説明

飼料添加剤としてのグアニジノ酢酸

本発明の対象は、飼料添加剤としてのグアニジノ酢酸および/またはその塩の使用であり、この場合、主として植物性の食餌中で特に塩酸、臭化水素酸およびリン酸との塩を使用する。該使用は特に粉末、顆粒、香錠またはカプセルの形で飼料1kgあたり0.01〜100gの1回量で行われ、その際、飼料添加はその他の生理学的に活性な作用物質と組み合わされて行うことができる。特に飼育動物および肥育動物のために適切である請求される使用は、特に水溶液中で安定しており、生理学的な結合下でクレアチンに変換することができ、その際、その他のグアニジン誘導体と比較して生理学的な適用範囲に完全に利用される化合物を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、飼料添加剤としてのグアニジノ酢酸またはグアニジノ酢酸の塩の使用である。
【0002】
グアニジノ酢酸は動物およびヒトにおいても現れる身体固有の物質であり、これはクレアチンの生合成において中心的な役割を果たす。クレアチンは食物から摂取することによっても、体内で形成することもできる。生合成はグリシンおよびL−アルギニンから出発する。哺乳動物の場合、特に腎臓、あるいはまた肝臓および膵臓中でも、酵素のアミノトランスフェラーゼによりL−アルギニンのグアニジノ基が分離し、かつN−C−N−基がグリシンに転移する。この際、L−アルギニンはL−オルニチンに変換される。こうして形成されたグアニジノ酢酸は次の段階で、脊椎動物ではこれはもっぱら肝臓で行われるのだが、酵素のトランスメチラーゼによりクレアチンに変換される。その際、S−アデノシルメチオニンはメチル基ドナーとして働く。クレアチンは引き続き、血液循環に拡散し、かつこうして目標器官に輸送される。この場合、特殊なクレアチントランスポーターによって輸送は細胞膜を通って細胞へと行われる。
【0003】
グアニジノ酢酸はさらに、抗菌作用を有しており、かつ動物実験において細菌による感染(黄色ブドウ球菌)に対して効果的に使用することができたことが公知である(Preparation for protecting mammals against infection(Stanley Drug Products Inc.、USA)、Neth.Appl.(1976)、第7頁以降、NL7411216)。
【0004】
K.KeshavarzおよびH.L.Fullerは、Journal of Nutrition、101、第855〜862頁(1971)において、ヒナ鳥におけるクレアチン形成に対するアルギニンおよびメチオニンの影響を記載している。この関連で使用される基本飼料に、特に1.112%のグアニジノ酢酸(グリコシアミン)を添加し、これはメチオニンとの組み合わせの結果において、体重増加および飼料の消費量の明らかな低減につながった。
【0005】
メチオニンの過剰投与との関連において、他方ではグアニジノ酢酸の投与により、このことと結びついた否定的な効果を緩和することができることが公知である(Interrelations of choline and methionine in growth and the action of betain in replacing them.McKittrick、D.S.Univ. of California、Berkeley、Archives of Biochemistry(1947)、15、第133〜155頁)。
【0006】
すでに記載したクレアチンは、細胞のエネルギー物質代謝において重要な役割を果たし、その際、クレアチンは、アデノシン三リン酸(ATP)とならんで高エネルギーのホスホクレアチンとして筋肉の重要なエネルギー貯蔵となっている。筋肉の静止状態でATPはクレアチンにリン酸基を転移し、その際、ホスホクレアチンが形成され、これは次いでATPにより直接に平衡状態となる。筋運動の際にはATP貯蔵をふたたび、できる限り迅速に満たすことが極めて重要である。このために最大の筋肉負荷の最初の数秒でホスホクレアチンが使用される。これは極めて迅速な反応において、酵素のクレアチンキナーゼによりリン酸基がアデノシン二リン酸へ転移され、ひいてはATPを再形成することができる。これはローマン反応ともよばれる。
【0007】
クレアチンは以前から適切な食物サプリメントおよび飼料として公知である。強力で、かつ長時間にわたって持続する筋運動において、自然に体内に存在するクレアチン貯蔵は迅速に消費される。この理由から特に高度な能力が要求される競技を行う運動選手の場合には適切なクレアチン投与が、持久性および能力に対して肯定的に作用し、その際、身体の中での不所望の富化プロセスまたは不利な分解生成物は知られていない。このための理由は、クレアチンが過剰に供給された場合にはクレアチンのまま身体から排出されるためである。
【0008】
さらに、クレアチンの補充は、体重の増加につながることが公知である。これは最初は筋肉中への水の吸収が増加することに起因する。しかし長期的に見ると、クレアチンは間接的に筋原線維中でのタンパク質合成の増加またはタンパク質の異化により筋肉質量の増加につながる(Int J Sports Med 21(2000)、第139〜145頁)。従って結果として脂肪の少ない体重増加が得られる。
【0009】
しかしまたその間に、クレアチン自体、つまりクレアチン一水和物以外にも多数のクレアチンの塩、たとえばクレアチンのアスコルビン酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩などが、同様に適切な食物サプリメントであることが判明している。ここでは代表例として欧州特許EP894083およびドイツ特許出願公開DE19707694A1を従来技術としてあげる。
【0010】
クレアチンはヒトに関して肯定的であることが証明されている作用を動物においても発揮し、従って多種多様な飼料におけるクレアチンの使用は同様に多数がすでに記載されている。たとえば国際特許出願WO00/67590から、クレアチンまたはクレアチンの塩を飼育動物または肥育動物のための飼料添加剤として、肉粉、魚粉の代替物および/または抗菌性機能促進剤(antimikrobielle Leistungsfoerderer)、成長ホルモンならびにアナボリック・ステロイドとして使用することがすでに記載されている。GB2300103は、イヌ用ビスケットの形でのクレアチンの使用を教示しており、このためにクレアチン一水和物を肉と一緒に押出成形した組成物が提供される。しかしクレアチン一水和物はその溶解性が劣るために生物学的利用能が不十分であり、従ってその他の生理学的に活性な化合物と一緒に、有利には塩の形でクレアチンを使用することが推奨されている。ドイツ特許出願公開DE19836450A1は、安定したピロ酒石酸塩および特にクレアチンのピルビン酸塩を調製物とした使用を対象としており、これは動物の栄養のために適切である。
【0011】
DE10003835A1は、一般に高齢者および特に運動性が制限されている人において現れるような脱水状態における調製物を対象としている。この場合、クレアチンは水のための輸送媒体として機能し、このことにより脱水現象が最も顕著に該当する組織に水分が供給される。
【0012】
しかしクレアチンは、その争いの余地のない肯定的な生理学的特性とならんで、クレアチン一水和物が相応する水溶液中で顕著な安定性を有していないという欠点を有しており、この場合、比較的長い時間をかけてクレアチンはクレアチニンへと変換する。このことは特に酸性の溶液中で問題であり、ひいてはクレアチンの経口摂取のため、および生物学的利用能のために重要である。1〜2の胃のpH値は、滞留時間に応じてクレアチンの明らかな分解、つまりクレアチニンへとつながる。たとえばヒトの場合には、クレアチンを経口投与した後に、わずか約15〜30%が筋肉組織によって吸収されうるにすぎないことが判明した(Greenhaff、P.L.:Factors Modifying Creatine Accumulation in Human Skeletal Muscle.、Creatine.From Basic Science to Clinical Application.Medical Science Symposia Series 第14巻、2000年、第75〜82頁)。
【0013】
最後にJohn W. Poutsiaka(Fordham University New York、生物学部、American Journal of Phisiology)の貢献を示す。この1956年の論文では、グアニジノ酢酸の存在下での若いラットにおける成長および筋肉クレアチン濃度に対するフォラシン、ビタミンB12およびメチル化された化合物の影響が記載されている。成長に関してグアニジノ酢酸はこの論文では阻害作用があることが記載されている。グアニジノ酢酸は、フォラシンおよびビタミンB12と組み合わせて投与された場合には、筋肉クレアチン濃度に関して影響を及ぼさない。さらにメチオニンを投与した場合、骨格筋および心筋におけるクレアチン濃度は上昇した。この観察に基づいてこのことから、グアニジノ酢酸は体内でアルギニンおよびグリシンから形成され、これらはいずれもアミノ酸としてメチオニンにより促進される成長に関して主に責任を負っていることが結論づけられる。
【0014】
クレアチンに関して記載された従来技術の欠点から、本発明に関して、飼育動物および肥育動物のための飼料または飼料添加剤として使用することができ、かつ飼料の吸収の改善、肥育成績の向上、筋肉形成の増加、肉質および/または繁殖性能の向上に肯定的に作用する化合物を見いだすという課題が設定された。該化合物は、できる限りわずかな不安定性、特に水溶液中での不安定性を有しているべきであり、かつ有利には最初の投与もしくは生理学的な吸収の後にクレアチンに変換されるべきである。使用される飼料もしくは飼料添加剤はすでに生理学的に不利な作用を有さず、かつ容易に検出可能であるべきである。商業的な観点から本発明により使用される物質は、経済的に有利な方法で製造することができるべきであることが重要である。
【0015】
前記課題は、飼料の吸収を改善するために、肥育成績、筋肉形成、肉質および/または繁殖能力を向上するために、飼育動物および肥育動物のための飼料添加剤としてグアニジノ酢酸および/またはグアニジノ酢酸塩を、主として植物性の食餌において使用することにより解決された。
【0016】
ここで使用される「主として植物性の食餌」とは、有利に欧州連合EUにおける法律による基準に従い動物性の成分を全く含有していない食餌を表す。この場合、魚粉の可能な添加は例外である。さらに「主として植物性の食餌」には、本発明によれば、グアニジノ酢酸による魚粉または肉粉の部分的な代替物であるとも理解すべきである。
【0017】
意外にも本発明による使用において、請求された化合物は実際に課題の設定により所望される特性を有していることが確認された。というのも、これは容易かつ経済的な方法で、たとえばグリシンおよびシアナミドを水溶液中で反応させるような方法により製造することができるからである(Production of guanidino fatty acids(Vassel、Bruno;Janssens、Walter D.)(1952)、US2,620,354;Method of preparation of guanidino fatty acids(Vassel、Bruno;Garst、Roger)(1953)、第5頁、US2,654,779)。
【0018】
クレアチンもしくはクレアチン一水和物に対して、グアニジノ酢酸およびその塩はさらに、酸性の水溶液中で明らかにより高い安定性を有しており、かつ生理学的な条件下で初めてクレアチンに変換される。意外にも本発明により使用されるグアニジノ酢酸およびその塩はクレアチンに対して実際に吸収後に初めて、特に肝臓中でクレアチンに変換されることが特に有利であることが判明した。従ってクレアチンに対して、投与もしくは飼料として与えられた化合物、つまりグアニジノ酢酸および/またはグアニジノ酢酸の塩の大部分は、たとえば胃の中での不安定反応により分解され、かつ吸収の前に排出されることはなく、実際に相応する生理学的な物質代謝反応に使用される。
【0019】
グアニジノ酢酸およびこれらの塩は、本発明により、ひいてはふたたびクレアチンおよびクレアチンの誘導体に対して、理想的な作用では明らかにより少ない投与量で使用することができる。本発明により請求される使用の利点は、その全体において特に、グアニジノ酢酸がたとえばヒナ鳥において飼料の利用および体重増加に対して否定的な作用があることが記載されていたために、予測することができたものではなかった。
【0020】
グアニジノ酢酸およびその塩の飼料添加剤としての請求されている使用はたとえば家禽、たとえばニワトリ、七面鳥、カモおよびガチョウのため、あるいはまたブタのためにも極めて有効であることが判明した。
【0021】
本発明はもう1つの実施態様において、グアニジノ酢酸および/またはその適切な塩を補足的に、もしくは代替的に飼料添加剤として養殖において、有利には魚粉および/または抗菌性機能促進剤のための部分的な代替物または完全な代替物として使用することができることが予定され、その際、提案された使用はサケ類(Salmoniden)およびエビ類(Natania)のためが有利である。
【0022】
抗菌性機能促進剤は、たとえばカルバドックス、オラキンドックス、サリノマイシン、モネンシン、アビラマイシンまたはフラボマイシンのような物質である。これらは特に動物における病気の蔓延を防止するために使用される。さらに動物の生産における高い効率が達成されるべきである。抗菌性機能促進剤は動物疾患がヒトに伝染することを回避するためにも使用され、かつこのことにより質的に高価であり、かつ安全な動物性の日用品の生産が可能になる。
【0023】
本発明はまた、飼育動物および肥育動物のための治療剤を製造するためのグアニジノ酢酸および/またはその塩の使用にも関し、該治療剤は免疫系の強化のため、および繁殖性能の改善のために使用することができる。
【0024】
記載の治療剤は有利な実施態様では有利には家禽および/またはブタにおいて使用することができる。
【0025】
本発明の目的のために、原則として栄養生理学的に認容可能であるすべてのグアニジノ酢酸塩が適切である。本発明による使用にとって特に、塩酸、臭化水素酸およびリン酸により得られるグアニジノ酢酸塩が有利であることが判明した。グアニジノ酢酸と1もしくは複数のこれらの塩との混合物あるいはまた異なった塩の混合物もまた使用することができる。
【0026】
本発明による使用のもう1つの利点は、グアニジノ酢酸およびその塩を広い用量範囲で使用することができることであることが判明した。一日量はニワトリの場合、体重1kgあたり、たとえば約10mg〜約1200mgの範囲、特に約50mg〜約250mgの範囲である。1回量は一般に約10mg〜約600mgの範囲、有利には約25〜125mgの範囲である。ブタの場合、一日量は体重1kgあたりたとえば約10mg〜約1000mgの範囲、特に約25mg〜約150mgの範囲である。1回量は一般に約10mg〜約500mgの範囲、有利には約10mg〜約500mgの範囲、有利には約10〜100mgの範囲である。
【0027】
記載された飼料添加剤としての使用に関して、動物種に応じて有利には約0.01〜約100g/kg飼料または治療剤の用量が考えられ、その際、約1.0〜約5.0gの量が特に有利であると考えられている。
【0028】
請求された使用は有利には非獣医学的な適用範囲で実施されるので、粉末、顆粒、香錠またはゼリー(親水コロイド)製品である飼料添加剤の適用形が特に適切であることが判明した。この場合、そのつどの具体的な使用事例に依存して、グアニジノ酢酸およびその塩を飼料添加剤としてその他の生理学的に活性な作用物質と組み合わせて使用することが有利であり、その際、特に炭水化物、脂肪、アミノ酸(たとえばクレアチン)、タンパク質、ビタミン、無機物、微量元素およびこれらの誘導体およびこれらの任意の混合物が特に適切である。メチオニン、ベタインおよびコリンならびにその他の生理学的に活性なメチル基ドナーが有利であると考えられる。ベタインおよびコリンはホモシステインの存在下で体内でメチオニンに変換することができ、これは特にグアニジノ酢酸からのクレアチンの合成の際に重要な役割を果たす。ここで、S−アデノシルメチオニンからホモシステインの形成下で転移されるメチル基が必要である。ベタインおよびコリンが十分に利用されない場合、メチオニンが消費され、かつ物質代謝においてメチオニン不足が生じうる。
【0029】
周囲温度の上昇に基づいた飼育動物および肥育動物の死亡率は多くの国で、特に夏に問題となっている。本発明の範囲では、意外にも、グアニジノ酢酸またはこれらの塩を補充することにより、熱によるストレスの結果を緩和する、特に熱によるストレスの際の動物の死亡を予防または低減する、つまりたとえば周囲温度の上昇の結果としてのこれらの動物の死亡率を低下することを示すことができた。この効果は、グアニジノ酢酸から形成されるクレアチンが、該当する組織への水の供給を改善することに起因することが想定される。類似の効果はすでにグリシンを使用する場合にも観察された(US2004−0043105A1)。
【0030】
従って本発明のもう1つの実施態様は、熱によるストレスの結果を防止および緩和するため、特に周囲温度の上昇による死亡率を低減するための飼育動物および肥育動物のための薬剤を製造するためのグアニジノ酢酸および/またはこれらの塩の使用である。この場合、本発明は特に、治療剤を主として植物性の食餌中で魚粉、肉粉、アナボリック・ステロイド(たとえばスチルベン、ステロイド、抗甲状腺薬(Thyreostatika)およびβ−アゴニスト)、抗菌性機能促進剤および/または成長ホルモンのための部分的な代替物および/または完全な代替物として使用することが予定される。
【0031】
さらにグアニジノ酢酸およびこれらの塩をイヌおよびネコのための湿潤飼料および乾燥飼料のための飼料添加剤として使用することができ、その際、動物の免疫系および一般的な状態に対する肯定的な作用が生じる。
【0032】
総じて本発明によりグアニジノ酢酸およびこれらの塩によって飼育動物および肥育動物の栄養において飼料もしくは飼料添加剤として、または飼育動物および肥育動物のための治療剤としての新規の使用目的が提供され、これは従来使用されていたクレアチン化合物に対して明らかに、かつ意外な利点を有している。以下の実施例は本発明をさらに詳細に説明する。
【0033】
実施例
1.本発明による例
1.1 グアニジノ酢酸5000mgおよびインスリン5000mgからなる調製物を一般的な処方でウマの飼料サプリメントのための飼料ペレットのために導入した。
【0034】
1.2 グアニジノ酢酸7000mgおよび酒石酸カルニチン750mgからなる調製物をサケのエサのための基本組成物に導入した。
【0035】
1.3 基本混合物としての市販のブタ飼料に次の調製物を均質に導入した:
グアニジノ酢酸ホスフェート 3000mg、クレアチン3000mg、ステアリン酸マグネシウム40mg、カルボキシメチルセルロース25mgおよびラクトース135mg。
【0036】
1.4 肥育鶏用の飼料
空気乾燥した飼料にグアニジノ酢酸0.092質量%(0.92g/kg)を添加することにより42日間の肥育期間で、従来の飼料法によりグアニジノ酢酸を添加しなかった場合に対して7%の最終体重の増加が達成されたことが確認された。この体重の増加はもっぱら肉の増加によるものであったが、しかし脂肪の増加もしくは水の貯蔵により達成されたのではなく(除脂肪体重(LBM)指数の改善)、その際、肉は改善された品質も有していた。さらにこの飼料添加により飼料の消費量は、従来の飼料法に対して約6%低下した。
【0037】
さらにこの試験では、空気乾燥した飼料にグアニジノ酢酸0.032質量%(0.32g/kg)を添加することにより42日間の肥育期間ですでに、最終体重を3%増加したことを示すことができた。飼料の消費量は従来の飼料法に対して3%減少した。これに対して肥育期間42日間でクレアチン一水和物0.04質量%(0.4g/kg)を空気乾燥した飼料に添加した対照群の場合、最終体重の増加は観察されず、かつ飼料の消費量の減少も観察されなかった。
【0038】
2.比較例(EP920689による)
肥育鶏のための飼料に対するクレアチンの添加の作用を試験した。この場合、空気乾燥した飼料に41日間の肥育期間にわたりクレアチンを0.2%(0.2g/kg)添加することにより、従来の飼料法(クレアチンの添加なし)に対して4%の最終体重の増加が達成された。この体重の増加は肉の増加によってのみ行われ、脂肪の増加によって達成されたものではなく(LBM指数の改善)、その際、肉は改善された品質も有していた。この場合、飼料の消費量は従来の飼料法に対して約2〜3%低下した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼料の吸収を改善するため、肥育成績、筋肉形成、肉質および/または繁殖能力を向上するための、主として植物性の食餌における飼育動物および肥育動物のための飼料添加剤としてのグアニジノ酢酸および/またはその塩の使用。
【請求項2】
養殖における、有利に魚粉および/または抗菌性機能促進剤に代わる、および特にサケ科(Salmoniden)およびエビ類(Natania)のための部分的な代替物または完全な代替物としての請求項1記載の使用。
【請求項3】
免疫系を強化するため、および繁殖能力を改善するための飼育動物および肥育動物のための治療剤を製造するためであって、その際、治療剤は有利に主として植物性の食餌中に、魚粉、肉粉、アナボリック・ステロイド、抗菌性機能促進剤および/または成長ホルモンに代わる部分的な代替物または完全な代替物として役立つ、グアニジノ酢酸および/またはその塩の使用。
【請求項4】
熱によるストレスの結果を予防および緩和するため、特に周囲温度の上昇の結果における死亡率を低減するための、飼育動物および肥育動物のための治療剤を製造するためのグアニジノ酢酸および/またはその塩の使用。
【請求項5】
家禽および/またはブタのための請求項1、3および4のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
グアニジノ酢酸の塩として、塩酸、臭化水素酸および/またはリン酸の塩を使用することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
グアニジノ酢酸成分を、飼料または治療剤1kgあたり、0.01〜100gおよび特に有利には1.0〜5.0gの1回量で使用することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
粉末、顆粒、香錠、カプセル、ペレット、凝集塊またはゼリー製品の形での請求項1から7までのいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
炭水化物、脂肪、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、無機物および/または微量元素、特にメチオニン、ベタイン、コリンから選択されるその他の生理学的に活性な作用物質およびその他の生理学的に活性なメチル基ドナー、ならびにこれらの誘導体および混合物と組み合わされた請求項1から8までのいずれか1項記載の使用。

【公表番号】特表2008−501352(P2008−501352A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526278(P2007−526278)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006110
【国際公開番号】WO2005/120246
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(501073862)デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】