説明

飲料

【課題】低分子化した低強度寒天を糊状感のない範囲の寒天濃度で使用しても、白濁せず、ゲルや内容物が沈殿を起こしにくい飲料を提供する。
【解決手段】本発明は、重量平均分子量が1万〜10万である低強度寒天と、DEが1〜10である澱粉分解物と、改質キサンタンガムとを含有し、低強度寒天の濃度が0.02〜3.0重量%であることを特徴とする飲料である。本発明に係る飲料は、10℃における粘度が4〜300mPa・sであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白濁、沈殿を起こしにくい寒天含有飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
天然の多糖類である寒天を加水分解して低分子化した、低強度の寒天が上市され、多くの用途に利用されている。通常、寒天を低ゼリー強度が要求される用途に用いる場合、寒天濃度を下げて使用してゼリー強度を下げる必要があるが、寒天濃度を下げると離水が生じやすくなってしまう。低強度寒天は、寒天濃度を下げることなく低ゼリー強度を得られるため、例えば、特許文献1には低強度寒天を含有した様々な食品に関して記載され、特許文献2には低強度寒天を含有した飲料に関する応用が記載されている。
【0003】
しかしながら、低強度寒天を含有した飲料において、低強度寒天は、現状では食物繊維強化やネクター状の食感改良にとどまっており、近年好まれるすっきりとした飲み口、キレ、のど越しなどの嗜好を考慮すると、低強度寒天の中でも、さらに低分子量の寒天を使用することが好ましい。しかし、重量平均分子量で1万〜10万と低分子化した低強度寒天を糊状感のない範囲の寒天濃度で使用すると、寒天のゲル強度が低く、ゲルが輸送途中で壊れると、離水が生じゲル自体や果肉などの内容物が沈殿し、まったくの水槽部分と寒天部分に分かれてしまう問題がある。沈殿した低強度寒天は、短分子のため光透過性が乏しく、通常の寒天よりもより白濁しやすい。また、低強度寒天と赤ぶどう果汁とを混合すると、ぶどうの中のポリフェノールと低強度寒天が結合して沈殿(滓下げ効果)を起こすという問題もある。
【0004】
このような低強度寒天の離水を防止するために、例えば、特許文献3には、寒天成分の分子が短く切断された低強度寒天のみをゲル化剤として含有する飲用の寒天食品に、カリウムイオン及び/又は二価のカチオンを添加することによって離水を防止する方法が記載されている。また、透明な寒天飲料として、例えば引用文献4に、普通寒天とキサンタンガムを使用した透明な水飲料の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2795424号公報
【特許文献2】特許第318428号公報
【特許文献3】特開2008−43310号公報
【特許文献4】特開2008−43311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載の寒天食品は、pHが限定されており、カリウムイオン及び/又は二価のカチオンを添加しなければならないため、使用できる飲用食品が限られてしまうなどの問題がある。また、低強度寒天を使用しているため透明性が損なわれてしまい商品価値が低下してしまう問題がある。さらに、特許文献4に記載の飲料は、普通寒天を使用しているため寒天濃度の低い飲料しか得られず、また、キサンタンガムを使用しているためすっきりとした飲み口にならない問題がある。
【0007】
そのため、飲料の種類を問わず、低分子化した低強度寒天を糊状感のない範囲の寒天濃度で使用しても、白濁せず、ゲルや内容物が沈殿を起こしにくい飲料が要望されている。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低分子化した低強度寒天を糊状感のない範囲の寒天濃度で使用しても、白濁せず、ゲルや内容物が沈殿を起こしにくい飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討した結果、低強度寒天と、DEが1〜10である澱粉分解物と、改質キサンタンガムとを含有させた飲料は、低分子化した低強度寒天を糊状感のない範囲の寒天濃度で使用しても、白濁せず、ゲルや内容物が沈殿を起こしにくいことを見出し本発明に至った。
【0010】
すなわち本発明は、重量平均分子量が1万〜10万である低強度寒天と、DEが1〜10である澱粉分解物と、改質キサンタンガムとを含有し、低強度寒天の濃度が0.02〜3.0重量%であることを特徴とする飲料に関する。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、低分子化した低強度寒天を糊状感のない範囲の寒天濃度で使用しても、白濁せず、ゲルや内容物が沈殿を起こしにくい飲料を提供することができる。本発明に係る飲料は、白濁せず、沈殿を起こしにくい、粘性を有するがすっきりとした飲み口の寒天含有飲料である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、重量平均分子量(Mw)が1万〜10万である低強度寒天と、DEが1〜10である澱粉分解物と、改質キサンタンガムとを併用することにより、粘度があってもすっきりとした飲み口の飲料である。
【0013】
本発明に係る飲料は、糊状感のない範囲である程度の粘性、すなわちとろみを有するが、通常の飲料と同様の食感で摂食可能な飲料であり、見かけ上ゼリー状態を維持しているゼリー状飲料などとは異なる。ゼリー状飲料はダイス状のゲルが飲料中に含有されているものや、全体がゲル状になっており飲むときにゲルを破壊させながら飲むものであり、本発明のように粘性を有するか、有しても極粘性の低い飲料とは異なる。具体的に、本発明に係る飲料の10℃における粘度は、4〜300mPa・sであることが好ましく、6〜50mPa・sがより好ましい。粘度が300mPa・sを超えると、粘性が高すぎ糊状感がでて飲み心地が悪くなるため好ましくない。本発明に係る飲料の粘度は、低強度寒天や改質キサンタンガムの濃度を変えることによって調整することができる。
【0014】
本発明に係る飲料において、低強度寒天とは、寒天成分の分子を切断し、ゼリー強度が1.5%寒天濃度で250g/cm以下の範囲に調整された寒天をいい、その調整方法は、例えば特許第3414954号や特許第3023244号に記載の方法などが挙げられるが、特に限定されない。本発明において使用される低強度寒天のレオメーターにおけるより好ましいゼリー強度の範囲は、1.5%寒天濃度で1〜250g/cm、特に好ましい範囲は、1.5%寒天濃度で5〜30g/cmである。通常の寒天のように、ゼリー強度が1.5%寒天濃度で250g/cmより大きい寒天では、上記とろみ感を付与しようとすると、ゼリー化してしまいとろみ感を付与できないため好ましくなく、また、ゲル化しない程度の低濃度で使用してもすっきりとしたのど越しの飲料にならない。また、低強度寒天の重量平均分子量は、1万〜10万であり、1万〜7万が好ましく、1万〜5万がより好ましい。
【0015】
上記低強度寒天の濃度は、0.02〜3.0重量%であり、好ましくは、0.05〜1.0重量%、さらに好ましくは、0.05〜0.5重量%である。0.02重量%未満では、寒天による飲み口の改善効果や内容物の沈殿防止効果が得られず好ましくない。また、3.0重量%を超えるとゼリー化して飲料として飲めなくなるため好ましくない。
【0016】
上記重量平均分子量の低強度寒天は、寒天分子が短く切断されているため、その溶液は、ゲル化してゼリー状になると白濁しやすい。そのため、白濁を防止するために、本発明においては、澱粉分解物が好ましく用いられる。
本発明に係る飲料において、澱粉分解物としては、飲料の透明性を上げる点からマルトデキストリン又は高度分岐環状デキストリンが好ましい。マルトデキストリンとしては市販品としてパインデックス(松谷化学工業)などが挙げられ、高度分岐環状デキストリンとしてはクラスターデキストリン(江崎グリコ)などが挙げられる。
【0017】
上記澱粉分解物のDE(Dextrose Equivalent)は、1〜10の範囲が好ましく、1〜6の範囲がより好ましい。DEが10を超えると、飲料の透明性が悪くなるため好ましくない。
【0018】
また、本発明に係る飲料において、低強度寒天の離水を防止するために、改質キサンタンガムが好ましく用いられる。改質キサンタンガムとは、キサンタンガムを粉末状態で加熱処理することにより得られるものをいい、例えば、特許第3524272号に記載されているように、精製されたキサンタンガムを粉末状態で、かつ80℃以上で加熱処理することにより、水溶液の曳糸性を低下させると同時に、濃度1%、25℃の水溶液で1200cps以上の粘度を持つように改質された改質キサンタンガムを用いることができる。本発明に係る飲料においては、後述する実施例からも分かるとおり、通常のキサンタンガムを使用すると、曳糸性がありすっきりとした飲み口にならず、改質キサンタンガムを用いることで、すっきりとした飲み口、キレ、のど越しなどを実現することが出来る。すなわち、改質キサンタンガムを使用することにより、とろみ感があるにもかかわらずのど越しの優れた飲料が提供できる。
【0019】
また、上記改質キサンタンガムの中でも、透明性が高くすっきりとした飲み口にする効果の高い高吸水性改質キサンタンガムが好ましい。この高吸水性改質キサンタンガムは、水に吸水膨潤するが、水に不溶の特性を有するように調製されていることが好ましい。水不溶性とすることで、不要な粘度の上昇を抑えることが出来る。すなわち、高吸水性改質キサンタンガムは、吸水能力以上の水、例えば500倍の水に分散されたときに、可溶して均一な水溶液状態となることは好ましくなく、可溶せず、吸水膨潤部分と水のみの部分が不均一な状態で混合するよう調製されていることが好ましい。このような高吸水性改質キサンタンガムとしては、例えば特許第4199453号に記載されているように、水が加えられると吸水して含水ゲル状になり吸水量が10g/g以上である改質キサンタンガムが挙げられる。
【0020】
上記低強度寒天とDEが1〜10の澱粉分解物と改質キサンタンガムとの3種類を組み合わせることにより、白濁せず、経時的沈殿も起こしにくい飲料を提供することができる。上記改質キサンタンガムの使用量としては、低強度寒天に対し、1:0.1〜1:10であることが好ましく、1:0.3〜1:5がより好ましい。また、上記澱粉分解物の使用量としては、低強度寒天に対し、1:0.1〜1:100であることが好ましく、1:0.3〜1:50がより好ましい。
【0021】
本発明に係る飲料は、上記低強度寒天、澱粉分解物及び改質キサンタンガム以外にも、本発明に係る効果を妨げない範囲で他の添加物を含んでいてもよい。添加物としては、糖類、酸味料、香料、多糖類、ビタミン、ミネラル、及びタンパク質等が挙げられる。糖類としては、例えば、ブドウ糖、エリスリトール、ソルビトール、及びフルクトースなどの単糖類、シュクロース、マルトース、及びトレハロースなどの2糖類、並びにオリゴ糖などが挙げられる。酸味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、及びフマル酸などが挙げられる。香料としては、一般に食品に使用されているものを用いることができる。多糖類としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、フェヌグリークガム、タマリンドガム、カラギナン、ジェランガム、ネーティブジェランガム、ペクチン、デンプン、及びアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。ビタミン及びミネラルとしては、一般に食品に使用されているものを用いることができる。タンパク質としては、例えば、コラーゲン、ゼラチン及び乳清などが挙げられる。
【0022】
本発明に係る飲料は、例えば、上記低強度寒天と澱粉分解物と改質キサンタンガムとを水に加え加熱溶解し、糖や果汁またはお茶抽出液などを加えた後、加熱殺菌し容器に充填する製法や直接お茶などの抽出液に溶解して同様に製造する方法などにより製造することが出来る。
【0023】
本発明に係る飲料の種類は特に限定されないが、白濁せず、沈殿を起こしにくいため、緑茶などの各種茶飲料、透明果汁飲料、嚥下飲料などの飲料に好適に利用できる。
【0024】
また本発明に係る飲料は、重量平均分子量(Mw)が1万〜10万である低強度寒天を使用しているため、見かけ上はゲルを形成していなくても、分子レベルでは寒天分子の三次元マトリックスが形成されており、みかんのさのうなどの固形分が入った、固形物含有飲料の沈殿を防止することができる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。先ず、それぞれの実験例において使用した原料を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
(寒天5の製造方法)
ウルトラ寒天イーナ1000gを水10kgに分散し沸騰溶解後、80℃に調整し、クエン酸3gを加え10分間保持した。これにクエン酸Naを4g加え中和後冷却してゲル化させた。これをフリーズドライ(真空凍結乾燥機、TF10−85ATNNN,宝製作所社製)により乾燥し粉末化することで、寒天5を製造した。得られた寒天5の重量平均分子量は、HPLCにより12000であることを確認した。
【0028】
実験例1(実施例1、比較例1〜3)
表2に示した配合にて実施例1、比較例1〜3に係る緑茶飲料を作製した。具体的(5kg仕込)には、緑茶に寒天、キサンタンガム又は改質キサンタンガム、澱粉分解物を分散又は溶解し121℃でUHT処理後(MPHE/TTHE,パワーポイントインターナショナル社製)50℃に冷却し500mLのPET容器に充填後、10℃に冷却した。この緑茶飲料の食感と透明性を比較した。評価はパネラー10名により飲料の喉越し(飲み口)、及び透明度を目視にて比較した。良いものに1点を与えて評価し結果を表3に示した。また飲料の液粘性をB型粘度計(芝浦システム社製、ビスメトロン、VS−A、測定温度10℃、ローター回転数60rpm、使用ローター:100mPa・sまで1号、100〜500mPa・sは2号、500〜2000mPa・sは3号)にて測定した。さらに軽く振とうした飲料を10℃に1週間静置して沈殿(分離)の状態を観察した。
【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
以上のように、低強度寒天と改質キサンタンガム、デキストリンを使用した飲料は、のど越しがよく透明性も高かった。また実施例1はPET容器への付着が比較例1〜3に比べ少なかった。
【0032】
実験例2(実施例2〜4、比較例4〜6)
表4に示した配合にて実施例2〜4、比較例4〜6に係る飲料を作製した。具体的(5kg仕込)には、緑茶に寒天、改質キサンタンガム、澱粉分解物を分散又は溶解し121℃でUHT処理後(MPHE/TTHE,パワーポイントインターナショナル社製)50℃に冷却し500mLのPET容器に充填後、10℃に冷却した。この緑茶飲料について、のど越し、透明度、粘度、沈殿(分離)の状態を実験例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
【0033】
【表4】

【0034】
【表5】

【0035】
以上のように、重量平均分子量が100000の寒天2、改質キサンタンガム、DE4のデキストリンを使用した実施例2〜4はのど越し(飲み口)も透明度も良好であったのに対し、重量平均分子量が200000の寒天3を使用した比較例4〜6はのど越しにおいて悪いという評価であった。
【0036】
実験例3(実施例5〜7、比較例7〜9)
表6に示した配合にて実施例5〜7、比較例7〜9に係る飲料を作製した。具体的(5kg仕込)には、緑茶に寒天、改質キサンタンガム、澱粉分解物を分散又は溶解し121℃でUHT処理後(MPHE/TTHE,パワーポイントインターナショナル社製)50℃に冷却し500mLのPET容器に充填後、10℃に冷却した。この緑茶飲料について、のど越し、透明度、粘度、沈殿(分離)の状態を実験例1と同様に評価した。結果を表7に示す。
【0037】
【表6】

【0038】
【表7】

【0039】
以上のように、DE10以下の澱粉分解物を使用することにより、のど越しがよく透明度の良い飲料を作ることができた。
【0040】
実験例4(実施例8〜13、比較例10〜11)
表8に示した配合にて実施例8〜13、比較例10〜11に係る飲料を作製した。具体的(5kg仕込)には、水に寒天、改質キサンタンガム、澱粉分解物を分散又は溶解し95℃で加熱処理後(MPHE/TTHE,パワーポイントインターナショナル社製)70℃に冷却し、砂糖、果汁、クエン酸、クエン酸ナトリウムを加え溶解した。溶解後さらにみかんのさのうを少量加え、瓶に充填し、85℃で30分間加熱処理し、10℃に冷却した。これらの飲料について、のど越し、透明度、粘度、沈殿(分離)の状態を実験例1と同様に評価した。さらに、10℃、1週間後のみかんのさのうの沈殿状態も確認した。結果を表9に示す。
【0041】
【表8】

【0042】
【表9】

【0043】
以上のように、寒天濃度は0.02〜3.0%がのど越しがよく、且つ透明な飲料が得られた。またみかんのさのうの沈殿も抑えられた。
【0044】
実験例5(実施例14〜15、比較例12)
表10に示した配合にて実施例14〜15、比較例12に係る飲料を作製した。具体的(5kg仕込)には、水に寒天、キサンタンガム又は改質キサンタンガム、澱粉分解物を分散又は溶解し95℃で加熱処理後(MPHE/TTHE,パワーポイントインターナショナル社製)70℃に冷却し、砂糖、果汁、クエン酸、クエン酸ナトリウムを加え溶解した。溶解後さらにみかんのさのうを少量加え、瓶に充填し、85℃で30分間加熱処理し、10℃に冷却した。これらの飲料について、のど越し、透明度、粘度、沈殿(分離)の状態を実験例1と同様に評価した。さらに、10℃、1週間後のみかんのさのうの沈殿状態も確認した。結果を表11に示す。
【0045】
【表10】

【0046】
【表11】

【0047】
以上のように、改質キサンタンガムは不溶化された改質キサンタンガム1を用いたものが最も効果があった。また、キサンタンガムを用いた比較例12は、すっきりとした飲み口にならず、のど越しの評価が悪かった。
【0048】
実験例6(実施例16〜23)
表12に示した配合にて実施例16〜23に係る飲料を作製した。具体的(5kg仕込)には、水に寒天、改質キサンタンガム、澱粉分解物を分散又は溶解し95℃で加熱処理後(MPHE/TTHE,パワーポイントインターナショナル社製)70℃に冷却し、砂糖、果汁、クエン酸、クエン酸ナトリウムを加え溶解した。溶解後さらにみかんのさのうを少量加え、瓶に充填し、85℃で30分間加熱処理し、10℃に冷却した。これらの飲料について、のど越し、透明度、粘度、沈殿(分離)の状態を実験例1と同様に評価した。さらに、10℃、1週間後のみかんのさのうの沈殿状態も確認した。結果を表13に示す。
【0049】
【表12】

【0050】
【表13】

【0051】
以上のように、改質キサンタンガムの使用量としては、低強度寒天に対し、1:0.1〜1:10であることが好ましく、1:0.3〜1:5がより好ましかった。また、上記澱粉分解物の使用量としては、低強度寒天に対し、1:0.1〜1:100であることが好ましく、1:0.3〜1:50がより好ましかった。
【0052】
実験例7(実施例24〜27、比較例13)
表14に示した配合にて実施例24〜27、比較例13に係る飲料を作製した。具体的(5kg仕込)には、緑茶に寒天、改質キサンタンガム、澱粉分解物を分散又は溶解し121℃でUHT処理後(MPHE/TTHE,パワーポイントインターナショナル社製)50℃に冷却し500mLのPET容器に充填後、10℃に冷却した。この緑茶飲料について、のど越し、透明度、粘度、沈殿(分離)の状態を実験例1と同様に評価した。結果を表15に示す。
【0053】
【表14】

【0054】
【表15】

【0055】
以上のように、寒天の重量平均分子量が12000〜100000である実施例24〜27はのど越しが良好であったのに対し、重量平均分子量が200000である比較例13はのど越しにおいて悪いという評価であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が1万〜10万である低強度寒天と、DEが1〜10である澱粉分解物と、改質キサンタンガムとを含有し、低強度寒天の濃度が0.02〜3.0重量%であることを特徴とする飲料。
【請求項2】
10℃における粘度が4〜300mPa・sであることを特徴とする請求項1記載の飲料。
【請求項3】
上記澱粉分解物がマルトデキルトリン又は高度分岐環状デキストリンである請求項1又は2記載の飲料。
【請求項4】
上記改質キサンタンガムが高吸水性改質キサンタンガムである請求項1乃至3いずれか記載の飲料。


【公開番号】特開2013−55890(P2013−55890A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194692(P2011−194692)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000118615)伊那食品工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】