説明

飲食物及びその製造方法

【課題】甘味が強くなりボディ感が増し、高甘味度甘味料に由来する甘味の後引きが改善されすっきりとした良好な甘味を有し、酸味料に由来する刺激的な酸味が改善され、かつ炭酸ガスの気泡感が顕著に強い炭酸飲料を提供する。
【解決手段】α−テルピネオール、エチルブチレート及び1,8−シネオールを含有し、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]及びエチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12であり、高甘味度甘味料をさらに含有する炭酸飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物、飲食物の製造方法、飲食物の風味改善方法、高甘味度甘味料を含有する飲食物の後味改善方法、及び炭酸飲料の気泡感増強方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲食物、特に飲料の分野において、近年の健康志向より低カロリー化を目的として高甘味度甘味料の利用が広く行われるようになってきている。高甘味度甘味料は、ショ糖等の栄養甘味料と比較して少量で高い甘味度を有するため、実質的にカロリー摂取に寄与しないという利点がある。
【0003】
しかし、高甘味度甘味料は栄養甘味料と比較してボディ感に欠け、また甘味が残るため不快な甘味として後を引く等の問題がある。この問題は、高い甘味度が必要とされる炭酸飲料において特に顕著である。
【0004】
上記のような実状において、高甘味度甘味料と、それぞれ特定量の重合カテキン及びカフェインとを含有し、ボディ感や後口のキレ等を向上させた炭酸飲料が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−142129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された炭酸飲料は重合カテキンとカフェインとを含有するため、これらに由来する苦味が問題となりうるものであった。そのため、これらとは別の方法により甘味が改善された飲食物、さらには甘味がより改善され、ボディ感を有する飲食物が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、甘味が強くなりボディ感が増した飲食物、高甘味度甘味料を含有する場合には高甘味度甘味料に由来する甘味の後引きが改善され、すっきりとした良好な甘味を有する飲食物、及び飲食物が炭酸飲料である場合には炭酸飲料に配合された酸味料に由来する刺激的な酸味が改善され、かつ炭酸ガスの気泡感が顕著に強い炭酸飲料を提供することを目的とする。また、本発明は、高甘味度甘味料を含有する飲食物において高甘味度甘味料に由来する甘味の後味改善方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、炭酸飲料における炭酸ガスの気泡感増強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第一に本発明は、α−テルピネオール、エチルブチレート及び1,8−シネオールを含有し、前記1,8−シネオールの含有量[C]に対する前記α−テルピネオールの含有量[T]及び前記エチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12であることを特徴とする飲食物を提供する(発明1)。
【0009】
上記発明(発明1)においては、前記1,8−シネオールの含有量[C]に対する前記α−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0であることが好ましい(発明2)。
【0010】
上記発明(発明1,2)においては、前記1,8−シネオールの含有量[C]に対する前記エチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0であることが好ましい(発明3)。
【0011】
第二に本発明は、α−テルピネオールと1,8−シネオールとを含有し、前記1,8−シネオールの含有量[C]に対する前記α−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0であることを特徴とする飲食物を提供する(発明4)。
【0012】
第三に本発明は、エチルブチレートと1,8−シネオールとを含有し、前記1,8−シネオールの含有量[C]に対する前記エチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0であることを特徴とする飲食物を提供する(発明5)。
【0013】
上記発明(発明1〜5)に係る飲食物は、甘味が強くなり、ボディ感が増したものとなる。
【0014】
上記発明(発明1〜5)においては、高甘味度甘味料をさらに含有することが好ましい(発明6)。
【0015】
上記発明(発明6)によれば、飲食物が高甘味度甘味料を含有する場合において、高甘味度甘味料に由来する甘味の後引きが改善され、すっきりとした良好な甘味を有する飲食品が得られる。
【0016】
上記発明(発明6)においては、前記高甘味度甘味料がステビア抽出物であることが好ましい(発明7)。
【0017】
上記発明(発明1〜7)においては、カルダモンからの抽出物を含有することが好ましい(発明8)。
【0018】
上記発明(発明1〜8)においては、前記飲食物が飲料であることが好ましい(発明9)。
【0019】
上記発明(発明9)においては、前記飲料が炭酸飲料であることが好ましい(発明10)。
【0020】
上記発明(発明10)によれば、飲食物が炭酸飲料である場合において、炭酸飲料に配合された酸味料に由来する刺激的な酸味が改善され程よい良好な酸味となるほか、炭酸ガスの気泡感が顕著に強い炭酸飲料が得られる。
【0021】
第四に本発明は、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]及びエチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]、エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の製造方法を提供する(発明11)。
【0022】
第五に本発明は、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の製造方法を提供する(発明12)。
【0023】
第六に本発明は、1,8−シネオールの含有量[C]に対するエチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0となるように、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の製造方法を提供する(発明13)。
【0024】
第七に本発明は、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]及びエチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]、エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の風味改善方法を提供する(発明14)。
【0025】
第八に本発明は、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の風味改善方法を提供する(発明15)。
【0026】
第九に本発明は、1,8−シネオールの含有量[C]に対するエチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0となるように、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の風味改善方法を提供する(発明16)。
【0027】
第十に本発明は、高甘味度甘味料を含有する飲食物の後味改善方法であって、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]及びエチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]、エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の後味改善方法を提供する(発明17)。
【0028】
第十一に本発明は、高甘味度甘味料を含有する飲食物の後味改善方法であって、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の後味改善方法を提供する(発明18)。
【0029】
第十二に本発明は、高甘味度甘味料を含有する飲食物の後味改善方法であって、1,8−シネオールの含有量[C]に対するエチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0となるように、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の後味改善方法を提供する(発明19)。
【0030】
上記発明(発明17〜19)においては、前記高甘味度甘味料がステビア抽出物であることが好ましい(発明20)。
【0031】
第十三に本発明は、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]及びエチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]、エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする炭酸飲料の気泡感増強方法を提供する(発明21)。
【0032】
第十四に本発明は、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする炭酸飲料の気泡感増強方法を提供する(発明22)。
【0033】
第十五に本発明は、1,8−シネオールの含有量[C]に対するエチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0となるように、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする炭酸飲料の気泡感増強方法を提供する(発明23)。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、甘味が強くなり、ボディ感が増した飲食物が得られる。また、本発明によれば、飲食物が高甘味度甘味料を含有する場合において、高甘味度甘味料に由来する甘味の後引きが改善され、すっきりとした良好な甘味を有する飲食品が得られる。さらに、本発明によれば、飲食物が炭酸飲料である場合において、炭酸飲料に配合された酸味料に由来する刺激的な酸味が改善され程よい良好な酸味となるほか、炭酸ガスの気泡感が顕著に強い炭酸飲料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る飲食物は、α−テルピネオール及び/又はエチルブチレートと、1,8−シネオールとを含有するものである。
【0036】
α−テルピネオールは、植物に由来する天然有機物であって、モノテルペンアルコールの一種であり、新鮮なライラック様のフローラルな甘い香気を有する。α−テルピネオールは、チェリー、パイナップル、プラム、ピーチ、パパイヤなどの果実類;クミン、クローブ、桂皮、ナツメグ、カルダモンなどのスパイス類の香気成分中に見出されている。
【0037】
エチルブチレートは、示性式CCOOCで表わされる酪酸エステルであって、バナナやパイナップルのような果実香を有する。エチルブチレートは、リンゴ、キウイフルーツ、オレンジ、メロン、ストロベリー、ドリアン、パッションフルーツ等から得ることができる。
【0038】
1,8−シネオールは、植物に由来する天然有機物であって、環状エーテル構造を有するモノテルペノイドの一種であり、ショウノウまたはハッカのようなさわやかな香気とすっきりとした味を有する。1,8−シネオールは、ユーカリ属の植物などに含まれている他、オレンジ、レモン等の柑橘類;ジンジャー、コショウ、カルダモン等のスパイス類;カカオ、ココナッツ等のナッツ類等の香気成分中に見出されている。
【0039】
本実施形態に係る飲食物は、当該飲食物を固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS)にて分析したときに、1,8−シネオールの含有量[C](内部標準換算GC分析ピーク面積比値)に対するα−テルピネオールの含有量[T](内部標準換算GC分析ピーク面積比値)及びエチルブチレートの含有量[E](内部標準換算GC分析ピーク面積比値)の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12となるものである。
【0040】
上記([T]+[E])/[C]がこの範囲にあることで、飲食物に由来する甘味が強くなり、ボディ感が増すようになる。また、本実施形態に係る飲食物に、後述する高甘味度甘味料が配合されている場合は、高甘味度甘味料に由来する甘味の後引きが改善され、すっきりとした良好な甘味となる。さらに、本実施形態に係る飲食物が炭酸飲料である場合は、炭酸飲料に配合された酸味料に由来する刺激的な酸味が改善され程よい良好な酸味となるほか、炭酸ガスの気泡感(炭酸飲料を引用した時に口の中に残る気泡の刺激感)が顕著に強くなる(([T]+[E])/[C]を上記範囲にすることで得られるこれらの効果を以下「主効果」という)。一方、([T]+[E])/[C]が2.2未満であるか、または([T]+[E])/[C]が12を超えると、上述した主効果が期待できない。なお、本実施形態に係る飲食物において([T]+[E])/[C]が2.2〜12であるとは、[T]又は[E]が0である場合、すなわちα−テルピネオール又はエチルブチレートを全く含有しない場合を包含するものである。([T]+[E])/[C]は、2.8〜9.3であることが好ましく、2.8〜8であることがさらに好ましい。
【0041】
本実施形態に係る飲食物におけるα−テルピネオールの含有量[T]、エチルブチレートの含有量[E]及び1,8−シネオールの含有量[C]の具体的な測定方法は、後述する実施例にて示す。
【0042】
α−テルピネオールの含有量[T]、エチルブチレートの含有量[E]及び1,8−シネオールの含有量[C]が上述した条件を満たすように飲食物に含有させるためには、精製された上記成分を飲食物に配合しても良く、また上記成分を含有する1種又は2種以上の組成物を飲食物に配合しても良い。このような組成物としては、天然香料、調合香料、香辛料抽出物等を例示することができる。ここで、「天然香料」とは、天然に存在する植物等から抽出操作等により得られる香料であり、具体的には「天然香料基原物質リスト」(平成22年10月20日付消食表第377号通知の別添2)に記載されているものである。また、「調合香料」とは、化学合成により得られる合成香料又は天然香料から選択される2種以上の香料を配合することにより得られる香料である。さらに、「香辛料抽出物」とは、香辛料(スパイス)から抽出操作等により得られるものであり、具体的には「既存添加物名簿収載品目リスト」(平成22年10月20日付消食表第377号通知の別添1)に記載されているものである。また、「抽出操作等」とは、水、エタノール、二酸化炭素若しくは有機溶剤による抽出、水蒸気等による蒸留、又は圧搾を包含するものであり、「抽出物」とは、これら抽出操作等(抽出、蒸留、圧搾)により得られる物質を包含するものである。
【0043】
より具体的に、α−テルピネオールを含有する組成物としては、上述したα−テルピネオールを含有する植物から得られる抽出物を主な成分とする天然香料;アプリコット、ピーチ、パイナップル、サイダー等の調合香料;上述したα−テルピネオールを含有するスパイス類から得られる抽出物を主な成分とする香辛料抽出物等が挙げられる。
【0044】
また、エチルブチレートを含有する組成物としては、上述したエチルブチレートを含有する植物から得られる抽出物を主な成分とする天然香料;サイダー、ストロベリー、ピーチ等の調合香料等が挙げられる。
【0045】
1,8−シネオールを含有する組成物としては、上述した1,8−シネオールを含有する植物から得られる抽出物を主な成分とする天然香料;コーラ、ハーブ、ライム等の調合香料;上述した1,8−シネオールを含有するスパイス類から得られる抽出物を主な成分とする香辛料抽出物等が挙げられる。
【0046】
本実施形態に係る飲食物に配合する組成物は、上述した中でも、カルダモンからの抽出物が特に好ましい。ここで、カルダモン(学名:Elettaria cardamomum)は、南アジアから東南アジアにかけての地域を原産とするショウガ科の多年草である。カルダモンからの抽出物は、1,8−シネオール及びα−テルピネオールを主な香気成分として含むため、本実施形態に係る飲食物にカルダモンからの抽出物を配合することで、([T]+[E])/[C]及び/又は[T]/[C]を上述した範囲内にすることが容易となり、上述した主効果を容易に得ることができる。カルダモンからの抽出物は、カルダモンから公知の方法により製造しても良く、また市販品を使用しても良い。
【0047】
本実施形態に係る飲食物にカルダモンからの抽出物を含有させる場合、その含有量は0.0003〜0.0035質量%であることが好ましく、0.001〜0.003質量%であることがさらに好ましい。カルダモンからの抽出物の含有量をこの範囲にすることで、上述した主効果を容易に得ることができる。一方、カルダモンからの抽出物を含有させる場合であっても、その含有量が0.0035質量%を超えると、上述した主効果は得られるものの、カルダモンに由来する苦辛い味が感じられるようになり、飲食物として好ましくないものとなるおそれがある。
【0048】
また、本実施形態に係る飲食物に配合し得る、エチルブチレートを含有する組成物としては、上述した中でも、サイダーの調合香料であるサイダーフレーバーが、エチルブチレートを豊富に含有するため特に好ましい。また、本実施形態に係る飲食物にカルダモンからの抽出物を配合する場合、カルダモンからの抽出物との風味の相性の点においても、サイダーフレーバーが特に好適である。
【0049】
本実施形態に係る飲食物は、上記1,8−シネオールの含有量[C]に対する上記α−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0であることが好ましく、1.3〜4.3であることがさらに好ましく、1.3〜3.0であることが特に好ましい。[T]/[C]がこの範囲にあることで、上述した主効果がより顕著なものとなる。
【0050】
また、本実施形態に係る飲食物は、上記1,8−シネオールの含有量[C]に対するエチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0であることが好ましく、1.5〜5.0であることがさらに好ましく、1.5〜4.5であることが特に好ましい。[E]/[C]がこの範囲にあることで、上述した主効果がより顕著なものとなる。
【0051】
なお、本実施形態に係る飲食物は、上述した([T]+[E])/[C]、[T]/[C]、又は[E]/[C]のそれぞれの範囲のうち、いずれか一つの範囲を満たすことで上述した主効果を得ることができるが、いずれか二つの範囲を満たすことが好ましく、三つ全ての範囲を満たすことが特に好ましい。
【0052】
また、本実施形態に係る飲食物は、上記α−テルピネオールの含有量[T]と上記1,8−シネオールの含有量[C]との合計[T]+[C]が1.8〜4.2であることが好ましく、2.3〜4.0であることがさらに好ましく、2.6〜4.0であることが特に好ましい。[T]+[C]がこの範囲にあることで、上述した主効果がさらに顕著なものとなり、さらに1,8−シネオールに由来する風味が強く出すぎることもなく、嗜好的に極めて好ましい飲食物となる。
【0053】
本実施形態に係る飲食物は、甘味付与剤を含有することができる。本実施形態に係る飲食物が含有し得る甘味付与剤としては、特に限定されるものではないが、糖類、糖アルコール等の栄養甘味料、高甘味度甘味料等を挙げることができる。
【0054】
ここで、本明細書において、栄養甘味料とは、ショ糖と同程度の甘味度及びカロリーを有するため、ショ糖と同程度の甘味を得ようとした場合に十分なカロリー供給源となる甘味付与剤を意味する。本実施形態に係る飲食物が含有しうる栄養甘味料としては、ショ糖、ブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等の糖類;キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、パラチニット等の糖アルコール;砂糖、異性化糖、はちみつ等の天然甘味料等が含まれる。
【0055】
一方、本明細書において、高甘味度甘味料とは、甘味付与剤のうち、ショ糖に比べ甘味度が非常に高く、そのため少量で十分な甘味を有し実質的にカロリー摂取に寄与しないものである。本実施形態に係る飲食物が含有し得る高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、スクラロース、ネオテーム、ステビア抽出物、カンゾウ抽出物等が挙げられる。
【0056】
高甘味度甘味料は、少量で十分な甘さを有し実質的にカロリー摂取に寄与しないため、低カロリーの飲料等に広く使用されているが、甘味が持続するため、引用した時の甘味の後切れが悪く不快な甘味が残ることが課題となっていた。しかし、本実施形態に係る飲食物によれば、高甘味度甘味料の甘味の後引きを顕著に改善することができるため、本実施形態に係る飲食物は高甘味度甘味料を含有させるのに好適である。本実施形態に係る飲食物が含有し得る高甘味度甘味料としては、特に制限されるものではないが、一般に甘味の後味が残るとされているスクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、アセスルファムカリウム、ステビア抽出物等を好ましく用いることができる。中でも、α−テルピネオール及び1,8−シネオールとの風味の相性の点で、ステビア抽出物が特に好適である。
【0057】
なお、ステビア抽出物は、南アメリカ原産のキク科の多年草であるステビア(学名:Stevia rebaudiana)を抽出原料として得られるものである。ステビア抽出物は、甘味成分としてステビオールを骨格とする配糖体(ステビオール配糖体)であるステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC及びズルコサイドA等を含有する。本明細書において、「ステビア抽出物」とは、ステビアを抽出原料として得られる抽出物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。さらに、粗精製物又は精製物には、ステビア抽出物に含有されるステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC及びズルコサイドA等のステビオール配糖体の精製物のほか、上記抽出物又は精製物等を酵素処理して得られる酵素処理ステビアも含まれる。なお、本実施形態におけるステビア抽出物は、上述した方法により抽出したものを用いても良く、市販のものを用いても良い。
【0058】
本実施形態の飲食物で使用するステビア抽出物は、ステビア抽出物から精製又は酵素処理により得られたレバウディオサイドA及び/又はステビオサイドを含有することが好ましく、レバウディオサイドAを95質量%以上含有することが特に好ましい。レバウディオサイドAを95質量%以上含有するステビア抽出物は、甘味の後引きが従来問題となっていたが、本実施形態によってこの問題が解消される上に、少量で高い甘味度を有するため、特に好適である。
【0059】
また、本実施形態に係る飲食物は、上記成分の他、水や、公知の飲食物に含まれる材料(成分)、例えば、ビタミン類、酸味料、ミネラル分、色素成分、機能性成分等を、本実施形態による効果を損なわない範囲で含有してもよい。
【0060】
水は、飲用に適した水であればよく、例えば、純水、硬水、軟水、イオン交換水等のほか、これらの水を脱気処理した脱気水等が挙げられる。
【0061】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK及びビタミンB群等が挙げられる。
【0062】
酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、又はそれらの塩類が挙げられ、中でも、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸等が好ましく、クエン酸が特に好ましい。
【0063】
ミネラル分としては、例えば、カルシウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン及び亜鉛等が挙げられる。
【0064】
色素成分としては、例えば、マリーゴールド色素等のカロテノイド系色素、ベニバナ色素等のフラボノイド系色素、アントシアニン系色素、クチナシ色素類、ビート色素等のベタニン系色素、クロレラ、葉緑素等、カラメル色素等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
【0065】
機能性成分としては、例えば、コラーゲン、鮫軟骨、牡蛎エキス、キトサン、プロポリス、オクタコサノール、トコフェロール、カロチン、ポリフェノール、梅エキス、アロエ、乳酸菌、霊芝、アガリクス等が挙げられる。
【0066】
また、本実施形態に係る飲食物は、その他、各種エステル類、乳化剤、保存料、調味料、ガム、油、pH調整剤、品質安定剤等を含有してもよい。
【0067】
本実施形態に係る飲食物としては、特に制限されないが、食品、調味料、飲料等が挙げられる。本実施形態を適用し得る食品としては、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓類;ゼリー、キャンディー、グミ、ガム、プリン、羊かん等のデザート類;クッキー、ケーキ、チョコレート、チューイングガム、饅頭等の菓子類;菓子パン、食パン等のパン類;ジャム類;ラムネ、タブレット等の錠菓類;果実類、野菜類、魚介類及び肉類からの加工食品;惣菜類;その他種々の形態の健康・栄養補助食品等が挙げられる。また、本実施形態を適用し得る調味料としては、各種甘味料(任意の形態の高甘味度甘味量製品);魚介類、野菜類、肉類などのだし汁;ドレッシング;たれ等が挙げられる。さらに、本実施形態を適用し得る飲料としては、茶系飲料、野菜飲料、果汁飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料、機能性飲料、酢含有飲料、スポーツドリンク、ニアウォーター、乳酸菌飲料等が挙げられる。
【0068】
本実施形態に係る飲食物は、上述した中でも、飲料であることが好ましい。さらに、本実施形態に係る飲食物が飲料の中でも炭酸飲料である場合、炭酸飲料に配合された酸味料に由来する刺激的な酸味が改善され程よい良好な酸味となるほか、炭酸ガスの気泡感が顕著に強くなるため、特に好適である。
【0069】
本実施形態に係る飲食物が炭酸飲料である場合、炭酸飲料が含有する炭酸ガスのガスボリュームは、1.8〜4.0であることが好ましく、2.2〜3.8であることが特に好ましい。ガスボリュームが上記範囲にあることで、炭酸ガスの気泡感(炭酸飲料を引用した時に口の中に残る気泡の刺激感)が顕著に強くなるという本実施形態の効果を十分に生かすことができ、炭酸ガスによる適度な清涼感や爽快感等を得ることができる。
【0070】
なお、本実施形態におけるガスボリュームとは、20℃において、炭酸飲料中に溶解している炭酸ガスの体積を炭酸飲料の体積で除したものをいい、具体的には、JAS法に基づく検査方法に準拠し、以下のようにして測定することができる。すなわち、容器に充填されたサンプルを恒温水槽に30分以上入れて静置して20℃に調整した後、サンプルを静かに取り出し、ガス内圧計を取り付けて、針先でキャップを穿孔し、一度活栓を開いてガス抜き(以下「スニフト」という。)し、直ちに活栓を閉じてから激しく振とうし、ゲージの指針が一定の位置に達したときの値(MPa)を読み取り記録する。また、スニフトした後ガス内圧計を取り外し、開栓して温度計で液温を測定し記録する。測定して得たガス内圧力と液温を炭酸ガス吸収係数表に当てはめ、必要なガス内圧力の温度補正を行うことで、炭酸ガスボリュームを導出することができる。
【0071】
本実施形態に係る飲食物が炭酸飲料である場合、炭酸飲料のpHは2.5〜4.0であることが好ましく、2.8〜3.8であることがより好ましい。上記炭酸飲料のpHが上記範囲内にあると、ほどよい酸味が得られ、嗜好的に好ましい炭酸飲料となる。
【0072】
本実施形態に係る飲食物が飲料である場合は、容器に充填した形態で提供することができる。当該容器としては、通常用いられる飲料用容器であればよく、PETボトル、ガラスビン、缶、紙パック等の密閉容器等が挙げられる。ただし、本実施形態に係る飲料が炭酸飲料である場合は、炭酸ガスのガス圧を考慮すると、金属缶、PETボトル等のプラスチック製ボトル、瓶などの所定の強度を有する容器であるのが好ましい。
【0073】
本実施形態に係る飲食物は、α−テルピネオール及び/又はエチルブチレートと1,8−シネオールとが特定の含有量となるように配合する以外、従来公知の方法により製造することができる。例えば、本実施形態に係る飲食物が飲料である場合、水に、精製された上記成分及び/又は上記成分を含有する1種又は2種以上の組成物を、上記成分の含有量が特定の値となるように添加し、さらに所望により高甘味度甘味料等の上述した他の成分を添加して攪拌し、飲料原液を調製する。そして、必要に応じてpHの調整及び/又は加熱殺菌をしてから冷却した後、容器に充填して、殺菌する工程により製造することができる。
【0074】
この際、殺菌方法は、通常の飲料と同様に行えばよい。例えば金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で殺菌を行えばよい。また、PETボトルや紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、例えばプレート式熱交換器等で高温殺菌後冷却して容器に充填するなどすればよい。
【0075】
また、本実施形態に係る飲食物が炭酸飲料である場合、上記pHの調整及び/又は加熱殺菌をしてから冷却した後、ガスボリュームが所定の範囲になるように炭酸ガスをガス封入(カーボネーション)し、容器に充填して、殺菌する工程により製造することができる。なお、炭酸飲料の製法には、プレミックス法とポストミックス法とがあるが、いずれを採用してもよい。
【0076】
以上の飲食物は、甘味が強くなり、ボディ感が増したものである。また、高甘味度甘味料が配合された飲食物である場合は、高甘味度甘味料に由来する甘味の後引きが改善され、すっきりとした良好な甘味を有するものである。さらに、飲食物が炭酸飲料である場合は、炭酸飲料に配合された酸味料に由来する刺激的な酸味が改善され程よい良好な酸味となるほか、炭酸ガスの気泡感(炭酸飲料を引用した時に口の中に残る気泡の刺激感)が顕著に強くなるものである
【0077】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0078】
〔実施例1〜5及び比較例1〕
ショ糖、レバウディオサイドA、クエン酸、サイダーフレーバー及びカルダモン抽出物を、それぞれ終濃度が表1に示す濃度になるように水に溶解した後、98℃40秒の殺菌を行い、その後5℃まで冷却した。得られた飲料原液に対して、後殺菌後に炭酸ガスボリュームが3.5になるよう、純水と無添加炭酸水とによって規定量にメスアップした後、洗浄殺菌済みのPETボトルに充填し、炭酸飲料を得た(実施例1〜5及び比較例1)。
【0079】
<試験例1>α−テルピネオール、1,8−シネオール及びエチルブチレートの定量
実施例1〜5及び比較例1で得られた各炭酸飲料(サンプル)50mLを200mLの耐圧ビンに入れ、発泡がなくなるまで超音波処理を行い、さらに減圧下で発泡が収まるまで超音波処理を行い、各サンプルの前処理とした。
【0080】
前処理を行った各サンプルを10倍希釈し、20mLバイアルに10倍希釈したサンプルを10mL、塩化ナトリウムを3g、及び内部標準物質として0.1%シクロヘキサノールを5μL加え、抽出用サンプルとした。抽出操作は固相マイクロ抽出(SPME)ファイバー(シグマアルドリッチ社製,50/30μm DVB/CAR/PDMS,1cm)を用い、60℃にて30min抽出した。得られたサンプルを以下の条件によりガスクロマトグラフィー質量分析に供した。
【0081】
=ガスクロマトグラフィー条件=
使用機器:Agilent 5973N(アジレントテクノロジーズ社製)
インジェクション:スプリットレスモード
注入口温度:240℃
カラム:VF−WAX60m×0.25mm×0.25μm
キャリア:ヘリウム
流速:0.8mL/min
オーブン温度:35℃〜5℃/min〜240℃
【0082】
=質量分析条件=
使用機器:Agilent 5973N(アジレントテクノロジーズ社製)
イオン化方式:電子イオン化(EI)法
【0083】
得られた結果より、α−テルピネオール、1,8−シネオール及びエチルブチレートの各ピーク面積を求め、内部標準であるシクロヘキサノールのピーク面積に対する比をそれぞれ[T]、[C]及び[E]として算出し、得られた値より([T]+[E])/[C]、[T]/[C]、[T]+[C]及び[E]/[C]を求めた。結果を表1に示す。
【0084】
<試験例2>官能評価
実施例1〜5及び比較例1の各炭酸飲料(サンプル)について、官能評価試験を行った。かかる官能評価試験は、飲料の開発を担当する訓練された7人のパネラーにより、5℃に冷却保管されたサンプル20mLを試飲することにより行った。次に示す基準で甘味、炭酸の気泡感、甘味の後引き、刺激的な酸味、ボディ感の5項目に関し、5段階にて評価した。各パネラーによる評点の平均値を表1に示す。
【0085】
=甘味の評価=
5:強い
4:やや強い
3:やや弱い
2:弱い
1:感じられない
【0086】
=炭酸の気泡感の評価=
5:強く刺激的である
4:やや強い
3:やや弱い
2:弱い
1:弱すぎる
【0087】
=甘味の後引きの評価=
5:感じられない
4:弱く感じる
3:感じるが許容範囲である
2:やや強い
1:強く感じ、不快である
【0088】
=刺激的な酸味の評価=
5:感じられない
4:弱く感じる
3:感じるが許容範囲である
2:やや強い
1:強く感じ、不快である
【0089】
=ボディ感の評価=
5:強い
4:やや強い
3:やや弱い
2:弱い
1:感じられない
【0090】
また、カルダモン抽出物に由来する風味が炭酸飲料に与える影響について、次に示す基準で2段階にて評価した。各パネラーによる評点の平均値を表1に示す。
【0091】
=カルダモン抽出物の風味の評価=
2:良好である
1:カルダモン抽出物の風味による不快感がある
【0092】
さらに、上記6項目の結果から総合的に判断し、総合評価を行った。結果を表1に示す。
【0093】
=総合評価=
◎:大変良好である
○:良好である
△:悪い点もあるが、良好な点もあり、許容範囲である
▲:やや悪い
×:悪い
【0094】
【表1】

【0095】
表1に示すように、([T]+[E])/[C]、[T]/[C]及び[E]/[C]が小さくなるに従って、甘味、炭酸の気泡感、甘味の後引き、刺激的な酸味、ボディ感の5項目において顕著な改善効果が認められた(実施例1〜5及び比較例1)。なお、カルダモン抽出物を0.004質量%配合した実施例5においては、上記の5項目について顕著な改善効果が認められ、得点小計(A)は高い値となったが、カルダモン抽出物に由来する風味が強すぎるためにサイダーの風味が損なわれてしまい、炭酸飲料としての総合評価(A×B)は低い値となった。
【0096】
〔実施例6〜9及び比較例2〜3〕
ショ糖、レバウディオサイドA、クエン酸、サイダーフレーバー及びカルダモン抽出物を、終濃度が表2に示す濃度になるように水に溶解した以外は上述と同様にして製造し、炭酸飲料を得た(実施例6〜9及び比較例2〜3)。
【0097】
得られた実施例6〜9及び比較例2〜3の各炭酸飲料(サンプル)に対し、上述した試験例1と同様にしてα−テルピネオール、1,8−シネオール及びエチルブチレートの含有量をそれぞれ測定し、かつ上述の試験例2と同様にして官能評価試験を行った。結果を表2に示す。
【0098】
【表2】

【0099】
表2に示すように、([T]+[E])/[C]、[T]/[C]又は[E]/[C]が所定の範囲を満たすように製造すれば、レバウディオサイドAの配合量を変更した場合であっても、風味が改善された嗜好的に好ましい炭酸飲料を得ることができた(実施例6〜7及び比較例2〜3)。同様に、([T]+[E])/[C]、[T]/[C]又は[E]/[C]が所定の範囲を満たすように製造すれば、サイダーフレーバー及びカルダモン抽出物の配合を変更した場合であっても、風味が改善された嗜好的に好ましい炭酸飲料を得ることができた(実施例8〜9)。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、甘味が強くなり、ボディ感が増した飲食物として有用である。特に本発明によれば、高甘味度甘味料に由来する甘味の後引きが改善され、すっきりとした良好な甘味を有する飲食物が得られ、かつ炭酸飲料に配合された酸味料に由来する刺激的な酸味が改善され程よい良好な酸味となるほか、炭酸ガスの気泡感(炭酸飲料を引用した時に口の中に残る気泡の刺激感)が顕著に強くなるため、本発明に係る飲食物は、高甘味度甘味料を含有する炭酸飲料として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−テルピネオール、エチルブチレート及び1,8−シネオールを含有し、前記1,8−シネオールの含有量[C]に対する前記α−テルピネオールの含有量[T]及び前記エチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12であることを特徴とする飲食物。
【請求項2】
前記1,8−シネオールの含有量[C]に対する前記α−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0であることを特徴とする請求項1に記載の飲食物。
【請求項3】
前記1,8−シネオールの含有量[C]に対する前記エチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲食物。
【請求項4】
α−テルピネオールと1,8−シネオールとを含有し、前記1,8−シネオールの含有量[C]に対する前記α−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0であることを特徴とする飲食物。
【請求項5】
エチルブチレートと1,8−シネオールとを含有し、前記1,8−シネオールの含有量[C]に対する前記エチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0であることを特徴とする飲食物。
【請求項6】
高甘味度甘味料をさらに含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲食物。
【請求項7】
前記高甘味度甘味料がステビア抽出物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の飲食物。
【請求項8】
カルダモンからの抽出物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲食物。
【請求項9】
前記飲食物が飲料であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の飲食物。
【請求項10】
前記飲料が炭酸飲料であることを特徴とする請求項9に記載の飲食物。
【請求項11】
1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]及びエチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の製造方法。
【請求項12】
1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の製造方法。
【請求項13】
1,8−シネオールの含有量[C]に対するエチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0となるように、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の製造方法。
【請求項14】
1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]及びエチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の風味改善方法。
【請求項15】
1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の風味改善方法。
【請求項16】
1,8−シネオールの含有量[C]に対するエチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0となるように、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の風味改善方法。
【請求項17】
高甘味度甘味料を含有する飲食物の後味改善方法であって、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]及びエチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の後味改善方法。
【請求項18】
高甘味度甘味料を含有する飲食物の後味改善方法であって、1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の後味改善方法。
【請求項19】
高甘味度甘味料を含有する飲食物の後味改善方法であって、1,8−シネオールの含有量[C]に対するエチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0となるように、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする飲食物の後味改善方法。
【請求項20】
前記高甘味度甘味料がステビア抽出物であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の飲食物の後味改善方法。
【請求項21】
1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]及びエチルブチレートの含有量[E]の合計の比([T]+[E])/[C]が2.2〜12となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする炭酸飲料の気泡感増強方法。
【請求項22】
1,8−シネオールの含有量[C]に対するα−テルピネオールの含有量[T]の比[T]/[C]が1.1〜5.0となるように、前記α−テルピネオールの含有量[T]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする炭酸飲料の気泡感増強方法。
【請求項23】
1,8−シネオールの含有量[C]に対するエチルブチレートの含有量[E]の比[E]/[C]が1.1〜7.0となるように、前記エチルブチレートの含有量[E]及び前記1,8−シネオールの含有量[C]を調整することを特徴とする炭酸飲料の気泡感増強方法。

【公開番号】特開2012−183026(P2012−183026A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48360(P2011−48360)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【Fターム(参考)】