説明

飲食物搬送装置

【課題】連結手段の一端をベルト体に取り付けながら、ベルト体の搬送を、ガイド手段に連結手段を当接させることなく行うことができる飲食物搬送装置を提供すること。
【解決手段】走行レーン1aと、走行レーン1aに沿って無端走行する環状のベルト体15と、飲食物を載置して走行レーン1aに沿って走行可能な走行体7と、ベルト体15と走行体7とを駆動連結する連結手段17,23bと、ベルト体15を搬送方向に沿ってガイドするガイド手段21,37と、を備え、ベルト体15を駆動させることによって走行体7を走行レーン1aに沿って走行させる飲食物搬送装置1であって、ベルト体15には、ベルト体15の搬送方向に対して直交をなす方向に向けて凹部15dが形成されているとともに、凹部15d内には、連結手段17の一端が収納固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト体を駆動させることによって走行体を走行レーンに沿って走行させる飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図示しない駆動モータの駆動によって無端走行するチェーン(搬送駆動手段)と、飲食物としての寿司を厨房から顧客側に向けて搬送するための注文搬送路(走行レーン)と、搬送路の平坦に形成された搬送面を、寿司を載置した飲食皿を載置してローラによって走行するトレー(走行体)と、トレーを直線路部でガイドするチェーンガイド(ガイド手段)と、を備えている飲食物搬送装置がある。このような飲食物搬送装置においては、チェーンとトレーとは、トレーブラケット(連結手段)を介して連結されており、無端走行するチェーンの動きをトレーブラケットがトレーに伝達することによって、トレーの搬送面での走行が可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−044688号公報(第5頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の飲食物搬送装置にあっては、飲食物搬送装置の左右幅寸法をコンパクト化したいという要望があり、チェーンをタイミングベルト等の左右幅寸法の短いベルト体(搬送駆動手段)と差し換えることで飲食物搬送装置の左右幅寸法を短く構成することが考案されているが、この場合、ベルト体に十分な左右幅寸法が無いためにトレーブラケット(連結手段)の一端はベルト体の側面に取り付けなければならず、トレーブラケットの一端がチェーンガイドに当接してしまい、スムーズにベルト体を駆動させることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、連結手段の一端をベルト体に取り付けながら、ベルト体の搬送を、ガイド手段に連結手段を当接させることなく行うことができる飲食物搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の飲食物搬送装置は、
走行レーンと、該走行レーンに沿って無端走行する環状のベルト体と、飲食物を載置して前記走行レーンに沿って走行可能な走行体と、前記ベルト体と前記走行体とを駆動連結する連結手段と、前記ベルト体を搬送方向に沿ってガイドするガイド手段と、を備え、前記ベルト体を駆動させることによって前記走行体を前記走行レーンに沿って走行させる飲食物搬送装置であって、
前記ベルト体には、該ベルト体の搬送方向に対して直交をなす方向に向けて凹部が形成されているとともに、該凹部内には、前記連結手段の一端が収納固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、連結手段の一端は、凹部内にベルト体の搬送方向に対して直交をなす方向に向けて突出することなく収納されるので、ベルト体が搬送方向に沿って搬送される際に、連結手段の一端は、ガイド手段に当接することがなく、スムーズなベルト体の搬送を行うことができる。
【0007】
本発明の飲食物搬送装置は、
前記ベルト体には、該ベルト体の搬送方向に対して直交をなす両方向に向けて前記凹部が形成されており、一方の前記凹部内には、前記連結手段の一端が収納固定されるとともに、他方の前記凹部内には、前記連結手段の一端とともに前記ベルト体を挟持する挟持体が収納固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、連結手段の一端を凹部内で強固に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例における飲食物搬送装置の全体像を示す平面図である。
【図2】注文搬送路の一部破断平面図である。
【図3】第1コーナーの破断平面図である。
【図4】走行体の分解斜視図である。
【図5】注文搬送路の直線路における走行体を示す側面図である。
【図6】注文搬送路の直線路における走行体を示す平面図である。
【図7】(a)は、図6におけるA−A断面図であり、(b)は、図6におけるB−B断面図である。
【図8】注文搬送路の第1コーナーの断面図である。
【図9】(a)は、ベルトブラケットの平面図であり、(b)は、ベルトブラケットの側面図である。
【図10】(a)は、図7(a)におけるベルトブラケットと挟持板を示す部分拡大図であり、(b)は、図7(a)におけるC−C断面図である。
【図11】注文搬送路の第1コーナーにおける走行体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る飲食物搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0010】
実施例に係る飲食物搬送装置につき、図1から図11を参照して説明する。以下、図5の紙面左側を走行体の正面側(前方側)とし、図6の紙面上側を走行体の正面側とし、図7(a)、図7(b)及び図8の紙面奥側を走行体の正面側(前方側)として説明する。先ず図1の符号1は、本発明の適用された飲食物搬送装置である。この飲食物搬送装置1は、例えば、回転寿司店等にて、厨房部店員C1,C2等が飲食物としての寿司を調理する厨房エリアCと飲食客が飲食を行う飲食客エリアAとに亘って設けられている、本発明における走行レーンとしての注文搬送路1a,1b,2を備えている。
【0011】
これら注文搬送路1a,1b,2の周囲には、飲食客エリアAのテーブルT1,T2,T3,T4に沿う形で平面視略ロ型に構成された無端状の循環搬送路5が設置されている。循環搬送路5には、無端回動するクレセントチェーンコンベア4が備えられており、このクレセントチェーンコンベア4上に飲食物が載置された飲食物皿6は、クレセントチェーンコンベア4の駆動により循環搬送されるようになっている。
【0012】
走行体7に載置された注文飲食物9は、注文搬送路1a,1b,2によって配膳人エリアBに搬送される。このとき、注文搬送路1a,1bによって搬送された注文飲食物9は、それぞれG1,G2,G3エリアとG5エリアの飲食客によって直接注文搬送路1a,1b上から取り上げられるようになっており、注文搬送路2によって搬送された注文飲食物9は、配膳部店員H1の元へと搬送され、配膳部店員H1によりG4エリアの飲食客へ手渡しされるようになっている。
【0013】
注文飲食物9を搬送した後の走行体7は、注文搬送路1a,1b,2を介して、元来た搬送面3上を通り厨房エリアCへと戻っていく。つまり、走行体7は、それぞれ独立した搬送路として構成される注文搬送路1a,1b,2上の搬送面3上を、配膳人エリアBと厨房エリアCとの間で往復動自在に設けられている。
【0014】
平面視ロ型の配膳人エリアB内において、注文搬送路2は、この配膳人エリアBを2分割するように中央に配設される。注文搬送路1a,1bは、隔壁W付近において中央の注文搬送路2から左右にそれぞれ離間する方向に屈曲した後に循環搬送路5の内側近傍まで直線状に延設されている。更に、注文搬送路1a,1bは、循環搬送路5の内側方付近からG4エリアに向けて屈曲した後に循環搬送路5に沿うようにそれぞれ延設されている。
【0015】
つまり、注文搬送路1aは、隔壁W付近に本発明における曲線路を構成する第1コーナー10a(右カーブ)及び第2コーナー11a(左カーブ)がそれぞれ形成されており、注文搬送路1bは、隔壁W付近に本発明の曲線路を構成する第1コーナー10b(左カーブ)及び第2コーナー11b(右カーブ)がそれぞれ形成されている。
【0016】
また、注文搬送路1a,1bの厨房エリアCから第1コーナー10a,10bまでの区間と、第1コーナー10a,10bから第2コーナー11a,11bまでの区間と、第2コーナー11a,11bからG4エリアに向けて延設されている区間とは、前述のように直線状の直線路12a,12bにそれぞれ形成されている。
【0017】
次に、これら注文搬送路1a,1b,2及び走行体7について詳述する。尚、注文搬送路1a,1b,2は、それぞれ搬送路の形状は異なるが、走行体7を走行させるための構造は全て同一であるため、以下においては注文搬送路1aについてのみ説明し、他の注文搬送路1b、2の説明は省略する。更に、注文搬送路1aのコーナー10a,11aと注文搬送路1bのコーナー10b,11bにおける走行体7の説明は、後述する第1磁性体18の移動方向が反対となるだけなので、注文搬送路1aの第1コーナー10aのみで行う。
【0018】
先ず、走行体7を走行させる注文搬送路1aの構造を説明する。図2に示すように、注文搬送路1aの搬送面3下における厨房エリアC側の端部には、図示しない駆動モータ等によって水平方向に回動する駆動部スプロケット13が設けられているとともに、配膳人エリアB側の端部には、テンション部スプロケット14が設けられている。
【0019】
これら両端部に配設される駆動部スプロケット13及びテンション部スプロケット14に、本発明における搬送駆動体としての環状に形成されたベルト体15が掛け渡されている。このベルト体15の内側面には、ベルト体15の全長に渡って駆動部スプロケット13及びテンション部スプロケット14に係合可能なラック部15aが複数形成されている。
【0020】
これらラック部15aは、駆動部スプロケット13及びテンション部スプロケット14とに係合しているため、駆動部スプロケット13の回動によりベルト体15が駆動するようになっている。図2と図7(a)及び図8に示すように、このベルト体15は、厨房エリアCから配膳人エリアBに向けて飲食物を載置した走行体7を走行させる際には、駆動部スプロケット13が図2において時計回りに回動することにより、左側が厨房エリアCから配膳人エリアBに向けて駆動する往路側ベルト体15bを構成しており、右側が配膳人エリアBから厨房エリアCに向けて駆動する復路側ベルト体15cを構成している。尚、このテンション部スプロケット14には、ベルト体15にテンションを与えるためのテンション調整部16が備えられている。以下、第1コーナー10aもしくは第2コーナー11aの湾曲方向に拘わらず、ベルト体15の内側面を往路側ベルト体15bと復路側ベルト体15cの内側面として説明する。
【0021】
更に尚、ベルト体15は、配膳人エリアBにて飲食物が取り上げられた走行体7を厨房エリアCに向けて走行させる際には、右側が厨房エリアCから配膳人エリアBに向けて駆動する往路側ベルト体15bを構成し、左側が配膳人エリアBから厨房エリアCに向けて駆動する復路側ベルト体15cを構成するが、以下では厨房エリアCから配膳人エリアBに向けて飲食物を載置した走行体7を走行させる場合として説明する。
【0022】
ベルト体15は、注文搬送路1aの走行体7が走行する搬送面3下を、搬送面3に沿って移動可能に設けられている。この往路側ベルト体15bの所定箇所には、図7(a)に示すように、後述するベルトブラケット17が取り付けられている。また、ベルト体15は、駆動部スプロケット13とテンション部スプロケット14との間の直線路12aと第1コーナー10a及び第2コーナー11a下の全長にかけて、後述するベルトガイド21と往路側ローラ37a及び復路側ローラ37bによってガイドされている。
【0023】
具体的には、図2及び図7(a)に示すように、直線路12aにおけるベルト体15の搬送方向側の端部には、本発明におけるガイド手段としてのベルトガイド21が設けられている。これらベルトガイド21は、上方に開口して前後方向を向くガイド溝21aを左右幅方向に2条有しており、図7(a)視で上向きE字状に形成されている。これらガイド溝21a内には、往路側ベルト体15bと復路側ベルト体15cとがそれぞれ配置されており、これらガイド溝21aによって往路側ベルト体15bと復路側ベルト体15cとの左右幅方向の揺動が防止されている。
【0024】
また、復路側ベルト体15cの右側方には、直線路12aの全長にかけて板材が立設されている。この板材の上端部は、復路側ベルト体15cの上方で左右幅方向を向いて水平に屈曲した走行板36aに形成されている。
【0025】
図2及び図8に示すように、第1コーナー10a内には、ベルト体15をベルト体15の搬送方向に沿ってガイドさせるための、本発明におけるガイド手段としてのガイド体37が複数(本実施例では5個)設けられている。これらガイド体37は、平面視で略長方形状に形成された板状の基板37cを備えており、第1コーナー10a内には、これら基板37cが長手方向側を第1コーナー10aの左右幅方向に向けた状態で第1コーナー10aと同一の曲率をなすように配置されている。
【0026】
図3及び図8に示すように、往路側ベルト体15bの内側面側には、各基板37cの第1コーナー10aの外周寄りに配置された往路側ローラ37aが水平方向に回動可能に枢支されている。一方、復路側ベルト体15cの外側面側には、各基板37cの第1コーナー10aの内周寄りに配置された復路側ローラ37bが水平方向に回動可能に枢支されている。これら復路側ローラ37bは、復路側ベルト体15cの外側面と当接している。
【0027】
つまり、往路側ローラ37aと復路側ローラ37bとは、各基板37c上で第1コーナー10aの左右幅方向で一対となって枢支されている。このうち、往路側ローラ37aの上部には、第1コーナー10aと同一の曲率を有する走行板36bが取り付けられている。この走行板36bは、上面が第1コーナー10aの前後に配置された直線路12aにおける走行板36aの上面と連続するように取り付けられている。
【0028】
また、図2及び図3に示すように、第1コーナー10a内の両直線路12a,12a側の両端部付近に配置された往路側ローラ37a,37a間には、ゴム材等により構成された無端状のサブベルト体38が掛け渡され、全ての往路側ローラ37aがサブベルト体38の内部に配置されている。このサブベルト体38が往路側ベルト体15bと往路側ローラ37aとの間に介在することにより、往路側ベルト体15bと往路側ローラ37aとが当接して異音が発生することを防止するとともに、ラック部15aの磨耗も抑えられている。
【0029】
尚、第2コーナー11aにおける往路側ベルト体15bの外側面側には、各基板37cの第2コーナー11aの内周寄りに配置された往路側ローラ37aが水平方向に回動可能に枢支されており、これら往路側ローラ37aは、往路側ベルト体15bの外側面と当接している。一方、復路側ベルト体15cの内側面側には、各基板37cの第2コーナー10aの外周寄りに配置された復路側ローラ37bが水平方向に回動可能に枢支されている。この第2コーナー11aにおいては、復路側ローラ37bにサブベルト体38が掛け渡されて、サブベルト体38に復路側ベルト体15cが内側面で当接している以外は第1コーナー10aと同一の構成を有しているため説明を省略する。
【0030】
図7に示すように、注文搬送路1aの搬送面3の左右幅方向中央には、その長手方向の略全長に亘って上方に向けて開口する搬送溝22が凹設されている。搬送面3は、アルミやステンレス等の金属材の板材によって構成されている。搬送溝22は、この板材を押圧形成することによって形成されている。
【0031】
次に、図4、図5、図6、図7(a)及び図7(b)に基づき、走行体7について説明する。図4に示すように、走行体7は、搬送面3上を走行する台車部24と、この台車部24に上方から取り付けられ、注文飲食物9が載置された飲食物皿6を載置するためのトレー部25と、から構成されている。このトレー部25の上面には、飲食物皿6を載置するための載置凹部25aが形成されており、この載置凹部25aに飲食物皿6を載置することによって、飲食物皿6をトレー部25から脱落しないよう保持できるようになっている。
【0032】
台車部24は、基台部26と、この基台部26の前端部と後端部との2箇所に取り付けられたローラブラケット27と、から主に構成されている。これらローラブラケット27は、図4及び図5に示すように、平面視で左右幅方向に長い平面視で長方形状に形成された水平板27aと、この水平板27aの左右端部から下方に向けて延設された垂直板27bと、から構成される下向コ字形状に形成されている。
【0033】
図6及び図7(a)に示すように、両垂直板27bの外側面には、走行体7が搬送面3上を走行するための荷重ローラ28が枢支されている。また、各水平板27aの下面の左右幅方向の中央寄りには、左右一対の下方を向く枢軸23a,23aが設けられている。これら各枢軸23aの下端部には、軌道ローラ29が水平方向に回動自在に枢支されおり、これら軌道ローラ29は、水平板27aと両垂直板27bとの間で囲まれた空間内で、左右方向に線対称となるように配置されている。
【0034】
更に、図7(b)に示すように、両水平板27aの左右幅方向に向けて配置された各2つの軌道ローラ29,29の、水平板27aの左右幅方向を向く外側端部間の幅寸法は、搬送溝22の左右幅寸法と略同一幅に形成されている。このため、各軌道ローラ29は、搬送溝22内で搬送溝22の側壁22a,22aに対して常に当接して配置されるようになっている。
【0035】
つまり、走行体7の前端部と後端部とで各軌道ローラ29が搬送溝22内での側壁22aに当接した状態で配置されることによって、走行体7の搬送面3上での走行路が規定される。
【0036】
尚、図6に示すように、これらローラブラケット27は、台車部24の前端部と後端部において、台車部24を左右幅方向に2分割する中心線L上に設けられた枢支軸30によって水平方向に回動自在に枢支されている。
【0037】
また、基台部26の平面視略中央には、左右幅方向を向いて台車部24を上下方向に貫通する長孔31が穿設されている。基台部26の上面における長孔31の前後には、基台部26の左右幅方向を向くガイド片32が設けられている。これらガイド片32は、長孔31と平行に配置されており、長孔31と略同一の左右幅寸法に形成されている。
【0038】
そして、前後のガイド片32間には、平面視略正方形状の摺動片33が配置されている。この摺動片33の前後寸法は、前後のガイド片32間の前後寸法と略同一寸法に形成されており、前後を両ガイド片32にガイドされることによって長孔31上を左右幅方向に摺動可能となっている。
【0039】
図6及び図7(a)に示すように、この摺動片33の下面には、下方を向く枢軸23bが設けられている。この枢軸23bの下端部は、搬送溝22内に配置されているとともに、第1磁性体18が取り付けられている。これら枢軸23bと第1磁性体18によって本発明における連結手段の一部が構成されている。この第1磁性体18は、摺動片33が長孔31上で左右幅方向に摺動することによって、搬送溝22内を左右幅方向に移動することができる。
【0040】
更に、枢軸23bの下部には、規制ローラ39が水平方向に回動自在に枢支されている。この規制ローラ39は、直径が軌道ローラ29の直径よりも長寸に形成されているとともに、搬送溝22の左右幅寸法よりも短く形成されて搬送溝22内に配置されている。尚、第1磁性体18の左右幅方向への移動範囲は、規制ローラ39が搬送溝22の側壁22a,22aに当接することで規制されている。
【0041】
そして、これら長孔31と摺動片33とは、トレー部25を台車部24に取り付ける際に、前後のガイド片32間にトレー部25を下方から支持する支持板35が取り付けられることによって、図5に示すように、台車部24の平面視から隠蔽されている。
【0042】
図7(a)と図8及び図10(a)に示すように、ベルトブラケット17は、前述したように、往路側ベルト体15bに取り付けられている。このベルトブラケット17は、背面視で略L字形状に形成されている。また、往路側ベルト体15bの所定箇所は、左右幅寸法が他のベルト体15の箇所よりも短寸な幅狭部15fに形成されている。
【0043】
この幅狭部15fの内側方(右側方)には、往路側ベルト体15bの内側に向けて開口する内側収納凹部15dが形成されており、幅狭部15fの外側方(左側方)には、内側収納凹部15dと対向するように往路側ベルト体15bの外側に向けて開口する外側収納凹部15eが形成されている。
【0044】
内側収納凹部15d内には、ベルトブラケット17の下端部が収納されている。一方、外側収納凹部15e内には、ベルトブラケット17を往路側ベルト体15bに取り付けるための本発明における挟持体としての挟持板20の下部が収納配置されている。
【0045】
図10(a)及び図10(b)に示すように、挟持板20の上部には、左右幅方向に向けて貫通孔20aが形成されている。また、ベルトブラケット17の上部には、挟持板20に形成された貫通孔20aに挿通可能な突部17aが形成されている。この突部17aは、ベルトブラケット17の下部を内側収納凹部15d内に配置することで、下部が外側収納凹部15e内に配置された状態の挟持板20の貫通孔20aに挿通されるようになっている。
【0046】
また、突部17aの周面には、螺子切り加工が施されている。このため、ベルトブラケット17と挟持板20とは、貫通孔20aに挿通された突部17aにボルトを螺着させることによって、ベルト体15の上方で左右幅方向から互いに緊締され、ベルトブラケット17と挟持板20との下端部によって幅狭部15fを挟持するようになっている。
【0047】
更に、挟持板20の下端部は、ベルトブラケット17の下方に向けて屈曲形成されている。このため、ベルト体15は、挟持板20とベルトブラケット17とによって左右と下方とを囲まれるので、ベルトブラケット17のベルト体15への取り付けは、前述したようにベルトブラケット17と挟持板20とを互いに緊締するのみで強力に維持することができるようになっている。
【0048】
また、図7(a)及び図8に示すように、このベルトブラケット17の上端部には、強磁性を有する金属や永久磁石等で構成された第2磁性体19が固着されている。尚、この第2磁性体19とベルトブラケット17によって、本発明における連結手段の一部が構成されている。この第2磁性体19は、ベルト体15が駆動されることにより、搬送溝22の下方を注文搬送路1aの略全長に亘って移動するようになっている。
【0049】
これら搬送面3の下方に配置された第2磁性体19と、枢軸23bの下端部に取り付けられた第1磁性体18とは、どちらか一方を強磁性の金属によって構成し、他方を永久磁石等で構成してもよく、また、両方を永久磁石等で構成してもよい。更に、両方を永久磁石で構成する場合には、互いに異なる磁極を、搬送面3を挟んで対向配置させる。
【0050】
尚、図8、図9(a)及び図9(b)に示すように、ベルトブラケット17の上端部には、搬送溝22の下面に当接するガイドローラ34が、第2磁性体19の前後で一対となって配置されている。
【0051】
具体的には、これらガイドローラ34は、ベルト体15が駆動されることによってベルト体15と一体となって移動可能なように、ベルト体15の搬送方向である前後方向に向けて回動可能にベルトブラケット17に枢支されており、搬送面3を挟んで対向配置された第1磁性体18及び第2磁性体19が互いの磁力によって引き合うことによって、上面が搬送面3に構成されている板材の下面に第2磁性体19が当接することなく、ベルト体15が上方へ向けて浮き上ることを防いでいる。
【0052】
また、ベルトブラケット17の右側部には、ベルトブラケット17の荷重を支持するための補助ローラ40が、ベルト体15の搬送方向である前後方向に向けて回動可能に枢支されている。この補助ローラ40は、下部で走行板36a,36bの上面に当接しており、ベルト体15が駆動することによって、第2磁性体と規制ローラ39とベルトブラケット17の荷重を支持しながら、これら走行板36a,36bの上面を走行可能となっている。
【0053】
このように、注文搬送路1aと走行体7とを構成することによって、ベルト体15を駆動させると、第2磁性体19に磁力によって駆動連結された第1磁性体18が枢軸23bを介して取り付けられている走行体7を、注文搬送路1aに沿って搬送面3上を走行させることができるようになっている。
【0054】
次に、搬送面3上を走行している走行体7の動作について説明する。先ず、図7(a)に示すように、注文搬送路1aの直線路12aにおいては、第1磁性体18は、第2磁性体19に対向配置されているため、前後の枢支軸30を結ぶ中心線L上である長孔31の略中央に配置されている。
【0055】
そして、図11に示すように、走行体7が第1コーナー10aに進入すると、走行体7の走行方向前方側の両ローラブラケット27から第1コーナー10aの搬送溝22の形状に沿って回動を開始することで、両ローラブラケット27は、各軌道ローラ29を搬送溝22の側壁22aに当接させながら、大きく枢支軸30を中心として回動する。
【0056】
走行体7が第1コーナー10aを移動する際には、走行体7の走行方向前方側のローラブラケット27と、走行体7の走行方向後方側のローラブラケット27との揺動回動量とが異なることによって走行体7に内輪差が発生するため、走行体7の中心線Lは、第2磁性体19の移動経路(図11中2点鎖線)よりも第1コーナー10aの内周側を移動する。
【0057】
このとき、第1磁性体18は、磁力によって第2磁性体19と駆動連結されているため、第1コーナー10aの内周側に中心線Lをずらして移動する走行体7に対して、長孔31内を第1コーナー10aの外周側に向かって相対移動し、第2磁性体19との対向配置を維持する。つまり、第1磁性体18は、第2磁性体19に対して追従可能に移動するようになっている。
【0058】
更にこのとき、第1磁性体18は、走行体7が第1コーナー10aを走行することで第1コーナー10aの外周側に向く力を受けるが、規制ローラ39が搬送溝22の側壁22aに当接することで第1磁性体18の第1コーナー10aの外周側に向けての移動が規制される。このため、第1磁性体18と第2磁性体19とは、第1コーナー10aにおいても磁性による駆動連結を維持することができる。
【0059】
尚、走行体7が第1コーナー10aから再び直線路12aに進入するときには、走行体7の中心線Lが搬送溝22の中央上方に位置するように走行体7が移動するため、第1磁性体18は、搬送溝22内を搬送溝22の左右幅方向中央に向かって相対移動する。
【0060】
前述したように、走行体7に取り付けられた第1磁性体18が第2磁性体19に対して追従可能に移動するので、第2磁性体19と第1磁性体18との間が常に駆動連結されている状態を保ち、走行体7とベルト体15の移動する軌跡に相違があっても走行体7を安定して走行させることができる。
【0061】
以上、本実施例における飲食物搬送装置1にあっては、ベルト体15には、ベルト体15の搬送方向に対して直交をなす方向に向けて内側収納凹部15dが形成されているとともに、内側収納凹部15d内には、ベルトブラケット17の一端が収納固定されていることによって、ベルトブラケット17の一端は、内側収納凹部15d内にベルト体15の搬送方向に対して直交をなす方向に向けて突出することなく収納されるので、ベルト体15が搬送方向に沿って搬送される際に、ベルトブラケット17の一端は、ベルトガイド21及びガイド体37に当接することがなく、スムーズなベルト体15の搬送を行うことができる。
【0062】
また、ベルト体15には、ベルト体15の搬送方向に対して直交をなす両方向に向けて内側収納凹部15dが形成されており、一方の内側収納凹部15d内には、ベルトブラケット17の一端が収納固定されるとともに、外側収納凹部15e内には、ベルトブラケット17の一端とともに幅狭部5fを挟持する挟持板20が収納固定されているので、ベルトブラケット17の一端を内側収納凹部15d内で強固に保持することができる。
【0063】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0064】
例えば、前記実施例では、ベルト体15に内側収納凹部15dと外側収納凹部15eとを形成し、これら内側収納凹部15dと外側収納凹部15eとにベルトブラケット17の下端部と挟持板20との下端部をそれぞれ収納し、ベルトブラケット17と挟持板20とを互いに緊締することでベルトブラケット17をベルト体15に取り付けたが、ベルトブラケット17がベルト体15の側方に突出しなければ、内側収納凹部15d内で接着剤等によりベルトブラケット17をベルト体15に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 飲食物搬送装置
1a,1b,2 注文搬送路(走行レーン)
7 走行体
9 注文飲食物
10a,10b 第1コーナー(曲線路)
11a,11b 第2コーナー(曲線路)
15 ベルト体(搬送駆動体)
15d 内側収納凹部
15e 外側収納凹部
15f 幅狭部
17 ベルトブラケット(連結手段)
18 第1磁性体(連結手段)
19 第2磁性体(連結手段)
20 挟持板(挟持体)
21 ベルトガイド(ガイド手段)
22 搬送溝(溝部)
22a 側壁
23b 枢軸(連結手段)
37 ガイド体(ガイド手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行レーンと、該走行レーンに沿って無端走行する環状のベルト体と、飲食物を載置して前記走行レーンに沿って走行可能な走行体と、前記ベルト体と前記走行体とを駆動連結する連結手段と、前記ベルト体を搬送方向に沿ってガイドするガイド手段と、を備え、前記ベルト体を駆動させることによって前記走行体を前記走行レーンに沿って走行させる飲食物搬送装置であって、
前記ベルト体には、該ベルト体の搬送方向に対して直交をなす方向に向けて凹部が形成されているとともに、該凹部内には、前記連結手段の一端が収納固定されていることを特徴とする飲食物搬送装置。
【請求項2】
前記ベルト体には、該ベルト体の搬送方向に対して直交をなす両方向に向けて前記凹部が形成されており、一方の前記凹部内には、前記連結手段の一端が収納固定されるとともに、他方の前記凹部内には、前記連結手段の一端とともに前記ベルト体を挟持する挟持体が収納固定されていることを特徴とする請求項1に記載の飲食物搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−126634(P2011−126634A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285111(P2009−285111)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)
【Fターム(参考)】