説明

飾りひも

【課題】慶事、弔事、各種儀式に際して各種の演出効果を付加することもできる飾りひもを提供する。
【解決手段】色彩の異なる線条11を並べてその両端をそれぞれ結束して輪状に形成される飾りひもであって、線条11にその引きちぎりを容易にするための弱化部12を設けるように構成した。線条は、細長く切った和紙を撚ってこよりとし、これに糊を引いて干し固めた慶事や弔事に用いられる水引きであることを特徴とする。弱化部は、線条に設けられた切り欠き、切り込み、切断された線条の端部を突き合わせて接着したもの、線条の引張り操作により線条を切断する切断補助具を備えていること特徴とする。さらに、切断補助具には、芳香剤や細紙片が仕込まれていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慶事や弔事などに用いられる水引飾りなどの飾りひもの改良に関し、詳しくは葬儀における最後のお別れに際して縁ある人が身につけて生前の感謝と敬謙の念を持ちながら光の道(善き後追し)への思いを高めることのできる飾りひもに関する。
【背景技術】
【0002】
水引飾りは結納飾りや正月飾りなどの慶事に用いられる他、葬儀などの弔事に際しても用いられる。このような「水引」の水とは生命の母の象徴であり、引くとは水の気を互いに引き込んで組み合う黄金の結びの意味であって、生命の根源である「へそのお」などを表すものといわれている。また、水引飾りは鶴亀や松竹梅などの縁起物を見立てて化粧紙縒りを用いて擬似的に作製した工芸品などもある。
また、水引飾りは、「人はこの世で「縁の紅い糸」で結ばれている」、あるいは「肉体が死を迎えるときに白い光に包まれる」などといわれ赤色と白色とで構成され、様々な儀式と関連して用いられる。
このような水引飾りに関連して、例えば、特許文献1には、編み飾り輪に平らな水引テープを三つ編みして環状に作製した飾りひもや、水引の束をねじって環状に作製したもの、縄編みして環状に作製したものなどが記載されている。ここには、水引飾りに用いる編み飾り輪を作製するにあたり、形状維持に充分な剛性を有する環状芯材の外周に、紙よりひもを並着せしめて帯状に作製される水引テープを編み込んでゆく編成方法が用いられている。
【特許文献1】特開2002−317363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の水引飾りは、葬儀に際して会葬者がその輪の中に身を入れて装着し(袈裟懸け)、この世での「縁の糸」とみなされる水引を生前の感謝と敬謙の念を抱きながら手で引きちぎり「故人との縁を切る」というような儀式に用いる場合には、その輪の強度が強すぎて、高齢者などには容易に切断できないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、葬儀などにおいて縁ある人が身につけて、生前の感謝と敬謙の念を抱きながら光の道への思いを馳せることができる飾りひもを提供するとともに、特別な技巧や熟練を必要とせず見栄え良く装着でき、かつ、慶事や弔事に際して各種の演出効果を付加することもできる飾りひもを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の飾りひもは、色彩の異なる線条を並べてその両端をそれぞれ結束して輪状に形成される飾りひもであって、前記線条にその引きちぎりを容易にする弱化部を設けて構成される。
【0006】
(2)本発明の飾りひもは、前記(1)において、前記線条が、細長く切った和紙を撚ってこよりとし、これに糊を引いて干し固めた慶事や弔事に用いられる水引きであることにも特徴を有している。
【0007】
(3)本発明の飾りひもは、前記(1)又は(2)において、前記弱化部が、前記線条に設けられた切り欠き、または切り込みであることにも特徴を有している。
【0008】
(4)本発明の飾りひもは、前記(1)又は(2)において、前記弱化部が、切断された前記線条の端部を突き合わせて接着したものであることにも特徴を有している。
【0009】
(5)本発明の飾りひもは、前記(1)又は(2)において、前記弱化部が、前記線条の引張り操作により前記線条を切断する切断補助具を備えていることにも特徴を有している。
【0010】
(6)本発明の飾りひもは、前記(5)において、前記切断補助具には、芳香剤や細紙片が仕込まれていることにも特徴を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の飾りひもによれば、輪状に形成される飾りひもの線条にその引きちぎりを容易にするための弱化部を設けているので、葬儀などの列席者がこれを身につけて引きちぎる儀式を容易に実行することができ、これによって故人への感謝と敬謙の思いを高めることができる。また、飾りひもは見栄え良く簡単に装着でき、かつ、慶事や弔事に際して各種の演出効果を付加することもでき新規性にも優れた飾りひもを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本実施の形態に係る飾りひもは、色彩のそれぞれ異なるこよりなどの線条を1〜5条並べてその両端をそれぞれ結束して全体が輪状に形成され、前記線条の所定個所にその引きちぎりを容易にするための切り込みなどの弱化部を設けて構成されている。
これによって、会葬者などが飾りひもを袈裟懸けなどの形態で身につけて、いつでも所定の時期にこれを手で引きちぎって容易に切断することができる。こうして、縁(えにし)の絆(きずな)となる水引きを仲立ちとして、この世で「縁の紅い糸」で結ばれた故人との別れを効果的に演出して、その思いを確かなものとすることができる。
【0013】
本発明の飾りひもは、「縁の絆」として葬儀などの場で用いられるものの他に、縁起物としての結納飾りや正月飾りなどの慶事に用いられるものなどが含まれる。なお、このような飾りものは、鶴亀や松竹梅などの縁起物として、実物に見立てて化粧こよりを用いて擬似的に作製した工芸品であり、供え物として相応しいものである。
【0014】
線条は、色彩の異なる紙製こよりやプラスチック材などを素材とすることができ、複数又は単数の線条を並べてその両端をそれぞれ結束して輪状に形成される。線条自体は、その断面が扁平状や丸状のテープ状のものやひも状のものとすることもでき、その色彩を複数の線条毎に赤白などに異ならせて配置される。さらにこれらの線条を縄状に編み合わせたり、結び目を中途に配置したりすることで、その装飾デザインを適宜設定することもできる。
【0015】
弱化部は、その両端をそれぞれ結束して輪状に形成される線条の所定位置に形成された切り欠き部、切り込み部など、線条の断面積を一部小さくしてその引張り強度を部分的に低下させた部分であり、水引きなどの飾りひもを身につけた会葬者などが弱化部を挟む線条の両端又は片端を把持して引っ張ることで弱化部が容易に切断され、袈裟懸け状態の飾りひもが身体から外れるようになる。
【0016】
本実施形態の飾りひもは、前記線条が細長く切った和紙を撚ってこよりとし、これに糊を引いて干し固めた慶事や弔事に用いられる水引きとすることができる。これによって、伝統的に作成される水引きに弱化部を設けることで、その演出性や新奇性を付与することができる。
【0017】
また、本実施形態の飾りひもは、前記弱化部が前記線条に設けられた切り欠き、または切り込みとすることもできる。これによって、手近にある刃物などを用いて線条の所定個所に弱化部を簡単に形成することが容易にでき、その実用性や汎用性をさらに高めることができる。
【0018】
本実施形態の飾りひもは、前記弱化部が切断された前記線条の端部を突き合わせて接着したものとすることもできる。これよって、見た目の違和感などを生じさせることなく弱化部を形成することでき、飾りひものデザイン性を良好に保持させることができる。
【0019】
本実施形態の飾りひもは、前記弱化部が前記線条の引張り操作により発火して前記線条を破断するクラッカー構造を備えるようにしてもよい。これよって、飾りひもの切断をより少ない力で高齢者など容易に行うことができるとともに、「縁の糸」切断における音や光による演出性を付加することも可能となる。
【0020】
本実施形態の飾りひもは、前記クラッカー構造には慶事や弔事を演出する芳香剤や細紙片を仕込むようにしてもよい。これよって、法事などのセレモニーにおける演出効果をさらに高めることができる。
【実施例1】
【0021】
図1は本実施例1の飾りひもの説明図である。図1において、10はその両端を結束して結束部13を設けて形成される水引きからなる飾りひも、11は細長く切った和紙を撚ったこよりに糊を引いて干し固めた赤白などの色彩の異なる線条、12は線条11の引きちぎりを容易にするために設けられた切れ目からなる弱化部である。
飾りひも10は弔事に用いられる水引などであり、会葬者などが袈裟懸けして身体につけることができるように長さ(輪としての全体長さ)が約150cm程度の紙製の線条11から形成されている。その弱化部12は線条11の一部に切れ目を入れたり、一度切断したものを接着剤で接着したりして形成するようにしている。
【0022】
なお、飾りひも10は、のし袋や写真,カード,ボトル等のプレゼントの飾りに多用されているもの水引きなどが適用できる。
また、飾りひも10は、紙こよりに各種色の染料で色付けしたものや、紙こよりを金箔、銀箔のほか各種色のアルミホイルを巻いてメタリック調の輝きを持たせたものや、水引きを鶴亀や蝶などの造形物にあしらったものを飾りひも10に付加したものや、さらにはその両端の結束部13の結束の態様においても種々のバリエーションのものも適用できる。
【0023】
これら装飾用としての造形物を飾りひもに付加する場合には、線条11とは個別に造形物を作成しておき両者を接合すればよい。接合に際しては、例えば、金属線、細紐、両面テープおよびを接着剤などを用いて線条11の側面に接合することができる。
さらに、飾りひも10の線条11は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどのプラスチック材や紙などとの複合材によって構成することもできる。こうして、特別な技巧や熟練を必要とせず、伝統的で立体感にあふれた飾りひもを提供することができる。
【0024】
線条の切断を容易にするための弱化部12は、線条11の断面積に対して1/5〜1/2の断面積の切り欠きをカッターなどによって形成した部分である。このような弱化部12を形成することによって、会葬者は袈裟懸けした飾りひも10の切断を容易に行うことができ、故人への感謝と敬謙の思いを高めることができる。
切り欠きの断面積が、線条11の断面積に対して1/5未満であると線条11の強度が不足して取扱時に切断するおそれがあり、1/2を超えると儀式時の線条11の引きちぎりが容易ではなくなるおそれがある。
【実施例2】
【0025】
図2は実施例2の飾りひもの説明図である。図2において、20はその両端を結束して形成される飾りひも、21は赤白2本の線条、22は線条21の中途に設けられた切断補助具を有した弱化部である。
弱化部22の切断補助具は、その前後に接続された線条21の引張り操作により弱化部での線条21の切断作用を補助して、飾りひも20の切断を容易に行うことができるようにしている。また、弱化部22の内部には慶事や弔事を演出するための芳香剤や細紙片が仕込まれるようにして、「縁の糸」切断における音や光による演出効果も付加できるようにしてもよい。
【0026】
このような切断補助具は、例えば図2の拡大図に示すように、略円錐状や円筒状に形成された弱化部22内部に設けられた火薬体受座23と、線条21の引張り操作で発火する火薬体24と、この火薬体24のエネルギーを受けて放出口の方向へ発射される円盤状の受圧体25と、この受圧体25と放出口に設けられた円盤状の仕切り板26との間に配置され受圧体25の衝突を受けて放出口の方向へ飛ばされる芳香材27や細紙片とを備え、受圧体25と火薬体受座23とを挟んで線条21の両端を連結することによって構成できる。
【0027】
こうして、飾りひも20を身体につけた儀式の参加者が、所定のタイミングで、弱化部22を挟持した線条21の両端又は片端を掴んで引張る操作によって、弱化部22の火薬体24を発火させ、勢いよく線条21を上下に切断(分断)させることができる。このとき、弱化部22には芳香材27などを仕込むことにより、発火に伴う音響の他に、式場内にその場に相応しい香りを漂わせることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、各種の演出効果を付加して、慶事、弔事、各種儀式などにおける雰囲気を醸成することのできる飾りひもの分野に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1の飾りひもの説明図である。
【図2】実施例2の飾りひもの説明図である。
【符号の説明】
【0030】
10 実施例1の飾りひも
11 線条
12 弱化部
13 結束部
20 実施例2の飾りひも
21 線条
22 弱化部(切断補助具)
23 火薬体受座
24 火薬体
25 受圧体
26 仕切り板
27 芳香材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色彩の異なる線条を並べてその両端をそれぞれ結束して輪状に形成される飾りひもであって、前記線条にその引きちぎりを容易にする弱化部を設けたことを特徴とする飾りひも。
【請求項2】
前記線条が、細長く切った和紙を撚ってこよりとし、これに糊を引いて干し固めた慶事や弔事に用いられる水引きであることを特徴とする請求項1記載の飾りひも。
【請求項3】
前記弱化部が、前記線条に設けられた切り欠き、または切り込みであることを特徴とする請求項1又は2記載の飾りひも。
【請求項4】
前記弱化部が、切断された前記線条の端部を突き合わせて接着したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の飾りひも。
【請求項5】
前記弱化部が、前記線条の引張り操作により前記線条を切断する切断補助具を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の飾りひも。
【請求項6】
前記切断補助具には、芳香剤や細紙片が仕込まれていることを特徴とする請求項5記載の飾りひも。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−133556(P2008−133556A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319347(P2006−319347)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(300055498)
【出願人】(506395334)
【Fターム(参考)】