対効果の高い主流路側ポンプ10を用いることにより、さらなるコスト削減を図ることができる。迅速な搬送と低い電気出力とが同時に実現されているので、コストが低減されているにもかかわらず、一般的な連続流水加熱装置に比べて出力を著しく向上させることができる。媒質、例えば水は、ボイラー3内で常に加熱され、エネルギーを蓄えるための緩衝材として働く。同時に、本発明に係る飲料製造装置1はまた、要求される温度及び圧力のそれぞれの定常性の許容範囲が高いことを特徴とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン接続部又はタンク(2)からボイラー(3)を通って吐出部(4)へと導く主流路(5)を備えた飲料製造装置(1)又は調合装置、特にコーヒーメーカーであって、
前記ボイラー(3)は、バルブ(6)を含むライン(7)を介して前記タンク(2)、廃液受け(8)、排水路又は前記吐出部に接続され、
前記ボイラーが待機状態の場合には前記バルブ(6)は少なくとも部分的に開いており、
前記バルブ(6)を動作させ、要求が間近である場合には前記バルブ(6)を閉じるように構成された制御装置(9)が設けられている。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料製造装置において、
前記バルブ(6)は放圧バルブであり、所定の圧力に達すると密閉状態から開く。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の飲料製造装置において、
前記ボイラー(3)の上流に配置され、前記ボイラー(3)を通して媒質を運ぶための主流路側ポンプ(10)が設けられている。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の飲料製造装置において、
前記ボイラー(3)を迂回するバイパス流路(11)が設けられており、
前記バイパス流路(11)は前記ボイラー(3)の上流で前記主流路(5)から分岐しており、バイパス流路側ポンプ(12)、バルブ(6)又は絞りが前記バイパス流路(11)内に配置されている。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の飲料製造装置において、
前記主流路(5)内の前記主流路側ポンプ(10)の下流側、又は前記主流路側ポンプ(10)の上流側に配置された流体流量計(13)が設けられている。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の飲料製造装置において、
前記主流路側ポンプ(10)と前記流体流量計(13)との間で前記主流路(5)から分岐するバイパス流路(11)、又は
前記流体流量計(13)と前記ボイラー(3)との間で前記主流路(5)から分岐するバイパス流路(11)を備えている。
【請求項7】
請求項4〜6のうちいずれか1つに記載の飲料製造装置において、
前記バイパス流路側ポンプ(12)及び/又は前記主流路側ポンプ(10)は、ベーンポンプ、ギアポンプ、又は磁気式ピストンポンプとして構成されている。
【請求項8】
請求項4〜7のうちいずれか1つに記載の飲料製造装置において、
流量、飲料温度、タンク(2)の水温、又は前記ボイラー(3)の上流側又は下流側の主流路(5)での温度についての機能として、前記制御装置(9)は、前記バイパス流路側ポンプ(12)を制御及び管理するように構成されている。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−239914(P2012−239914A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115873(P2012−115873)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(502241800)ヴェーエムエフ ヴュルテンベルギッシェ メタルヴァーレンファブリーク アクチエンゲゼルシャフト (18)
【氏名又は名称原語表記】WMF Wuerttembergische Metallwarenfabrik AG
【住所又は居所原語表記】Eberhardstrasse, 73309 Geislingen/Steige, Die Bundesrepublik Deutschland
【Fターム(参考)】