説明

飲料

本発明は水中油型エマルションであり、ゲラン及びペクチンの混合物である親水コロイドを含む飲料に関する。親水コロイドは水中油型エマルションの油相又は脂肪相の分離を防止するか、又は遅延させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型エマルションであり、ゲラン及びペクチンの混合物である親水コロイドを含む飲料に関する。親水コロイドは水中油型エマルションの油相又は脂肪(fat)相のクリーム化(クリーム分離creaming)を防止するか、又は遅延させる。
【背景技術】
【0002】
ペクチン、ゲラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の親水コロイドは飲料を安定化するために使用される、すなわち、飲料中の粒子の沈降を防止するか、又は遅延させるために使用されることが知られている。ここで粒子は、例えば、安定化されていない飲料中で沈降する果実又は果肉の粒子である。この安定化は、主に、使用される粘度を増加させる親水コロイドを用いて飲料の粘度を増加させることにより達成される。
【0003】
飲料中の粒子のクリーム化(クリーム分離)は、乳化剤又はいわゆる「増量剤」等の助剤を添加することにより防止される。このことも先行技術から知られている。いわゆる「増量剤」は、飲料中に懸濁した粒子の密度及び粒子を取り囲む連続した液相(の密度)を調節する。ここで、「増量剤」は、例えば、水相に分散した油粒子又は脂肪粒子がクリーム化しないように、その油粒子又は脂肪粒子の密度を増加させる。
【0004】
水中油型エマルションの飲料であって、油相及び脂肪相が異なる密度を有する飲料中の油相又は脂肪相のクリーム化を、乳化剤又は増量剤に頼ることなく遅延させるか、又は防止する必要がある。
【0005】
US6627245は増粘剤(特に、ペクチン及びゲランが増粘剤として特定されている)を含む、安定で均一な、乳化剤を含まない、疎水性物質の懸濁液を開示している。ここで、増粘剤は好ましくは懸濁液の粘度が少なくとも50mPasとなるような濃度で使用される。この粘度より低いと懸濁液は安定ではない。この種の高粘度の懸濁液は飲料の粘度に関する消費者の期待を満たさないので、多くの飲料の使用に適さない。
【0006】
従って、引き換えに飲料の粘度を50mPas以上に増加することなく、水中油型エマルションであり、油相及び脂肪相が異なる密度を有する飲料中の油相又は脂肪相のクリーム化を遅延させるか、又は防止する必要性が依然として存在する。
【0007】
WO2005/102074は、実施例Aにおいて、ペクチンにより安定化されたタンパク質の懸濁液である飲料を開示している。
【0008】
US5641532は、実施例1において、ゲランにより安定化された水中油型エマルションである飲料を開示している。
【0009】
US2007/0178213は特にゲランを含む曝気した乳製品を開示している。
【0010】
WO2008/128765はペクチンを含むCLA含有ヨーグルト飲料を開示している。
【0011】
WO2007/066234はペクチンにより安定化されたエマルションである飲料を開示している。
【0012】
Nahrung、Volume40、60〜67ページ(1996)は、変性ペクチンを含む乳清タンパク質エマルションを開示している。
【0013】
US7147885は、請求項8において、単離したアセチル化ゲラン及びペクチンを含む分散安定剤を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】US6627245
【特許文献2】WO2005/102074
【特許文献3】US5641532
【特許文献4】US2007/0178213
【特許文献5】WO2008/128765
【特許文献6】WO2007/066234
【特許文献7】US7147885
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Nahrung, Volume40、60〜67ページ(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、飲料中の油粒子又は脂肪粒子のクリーム化を防止するか、又は少なくとも遅延させるか、又はある程度減少させる目的で、この目的のために従来不可欠とされていた乳化剤又は増量剤を使用せずに、油相又は脂肪相が水相に分散し、油相又は脂肪相が水相よりも低い密度を有する水中油型エマルションである飲料を提供することである。これに関連して、飲料の官能的品質(いわゆる口当たり)は、飲料中の油粒子又は脂肪粒子のクリーム化を防止するか、又は少なくとも遅延させるか、又はある程度減少させるために取られる手段により、悪影響を受けるべきではないか、又は少なくとも大幅には悪影響を受けるべきではない。さらに、飲料の粘度を最も低い可能な値(例えば、50mPas未満)に調節し、それにも関わらず、クリーム化の所望の減少が達成できるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は特許請求の範囲に記載される飲料により達成される。この飲料は本発明の1つの対象である。
【0018】
ゲラン及びペクチンの混合物を親水コロイドとして使用することが本発明の必須要素である。多くの場合、ゲラン単独の使用又はペクチン単独の使用では、ゲラン又はペクチンをエマルションの粘度が望ましくなく高くなる程大量に使用しない限り、安定なエマルションを得ることができない(US6627245を参照されたい)。本発明によるゲラン及びペクチンの混合物の使用により、エマルションの粘度を望ましくなく高くすることなく、安定なエマルションを得ることができる。
【0019】
本発明の別の対象は、本発明による飲料を製造するために中間体として働くことができる脂肪粉末である。本発明による脂肪粉末は特許請求の範囲に記載されている。
【0020】
本発明の別の対象は、本発明による飲料を製造するために中間体として働くことができるエマルションである。本発明によるエマルションは特許請求の範囲に記載されている。
【0021】
本発明の別の対象は、本発明による脂肪粉末から本発明による飲料を製造する方法である。
【0022】
本発明の別の対象は、本発明によるエマルションから本発明による飲料を製造する方法である。
【0023】
本発明の別の対象は、水中油型エマルションである飲料中の油相又は脂肪相のクリーム化を遅延させるか、又は防止するための親水コロイドの使用である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
驚くべきことに、親水コロイドを含み、水相及び脂肪粉末が一緒に飲料を構成するように水相中に分散した脂肪粉末は、この飲料中でクリーム化するにしても非常に遅延してクリーム化することが見出された。これに関連して、好適な親水コロイド(すなわち、ゲラン及びペクチンの混合物)を選択することにより、飲料の粘度が大幅に増加しないことを確実にすることができる。過度に高い粘度は、ある場合には消費者による飲料の受け入れを減少させ得るので、このことは有利であり得る。
【0025】
脂肪粉末の代わりに油も水相に乳化させることが可能であり、この場合、こうして得られるエマルションは親水コロイドを含む。同様にこれに関連して、油がクリーム化するにしても非常に遅れてクリーム化する飲料が得られる。さらに、これに関連して、好適な親水コロイド(すなわち、ゲラン及びペクチンの混合物)を選択することにより、飲料の粘度が大幅に増加しないことを確実にすることができる。過度に高い粘度は、ある場合には、消費者による飲料の受け入れを減少させ得るので、このことは有利であり得る。
【0026】
本発明による飲料は水中油型エマルションである。ここで、非極性の油相又は脂肪相は極性の水相に乳化されるか、又は懸濁化される。
【0027】
油相又は脂肪相として好適なのは、飲料に好適な任意の望ましい油及び/又は脂肪である。好ましくは、油又は脂肪は0.8−0.99kg/L、好ましくは0.9−0.96kg/Lの密度を有する。脂肪は20℃で固体である物質を意味するとして理解される。油は20℃で液体である物質を意味するとして理解される。
【0028】
特に、好適な油又は脂肪はグリセロールでエステル化された脂肪酸である。エステル化度によって、モノグリセリド、ジグリセリド若しくはトリグリセリド又はその混合物が考えられる。本発明によると、脂肪酸のトリグリセリドが好ましい油又は脂肪である。
【0029】
さらに、好適な油又は脂肪は、多価不飽和脂肪酸(PUFA)のグリセリド、例えば、魚油、藻類由来の油又は植物性脂肪及びそれらの誘導体、グリセロールエステル(グリセリド)の形態のオメガ−3/又はオメガ−6/又はオメガ−9脂肪酸である。
【0030】
同様に、油又は脂肪として好適なのは、フィトステロール又はフィトステロールの脂肪酸エステルである。これらの油又は脂肪は、本発明による飲料の油相又は脂肪相が水相よりも低い密度を有する場合に好適である。
【0031】
さらに、好適な油又は脂肪はフィトスタノール又はフィトスタノールの脂肪酸エステルである。これらの油又は脂肪も同様に、本発明による飲料の油相又は脂肪相が水相よりも低い密度を有する場合に好適である。
【0032】
本来の油又は脂肪と同様に、油又は脂肪は、特に、カロテノイド、脂溶性ビタミン、例えばビタミンA、D、E、K又はその誘導体及びリン脂質を含むことができる。
【0033】
本発明の1つの特定の実施形態において、油相又は脂肪相は、2つの異性体c9,t11及びt10,c12の1:1の混合物として存在する共役リノール酸のトリグリセリドを含む。このトリグリセリドはCognis GmbH(モンハイム、ドイツ)から市販されている。
【0034】
本発明の1つの実施形態において、本発明による飲料の粘度を増加させないか、又は大幅に増加させない親水コロイドが使用される。大幅に増加しないとは、20℃で、飲料中の親水コロイド含有量1重量%における飲料の粘度が、親水コロイドを含まない飲料と比較して30%を超えて増加しない、好ましくは20%を越えて増加しない、特に10%を越えて増加しない場合である。
【0035】
1つの特定の実施形態において、本発明による飲料は、100重量部の水相に基づいて0.01〜10重量部の油相又は脂肪相、特に0.025〜5重量部の油相又は脂肪相及び0.001〜5重量部の親水コロイド、特に0.05〜1重量部の親水コロイドを含む。
【0036】
本発明は多くの有利な点を有する。飲料は中性又はニュートラルな味を有し、油っぽく、脂ぎった口当りを有さない。本発明による親水コロイドが使用される場合、クリーム化を防止するか、又は遅延させるために、脂肪粉末又はエマルションに対する乳化剤又は増量剤は不要である。飲料を安定化するための追加の技術的手段(例えば、ホモジナイゼーション)は不要である。
【0037】
本明細書において、以下の全ての「%」のデータは、特記しない限り重量%である。
【0038】
1つの実施形態において、本発明による脂肪粉末は20〜80%の脂肪含有量を有する。1つの実施形態において、本発明による脂肪粉末は5〜40%の親水コロイド含有量を有する。1つの実施形態において、本発明による脂肪粉末は15〜75%の担体物質含有量を有する。1つの実施形態において、本発明による脂肪粉末は多くとも8%の水含有量を有する。
【0039】
本発明による脂肪粉末は噴霧乾燥によりもしくは他の乾燥方法により、又は混合により製造することができる。
【0040】
1つの実施形態において、本発明による飲料を製造するための本発明によるエマルションは20〜60%の脂肪含有量を有する。1つの実施形態において、本発明による飲料を製造するための本発明によるエマルションは2〜10%の親水コロイド含有量を有する。1つの実施形態において、本発明による飲料を製造するための本発明によるエマルションは0.5〜5%の乳化剤含有量を有する。1つの実施形態において、本発明による飲料を製造するための本発明によるエマルションは38〜78%の水含有量を有する。
【0041】
本発明によると、好適な担体物質は特に、乳タンパク質、ダイズタンパク質、アラビアガム、化工デンプン(例えば、コハク酸エステルデンプン(E1450))である。担体物質は噴霧乾燥の前に水相中で脂肪を乳化し、その後の粉末状態において脂肪を包み込む(envelope)働きをすることができる。
【0042】
本発明によると、乳化剤を使用することもできる。本発明によると、好適な乳化剤は、脂肪酸のモノグリセリド及びそのエステル、レシチン、糖エステル、ポリソルベート、ポリグリセロールエステルである。特定の担体物質が乳化作用を有する場合もあり得、これは乳化剤の添加が不要であり得ることを意味する。
【0043】
エマルション飲料は以下の成分:飲料ベース、本発明による脂肪粉末又は本発明によるエマルション、水、他の添加物から製造できる。
【0044】
本発明によると、飲料ベースは、一般に、水、糖及び酸は別として、規格化(standardized)飲料を製造するために必要である全ての成分、例えば、果汁、果汁濃縮物、甘味成分(例えば、糖又は甘味料)、香気成分(aroma)、着色料果実抽出物又は植物抽出物、酸化防止剤、ビタミン等を含む半製品を意味するとして理解される。
【0045】
本発明によると、他の添加物として好適なのは酸化防止剤、色素、果実抽出物、植物抽出物、香気成分である。
【実施例】
【0046】
本明細書において、全ての「%」のデータは、特記しない限り重量%である。
【0047】
以下で使用する商標は以下に記載した製品を指し、記載した供給元を通して入手可能である。
【0048】
Tonalin(登録商標)TG 80は約80%(GC面積%)の共役リノール酸(脂肪酸エステルの総量に基づく)を含むトリグリセリドである。共役リノール酸は約99重量%までの異性体c9,t11及びt10,c12(約1:1の質量比で存在する)からなる;供給元:Cognis GmbH(モンハイム、ドイツ)
Tonalin(登録商標)35 WDPは担体としてのアラビアガム上のTonalin(登録商標)TG 80(50重量%)からなる水分散性粉末である;供給元:Cognis GmbH(モンハイム、ドイツ)
Tonalin(登録商標)AH 265は60%のTonalin(登録商標)TG 80及び39.95%のアラビアガム及び0.05%のアスコルビルパルミテートを含む;供給元:Cognis GmbH(モンハイム、ドイツ)
Kelcogel(登録商標)PSはスクロース、ゲラン(E418)及びペクチンの混合物である;供給元:CP Kelco Germany GmbH(グローセンブローデ、ドイツ)
Kelcogel(登録商標)Fはゲランである;供給元:CP Kelco Germany GmbH(グローセンブローデ、ドイツ)
使用したアラビアガムはALFRED L.WOLFF GmbH(ハンブルク、ドイツ)から入手可能な市販の製品Quick−Gum Type 8074であった;
使用したペクチン(E440)は、CP Kelco Germany GmbH(グローセンブローデ、ドイツ)から入手可能な市販の製品Genu Pectin VISであった。これはスクロースで規格化したペクチンである。ここで、「規格化した」とは、変動する原料品質(収穫期に依存する)に関わらず、最終製品中で変化が生じないように、ペクチンが特定の粘度の値にスクロースで調節されていることを意味する;
Sisterna(登録商標)SP 70は糖エステル(スクロースステアレート及びスクロースパルミレート(モノエステル含有量70%)、Chemical Abstracts INDEX NAME:α−D−グルコピラノシド、β−D−フルクトフラノシル、ヘキサデカノエート、オクタデカノエート);供給元:Sisterna B.V.(4704RG ローゼンダール、オランダ)
ダイズレシチンはCargill Deutschland GmbH(クレーフェルト、ドイツ)から入手し、商標名Topcithin(登録商標)NGMを有した。
【0049】
実施例1
親水コロイドを有する脂肪粉末の処方(内部基準:AH213)
Tonalin(登録商標)TG 80(油相又は脂肪相):50%
Kelcogel(登録商標)PS(親水コロイド):24.2%
アラビアガム(担体):25.8%
上記の処方を有する親水コロイドを有する脂肪粉末の調製
アラビアガム及びKelcogel(登録商標)PSを約20℃で、水に入れて攪拌した。35重量部の上記の処方に対して65重量部の水を使用した。得られた分散液を50〜55℃に加熱した。その後、Tonalin(登録商標)TG 80(室温)をこの第1分散液(水相)に激しく攪拌しながら分散させた。このようにして得られた分散液を2段階でホモジナイズした(ホモジナイザーの圧力設定120/30bar)。噴霧乾燥を、毎分24000回(rpm)、入ってくる空気の温度185℃で、噴霧ディスク(atomizing disk)を使用して実施した。
【0050】
実施例2
親水コロイドを有するエマルションの処方
Tonalin(登録商標)TG 80(油相又は脂肪相):22%
Kelcogel(登録商標)PS(親水コロイド):8%
Sisterna(登録商標)SP 70:2%
ダイズレシチン:1%
水:67%
pH4.0に調節するためのクエン酸
上記の処方を有する親水コロイドを有するエマルションの調製
Tonalin(登録商標)TG 80及びダイズレシチンを50℃に加熱した後、一緒に混合し、油相を形成した。Sisterna(登録商標)SP 70及びKelcogel(登録商標)PSを冷水に分散させた。その後、20℃に冷却した油相を水相に分散させた。その後、分散液をクエン酸でpH4.0に調節した。その後、この分散液を循環して(5サイクル)2段階でホモジナイズした(250/30bar)。
【0051】
実施例3
エマルション飲料の処方
実施例1による親水コロイドを有する脂肪粉末:0.94%
飲料ベース(Rudolf Wild GmbH&Co. KG(エッペルハイム/ハイデルベルク)から入手したオレンジ−ニンジン−レモン、35000080660000型):6.5%
水:92.56%
上記の処方を有する親水コロイドを有するエマルション飲料の調製
3成分を混合し、必要な場合にはホモジナイズし、殺菌した(少なくとも85℃で30秒間)。その後、こうして得られたエマルション飲料を瓶に詰めた。
【0052】
実施例4
実施例4において試験したエマルション飲料の処方
SR1049
マルチビタミンジュース97.85%、Tonalin(登録商標)35 WDP 2.15%
SR1051
マルチビタミンジュース97.55%、Tonalin(登録商標) 35 WDP 2.15%、Kelcogel(登録商標)PS 0.3%
SR1054
マルチビタミンジュース97.35%、Tonalin(登録商標)35 WDP 2.15%、Genu Pectin VIS 0.5%
SR1170
スポーツドリンク(等張清涼飲料)99.06%、脂肪粉末(実施例1の処方)0.94%
SR1049は親水コロイドを含有しない比較処方である。処方SR1051、SR1054及びSR1170は本発明による。
【0053】
上記の処方SR1049、SR1051、SR1054及びSR1170を有する、親水コロイドを有する処方を有するエマルション飲料の調製
乾燥物質を攪拌しながらマルチビタミンジュース又はスポーツドリンクに入れた。引き続き、この混合物を10分間静かに攪拌した。その後、混合物を150barで1段階でホモジナイズした。その後、混合物を85℃で30秒間加熱した後、室温に冷却した。エマルション飲料を瓶に注ぎ、直立で、及び横にして保存した。クリーム化は、横にしたサンプルが明らかに速かった。
【0054】
実施例4による飲料の評価
処方SR1051及びSR1054(いずれも本発明による)の場合、脂肪粉末のクリーム化は、5週間の保存後でさえ全く見られなかった。処方SR1170の場合、クリーム化は、4週間の保存後に全く見られなかった。比較例SR1049の場合、たった2時間後に相当量のクリーム化が見られる。
【表1】

【0055】
感覚的観点において、処方間に有意差は確立されなかった。
【0056】
実施例5
異なる親水コロイドを有するエマルション飲料の安定性(クリーム化しないこと)及び粘度の比較
下記の表に記載したエマルション飲料を調製し、試験した。全ての場合において、いわゆるスポーツ飲料をベースとして使用した。
【表2】

【0057】
安定な飲料はゲラン及びペクチンの混合物又はペクチン単独によってのみ得られた。しかし、単独の親水コロイドとしてゲランを使用した場合、クリーム化を防止するために大量に使用しなければならず、結果として飲料の粘度が望ましくない程高くなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルションである飲料であって、水相、水相に分散した油相又は脂肪相及び少なくとも1種の親水コロイドを含み、ここで、油相又は脂肪相は水相よりも低い密度を有し、親水コロイドはゲラン及びペクチンの混合物である、前記飲料。
【請求項2】
前記飲料が100重量部の水相に基づいて0.01〜10重量部の油相又は脂肪相及び0.001〜5重量部の親水コロイドを含み、ここで、23℃における飲料の粘度が好ましくは50mPasよりも高くなく、特に好ましくは40mPasよりも高くなく、特に好ましくは30mPasよりも高くなく、特に好ましくは20mPasよりも高くない(いずれの場合にもBohlin C−VOR型の回転式粘度計を使用して23℃、1200rpm、PP40(「プレート−プレート40mm」)及び0.3mm gapのパラメータで測定した)、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
親水コロイドがゲラン及びペクチンの質量比1:10〜10:1の混合物である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
油相又は脂肪相が2つの異性体c9,t11及びt10,c12の約1:1の混合物として存在する共役リノール酸のトリグリセリドを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項5】
油相又は脂肪相がグリセロールエステルの形態のオメガ−3脂肪酸を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項6】
油相又は脂肪相がフィトステロール又はフィトステロールの脂肪酸エステルを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項7】
飲料が香気成分及び/又は甘味料及び/又は糖及び/又は色素及び/又は酸化防止剤及び/又は植物抽出物及び/又は果実抽出物をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項8】
飲料が0.1重量%未満のタンパク質を含み、好ましくはタンパク質を含まない、請求項1〜7のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項9】
飲料が0.1重量%未満の乳化剤を含み、好ましくは乳化剤を含まない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の飲料を製造するための脂肪粉末であって、油相又は脂肪相及び親水コロイドを含む、前記脂肪粉末。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の飲料を製造するためのエマルションであって、油相又は脂肪相、親水コロイド及びある程度の(好ましくは多くとも30%、特に多くとも15%)本発明による飲料の水相を含む、前記エマルション。
【請求項12】
本発明による脂肪粉末から本発明による飲料を製造する方法であって、飲料の水相に脂肪粉末を分散させる工程を含む、前記方法。
【請求項13】
本発明によるエマルションから本発明による飲料を製造する方法であって、エマルションをまだ不足している水相と合わせる工程を含む、前記方法。
【請求項14】
水中油型エマルションである飲料中の油相又は脂肪相のクリーム化を遅延させるか、又は防止するためのゲラン及びペクチンの混合物である親水コロイドの使用。
【請求項15】
親水コロイドがゲラン及びペクチンの質量比1:10〜10:1の混合物である、請求項14に記載の使用。

【公表番号】特表2013−518566(P2013−518566A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551538(P2012−551538)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000402
【国際公開番号】WO2011/095306
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】