説明

飲用水製造充填システム

【課題】飲用水製造充填システムに係るコスト及びスペースを低減しつつ、より確実に当該システムを殺菌消毒できる技術を提供する。
【解決手段】製品水ボトル50を洗浄するプレリンサー32及びリンサー34と飲用水を製品水ボトル50に充填するフィラー36とを備える飲用水製造充填システムにおいて、加熱殺菌のための電気温水器を排除し、原水に逆浸透膜装置(RO装置)16を通過させた後のRO水を貯留するろ過水タンク2に電熱ヒータ2aを設け、この電熱ヒータ2aで加熱した熱水を用いてプレリンサー32、リンサー34及びフィラー36を殺菌消毒する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲用水を製造するとともに該飲用水をボトルに充填する飲用水製造充填システムであって、特に、配管ラインを含む当該システムの各要素を消毒殺菌するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ミネラルウォータなどの飲用水を収容する3ガロン前後の大容量ボトルは、その飲用水の消費後に回収され洗浄されてから、内容物が再充填されることで、繰り返し利用されている。
【0003】
飲用水製造充填システムには、市水や地下水などの原水をろ過してろ過水にするとともに、このろ過水から飲用水を生成するものがある。このろ過水は、例えば、ポリエチレンなどの樹脂製のろ過水タンクに一旦貯留され、その後、必要に応じて後処理がされた上で充填装置に送られ、充填装置におけるノズルを介してボトルに充填される。
【0004】
このような飲用水製造充填システムにおいては、製造される飲用水は風味の観点から紫外線殺菌などの非加熱殺菌される場合が多い。しかしながら、衛生上の観点からは配管ラインを含むシステムの各要素をさらに高度なレベルまで洗浄することが要求されている。従来の殺菌システムでは、ろ過水タンクの下流側に殺菌目的で設けられた電気温水器で90℃に加熱した熱水を充填装置のノズルに供給することでノズル及び近傍の配管を殺菌し、その後熱水は排水溝にブローさせることが一般的であった。
【0005】
この場合、ろ過水を一次的に貯留するろ過水タンクから充填装置に至る配管ラインの一部については加熱殺菌されないため、それを補うため定期的に塩素系殺菌剤によりCIP洗浄を行っていたのが実情である。その結果、殺菌消毒のためのシステムが複雑になる不都合があった。また、殺菌消毒の目的のために電気温水器を特別に設置していたためシステム全体の規模及びコストを増大させる原因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−000433号公報
【特許文献2】特開2011−147880号公報
【特許文献3】特開平5−310295号公報
【特許文献4】特開2004−074109号公報
【特許文献5】特開2007−054784号公報
【特許文献6】特開2007−276819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の現状に鑑みて案出されたものであり、その目的は、飲用水製造充填システムに係るコスト及びスペースを低減しつつ、より確実に当該システムを殺菌消毒できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、ボトルを洗浄する洗浄装置と飲用水をボトルに充填する充填装置とを備える飲用水製造充填システムにおいて、加熱殺菌のための電気温水器を排除し、原水をろ過した後のろ過水を貯留するろ過水タンクに加熱装置を設け、この
加熱装置で加熱した熱水を用いて充填装置と洗浄装置とを殺菌消毒することを最大の特徴とする。
【0009】
より詳しくは、原水をろ過して飲用水とするとともに、該飲用水をボトルに充填する飲用水製造充填システムであって、
前記原水をろ過したろ過水を一時的に貯留するろ過水タンクと、
前記ボトルを洗浄する洗浄装置と、
前記洗浄装置によって洗浄されたボトルに前記ろ過水タンクに貯留されたろ過水から生成した飲用水を充填する充填装置と、
を備え、
前記ろ過水タンクは貯留しているろ過水を加熱する加熱装置を有し、
前記ろ過水タンク内で加熱された熱水を前記充填装置及び前記洗浄装置に供給することで、前記充填装置及び洗浄装置を殺菌消毒する殺菌装置をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、従来、殺菌消毒のために設置されていた電気温水器を省略でき、ろ過水タンクで加熱された熱水を用いて、充填装置及び洗浄装置を殺菌することができる。よって、殺菌消毒できる配管ラインの範囲を拡大できるとともにシステムのコスト及びスペースを低減することが可能になる。なお、ろ過水タンクは一般的にはポリエチレンなどの樹脂で形成される場合が多いが、本発明においてはろ過水タンクをSUSで形成するとよい。これによりろ過水タンクの耐熱性を向上させるとともに錆を予防することができる。
【0011】
また、本発明においては、前記洗浄装置は、前記ボトルの汚れを予備的に流し落とす予備洗浄装置と、
前記ボトルの汚れを飲用水の充填が可能なレベルまで洗浄する本洗浄装置と、
を有し、
前記殺菌装置は、前記熱水を前記充填装置及び前記本洗浄装置に供給するとともに、前記充填装置を洗浄後に該充填装置から排出された前記熱水を前記予備洗浄装置に供給することで前記充填装置及び洗浄装置を殺菌消毒するようにしてもよい。
【0012】
ここで、ボトルの洗浄装置には、ボトルの汚れを予備的に流し落とす予備洗浄装置と、ボトルの汚れを飲用水の充填可能なレベルまで洗浄する本洗浄装置の二段階の洗浄装置で洗浄するものがある。この場合、ろ過水タンク内のろ過水を加熱した熱水を二段階の洗浄装置と充填装置に並列に供給した場合には、ろ過水タンク自体や、その加熱装置の容量を大きくしなければならない等の不都合があった。
【0013】
本発明においては、充填装置を殺菌消毒した後に充填装置から排出された熱水を予備洗浄装置に供給して殺菌消毒することとした。これは、充填装置の必要箇所を殺菌消毒したとしても熱水の温度低下が小さく、充填装置からの排熱水でも充分に予備洗浄装置を殺菌可能であることを利用したものである。
【0014】
これによれば、ろ過水タンク内で加熱された熱水をより有効に使用することができ、ろ過水タンクや加熱装置の容量を抑えてコストやスペースを低減できるとともに、エネルギーの無駄を排除することが可能である。
【0015】
また、本発明においては、前記充填装置は、前記ろ過水タンクから供給されるろ過水から生成した前記飲用水を複数のノズルから注入することで複数の前記ボトルに充填する充填部と、
前記充填部において前記飲用水が充填された前記ボトルにキャップを取り付ける閉蓋部と、
前記充填部における余剰の飲用水を受容する飲用水パンと、
を有し、
前記殺菌装置は、前記熱水を前記ろ過水タンクから前記充填部の複数のノズルに供給することで前記充填部を殺菌消毒するようにしてもよい。
【0016】
これによれば、製品水をボトルに充填する際に用いられ、最も厳しく衛生管理されるべき充填部のノズルに、ろ過水タンクからの熱水を直接的に供給することができ、より確実に殺菌消毒することが可能となる。
【0017】
また、本発明においては、前記予備洗浄装置は、前記原水を貯留する予備洗浄タンクと、
前記予備洗浄タンクから供給される水をノズルから噴出することで、該予備洗浄装置に投入された前記ボトルの外部を洗浄する予備洗浄部と、
を有し、
前記殺菌装置は、前記充填装置における前記飲用水パンと前記予備洗浄タンクを連通する連通管をさらに有し、
前記充填部を殺菌消毒した後の熱水を前記連通管を介して前記予備洗浄タンクに供給することで、前記予備洗浄タンク及び前記予備洗浄部を殺菌消毒するようにしてもよい。
【0018】
これによれば、充填装置を殺菌消毒した際に飲用水パンで受容された余剰の熱水を、連通管を介して予備洗浄タンクに供給することができる。そして、予備洗浄タンクにおける熱水をノズルに供給して噴出させることで、予備洗浄装置において衛生管理の重要性の高い部分につき、効率的に殺菌消毒することが可能となる。また、本来捨てていた熱水を用いての殺菌消毒が可能となるため、システムのランニングコストやエネルギーの無駄を排除することが可能となる。
【0019】
また、本発明によれば、前記本洗浄装置は、該本洗浄装置に投入された前記ボトルの内部及び外部を最初に洗浄する第一洗浄部と、
前記第一洗浄部による洗浄の後に、前記ボトルの内部及び外部を二度目に洗浄する第二洗浄部と、
前記第二洗浄部による洗浄の後に、前記ボトルの内部及び外部に対し、水または温水によるすすぎを行うすすぎ部と、
前記すすぎ部によるすすぎの後に、前記ボトルの内部を、前記ろ過水タンクから供給されるろ過水から生成した前記飲用水で洗浄する最終洗浄部と、
を有し、
前記殺菌装置は、前記熱水を前記ろ過水タンクから前記最終洗浄部に供給することで前記最終洗浄部を殺菌消毒するようにしてもよい。
【0020】
これによれば、ボトルを最終洗浄するための最終洗浄部に対し、ろ過水タンクの熱水を直接的に供給することで、より確実に殺菌消毒することが可能となる。その結果、より確実に、ボトルの衛生管理を行うことが可能である。
【0021】
なお、上記の手段は、可能な限り互いに組み合わせて使用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、飲用水製造充填システムに係るコスト及びスペースを低減しつつ、より確実に当該システムを殺菌消毒することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の前提となるボトルドウォータ製造充填システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の前提となるプレリンサーの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の前提となるリンサーの概略構成を示す図である。
【図4】本発明の前提となるフィラーの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係るボトルドウォータ製造充填システムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例に係るリンサーの概略構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例に係るフィラーの概略構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例に係るプレリンサーの概略構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例2に係るナチュラルウォータ製造充填システムの概略構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施例3に係るミネラルウォータ製造充填システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
〔実施例1〕
図1を用いて、先ず、本実施例の前提となる従来のボトルドウォータ製造充填システム100の概略構成及び作用について説明する。このシステムにおいては、市水である原水10が給湯器12で加温された後、原水タンク14に一旦貯留される。そして、原水タンク14内の原水は図示しないポンプで圧送されてフィルタ16を通過する。このフィルタ16は、主に糸巻フィルタ、活性炭フィルタなどからなり、このフィルタ16によって、原水中の遊離塩素や溶解有機物や色素・濁度、臭気、油分などが除去される。
【0026】
フィルタ16を通過した原水は、次にRO装置18に流入する。このRO装置18内において、原水は加圧ポンプ(不図示)によって加圧された後、RO膜(逆浸透膜:不図示)を通過する。このことで、原水からイオンや塩類・低分子物質(無機塩、糖類、アミノ酸)など水以外の不純物がさらに除去されて原水は純水(RO水)とされる。このRO水は、ミネラル分20が加えられた後、ろ過水タンク22に一旦貯留される。
【0027】
ろ過水タンク22から送り出されたRO水は、後述する電気温水器24をバイパスして紫外線殺菌装置26を通過する。この紫外線殺菌装置26において紫外線がRO水に照射されることで、何らかの原因でRO水中に有害なバクテリアやウイルス、菌や藻が存在した場合でもこれらが破壊される。このように紫外線により最終殺菌されたRO水は、製品水ボトル50を洗浄するリンサー34へボトル内の最終洗浄用に供給されるとともに、製品水ボトル50にRO水を充填するフィラー36に製品水として供給される。
【0028】
これとは別に、原水10は、洗浄水タンク28に一旦貯留された後、製品水ボトル50の予備的な洗浄を行うプレリンサー32及び、リンサー34に洗浄用の水として供給される。さらに、原水10は、一般用給湯器30で加温された後リンサー34に供給される。そして、リンサー34内では、洗浄水タンク28から供給された洗浄用の水と一般用給湯器30で加温された原水とが混合されて、洗浄に適した温度となるように調整される。
【0029】
なお、製品水ボトル50は、市場から回収された後、プレリンサー32に投入される。プレリンサー32においては洗浄水タンク28から供給される原水により、製品水ボトル50の予備的な洗浄が行われる。予備的な洗浄が終了した製品水ボトル50は、次に、リンサー34に移動する。そして、二度に亘る洗浄、すすぎ、及び、RO水による最終洗浄が行われる。そして、製品ボトル50はフィラー36に移動し、フィラー36において最終的に製品水が充填されるとともにキャップが取り付けられる。フィラー36による製品
水の充填とキャップ取り付けが終了した後、製品水ボトル50は製品として出荷される。
【0030】
なお、上記において、プレリンサー32は予備洗浄装置に相当する。リンサー34は本洗浄装置に相当する。また、プレリンサー32とリンサー34とを合わせたものが洗浄装置に相当する。フィラー36は充填装置に相当する。
【0031】
次に、図2を用いて、本発明の前提となるプレリンサー32の詳細について説明する。図2に示すように、プレリンサー32は、ベルトコンベア322によって製品水ボトル50を移動させながら、原水10による予備洗浄を行う装置である。プレリンサー32には予備洗浄タンクとしての予備洗浄槽326が設けられている。予備洗浄槽326には、原水10が供給され、供給された原水が貯留されるようになっている。また、ベルトコンベア322には、製品水ボトル50が装着される装着部材324が等間隔で設けられている。そして、ベルトコンベア322の開始側の端部において、ボトル装着装置321によって、製品水ボトル50の注ぎ口が装着部材324に装着される。装着部材324に装着された製品水ボトル50は、注ぎ口を下にした状態でベルトコンベア322のベルトの走行に伴って移動する。
【0032】
装着部材324に装着された製品水ボトル50の移動先には、予備洗浄ノズル330a〜330fが設けられている。予備洗浄ノズル330a、330c、330d、330fには、予備洗浄槽326からの原水が予備洗浄ポンプ328によって圧送供給されている。そして、予備洗浄ノズル330a、330c、330d、330fから、製品水ボトル50の外側に原水が吹き付けられることで予備洗浄が行われる。
【0033】
一方、予備洗浄ノズル330b及び330eには、原水10が直接供給されている。そして、予備洗浄ノズル330b及び330eからは、装着部材324に形成された不図示の開口部を介して原水が製品水ボトル50の内部に吹き付けられる。このことにより、製品水ボトル50の内部が予備洗浄される。
【0034】
予備洗浄ノズル330a〜330fによる予備洗浄が行われた製品水ボトル50には、エアコンプレッサ323に接続された予備エアノズル332からエアが吹き付けられる。これによって製品水ボトル50の外面の水滴及び異物が吹き飛ばされる。そして、ボトル脱離装置334によって製品水ボトル50は装着部材324から取り外される。取り外された製品水ボトル50は自動的にリンサー34に供給される。なお、上記において予備洗浄ポンプ328及び予備洗浄ノズル330a〜330fは、予備洗浄部を構成する。
【0035】
次に、図3を用いて、本発明の前提となるリンサー34の概略構成と作用について説明する。リンサー34においては、ベルトコンベア342によって製品水ボトル50を移動させながら、原水による二度の洗浄とすすぎ、RO水によるファイナルリンスが行われる。図3に示すように、リンサー34には、第一洗浄槽346及び第二洗浄槽354が設けられている。第一洗浄槽346及び第二洗浄槽354には、原水10が直接供給されるとともに、原水10が給湯器12で加熱された温水が供給され一旦貯留される。また、第一洗浄槽346及び第二洗浄槽354には、電熱ヒータ346a及び354aが設けられており、貯留中の原水及び温水の混合水をさらに加熱して、洗浄に適した50℃〜60℃の温度に調整されるようになっている。また、第一洗浄槽346及び第二洗浄槽354には過酸化水素水供給器347から過酸化水素水が供給されており、この過酸化水素水を含んだ洗浄水により、二回の洗浄が行われることとなっている。
【0036】
また、リンサー34には、すすぎ槽362が設けられている。すすぎ槽362には、原水10が直接供給されるとともに、原水10が給湯器12で加熱された温水が供給され一旦貯留される。さらに、リンサー34には、ろ過水タンク22からのRO水が供給されて
おり、このRO水で製品水ボトル50の内部のファイナルリンスが行われる。
【0037】
次に、リンサー34の作用を製品水ボトル50の洗浄工程の順を追って説明する。ベルトコンベア342には、製品水ボトル50が装着される装着部材344が等間隔で固定されている。そして、ベルトコンベア342の開始側の端部において、ボトル装着装置341によって、製品水ボトル50の注ぎ口が装着部材344に装着される。装着部材344に装着された製品水ボトル50は、注ぎ口を下にした状態でベルトコンベア342のベルトの走行に伴って移動する。
【0038】
製品水ボトル50の移動先には、先ず、第一洗浄ノズル350a〜350fが設けられている。第一洗浄ノズル350a〜350fには、第一洗浄槽346からの洗浄水が第一洗浄ポンプ348によって圧送供給されている。第一洗浄ノズル350a、350c、350d、350fからは、製品水ボトル50の外側に洗浄水が吹き付けられる。また、第一洗浄ノズル350b及び350eからは、装着部材344を介して洗浄水が製品水ボトル50の内部に吹き付けられる。
【0039】
第一洗浄ノズル350a〜350fによる第一洗浄工程を通過した製品水ボトル50は、エアコンプレッサ343に接続された第一エアノズル352によってエアが吹き付けられ、水滴及び異物を吹き飛ばされる。そして、第二洗浄ノズル358a〜358fによる第二洗浄工程を通過する。この第二洗浄ノズル358a〜358fには、第二洗浄槽354からの洗浄水が第二洗浄ポンプ356によって圧送供給されている。第二洗浄ノズル358a、358c、358d、358fからは、製品水ボトル50の外側に洗浄水が吹き付けられる。また、第二洗浄ノズル358b及び358eからは、装着部材344を介して洗浄水が製品水ボトル50の内部に吹き付けられる。
【0040】
第二洗浄ノズル358a〜358fによる第二洗浄工程を通過した製品水ボトル50は、第二エアノズル360によって水滴及び異物を吹き飛ばされた後に、すすぎノズル366a〜366fによるすすぎ工程を通過する。このすすぎノズル366a〜366fには、すすぎ槽362からのすすぎ水がすすぎポンプ364によって圧送供給されている。すすぎノズル366a、366c、366d、366fからは、製品水ボトル50の外側にすすぎ水が吹き付けられる。また、すすぎノズル366b及び366eからは、装着部材344を介してすすぎ水が製品水ボトル50の内部に吹き付けられる。
【0041】
すすぎノズル366a〜366fによるすすぎ工程を通過した製品水ボトル50は、第三エアノズル368によって水滴及び異物を吹き飛ばされた後に、ファイナルノズル370によるファイナルリンス工程を通過する。このファイナルノズル370には、ろ過水タンク22からのRO水が直接供給されている。ファイナルノズル370から、装着部材344を介してRO水が製品水ボトル50の内部に吹き付けられることで、ファイナルリンスが行われる。
【0042】
ファイナルノズル370によるファイナルリンス工程を通過した製品水ボトル50は、ファイナルエアノズル372によって水滴及び異物を吹き飛ばされた後に、ボトル脱離装置374によって装着部材344から取り外される。取り外された製品水ボトル50は自動的にフィラー36に供給される。
【0043】
なお、上記において、第一洗浄工程を実行するための第一洗浄槽346、第一洗浄ポンプ348及び、第一洗浄ノズル350a〜350fを含んで第一洗浄部が構成される。また、第二洗浄工程を実行するための第二洗浄槽354、第二洗浄ポンプ356及び、第二洗浄ノズル358a〜358fを含んで第二洗浄部が構成される。また、すすぎ工程を実行するためのすすぎ槽362、すすぎポンプ364及び、すすぎノズル366a〜366
fを含んですすぎ部が構成される。さらに、ファイナルリンス工程を実行するためのファイナルノズル370を含んで最終洗浄部が構成される。
【0044】
次に、図4を用いて本発明の前提となるフィラー36の概略構成及び作用について説明する。フィラー36には、ベルトコンベア362が備えられている。ベルトコンベア362の上に、ファイナルリンス工程が終了した製品水ボトル50は略等間隔で載置される。製品水ボトル50はベルトコンベア362のベルトの走行に伴って移動する。フィラー36には第一充填ノズル364及び第二充填ノズル366が設けられている。
【0045】
この第一充填ノズル364及び第二充填ノズル366には、ろ過水タンク22からのRO水が紫外線殺菌装置26を経由して供給されている。そして、ベルトコンベア362上に載置された製品水ボトル50は、第一充填ノズル364及び第二充填ノズル366の下部に位置した際に、製品水(RO水)が充填される。そして、その後、キャッパー368によってキャップ50aが供給され、製品水ボトル50の注ぎ口の上に載置される。さらに、打栓装置370によってキャップ50aを製品水ボトル50に対して打栓することで製品水ボトル50をキャップ50aによって密閉する。キャップ50aによって密閉された製品水ボトル50は、出荷用ボトルとしてさらに後の工程に供給される。
【0046】
なお、上記において第一充填ノズル364及び第二充填ノズル366を含んで充填部が構成される。また、キャッパー368及び打栓装置370を含んで閉蓋部が構成される。
【0047】
次に、上述した従来の(本発明の前提となる)ボトルドウォータ製造充填システム100における殺菌作業について説明する。本システムにおいて熱水殺菌を行う場合には、ろ過水タンク22からのRO水に電気温水器24を通過させる。この電気温水器24によって水温を90℃まで上昇させ、その熱水をフィラー36に供給し、充填ノズル364及び366を通過させる。このことによって充填ノズル364、366及びその近傍の配管の殺菌作業を行う。
【0048】
従来のシステムにおいては、この殺菌作業を毎日、ボトルドウォータ製造充填作業の開始前に行っていた。しかしながら、ろ過水タンク22、プレリンサー32、リンサー34及び、ろ過水タンク22からフィラー36に到る一部の配管については熱水殺菌が行われていなかったのが実情である。よって、例えば、次亜塩素酸などの塩素系殺菌剤や過酸化水素水を用いたCIP洗浄を定期的に行う必要があった。また、上記の従来のシステムにおいては、殺菌用の熱水を生成するために電気温水器24を独立に備えていたため、システム全体が大型化、複雑化して装置コストも大きくなっていた。
【0049】
そこで、本実施例においては、ろ過水タンクに電熱ヒータを備え、ろ過水タンクに貯留されたRO水を95℃まで加熱し、この熱水を用いてシステムのより広い範囲を定期的に殺菌洗浄することとした。
【0050】
図5には、本実施例におけるボトルドウォータ製造充填システム1の概略構成を示す。ここで、図1における従来のボトルドウォータ製造充填システム100と同等の構成については、同じ符号を用いて説明は省略する。ボトルドウォータ製造充填システム1においては、ろ過水タンク2は、SUSなどの金属により形成されている(従来のシステムではポリエチレン製であった。)。そして、加熱装置としての電熱ヒータ2aを備えており、内部に貯留されたRO水を加温可能になっている。また、独立に設けた電気温水器24は除去されている。さらにリンサー34に供給された熱水のブローを、プレリンサー32に供給可能な連通管としてのブロー供給管33を備えている。
【0051】
そして、本実施例では、ボトルドウォータ製造充填作業の終了後、ろ過水タンク2に貯
留されたRO水を、電熱ヒータ2aにより95℃まで加熱する。そして、毎朝ボトルドウォータ製造充填作業の開始前に、ろ過水タンク2中の熱水を紫外線殺菌装置26を通過させた後、リンサー34及びフィラー36に供給し、リンサー34及びフィラー36におけるノズル類と関連する配管などを殺菌消毒する。リンサー34を殺菌消毒した後の熱水は概略85℃程度まで温度が低下しているが、この85℃の熱水を排水してしまうのではなく、ブロー供給管33により、プレリンサー32に供給することで、プレリンサー32の予備洗浄ノズル類と関連する配管、タンク類の殺菌消毒を行う。
【0052】
次に、プレリンサー32、リンサー34及びフィラー36のより具体的な殺菌消毒の態様について説明する。図6には、リンサー34における本発明による殺菌部分を太線で示す。本実施例では、ろ過水タンク2から供給された90℃の熱水により、特に最終的なリンス工程に関わるファイナルリンスノズル370及び関連する配管を殺菌消毒する。本実施例では、ろ過水タンク2から紫外線殺菌装置26を経由しファイナルリンスノズル370に到る配管を広い範囲で殺菌することが可能となる。また、リンス工程においてより重要なファイナルリンスノズル370を優先的に殺菌消毒するので、効率的にシステムの殺菌を行うことができる。
【0053】
また、図7には、フィラー36における本実施例による殺菌部分を太線で示す。ここにおいても、第一充填ノズル364及び第二充填ノズル366に加え、ろ過水タンク2から、紫外線殺菌装置26を経由し第一充填ノズル364、第二充填ノズル366に到る配管を殺菌することが可能である。また、従来は、電気温水器24で加熱された熱水で、第一充填ノズル364及び第二充填ノズル366を殺菌した後のブローは排水されていた。これに対し、本発明においては、第一充填ノズル364及び第二充填ノズル366を殺菌した後のブローは85℃程度の熱水であることから、この熱水をさらにプレリンサー32に供給し、プレリンサー32を殺菌する。すなわち、ブロー熱水は、飲用水パンとして設けられているフィラーパン372からブロー供給管33を通過してプレリンサー32に供給される。その際、フィラーパン372もまた殺菌消毒される。
【0054】
次に、図8には、プレリンサー32における本実施例による殺菌部分を太線で示す。図8から分かるように、フィラー36からのブロー供給管33は、プレリンサー32における予備洗浄槽326に連結されており、ブローによる熱水は、予備洗浄槽326に供給される。そして、予備洗浄ノズル330a、330c、330d、330fに供給される。このように、本実施例によれば、元来捨てられていたフィラー36からのブローによる熱水を利用して、プレリンサー32における予備洗浄槽326、予備洗浄ノズル330a、330c、330d、330f及び、その間の配管を殺菌消毒することができる。また、予備洗浄ノズル330a、330c、330d、330fから噴き出された熱水を排水するためのプレリンサーパン(不図示)をも殺菌消毒することができる。なお、上記においては、ろ過水タンク2、電熱ヒータ2a及び、図6、図7、図8において太線で示した要素によって本実施例の殺菌装置が構成されていることとなる。
【0055】
〔実施例2〕
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例においては、市水を原水としてボトルドウォータを製造するシステムではなく、天然水を原水としたナチュラルウォータを製造するシステムに本発明を適用した例について説明する。
【0056】
図9を用いて、本実施例に係るナチュラルウォータ製造充填システム3の概略構成及び作用について説明する。このシステムにおいては、天然水40が原水受水槽42に一旦貯留される。そして、原水受水槽42内の原水は図示しないポンプで圧送されて前フィルタ44を通過する。この前フィルタ44は、5μmバッグフィルタ、1μmフィルタ及び0
.65μmフィルタからなり、この前フィルタ44によって、天然水中の濁質が除去され
る。前フィルタ44を通過したろ過水は、ろ過水タンク4に一旦貯留される。
【0057】
ろ過水タンク4から送り出されたろ過水は、後フィルタ46を通過する。この後フィルタ46は、0.2μmMFフィルタからなり、後フィルタ46を通過することでろ過水の除菌が行われる。後フィルタ46によって除菌されたろ過水は、リンサー54へボトル内の最終洗浄用に供給されるとともに、製品水ボトル50にろ過水を充填するフィラー56に製品水として供給される。
【0058】
これとは別に、市水としての原水10が、洗浄水タンク48に一旦貯留された後、製品水ボトル50の予備的な洗浄を行うプレリンサー52及び、リンサー54に洗浄用の水として供給される。プレリンサー52、リンサー54及びフィラー56の作用については、実施例1において説明したものと同等であるので、ここでは説明を省略する。なお、上記において、プレリンサー52は予備洗浄装置に相当する。リンサー54は本洗浄装置に相当する。また、プレリンサー52とリンサー54とを合わせたものが洗浄装置に相当する。フィラー56は充填装置に相当する。
【0059】
また、本実施例においても、ろ過水タンク4は、SUSなどの金属により形成されている。そして、加熱装置としての電熱ヒータ4aを備えており、内部に貯留されたろ過水を加温可能になっている。また、さらにリンサー54に供給された熱水のブローを、プレリンサー52に供給可能な連通管としてのブロー供給管58が備えられている。
【0060】
そして、本実施例では、ナチュラルウォータ製造充填作業の終了後、ろ過水タンク4に貯留されたろ過水を、電熱ヒータ4aにより95℃まで加熱する。そして、毎朝ナチュラルウォータ製造充填作業の開始前に、ろ過水タンク4中の熱水をリンサー54及びフィラー56に供給し、リンサー54及びフィラー56におけるノズル類と関連する配管などを殺菌消毒する。リンサー54を殺菌消毒した後の熱水は概略85℃程度まで温度が低下しているが、この85℃の熱水を排水してしまうのではなく、ブロー供給管58により、プレリンサー52に供給することで、プレリンサー予備洗浄ノズル類と関連する配管、タンクの殺菌消毒を行う。
【0061】
〔実施例3〕
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例においては、天然水を原水としたミネラルウォータを製造するシステムに本発明を適用した例について説明する。
【0062】
図10を用いて、本実施例に係るミネラルウォータ製造充填システム5の概略構成及び作用について説明する。このシステムにおいては、実施例2で示したナチュラルウォータ製造充填システム3に対して、ろ過水タンク4から送り出されたろ過水が後フィルタ46を通過した後に、紫外線殺菌装置26を通過する点で、実施例2とは異なる。他の構成及び作用については、実施例2で示したナチュラルウォータ製造充填システム3と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0063】
そして、本実施例でも、ミネラルウォータ製造充填作業の終了後、ろ過水タンク4に貯留されたろ過水を、電熱ヒータ4aにより95℃まで加熱する。そして、毎朝ミネラルウォータ製造充填作業の開始前に、ろ過水タンク4中の熱水をリンサー54及びフィラー56に供給し、リンサー54及びフィラー56におけるノズル類と関連する配管などを殺菌消毒する。リンサー54を殺菌消毒した後の熱水は概略85℃程度まで温度が低下しているが、この85℃の熱水を排水してしまうのではなく、ブロー供給管58により、プレリンサー52に供給することで、プレリンサー予備洗浄ノズル類と関連する配管、タンクの殺菌消毒を行う。
【0064】
なお、本発明は、その趣旨から逸脱しない限り、上記の実施例に示した飲用水製造充填システム以外の構成を有するシステムに適用可能であることは当然である。また、本発明は、上記の実施例に示したプレリンサー、リンサー及びフィラーとは異なる構成・作用を有するプレリンサー、リンサー及びフィラーを備える飲用水製造充填システムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
2、3、4・・・ろ過水タンク
2a、3a、4a・・・電熱ヒータ
10、40・・・原水
12・・・給湯器
14・・・原水タンク
16・・・フィルタ
18・・・RO装置
20・・・ミネラル
22・・・ろ過水タンク
24・・・電気温水器
26・・・紫外線殺菌装置
28、48・・・洗浄水タンク
30・・・一般用給湯器
32、52・・・プレリンサー
34、54・・・リンサー
36、56・・・フィラー
44・・・前フィルタ
46・・・後フィルタ
50・・・製品水ボトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水をろ過して飲用水とするとともに、該飲用水をボトルに充填する飲用水製造充填システムであって、
前記原水をろ過したろ過水を一時的に貯留するろ過水タンクと、
前記ボトルを洗浄する洗浄装置と、
前記洗浄装置によって洗浄されたボトルに前記ろ過水タンクに貯留されたろ過水から生成した飲用水を充填する充填装置と、
を備え、
前記ろ過水タンクは貯留しているろ過水を加熱する加熱装置を有し、
前記ろ過水タンク内で加熱された熱水を前記充填装置及び前記洗浄装置に供給することで、前記充填装置及び洗浄装置を殺菌消毒する殺菌装置をさらに備えることを特徴とする飲用水製造充填システム。
【請求項2】
前記洗浄装置は、前記ボトルの汚れを予備的に流し落とす予備洗浄装置と、
前記ボトルの汚れを飲用水の充填が可能なレベルまで洗浄する本洗浄装置と、
を有し、
前記殺菌装置は、前記熱水を前記充填装置及び前記本洗浄装置に供給するとともに、前記充填装置を洗浄後に該充填装置から排出された前記熱水を前記予備洗浄装置に供給することで前記充填装置及び洗浄装置を殺菌消毒することを特徴とする、請求項1に記載の飲用水製造充填システム。
【請求項3】
前記充填装置は、前記ろ過水タンクから供給されるろ過水から生成した前記飲用水を複数のノズルから注入することで複数の前記ボトルに充填する充填部と、
前記充填部において前記飲用水が充填された前記ボトルにキャップを取り付ける閉蓋部と、
前記充填部における余剰の飲用水を受容する飲用水パンと、
を有し、
前記殺菌装置は、前記熱水を前記ろ過水タンクから前記充填部の複数のノズルに供給することで前記充填部を殺菌消毒することを特徴とする請求項2に記載の飲用水製造充填システム。
【請求項4】
前記予備洗浄装置は、前記原水を貯留する予備洗浄タンクと、
前記予備洗浄タンクから供給される水をノズルから噴出することで、該予備洗浄装置に投入された前記ボトルの外部を洗浄する予備洗浄部と、
を有し、
前記殺菌装置は、前記充填装置における前記飲用水パンと前記予備洗浄タンクを連通する連通管をさらに有し、
前記充填部を殺菌消毒した後の熱水を前記連通管を介して前記予備洗浄タンクに供給することで、前記予備洗浄タンク及び前記予備洗浄部を殺菌消毒することを特徴とする請求項3に記載の飲用水製造充填システム。
【請求項5】
前記本洗浄装置は、該本洗浄装置に投入された前記ボトルの内部及び外部を最初に洗浄する第一洗浄部と、
前記第一洗浄部による洗浄の後に、前記ボトルの内部及び外部を二度目に洗浄する第二洗浄部と、
前記第二洗浄部による洗浄の後に、前記ボトルの内部及び外部に対し、水または温水によるすすぎを行うすすぎ部と、
前記すすぎ部によるすすぎの後に、前記ボトルの内部を、前記ろ過水タンクから供給されるろ過水から生成した前記飲用水で洗浄する最終洗浄部と、
を有し、
前記殺菌装置は、前記熱水を前記ろ過水タンクから前記最終洗浄部に供給することで前記最終洗浄部を殺菌消毒することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の飲用水製造充填システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−95504(P2013−95504A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242358(P2011−242358)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(505447696)日本ピュアウォーター株式会社 (9)
【Fターム(参考)】