説明

養殖用固形配合飼料、養殖方法および有害物質低減養殖魚介類

【課題】ダイオキシン類の含有量が低い養殖用の配合飼料を安価に得ること、その配合飼料を用いて、ダイオキシン類の蓄積がより低く、安全で高品質な養殖魚介類を効率よく生産する。
【解決手段】 養殖用固形配合飼料は、少なくとも活性炭で処理した液状魚油と、マッシュとを主成分として含有する。液状魚油は少なくとも活性炭で処理することにより有害物質、特にダイオキシン類が除去されており、ペレット状に成形することで、給餌が容易で、高エネルギーかつ安全性の高い配合飼料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害物質、特にコプラナーPCBを含むダイオキシン類や不純物等の含有量が低く、魚介類の養殖に適した養殖用固形配合飼料と、これを用いた養殖方法および有害物質低減養殖魚介類に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブリやハマチ、マグロといった種々の魚介類の養殖が盛んに行われており、高級な天然魚介類に比べて比較的手頃な価格で得られる食材として需要が高まっている。これら養殖魚は、一般に、稚魚または幼魚から出荷に適した大きさとなるまで、養魚場で肥育される。その際に与えられる飼料としては、生餌や練餌に比べて環境への負荷が小さい配合飼料が主流となりつつあり、原料となる魚粉や魚油に栄養成分等を添加配合して、魚種に応じた配合飼料を容易に調製できる利点がある。
【0003】
養殖用配合飼料は、通常、水分含量の比較的多いモイストペレットや、水分含量の少ないドライペレットに成形されて給餌される。飼料の配合や成形に関する従来技術としては、例えば特許文献1〜3があり、水中で散逸しやすいモイストペレット飼料の粘結剤や、成長を促進して生産性を高めるための添加剤、エクストルーダー処理にて成形したペレット(EPペレット)に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平3−281873号公報
【特許文献2】特開平6−54652号公報
【特許文献3】特開2000−287628号公報
【0004】
一方、食品の安全性についての関心が高まっており、食材を通して摂取される有害物質、例えばダイオキシン類の蓄積が大きな問題となっている。ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDD)およびポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、さらにコプラナーPCB(Co−PCB)といった物質に対する総称で、これらダイオキシン類の耐用一日摂取量は4pg−TEQ/kg体重/日とされている(TEQ:毒性等価係数を換算係数として算出される毒性等量)。厚生労働省の調査によると、一般的な食生活で取り込まれるダイオキシン類の量は、耐用一日摂取量を充分下回るものであり、健康に影響を与えるものではないと考えられているが、そのうち魚介類からの摂取量割合が多いことが懸念材料となっている。
【0005】
これは、海洋汚染等により天然魚介類へのダイオキシン類の蓄積が報告されていることに加え、配合飼料が天然由来であることから、これを介して養殖魚へもダイオキシン類の蓄積が予想されるためである。したがって、ダイオキシン類の蓄積がより低い養殖魚を生産し、養殖魚の安全・安心をさらに高めることが望まれている。
【0006】
ダイオキシン類の低減に関する従来技術として、例えば特許文献4には、ダイオキシン類の排泄作用を促すクロロフィル含量の高いクロレラを、養魚用ワムシの餌として養殖魚の汚染を減少させることが、特許文献5には、ダイオキシン類を吸着可能な炭素材を、養魚用または家畜用の飼料中に添加することが、提案されている。また、特許文献6〜8には、魚介類等から抽出される油に種々の処理を施して、油中に含まれるダイオキシン類を除去する方法が、開示されている。
【0007】
【特許文献4】特表2000−175680号公報
【特許文献5】国際公開第05/39312号パンフレット
【特許文献6】特表2005−532460号公報
【特許文献7】特表2004−504442号公報
【特許文献8】特表2005−517601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献4はワムシを餌とする養殖を対象とするもので、配合飼料への添加効果は不明である上、コストも高くなる。特許文献5の方法も、ラット用飼料の実施例記載のみで、養殖魚への効果は不明であり、また、配合飼料中にダイオキシン類が残留していることから、食べ残しによる養殖場の汚染の懸念がある。
【0009】
特許文献6〜8の方法は、食料品や薬製剤等への応用を可能としているため、工程が複雑で、製造に手間と時間がかかる。また、脱臭工程を有する場合には、魚臭をむしろ残したい養魚用には不向きとなる上、減圧工程では真空ポンプや減圧容器が必要である等、コストが増大する問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、ダイオキシン類の含有量が低い養殖用の配合飼料を安価に得ること、その配合飼料を用いて、ダイオキシン類の蓄積がより低く、安全で高品質な養殖魚介類を効率よく生産することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、請求項1の養殖用固形配合飼料は、少なくとも活性炭で処理することにより有害物質を低減させた液状魚油と、マッシュとを主成分として含有し、ペレット状に成形されていることを特徴とする。
【0012】
原料となる魚油中の有害物質、例えばダイオキシン類は、活性炭と接触させることにより吸着される。活性炭は、その後ろ過することにより容易に除去されるので、有害物質の低減された液状魚油が得られる。この液状魚油に魚粉等を含むマッシュを添加配合し、ペレット状に成形した養殖用固形配合飼料は、製造が容易で低コストであり、魚種や魚体重に応じた最適配合とすることで、有害物質の蓄積を抑制し、かつ成長を促進して、肉質が良く、高品質で安全性の高い養殖魚介類を生産することができる。また、生餌や練餌に比べて給餌作業が容易であり、必要な栄養分を高濃度で含むので、供給する餌総量を低減することができ、作業時間の短縮と餌代の削減効果により、生産効率を大幅に向上できる。
【0013】
請求項2の発明において、養殖用固形配合飼料は、水分含量が15重量%以下のドライペレットである。ドライペレットは、粗脂肪成分の大半が液状魚油に由来するものであり、液状魚油の使用量が多いので、本発明を適用する効果が高い。また、魚種に応じて必要な栄養分を任意に配合して、少量で栄養価の高い飼料とすることができ、環境汚染への影響も小さい。
【0014】
請求項3の発明において、養殖用固形配合飼料は、エクストルーダーで造粒されたEPペレットである。EPペレットは、通常のドライペレットよりも添加可能な魚油量が多く、高油脂量の飼料とすることができるので、一回の給餌に必要な餌重量を大幅に低減して、作業効率を向上できる。また、含油量が多いので、本発明を適用する効果が高く、有害物質のより低減された安全な飼料とすることができる。
【0015】
請求項4の発明において、養殖用固形配合飼料は、液状魚油の含有量が5重量%以上である。ドライペレット、EPペレットとする場合には、液状魚油の含有量を5重量%以上とすることが望ましく、魚油由来の有害物質を低減させて、安全で高エネルギーの飼料が得られる。
【0016】
請求項5の発明において、原料となる魚油中の有害物質は、主にダイオキシン類である。魚油中の有害物質、特にダイオキシン類は、魚体内に蓄積されてその成長、さらには魚を食べる人体への影響が懸念される。本発明の養魚用固形配合飼料は、活性炭と接触させることによりダイオキシン類を吸着除去しており、ダイオキシン類の低減した安全な飼料とすることができる。
【0017】
請求項6の発明において、養殖用固形配合飼料に含まれる液状魚油は、原料となる酸価20以下の魚油をアルカリ処理し、活性炭および活性白土にて吸着処理することにより得られる。好適には、アルカリ処理により遊離脂肪酸その他不純物を除去してから、活性炭に加えて活性白土にて処理すると、ダイオキシン類等の除去効果が高まり、より安全性の高い飼料とすることができる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の養魚用固形配合飼料を、魚介類に100日以上、給餌することを特徴とする養殖方法である。本発明の養魚用固形配合飼料を、例えば魚介類の稚魚等に与えることで、安全性および生産性を高めることができる。好適には、100日以上飼育すると、魚体中のダイオキシン類等を低減する効果が得られる。
【0019】
請求項8の発明において、請求項7に記載の養殖方法で養魚される魚介類は、稚魚、若魚または成魚、または養殖場にて一定期間育成された養殖魚である。本発明の養魚用固形配合飼料は、稚魚のみならず若魚または成魚、さらには養殖場にて、通常の配合飼料または生餌等で飼育された若魚または成魚に与えてもよく、所定期間飼育することにより、ダイオキシン類等を低減することができる。
【0020】
請求項9の発明は、請求項7または8に記載の養殖方法を、ブリ、ハマチ、カンパチ、マグロ、ヒラマサ、タイ、ヒラメ、スズキ、ニジマス、トラフグ、エビまたはウナギの養殖に用いる。本発明の養魚用固形配合飼料は、従来より養殖場で飼育されているこれら魚介類のいずれに対しても、適用することができ、ダイオキシン類等の有害物質を低減する効果が得られる。
【0021】
請求項10の発明は、請求項7ないし9のいずれか1項に記載の養殖方法により養殖された有害物質低減養殖魚介類である。上述した本発明の養殖用固形配合飼料によって飼育された養殖魚介類は、有害物質、特にダイオキシン類の蓄積が抑制され、しかも肉質も良好で、高品質かつ安全性の高い養殖魚介類である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の養殖用固形配合飼料は、水産動物である魚類から採油した原油を用い、少なくとも活性炭で処理することにより有害物質を低減させた液状魚油と、魚粉とを主成分として含有し、ペレット状に成形されている。液状魚油の原油には、水産動物である魚類から抽出される油であって、水産加工場、魚市場、スーパーマーケット等で魚類を加工した時に出てくる骨・皮・内蔵物等(魚アラという)を、分別工場で魚カス・魚油に分離する際に得られる魚油や、南米・北米・北欧といった世界各国から輸入される魚油を原料とする。魚種は、特に問わず、例えば、アジ、イワシ、タラ、マグロ、雑魚等、種々の魚類から得られる魚油が使用できる。
【0023】
この原油を、活性炭で処理することにより、コプラナPCBを含むダイオキシン類等の有害物質や、不純物・異物を除去して、高品質の飼料用液状油脂を製造することができる。原料となる魚油の品質は様々であり、一般に、油脂中の脂肪酸含量を示す酸価が、品質評価の指標として用いられる。酸価5以下の比較的良質な魚油であれば、後述する活性炭を用いた吸着処理工程にて有害物質を除去するのみでもよいが、よりダメージ度合いの高い魚油であっても、充分処理可能である。処理可能な原料油の目安としては、酸価20以下の魚油が挙げられる。この場合、好適には、原料となる酸価20以下の魚油をアルカリ処理し、活性炭および活性白土にて吸着処理することで、有害物質および不純物を除去して、飼料用油脂として充分な品質の精製油を得ることが可能である。なお、酸価に対応する国際的指標としてFFAが用いられており、通常、酸価20はFFAで約10%程度に相当する。
【0024】
好適には、配合飼料用の高品質の精製油とするために、以下の1)〜6)の工程を経て、有害物質や不純物・異物を除去した液状魚油とすることが望ましい。
1)第1の水洗工程:原料油となる酸価20以下の魚油を加温して、これより温度の低い水または温水を用いて洗浄する。
2)アルカリ処理工程:水洗した魚油をアルカリ溶液と接触させる。
3)第2の水洗工程:アルカリ処理した油を分離し、加温して、これより温度の低い水または温水を用いて洗浄する。
4)脱水工程:水洗した油を加温して水分を蒸発させる。
5)吸着処理工程:脱水後の油に活性炭および活性白土を添加し、攪拌処理して有害物質を吸着除去する。
6)ろ過工程:吸着処理した油をろ過して活性炭および活性白土を分離する。
以下に、これら各工程について詳述する。
【0025】
1)第1の水洗工程
原料となる魚油には、除去しようとする有害物質に加え、魚油を得る過程で混入ないし生成する種々の不純物が含まれる。ここで、第1の水洗工程として魚油を水洗する目的は、魚油(中性)中に含まれる固形物・ゴミ等の夾雑物や、タンパク質、水溶性不純物等を洗い落とすことにある。水洗方法は、魚油を攪拌しながら40〜80℃に加温し、水を投入する。魚油の温度が80℃より高くなると、油以外の物質の比重差で、浮き上がるものと沈むものに分離して、作業がやりづらくなる。好適には、魚油の温度が70℃前後とするとよい。
【0026】
使用する水は、温水または冷水(常温水)とし、魚油の温度より10℃以上低く設定する。温度差を設けることで水と油が分離しやすくなり、夾雑物や水溶性不純物を水に抱き込ませるようにして沈降させることができる。好適には、40℃以上低く設定すると、より効果的である。水の使用量は、魚油の重量または容量に対して10〜50%の範囲とし、好適には、10%前後とするのがよい。また、使用する温水または水に塩(食塩)を1〜5%溶かした塩水を用いることもできる。塩水を使用するのは、油中の水切りをよくする目的がある。
【0027】
水の投入は、シャワーリング式が効果的であり、魚油を70℃前後に加温、攪拌しながら、温水または水をシャワーリング式で投入後、3〜15分程度攪拌して、静止させる。静止時間は、30〜120分程度ないしそれ以上とする。作業工程上、一晩静置させることもある。静止させた状態では、上層部に油が、中間層部に不純物と異物が、下層部に水洗水が分離されて位置する。
【0028】
2)アルカリ処理工程
次に、水洗した魚油をアルカリ処理する。
アルカリ処理は、魚油中の遊離脂肪酸を除去するだけでなく、リン脂質、ガム質、色素成分、油溶性タンパク質、金属成分、その他不純物を除くために行うものである。アルカリ処理が適切でないと、収率が悪くなったり、脱色効果が出なくなったり、品質上の欠陥原因となる。なお、本発明で原油の酸価を規定しているのは、酸価が高いと、中和に必要なアルカリ量も増え、処理中に中和された石鹸分が、脱酸油をもケン化させて、全てが石鹸化されてしまうケースが起こり得るからである。
【0029】
処理方法は、1)の水洗工程後に中間層部と下層部を抜き取って上層部の油だけを残したものを、攪拌しながら40〜80℃に加温し、アルカリを投入する。この時、油の酸価を測定してアルカリ必要量を計算し、アルカリ濃度を調整する。アルカリとしては、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムが一般的に使用され、ボーメ比重で8〜30度Beのものを使うとよい。原料油の種類により異なるが、好適には12〜26度Beのものが使用される。
【0030】
油は例えば70℃に加温し、攪拌しながら、アルカリ溶液をシャワーリング式で投入する。5〜15分程度攪拌し、その後、静止させる。この過程で、魚油中の遊離脂肪酸がアルカリにより中和されて石鹸を生成する。静止時間は、60分以上とする。
【0031】
3)第2の水洗工程
次に、アルカリ処理した油を再度水洗する。
アルカリ処理した油は、上部の油は脱酸油(アルカリ性)となり、下部は脱酸フーツ(油脂がアルカリにより鹸化中和されてできる金属石鹸)に分かれる。第2の水洗工程の目的は、アルカリ反応により生じた金属石鹸や、色素、過剰アルカリ等を洗い落とすことにある。水洗方法は、下部の脱酸フーツを抜き取った後、脱酸油を攪拌しながら、40〜90℃に加温し、温水または水を投入する。
【0032】
使用する水は、温水または冷水(常温水)とし、魚油の温度より20℃以上低く設定する。より大きい温度差を設けることで水と油が分離しやすくなり、水洗を効果的に行って金属石鹸等の異物を沈降除去させ、また石鹸の作用で脱酸油がケン化させるのを防止することができる。好適には、40℃以上低く設定すると、より効果的である。水の使用量は、油に対して10〜100%の量とする。「例えば、水温が20℃前後であるとすると、魚油を70℃前後ないしそれ以上に加温することで、水洗により温度低下しても40℃以上の温度差を保つことができる。
【0033】
水洗方法は、上記第1工程の水洗とほぼ同様であり、シャワーリング式で投入後、3〜15分程度攪拌して、静止させる。静止時間30〜60分毎に、下層水と中間層部を抜き取る。静止させた状態で、上層部に油が、中間層部に不純物と異物が、下層部に水洗水が分離されて位置する。
【0034】
この水洗を、下層水のpHが中性になるまで、好適には2〜3回繰り返し行う。ここで、水洗する目的は、アルカリ処理により油中に残留するアルカリと微量石鹸等を洗い落とすことにあり、水洗をしないと、続く脱水時にこれらの異物が原因で、泡となり吹き上がる危険を伴ったり、品質の欠陥につながったりすることがあり、第2の水洗工程が充分になされることは重要である。
【0035】
4)脱水工程
水洗した油は、加温して水分を蒸発させる。
完全に水洗された油を攪拌しながら、90〜130℃に加温して脱水する。
脱水処理の目的は、次工程の吸着処理効率を高めることにある。脱水せずに吸着処理のための活性炭を投入すると、油中の水分を吸着してしまい、本来の効果を発揮することが困難となるため、脱水は必須工程である。また、高温で処理することにより、油に含まれる過酸化物を分解除去する効果がある。
【0036】
5)吸着処理工程
脱水後、活性炭および活性白土を添加し、攪拌する。
この工程では有害物質等を吸着除去するために、添加助剤を用いる。添加助剤のうち、活性炭は、コプラナーPCBを含むダイオキシン類の吸着に高い効果を発揮する。また、活性白土は、微量成分や色素の吸着と、アルカリ処理で除去できない重金属の脂肪酸や石鹸、ガム質等の油の酸化促進物質を完全に除去するとともに、次工程のろ過性を向上させるために使用される。
【0037】
ここで、一般的な油の精製において、例えば脱色効果を出すために活性炭・活性白土等を添加することは知られているが、本発明では、特に有害物質を吸着除去する目的で使用する。この時、コプラナーPCBを含むダイオキシン類の吸着に主に寄与する活性炭を先に添加し、次いで、活性白土を添加することにより、ダイオキシン類の除去率を高まるとともに、その他の不純物を除去して、より良質の精製油とする効果がみられ、これらを組み合わせて使用すると有効である。
【0038】
吸着処理は、脱水された油に、まず活性炭を投入して、20〜120分程度横攪拌する。活性炭の添加量は、通常0.1重量%以上とし、添加量が0.1重量%に満たないとダイオキシン類の除去効果が得られない。好適には1.0〜8.0重量%の範囲で、魚原油中のコプラナーPCBを含むダイオキシン数値に応じて、添加される活性炭の量を増減させるとよい。通常の魚原油であれば、添加量が1.0重量%〜8.0重量%の範囲で調整することで、ダイオキシン類を除去する充分な効果が得られる。
【0039】
一般に、活性炭には、石炭・ヤシガラ・竹・木材等を原料として生産される種々のものがあり、また、その粒子は、顆粒・粉末・粒状等の種類に分かれる。これらは、従来より水の浄化、空気の浄化、脱臭剤といった用途に利用されている。本発明で、ダイオキシン類の処理のために使用する活性炭としては、粒状より粉末状のものを用いるとより効果的である。また、一般的に水処理等に使われている活性炭で、充分対応可能であるが、ヨウ素吸着量や比表面積の大きいタイプのものがよい。この活性炭を先に添加すると、活性炭の吸着面積に油のみ吸着されるから、効率よくダイオキシン類を吸着除去できる。
【0040】
活性炭を添加後、さらに活性白土を、通常0.1重量%以上添加して、30〜120分程度攪拌する。活性白土は、食品添加物に指定される安全な物質で、油脂の脱色剤として利用され、カロチン等の色素、重金属の脂肪酸、石鹸、ガム質等や、油脂の過酸化脂質等を除去するために使用される。これら効果に加え、本発明では、ダイオキシン類の除去率を高め、粉末状の活性炭のろ過性を向上させる効果を有する。活性白土は、油中で粒子が大きく膨張するため、先に添加すると活性炭を被ってしまい、活性炭の吸着面積を有効に活用できないおそれがある。
【0041】
活性白土の添加量は、好適には1.0〜5.0重量%の範囲で増減させるとよく、この数値に対して添加される活性白土の量が上記範囲となるように調整するとよい。添加量が1.0重量%に満たないと、次のろ過工程において、ろ過機の処理能力が大きいタイプの場合に、ろ布全体に助剤が行き渡らなくなり、ろ過がやりにくくなることがある。処理能力の小さいタイプであれば、通常問題は生じない。また、5.0重量%を超えると、それ以上はいくら量が増えても効果はおなじであり、脱色効果はむしろ悪くなることもある。
【0042】
処理方法には連続式とバッチ式があるが、この時、バッチ式の撹拌装置として、従来の横回転攪拌に加え、新たな循環式撹拌を併用すると、より効果的である。横回転攪拌とは、容器内に配した回転羽根を水平方向に回転させて行う撹拌であり、循環式撹拌とは、容器底部に取り出し口を設け、ポンプで吸い上げて容器上部から落とし込むことで行う撹拌である。これにより、活性炭および活性白土と油中の有害成分および微量成分等との接触が増大して、吸着処理を短時間でより効果的に行うことができる。
【0043】
この工程は、減圧下で行うこともできるが、常圧(大気圧)で充分な吸着効果を得ることができる。特に、横攪拌と循環式撹拌とを組み合わせた撹拌方式を採用すると効果的であり、比較的短時間に劣化させずに効率よく処理できる。また、減圧処理する場合に必要な真空ポンプや減圧に耐える撹拌容器等、特殊な装置構成とする必要がないだけでなく、第1の水洗工程から吸着処理工程までの一連の工程を、同一の装置で行うことができるので、非常に経済的である。
【0044】
なお、この工程において、活性炭および活性白土以外の助剤を併せて使用しても差し支えない。例えば、活性白土は酸性であるため、使用量が多いと精製油の酸価が上がる要因となり、これを避けるために、ろ過剤としてパーライト等を併用することができる。パーライトは製品への影響がなく、ろ過性を向上させることができる。
【0045】
6)ろ過工程
最後に、ダイオキシン類等を吸着させた活性炭と活性白土を、ろ過により取り除く。ろ過機は、例えば、最も多く使用されているフィルタープレスを使用することができる。他にもカートリッジ式や遠心力を利用したスパクラフィルター等のろ過機があり、液中の助剤を除去できるろ過機であれば、いずれを使用することもできる。
【0046】
このようにして得られたろ過液に、必要に応じてビタミンや酸化防止剤等を添加して、配合飼料用の液状精製魚油が得られる。
【0047】
この液状精製魚油と、マッシュとを主成分として、養殖魚介類に与える配合飼料を調製する。マッシュは、動物性飼料、主に魚粉に、大豆油かす、コーングルテンミール等の植物性油かす類、米ぬか油かす等のそうこう類、小麦粉等の穀類、その他の添加物を加えて粉末状としたもので、必要な栄養成分を含み、粘結剤成分を適宜配合することで、ペレット状に成形可能となっている。魚粉は、原料である魚類から油を抽出した残部を粉末状としたものであり、上述した種々の魚類から得られる。
【0048】
ここで、ダイオキシン類は油溶性であり、原料である魚類から油を抽出した残部からなる魚粉にはダイオキシン類が含まれることはない。従って、魚油のようなダイオキシン類を除去する処理は、特に必要としない。なお、従来の配合飼料では、脂肪分として植物性油脂を用いることがあり、この場合には魚由来のダイオキシン類は混入しないが、魚本来の生態系における餌と栄養成分が異なるために、生育に影響が出るおそれがある。このことから、本発明では魚油を主体とする油脂を用いるが、少量の植物性油脂、例えば大豆油、パーム油、トウモロコシ油等を添加することは可能である。
【0049】
配合飼料を調製する場合は、魚種、魚体重に応じた栄養要求を考慮して、粗たん白質、粗脂肪、粗繊維、粗灰分等の成分が所望割合となるように、魚油およびマッシュを配合し、所望のペレット状に成形して、本発明の養殖用固形配合飼料とする。配合飼料には、通常、精製魚油を5重量%以上、配合するのがよい。好適には、精製魚油10〜30重量%、マッシュ70〜90重量%の範囲で、適宜調製することができる。ペレットは、原料に水蒸気を加えて機械的に圧縮・固化後、乾燥させたドライペレット(通常、水分含量15重量%以下)の他、魚肉をミンチ状として混ぜ合わせたモイストペレットとしてもよい。モイストペレットとする場合には、通常、水分含量を30重量%程度に調製したセミモイストペレットとすると、より好ましい。
【0050】
好適には、ドライペレット、特に、エクストルーダーで造粒されたEPペレットとすると、精製魚油の配合量を多くできるので、本発明による有害物質低減効果が得やすい。エクストルーダーを用いると、通常のドライペレット製造条件よりも多量の水蒸気と高温・高圧下で混和されるため、滅菌が進み、消化率が向上するとともに、成分が組織化されて耐水性の良い、養殖用飼料に適したペレットとなる。さらに、エクストルーダーから射出される際に、内外の圧力差によって膨張し、内部に多数の気泡を含んだ膨化ペレットとなり、比重が軽いために浮上性を有する。
【0051】
この膨化ペレットは、吸収・吸着性に優れるため、通常のドライペレットよりも多量の精製魚油(例えば25〜30重量%)を含有させることができる。また、ペレットに成形した後に、油脂や栄養剤その他の成分を容易に添加できるので、成分調整が容易で、高栄養・高脂質の飼料とすることができる。従って、少量の供給量で、魚類の生育に大きな効果が得られ、養殖場で給餌する手間や時間も大幅に削減できる。しかも、魚油含有量が高いにもかかわらず、従来の精製魚油に不可避的に含まれていたダイオキシン類等の有害物質が大幅に低減しているので、養殖魚への有害物質の蓄積を抑制する効果が高い。
【0052】
このようにして得られたダイオキシン低減魚油配合飼料は、コプラナーPCBを含むダイオキシン類の含有量が極めて低く、魚介類の養殖用として高い安全性を有する養殖用固形配合飼料となる。また、原料魚油を精製するための複雑な製造工程や製造装置を必要とせず、高価な添加剤等を使用しないので、製造コストが低く、工業的利用価値が高い。
【0053】
本発明の養殖用固形配合飼料は、養殖場にて稚魚、幼魚、若魚または成魚いずれに対しても使用することができ、ダイオキシン類の含有量が低減された養殖魚介類を生産することができる。特に、魚体重に比して飼料摂取量の多い稚魚または幼魚に、本発明の配合飼料を与えると、ダイオキシン類の蓄積を抑制する効果が高い。ただし、若魚、成魚であっても、それ以上のダイオキシン類の蓄積を抑制することができ、一方、成長とともに魚体重に対する有害物質の含有量は相対的に低下する。このため、一定期間、例えば50〜100日以上、本発明の配合飼料にて育成することで、通常の配合飼料を用いて育成した場合に比べて有害物質を低減させる効果が得られる。
【0054】
本発明の養殖方法が適用されるこれら魚介類は、天然漁場にて捕獲された天然ものであっても、他の養殖場にて一定期間育成された養殖ものであってもよい。魚介類の種類は特に限定されず、例えば、ブリ、ハマチ、カンパチ、マグロ、ヒラマサ、タイ、ヒラメ、スズキといった海洋性の魚類の他、ニジマス等の淡水魚や、エビ、ウナギその他、養殖に適した魚介類のいずれにも使用することができる。
【実施例】
【0055】
本発明の効果を確認するための試験を行った。まず、以下の工程にて、有害物質を低減させた精製魚油を製造した。
原料油として、北海道周辺海域で漁獲されたスケソウダラ、サンマ、サバ、カレイ等から抽出分別された魚原油3470kgを用いた。
・使用設備
ステンレス製10トン反応缶、スチーム式加熱コイル、攪拌機、循環用ギアポンプ、フィルタープレス横置き型、製品受けタンク
・加工工程
原油仕込み→温水洗い一回→アルカリ処理→水洗い2回→脱水→吸着処理(助剤添加)→ろ過→精製魚油
【0056】
(原油仕込み→温水洗い)
まず、魚原油をステンレス反応缶に仕込み、撹拌しながらスチーム加熱して、温度80℃に加温した。次に、水洗用の70℃の温水を用意し、魚油仕込み量に対して500kgを撹拌しながらシャワーリングにて投入して、5〜10分後に静止させた。約60分後に静止後、下層水と中間層部を抜き取った。
【0057】
(アルカリ処理)
魚原油酸化:1.3、仕込量3470kg、アルカリ試薬KOHのファクターとアルカリの過剰率により計算されるアルカリ必要量は、8.21kg(水酸化ナトリウム−固形換算)である。ボーメ計にて21度Beとなるように水にて希釈して処理用のアルカリを調整した。
【0058】
水洗した油を70℃に加温し、攪拌しながら、アルカリ溶液をシャワーリングにて投入した。投入後、2〜5分攪拌して、静止させた。約60分以上静止させ、その後、下層部の脱酸フーツを抜き取った。
【0059】
(水洗い)
アルカリ処理後の油を80℃に加温し、この脱酸油に対して約20容量%の700Lの水を、40℃に加温して攪拌しながらシャワーリングにて投入した。5分攪拌後に静止させて、静止開始から60分後に、下層水を抜き取った。この水洗を下層水のpHが中性になるまで、3回繰り返した。
【0060】
(脱水→吸着処理(助剤添加))
水洗した油を攪拌しながら、90℃、100℃、110℃、130℃へと段階的に加温し、水分を蒸発させた。この時、前の水洗工程がうまく行われていないと、泡が吹く原因となり、作業上の危険性があるが、本発明では、水洗を繰り返すことで安全性を向上させることができる。脱水が完了したら、助剤を添加する。
【0061】
まず、粉状活性炭40kgを、攪拌しながら徐々に投入し、30分以上攪拌した。ここで、活性炭の添加量は、魚原油に対して、1.15重量%であった。
活性炭:ダイヤホープPXO(商品名:三菱化学カルゴン株式会社製)、粒度44μm、ヨウ素吸着量1000mg/g
【0062】
さらに活性白土(ガレオンアース:水澤化学株式会社製、商品名)50kgを、攪拌しながら徐々に投入し、次いでパーライト20kgを投入した後、60分以上、攪拌を続けた。活性白土の添加量は、魚原油に対して、1.44重量%であった。この時に、横回転攪拌に加え、反応缶1下部から吸い上げ、上から落とし込む循環式撹拌とを併用させた。
【0063】
(ろ過)
その後、フィルタープレス機(横置き型)を使用してろ過をし、配合飼料用の液状魚油を得た。得られた製品の分析結果を以下に示す。
製品分析: 分析値 酸価 ダイオキシン類(pg−TEQ/g)
原油 1.3 1.6
製品 1.6 0.7
このように、上記工程により製品中のダイオキシン類の含有量を大きく低減させ、TEQ濃度で1pg−TEQ/g以下にすることができる。また、夾雑物その他不純物も除去されており、ダイオキシン類等の有害物質を低減させた飼料用として優れた品質の液状油脂が得られた。
【0064】
次いで、このダイオキシン類低減魚油を用いて、詳細を表1、2に示す配合割合、成分値となるように原料を調製し、エクストルーダーを用いて、本発明の養殖用固体配合飼料となるEPペレットを製造した(試験飼料)。また、比較のため、活性炭および活性白土処理を行わない従来方法で精製した魚油を用い、それ以外は同様の方法で比較用のEPペレット(比較飼料)を製造した。これら試験飼料と比較飼料の分析結果を表3に示す。なお、ダイオキシン類濃度以外に、試験飼料と比較飼料の一般分析値には大きな相違はなかった。
【表1】

【表2】

【表3】

【0065】
得られた試験飼料および比較飼料を用いて、表4に示す飼育実験条件で、それぞれブリを所定期間飼育した。試験飼料で飼育したブリ(試験区)、比較飼料で飼育したブリ(対象区)ともに、実験開始時の魚体重量は680gであり、試験飼料を1日2回摂餌がほぼストップするまで、十分量与えた。飼育期間は250日間とし、分析のためのサンプリングを50日毎に行った。飼育期間中の水温は16.5〜31℃、塩分は31〜35パーミル、毎分10リットルの流水式飼育で、各水槽に15尾づつのブリを収容した。サンプリングは、試験区および対象区のそれぞれについて、魚体中のダイオキシン類濃度変化を調べた。また、魚体の成長および生残への影響と、魚体中の脂肪酸(DHA、EPA)への影響を調べた。
【表4】

【0066】
図1、図2に、ブリ全魚体中におけるダイオキシン類含有量の経時的変化と、試験後の全魚体中におけるダイオキシン類の種類別蓄積量の変化を調べた結果をそれぞれ示す。図1より、試験区と比較区のダイオキシン類含有量は、飼育開始後、100日以降に差が現れ、250日まで、本発明の養殖用固体配合飼料を摂取させた試験区のブリにおいて、ダイオキシン値が低いレベルで推移した。図1のように、250日飼育後のダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾ‐パラ‐ジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、コプラナーPCB(Co−PCB)すべての量において、明らかな減少が見られ、ダイオキシン低減魚油を用いた配合飼料が、養殖魚のダイオキシン類低減に有効であることが分かる。
【0067】
具体的には、養殖ブリ魚体中のダイオキシン含量は、以下のように推移した。
実験開始時:3.81pg−TEQ/g
実験開始から150日目
対象区:0.83pg−TEQ/g
試験区:0.48pg−TEQ/g
このように、実験開始時に3.81pg−TEQ/gあったダイオキシン含量が、150日間の試験飼料投与によって減少し、結果として、ダイオキシン類低減魚油を用いた配合飼料を摂取したブリにおいて、ダイオキシン類含有魚油を用いた比較飼料よりも約0.4pg−TEQ/gの減少が見られた。この傾向は、250日目まで継続し、最終取り上げ時には、以下のようになった。
対象区:0.97pg−TEQ/g
試験区:0.75pg−TEQ/g
このように、本発明により、魚体中のダイオキシン量(総TEQ値)が20〜40%削減されたブリを養殖することに成功した。
【0068】
また、図3、4は、ブリ魚体重の経時的変化と、生存率をそれぞれ調べた結果である。図3、4より、飼育100日位から、試験区と比較区とで成長の差が見られ、最終的には本発明の配合飼料を用いた試験区において速い成長を示した。飼育期間中の生残率には差がなかった。これは、対象区で用いた従来の配合飼料に含まれる濃度では、有害物質であるダイオキシン類が致命的な影響を与えることはないものの、成長を阻害しているおそれがあること、ダイオキシン類低減魚油を用いた本発明の配合飼料を摂取させた試験区では、ダイオキシン類が低減することで、魚体の成長へも良好な効果が表れたものと推測される。
【0069】
図5は、試験飼料および比較飼料に配合された魚油中の脂肪酸組成を示す図で、図より、ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)の量は両者ともほとんど変わらないことから、活性炭処理をしても脂肪酸組成には影響がなかったといえる。なお、脂質クラス組成を調べたところ、こちらについても両者に大きな差はなかった。
【0070】
図6は、試験実施後の魚体中の脂肪酸組成を比較して示す図で、(a)は中性脂質、(b)は極性脂質における脂肪酸組成である。図6(a)、(b)より、中性脂質中の脂肪酸組成に若干のバラツキが見られたものの、試験区と対象区とで大きな差はなかった。このように、ダイオキシン類低減魚油を用いた本発明の配合飼料を摂取させても、魚体の脂肪酸(DHA、EPA)への大きな影響はほとんどないといえる。
【0071】
表5は、飼育試験終了時における筋肉背部、腹部及び肝臓の一般分析結果を示したものである。表より、タンパク質、灰分、水分含量について、ダイオキシン類低減魚油を用いた本発明の配合飼料を投与した試験区のブリが高い傾向を示し、脂質含量について低い傾向を示した。これは、上記図1に示した通り、試験区ではダイオキシン低減により成長が良好となることから、魚体の動きが活発となり、タンパク質等が増加する一方、脂質は燃焼して低下すると推測される。なお、筋肉背部、腹部及び肝臓の脂質クラス組成を分析して比較したところ、あまり大きな差は見られなかった。
【0072】
以上により、本発明の養殖用固形配合飼料を使用すると、養殖魚介類のダイオキシン類含有量を低減できるばかりか、生育が良好となって可食部の品質が向上し、安全かつ高品質の養殖魚介類が生産可能である。また、養殖対象は稚魚や幼魚のみならず、若魚、成魚であってもよく、従来の配合飼料にて養殖された魚介類であっても、一定期間以上、本発明の養殖用固形配合飼料を摂取させることによって、有害物質の低減された養殖魚介類を得ることができる。しかも、配合飼料の製造が容易で、養殖方法も簡易であるので、生産コストを大きく低減することが可能で、利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明実施例における魚体中におけるダイオキシン類含有量の経時変化を示す図である。
【図2】本発明実施例における試験後のダイオキシン類の蓄積量変化を示す図である。
【図3】本発明実施例における魚体重の経時変化を示す図である。
【図4】本発明実施例における魚生存率の変化を示す図である。
【図5】本発明実施例における魚油中の脂肪酸組成を示す図である。
【図6】本発明実施例における試験後の魚体中の脂肪酸組成を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも活性炭で処理することにより有害物質を低減させた液状魚油と、マッシュとを主成分として含有し、ペレット状に成形されていることを特徴とする養殖用固形配合飼料。
【請求項2】
水分含量が15重量%以下のドライペレットである請求項1記載の養殖用固形配合飼料。
【請求項3】
エクストルーダーで造粒されたEPペレットである請求項2記載の養殖用固形配合飼料。
【請求項4】
液状魚油の含有量が5重量%以上である請求項2または3に記載の養殖用固形配合飼料。
【請求項5】
有害物質が、主にダイオキシン類である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の養殖用固形配合飼料。
【請求項6】
液状魚油は、原料となる酸価20以下の魚油をアルカリ処理し、活性炭および活性白土にて吸着処理することにより得られる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の養殖用固形配合飼料。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の養殖用固形配合飼料を、魚介類に100日以上、給餌することを特徴とする養殖方法。
【請求項8】
魚介類は、稚魚、若魚または成魚、または養殖場にて一定期間育成された養殖魚介類である請求項7記載の養殖方法。
【請求項9】
ブリ、ハマチ、カンパチ、マグロ、ヒラマサ、タイ、ヒラメ、スズキ、ニジマス、トラフグ、エビまたはウナギの養殖に用いる請求項7または8記載の養殖方法。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1項に記載の養殖方法により養殖された有害物質低減養殖魚介類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−306998(P2008−306998A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158963(P2007−158963)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(505054058)豊通ライフマック株式会社 (4)
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【Fターム(参考)】