説明

飲酒インターロック装置

ドライバの唾液内のアルコール濃度を測定するための装置および方法が、自動車イグニションロックシステムに使われる。この装置は、入力テストユニット、処理ユニットおよび出力ユニットを含む。入力テストユニットは、サンプリングデバイス、分析ユニットおよび収容ユニットを含む。この分析装置は、唾液サンプルを挿入するためのソケットおよび得られたイメージを収集して、記録するための接触イメージセンサから成る。記録されたイメージは、A/Dコンバータ、デジタル論理プロセッサおよびイグニションシステムコントローラを含む処理ユニットへ転送される。A/Dコンバータはイメージをデジタル量に変換し、および、デジタル論理プロセッサはデータを処理して、テスト結果を生成する。デジタル論理プロセッサは、アルコールレベルが閾値より高い時イグニションシステムを使用不可にするイグニションシステムコントローラを使用不可にする。出力ユニットは、テスト結果およびユーザに対する指示を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの血中アルコール濃度を測定するための装置および方法に、およびより詳しくは、ドライバの唾液内のアルコール濃度を測定し、したがって、車両イグニションに対する飲酒インターロックを形成するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酔った人による自動車運転は、傷害、死亡および物損と関係する事故の原因となる深刻な問題である。
【0003】
酔ったドライバによって自動車が運転されるのを防止する方法および装置を開発するために、過去にさまざまな試みが実行された。過去に提案された、いくつかの代表的な方法および装置が、ここに記載される。
【0004】
(特許文献1)はドライバの呼気のサンプルがアルコール煙霧と発熱して反応する化学薬品の細粒を含有するチャンバに導かれるシステムを開示する。反応によって生成される熱が温度感応性スイッチによって検出され、それが制御回路に接続されて、温度感応性スイッチの作動に応答して警報器およびタイミング手段を作動させるのに役に立つ。所定の時間間隔の後、タイミング手段が第2の警報器を作動させて、第2のタイミング手段の動作を開始する。所定の時間間隔の後、第2のタイミング手段が自動車のイグニション回路を開くリレーを作動させ、酔ったドライバによる自動車の運転を効果的に防止するのに役に立つ。
【0005】
(特許文献2)は、コンピュータに電気的に接続されたアルコール検出装置を有する飲酒インターロックシステムを開示する。呼気サンプルが機械のオペレータによって与えられ、および、アルコール検出装置が呼気サンプルのアルコール濃度を測定する。この装置は、血中アルコール濃度のレベルに基づいて機械の運転を妨げるかまたは可能にする。
【0006】
(特許文献3)は、ユーザによってRF飲酒検知器に与えられる中毒性または中毒性でない呼気サンプルに応答して独特なRF信号を発信する、RF飲酒検知器システムを開示する。イモビライザCPUが車両内に設置され、RF飲酒検知器からの指令を受信して、車両ホーン、ライトを制御して、エンジンを動けなくする。
【0007】
(特許文献4)は、呼気圧力、温度および湿度測定値の組合せを使用して、呼気サンプルが人間のものか否か、および適切に供給されたか否かを判定する、呼気測定器具を記載する。また、アルコールに特有の燃料電池および呼気アルコール信号を発生させるための燃料電池回路を有する呼気アルコール器具が、開示される。さらに、車両のような機械の運転を阻止するためのインターロックシステム、および呼気サンプルを検査して、そのアルコール含量を測定するための方法が開示される。
【0008】
(特許文献5)は、空気流内のアルコールの量を測定するためのタイムクロック飲酒検知器を開示する。この装置は、アルコールセンサによって検出されるアルコールの量からユーザ内のアルコールパーセンテージ量を算出するのに適しているコントローラを含む。このコントローラは、さらに所定の量より大きいアルコールパーセンテージ量で指示を与えるのに適している。
【0009】
他の呼気測定器具が、以下に開示されている:
(特許文献6)、
(特許文献7)、
(特許文献8)、
(特許文献9)、
(特許文献10)、
(特許文献11)、
(特許文献12)、
(特許文献13)、
(特許文献14)、
(特許文献15)、
(特許文献16)、
(特許文献17)、
(特許文献18)、
(特許文献19)、
(特許文献20)。
【0010】
異なるタイプのイグニションインターロック装置が、(特許文献21)内に開示されている。オペレータの血中アルコール含量が閾値より上にあるときに、この特許は装置の運転を妨げるための方法およびイグニションインターロックを記載する。このインターロックは、血液内のアルコール濃度を検出するために指から出てくる光の波長の強度を測定する血液アルコール検出器を有する。
【0011】
アルコールの影響の下でドライバが車両を運転することを防止するために使用される他の方法および装置が、以下に開示されている:
(特許文献22)、
(特許文献23)、
(特許文献24)、
(特許文献25)。
【0012】
上記の通りに、人の血中アルコール濃度を測定するためのさまざまな方式が、近頃は存在する。しかしながら、これらの方式が全てなんらかの不都合と関係しているので、それらのどれもが普及していない。さらに、既存の方式のいずれも人の体液内のアルコール濃度の直接測定を提案せず、および、したがって、それらはあまり正確ではない。たとえば呼気アナライザは、酒気テストが深い肺呼吸サンプルを必要とし、およびしたがって、繰り返して吸い込んで吐き出すことによってうまく逃れられることができるので、正確なテストの回避を許してしまう。同様に、人の指から出てくる光の波長の強度を測定して、血中アルコール含量と関連づけるアナライザも同様に不正確な傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】Gaddy、米国特許第3,823,382号
【特許文献2】Ballard,Jr.他、米国特許第6,853,956号
【特許文献3】Der Ghazarian他、米国特許出願第0127145号
【特許文献4】Mendoza、米国特許第6,792,793号
【特許文献5】Thompson、米国特許第6,205,840号
【特許文献6】Lamont、特許第3,186,508号
【特許文献7】Collier他、米国特許第4,093,945号
【特許文献8】Der Ghazarian他、米国特許出願第2002/0084130号
【特許文献9】Weiss、米国特許出願第2002/0089660号
【特許文献10】Flores、PCT特許第WO 01/12457号
【特許文献11】Prachar他、米国特許第5,426,415号
【特許文献12】Simon、米国特許第4,592,443号
【特許文献13】Collier他、米国特許第4,697,666号
【特許文献14】Ballard,Jr他、米国特許第6,853,956号
【特許文献15】Park、韓国特許出願第2,070,659号
【特許文献16】Park、韓国特許出願第3,096,147号
【特許文献17】Yoo、韓国特許出願第1,019,558号
【特許文献18】Drummond及びRugis、オーストラリア特許出願第3,626,684号
【特許文献19】Hernandez他、スペイン特許出願第2,150,398号
【特許文献20】Stock、カナダ特許出願第2,463,201号
【特許文献21】Edmonds, III、他、米国特許第6,229,908号
【特許文献22】Nordin、PCT特許第WO 2004/078511号
【特許文献23】Karlsson、PCT特許第WO 2005/118326号
【特許文献24】Onishi他、特許第WO2005/026477号
【特許文献25】PCT特許第WO 2005/028788号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の一目的は、環境因子に影響を受けない直接の血液アルコール測定値を得る、比較的単純で高価でないイグニションインターロック方式を開示することである。
【0015】
したがって、既存のイグニションインターロック装置の欠点を克服して、正確な血液アルコール測定値を得る比較的単純で高価でないイグニションインターロック装置を提供することが本発明の主要な一目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の好ましい一実施態様に従って、ドライバの唾液サンプル内のアルコール濃度を測定して、ドライバが酔っていると、車両のイグニションを禁止するための飲酒インターロック装置が提供され、前記装置が、
前記唾液サンプル内のアルコール濃度をテストして、記録するための、ドライバの唾液サンプルが挿入可能なテストユニットと、
前記記録されたサンプル結果を受け取って、テスト結果を出力するための処理ユニットと、
前記テスト結果に応答して、テストがそれぞれパスするかまたはフェイルすると車両イグニションシステムを使用可能または使用不可にするイグニションシステムコントローラと、
前記テスト結果を表示して、指示およびメッセージを出力するための出力ユニットと、を備える。
【0017】
本発明のインターロック装置のテストユニットは、唾液を収集するためのサンプリングデバイス、唾液サンプルを分析するための分析ユニットおよび分析ユニットを格納するためのハウジング管を備える。
【0018】
この装置の処理ユニットは、アナログデータをデジタルデータに変換するためのA/Dコンバータ、データを処理するためのデジタル論理プロセッサおよびイグニションシステムを制御する(すなわち、使用可能にするかまたは使用不可にする)ためのイグニションシステムコントローラを備える。
【0019】
本発明の好ましい一実施態様に従って、この飲酒インターロック装置が、ドライバがこの自動車を運転することができる人であるかどうかを判定するための顔認識システムと一体化される。
【0020】
認証テスト結果が処理ユニットへ転送され、飲酒テストおよび認証テスト両方の結果に基づいて、イグニションシステムを使用可能にするかまたは使用不可にする。
【0021】
本発明の他の特徴および効果は、あとに続く詳細な説明セクションからより直ちに明らかとなり理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
その実施態様に関する本発明のより良い理解のために、参照が添付の図面になされ、そこにおいて同様な参照番号は一貫して対応する要素またはセクションを示し、かつそこにおいて、
【0023】
【図1a】本発明の原理に従って構成されて、動作させられる唾液アナライザ飲酒インターロック装置の好ましい一実施態様を例示するブロック図である。
【図1b】本発明の唾液アナライザ飲酒インターロック装置と一体化される顔認識システムを例示するブロック図である。
【図2a】本発明の唾液アナライザ飲酒インターロック装置に使用されるテストユニットの側面図を例示する。
【図2b】図2a内に例示される本発明の好ましい一実施態様に従う本発明の唾液アナライザ飲酒インターロック装置に使用されるサンプリングデバイスおよび分析ユニットの拡大図を例示する。
【図3a】本発明の一代替実施態様に従う本発明の唾液アナライザ飲酒インターロック装置に使用されるテストユニットを例示する。
【図3b】図3a内に例示される本発明の代替実施態様に従う唾液アナライザ飲酒インターロック装置に使用されるサンプリングデバイスおよび分析ユニットの拡大図を例示する。
【図4】唾液飲酒インターロック装置を含む車両内部の斜視図である。および、
【図5】唾液アナライザ飲酒インターロック装置の内部の部分を例示する車両内部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好ましい一実施態様に従う、イグニションインターロック方式は、人の唾液内のアルコール濃度を測定することを目的とされる。
【0025】
血液アルコールと呼気との間の関係が1:0.00048であるのに対して、血液アルコールと唾液アルコールの量との間の関係が単純に約1:1であるので、この種の測定値は従来技術呼気測定値よりより高レベルの精度に到達する。
【0026】
図1aは、本発明の原理に従って構成されて、動作させられる唾液アナライザ飲酒インターロック装置100の好ましい一実施態様を例示するブロック図である。唾液アナライザ飲酒インターロック装置100は、唾液サンプルを得るためのテストユニット200(図2aを参照)、飲酒テストを実行するための処理ユニット109、テスト結果を表示するための出力ユニット112(すなわちグラフィカルユーザインタフェース−GUIコントローラ)およびユーザの認証を確認するための認証確認システム105を備える。処理ユニット109の出力は、車両イグニションシステム110に送られる。
【0027】
本発明の好ましい一実施態様に従って、テスト手順を開始するために試薬パッド120c(図2aを参照)を分析ユニット122(図2aを参照)に挿入することによって飲酒テストを始める。試薬パッド120cは、次いで分析ユニット122から取り外されて、唾液を収集するために若干の所定の時間の間ドライバの口に挿入される。試薬パッド120cが唾液を完全にしみ込ませると、それはアルコールレベルを測定して、記録するための分析ユニット122(図2aを参照)内に再び挿入され、および、記録データが、アルコールレベルを内部的に記憶された閾値と比較するために処理ユニット109へ転送される。
【0028】
システム構造および作動の更なる詳細が、次に残りの図を参照することで示される。
【0029】
図1bは、本発明の好ましい一実施態様に従う認証確認システムの具体例を備えた唾液アナライザ飲酒インターロック装置100を例示するブロック図である。本実施態様において、Crossmatch Technologies(Palm Beach Gardens、FL)によって製造される市販の「顔スナップレコーダ」のような顔認識システム115が、活用される。顔認識システム115は、PC 117およびビデオカメラ119を含む。PC 117は装置の他の構成部品とともにダッシュボード402の下に取り付けられ(図5を参照)、および、ビデオカメラ119はサンバイザ123に取り付けられる(図4を参照)。顔認識システム115の操作上の詳細が、ここでさらに記載される。
【0030】
図に示すように、処理ユニット109はアナログデータをデジタルデータに変換するためのA/Dコンバータ104、データを処理するためのデジタル論理プロセッサ106およびイグニションシステム110を制御する(すなわち、使用可能にするかまたは使用不可にする)ためのイグニションシステムコントローラ108を備える。加えて、I/Oケーブルが唾液アナライザ飲酒インターロック装置100のさまざまな構成部品の間で(すなわち、テストユニット200、処理ユニット109、顔認識システム115および出力ユニット112の間で)データを転送するために使われ、および、電力ケーブルが車両電源114から電源装置113に、および、唾液アナライザ飲酒インターロック装置100のさまざまな構成部品(すなわちテストユニット200、処理ユニット109、顔認識システム115および出力ユニット112)に電力を伝達するために使われる。
【0031】
一般的に、唾液アナライザ飲酒インターロック装置100の構成部品は12ボルトの自動車バッテリ114から直接に電力を引き出す電源装置113から供給される5ボルトを使用するように設計されており、したがって、自動車のキースイッチがオンまたはオフに関係なく、唾液アナライザ飲酒インターロック装置100は動作する。加えて、バックアップバッテリが、自動車動力がオフであるかまたは故障しているときに機能することを可能にするために、装置内に設置される。
【0032】
図2aは、唾液アナライザ飲酒インターロック装置100に使用されるテストユニット200の側面図を例示する。図示のように、テストユニット200は唾液を収集するためのサンプリングデバイス120、唾液サンプルを分析するための分析ユニット122および分析ユニット122を格納するためのハウジング管124を備える。
【0033】
サンプリングデバイス120は、ユーザの片手によって握持されるハンドル120aを備える。ハンドル120aから延びるのが平らな媒体120bであり、その上にExpomed社(Munroe Frails OH)によって製造される使い捨ての試薬パッドのような、試薬パッド120cが配置される。
【0034】
図に示すように、平らな媒体120bはソケット122a内に挿入されるときに、インターロックを保証するために側面突起121を備える(平らな媒体120bは、唾液アナライザ飲酒インターロック装置100を起動させるためにソケット122a内に完全に挿入されなければならない)。
【0035】
分析ユニット122は、透明ソケット122aを備え、その中にサンプリングデバイス120の平らな媒体120bが挿入される。ソケット122aは、Panavision SVI(Homer、New York)によって製造されるLIS−1024タイプセンサのような接触イメージセンサ122bの下に、かつ、それに隣接して取り付けられる。
【0036】
分析ユニット122はハウジング管124内に収容され、および、ハウジング管124は自動車のダッシュボード402の下に取り付けられる(図5を参照)。
【0037】
図2bは、サンプリング装置120および分析ユニット122の拡大図を例示する。図に示すように、アルコールレベルが所定の閾値より大きい唾液と接触すると、ライン128が試薬パッド120cを横断して、かつ縦方向のおよそ中間に形成される(唾液内のアルコールのレベルが閾値未満のときには、試薬パッド上に何のラインも現れない)。唾液内のアルコール濃度の閾値が異なる条例を満たすように、サンプリングデバイス120が構成されることができる点に留意する必要がある。
【0038】
ライン128のイメージを収集して、記録するために、接触イメージセンサ122bのイメージ形成活性領域126(長さ約8mm)が試薬パッド120cの反応エリア(すなわちライン128が形成するエリア)の上に配置されるような方法で、接触イメージセンサ122bがソケット122aの上に取り付けられる。
【0039】
飲酒テストは、サンプリングデバイス120を分析ユニット122から引き離して、試薬パッド120cを口の中に挿入することによって始める。試薬パッド120cは、唾液アルコールと接触して閾値より大きいならばライン128が生成される、数分の間口内に保たれなければならない。
【0040】
試薬パッド120cは次いで唾液サンプルを分析するためのソケット122aに挿入され、および、接触イメージセンサ122bが試薬パッド120cのイメージを収集して、記録する。
【0041】
先に説明したように、顔認識システム115が、ドライバがこの車両を運転することができる人であると保証するために唾液アナライザ飲酒インターロック装置100と一体化される。ビデオカメラ119(図4を参照)が、飲酒テスト中に連続的に、すなわち、ドライバがサンプリングデバイス120(または302)を分析ユニット122から引き抜く瞬間から、出力ユニット112が飲酒テスト結果を表示する瞬間まで、ドライバの顔を収集する。
【0042】
顔のイメージが、PC 117内に格納されて、自動車を運転することができる人の記憶されたイメージに対して比較される。収集イメージが記憶されたイメージのうちの少なくとも1つに合致しない場合、唾液アナライザ飲酒インターロック装置100は自動車の運転を妨げる。しかしながら、収集イメージのうちの少なくとも1つが記憶されたイメージの1つに合致する場合、自動車の運転は飲酒テスト結果のみに依存する。
【0043】
唾液アナライザ飲酒インターロック装置100と顔認識システム115を一体化することは盗難に対する追加のセキュリティを提供することが、言及されなければならない。
【0044】
図3aは、唾液アナライザ飲酒インターロック装置100に使われることができる一代替テストユニット300を例示する。図示のように、テストユニット300はサンプリングデバイス302、分析ユニット304およびハウジング管306を備える。
【0045】
代替実施態様において、インターロック装置100は、唾液内のアルコールレベルを測定するために、Pointofcare.net(Charlottesville、VA)によって製造されるQ.E.D.(A150またはA350)飲酒テストを使う。
【0046】
Q.E.D.テストは、アルコール脱水素酵素の方法論に基づく。ほぼ2ないし5分の血液検査によって得られる結果と同程度に正確な定量的結果を提供するテストを動作させることが容易である。
【0047】
サンプリングデバイス302は、ユーザの片手によって握持されるハンドル302aを備える。ハンドル302aは、ソケット302bとともに形成され、その中にその遠位端に吸収綿302dを備えた使い捨てのスティック302cが挿入される。
【0048】
分析ユニット304は、接触イメージセンサ122bの下に、かつ、それに隣接して取り付けられるQ.E.D.ソケット306を備える。分析ユニット304は、自動車のダッシュボード402の下に取り付けられるハウジング管306内に収容される(図5を参照)。
【0049】
図3bは、サンプリングデバイス302および分析ユニット304の拡大図を例示する。図示のように、唾液サンプルがその中にアルコール分子を含む場合、流体レベル303がQAスポット(商標)305を通過し、および、鮮明な紫のバー308がマークされたスケール領域310内に形成される。紫のバーの最上位先端312が、唾液サンプル内のアルコールのレベルを示す。
【0050】
接触イメージセンサ122bは、紫のバー308が形成するエリアのすぐ上に、センサのイメージ形成活性領域126があるというような方法で、ソケット306の上に配置される。
【0051】
Q.E.D.テストを使用するときに、吸収綿302dが唾液を収集するために口に挿入される。吸収綿302dは、30−60秒の間、または、唾液が完全にしみ込むまで、口内に保たれる。次いで、吸収綿302dがQ.E.D.テストソケット306の進入ポート304aに挿入されて、毛管作用を活性化するよう着実に押圧され、その結果としてそれがQAスポット(商標)305を通過するまで、流体が上昇する。紫のバー308が、おおよそ2分後にマークされたスケール領域310内に形成されて、接触イメージセンサ122bによって収集されて、記録される。
【0052】
本発明の両方の実施態様によれば、接触イメージセンサ122bによって検出されたイメージが、次いでアナログ−デジタル変換器へ転送され、それがイメージをデジタルデータとしてエンコードして、デジタル論理プロセッサ106にアルコールレベルのデジタル化された値を供給する。デジタル論理プロセッサ106が、アルコールレベルデジタル量を受け取って、それを内部的に先験的に記憶された閾値と比較する。アルコールレベルが閾値より低い場合、ドライバは飲酒テストにパスする。しかしながら、アルコールレベルが閾値より高い場合、ドライバは飲酒テストにフェイルする。
【0053】
飲酒テストと平行して、顔認識システム115が顔認識テスト(すなわち「パス」または「フェイル」)に基づいてI/O入力を、デジタル論理プロセッサ106に供給する。ドライバが首尾よく飲酒テストおよび顔認識テストの両方にパスする場合、デジタル論理プロセッサ106はイグニションシステムコントローラ108を使用可能にし、それは次にイグニションシステム110を使用可能にする。しかしながら、ドライバがテストのどちらかにフェイルすると、デジタル論理プロセッサ106はイグニションシステムコントローラ108を使用不可にして、それは次にイグニションシステム110を使用不可にする。テスト結果は、出力ユニット112(すなわちグラフィカルユーザインタフェース−GUIコントローラ)に表示される。
【0054】
付加情報および/またはメッセージがドライバに対して表示されるべき場合には、出力ユニット112は小型LCD(液晶ディスプレイ)スクリーンを含むことができる。
【0055】
それが他のセキュリティ固定装置と共に使われることができるような方法で、唾液アナライザ飲酒インターロック装置100が設計されることは、理解されよう。より詳しくは、唾液アナライザ飲酒インターロック装置100のイグニションシステムコントローラ108は、追加の固定装置に接続されることができる。したがって、イグニションシステムコントローラ108が、使用可能にされるかまたはされないかは、ありとあらゆる装置から得られる信号に依存している。
【0056】
図4は、車両内部400の斜視図である。乗用車内の車両内部400は、一般的に従来のダッシュボード402およびステアリングホイール404を含む。本発明の好ましい一実施態様に従って、車両内部400が唾液アナライザ飲酒インターロック装置100を装備し、その一部がダッシュボード402の下に取り付けられる。
【0057】
図に示すように、開口部406が、サンプリングデバイス120の平らな媒体120bがダッシュボード402の下に取り付けられるハウジング管124内に収容される分析ユニット122に挿入される、入口開口部である(図5を参照)。出力ユニット112(GUIコントローラ)が開口部406の隣のダッシュボード402に位置しており、および、顔認識システム115のカメラ119がサンバイザ123に取り付けられている。
【0058】
任意のタイプのGUIコントローラが唾液アナライザ飲酒インターロック装置100内の出力ユニット112として使われることができることが、言及されなければならない。しかしながら、本発明の好ましい一実施態様に従って、GUIコントローラは黄、緑および赤の3色を有する単一の発光ダイオード(LED)を備える。唾液アナライザ飲酒インターロック装置100が使用中でない間、黄灯が点滅する。テスト中に赤灯が点滅し、および、テストが終了して、運転が可能にされるときに、緑灯が1分間点灯した後黄灯が点滅する。運転が禁止される場合、赤灯が1分の間点灯し、次に、黄灯が点滅する。唾液アナライザ飲酒インターロック装置100が故障している時は、黄灯が点灯し続ける。
【0059】
図5は、車両内部400の側面図である。図は、ダッシュボード402の下に取り付けられるテストユニット200のハウジング管124を例示する。図はさらに顔認識システム115のPC 117および、ダッシュボード402の下に取り付けられる電源装置113および処理ユニット109を含むシールドボックス107を例示する。
【0060】
唾液アナライザ飲酒インターロック装置100のさまざまな構成部品の位置は示唆的なだけであり、装置100のさまざまな構成部品が、自動車内の他のどこにでも適切に配置されることができることは、理解されよう。
【0061】
唾液アナライザ飲酒インターロック装置100がアルコール測定に限定されず、同様に薬物テストに適しているように変更されることができる点に留意する必要がある。これは、麻薬測定に適切なテストユニットによって上記したテストユニットを交換することによって、および、デジタル論理プロセッサ106内に記憶される閾値を更新することによって実行されることができる。
【0062】
また、本発明の唾液アナライザ飲酒インターロック装置が自動車に限定されず、飛行機、船舶、遠洋航海用船舶、装甲車両重機およびその他において実現されることができる点に注意されなければならない。
【0063】
そのある特定の実施態様に関して本発明が記載されたが、理解されるべきことは、更なる変更がここで当業者にとって明らかになるので、記述が限定を意味せず、かつこの種の変更を添付の請求項の有効範囲内に納まるとして包含することを目的とする、ということである。
【符号の説明】
【0064】
100 飲酒インターロック装置
104 A/Dコンバータ
105 認証確認システム
106 デジタル論理プロセッサ
107 シールドボックス
108 イグニションシステムコントローラ
109 処理ユニット
110 車両イグニションシステム
112 出力ユニット
113 電源装置
114 車両電源 自動車バッテリ
115 顔認識システム
117 PC
119 ビデオカメラ
120 サンプリングデバイス
120a ハンドル
120b 平らな媒体
120c 試薬パッド
121 側面突起
122 分析ユニット
122a ソケット
122b 接触イメージセンサ
123 サンバイザ
124 ハウジング管
126 イメージ形成活性領域
128 ライン
200 テストユニット
300 代替テストユニット
302 サンプリングデバイス
302a ハンドル
302b ソケット
302c スティック
302d 吸収綿
303 流体レベル
304 分析ユニット
304a 進入ポート
305 QAスポット(商標)
306 ハウジング管 Q.E.D.ソケット
308 紫のバー
310 スケール領域
312 紫のバーの最上位先端
400 車両内部
402 ダッシュボード
404 ステアリングホイール
406 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバの唾液サンプル内のアルコール濃度を測定して、かつ前記ドライバが酔っていると、車両のイグニションを禁止するための飲酒インターロック装置であって、前記装置が、
前記唾液サンプル内の前記アルコール濃度をテストして、かつ記録するための、前記ドライバの唾液サンプルがその中に挿入可能なテストユニットと、
前記記録されたサンプル濃度結果を受け取って、かつ飲酒テスト結果を出力するための処理ユニットと、
前記飲酒テスト結果に応答して、前記飲酒テストがそれぞれパスするかまたはフェイルするかに依存して前記車両イグニションシステムを使用可能または使用不可にするイグニションシステムコントローラと、を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲酒インターロック装置であって、さらに、前記テスト結果を表示して、かつ指示およびメッセージを出力するための出力ユニットを備える、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の飲酒インターロック装置であって、前記テストユニットが、サンプリングデバイス、分析ユニットおよびハウジング管を備える、ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の飲酒インターロック装置であって、前記サンプリングデバイスが、そこから延びる平らな媒体を有するハンドルを備え、その(媒体の)上に試薬パッドが配置される、ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3に記載の飲酒インターロック装置であって、前記サンプリングデバイスが、そこから延びるスティックを有するハンドルを備え、前記スティックの遠位端に吸収綿が取り付けられている、ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項3に記載の飲酒インターロック装置であって、前記分析ユニットが、
前記サンプリングデバイスがその中に挿入される透明部分を備えたソケットと、
イメージを収集して、かつ記録するための前記透明部分の上に配置される接触イメージセンサと、を備える装置。
【請求項7】
請求項6に記載の飲酒インターロック装置であって、前記接触イメージセンサが、前記唾液サンプル内の前記アルコール濃度を示唆するイメージを収集して、かつ記録する、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の飲酒インターロック装置であって、前記イメージが、前記処理ユニットへ転送される、ことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項3に記載の飲酒インターロック装置であって、前記分析ユニットが、前記ハウジング管内に収容される、ことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の飲酒インターロック装置であって、さらに、前記ドライバが前記車両を運転することができる人であるかどうかについて判定する一体型の顔認識システム、を備える装置。
【請求項11】
請求項10に記載の飲酒インターロック装置であって、前記顔認識システムが、前記測定方法が開始する瞬間から終了するまで、前記ドライバの前記顔のイメージを連続的に収集し、かつ、前記車両を運転することができる人の記憶されたイメージと、前記イメージを比較する、ことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1に記載の飲酒インターロック装置であって、前記処理ユニットが、前記アルコール濃度が、所定のアルコール濃度閾値より低い場合、かつ前記顔認識システムが、前記ドライバが前記自動車を運転することができる人であると判定する場合、前記車両イグニションシステムを使用可能にする、ことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の飲酒インターロック装置であって、前記処理ユニットが、前記アルコール濃度が、所定のアルコール濃度閾値より高い場合、または、前記顔認識システムが、前記ドライバが前記自動車を運転することができる人でないと判定する場合、前記車両イグニションシステムを使用不可にする、ことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項12に記載の飲酒インターロック装置であって、前記出力ユニットが、前記テスト結果を表示する、ことを特徴とする装置。
【請求項15】
ドライバの唾液サンプル内のアルコール濃度を測定して、かつ前記ドライバが酔っていると、車両のイグニションを禁止するための方法であって、前記方法が、
唾液を収集するために所定の時間の間ドライバの口にテスト媒体を備えたサンプリングデバイスを挿入するステップと、
前記唾液のアルコール濃度を分析して、かつ記録するための分析ユニットに前記唾液を備えた前記サンプリングデバイスを挿入するステップと、
データとして記録されたアルコール濃度を、前記データを処理するための、かつ飲酒テスト結果を出力するための処理ユニットに転送するステップと、
前記飲酒テスト結果によってイグニションシステムコントローラを制御して、かつ前記飲酒テストがパスするかまたはフェイルするかどうかに依存して、車両イグニションシステムを使用可能または使用不可にするステップと、を含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、前記飲酒テスト結果を表示して、かつ出力ユニット経由で指示およびメッセージを与えるステップ、を含む方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記テスト媒体が、試薬パッドを備える、ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、前記テスト媒体が、吸収綿を有するスティックを備える、ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、さらに、アルコール濃度閾値と前記アルコール濃度を比較するステップ、を含む方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、さらに、前記ドライバが前記車両を運転することができる人であるかどうか判定するための顔認識システムを準備するステップ、を含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記判定ステップが、さらに以下のステップ、すなわち、
前記測定方法が開始する瞬間から終了するまで、前記ドライバの前記顔のイメージを連続的に収集するステップと、
前記イメージを、前記車両を運転することができる人の記憶されたイメージと比較するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記制御ステップが、前記アルコール濃度が所定のアルコール濃度閾値より低い場合、かつ前記顔認識システムが、前記ドライバが前記車両を運転することができる人であると判定する場合、前記車両イグニションシステムを使用可能にするステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、前記制御ステップが、前記アルコール濃度が所定のアルコール濃度閾値より高い場合、または、前記顔認識システムが、前記ドライバが前記車両を運転することができる人でないと判定する場合、前記車両イグニションシステムを使用不可にするステップを含む、ことを特徴とする方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−509207(P2011−509207A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540218(P2010−540218)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/IL2008/001664
【国際公開番号】WO2009/083964
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510176569)
【出願人】(510176570)
【Fターム(参考)】