説明

飲食料製造ライン用脱臭剤組成物

【課題】果汁系飲料、スポーツ飲料、コーヒー飲料、栄養ドリンクなどの多様化する異なる種類のフレーバー臭に対しても均質で優れた脱臭効果を発現し、同一の製造ラインにおいて異なる各種の製品を製造する飲食料製造工場において、製造ラインに付着残留している前の製品のフレーバー臭を効率良く脱臭除去することができる飲食料製造ライン用脱臭剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の飲食料製造ライン用脱臭剤組成物は、(A)成分としてヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、(B)成分としてα−シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリンから選ばれる少なくとも一種よりなるシクロデキストリン成分、(C)成分として水を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、飲料工場等の製造設備や製造機器類の洗浄に使用する飲食料製造ライン用脱臭剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、飲料を製造する飲食料製造工場では、同一の製造ラインで異なる種々の製品を製造するため、製造ライン中に残留している前の製品が混入しないように、製造製品を切り替える毎に製造ラインを洗浄することが必要であり、特にコーヒー飲料、果汁系飲料、スポーツ飲料、栄養ドリンク等の飲料工場では、それぞれの飲料に使用する異なるフレーバーが混入しないように十分な洗浄が重要となる。飲食料製造工場では、製造設備や製造機器類を分解することなく、そのままの状態で内部に洗浄液を循環させたり、洗浄液をスプレーして洗浄するCIP(Cleaning in place)洗浄が行われているが、配管連結部のパッキン部(シール部)にはフレーバー臭が付着残留しやすく、フレーバー臭を十分に除去するためには十分な洗浄が必要であり大きな労力が要求される。特に、近年、製造する製品種類が増加し、製造製品を切り替える頻度も高まり、製品毎の生産速度向上が求められているが、多様化するフレーバー臭を十分に除去するためには長時間が必要であり、生産性を著しく低下させる原因となっている。
【0003】
従来、食品工場、飲料工場等において製造ラインに付着したフレーバー臭を除去するために、酸性洗浄剤及び/又はアルカリ性洗浄剤で処理したり、酸性洗浄剤やアルカリ性洗浄剤で洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、過炭酸塩、過ホウ酸塩などの酸化剤を用いて脱臭処理を行う方法が採用されていたが、十分な脱臭効果が得られないと同時に、使用状況によっては製造設備等の損傷が発生する場合もある。このような状況から、CIP洗浄におけるフレーバー除去効率を更に向上させる技術が提案され、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等の特定の非イオン界面活性剤を主成分として含有するCIP洗浄用脱臭剤組成物(特許文献1)、25℃でのSP値が6〜9である溶剤(A)及び界面活性剤(B)を含有するCIP洗浄用脱臭剤組成物(特許文献2)、(A)シクロデキストリン、(B)エーテルカルボン酸またはそのアルカリ塩、(C)非イオン界面活性剤、(D)可溶化剤および(E)水を含有するCIP洗浄用脱臭剤組成物(特許文献3)、(A)少なくともメチル−β−シクロデキストリンを含む2種以上のシクロデキストリン5〜97重量%、(B)界面活性剤3〜20重量%を含有するCIP洗浄用脱臭剤組成物(特許文献4)等を用いた脱臭洗浄方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−49193号公報
【特許文献2】特開2005−200627号公報
【特許文献3】特開2007−77290号公報
【特許文献4】特開2009−256637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1記載の脱臭剤は、製造設備への損傷が少なく、低泡ではあるものの、依然としてフレーバー臭の除去効果が十分とは言えず、特許文献2記載の脱臭剤は、含有する溶剤等の成分によっては、脱臭剤組成物自身の臭いが残留してしまうため所望の脱臭効果が得られ難いという問題がある。また特許文献3記載の脱臭剤は、特定のフレーバー臭に対しては除去力に優れ、特にパッキン等に付着したフレーバー臭も効率よく除去し、且つすすぎ性が良好ではあるものの、別のフレーバーに対しては十分な除去力が発揮されないため、フレーバーの異なる多くの製品を製造している工場では、製品毎に異なるフレーバーに対応するように配合成分の種類や割合を調整した脱臭剤を用意しなければならないという煩雑な問題があった。更に特許文献4記載の脱臭剤も、果汁系飲料やスポーツ系飲料のフレーバー臭に対して効果的に脱臭効果を示すものの、コーヒー系飲料や栄養ドリンクのフレーバー臭に対しては十分な脱臭効果が得られないという問題を有していた。食品、飲料には種々のフレーバーが用いられており、飲料の種類が異なればフレーバーの種類も異なるとともに、近年、同じ飲料品種でも異なるフレーバーが配合される場合もあり、多様化する多くのフレーバー臭に対する優れた脱臭効果を有する脱臭剤が要望されている。
【0006】
本発明は、多くの異なるフレーバー臭に対しても均質な脱臭効果を発揮し、CIP洗浄に用いた場合でも、飲食料製造ラインに付着したフレーバー臭を効果的に除去することができる飲食料製造ライン用脱臭剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討した結果、ヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリンと、α、β、γ‐シクロデキストリンより選ばれた少なくとも一種と、水とを含むCIP洗浄用脱臭剤組成物が、製造設備に付着したフレーバーを効率よく除去し、多様化するフレーバーとくに果汁系飲料、スポーツ飲料、コーヒー系飲料や栄養ドリンクに対しても均質な脱臭効果を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)(A)成分としてヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、(B)成分としてα−シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリンから選ばれる少なくとも一種よりなるシクロデキストリン成分、(C)成分として水を含有することを特徴とする飲食料製造ライン用脱臭剤組成物、
(2)更に(D)成分として、界面活性剤を含有し、該界面活性剤の脱臭剤組成物中の含有割合が0.1〜10.0重量%であることを特徴とする上記(1)のCIP洗浄用脱臭剤組成物、
(3)(D)成分の界面活性剤が、非イオン界面活性剤である上記(2)のCIP洗浄用脱臭剤組成物、
(4)更に(E)成分として、25℃におけるSP値が9を超える水溶性溶剤を含有し、該水溶性溶剤の脱臭剤組成物中の含有割合が1.0〜20.0重量%であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかのCIP洗浄用脱臭剤組成物、
(5)脱臭剤組成物中における(A)成分の含有割合が1〜40.0重量%、(B)成分の含有割合が1〜20重量%である上記(1)〜(4)のいずれかのCIP洗浄用脱臭剤組成物、
を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の飲食料製造ライン用脱臭剤組成物は、果汁系飲料、スポーツ飲料、コーヒー飲料、栄養ドリンクなどの多様化する異なる種類のフレーバー臭に対しても均質で優れた脱臭効果を発現し、同一の製造ラインにおいて異なる各種の製品を製造する飲食料製造工場において、製造ラインに付着残留している前の製品のフレーバー臭を効率良く脱臭除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の飲食料製造ライン用脱臭剤組成物は、(A)成分として、ヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、(B)成分として、α‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリンから選ばれる少なくとも1種以上、(C)成分として、水を必須成分とする。(A)成分のヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、(B)成分のα‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリンは、市販されているものを使用することができる。(B)成分は、α‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリンおよびγ‐シクロデキストリンから選択した少なくとも1種を用いれば良いが、2種以上を併用しても良く、特に3種を併用すると、栄養ドリンク臭の脱臭に効果があるため好ましい。3種のシクロデキストリンを併用する場合、α、β、γ-シクロデキストリンの質量比は、α:β:γ=1〜15:0.5〜1.5:0.1〜10の範囲が好ましく、特にα:β:γ=3〜13:0.8〜1.4:1〜7の範囲がより好ましい。
【0011】
本発明の脱臭剤組成物は、更に(D)成分として界面活性剤、(E)成分として、25℃におけるSP値が9を超える水溶性溶剤の一方又は両方を配合することができる。(D)成分の界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン界面活性剤を用いることができるが、特に、非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。
【0012】
(D)成分に用いる非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸部分エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、エチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのエチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられ、これら非イオン界面活性剤は一種又は二種以上を用いることができる。特に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマーが好ましい。
【0013】
(E)成分として用いる25℃におけるSP値が9を超える水溶性溶剤としては、具体的には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上併用して用いることもできる。特に、プロピレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。SP値が9以下の水溶性溶剤は、パッキン等の材質に対する影響があるため好ましくない。
【0014】
本発明の脱臭剤組成物は、更に上記(D)成分の界面活性剤を含有していると、特に栄養ドリンクのフレーバー臭に対する脱臭効果が向上し、(E)成分として25℃におけるSP値が9を超える水溶性溶剤を含有していると、オレンジ飲料やアップル飲料などの果汁系飲料のフレーバー臭に対する脱臭効果が向上する。
【0015】
本発明の脱臭剤組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分からなる場合も、更に(D)成分及び/又は(E)成分を含む場合も、(A)成分の脱臭剤組成物中における含有割合は1〜40重量%が好ましいが、脱臭効果の点から3〜30重量%の範囲がより好ましく、特に4〜15重量%の範囲で含有されることが好ましい。脱臭剤組成物は洗浄に際して希釈して用いられるため、脱臭剤組成物中における(A)成分の含有割合が1重量%未満では、希釈した際に十分な脱臭効果が得られない虞があり、40重量%を超えて配合しても、それ以上の脱臭効果の向上は望めない。また、本発明脱臭剤組成物が、(A)成分、(B)成分、(C)成分からなる場合も、更に(D)成分及び/又は(E)成分を含む場合も、脱臭剤組成物中の(B)成分の含有割合は、1〜20重量%が好ましいが、脱臭効果の点から5〜15重量%がより好ましい。(B)成分の含有割合が1重量%未満では、希釈した際に十分な脱臭効果が得られない虞があり、20重量%を超えて配合しても、それ以上の脱臭効果の向上は望めない。脱臭剤組成物中の(C)成分の含有割合は、10〜90重量%が好ましいが、安定性の点から30〜80重量%がより好ましい。脱臭剤組成物が(D)成分及び/又は(E)成分を含有する場合、組成物中における(D)成分の含有割合は、0.1〜10.0重量%が好ましいが、1.0〜8.0重量%がより好ましく、特に3.0〜7.0重量%が好ましい。また(E)成分は、脱臭剤組成物中に1.0〜20.0重量%含有されることが好ましいが、5.0〜10.0重量%がより好ましい。脱臭剤組成物中の(D)成分の割合が0.1重量%未満の場合、(E)成分の割合が1.0重量%未満の場合、(D)成分、(E)成分を更に配合した効果が発揮されず、また(D)成分の割合が10.0重量%を超える場合、(E)成分の割合が20.0重量%を超える場合、(D)成分、(E)成分を添加した効果の向上がそれ以上望めないばかりか、(E)成分の割合が20.0重量%を超えると、希釈して使用しても溶剤臭が残留するため好ましくない。
尚、(C)成分の水の配合割合は、各成分との合計で100重量%となるように調整される。
【0016】
本発明の脱臭剤組成物には、上記(A)成分〜(E)成分以外に、更に必要に応じてアルカリ剤、キレート剤、有機塩類、分散剤、可溶化剤、染料、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、腐食抑制剤、天然抽出物等を配合することができる。
【0017】
本発明の脱臭剤組成物を製造する方法としては、特に制限はなく、各成分を攪拌混合する等の通常の方法で製造することができる。
【0018】
本発明脱臭剤組成物により飲食料製造ラインの脱臭洗浄を行うには、通常、本発明脱臭剤組成物を水、湯、非水系溶剤、水性溶剤等の希釈溶媒で希釈した希釈液を用いるが、経済性、安全面から希釈溶媒としては、水又は湯を用いることが好ましい。希釈液中の(A)成分の濃度は0.02〜5.0重量%が好ましいが、より好ましくは0.05〜2.0重量%である。希釈液による脱臭洗浄処理は、100kPa〜550kPaの加圧下において、100〜160℃で行うことが好ましい。本発明の脱臭剤組成物による飲食料製造ラインの脱臭洗浄処理方法としては、上記の希釈液に、飲食料製造ラインにおける機械器具を分解した部品を浸漬する方法、飲食料製造ラインを分解することなく、洗浄液を循環させて処理するCIP洗浄法において上記希釈液を循環させる方法、上記希釈液を高圧洗浄機により被洗浄物又は被洗浄物外面に噴射して処理する方法等が挙げられる。
【0019】
CIP洗浄は、従来、1.水洗浄、2.アルカリ洗浄、3.水すすぎ、4.酸洗浄、5.水すすぎ、6.殺菌、7.水すすぎという工程で行われているが、CIP洗浄剤の配合成分、汚れの種類や状態に応じて、一部の工程が省略されたり、順序が変更されたり、あるいは同じ工程が繰り返し実施される場合もある。本発明の脱臭剤組成物の希釈物による脱臭洗浄処理をCIP洗浄において行う場合、上記いずれかの工程の前および/または後に上記本発明脱臭剤組成物の希釈物を循環させるか、あるいはいずれかの工程と置換して本発明脱臭剤組成物を循環させる等により行うことができる。本発明の脱臭剤組成物を用いた脱臭洗浄工程を複数回に分けて繰り返し行うと、より高い脱臭効果を期待できる。このとき、脱臭剤組成物希釈液を10〜160℃の範囲に調整し、製造ライン内のタンク内、配管内および各種機器類等の内部と接触するように循環させて行うことが好ましく、中でも100kPa〜550kPaの加圧下において、60〜160℃の温度範囲、好ましくは製造設備の耐熱温度や材質等から100〜140℃の温度範囲で行うことでより高い脱臭効果を得ることができる。
【0020】
CIP洗浄における脱臭洗浄に本発明脱臭剤組成物を用いる場合、各成分の割合が優れた脱臭効果を得るのに十分な量となるように、本発明脱臭剤組成物を0.10〜10.0重量%の希釈液として用いることが好ましい。CIP洗浄のアルカリ洗浄におけるアルカリ処理剤としては、通常、苛性ソーダや苛性カリ等のアルカリの0.10〜5.0重量%希釈液が用いられる。また酸洗浄における酸処理剤としては、通常、硝酸やリン酸等の酸の0.10〜5.0重量%希釈液が用いられる。
【0021】
本発明脱臭剤組成物希釈液は、CIP洗浄におけるアルカリ洗浄工程で用いるアルカリ処理剤、又は酸洗浄工程で用いる酸処理剤と混合して用いると、CIP洗浄におけるアルカリ洗浄工程と脱臭洗浄工程、あるいは酸洗浄工程と脱臭洗浄工程を同時に行うことができ、CIP洗浄時間の短縮が可能となる。
【0022】
本発明脱臭剤組成物とアルカリ処理剤との混合物、あるいは酸処理剤との混合物を、CIP洗浄工程で用いる場合について説明したが、本発明脱臭剤組成物とアルカリ処理剤又は酸処理剤との混合物は、CIP洗浄に限らず、前記した高圧洗浄機により被洗浄物又は被洗浄物外面に処理液を噴射して処理する方法、被洗浄物に処理液を浸漬して処理する方法においても用いることができる。この場合、CIP洗浄に用いる場合の脱臭剤組成物、アルカリ処理剤あるいは酸処理剤の濃度に比べ、1〜10倍濃度として用いることが好ましい。
【実施例】
【0023】
以下本発明を実施例、比較例により、更に具体的に説明する。尚、以下の実施例、比較例において各成分の割合は質量%で示す。
【0024】
尚、以下の実施例、比較例において用いた(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分は以下の通りである。
【0025】
(A)成分
A−1:ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
(B)成分
B−1:α−シクロデキストリン
B−2:β−シクロデキストリン
B−3:γ−シクロデキストリン
(C)成分
C−1:水
(D)成分
D−1:ポリオキシエチレン(8モル)プロピレン(3モル)ラウリルエーテル
D−2:ポリオキシエチレン(15モル)オレイルエーテル
D−3:プルロニック型界面活性剤(アデカプルロニック17R−2、株式会社ADEKA製)
D−4:ポリオキシエチレン(10モル)オレイルエーテル酢酸ナトリウム
(E)成分
E−1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(25℃におけるSP値:10.5)
E−2:プロピレングリコール(25℃におけるSP値:14.8)
【0026】
実施例1〜23、比較例1〜12
表1〜3に示す配合の脱臭処理液を調整し、各種のフレーバー臭の脱臭試験を行った。試験方法および評価基準は、以下に示すとおりである。
【0027】
[脱臭試験被試験体]
EPDMパッキン(一辺5.0cmの正方形、厚さ5mm)を、各試験飲料中に全浸漬し、100℃で8時間放置したものを被試験体とした。試験飲料として、コーヒー飲料、栄養ドリンク、オレンジ飲料、アップル飲料、スポーツ飲料を用いた。
【0028】
[試験方法]
表1〜3に示す脱臭処理液の3重量%希釈液200mLを、それぞれ300mLのビーカーに入れた後、上記の方法により調整した被試験体のパッキンを、それぞれのビーカーに1枚投入して75℃にて30分間浸漬した。その後のパッキンを十分に水ですすぎ、乾燥したものを評価用のサンプルとした。
【0029】
[評価方法]
10人のパネラーにより被試験体のパッキンの臭いについて下記の4段階で評価した。その点数が少ないほど脱臭効果に優れているといえる。10人のパネラーによる評価点の合計点を「臭い残留度」として評価した。判断基準は下記の通りである。
[評価点基準]
1点:飲料のフレーバー臭ない
2点:僅かにフレーバー臭あり
3点:ややフレーバー臭強い
4点:フレーバー臭強い
「臭い残留度」
◎ 合計点が16点未満
○ 合計点が16点〜22点未満
△ 合計点が22点〜28点未満
× 合計点が28点以上
とし、◎、○および△を実用性のあるものとした。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分としてヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、(B)成分としてα−シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリンから選ばれる少なくとも一種よりなるシクロデキストリン成分、(C)成分として水を含有することを特徴とする飲食料製造ライン用脱臭剤組成物。
【請求項2】
更に(D)成分として、界面活性剤を含有し、該界面活性剤の脱臭剤組成物中の含有割合が0.1〜10.0重量%であることを特徴とする請求項1記載の飲食料製造ライン用脱臭剤組成物。
【請求項3】
(D)成分の界面活性剤が、非イオン界面活性剤である請求項2記載の飲食料製造ライン用脱臭剤組成物。
【請求項4】
更に(E)成分として、25℃におけるSP値が9を超える水溶性溶剤を含有し、該水溶性溶剤の脱臭剤組成物中の含有割合が1.0〜20.0重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の飲食料製造ライン用脱臭剤組成物。
【請求項5】
脱臭剤組成物中における(A)成分の含有割合が1〜40.0重量%、(B)成分の含有割合が1〜20重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の飲食料製造ライン用脱臭剤組成物。

【公開番号】特開2013−18862(P2013−18862A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152863(P2011−152863)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【出願人】(593085808)ADEKAクリーンエイド株式会社 (25)
【Fターム(参考)】