説明

養生材

【課題】養生材の使い勝手を適切に向上させる。
【解決手段】帯状をなす段ボール又は板紙よりなり、その両端部をそれぞれ養生対象Mに裏面Cbが貼着される貼着部1とし、この二箇所の貼着部1、1間を蛇腹折り部2としている。前記段ボール又は板紙を二分するその長さ方向に沿った仮想の直線xに沿って、前記蛇腹折り部2における山部2aにはその頂から麓に亙る切目2bが形成されると共に、前記蛇腹折り部2における谷部2d及び前記貼着部1には折り筋6が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、養生対象の角部や縁部を保護するために用いられる養生材の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
リフォーム工事や引っ越し作業などにあたっては、建物や家具などの角部や縁部を養生材で覆う養生処理が必要に応じて必要な箇所に対してなされる。こうした養生処理は、典型的には、一定の長さを備えた発泡プラスチック製のマット状体を前記角部や縁部に沿って粘着テープを利用して貼り付けることでなされている。こうしたマット体は必要な長さに切断することを余儀なくされる場合があると共に、かさばるため運搬、保管、携行に難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の養生材の使い勝手を適切に向上させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、養生材を、帯状をなす段ボール又は板紙よりなり、
その両端部をそれぞれ養生対象に裏面が貼着される貼着部とし、
この二箇所の貼着部間を蛇腹折り部とし、
前記段ボール又は板紙を二分するその長さ方向に沿った仮想の直線に沿って、前記蛇腹折り部における山部にはその頂から麓に亙る切目が形成されると共に、前記蛇腹折り部における谷部及び前記貼着部には折り筋が形成されているものとした。
【0005】
かかる養生材は、前記切目及び折り筋において、その裏面を屈曲内側とするように二つ折りにすることができる。そして、この二つ折りにした養生材を、折った箇所を建物や家具などの養生対象の角部や縁部に位置させると共に、折った箇所を挟んだ一方の側の裏面がこの角部や縁部を構成する一方の面に添装され、且つ、折った箇所を挟んだ他方の側の裏面がこの角部や縁部を構成する他方の面に添装されるように、前記貼着部をもって養生対象の角部や縁部に沿って貼り付けることができる。かかる貼り付けにより、前記角部や縁部を挟んだ両側に前記折りにより分割された山部がそれぞれ位置されることとなり、これにより前記角部や縁部を保護することができる。すなわち、かかる山部を前記角部や縁部に対する衝突物に対するクッションとして機能させることができる。蛇腹折り部は、縮めることも引き延ばすこともできることから、これを縮めておけば携行などがし易く、また、保護すべき前記角部や縁部の長さに養生材の長さを養生材を切断などすることなく合わせて前記貼り付けをなすことができる。
【0006】
かかる養生材を、帯状をなす段ボールより構成すると共に、その長さ方向にこの段ボールを構成する中しんの段が沿うようにしておけば、前記の引き延ばし方向での養生材の剛性を高めることができる。
【0007】
また、前記二箇所の貼着部の一方に、蛇腹折り部の一方縁部に沿った仮想の第一直線に沿った折り筋を介してこの一方の貼着部に連接された第一延長片と、蛇腹折り部の他方縁部に沿った仮想の第二直線に沿った折り筋を介してこの一方の貼着部に連接された第二延長片とを備えさせ、蛇腹折り部を畳んで二箇所の貼着部を近接させた状態において、前記折り筋で折られた第一延長片及び第二延長片の先端部を他方の貼着部に掛合させて、この第一延長片及び第二延長片と二箇所の貼着部とにより畳んだ蛇腹折り部の保持枠体が構成されるようにしておくこともある。このようにした場合、養生材が蛇腹折り部を畳んでコンパクトになった状態を前記掛合により作り出される保持枠体により維持することができ、養生材の携行や保管が一層容易となる。
【発明の効果】
【0008】
この発明にかかる養生材は、養生対象への貼着時にはその角部や縁部をしっかりと保護でき、また、切断などを施すことなく養生対象に合わせた長さに調整でき、一方、蛇腹折り部を縮めることで携行なども容易であり、しかも、紙製であるので廃棄時の環境負荷も少ない特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は実施の形態にかかる養生材の斜視図である。
【図2】図2は図1の状態から蛇腹折り部をやや折り畳んだ状態を示した斜視図である。
【図3】図3は折り畳んだ蛇腹折り部を、第一及び第二延長片を介して組み合わせた二箇所の貼着部によって保持させた状態を示した斜視図である。
【図4】図4は養生対象の隅部に実施の形態にかかる養生材を貼り込んだ様子を示した斜視図である。
【図5】図5は図4の状態の平面図である。
【図6】図6は図4の状態の断面図である。
【図7】図7は養生対象の縁部を構成する一方の面と他方の面とがなす角度が図4の場合よりも大きい場合の養生材の貼り込み状態を示した断面図である。
【図8】図8は実施の形態にかかる養生材を平した状態での表面図である。
【図9】図9は実施の形態にかかる養生材を平した状態での裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜図9に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる養生材Cは、帯状をなす段ボール又は板紙から構成され、養生対象Mの角部や縁部Maを保護するようにこの養生対象Mに貼り付け用いるのに適したものである。典型的には、かかる養生材Cは、リフォーム工事や引っ越し作業などにあたり、建物や家具などの前記角部や縁部Maを保護するために用いられる。より具体的には、かかる養生材Cは、柱の角部や壁の出隅の角部、腰壁の天端面の縁部やカウンターの縁部など保護するために用いられる。前者の場合には養生材Cは養生対象Mに縦方向にその長さ方向を沿わせるようにして貼り付けられ、後者の場合には養生材Cは養生対象Mに横方向にその長さ方向を沿わせるようにして貼り付けられる。
【0011】
かかる養生材Cは、その両端部をそれぞれ養生対象Mに裏面Cbが貼着される貼着部1とすると共に、この二箇所の貼着部1、1間を蛇腹折り部2としている。
【0012】
図示の例では、蛇腹折り部2は、帯状をなす段ボール3に、その幅方向に沿った山折り筋4をその長さ方向において隣り合う山折り筋4、4との間に略等しい間隔を開けて複数設けると共に、隣り合う山折り筋4、4の中間位置に前記幅方向に沿った二条の谷折り筋5、5を両者の間に間隔を開けて形成させ、かかる段ボール3にかかる各山折り筋4と各谷折り筋5での折りを施すことで構成されている。図示の例では、養生材Cの表面Ca側において、山折り筋4の一部に沿って、前記段ボール3にハーフカット4aが施されている。
【0013】
図示の例では、図8において左側に位置される貼着部1は谷折り筋5を介して蛇腹折り部2の左端の山部2aの麓となる箇所に連接され、右側に位置される貼着部1は谷折り筋5を介して蛇腹折り部2の右端の山部2aの麓となる箇所に連接されている。二箇所の貼着部1、1の幅と蛇腹折り部2の幅とは等しくなっている。二箇所の貼着部1、1の裏面Cbを養生対象Mに貼着すると、この貼着部1の裏面Cbと前記二条の谷折り筋5、5間に形成される谷部2dの裏面Cbとは同面上に位置されるようになっている。
【0014】
また、前記段ボール3を二分するその長さ方向に沿った仮想の直線xに沿って、前記蛇腹折り部2における山部2aにはその頂から麓に亙る切目2bが形成されている。図示の例では、かかる仮想の直線xは、蛇腹折り部2及び二箇所の貼着部1、1の幅方向略中程の位置を通る直線である。
【0015】
具体的には、前記蛇腹折り部2における各山部2aにはそれぞれ、その頂を挟んだ一方の麓、つまり、この一方の側にある前記谷折り筋5の形成位置から、その頂を挟んだ他方の麓、つまり、この他方の側にある前記谷折り筋5の形成位置までの間にわたって、前記切目2bが形成されている。従って、前記谷部2dは隣り合う前記切目2b、2bのつなぎ目として機能する。図示の例では、この切目2bの両端にはU字状の切目2cがさらに形成され、谷部2dの破断を防止している。(図8、図9)
【0016】
また、前記仮想の直線xに沿って、前記蛇腹折り部2における谷部2d及び前記貼着部1には折り筋6が形成されている。図示の例では、養生材Cの表面Ca側において、貼着部1の折り筋6の一部にはハーフカット6aが施されている。
【0017】
これにより、この実施の形態にあっては、前記切目2b及び折り筋において養生材Cをその裏面Cbを屈曲内側とするように二つ折りにすることができる。そして、この二つ折りにした養生材Cを、折った箇所を建物や家具などの養生対象Mの角部や縁部Maに位置させると共に、折った箇所を挟んだ一方の側の裏面Cbがこの角部や縁部Maを構成する一方の面Mbに添装され、且つ、折った箇所を挟んだ他方の側の裏面Cbがこの角部や縁部Maを構成する他方の面Mcに添装されるように、前記貼着部1をもって養生対象Mの角部や縁部Maに沿って貼り付けることができる。かかる貼り付けにより、前記角部や縁部Maを挟んだ両側に前記折りにより分割された山部2aがそれぞれ位置されることとなり、(図4)これにより前記角部や縁部Maを保護することができる。すなわち、かかる山部2aを前記角部や縁部Maに対する衝突物に対するクッションとして機能させることができる。蛇腹折り部2は、縮めることも引き延ばすこともできることから、これを縮めておけば携行などがし易く、また、保護すべき前記角部や縁部Maの長さに養生材Cの長さを養生材Cを切断などすることなく合わせて前記貼り付けをなすことができる。
【0018】
また、図示の例では、かかる養生材Cを、帯状をなす段ボール3より構成させると共に、その長さ方向にこの段ボール3を構成する中しん3aの段3bが沿うようにしている。(図1)このようにしておけば、前記の引き延ばし方向での養生材Cの剛性を高めることができる。すなわち、図示の例では、養生材Cの長さ方向と中しん3aの段3b間に形成される溝3cの長さ方向とが一致する。
【0019】
また、図示の例では、二箇所の貼着部1、1の一方(図示の例では図8において左側に位置される貼着部1)には、蛇腹折り部2の一方縁部に沿った仮想の第一直線yに沿った折り筋7aを介してこの一方の貼着部1に連接された第一延長片7と、蛇腹折り部2の他方縁部に沿った仮想の第二直線y’に沿った折り筋8aを介してこの一方の貼着部1に連接された第二延長片8とが備えられている。
【0020】
そして、この実施の形態にあっては、蛇腹折り部2を畳んで二箇所の貼着部1、1を近接させた状態において、前記折り筋7a、8aで折られた第一延長片7及び第二延長片8の先端部を他方の貼着部1に掛合させて、この第一延長片7及び第二延長片8と左右の貼着部1とにより畳んだ蛇腹折り部2の保持枠体10が構成されるようになっている。(図3)
【0021】
図示の例では、第一延長片7及び第二延長片8は、二箇所の貼着部1、1の一方と同じ幅を備えている。第一延長片7及び第二延長片8はそれぞれ、前記折り筋7a、8aに平行をなす先端縁7b、8bを有すると共に、この先端縁7b、8bの中央から突き出す舌片7c、8cを備えている。一方、二箇所の貼着部1、1の他方には、前記第一直線y及び第二直線y’上に位置される箇所にそれぞれ、前記舌片7c、8cを差し込むことができるスリット1aが形成されている。図示の例では、蛇腹折り部2を折りたたむと共に、二箇所の貼着部1、1がその表面Caを向き合わせるようにした状態から、(図2)第一延長片7と第二延長片8を前記のように折り、それぞれの舌片7c、8cを対応する前記スリット1aに差し込むことで前記掛合状態を作り出し、前記保持枠体10を形成するようになっている。(図3)
【0022】
これにより、この実施の形態にあっては、養生材Cが蛇腹折り部2を畳んでコンパクトになった状態を前記掛合により作り出される保持枠体10により維持することができ、養生材Cの携行や保管がなし易くなっている。
【0023】
図示の例では、貼着部1は、その裏面Cbに剥離紙(図示は省略する。)で粘着面を覆われた粘着テープ9を備えており、この粘着テープ9をもって養生対象Mに貼着されるようになっている。
【0024】
また、図示の例では、二箇所の貼着部1、1の一方の第一延長片7及び第二延長片8の基部にはそれぞれ、前記折り筋7a、8aとの間で補助舌片7d、8dを形成するU字状の切目7e、8eが形成されている。そして、この補助舌片8dを別の養生材Cの前記スリット1aに差し込むことで、この別の養生材Cの二箇所の貼着部1、1の他方に前記一方の貼着部1を連結させることもできるようになっている。
【符号の説明】
【0025】
M 養生対象
Cb 裏面
1 貼着部
2 蛇腹折り部
2a 山部
2b 切目
2d 谷部
6 折り筋
x 仮想の直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状をなす段ボール又は板紙よりなり、
その両端部をそれぞれ養生対象に裏面が貼着される貼着部とし、
この二箇所の貼着部間を蛇腹折り部とし、
前記段ボール又は板紙を二分するその長さ方向に沿った仮想の直線に沿って、前記蛇腹折り部における山部にはその頂から麓に亙る切目が形成されると共に、前記蛇腹折り部における谷部及び前記貼着部には折り筋が形成されていることを特徴とする養生材。
【請求項2】
帯状をなす段ボールよりなると共に、その長さ方向にこの段ボールを構成する中しんの段が沿うようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の養生材。
【請求項3】
二箇所の貼着部の一方には、蛇腹折り部の一方縁部に沿った仮想の第一直線に沿った折り筋を介してこの一方の貼着部に連接された第一延長片と、蛇腹折り部の他方縁部に沿った仮想の第二直線に沿った折り筋を介してこの一方の貼着部に連接された第二延長片とが備えられており、
蛇腹折り部を畳んで二箇所の貼着部を近接させた状態において、前記折り筋で折られた第一延長片及び第二延長片の先端部を他方の貼着部に掛合させて、この第一延長片及び第二延長片と二箇所の貼着部とにより畳んだ蛇腹折り部の保持枠体が構成されるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の養生材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−251393(P2012−251393A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126433(P2011−126433)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(597007282)住友林業ホームテック株式会社 (43)