説明

飲酒検出装置

【課題】高速に汗蒸気中のアルコール濃度検出が可能な高精度飲酒検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ハンドル13の一部に配され、掌の汗蒸気を取り込む汗蒸気導入口15と、汗蒸気導入口15に配した透湿膜17と、透湿膜17の表面に設けた一対の接触検出電極と、汗蒸気導入口15に吸気側を接続したポンプ25と、汗蒸気導入口15の奥部に設けた第1、第2アルコールセンサ19、20と、接触検出電極、ポンプ25、および第1、第2アルコールセンサ19、20が接続された制御回路とからなり、制御回路は接触検出電極間の抵抗値が既定抵抗値の範囲内の時にのみポンプ25で汗蒸気を吸引して気化させ、その時の第1、第2アルコールセンサ19、20の出力が飲酒規制値以上であれば運転者が飲酒していると判断するようにしたので、高速、かつ高精度に運転者の飲酒を判断できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に運転者の飲酒状態を検出する車両用の飲酒検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、飲酒運転による事故を低減するために、運転者の飲酒状態を検出する飲酒検出装置が開発されている。また、この飲酒検出装置の出力によって、自動車(以下、車両という)の起動や動作を制御するシステムも各種検討されている。
【0003】
このような飲酒検出装置としては、呼気中のアルコール濃度をアルコールセンサで検出するものが一般的である。これは、飲酒により増大した血中アルコール濃度が呼気中のアルコール濃度と比例関係にあることを利用したもので、飲酒運転取り締まり時の飲酒状態検出にも用いられている。しかし、この方法で運転者の飲酒を検出すると、非飲酒の他人による呼気や、風船に詰めた非飲酒時の呼気を飲酒検出装置に吹き込むという不正を排除できない可能性がある。さらに、飲酒検出装置を車内に設置した場合は、同乗者の呼気中アルコールや、芳香剤中のアルコール等によって運転者の飲酒を誤検出する可能性もある。
【0004】
これに対し、呼気中アルコール濃度と同様に、血中アルコール濃度と比例関係にある汗中アルコール濃度を検出する飲酒検出装置が下記特許文献1に提案されている。図9はこのような飲酒検出装置の概略構成図である。
【0005】
図9において、車両の運転席に配置されるハンドル101と変速ギア103には、それぞれ掌が接触する部分にアルコールを検出するセンサ素子105が設けられている。センサ素子105は一対の電極と、それらを覆うアルコール感応膜からなり、アルコール成分の感応膜への付着により抵抗値が変化するものである。従って、掌から発生した汗の蒸気がセンサ素子105に至ることにより汗中アルコール濃度を検出することができる。これらのセンサ素子105から得られた出力信号はアルコール濃度測定部107に伝達され、アルコール濃度が求められる。アルコール濃度測定部107で求めたアルコール濃度出力は飲酒運転判定部109に伝達され、ここで運転者の飲酒状態が判定される。判定結果は後段処理部111に伝達され、もし運転者が飲酒状態であれば、飲酒運転の抑制、警告、防止、制御等の後段処理が行われる。具体的には、車両が起動できないようにロックしたり、走行中であれば速度を抑制する制御を行う。
【0006】
このように、運転者が操作するハンドルや変速ギアにセンサ素子105を設けたので、運転者の汗中アルコール濃度を検出することができる。従って、呼気によるアルコール検出に比べ不正や誤検出の可能性が低減される。
【特許文献1】特開2005−224319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような飲酒検出装置は確かに呼気中アルコール濃度検出に比べ高精度に運転者の飲酒を検出できるのであるが、掌の汗蒸気が拡散によってのみセンサ素子105に至る構成であるので、アルコール濃度の検出が完了するまでハンドル101のセンサ素子105が配された部分に掌を保持しておく必要があり、高精度な飲酒状態の判定に時間がかかるという課題があった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、高速に汗蒸気中のアルコール濃度検出が可能な高精度飲酒検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の飲酒検出装置は、ハンドルの一部に配され、掌の汗蒸気を取り込む汗蒸気導入口と、前記汗蒸気導入口に配した透湿膜と、前記透湿膜の表面に設けた一対の接触検出電極と、前記汗蒸気導入口に吸気側を接続したポンプと、前記汗蒸気導入口の奥部、または前記ポンプの排気側に設けたアルコールセンサと、前記接触検出電極、ポンプ、およびアルコールセンサが接続された制御回路とからなり、前記制御回路は、前記接触検出電極間の抵抗値が既定抵抗値の範囲内である時に前記掌が前記汗蒸気導入口に接触していると判断し、この状態で、前記ポンプで吸引した前記汗蒸気に対する前記アルコールセンサの出力が飲酒規制値以上であれば、運転者が飲酒していると判断するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、汗蒸気導入口に掌が接触していることを接触検出電極で検出した時のみポンプを駆動することにより、掌の汗を積極的に気化させてアルコール検出部に導入することができるので、高速に、かつ高精度に汗蒸気中のアルコール濃度検出が可能な飲酒検出装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における飲酒検出装置の概略断面図である。図2は本発明の実施の形態1における飲酒検出装置のアルコール検出部の接触検出電極の形状平面図であり、(a)は渦巻き型の接触検出電極の平面図を、(b)は櫛型の接触検出電極の平面図を、(c)は星型の接触検出電極の平面図を、それぞれ示す。図3は本発明の実施の形態1における飲酒検出装置のブロック回路図である。図4は本発明の実施の形態1における飲酒検出装置の動作を示すフローチャートである。図5は本発明の実施の形態1における飲酒検出装置の他の構成の概略断面図である。
【0013】
図1において、アルコール検出部11はハンドル13に内蔵された構成としている。アルコール検出部11は図1に示すようにハンドル13の2ヶ所に配置している。アルコール検出部11の詳細構成は次の通りである。アルコール検出部11は、ハンドル13の一部をくりぬいた空間に形成され、ハンドル13の外周に沿って設けた、掌の汗蒸気を取り込む汗蒸気導入口15と、汗蒸気導入口15の表面部分に配した透湿膜17と、汗蒸気導入口15の奥部、すなわちハンドル13の内部に設けた第1アルコールセンサ19、および第2アルコールセンサ20とから構成される。ここで、アルコール検出部11はハンドル13に2ヶ所設けているので、アルコールセンサは2個必要となる。そこで、これらを区別するために、図1の左側のアルコールセンサを第1アルコールセンサ19、右側のアルコールセンサを第2アルコールセンサ20と呼ぶ。
【0014】
透湿膜17は汗蒸気導入口15の全体を覆うように図1のドットで示した領域に配されており、掌からの汗蒸気のみを通し、液体の汗を通さない役割を有する。これにより、第1アルコールセンサ19や第2アルコールセンサ20が濡れることによりアルコール濃度が検出できなくなる不具合を低減している。このような透湿膜17として例えば延伸多孔質フッ素系樹脂を用いることができる。なお、透湿膜17はハンドル13の太さに対してきわめて薄いものであるが、図1ではわかりやすくするために実際よりも厚く示している。また、透湿膜17の全体を支持するための梁状部材も透湿膜17に接するように配置されているが、図示すると見にくくなるので、図1では省略している。
【0015】
透湿膜17の表面には一対の接触検出電極(詳細構成は後述する)が設けられている。接触検出電極は汗蒸気導入口15が掌に接触しているか否かを検出するためのもので、一対の接触検出電極間の抵抗値、すなわち掌の皮膚の抵抗値を検出することにより接触を判断している。ここで、透湿膜17は前記の通り樹脂製であるので電気絶縁性を有する。従って、一対の接触検出電極は互いに接触しないように透湿膜17の表面に直接固着されている。なお、透湿膜17が電気導電性を有する場合は、透湿膜17と接触検出電極の間に絶縁層を介在させて固着すればよい。
【0016】
図2に一対の接触検出電極の詳細構成を示す。なお、図2の接触検出電極は図1の矢印方向(左のアルコール検出部11側)から見た時の平面図である。接触検出電極はアルコール検出部11が2ヶ所にあるため、左右それぞれに設けられている。ここでは、両者を区別するために、左側のアルコール検出部11における透湿膜17に設けられた接触検出電極を第1接触検出電極21、同じく右側のものを第2接触検出電極22と呼ぶ。従って、図2の接触検出電極は左側のものであるので第1接触検出電極21となるが、第1接触検出電極21と第2接触検出電極22は全く同じ構造である。以下、第1接触検出電極21を代表として説明する。
【0017】
第1接触検出電極21は互いに入り組んだ形状(例えば図2(a)に示すように渦巻き型)としている。これにより、飲酒検出されないようにするために故意に第1接触検出電極21を避けつつ透湿膜17を非透湿性のフィルム等で覆うような不正を行おうとしても、第1接触検出電極21が互いに入り組んだ形状をしているので、前記不正が極めて困難になる。また、汗蒸気導入口15の全体を非透湿性のフィルム等で覆う不正を行った場合は、第1接触検出電極21による皮膚抵抗値の検出が常にできなくなることにより、前記不正を判断できる。なお、この構成上の特徴は第2接触検出電極22においても同じである。
【0018】
なお、一対の第1接触検出電極21の形状は図2(a)の渦巻き型以外にも、図2(b)に示すように互いに入り込んだ櫛型の形状としたり、図2(c)に示すように互いに入り込んだ星型の形状とするように、第1接触検出電極21を避けつつ透湿膜17を非透湿性のフィルム等で覆うことが困難な形状であればよい。
【0019】
ここで図1に戻り、2ヶ所の汗蒸気導入口15の奥部には第1アルコールセンサ19、および第2アルコールセンサ20がそれぞれ設けられている。これにより、汗蒸気導入口15から透湿膜17を介して導入された汗蒸気は第1アルコールセンサ19や第2アルコールセンサ20に至るので、汗蒸気に含まれるアルコール濃度を検出することができる。
【0020】
第1アルコールセンサ19、および第2アルコールセンサ20は、例えばシリコンをマイクロマシン技術により加工して作製したマイクロヒータ上に、薄膜の半導体素子を設けた構成からなる。半導体素子はアルコールを検出するために一般的に用いられる酸化スズ等の薄膜からなり、マイクロヒータによりアルコール検出に適した温度(半導体素子の材料に依存するが、数100℃程度)に加熱された状態でアルコール濃度を検出している。但し、このような高温状態に半導体素子を維持するには多くの電力を消費するので、マイクロヒータ上に半導体素子を設ける構成としている。これにより、第1アルコールセンサ19、および第2アルコールセンサ20の熱容量が極めて小さくなるので、低電流(例えば数mA)で短時間(例えば0.1秒以下)に設定温度まで昇温することができる。
【0021】
また、アルコール濃度の検出は常時行う必要はなく、第1接触検出電極21や第2接触検出電極22により汗蒸気導入口17に掌が接触していない状態から接触したと検出された時に行えばよいので、前記マイクロヒータにパルス電流を流すことによりアルコール濃度を検出するようにしている。すなわち、例えば7mAの電流を0.2秒流すだけで昇温が完了し、アルコール濃度を検出することができるので、第1アルコールセンサ19、および第2アルコールセンサ20の消費電力を低減できる。このパルス電流による検出を複数回繰り返して出力平均値を求めることでアルコール濃度の検出精度を向上している。この際、例えば第1接触検出電極21が掌の接触を検出した時は第1アルコールセンサ19を、第2接触検出電極22が掌の接触を検出した時は第2アルコールセンサ20を、両方の接触検出電極が掌の接触を検出した時は両方のアルコールセンサを、それぞれ動作させて検出するようにしてもよい。
【0022】
なお、第1アルコールセンサ19、および第2アルコールセンサ20の高速昇温特性を活かし、アルコール濃度を検出する前にも前記パルス電流を流すようにしている。これにより、半導体素子の表面に付着した水分等の不純物を加熱により除去し、半導体素子の表面が清浄な状態でアルコール濃度を検出することができるので、さらに高精度化が図れる。
【0023】
これら第1アルコールセンサ19、および第2アルコールセンサ20に対するパルス電流の制御は、全て後述する制御回路によって行われる。
【0024】
なお、第1アルコールセンサ19、および第2アルコールセンサ20には前記半導体素子を複数個有する構成としてもよい。これは、マイクロヒータがマイクロマシン技術により極めて小さく作製されているので、これを活かし、1つのアルコールセンサに複数個のマイクロヒータを一括して作製し、それぞれに薄膜半導体素子を形成すればよい。このように複数個の半導体素子があれば、ある1つの半導体素子が劣化や断線等の故障を起こした時、他の正常な半導体素子に切り替えることで、アルコールセンサの寿命を延ばすことができる。さらに、前記制御回路により、アルコール濃度の検出毎に複数の半導体素子を順次切り替えるようにしてもよい。この場合は、複数個の半導体素子の劣化度合いが平均化される上に、1個当たりの使用頻度が減るので寿命が延びる。従って、個々の半導体素子の出力バラツキを抑制しつつアルコールセンサの長寿命化が図れる。
【0025】
汗蒸気導入口15が配されたアルコール検出部11には、それぞれハンドル13に内蔵された汗蒸気吸引管23を介してポンプ25の吸気側が接続されている。従って、汗蒸気導入口15に掌が接触していることを第1接触検出電極21、または第2接触検出電極22が検出すると、ポンプ25を動作させることにより、掌の汗蒸気を気化して積極的に第1アルコールセンサ19、および第2アルコールセンサ20に導入するようにしている。これにより、高速に汗蒸気中のアルコール濃度を検出することが可能となる。
【0026】
なお、汗蒸気導入口15とポンプ25の間には圧力センサ27が設けられている。これにより、ポンプ25の動作中における圧力センサ27の圧力出力が既定圧力以下であれば、透湿膜17が閉塞していることを検出でき、アルコール濃度を正常に測定できない状態であることがわかる。
【0027】
次に、飲酒検出装置の回路構成について、図3を用いて説明する。
【0028】
まず、第1アルコールセンサ19、第2アルコールセンサ20、第1接触検出電極21、第2接触検出電極22、ポンプ25、および圧力センサ27は制御回路29に接続されている。制御回路29はマイクロコンピュータと周辺回路から構成され、飲酒検出装置の全体制御を司る。なお、制御回路29には第1接触検出電極21間、および第2接触検出電極22間の抵抗値Rs1、Rs2と、第1アルコールセンサ19、および第2アルコールセンサ20の出力Ce1、Ce2と、圧力センサ27の出力Pが入力される。また、ポンプ25は制御回路29からのポンプ駆動信号Pc(ポンプ25の駆動電力を含む)により動作が制御される。
【0029】
さらに、制御回路29は車両側制御回路と飲酒検出結果や開錠、施錠状態等の様々な情報を交信している。交信されるデータはデータ信号dataにより制御回路29に入出力される。
【0030】
次に、飲酒検出装置の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートはメインルーチン(図示せず)から例えば一定時間毎(例えば1分毎)に実行されるサブルーチンである。
【0031】
メインルーチンが図4のサブルーチンを実行すると、まず制御回路29は第1接触検出電極21と第2接触検出電極22の電極間の抵抗値Rs1、Rs2を読み込む(ステップ番号S11)。次に、制御回路29はまず第1接触検出電極21間の抵抗値Rs1が既定範囲内にあるか否かを判断する(S13)。ここで、抵抗値Rs1の既定範囲内とは、皮膚抵抗値の取り得る範囲のことであり、本実施の形態1では2kΩ〜5kΩの範囲とした。但し、この既定範囲は第1接触検出電極21の大きさや間隔、形状等によって変化するので、あらかじめ第1接触検出電極21に対応した皮膚抵抗値の範囲を決定し、制御回路29のメモリに記憶しておく。
【0032】
もし、抵抗値Rs1が既定範囲内であれば(S13のYes)、第1接触検出電極21に左手が接触していると判断されるので、次に右手も第2接触検出電極22に接触しているか否かを判断する。具体的には、第2接触検出電極22の抵抗値Rs2が既定範囲内にあるか否かを判断する(S15)。ここで、抵抗値Rs2の既定範囲は抵抗値Rs1の既定範囲と同じである。
【0033】
もし、抵抗値Rs2が既定範囲内であれば(S15のYes)、第2接触検出電極22に右手が接触していると判断されるので、この場合、両手がそれぞれ同時に第1接触検出電極21と第2接触検出電極22に接触していることになる。そこで、両手が接触していることを示すため、接触フラグSFに3を代入する(S17)。なお、接触フラグSFは制御回路29に内蔵されたメモリであり、SFが1の時は左手が、2の時は右手が、3の時は両手が、それぞれ接触していることを示すフラグである。S17の後は、後述するS25にジャンプする。
【0034】
一方、抵抗値Rs2が既定範囲内になければ(S15のNo)、右手は第2接触検出電極22に接触していないと判断されるので、左手だけが接触していることになる。従って、接触フラグSFに1を代入して(S19)、後述するS25にジャンプする。
【0035】
ここでS13に戻り、抵抗値Rs1が既定範囲内でなければ(S13のNo)、第1接触検出電極21に左手が接触していないと判断されるので、次に右手の接触を判断する。具体的にはS15と同様に、第2接触検出電極22の抵抗値Rs2が既定範囲内にあるか否かを判断する(S21)。もし、抵抗値Rs2が既定範囲内でなければ(S21のNo)、両手とも第1接触検出電極21と第2接触検出電極22に接触していないことになる。これは、ハンドル13を大きく切っている動作や、ハンドル13以外のシフトレバー等を操作している場合が想定される。このように、両手が第1接触検出電極21と第2接触検出電極22に接触していなければ飲酒判断を行うことができないので、そのまま図4のサブルーチンを終了してメインルーチンに戻る。
【0036】
一方、抵抗値Rs2が既定範囲内であれば(S21のYes)、右手だけが第2接触検出電極22に接触していることになるので、接触フラグSFに2を代入する(S23)。
【0037】
次に、制御回路29はポンプ25を駆動し(S25)、汗蒸気導入口15近傍の空気を吸引する。なお、ポンプ25の駆動電力は制御回路29を介して供給される。その後、既定吸引時間が経過したか否かを判断する(S27)。ここで、既定吸引時間は2ヶ所のアルコール検出部11の空気を全て置換するために必要なポンプ25の駆動時間である。もし、既定吸引時間が経過していなければ(S27のNo)、S27に戻って既定吸引時間が経過するまで待つ。既定吸引時間が経過すれば(S27のYes)、ポンプ27を停止すると同時に圧力センサ27の出力(圧力出力P)を読み込む(S29)。その後、圧力出力Pが既定圧力以下であるか否かを判断する(S31)。ここで、既定圧力は絶対圧力で0.5気圧とした。これにより、もし不正に汗蒸気導入口15を閉塞してアルコール検出を免れようとすると、汗蒸気導入口15とポンプ25の間に配置した圧力センサ27の圧力出力Pが既定圧力以下に小さくなる。従って、圧力出力Pを監視することにより前記不正を判断することができる。
【0038】
もし、圧力出力Pが既定圧力以下であれば(S31のYes)、汗蒸気導入口15を閉塞する等の不正が行われている可能性があるため、圧力異常をアラームで警告し(S33)、図4のサブルーチンを終了する。
【0039】
一方、圧力出力Pが既定圧力より大きければ(S31のNo)、正常に掌近傍の汗蒸気をアルコール検出部11に導入できたので、次に制御回路39は接触フラグSFが1であるか否かを判断する(S35)。もし、SFが1であれば(S35のYes)、左手のみが第1接触検出電極21に接触していることになるので、後述するS41へジャンプする。一方、SFが1でなければ(S35のNo)、少なくとも右手は第2接触検出電極22に接触していることになるので、制御回路29は第2アルコールセンサ20の出力Ce2を読み込む(S37)。その後、両手が第1接触検出電極21と第2接触検出電極22に接触しているかを判断するために、接触フラグSFが2であるか否かを判断する(S39)。もし、SFが2であれば(S39のYes)、右手のみが第2接触検出電極22に接触しているので、後述するS43にジャンプする。一方、SFが2でなければ(S39のNo)、SFは3となるので、両手が第1接触検出電極21と第2接触検出電極22に接触していることになる。そこで、第2アルコールセンサ20の出力Ce2は既にS37で読み込んだので、次に第1アルコールセンサ19の出力Ce1を読み込む(S41)。このような動作とすることにより、左手のみ接触している時は(SF=1)、第1アルコールセンサ19の出力Ce1を、右手のみ接触している時は(SF=2)、第2アルコールセンサ20の出力Ce2を、両手が接触している時は(SF=3)、出力Ce1とCe2の両方を、それぞれ制御回路29が読み込んでいる。
【0040】
その後、出力Ce1とCe2のいずれかが飲酒規制値以上であるか否かを判断する(S43)。なお、飲酒規制値は飲酒運転取締り時の酒気帯び判定用呼気中アルコール濃度(2007年時点で呼気1リットル当たり0.15mg)に相当する汗蒸気中のアルコール濃度としている。飲酒規制値は酒気帯び判定濃度に相当する値としてあらかじめ求めておき、制御回路29のメモリに記憶しておく。
【0041】
もし、出力Ce1とCe2のいずれかが飲酒規制値以上でなければ(S43のNo)、飲酒していないと判断できるので、図4のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。一方、出力Ce1とCe2のいずれかが飲酒規制値以上であれば(S43のYes)、飲酒していると判断できる。この場合、制御回路29は運転者への飲酒警告信号を車両用制御回路に送信する(S45)。これを受け、車両用制御回路は運転者に対して車両のメータ内等に前記警告を表示する。
【0042】
その後、飲酒状態での運転継続は危険であるので、制御回路29は車両制御信号を車両用制御回路に送信する(S47)。これを受け、車両用制御回路は例えば車両を強制的に減速したり一定以上の速度が出ないように制御して、運転者に対し車両を安全に停止する動作を促す。あるいは、車両起動時であればエンジン始動を禁止する。その後、図4のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
【0043】
この動作をまとめると、制御回路29は、少なくとも第1接触検出電極21間の抵抗値Rs1、または第2接触検出電極22間の抵抗値Rs2が既定抵抗値の範囲内である時に掌が汗蒸気導入口15に接触していると判断し、この状態で、ポンプ25で吸引した汗蒸気に対する第1アルコールセンサ19の出力Ce1、または第2アルコールセンサ20の出力Ce2が飲酒規制値以上であれば、運転者が飲酒していると判断するということになる。
【0044】
なお、図4のフローチャートには記載していないが、制御回路29は、車両の開錠、または施錠の少なくともいずれかが行われた時にポンプ25を動作させ、その時の第1アルコールセンサ19の出力Ce1と第2アルコールセンサ20の出力Ce2をアルコール非検出値とするようにしている。これにより、第1アルコールセンサ19と第2アルコールセンサ20の0点出力を車両使用の都度、補正することができるので、高精度な飲酒判断が可能となる。
【0045】
以上の構成、動作により、汗蒸気導入口15に掌が接触していることを接触検出電極で検出した時のみポンプ25を駆動することにより、掌の汗を積極的に気化させてアルコール検出部11に導入することができるので、高速に汗蒸気中のアルコール濃度検出が可能な高精度飲酒検出装置を実現できる。
【0046】
なお、本実施の形態1では、第1アルコールセンサ19や第2アルコールセンサ20をマイクロヒータ上に設けた薄膜の半導体素子からなる構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば接触燃焼式のアルコールセンサでもよい。これは、マイクロヒータ上に触媒を設けた構成で、触媒をアルコール検出に適した温度に加熱してアルコールを燃焼させることによる温度変化を検出する原理のものである。これによっても小型で低消費電力のアルコールセンサが得られる。
【0047】
また、本実施の形態1では第1アルコールセンサ19と第2アルコールセンサ20の2個を用いているが、これは1個のアルコールセンサをポンプ25の排気側に設ける構成としてもよい。この場合、アルコールセンサが1個しかないので、アルコールセンサのバラツキ誤差がなく、より高精度化が図れる。但し、アルコール検出部11にそれぞれアルコールセンサを配した構成に比べ、汗蒸気がアルコールセンサに至るまでに時間がかかるので、ポンプ25の吸引能力を上げる等の対応が必要となる。
【0048】
また、本実施の形態1では、アルコール検出部11をハンドル13の2ヶ所に設けたが、これは少なくとも1ヶ所にあればよい。但し、この場合は掌が汗蒸気導入口15に接触する確率が小さくなり、運転中の飲酒に対するタイムリーな判断ができなくなる可能性がある。そこで、図5に示すように、例えばハンドル13の全体に複数(図5では19ヶ所)のアルコール検出部11を設ける構成がより望ましい。具体的には、ハンドル13に汗蒸気導入口15を複数設けるとともに、隣り合う汗蒸気導入口15の間でハンドル13の内部に隔壁30を設け、複数の汗蒸気導入口15のそれぞれの奥部にアルコールセンサ31を設け、複数の汗蒸気導入口15のそれぞれにポンプ25の吸気側を接続した構成とする。これにより、掌がハンドル13のどこを握っても、いずれかの汗蒸気導入口15に接触するので、常に汗蒸気中のアルコール濃度を検出することができる。なお、図5の構成ではアルコールセンサも19個配置されるので、制御回路29は接触検出電極間の抵抗値が既定抵抗値の範囲内にある汗蒸気導入口15の奥部に設けたアルコールセンサ31の出力のみを飲酒判断に用いればよい。
【0049】
また、図5の構成ではアルコールセンサ31が多数あるため、出力のバラツキが大きくなり飲酒判断精度が低下する可能性がある。そこで、より高精度に飲酒判断を行うために、複数の汗蒸気導入口15のそれぞれに複数のポンプ25を接続し、複数のポンプ25の排気側の集約部分にアルコールセンサ31を1個だけ設けた構成としてもよい。この場合、制御回路29は接触検出電極間の抵抗値が既定抵抗値の範囲内にある汗蒸気導入口15に接続されたポンプ25のみを動作させることで、汗蒸気が希釈されることがなくなり、高精度飲酒判断が可能となる。
【0050】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2における飲酒検出装置の概略断面図である。図7は本発明の実施の形態2における飲酒検出装置のブロック回路図である。図8は本発明の実施の形態2における飲酒検出装置の動作を示すフローチャートである。なお、本実施の形態2の飲酒検出装置の構成において、実施の形態1と同じ構成には同じ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
すなわち、図6において、本実施の形態2の特徴となる構成は、アルコールセンサが、ハンドル13に内蔵された赤外線光源51と赤外線センサ53からなる点である。具体的には、赤外線光源51から発生した赤外線が、図6の点線で示すように、ハンドル13の円周方向に沿って内蔵した光路55内で反射を繰り返し、赤外線センサ53に至るように赤外線光源51と赤外線センサ53を配置している。また、光路55を含むハンドル13の表面には汗蒸気導入口15を設けるとともに、ポンプ25は光路55に汗蒸気吸引管23で接続された構成を有する。なお、本実施の形態2では、図6に示すように汗蒸気導入口15をハンドル13の左右2ヶ所に設け、2つの汗蒸気導入口15の一方の奥部(図6では左側)に赤外線光源51を、他方の奥部(図6では右側)に赤外線センサ53を配置している。
【0052】
ここで、本実施の形態2で特徴となる上記各構成要素の詳細について説明する。
【0053】
赤外線光源51は単純にはヒータで構成すればよいが、本実施の形態2では赤外線センサ53に焦電素子を用いたので、赤外線を焦電素子にパルス的に照射する必要がある。そこで、赤外線光源51はオンオフ信号によってパルス赤外光を発生するフィラメントから構成されるものとした。
【0054】
赤外線センサ53には上記したようにパルス赤外光が照射されるが、全ての赤外波長を照射するとアルコール成分(炭化水素)を検出することが困難になる。そこで、炭化水素に反応する赤外波長を選択的に通すフィルタが焦電素子の上部に配される構造としている。
【0055】
赤外線光源51と赤外線センサ53の間に配される光路55はハンドル13の一部を円筒状にして形成されている。この光路55の表面は、赤外線を効率よく反射するように金メッキ処理が施されている。このような構成とすることにより、赤外線光源51から発せられた赤外線は、図6の点線で示すように光路55の表面で反射を繰り返し、赤外線センサ53に到達する。その結果、赤外線光源51から赤外線センサ53までの光路長が長くなり、赤外線センサ53の出力感度が上昇し高精度化が図れる。
【0056】
また、2ヶ所の汗蒸気導入口15に設けられた透湿膜17の表面には、図2(a)〜(c)のいずれかに示したものと同じ形状の第1接触検出電極21、および第2接触検出電極22がそれぞれ形成されている。従って、制御回路29は、第1接触検出電極21と第2接触検出電極22の少なくともいずれかが既定抵抗値の範囲にあればポンプ25を動作させている。これにより、光路55の全体に汗蒸気を積極的に導入することができ、その汗蒸気の中を赤外線が通る構成となる。
【0057】
以上の構成とすることにより、汗蒸気の中からアルコール成分を選択して高精度に検出することができる。なお、上記以外の構成は実施の形態1と同じである。
【0058】
次に、本実施の形態2のブロック回路図を図7により説明する。なお、図7において図3と同じ構成には同じ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
すなわち、図7における特徴となる構成は、実施の形態1の第1アルコールセンサ19と第2アルコールセンサ20を廃し、赤外線光源51と赤外線センサ53を接続した点である。これにより、制御回路29は赤外線光源51に対しパルス駆動電流IRPを供給するとともに、赤外線センサ53の出力Ceを読み込む構成となる。なお、上記以外の回路上の構成は実施の形態1と同じである。
【0060】
次に、本実施の形態2の動作について図8を用いて説明する。なお、図8において図4と同じ動作については同じステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
まず、図8においてS11からS33は実施の形態1と同じ動作である。S31でNoの場合は、制御回路29が赤外線光源51に対しパルス駆動電流IRPを供給して一定時間の間、パルス赤外光を発生させるとともに、その時の赤外線センサ53の出力Ceを読み込む(S51)。その後、接触フラグSFが3であるか否かを判断する(S53)。もし、SFが3でなければ(S53のNo)、後述するS57にジャンプする。一方、SFが3であれば(S53のYes)、両手が2ヶ所の汗蒸気導入口15に触れていることになるので、光路55には両手の汗蒸気が導入されることになる。ここで、片手のみが2ヶ所の汗蒸気導入口15のいずれかに触れている場合は、手が触れていない汗蒸気導入口15からは空気が導入されることになるので、導入された汗蒸気中に含まれるアルコール濃度は実際の約半分に薄められることになる。本実施の形態2では両手が2ヶ所の汗蒸気導入口15に触れる場合に比べ確率的に高いと想定される片手のみの汗蒸気中のアルコール濃度を基準として飲酒判断を行うようにしているので、両手が2ヶ所の汗蒸気導入口15に触れているSF=3の場合には、基準濃度に対して2倍のアルコール濃度となっている。ゆえに、この時の赤外線センサ53の出力Ceを半分にしてCeの値を更新している(S55)。
【0062】
次に、制御回路29は赤外線センサ53の出力Ceと飲酒規制値を比較する(S57)。なお、飲酒規制値は実施の形態1と同じ値である。もし、出力Ceが飲酒規制値未満であれば(S57のNo)、運転者は飲酒をしていないと判断されるので、そのまま図8のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。一方、出力Ceが飲酒規制値以上であれば(S57のYes)、飲酒していると判断できるので、実施の形態1と同様に、制御回路29は運転者への飲酒警告信号を車両用制御回路に送信する(S59)とともに、車両制御信号を車両用制御回路に送信する(S61)。これを受け、車両用制御回路は運転者への警告と車両の強制制御を行う。その後、図8のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
【0063】
このような動作によっても運転者の飲酒を判断することができる上に、実施の形態1の構成と比べてアルコール濃度を検出する赤外線センサ53、およびポンプ25がそれぞれ1つでよく、実施の形態1のように複数のアルコールセンサや複数のポンプを設ける必要がない。従って、簡単な構成で、複数のアルコールセンサのバラツキがなく高精度化が図れ、赤外線によるさらに高速な飲酒判断が可能な飲酒検出装置が得られる。
【0064】
なお、本実施の形態2においても実施の形態1と同様に、車両の開錠、または施錠の少なくともいずれかが行われた時にポンプ25と赤外線光源51を動作させ、その時の赤外線センサ53の出力Ceをアルコール非検出値とするようにしている。
【0065】
以上の構成、動作により、汗蒸気導入口15に掌が接触していることを接触検出電極で検出した時のみポンプ25と赤外線光源51を駆動することにより、掌の汗を積極的に気化させてアルコール検出部11に導入することができる上に、赤外線センサ53による高応答性が得られるので、より高速に汗蒸気中のアルコール濃度検出が可能な高精度飲酒検出装置を実現できる。さらに、必要な時のみに消費電力の大きいポンプ25と赤外線光源51を駆動するので低消費電力化が図れるという効果も得られる。
【0066】
なお、本実施の形態2では、汗蒸気導入口15をハンドル13の左右2ヶ所としたが、これは光路55を含むハンドル13の表面上であれば何ヶ所に設けてもよい。但し、1ヶ所のみとすると掌が汗蒸気導入口15に触れる確率が低下し、多数ヶ所にすると掌が接触していない汗蒸気導入口15からも空気が導入され汗蒸気が薄まるので、本実施の形態2で述べたハンドル13の左右2ヶ所の汗蒸気導入口15を設ける構成が望ましい。
【0067】
また、実施の形態1、2では汗蒸気中のアルコール濃度から飲酒判断を行っているが、これに運転者の疲労度を加味して判断するようにしてもよい。具体的には、例えば運転席のダッシュボードに運転者の視線検出手段を設けるとともに、視線検出手段を制御回路29に接続する構成とし、制御回路29は視線検出手段より視線移動特性を検出し、視線移動特性から運転者の疲労度を計算する。もし、疲労度が既定値以上であり、かつアルコールセンサの出力が飲酒規制値以上であれば、運転者が強度の飲酒状態であると判断して、飲酒の警告を激しくしたり車両を強制的に停車させる等の動作を行うようにすればよい。なお、疲労度は例えば(数1)で表されるリアプノフ指数λを計算することで求めることができる。
【0068】
【数1】

【0069】
よって、リアプノフ指数λは(数1)より視線移動特性をf(xi)とすることにより、その変化量(微分値)の大きさを対数計算して平均化した時の極値を求めることになる。得られたリアプノフ指数λが既定値以上に高くなれば疲労していると判断できる。
【0070】
また、前記視線検出手段に替わって、運転席に重量センサを設け、制御回路29は重量センサより重量変化特性を検出し、重量変化特性から疲労度を計算するようにしてもよい。具体的には例えば運転席の四隅に重量センサをそれぞれ設け、それぞれの重量変化特性から運転者の重心移動を求め、そのリアプノフ指数λを計算することで疲労度が求められる。このような構成とすることで、スマートエアバッグ用の運転席重量センサを利用できるので、スマートエアバッグが搭載されている車両では重量センサの追加なしで疲労度を含めた飲酒判断が可能となる。
【0071】
また、上記した視線検出手段や重量センサから得られた疲労度が既定値以上であれば、飲酒していなくても運転者に疲労状態にあることを警告し、休息を促す等の動作を行ってもよい。
【0072】
また、実施の形態1、2で述べた飲酒検出装置は、主に自動車用として説明したが、これは鉄道車両や航空機、船舶、建設機械、プラント操作部のように、飲酒により甚大な影響を及ぼす分野に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明にかかる飲酒検出装置は、運転者が飲酒していることを高精度に判断できるので、特に飲酒検出管理が厳格になされておらず、かつ運転者数が多い自家用車の飲酒検出装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態1における飲酒検出装置の概略断面図
【図2】本発明の実施の形態1における飲酒検出装置のアルコール検出部の接触検出電極の形状平面図であり、(a)は渦巻き型の接触検出電極の平面図、(b)は櫛型の接触検出電極の平面図、(c)は星型の接触検出電極の平面図
【図3】本発明の実施の形態1における飲酒検出装置のアルコール検出部のブロック回路図
【図4】本発明の実施の形態1における飲酒検出装置の動作を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1における飲酒検出装置の他の構成の概略断面図
【図6】本発明の実施の形態2における飲酒検出装置の概略断面図
【図7】本発明の実施の形態2における飲酒検出装置のブロック回路図
【図8】本発明の実施の形態2における飲酒検出装置の動作を示すフローチャート
【図9】従来の飲酒検出装置の概略構成図
【符号の説明】
【0075】
11 アルコール検出部
13 ハンドル
15 汗蒸気導入口
17 透湿膜
19 第1アルコールセンサ
20 第2アルコールセンサ
21 第1接触検出電極
22 第2接触検出電極
25 ポンプ
27 圧力センサ
29 制御回路
30 隔壁
31 アルコールセンサ
51 赤外線光源
53 赤外線センサ
55 光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルの一部に配され、掌の汗蒸気を取り込む汗蒸気導入口と、
前記汗蒸気導入口に配した透湿膜と、
前記透湿膜の表面に設けた一対の接触検出電極と、
前記汗蒸気導入口に吸気側を接続したポンプと、
前記汗蒸気導入口の奥部、または前記ポンプの排気側に設けたアルコールセンサと、
前記接触検出電極、ポンプ、およびアルコールセンサが接続された制御回路とからなり、
前記制御回路は、前記接触検出電極間の抵抗値が既定抵抗値の範囲内である時に前記掌が前記汗蒸気導入口に接触していると判断し、
この状態で、前記ポンプで吸引した前記汗蒸気に対する前記アルコールセンサの出力が飲酒規制値以上であれば、運転者が飲酒していると判断するようにした飲酒検出装置。
【請求項2】
一対の前記接触検出電極は互いに入り組んだ形状を有する請求項1に記載の飲酒検出装置。
【請求項3】
前記アルコールセンサはマイクロヒータ上に設けた薄膜の半導体素子からなる請求項1に記載の飲酒検出装置。
【請求項4】
前記制御回路は前記マイクロヒータにパルス電流を流すことによりアルコール濃度を検出するようにした請求項3に記載の飲酒検出装置。
【請求項5】
前記制御回路は前記アルコール濃度を検出する前にも前記パルス電流を流すようにした請求項4に記載の飲酒検出装置。
【請求項6】
前記アルコールセンサは前記半導体素子を複数有する構成とした請求項3に記載の飲酒検出装置。
【請求項7】
前記制御回路は前記アルコール濃度の検出毎に複数の前記半導体素子を順次切り替えるようにした請求項6に記載の飲酒検出装置。
【請求項8】
前記汗蒸気導入口を複数設けるとともに、隣り合う前記汗蒸気導入口の間で前記ハンドルの内部に隔壁を設け、複数の前記汗蒸気導入口のそれぞれの奥部に前記アルコールセンサを設け、複数の前記汗蒸気導入口のそれぞれに前記ポンプの吸気側を接続した構成を有し、
前記制御回路は、前記接触検出電極間の抵抗値が前記既定抵抗値の範囲内にある前記汗蒸気導入口の奥部に設けた前記アルコールセンサの出力のみを検出するようにした請求項1に記載の飲酒検出装置。
【請求項9】
前記汗蒸気導入口を複数設けるとともに、隣り合う前記汗蒸気導入口の間で前記ハンドルの内部に隔壁を設け、複数の前記汗蒸気導入口のそれぞれに複数の前記ポンプを接続し、複数の前記ポンプの排気側の集約部分に前記アルコールセンサを設けた構成を有し、
前記制御回路は、前記接触検出電極間の抵抗値が前記既定抵抗値の範囲内にある前記汗蒸気導入口に接続された前記ポンプのみを動作させるようにした請求項1に記載の飲酒検出装置。
【請求項10】
前記アルコールセンサは、前記ハンドルに内蔵した赤外線光源と赤外線センサから構成され、前記赤外線光源から発生した赤外線は前記ハンドルの円周方向に沿って内蔵した光路内で反射を繰り返し、前記赤外線センサに至るように前記赤外線光源と前記赤外線センサを配置するとともに、前記光路を含む前記ハンドルの表面に前記汗蒸気導入口を設け、前記ポンプは前記光路に接続された請求項1に記載の飲酒検出装置。
【請求項11】
前記汗蒸気導入口を前記ハンドルの左右2ヶ所に設け、2つの前記汗蒸気導入口の一方の奥部に前記赤外線光源を、他方の奥部に前記赤外線センサを配置した請求項10に記載の飲酒検出装置。
【請求項12】
前記汗蒸気導入口と前記ポンプの間に、前記制御回路に接続された圧力センサを設け、
前記制御回路は前記ポンプの動作中における前記圧力センサの圧力出力が既定圧力以下である時に、前記透湿膜が閉塞していると判断するようにした請求項1に記載の飲酒検出装置。
【請求項13】
前記制御回路は、車両の開錠、または施錠の少なくともいずれかが行われた時に前記ポンプを動作させ、その時の前記アルコールセンサの出力をアルコール非検出値とするようにした請求項1に記載の飲酒検出装置。
【請求項14】
運転席のダッシュボードに運転者の視線検出手段を設けるとともに、前記視線検出手段は前記制御回路に接続される構成を有し、
前記制御回路は前記視線検出手段より視線移動特性を検出し、前記視線移動特性より前記運転者の疲労度を計算し、前記疲労度が既定値以上であり、かつ前記アルコールセンサの出力が前記飲酒規制値以上であれば、前記運転者が強度の飲酒状態であると判断するようにした請求項1に記載の飲酒検出装置。
【請求項15】
前記視線検出手段に替わって、前記運転席に重量センサを設け、前記制御回路は前記重量センサより重量変化特性を検出し、前記重量変化特性より前記疲労度を計算するようにした請求項14に記載の飲酒検出装置。
【請求項16】
前記疲労度はリアプノフ指数を計算することで求めるようにした請求項14に記載の飲酒検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−2883(P2009−2883A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165956(P2007−165956)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】